放射線検出装置
【課題】放射線検出装置のフレキシブル基板を流れる電気信号に与えるノイズの影響を低減する。
【解決手段】放射線検出装置30は、放射線検出パネル21と支持板20と回路基板23とフレキシブル基板18とノイズ遮蔽体24とを有する。放射線検出パネル21は、X線37を検出して電気信号を出力する。支持板20は、放射線検出パネルのX線37の入射面の反対側の面を支持する。回路基板23は、支持板20の放射線検出パネル21の反対側に位置して放射線検出パネル21を駆動する。フレキシブル基板18は、放射線検出パネル21の端子群と回路基板23の端子群との間を支持板20の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続する。ノイズ遮蔽体24は、回路基板に沿って延びる板状の固定部51と回路基板23から支持板20に向かう方向に固定部51から起立した板状の遮蔽部24とを有し、導電性の材料で形成される。
【解決手段】放射線検出装置30は、放射線検出パネル21と支持板20と回路基板23とフレキシブル基板18とノイズ遮蔽体24とを有する。放射線検出パネル21は、X線37を検出して電気信号を出力する。支持板20は、放射線検出パネルのX線37の入射面の反対側の面を支持する。回路基板23は、支持板20の放射線検出パネル21の反対側に位置して放射線検出パネル21を駆動する。フレキシブル基板18は、放射線検出パネル21の端子群と回路基板23の端子群との間を支持板20の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続する。ノイズ遮蔽体24は、回路基板に沿って延びる板状の固定部51と回路基板23から支持板20に向かう方向に固定部51から起立した板状の遮蔽部24とを有し、導電性の材料で形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施の形態は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、特にX線を検出する診断用検出器としてアクティブマトリックスを用いたX線画像検出器が大きな注目を集めている。平面状の検出器にX線を当てることで、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。このX線画像検出器は、固体検出器であることから、画質性能や安定性の面でも極めて期待が大きい。このため、多くの大学やメーカーが研究開発に取り組んできた。
【0003】
実用化の最初の用途として、比較的大きな線量で静止画像を収集する胸部・一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高い技術的なハードルをクリアして、透視線量下で秒30コマ以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても近い将来に商品化が予想される。この動画用途に対しては、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術などが重要な開発項目となっている。
【0004】
放射線、特にX線を検出する放射線検出装置は、工業用の非破壊検査や医療診断、構造解析などの化学研究用など広い分野で利用されている。放射線検出装置の中でも、高感度で高精細な装置として、光電変換素子部を有する平面型光検出器上に蛍光体層が直接形成された放射線検出パネルを備えた放射線検出装置が知られている。この放射線検出装置の蛍光体層では、放射線を光電変換素子部で検出可能な光に変換する。また、この放射線検出装置の光電変換素子部では、複数のフォトセンサおよびTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を備えた画素がガラス基板上に2次元的に配置されている。各画素のスイッチング素子は、行を表すゲート線と列を表す信号線に接続されている。ゲート線と信号線は格子状に配置され、格子状に配置している各画素に接続されている。
【0005】
平面型光検出器上にX線を可視光に変換する蛍光体を積層することにより、外部から入射したX線は蛍光体内部にて可視光に変換され、発生した可視光は平面型光検出器に入射する。この平面型光検出器内部のフォトダイオードにて入射した可視光は電荷に変換され、フォトダイオード内部もしくは並列接続されている容量素子内部に蓄積される。電荷に変換されたX線画像情報は、フォトダイオードに接続されているスイッチング素子(TFT)を通して基板外部へと伝達される。ゲート線の電位が変化することで、電位の変化したゲート線に接続されたTFTは導通状態となり、導通状態となったTFTに接続されているフォトダイオードもしくは容量素子内部に蓄積された電荷はTFTを通して外部に出力される。外部に出力された電荷はTFTに接続している信号線を通してガラス基板外部へと出力される。
【0006】
ガラス基板外部に出力された電荷信号は、各信号線に接続された積分増幅器へと入力される。積分増幅器に入力された電荷情報は増幅され、電位信号に変換されて出力される。積分増幅器から出力された電位信号はアナログ、デジタル変換機にてデジタル値に変換され、最終的には画像信号として編集されてX線画像検出器の外部へと出力される。放射線検出パネルは板状の支持部材の一面に支持され、支持部材の他面に放射線検出パネルを駆動する回路基板が支持され、これらの放射線検出パネルと回路基板がフレキシブル回路基板にて電気的に接続されている。
【0007】
この放射線検出パネルを支持する支持部材や、放射線検出パネルに接続されている回路基板を外部から保護し、一体となるよう金属や樹脂部品を組合せることで放射線検出装置の筐体が構成されている。放射線検出パネル基板から外部に出力された電荷信号にノイズが与えられると、画像信号に欠点もしくは異常値が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−28736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放射線検出装置を駆動させると、回路基板から放射線検出パネル外部に出力された電荷信号に影響を与えるノイズが発生する。放射線検出パネルにて検出された微小な電荷信号を回路基板へ伝達するフレキシブル回路基板は、前記ノイズの影響を受け、ノイズ成分の多い画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0010】
また、回路基板は拡張性や生産性を考慮して複数枚で構成されることが多い。複数枚で構成される回路基板は、必要機能を回路基板毎に分割し、回路基板を結合することで一つの駆動回路として機能している。これら分割された回路基板に対して、各々が異なったグランド電圧を持つと、前記積分増幅器から出力された電位信号が分割された回路基板ごとにシフトした画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フレキシブル基板を流れる電気信号に与えるノイズの影響を低減した放射線検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、実施形態の放射線検出装置は、第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側で前記支持板に支持されて前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、前記回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立した板状の遮蔽部とを有する導電性のノイズ遮蔽体と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態による放射線検出装置の図2のI−I矢視断面図である。
