説明

放射線治療プランニング装置及び方法

【課題】放射線治療を効率よく行うための放射線治療プランニング装置を提供する。
【解決手段】プランニング情報、治療工程情報、各治療工程のカレンダー情報、治療工程の制約情報、プロトコール情報、患者情報、パターン情報をそれぞれ記憶する第1〜第7記憶部と、第1乃至第4の記憶部の情報により基点の治療工程のスケジュールを作成する第1スケジュール作成部と、第1〜第4記憶部の情報と基点の治療工程のスケジュールにより基点以外の治療工程の照射開始日までのスケジュールを作成する第2スケジュール作成部と、第5〜第7記憶部の情報により割当てパターンの初期解を生成するパターン初期解生成部と、第1〜第7記憶部の情報に基づいてパターンの評価値を算出するパターン評価部と、評価値を用いて割当てパターンを改善するパターン改善部と、第1〜7記憶部の情報と改善パターンにより照射の2日目以降のスケジュールを作成する第3スケジュール作成部と、治療スケジュールを表示する表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線治療などの放射線治療を行ううえで、作業者にわかりやすく、毎日の作業量ができるだけ一定で、かつ、なるべく多くの患者の治療が可能な治療スケジュールを自動立案するための放射線治療プランニング(計画立案)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
がん治療の先進医療として放射線治療がある。手術が不要で患者の負担が少ない。この治療は、新患受付から始まって、図3に示されるように、外来診察適応判断、治療方針決定、固定具作成、CTシミュレーション、詳細治療計画、症例検討会、補償フィルタ、新患測定、リハーサル、治療照射まで多数の工程がある。患者の増加に伴って事前にどの程度の患者数が治療できるかのプランニング(計画立案)を効率よく行うことが必要になってきている。従来は、予め施設能力や治療プロトコール(部位)の割合をもとに年間枠(エクセルのような表)を人手によって作成し、新患が入るたびにその患者の治療プロトコールに該当する枠を、医師が埋めていく。年間の治療枠を作ることによって患者の年間計画数が求まる。
【0003】
放射線治療装置は設備費(建設費と運営費)が高価なので有効な活用が不可欠である。また、社会的にも可能な限り多くの患者を治療できることが必要になってきている。
【0004】
患者の治療スケジュールは、治療プロトコールによって決まる。治療プロトコールとは治療部位や状況によって、照射回数などが決められたもので20種類以上ある。以下プロトコールと表記する。放射線治療では、プロトコールで照射回数がきまり、ほぼ決められた工程に沿った治療となる。また、途中で治療を中断して日を空けてしまうと治療の効果が変わってしまうため、このようなことがないようスケジュールを作成する必要がある。放射線治療の中でも特に粒子線治療では、照射期間は長いもので20日間程度となり、長期のスケジューリングが必要である。
【0005】
これらの特徴から、現在の病院システムで行われているように受け付けた患者を受け付けた順で治療開始した場合、極端に混雑する日が発生したり、病院の能力を超えた人数の患者が予約されていてもわからなかったり、あるいは治療工程における制約を無視したスケジュールとなってしまう可能性がある。照射の機械は非常に高価でかつ建設に時間がかかるため、急に増減はできない。病院で作業可能な患者数を超過せず、かつ、なるべく多くの患者が治療できるようにするためには、何らかのスケジューリングが必要となる。
【0006】
また、放射線治療の場合は一般の治療と違って各患者の容態や経過にあわせて治療方法や治療期間を変えていく必要がなく、プロトコールさえ決まれば行う作業と回数が確定してスケジュールが立てられる。よって、来院患者の頻度とその患者のプロトコールの割合が予測できると仮定すると、あらかじめスケジュールを立案しておくことが可能である。
【0007】
一方、医療業務を行う医療スタッフにとっては、毎日行うべき作業が異なると、スタッフがその日の作業を確認しなければならないため、間違いがおきやすく、負担となる。曜日で行う作業を決めるルールを作成すれば良いが、この方法では、祝日やメンテナンス、病院特有の例外的なカレンダーに適した治療枠の作成が難しかった。また、治療プロトコールによっては頻度が少ないため数週間置きに入るものもある。これらのことから、各曜日に行う作業を決めただけではうまくスケジューリングができない。さらに、安定した業務の遂行のため、日々の患者数はなるべく一定となるほうが望ましい。
【0008】
既に導入されている病院情報システムは、患者に対して行った検査、治療などの結果を電子カルテで管理することが中心で、数ヶ月の長期間にわたる綿密な治療予定を立案する構成にはなっていない。また、健康診断システムのように一連の検査フローを管理するシステムは、計画の立案期間が1、2日の短期間であり、順番を間違えないようにフローを管理するだけで一人一人をスケジュールする必要は発生していない。また、既存のスケジューリングシステムはあるが、放射線治療のプランニングで長期(年間、半期)の計画が一度に自動立案できるシステム(特許文献1)は少なく、スタッフにわかりやすいという観点で作成されたスケジューリング方法は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2009−212190号
【特許文献2】特開2000−222507号公報