【図2】図1のII−II矢視平面図である。
【図3】第1の実施形態による放射線検出装置のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による放射線検出パネルの模式的斜視図である。
【図5】第1の実施形態による画像検出部の回路図である。
【図6】第1の実施形態による放射線検出パネルの平面図である。
【図7】本第1の実施形態による回路基板の平面図である。
【図8】第1の実施形態の放射線検出装置の変形例におけるノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【図9】第2の実施形態による放射線検出装置の断面図である。
【図10】図9のX−X矢視平面図である。
【図11】第3の実施形態による放射線検出装置のノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下実施の形態の放射線検出装置を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図3は、第1の実施の形態による放射線検出装置のブロック図である。図4は、本実施の形態における放射線検出パネルの模式的斜視図である。図5は、本実施の形態における画像検出部の回路図である。
【0015】
放射線検出装置30は、放射線検出パネル21とゲートドライバー32と積分アンプ33とA/D変換器34と行選択回路35と画像合成回路36とを有している。放射線検出パネル21は、蛍光変換膜38と画像検出部12とを有している。蛍光変換膜38は、X線37が入射すると可視光領域の蛍光を発生する。発生した蛍光は、画像検出部12の表面に到達する。
【0016】
画像検出部12は、蛍光変換膜38で発生した蛍光を受光して電気信号を発生する。その結果、入射したX線37によって蛍光変換膜38で発生した可視光像は、画像検出部12において電気信号で表現された画像情報に変換される。
【0017】
画像検出部12は、正方格子状に配列された複数の微細な画素を有している。それぞれの画素は、保持基板11上に形成されている。保持基板11は、ガラスで形成された板である。なお、図3および図4において、画素は5行5列あるいは4行4列分しか記載していないが、実際にはもっと多く、解像度、撮像面積に応じて必要な画素が形成されている。また、図3において、蛍光変換膜38と画像検出部12と分離して描いているが、実際には両者は密着している。
【0018】
それぞれの画素は、薄膜トランジスタ14とコンデンサー15とフォトダイオード39とを有している。フォトダイオード39とコンデンサー15とは、並列に薄膜トランジスタ14のソース端子に接続されている。薄膜トランジスタ14のゲート端子は、ゲート線13に接続されている。薄膜トランジスタ14のドレイン端子は、信号線17に接続されている。
【0019】
ゲート線13は、画素が配列された格子の行の数と同数設けられていて、同じ行の画素中の薄膜トランジスタ14のゲート端子は同じゲート線に接続されている。信号線17は、画素が配列された格子の列の数と同数設けられていて、同じ列の画素中の薄膜トランジスタ14のゲート端子は同じゲート線に接続されている。
【0020】
ゲート線13は、それぞれゲートドライバー32に接続されている。ゲートドライバー32は、たとえば複数である。ゲートドライバー32は、行選択回路35に接続されている。ゲートドライバー32は行選択回路35からの信号を受信して、多数のゲート線13の電圧を順番に変更していく。行選択回路35は、X線画像を走査する所定の行を選択するための信号をゲートドライバー32へと送る。
【0021】
信号線17は、それぞれ積分アンプ33に接続されている。積分アンプ33は、放射線検出パネル21から信号線17を通じて出力される極めて微小な電荷信号を増幅し出力する。積分アンプ33は、A/D変換器34に接続されている。A/D変換器34は、画像合成回路36に接続されている。
【0022】
図6は、本実施の形態における放射線検出パネルの平面図である。
【0023】
放射線検出パネル21には、ゲート線13および信号線17を引き出す端子群61が形成されている。ゲート線13を引き出す端子群61および信号線17を引き出す端子群61は、それぞれ放射線検出パネル21の隣り合う辺に沿ってそれらの辺の近傍に配列されている。放射線検出パネル21には、蛍光変換膜38を覆う防湿体65が固定されていてもよい。
【0024】
図7は、本実施の形態における回路基板の平面図である。
【0025】
ゲートドライバー32、行選択回路35、A/D変換器34、画像合成回路36などは、回路基板23上に形成されている。回路基板23には、電気回路と、放射線検出パネル21のゲート線13および信号線17とを接続する端子群62が形成されている。ゲート線13と接続する端子群62および信号線17と接続する端子群62は、それぞれ回路基板23の隣り合う辺に沿ってそれらの辺の近傍に配列されている。
【0026】
図1は、本実施の形態における放射線検出装置の図2のI−I矢視断面図である。図2は、図1のII−II矢視平面図である。
【0027】
放射線検出装置30は、筐体22を有している。筐体22は、X線検知面側に放射線入射窓19で覆われた開口が形成された箱である。
【0028】
筐体22の内部には、放射線検出パネル21、支持板20、回路基板23、ノイズ遮蔽体24およびフレキシブル基板18が収められている。支持板20は、たとえば正方形の平板である。支持板20は、複数の板で構成されていてもよい。また、支持板20を構成する板に、X線を遮蔽するたとえば鉛製の板が含まれていてもよい。支持板20は、図示しない支持柱などで筐体22に固定されている。
【0029】
放射線検出パネル21は、X線37の入射面の反対側の面、すなわち、保持基板11のTFT回路層10などが形成された面の反対側の面が支持板20の一方の面に載置されている。放射線検出パネル21の支持板20の反対側の面は、筐体22の内面に固定された押しつけ部材64で支持板20に押し付けられている。
【0030】
回路基板23は、回路基板支持柱25で支持板20に固定されている。放射線検出パネル21と回路基板23との間には、フレキシブル基板18が延びている。フレキシブル基板18は、支持板20の外縁よりも外側を通って延びている。つまり、フレキシブル基板18は、支持板20の外縁と筐体22の側面との間を通過している。放射線検出パネル21の周辺部分に配列された端子群61と回路基板23の周辺部分に配列された端子群62との間に延びている。
【0031】
ノイズ遮蔽体24は、固定部51と遮蔽部52とからなっている。固定部51は、回路基板23に沿って延びる板状に形成されている。遮蔽部52は、回路基板23から支持板20に向かう方向に固定部51から起立した板状に形成されている。また、遮蔽部52は、回路基板23上に位置するゲートドライバー32などの素子の少なくとも一部とフレキシブル基板18との間を横切って延びている。ノイズ遮蔽体24は、アルミ、ステンレス鋼、銅などの導電材料で形成されている。ノイズ遮蔽体24は、たとえば金属を押出成形により、固定部51および遮蔽部52を一体として製作したものである。
【0032】
固定部51は、回路基板23に、たとえばねじ54を用いて固定されている。回路基板23には、回路基板23上に形成された回路のグランドが露出している部分が形成されていて、固定部51はこのグランドが露出している部分に接している。また、遮蔽部52の固定部51に対して反対側の端部は、支持板20に接している。
【0033】
次に、この放射線検出装置30の動作を説明する。
【0034】
初期状態では、フォトダイオード39と並列に接続されたコンデンサー15には、電荷が蓄えられており、並列接続されているフォトダイオード16には逆バイアス状態の電圧が加えられている。この電圧は、信号線17に加えられている電圧と同じである。フォトダイオード16はダイオードの一種なので、逆バイアスの電圧が加えられても電流はほとんど流れることは無い。そのためコンデンサー15に蓄えられた電荷は減少することなく保持されることになる。
【0035】
このような状況において、X線37が蛍光変換膜38に入射すると、蛍光変換膜38内部において高エネルギーのX線が低エネルギーの多数の可視光に変換される。蛍光変換膜38内部にて発生した蛍光の一部は、画像検出部12表面に配置されているフォトダイオード39へと到達する。
【0036】
フォトダイオード16に入射した蛍光は、フォトダイオード16内部で電子とホールからなる電荷に変換され、コンデンサー15にて印加されている電界方向に沿ってフォトダイオード16の持つ両端子へと到達する。この電荷の移動は、フォトダイオード16内部を流れる電流として観測される。
【0037】
蛍光の入射により発生したフォトダイオード16内部を流れる電流は、並列接続されているコンデンサー15へと流れ込む。これに伴い、コンデンサー15内部に蓄えられていた電荷が打ち消される。その結果、コンデンサー15に蓄えられていた電荷は減少し、コンデンサー15の端子間に発生していた電位差も初期状態と比べて低下する。
【0038】
ゲートドライバー32は、多数のゲート線13の電位を順番に変化させる機能を有している。ある特定の時間においては、ゲートドライバー32によって電位が変化しているゲート線13は1本のみである。電位の変化したゲート線13に接続されている信号線17に並列接続されている薄膜トランジスタ14のソース端子およびドレイン端子間は、絶縁状態から導通状態へと変化する。各信号線17には、特定の電圧がかけられている。信号線に印加された電圧は、電位の変化したゲート線13に接続された薄膜トランジスタ14のソースおよびドレイン端子を通じて接続されているコンデンサー15に印加されることになる。
【0039】
初期状態においてコンデンサー15は信号線17と同じ電位状態になっているため、コンデンサー15の電荷量が初期状態と変化していない場合、コンデンサー15には信号線17からの電荷の移動は発生しない。しかし、外部から入射したX線37よって蛍光変換膜38内部にて発生した蛍光が入射したフォトダイオード16と並列接続しているコンデンサー15では、内部に蓄えられている電荷が減少しており、初期状態の電位とは変化している。このため、導通状態となった薄膜トランジスタ14を通じて信号線17より電荷の移動が発生し、コンデンサー15内部に蓄えられた電荷量は初期状態に戻る。また、移動した電荷量は信号線17を流れる信号となり外部へと伝わる。
【0040】
信号線17を流れる電流は、対応する積分アンプ33へと入力される。積分アンプ33では一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を外部へと出力する。この動作をおこなうことで、ある一定時間内に信号線17を流れる電荷量を電圧値に変換することができる。この結果、X線37によって蛍光変換膜38内部に発生した蛍光の強弱分布に対応したフォトダイオード16内部に発生する電荷信号は、積分アンプ33によって電位情報へと変換される。
【0041】
積分アンプ33に発生した電位は、A/D変換器34によって順次デジタル信号へと変換される。デジタル値となった信号は、画像合成回路36内部で画像検出部12内部に配置された画素の行と列にしたがって順次整理され、画像信号として外部へと出力される。
【0042】
これらの動作を連続して行うことにより、外部から入射したX線画像情報は電気信号による画像情報へと変換され、外部へと出力される。外部へと出力された電気信号による画像情報は、たとえば一般的なディスプレイ装置によって画像化され、その画像によりX線画像を可視光による画像として観察することができる。
【0043】
このような放射線検出装置30を駆動させると、放射線検出装置30の一部である回路基板23からノイズが発生してしまう。たとえば回路基板23上のコイルやコンデンサーなどの素子64などによって形成された電源回路は、主要なノイズ発生源の一つである。また、ゲートドライバー32などの素子もノイズ発生源となりうる。発生したノイズは、放射線検出パネル21から出力される電荷信号に影響を与える可能性がある。特に、放射線検出パネル21にて検出された微小な電荷信号を回路基板23へ伝達するフレキシブル基板18は、ノイズの影響を受けやすい。このためノイズの影響がフレキシブル基板18に及ぶと、特にノイズ成分の多い画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0044】
しかし、本実施の形態の放射線検出装置30は、回路基板23から支持板20に向かう方向に起立して回路基板23上に位置する素子の少なくとも一部とフレキシブル基板18との間を横切って延びている板状の遮蔽部52を持つノイズ遮蔽体24を備えている。このため、遮蔽部52に対してフレキシブル基板18の一方の側に位置する素子で発生したノイズは、遮蔽部52で遮られて反対側のフレキシブル基板18側まで到達しにくい。このため、本実施の形態の放射線検出装置30では、それ自体が発生したノイズの影響を受けにくい。その結果、放射線検出装置30が出力する電気信号による画像情報がノイズの影響を受けにくくなる。
【0045】
特に、遮蔽部52が回路基板23上に位置する電源回路その他のノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切るように設けることにより、ノイズ発生源で発生したノイズのフレキシブル基板18を流れる電気信号に及ぼす影響を小さくすることができる。特にノイズの影響を受けやすい積分アンプ33がフレキシブル基板18上に実装されている場合には、ノイズの影響がフレキシブル基板18に及ばないようにすることにより、画像情報へのノイズの影響が極めて小さくなる。
【0046】