【特許文献3】特開平11−253565号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】佐藤他、“遺伝的アルゴリズムを用いた2段階方式による放射線治療装置スケジューリングシステム”、電子情報通信学会D−1 Vo.J83−D−1,No.10,PP1033−1042,2000年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように従来は、放射線治療に関するプランニングは病院情報システムや健康診断システムでは扱っていないものであり、医師の経験と試行錯誤で人手に頼って行っている。
【0012】
長期的な計画立案に関しては、既存のスケジューリング方法では、毎日行うべき作業が変化してスタッフに負担となるため、スタッフにわかりやすい計画を立てる課題があった。また、祝日やメンテナンスなどの例外的なカレンダーに対応したスケジュールを自動作成することで、作成したスケジュールを人手によって変更する必要を最小限にする課題があった。また、日々の患者数の増減をなるべく減らしたいという課題があった。
【0013】
本発明は、放射線治療のスケジューリングにおける、スケジュールの自動生成という課題に対して、同じ曜日になるべく同じプロトコールが割り当てられ、かつ、各日の患者数をなるべく一定にすることを特徴とするパターン作成装置と、例外的なスケジュールがあっても曜日がずれないことを特徴とするスケジュール作成機能を備えることにより、スタッフにわかりやすく、かつ、毎日の作業量ができるだけ一定という効果を実現する放射線治療プランニング装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、放射線治療の長期の治療枠を作成する放射線治療プランニング装置であって、プランニング期間を設定したプランニング情報を記憶する第1の記憶部と、基点となる治療工程及びその他の治療工程を規定した治療工程情報を記憶する第2の記憶部と、各治療工程のプランニング期間における可能日のカレンダーを規定した各治療工程のカレンダー情報を記憶する第3の記憶部と、各治療工程間にあける日にち及び照射に関する制約を格納する治療工程の制約情報を記憶する第4の記憶部と、治療部位と治療回数を示す治療プロトコールを規定したプロトコール情報を格納する第5の記憶部と、各治療プロトコールの患者数の割合を規定した患者情報を格納する第6の記憶部と、治療プロトコールを割り当てる割当てパターンの繰り返し期間を規定したパターン情報を記憶する第7の記憶部と、前記第1乃至第4の記憶装置から各情報を読み取り、基点となる治療工程のスケジュールを作成する第1のスケジュール作成部と、前記第1乃至第4の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と生成された基点となる治療工程のスケジュールに基づいて、基点以外の治療工程について照射開始日までの治療工程のスケジュールを作成する第2のスケジュール作成部と、前記第5乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、割当てパターンの初期解を生成するパターン初期解生成部と、前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、パターン改善部が所定の割当てパターンを与えると、読み取り情報に基づいてパターンの評価値を算出するパターン評価部と、前記パターン初期解生成部で生成された結果のパターン初期解と前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、前記パターン評価部により算出される評価値を用いて最適化により割当てパターンを改善する前記パターン改善部と、前記1乃至7の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と前記パターン改善部によって改善されたパターンに基づいて照射の2日目以降のスケジュールを作成する第3のスケジュール作成部と、作成された放射線治療スケジュールを格納するスケジュール記憶部と、前記放射線治療スケジュールを表示するスケジュール表示部と、を具備することを特徴とする、放射線治療プランニング装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
年間の治療枠を高速に高密度に、且つスタッフに日々の業務がわかりやすい計画を作成することができる。治療プロトコールの割合に関してバラツキが無く、かつ、日々の患者数のばらつきも最小化された枠を生成できる。
【0016】
基点となる治療工程のみ、1日に行う人数を設定し、プロトコールの割合と、治療開始工程と他の治療工程間に空ける日数と、各治療工程のカレンダーを与えるだけで、スケジュールが自動生成される。祝日やメンテナンス、などの例外的なスケジュールがあっても、曜日がずれないスケジュールが作成できる。
【0017】
最適化により、繰り返し期間内に複数回行われるプロトコールは、なるべく同じ曜日に実施されるようにされ、隔週のものがあっても良い。かつ、毎日の治療される患者数がなるべく一定になるようにする。繰り返しパターンは、一部(又は全部)を指定して残りを自動的に作成することも可能である。
【0018】
また、年間治療可能な患者数の見積もりや施設・リソース面でどこがボトルネックになるかの施設能力分析ができ、高価な治療設備を効率よく運用することが支援でき、病院側にも支援している国としてもマクロにみて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に従った放射線治療プランニング装置のブロック図である。
【図2】図1の放射線治療プランニング装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】放射線治療の工程を示す図である。