本実施の形態では、回路基板23に設けられてフレキシブル基板18が接続された端子群62は、フレキシブル基板18の周辺部に設けられている。回路基板23の端子群62よりも外縁側に電気素子は配置されていない。このため、回路基板23の端子群62の近傍にこの端子群62に沿って延びるように遮蔽部52を設けることにより、遮蔽部52が回路基板23上に位置する電源回路その他のノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切るようにすることができる。
【0047】
また、回路基板23にはグランドが露出した部分が形成されており、このグランドが露出した部分は、固定部51に接触している。また、遮蔽部52は、支持板20に接している。このため、ノイズ遮蔽体24および支持板20のノイズ遮蔽体24に接する部分が導電性であれば、回路基板23のグランドは、大きな導電性部材と電気的に接続されることになる。これにより放射線検出装置30のグランド(接地部)の電位が安定し、動作の安定性が向上し、また、ノイズの影響を受けにくくなる。
【0048】
ノイズ遮蔽体24は、板を組み合わせた形状であるため、たとえば押出成形で容易に製作することができる。あるいは、金属平板の曲げ加工によってノイズ遮蔽体24を容易に製作することもできる。したがって、成型加工に要する時間および費用を低減することができる。
【0049】
放射線検出装置30の支持板20はある程度の強度を持つ必要があるため、比較的重くなる傾向にある。さらに、支持板20にX線の遮蔽効果を持たせる場合には、鉛などの重い金属を用いる必要があるため、重くなる。このため、放射線検出装置30は、重量が大きくなる傾向にある。しかし、本実施の形態のノイズ遮蔽体24は、板などの薄い部分を組み合わせた形状とすることにより、中実の角柱などを用いる場合に比べて、ノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切る面積を同じとしつつ材料の使用量を低減することができる。これにより、材料費が低減されるとともに、軽量化される。
【0050】
図8は、本実施の形態の変形例におけるノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【0051】
この変形例におけるノイズ遮蔽体24は、2つの平行な固定部51と2つの平行な遮蔽部52を組み合わせた角パイプ形状に形成されている。この変形例のノイズ遮蔽体24は、たとえば押出し成形によって製作することができる。
【0052】
このようなノイズ遮蔽体24を用いることにより、固定部51および遮蔽部52がそれぞれ1枚のものに比べて剛性を高めることができる。このため、このノイズ遮蔽体24の2つの固定部51を回路基板23および支持板20にそれぞれ固定して回路基板23を支持する場合などノイズ遮蔽体24に高い剛性が必要な場合に有効である。
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施形態のよる放射線検出装置の図10のIX−IX矢視断面図である。図10は、図9のX−X矢視平面図である。
【0053】
本実施の形態では、回路基板23は、2つに分割されている。一方の回路基板23には、ゲートドライバー32その他、放射線検出パネル21を制御し、放射線検出パネルから伝達される信号を処理する電気回路が形成されている。他方の回路基板23には、放射線検出装置30を駆動するための電源回路が形成されている。
【0054】
本実施の形態のように、信号処理に影響を与えるノイズの主要な発生源となりうる電源回路を、信号処理のための電気回路とは別の回路基板23上に形成することにより、信号処理がノイズの影響を受けにくくなる。しかし、これらの回路を別の回路基板23上に形成することによって、それぞれの回路のグランドの結合が細い導線のみとなり、あるいは、互いに独立する場合がある。このような場合、放射線検出装置のグランドの各部での電位がわずかに異なってしまう可能性がある。
【0055】
本実施の形態では、複数の回路基板23のグランドが導電性のノイズ遮蔽体24で電気的に結合されている。このため、複数の回路基板23のグランドの各部の電位の差を小さくすることができる。
[第3の実施の形態]
図11は、第3の実施形態による放射線検出装置のノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【0056】
本実施の形態の放射線検出装置において、ノイズ遮蔽体24は、1枚の固定部51のそれぞれの長辺に遮蔽部52が起立している。これらの遮蔽部52の支持板20側の端辺は、支持板20に接触していない。また、固定部51と支持板20の間には、たとえば円柱状のスペーサ53が配置されている。このスペーサ53は、導電性の材料で形成されている。
【0057】
遮蔽部52の支持板20側の端辺が支持板20に接触していないノイズ遮蔽体24であっても、フレキシブル基板18と回路基板23上のノイズ発生源との間に遮蔽部52が位置することにより、ノイズの影響を低減することができる。特に、遮蔽部52の端辺と支持板20との隙間27が約0.5mm以下であれば、十分なノイズ低減効果が得られることが実験によって確認された。また、ノイズ遮蔽体24と支持板20との間に導電性のスペーサ53を配置することによって、回路基板23のグランドを大きな支持板20に電気的に接続することができる。
[他の実施の形態]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10…TFT回路層、11…保持基板、12…画像検出部、13…ゲート線、14…薄膜トランジスタ、15…コンデンサー、16…フォトダイオード、17…信号線、18…フレキシブル基板、19…放射線入射窓、20…支持板、21…放射線検出パネル、22…筐体、23…回路基板、24…ノイズ遮蔽体、25…回路基板支持柱、27…隙間、30…放射線検出装置、32…ゲートドライバー、33…積分アンプ、34…A/D変換器、35…行選択回路、36…画像合成回路、37…X線、38…蛍光変換膜、39…フォトダイオード、51…固定部、52…遮蔽部、53…スペーサ、54…ねじ、61…端子群、62…端子群、63…素子、64…押しつけ部材、65…防湿体
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施の形態は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、特にX線を検出する診断用検出器としてアクティブマトリックスを用いたX線画像検出器が大きな注目を集めている。平面状の検出器にX線を当てることで、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。このX線画像検出器は、固体検出器であることから、画質性能や安定性の面でも極めて期待が大きい。このため、多くの大学やメーカーが研究開発に取り組んできた。
【0003】
実用化の最初の用途として、比較的大きな線量で静止画像を収集する胸部・一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高い技術的なハードルをクリアして、透視線量下で秒30コマ以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても近い将来に商品化が予想される。この動画用途に対しては、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術などが重要な開発項目となっている。