【図4】初期解生成のフローチャートである。
【図5】パターン作成装置で行う最適化の一例として、近傍探索を行うフローチャートである。
【図6】クローズド枠生成のフローチャートである。
【図7】プランニング情報格納装置に記憶されているプランニング情報を示す図である。
【図8】治療工程情報格納装置に記憶されている治療工程情報を示す図である。
【図9】スケジューリング規則情報格納装置に記憶されているスケジューリング規則を示す図である。
【図10】パターン情報格納装置に記憶されているパターン情報を示す図である。
【図11】プロトコール情報格納装置に記憶されているプロトコールと患者情報を示す図である。
【図12】ユーザによる初期割当て情報格納装置に記憶されている初期割当て情報を示す図である。
【図13】クローズド枠設定情報格納装置に記憶されているクローズド枠の設定を示す図である。
【図14】各治療工程のカレンダー格納装置に記憶されている、各治療工程のカレンダーを示す図である。
【図15】基点の治療工程における確実な人数を示す図である。
【図16】割当てパターンの例を示す図である。
【図17】基点となる治療工程のスケジュール結果を示す図である。
【図18】照射開始日までのスケジューリング結果を示す図である。
【図19】最終的なスケジューリング結果を示す図である。
【図20】照射の治療工程で、各日に作業可能な人数の上限が定められているデータ例を示す図である。
【図21】基準の治療工程以外で各日に作業可能な人数の上限が定められている場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一の実施形態)
図1を参照して第一の実施形態として、ユーザによる初期割当てがなく、かつ、クローズド枠を生成しない場合の放射線治療プランニング装置を説明する。図1に示すように、放射線治療プランニング装置には、治療を計画している期間、即ちプランニング期間(例えば1年間、半年、本実施形態では140日)を設定したプランニング情報を記憶するプランニング情報記憶部11と、基点となる治療工程(図3の治療工程のうちの例えば固定具作成工程)及びその他の治療工程(図3のCTシミュレーション、詳細治療計画、症例検討会、補償フィルタ、新患測定、リハーサル、治療照射の各工程)を規定した治療工程情報を記憶する治療工程情報記憶部12と、各治療工程のプランニング期間における可能日のカレンダーを規定した各治療工程のカレンダー情報を記憶するカレンダー情報記憶部13と、各治療工程間にあける日にち及び照射に関する制約を格納する治療工程の制約情報を記憶する制約情報記憶部14が設けられる。これら4つの記憶部11〜14はスケジュール作成モジュール15に接続される。
【0021】
スケジュール作成モジュール15は、基点となる治療工程のスケジュールのみを作成する、基点となる治療工程のスケジュール作成部17と、基点以外の、照射開始日までの治療工程のスケジュールを作成する、照射開始日までの治療工程のスケジュール作成部18と、パターン作成モジュール16によって作成されたパターンを入力として照射2日目以降のスケジュールを作成する、照射の2日目以降のスケジュール作成部19からなる。パターン作成モジュール16は割当てパターンの初期解を生成するパターン初期解生成部20、パターンの最適化を行うパターン改善部21及びパターン改善部から与えられたパターンの評価を行うパターン評価部22からなり、図16に示すような割当てパターンを最適化により生成する。割当てパターンとは、各プロトコールの基点となる治療工程が、決められた繰り返し期間(例えば図10に示す繰返し期間)内のどの日に実施するかを定めた表で、図16にその一例を示す。基点となる治療工程は、各治療工程のカレンダー(日程)で作業可能とされた日に、決められた人数分実施する。また、割当てパターンとは、各プロトコールが繰り返し期間中の人数分を繰り返し期間内のどこかの日に割当てられることを示している。図16に示される割当てパターンでは、2週間とってあり、月1の開始と月2の2回目があって2週間分を割り当てられる中でどのプロトコールを割り当てるかが示されている。例えば月1に頭16とすれば、その基点となる治療工程が月曜日の一週目に当たるところで開始されていれば、頭16のプロトコールを割り当てることができるようになり、そうすると頭16だと16回照射であるので基点となる治療工程が月曜日に開始され、そこから治療工程の制約情報を記憶する制約情報記憶部14で指定される間に空ける日数を空けて照射が開始され、16回の照射が行われる。
【0022】
また、図11に示されるような治療部位と照射回数を示す治療プロトコールを規定したプロトコール情報を格納するプロトコール情報記憶部23と、各プロトコールの患者数の割合を規定した患者情報を格納する患者情報記憶部24と、割当てパターンの繰り返し期間を規定したパターン情報を記憶するパターン情報記憶部25と、ユーザがパターンの一部の割当てを指定した場合のユーザによる初期割当て情報を記憶する初期割当て情報記憶部26とが設けられる。これら記憶部23〜26はパターン作成モジュール16及びスケジュール作成モジュール15の照射の2日目以降のスケジュール作成部19に接続される。なお、各プロトコールの患者数の割合は、人手であっても自動的であってもよく、前年度までに治療を行った患者の割合、前年度の同期間に治療を行った患者の割合、または前年度までのデータから予測した割合などを用いる。
【0023】
パターン作成モジュール16では、記憶部23〜26から読み取った情報からパターンの初期解を生成し、パターン改善部21によって最適化を行う。パターン評価部22では、最適化の途中で得られたパターンを評価して評価値を計算する。
【0024】
上記放射線治療プランニング装置には、更に、クローズド枠設定情報を記憶するクローズド枠設定情報記憶部27及びこのクローズド枠設定情報記憶部27及び照射の2日目以降のスケジュール作成部19に接続され、クローズド枠のスケジュールを作成するクローズド枠スケジュール作成部28が設けられる。クローズド枠スケジュール作成部28はスケジュール記憶部29を介してスケジュール表示装置30に接続される。
【0025】
以下に、図2のフローチャートを用いて上記構成の放射線プランニング装置の処理の概要を説明する。
【0026】
まず、基点となる治療工程について記憶部11〜13の情報、即ちプランニング情報(図7)、治療工程情報(図8)及びカレンダー情報(図14)を読み込み、スケジュール作成装置15の基点となる治療工程のスケジュール作成部17により基点となる治療工程のスケジュール(図17)の作成をおこなう(S12)。図14で1となっている日はその治療工程が作業可能な日を示し、0となっている日は不可能な日を示す。この場合、各日の基点となる治療工程は、その治療工程のカレンダーに従い、作業可能な日にユーザによって与えられた人数について行われる。即ち、基点となる治療工程が実施不可能な日については行わず、この分の治療枠は作成しないものとする。よって、ある割当てパターンに対してスケジュールを生成した場合には、基点となる治療工程が実施不可能な日に該当したプロトコールは無視され、この分枠の数が少なくなることになる。
【0027】
上記スケジュール作成においては、具体的には、放射線治療プランニング装置が立ち上げられると、ユーザは表示装置30において記憶部11〜13から入力データを読み込むことが促される。ユーザは表示装置30の表示指示に従って記憶部11〜13から情報を読み込むため例えばキー操作を行う(S11)。基点となる治療工程のスケジュール作成部17では、基点となる治療工程をカレンダーに基づいて、決められた人数分について行うスケジュールを作成する(S12)。
【0028】
次に、スケジュール作成装置15の基点と照射開始日までの治療工程のスケジュール作成部18により基点と照射開始までのスケジュール(図18)の作成が実施される(S13)。これらの処理(S13)では、基点となる治療工程を行う日が確定しているため、その日からスケジューリング規則(図9)で決められた間にあける日数分を空け、他の治療工程を行う日を決める。
【数1】

【0029】
Rule1が該当する日は、この週に治療工程pが実施可能な日が通常の週よりも多い、あるいは基点となる治療工程が休みとなる日が入っていたことを示している。また、Rule3が該当する日は、この週に治療工程pが実施可能な日が少ないことを示している。この場合には、休みの翌日に複数日分スケジューリングすることで、翌週からのスケジュールにずれが影響しないようにしている。
【0030】
照射開始日までの治療工程のスケジュール作成部18により出力されたスケジュールの各枠は、この枠で行うプロトコールが確定していない状態である。各枠にプロトコールを割り当てると照射回数が決まるため、照射2日目以降のスケジュールを作成することができる。よって、放射線治療のスケジュール作成をこの枠集合に対してプロトコールを決められた人数ずつ割り当てる問題として考えることができる。
【0031】
プロトコールを割り当てるとき、繰り返し期間中の週の集合をMとすると、同じ周期の枠に|M|週間ごとに同じプロトコール(照射回数)を割り当てることで、プロトコールによって治療工程が行われる曜日が固定されている治療枠を作成することができる。周期|M|は、枠を作成するプロトコールの種類の数とプロトコールごとの患者の数の割合を考慮して与え、パターン情報記憶部25に格納されているものとする。
【0032】
|M|週間ごとに同じプロトコールを割り当てられることから、立案期間中に各プロトコールで均等に入った枠が作成できる。あるプロトコールを繰り返し期間内のいずれかの日に割り当てるとは、同じ周期の枠すべてに同じプロトコールを割り当ててスケジュールを作成することを言うものとする。割当てパターン(図16)は、この割り当て方を定めたパターンで、ひとつの割り当てパターンを与えるとスケジュールを作成することができる。よって、割当てパターンで解を表現し、次式で示す目的関数をもつ最適化問題(最小化問題)を考えることができる。
【数2】

【0033】
次に、パターン初期解生成部20により行われるパターン初期解生成について説明する。
ステップS13の後に初期割当ての指定があるかが判定される(S14)。この判定がYesであると、初期割当てが設定され(S15)、パターン初期解生成が行われる(S16)。判定がNoであれば、直接にパターン初期解生成が行われる。
【0034】
初期解生成ではg(x)及びg(x)の目的関数を考慮した貪欲法により実行可能解を生成するもので、g(x)については考慮していない。g(x)は週が異なってもなるべく同じ曜日に割り当てるようにする目的関数で、g(x)は人数の多いプロトコールを各日でなるべく均等に割り当てるようにする目的関数である。
【0035】
まず、g(x)について考える。以下Zを整数の集合とする。繰り返し期間中の患者を各プロトコールで見たときに、繰り返し期間中の日の数|I|と各プロトコールの人数|P|について、
【数3】

【0036】
となる実数rが存在するとき、繰り返し期間中に均等に割り付けるためには繰り返し期間中の全日に少なくともr人以上の患者を割り当てるとよい。このことから、|P|≧|I|となるすべてのプロトコールkについて、rを求め、プロトコールkの患者を繰り返し期間中の全ての日にr人ずつ割り当てる。このステップを、ここでは繰り返し期間中の各日に割り振るステップと表記する。
【0037】