【0004】
放射線、特にX線を検出する放射線検出装置は、工業用の非破壊検査や医療診断、構造解析などの化学研究用など広い分野で利用されている。放射線検出装置の中でも、高感度で高精細な装置として、光電変換素子部を有する平面型光検出器上に蛍光体層が直接形成された放射線検出パネルを備えた放射線検出装置が知られている。この放射線検出装置の蛍光体層では、放射線を光電変換素子部で検出可能な光に変換する。また、この放射線検出装置の光電変換素子部では、複数のフォトセンサおよびTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を備えた画素がガラス基板上に2次元的に配置されている。各画素のスイッチング素子は、行を表すゲート線と列を表す信号線に接続されている。ゲート線と信号線は格子状に配置され、格子状に配置している各画素に接続されている。
【0005】
平面型光検出器上にX線を可視光に変換する蛍光体を積層することにより、外部から入射したX線は蛍光体内部にて可視光に変換され、発生した可視光は平面型光検出器に入射する。この平面型光検出器内部のフォトダイオードにて入射した可視光は電荷に変換され、フォトダイオード内部もしくは並列接続されている容量素子内部に蓄積される。電荷に変換されたX線画像情報は、フォトダイオードに接続されているスイッチング素子(TFT)を通して基板外部へと伝達される。ゲート線の電位が変化することで、電位の変化したゲート線に接続されたTFTは導通状態となり、導通状態となったTFTに接続されているフォトダイオードもしくは容量素子内部に蓄積された電荷はTFTを通して外部に出力される。外部に出力された電荷はTFTに接続している信号線を通してガラス基板外部へと出力される。
【0006】
ガラス基板外部に出力された電荷信号は、各信号線に接続された積分増幅器へと入力される。積分増幅器に入力された電荷情報は増幅され、電位信号に変換されて出力される。積分増幅器から出力された電位信号はアナログ、デジタル変換機にてデジタル値に変換され、最終的には画像信号として編集されてX線画像検出器の外部へと出力される。放射線検出パネルは板状の支持部材の一面に支持され、支持部材の他面に放射線検出パネルを駆動する回路基板が支持され、これらの放射線検出パネルと回路基板がフレキシブル回路基板にて電気的に接続されている。
【0007】
この放射線検出パネルを支持する支持部材や、放射線検出パネルに接続されている回路基板を外部から保護し、一体となるよう金属や樹脂部品を組合せることで放射線検出装置の筐体が構成されている。放射線検出パネル基板から外部に出力された電荷信号にノイズが与えられると、画像信号に欠点もしくは異常値が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−28736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放射線検出装置を駆動させると、回路基板から放射線検出パネル外部に出力された電荷信号に影響を与えるノイズが発生する。放射線検出パネルにて検出された微小な電荷信号を回路基板へ伝達するフレキシブル回路基板は、前記ノイズの影響を受け、ノイズ成分の多い画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0010】
また、回路基板は拡張性や生産性を考慮して複数枚で構成されることが多い。複数枚で構成される回路基板は、必要機能を回路基板毎に分割し、回路基板を結合することで一つの駆動回路として機能している。これら分割された回路基板に対して、各々が異なったグランド電圧を持つと、前記積分増幅器から出力された電位信号が分割された回路基板ごとにシフトした画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フレキシブル基板を流れる電気信号に与えるノイズの影響を低減した放射線検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、実施形態の放射線検出装置は、第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側で前記支持板に支持されて前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、前記回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立した板状の遮蔽部とを有する導電性のノイズ遮蔽体と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態による放射線検出装置の図2のI−I矢視断面図である。
【図2】図1のII−II矢視平面図である。
【図3】第1の実施形態による放射線検出装置のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による放射線検出パネルの模式的斜視図である。
【図5】第1の実施形態による画像検出部の回路図である。
【図6】第1の実施形態による放射線検出パネルの平面図である。
【図7】本第1の実施形態による回路基板の平面図である。
【図8】第1の実施形態の放射線検出装置の変形例におけるノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【図9】第2の実施形態による放射線検出装置の断面図である。
【図10】図9のX−X矢視平面図である。
【図11】第3の実施形態による放射線検出装置のノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下実施の形態の放射線検出装置を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図3は、第1の実施の形態による放射線検出装置のブロック図である。図4は、本実施の形態における放射線検出パネルの模式的斜視図である。図5は、本実施の形態における画像検出部の回路図である。
【0015】
放射線検出装置30は、放射線検出パネル21とゲートドライバー32と積分アンプ33とA/D変換器34と行選択回路35と画像合成回路36とを有している。放射線検出パネル21は、蛍光変換膜38と画像検出部12とを有している。蛍光変換膜38は、X線37が入射すると可視光領域の蛍光を発生する。発生した蛍光は、画像検出部12の表面に到達する。
【0016】
画像検出部12は、蛍光変換膜38で発生した蛍光を受光して電気信号を発生する。その結果、入射したX線37によって蛍光変換膜38で発生した可視光像は、画像検出部12において電気信号で表現された画像情報に変換される。
【0017】
画像検出部12は、正方格子状に配列された複数の微細な画素を有している。それぞれの画素は、保持基板11上に形成されている。保持基板11は、ガラスで形成された板である。なお、図3および図4において、画素は5行5列あるいは4行4列分しか記載していないが、実際にはもっと多く、解像度、撮像面積に応じて必要な画素が形成されている。また、図3において、蛍光変換膜38と画像検出部12と分離して描いているが、実際には両者は密着している。