次に、g(x)に付いて考える。各プロトコールkでまだ割当ての決まっていない患者の集合をPとする。各プロトコールで見たときに、繰り返し期間中の週の数|M|と各プロトコールでまだ割当ての決まっていない人数|P|について、
【数4】

【0038】
となる実数hが存在するとき、週が異なってもなるべく同じ曜日に割り当てるためには、割り当て人数に達していない繰り返し期間中の日について、すべての週の同じ曜日にプロトコールkのまだ割当ての決まっていない患者を割り当てる作業をh回行うことで、すべての週で同じ曜日に割り当たる人数を増やすことができる。 g(x)をよくすることを考えると、すべての週の同じ曜日にプロトコールkのまだ割当ての決まっていない患者を割り当てる作業の1回目からh回目までで割り当てる曜日は、すべて異なっているほうが、同じプロトコールkがなるべく均等に割り当たることになる。また、割り当て時になるべくばらばらになるように割り当てられたほうがよいことから、割り当てる曜日は乱数を用いて決定することとした。このステップを、ここでは割り当て期間中の各週に割り振ると表記する。
【0039】
最後に、まだ割り当てられていない患者を、残っている割り当てられた人数がdに達していない繰り返し期間中の日に割り当てることで、実行可能解が生成される。割り当て期間中の各週に割り振るステップと同様に、乱数を用いて割り当て時になるべくばらばらに割り当てられるようにしている。
【0040】
以下に、g(x)とg(x)を考慮した初期解生成法を示す。
【0041】
Step1:各プロトコールで、繰り返し期間中の各日に割り振る。
【0042】
Step2:各プロトコールで、繰り返し期間中の各週に割り振る。
【0043】
Step3:まだ割り当てられていない患者を割り振る。
【0044】
Step2とStep3では、貪欲法の次の選択候補の中から乱数を用いて選択していることから、提案する初期解生成法はランダム化貪欲法の一種と見ることができる。生成される解は試行ごとに異なる。
【0045】
次に、初期解生成を図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。
初期解生成が開始されると、乱数シードが取得される(S31)。全ての日で未割当てに初期化され(S32)、繰返し期間中の日数が算出される(S33)。各プロトコールkで現在未割当ての人数u[k]が算出される(S34)。
【0046】
ループk(k=1;k<belong;k++)の処理が開始され(S35)、u[k]は繰返し期間中の日より多いかが判定される(S35)。belongはプロトコールの種類数を示し、k++は、kをインクリメントする処理を意味する。この判定がYesであると、rが算出される(S37)。算出されたr人を全ての日に割り当てる(S38)。現在未割当ての人数u[k]が更新される(S39)。ここで、ループkの処理が終了する。
【0047】
ループk(k=1;k<belong;k++)の処理が開始され(S41)、u[k]は繰返し期間中の週の数より多いかが判定される(S42)。この判定がYesであると、hkの算出が行われる(S43)。割当て人数に達していない曜日があるかが判定される(S44)。この判定がYesであると、割当て人数に達していない曜日を乱数で選択する(S45)。判定がNoであると、ループk(k=1;k<belong;k++)の処理(S49)に移行する。ステップS45で割り当て人数に達していない曜日が選択されると、h人を全ての日に割り当てる(S46)。現在未割当ての人数u[k]を更新する(S47)。ここでループkの処理が終了する。
【0048】
ループk(k=1;k<belong;k++)の処理が開始され(S49)、u[k]>0が判定される(S50)。この判定がYesであると、割当て人数に達していない日を乱数で選択し(S51)、判定がNoであると処理は終了する。ステップS51において割当て人数に達していない日が選択されると、選択した日に患者を割り当てる(S52)。現在未割当ての人数u[k]が更新される(S53)。ループkの処理が終了する。その後、全体の処理が終了する。
【0049】
次に、パターン改善について説明する。
上述のようにしてパターン初期解が生成されると、パターン改善がパターン改善部21において実施される(S17)。このパターン改善では、パターン初期解を割当てパターンとして表現することにより、目的関数をf(x)として、全ての繰り返し期間中のプロトコールを繰り返し期間中の日に割り当てる最適化問題にモデル化できる。よって、組合せ最適化手法をベースにした解法により、割当てパターンの最適化を行うことができる。またILOG社のCPLEXのような市販ツールを用いることもできる。ここでは組合せ最適化手法の1つである近傍探索による最適化方法を示す。
【0050】
近傍探索とは、図5のようなフローチャートで示される解法である。最適化問題に対して何らかの実行可能解xが与えられているとき、xに何らかの変更を加えて得られた解の集合をU(x)とする。U(x)は解xからの変更の範囲(探索範囲)を示すもので、xの近傍と呼ばれる。
【0051】
近傍探索(局所探索、Local Search)とは、適当な実行可能解から始め、近傍内にxよりも目的関数を良くする解x’があれば、x=x’と移動する作業を、パターン初期解が改善しなくなるまで繰り返す方法である。
【0052】
図5のフローチャートに従って近傍探索を具体的に説明する。F=f(x)とする。xの近傍内の解で生成していないものがあるかが判定される(S62)。この判定がYesの場合は、xの近傍内の解でまだ生成していない解を選択し、その解をx‘とする(S63)。解が生成されると、スケジュールS’の生成とf(x’)の算出が行われる(S64)。その後、F<f(x’)が判定され(S65)、この判定がYesの場合は、F=F(x)、S=S’、x=x’とする(S66)。次に、xの近傍によりxが更新されたか判定される(S67)。このステップS67の判定は、ステップS62及びS65の判定がNoであるときにも行われる。この判定がYesの場合は、x=xとする(S68)。この後、ステップS62に戻る。ステップS67の判定がNoの場合はスケジュールSを出力して終了する(S69)。
【0053】
近傍探索によって求まる解は近傍U(x)における局所最適解と呼ばれる。割当てパターン改善部21では、次の近傍を用いて改善することでパターンの最適化を行うことができる。
【0054】
近傍:m週目の曜日wに割り当てられたプロトコールkと、m’週目の曜日w’に割り当てられたプロトコールk’について、m週目の曜日wにプロトコールk’を割当て、m’週目の曜日w’にプロトコールkを割り当てて得られる解集合。
【0055】
次に、照射2日目以降のスケジュール生成(S18)について述べる。粒子線治療では通常、照射の途中で治療の中断ができないため、基本的には照射の開始日からカレンダーに沿って照射を入れる。一方、病院によっては、照射は各患者で週4回以下にするという制約がある場合がある。このとき、各患者で週5回照射が可能な週では、一部の患者については、月曜、火曜、水曜、木曜に照射を行って金曜を休みとし、残りの患者については、月曜を休みとして火曜、水曜、木曜、金曜に照射を行う。つまり、カレンダー上で同じ月曜に照射が可能な場合でも、この週に祝日があって月曜が照射日とされているときには月曜を休みとする処理は行なわないし、週5回照射が可能であれば一部の患者のみ月曜に照射を入れる処理が必要となる。もしすべての患者で月曜に照射をすると、金曜に照射をする患者が極端に少なくなる。さらに、週5回照射が可能な週では、この週の途中ですべての照射回数が終わる患者については、なるべく月曜日に照射をしたほうが良い。これは、患者の入院期間を少なくして余分な負担を減らすためである。
【0056】
上記の処理までは、放射線治療プランニング装置により行われる基本となる処理である。次に、上記基本処理に付け加えることが出来る処理について説明する。
【0057】
(第二の実施形態)
第二の実施形態として、ユーザによる初期割当てがある場合について説明する。この処理割当ては図2のステップS15において行われる。割当てパターン(図16)は、ユーザが何も指定しなくてもプランニング装置によって初期解を生成し、最適化されるが、ユーザが割当てパターンの一部又は全部を指定してスケジューリングを行うこともできる。指定の方法には2種類の方法があり、初期解として指定するものと、固定するものがあり、図12に示す例のように、プロトコールと、基点となる治療工程の開始日を繰り返し期間(図10)中の日で指定し、初期解か固定かを選択する。初期解として指定するとは、ユーザが指定したプロトコールを指定した場所に割当て、残りのパターンはパターン初期解生成部20において生成する。得られた割当てパターンをパターン改善部21により最適化し、もし与えた初期解を変化させることでよりよいパターンが生成できる場合には改善する。固定の場合は、ユーザによる指定があったプロトコールについては最適化により改善を行わず、固定しなかったプロトコールだけを最適化する。
【0058】
(第三の実施形態)
第三の実施形態として、クローズド枠を生成する場合について説明する。立案期間の後ろのほうの枠では、割当てパターンで決められた照射の回数分の照射をスケジューリングすることができない現象が発生し、割当てパターンで決めたプロトコールを割り当てることができない。これらの枠を未割当ての枠と呼ぶ。このとき、プロトコールに関わらずもし適合する患者がいた場合に使用できる枠として、プロトコールを定めないで照射回数のみが定められている枠を作成することにより、立案期間の後ろの枠も効率的に使用できるようにする。
【0059】
クローズド枠生成においては、図2のフローチャートにおける照射の2日目以降のスケジュール作成(S18)の後にクローズド枠で埋めるか否かが判定される(S19)。この判定がYesであると、残りの枠をクローズド枠で埋める処理が行われる(S21)。この場合、クローズド枠として作成する照射回数の種類は図13に示されるように12回、8回、4回、2回、1回と入力される。このとき、未割当ての枠で実施できる照射回数の最大のクローズド枠を割当て、前記の2日目以降のスケジュール作成と同様にスケジューリングし、スケジュールを出力する(S21)。また、ステップS19の判定がNoであれば、スケジュールが出力される。
【0060】
次に、クローズッド枠生成を図6のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0061】
開始によりクローズド枠リストc[]を照射回数の多い順にソートする(S81)。最初のクローズド枠を取ってきてdとする(S82)。この後、ループi(i=0;i<現在の枠の総数;i++)の処理が開始される(S83)。枠iは未割当てか否かが判定される(S84)。この判定がYesであると、枠iはdの照射回数が実行できるかが判定される。この判定がYesであると、枠iにクローズド枠dを割当て、照射を回数分設定し(S86)、iに1を加算しループiの処理を続行する。ステップS84の判定がNoであると、iに1を加算しループiの処理を続行する。すべてのiについてループiの処理が終了すると(S87)、全体の処理が終了する。
【0062】
ステップS85の判定がNoであると、c[]にdの次の要素があるかが判定される(S88)。この判定がYesであると、c[]の次の要素をとってきてdとし(S89)、ステップS85に移行する。ステップ88の判定がNoであると、現在未割当ての枠を消去し(S90)、処理は終了する。