【0018】
それぞれの画素は、薄膜トランジスタ14とコンデンサー15とフォトダイオード39とを有している。フォトダイオード39とコンデンサー15とは、並列に薄膜トランジスタ14のソース端子に接続されている。薄膜トランジスタ14のゲート端子は、ゲート線13に接続されている。薄膜トランジスタ14のドレイン端子は、信号線17に接続されている。
【0019】
ゲート線13は、画素が配列された格子の行の数と同数設けられていて、同じ行の画素中の薄膜トランジスタ14のゲート端子は同じゲート線に接続されている。信号線17は、画素が配列された格子の列の数と同数設けられていて、同じ列の画素中の薄膜トランジスタ14のゲート端子は同じゲート線に接続されている。
【0020】
ゲート線13は、それぞれゲートドライバー32に接続されている。ゲートドライバー32は、たとえば複数である。ゲートドライバー32は、行選択回路35に接続されている。ゲートドライバー32は行選択回路35からの信号を受信して、多数のゲート線13の電圧を順番に変更していく。行選択回路35は、X線画像を走査する所定の行を選択するための信号をゲートドライバー32へと送る。
【0021】
信号線17は、それぞれ積分アンプ33に接続されている。積分アンプ33は、放射線検出パネル21から信号線17を通じて出力される極めて微小な電荷信号を増幅し出力する。積分アンプ33は、A/D変換器34に接続されている。A/D変換器34は、画像合成回路36に接続されている。
【0022】
図6は、本実施の形態における放射線検出パネルの平面図である。
【0023】
放射線検出パネル21には、ゲート線13および信号線17を引き出す端子群61が形成されている。ゲート線13を引き出す端子群61および信号線17を引き出す端子群61は、それぞれ放射線検出パネル21の隣り合う辺に沿ってそれらの辺の近傍に配列されている。放射線検出パネル21には、蛍光変換膜38を覆う防湿体65が固定されていてもよい。
【0024】
図7は、本実施の形態における回路基板の平面図である。
【0025】
ゲートドライバー32、行選択回路35、A/D変換器34、画像合成回路36などは、回路基板23上に形成されている。回路基板23には、電気回路と、放射線検出パネル21のゲート線13および信号線17とを接続する端子群62が形成されている。ゲート線13と接続する端子群62および信号線17と接続する端子群62は、それぞれ回路基板23の隣り合う辺に沿ってそれらの辺の近傍に配列されている。
【0026】
図1は、本実施の形態における放射線検出装置の図2のI−I矢視断面図である。図2は、図1のII−II矢視平面図である。
【0027】
放射線検出装置30は、筐体22を有している。筐体22は、X線検知面側に放射線入射窓19で覆われた開口が形成された箱である。
【0028】
筐体22の内部には、放射線検出パネル21、支持板20、回路基板23、ノイズ遮蔽体24およびフレキシブル基板18が収められている。支持板20は、たとえば正方形の平板である。支持板20は、複数の板で構成されていてもよい。また、支持板20を構成する板に、X線を遮蔽するたとえば鉛製の板が含まれていてもよい。支持板20は、図示しない支持柱などで筐体22に固定されている。
【0029】
放射線検出パネル21は、X線37の入射面の反対側の面、すなわち、保持基板11のTFT回路層10などが形成された面の反対側の面が支持板20の一方の面に載置されている。放射線検出パネル21の支持板20の反対側の面は、筐体22の内面に固定された押しつけ部材64で支持板20に押し付けられている。
【0030】
回路基板23は、回路基板支持柱25で支持板20に固定されている。放射線検出パネル21と回路基板23との間には、フレキシブル基板18が延びている。フレキシブル基板18は、支持板20の外縁よりも外側を通って延びている。つまり、フレキシブル基板18は、支持板20の外縁と筐体22の側面との間を通過している。放射線検出パネル21の周辺部分に配列された端子群61と回路基板23の周辺部分に配列された端子群62との間に延びている。
【0031】
ノイズ遮蔽体24は、固定部51と遮蔽部52とからなっている。固定部51は、回路基板23に沿って延びる板状に形成されている。遮蔽部52は、回路基板23から支持板20に向かう方向に固定部51から起立した板状に形成されている。また、遮蔽部52は、回路基板23上に位置するゲートドライバー32などの素子の少なくとも一部とフレキシブル基板18との間を横切って延びている。ノイズ遮蔽体24は、アルミ、ステンレス鋼、銅などの導電材料で形成されている。ノイズ遮蔽体24は、たとえば金属を押出成形により、固定部51および遮蔽部52を一体として製作したものである。
【0032】
固定部51は、回路基板23に、たとえばねじ54を用いて固定されている。回路基板23には、回路基板23上に形成された回路のグランドが露出している部分が形成されていて、固定部51はこのグランドが露出している部分に接している。また、遮蔽部52の固定部51に対して反対側の端部は、支持板20に接している。
【0033】
次に、この放射線検出装置30の動作を説明する。
【0034】
初期状態では、フォトダイオード39と並列に接続されたコンデンサー15には、電荷が蓄えられており、並列接続されているフォトダイオード16には逆バイアス状態の電圧が加えられている。この電圧は、信号線17に加えられている電圧と同じである。フォトダイオード16はダイオードの一種なので、逆バイアスの電圧が加えられても電流はほとんど流れることは無い。そのためコンデンサー15に蓄えられた電荷は減少することなく保持されることになる。
【0035】
このような状況において、X線37が蛍光変換膜38に入射すると、蛍光変換膜38内部において高エネルギーのX線が低エネルギーの多数の可視光に変換される。蛍光変換膜38内部にて発生した蛍光の一部は、画像検出部12表面に配置されているフォトダイオード39へと到達する。
【0036】
フォトダイオード16に入射した蛍光は、フォトダイオード16内部で電子とホールからなる電荷に変換され、コンデンサー15にて印加されている電界方向に沿ってフォトダイオード16の持つ両端子へと到達する。この電荷の移動は、フォトダイオード16内部を流れる電流として観測される。
【0037】
蛍光の入射により発生したフォトダイオード16内部を流れる電流は、並列接続されているコンデンサー15へと流れ込む。これに伴い、コンデンサー15内部に蓄えられていた電荷が打ち消される。その結果、コンデンサー15に蓄えられていた電荷は減少し、コンデンサー15の端子間に発生していた電位差も初期状態と比べて低下する。
【0038】
ゲートドライバー32は、多数のゲート線13の電位を順番に変化させる機能を有している。ある特定の時間においては、ゲートドライバー32によって電位が変化しているゲート線13は1本のみである。電位の変化したゲート線13に接続されている信号線17に並列接続されている薄膜トランジスタ14のソース端子およびドレイン端子間は、絶縁状態から導通状態へと変化する。各信号線17には、特定の電圧がかけられている。信号線に印加された電圧は、電位の変化したゲート線13に接続された薄膜トランジスタ14のソースおよびドレイン端子を通じて接続されているコンデンサー15に印加されることになる。