【0063】
スケジュール出力後にスケジュールの変更があるかが判定される(S22)。この判定がYesであると最終的なスケジュール(図19)が出力される。
【0064】
(第四の実施形態)
第四の実施形態として、基準となる治療工程以外の治療工程について、各日に作業可能な人数の上限が定められている場合の変形について説明する。例として、各治療工程のカレンダー情報を記憶するカレンダー情報記憶部13に、照射の治療工程について図20に示すように各日における照射の人数の上限が定められているとする。この場合のフローを図21に従って述べる。
【0065】
まず、照射の人数の上限がないものとして、第一の実施形態により、スケジュールを作成する(S91)。このとき得られたスケジュールは照射の人数の上限を考慮していないため、どこかの日で照射の人数を超過する可能性がある。S92の判定により、Noであると、得られたスケジュールで照射の人数を超過する日がなかったため解が得られたとしてスケジュールを出力して終了する。Yesであると、基準となる治療工程に与えた各日の作業可能な人数を減らす(S93)。この場合、全ての日で1人ずつ減らしても良いし、1日おき、あるいは1週間ごとといった規則で一部の日のみ減らしても良い。基準となる治療工程の作業可能な人数を更新したら、S91に戻り、照射の人数の上限がないものとしてスケジュールを作成する手順を繰り返す。
【0066】
上記第一乃至第四の実施の形態に記載した本発明の手法は、コンピュータによって実行させることができ、また、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0067】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
11…プランニング情報記憶部、12…治療工程情報記憶部、13…各治療工程のカレンダー情報記憶部、14…治療工程の制約情報記憶部、15…スケジュール作成モジュール、16…パターン作成モジュール、17…基点となる治療工程のスケジュール作成部、18…照射開始までの治療工程のスケジュール作成部、19…照射の2日目以降のスケジュール作成部、20…パターン初期解生成部、21…パターン改善部、22…パターン評価部、23…プロトコール情報記憶部、24…患者情報記憶部、25…パターン情報記憶部、26…ユーザによる初期割当て情報記憶部、27…クローズド枠設定情報記憶部、28…クローズド枠のスケジューリング作成部、29…スケジュール記憶部、30スケジュール表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療の長期の治療枠を作成する放射線治療プランニング装置であって、
プランニング期間を設定したプランニング情報を記憶する第1の記憶部と、
基点となる治療工程及びその他の治療工程を規定した治療工程情報を記憶する第2の記憶部と、
各治療工程のプランニング期間における可能日のカレンダーを規定した各治療工程のカレンダー情報を記憶する第3の記憶部と、
各治療工程間にあける日にち及び照射に関する制約を格納する治療工程の制約情報を記憶する第4の記憶部と、
治療部位と治療回数を示す治療プロトコールを規定したプロトコール情報を格納する第5の記憶部と、
各治療プロトコールの患者数の割合を規定した患者情報を格納する第6の記憶部と、
治療プロトコールを割り当てる割当てパターンの繰り返し期間を規定したパターン情報を記憶する第7の記憶部と、
前記第1乃至第4の記憶装置から各情報を読み取り、基点となる治療工程のスケジュールを作成する第1のスケジュール作成部と、
前記第1乃至第4の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と生成された基点となる治療工程のスケジュールに基づいて、基点以外の治療工程について照射開始日までの治療工程のスケジュールを作成する第2のスケジュール作成部と、
前記第5乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、割当てパターンの初期解を生成するパターン初期解生成部と、
前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、パターン改善部が所定の割当てパターンを与えると、読み取り情報に基づいてパターンの評価値を算出するパターン評価部と、
前記パターン初期解生成部で生成された結果のパターン初期解と前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、前記パターン評価部により算出される評価値を用いて最適化により割当てパターンを改善する前記パターン改善部と、
前記1乃至7の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と前記パターン改善部によって改善されたパターンに基づいて照射の2日目以降のスケジュールを作成する第3のスケジュール作成部と、
作成された放射線治療スケジュールを格納するスケジュール記憶部と、
前記放射線治療スケジュールを表示するスケジュール表示部と、
を具備することを特徴とする、放射線治療プランニング装置。
【請求項2】
クローズド枠設定情報を記憶する第8の記憶部を更に含み、前記第8の記憶部から情報を読み取り、読み取り情報と前記第3のスケジュール作成部によって作成されたスケジュールに基づいてクローズド枠のスケジュールを作成し、作成したスケジュールを前記スケジュール記憶部に記憶する第4のスケジュール作成部を更に含む、請求項1の放射線治療プランニング装置。
【請求項3】