【0039】
初期状態においてコンデンサー15は信号線17と同じ電位状態になっているため、コンデンサー15の電荷量が初期状態と変化していない場合、コンデンサー15には信号線17からの電荷の移動は発生しない。しかし、外部から入射したX線37よって蛍光変換膜38内部にて発生した蛍光が入射したフォトダイオード16と並列接続しているコンデンサー15では、内部に蓄えられている電荷が減少しており、初期状態の電位とは変化している。このため、導通状態となった薄膜トランジスタ14を通じて信号線17より電荷の移動が発生し、コンデンサー15内部に蓄えられた電荷量は初期状態に戻る。また、移動した電荷量は信号線17を流れる信号となり外部へと伝わる。
【0040】
信号線17を流れる電流は、対応する積分アンプ33へと入力される。積分アンプ33では一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を外部へと出力する。この動作をおこなうことで、ある一定時間内に信号線17を流れる電荷量を電圧値に変換することができる。この結果、X線37によって蛍光変換膜38内部に発生した蛍光の強弱分布に対応したフォトダイオード16内部に発生する電荷信号は、積分アンプ33によって電位情報へと変換される。
【0041】
積分アンプ33に発生した電位は、A/D変換器34によって順次デジタル信号へと変換される。デジタル値となった信号は、画像合成回路36内部で画像検出部12内部に配置された画素の行と列にしたがって順次整理され、画像信号として外部へと出力される。
【0042】
これらの動作を連続して行うことにより、外部から入射したX線画像情報は電気信号による画像情報へと変換され、外部へと出力される。外部へと出力された電気信号による画像情報は、たとえば一般的なディスプレイ装置によって画像化され、その画像によりX線画像を可視光による画像として観察することができる。
【0043】
このような放射線検出装置30を駆動させると、放射線検出装置30の一部である回路基板23からノイズが発生してしまう。たとえば回路基板23上のコイルやコンデンサーなどの素子64などによって形成された電源回路は、主要なノイズ発生源の一つである。また、ゲートドライバー32などの素子もノイズ発生源となりうる。発生したノイズは、放射線検出パネル21から出力される電荷信号に影響を与える可能性がある。特に、放射線検出パネル21にて検出された微小な電荷信号を回路基板23へ伝達するフレキシブル基板18は、ノイズの影響を受けやすい。このためノイズの影響がフレキシブル基板18に及ぶと、特にノイズ成分の多い画像信号を取得してしまう可能性がある。
【0044】
しかし、本実施の形態の放射線検出装置30は、回路基板23から支持板20に向かう方向に起立して回路基板23上に位置する素子の少なくとも一部とフレキシブル基板18との間を横切って延びている板状の遮蔽部52を持つノイズ遮蔽体24を備えている。このため、遮蔽部52に対してフレキシブル基板18の一方の側に位置する素子で発生したノイズは、遮蔽部52で遮られて反対側のフレキシブル基板18側まで到達しにくい。このため、本実施の形態の放射線検出装置30では、それ自体が発生したノイズの影響を受けにくい。その結果、放射線検出装置30が出力する電気信号による画像情報がノイズの影響を受けにくくなる。
【0045】
特に、遮蔽部52が回路基板23上に位置する電源回路その他のノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切るように設けることにより、ノイズ発生源で発生したノイズのフレキシブル基板18を流れる電気信号に及ぼす影響を小さくすることができる。特にノイズの影響を受けやすい積分アンプ33がフレキシブル基板18上に実装されている場合には、ノイズの影響がフレキシブル基板18に及ばないようにすることにより、画像情報へのノイズの影響が極めて小さくなる。
【0046】
本実施の形態では、回路基板23に設けられてフレキシブル基板18が接続された端子群62は、フレキシブル基板18の周辺部に設けられている。回路基板23の端子群62よりも外縁側に電気素子は配置されていない。このため、回路基板23の端子群62の近傍にこの端子群62に沿って延びるように遮蔽部52を設けることにより、遮蔽部52が回路基板23上に位置する電源回路その他のノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切るようにすることができる。
【0047】
また、回路基板23にはグランドが露出した部分が形成されており、このグランドが露出した部分は、固定部51に接触している。また、遮蔽部52は、支持板20に接している。このため、ノイズ遮蔽体24および支持板20のノイズ遮蔽体24に接する部分が導電性であれば、回路基板23のグランドは、大きな導電性部材と電気的に接続されることになる。これにより放射線検出装置30のグランド(接地部)の電位が安定し、動作の安定性が向上し、また、ノイズの影響を受けにくくなる。
【0048】
ノイズ遮蔽体24は、板を組み合わせた形状であるため、たとえば押出成形で容易に製作することができる。あるいは、金属平板の曲げ加工によってノイズ遮蔽体24を容易に製作することもできる。したがって、成型加工に要する時間および費用を低減することができる。
【0049】
放射線検出装置30の支持板20はある程度の強度を持つ必要があるため、比較的重くなる傾向にある。さらに、支持板20にX線の遮蔽効果を持たせる場合には、鉛などの重い金属を用いる必要があるため、重くなる。このため、放射線検出装置30は、重量が大きくなる傾向にある。しかし、本実施の形態のノイズ遮蔽体24は、板などの薄い部分を組み合わせた形状とすることにより、中実の角柱などを用いる場合に比べて、ノイズ発生源とフレキシブル基板18との間を横切る面積を同じとしつつ材料の使用量を低減することができる。これにより、材料費が低減されるとともに、軽量化される。
【0050】
図8は、本実施の形態の変形例におけるノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【0051】
この変形例におけるノイズ遮蔽体24は、2つの平行な固定部51と2つの平行な遮蔽部52を組み合わせた角パイプ形状に形成されている。この変形例のノイズ遮蔽体24は、たとえば押出し成形によって製作することができる。
【0052】
このようなノイズ遮蔽体24を用いることにより、固定部51および遮蔽部52がそれぞれ1枚のものに比べて剛性を高めることができる。このため、このノイズ遮蔽体24の2つの固定部51を回路基板23および支持板20にそれぞれ固定して回路基板23を支持する場合などノイズ遮蔽体24に高い剛性が必要な場合に有効である。
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施形態のよる放射線検出装置の図10のIX−IX矢視断面図である。図10は、図9のX−X矢視平面図である。
【0053】
本実施の形態では、回路基板23は、2つに分割されている。一方の回路基板23には、ゲートドライバー32その他、放射線検出パネル21を制御し、放射線検出パネルから伝達される信号を処理する電気回路が形成されている。他方の回路基板23には、放射線検出装置30を駆動するための電源回路が形成されている。
【0054】
本実施の形態のように、信号処理に影響を与えるノイズの主要な発生源となりうる電源回路を、信号処理のための電気回路とは別の回路基板23上に形成することにより、信号処理がノイズの影響を受けにくくなる。しかし、これらの回路を別の回路基板23上に形成することによって、それぞれの回路のグランドの結合が細い導線のみとなり、あるいは、互いに独立する場合がある。このような場合、放射線検出装置のグランドの各部での電位がわずかに異なってしまう可能性がある。
【0055】
本実施の形態では、複数の回路基板23のグランドが導電性のノイズ遮蔽体24で電気的に結合されている。このため、複数の回路基板23のグランドの各部の電位の差を小さくすることができる。
[第3の実施の形態]
図11は、第3の実施形態による放射線検出装置のノイズ遮蔽体の近傍の断面図である。
【0056】
本実施の形態の放射線検出装置において、ノイズ遮蔽体24は、1枚の固定部51のそれぞれの長辺に遮蔽部52が起立している。これらの遮蔽部52の支持板20側の端辺は、支持板20に接触していない。また、固定部51と支持板20の間には、たとえば円柱状のスペーサ53が配置されている。このスペーサ53は、導電性の材料で形成されている。
【0057】
遮蔽部52の支持板20側の端辺が支持板20に接触していないノイズ遮蔽体24であっても、フレキシブル基板18と回路基板23上のノイズ発生源との間に遮蔽部52が位置することにより、ノイズの影響を低減することができる。特に、遮蔽部52の端辺と支持板20との隙間27が約0.5mm以下であれば、十分なノイズ低減効果が得られることが実験によって確認された。また、ノイズ遮蔽体24と支持板20との間に導電性のスペーサ53を配置することによって、回路基板23のグランドを大きな支持板20に電気的に接続することができる。
[他の実施の形態]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10…TFT回路層、11…保持基板、12…画像検出部、13…ゲート線、14…薄膜トランジスタ、15…コンデンサー、16…フォトダイオード、17…信号線、18…フレキシブル基板、19…放射線入射窓、20…支持板、21…放射線検出パネル、22…筐体、23…回路基板、24…ノイズ遮蔽体、25…回路基板支持柱、27…隙間、30…放射線検出装置、32…ゲートドライバー、33…積分アンプ、34…A/D変換器、35…行選択回路、36…画像合成回路、37…X線、38…蛍光変換膜、39…フォトダイオード、51…固定部、52…遮蔽部、53…スペーサ、54…ねじ、61…端子群、62…端子群、63…素子、64…押しつけ部材、65…防湿体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、
第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側に位置して前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、
前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立して前記回路基板上に位置する素子の少なくとも一部と前記フレキシブル基板との間を横切って延びる板状の遮蔽部とを有する導電性のノイズ遮蔽体と、
を具備することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記遮蔽部は前記第2端子群の端子の配列方向に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記フレキシブル基板には前記放射線検出パネルが出力した電気信号を積分して増幅する積分アンプが実装されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記回路基板にはグランドが露出した部分が形成され、前記固定部は前記回路基板の前記グランドが露出した部分に接触し、前記支持板は前記回路基板に対向する側に位置して放射線を遮蔽する金属製の放射線遮蔽板を有し、前記ノイズ遮蔽体は前記放射線遮蔽板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記固定部と前記支持板との間に延びる導電性のスペーサを具備することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記固定部と前記遮蔽部とが押出し成型および板材の曲げ加工のいずれかにより一体として形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項1】
第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、
第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側に位置して前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、
前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立して前記回路基板上に位置する素子の少なくとも一部と前記フレキシブル基板との間を横切って延びる板状の遮蔽部とを有する導電性のノイズ遮蔽体と、
を具備することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記遮蔽部は前記第2端子群の端子の配列方向に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記フレキシブル基板には前記放射線検出パネルが出力した電気信号を積分して増幅する積分アンプが実装されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記回路基板にはグランドが露出した部分が形成され、前記固定部は前記回路基板の前記グランドが露出した部分に接触し、前記支持板は前記回路基板に対向する側に位置して放射線を遮蔽する金属製の放射線遮蔽板を有し、前記ノイズ遮蔽体は前記放射線遮蔽板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記固定部と前記支持板との間に延びる導電性のスペーサを具備することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記固定部と前記遮蔽部とが押出し成型および板材の曲げ加工のいずれかにより一体として形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7712(P2013−7712A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141921(P2011−141921)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
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