前記パターン改善部は、繰り返し期間を7の倍数で設定して、繰り返し期間内の割当てパターンを自動生成し、このパターンに沿ってスケジューリングを行うことで、作業が曜日でなるべく固定されているスケジュールを生成すること特徴とする、請求項1または2に記載の放射線治療プランニング装置。
【請求項4】
前記第2のスケジュール作成部によってスケジューリングすることで、祝日等の特異的なスケジュールがあってもずれないようにスケジューリングする、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放射線治療プランニング装置。
【請求項5】
前記パターン初期解生成部、前記パターン改善部及び前記パターン評価部により割当てパターンを生成して組合せ最適化手法によって最適化を行うことにより、パターンの中でもプロトコールごとでなるべく均等、曜日がそろっている、各日の患者数の最大値最小化を実現するスケジュールを生成する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線治療プランニング装置。
【請求項6】
ユーザがパターンの一部の割当てを指定した場合のユーザによる初期割当て情報を記憶する第8の記憶部を更に含み、前記パターン初期解生成部は、前記第8の記憶部から情報を読み取り、ユーザが割当てパターンの一部又は全部を初期解又は固定として指定して最適化を行うことができる、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線治療プランニング装置。
【請求項7】
放射線治療の長期の治療枠を作成する放射線治療プランニング方法であって、
第1の記憶装置がプランニング期間を設定したプランニング情報を記憶するステップと、
第2の記憶装置が基点となる治療工程及びその他の治療工程を規定した治療工程情報を記憶するステップと、
第3の記憶装置が各治療工程のプランニング期間における可能日のカレンダーを規定した各治療工程のカレンダー情報を記憶するステップと、
第4の記憶装置が各治療工程間にあける日にち及び照射に関する制約を格納する治療工程の制約情報を記憶するステップと、
第5の記憶装置が治療部位と治療回数を示す治療プロトコールを規定したプロトコール情報を格納するステップと、
第6の記憶装置が各治療プロトコールの患者数の割合を規定した患者情報を格納するステップと、
第7の記憶装置が治療プロトコールを割り当てる割当てパターンの繰り返し期間を規定したパターン情報を記憶するステップと、
第1のスケジュール作成装置が前記第1乃至第4の記憶装置から各情報を読み取り、基点となる治療工程のスケジュールを作成するステップと、
第2のスケジュール作成装置が前記第1乃至第4の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と生成された基点となる治療工程のスケジュールに基づいて、基点以外の治療工程について照射開始日までの治療工程のスケジュールを作成するステップと、
パターン初期解生成装置が前記第5乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、割当てパターンの初期解を生成するステップと、
パターン評価装置が前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、パターン改善部が所定の割当てパターンを与えると、読み取り情報に基づいてパターンの評価値を算出するステップと、
前記パターン改善装置が前記パターン初期解生成部で生成された結果のパターン初期解と前記第1乃至第7の記憶部から各情報を読み取り、前記パターン評価部により算出される評価値を用いて最適化により割当てパターンを改善するステップと、
第3のスケジュール作成装置が前記1乃至7の記憶部から各情報を読み取り、読み取り情報と前記パターン改善部によって改善されたパターンに基づいて照射の2日目以降のスケジュールを作成するステップと、
スケジュール記憶装置が作成された放射線治療スケジュールを格納するステップと、
スケジュール表示装置が前記放射線治療スケジュールを表示するステップと、
を具備することを特徴とする、放射線治療プランニング方法。
【請求項8】
パターン初期解生成装置が、ユーザがパターンの一部の割当てを指定した場合のユーザによる初期割当て情報を記憶する第8の記憶装置からの情報を読み取るステップと、ユーザが割当てパターンの一部または全部を初期解または固定として指定して最適化を行うことができるステップと、を具備することを特徴とする請求項7記載の放射線治療プランニング方法。
【請求項9】
第4のスケジュール作成装置が第9の記憶装置からクローズド枠設定情報を読み取り、読み取り情報と前記第3のスケジュール作成装置によって作成されたスケジュールに基づいてクローズド枠のスケジュールを作成するステップを更に含む、請求項7記載の放射線治療プランニング方法。
【請求項10】
第3の記憶部により基準の治療工程外の治療工程にも治療可能な上限の人数が定められている場合、第3のスケジュール作成装置によって作成されたスケジュールが前記治療可能な上限の人数を超過しないよう、基準の治療工程の作業人数を減らしてスケジュールを作成するステップをさらに含む請求項7記載の放射線治療プランニング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−172821(P2011−172821A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40582(P2010−40582)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】