説明

放射線治療装置、制御方法及び制御プログラム

【課題】重粒子線の照射角度の自由度を確保したうえで、重粒子線が照射された部位を精度よく確認すること。
【解決手段】実施の形態の放射線治療装置は、放射線照射装置600と、PETスキャナ200に内蔵される検出器と、制御部540と、PET画像再構成部525とを有する。放射線照射装置600は、重粒子線を照射する。検出器は、ガンマ線に由来する光を計数し、被検体の体軸を軸とする回転面に放射線照射装置600により照射された重粒子線を通過させる隙間部分が設けられる。制御部540は、隙間部分への重粒子線照射が可能な状態で、放射線照射装置600と検出器とを同期して回転するように制御する。PET画像再構成部525は、制御部540による回転制御が実行された状態で、重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した検出器210の計数時における位置情報に基づいて、PET画像を再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線治療装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の生体組織における機能診断を行なうことができる核医学イメージング装置として、陽電子断層撮影装置(PET装置、PET:Positron Emission computed Tomography)が知られている。
【0003】
具体的には、PET検査では、陽電子放出核種で標識された化合物が被検体に投与される。そして、PET装置は、標識化合物から放出された陽電子が電子と結合して消滅する際に、略反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線(対消滅ガンマ線)を、被検体の周囲に配置されたフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器を用いて同時計数する。そして、PET装置は、同時計数したガンマ線のデータ(同時計数情報)を演算処理することにより、PET画像の再構成を行なう。
【0004】
また、近年、治療用の放射線として重粒子線を照射する放射線照射装置により、腫瘍に障害を与える放射線治療が行なわれている。重粒子線は、炭素イオン、ネオンイオン、シリコンイオン、アルゴンイオンなどの粒子を高速度に加速することで発生する放射線である。重粒子線は、加速器により与えられたエネルギーによって人体内に入る深さが定まる。また、重粒子線は、飛行過程にある電子や原子核と衝突することで、人体内でエネルギーを放出する。特に、重粒子線は、飛行過程の終端近くでエネルギーを急激に放出し(ブラッグピーク:Bragg peak)、止まる。すなわち、重粒子線を用いた放射線治療では、ブラッグピークを利用して、腫瘍の部分で粒子が止まるように加速器で粒子のエネルギーを調節することで、飛行過程にある正常細胞にあまり影響を与えないで、腫瘍細胞だけを殺傷することができる。
【0005】
重粒子線を用いた放射線治療では、PET画像や、X線CT画像、MRI画像などの各種医用画像を用いた治療計画により定められた範囲(腫瘍部位)に対して重粒子線の照射が行なわれる。例えば、放射線照射装置は、治療計画により定められた範囲に対して多方向から重粒子線を照射する。また、重粒子線を用いた放射線治療として、任意の方向から重粒子線の強度を変調しながら照射することで、正常細胞への影響を軽減し、腫瘍の輪郭内に線量を集中させる強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)も知られている。
【0006】
ここで、エネルギーが「511×2keV」以上である場合、重粒子線は、その飛行過程にて電子と陽電子とを対生成する。対生成された陽電子は、周囲にある電子と結合して消滅し、その結果、対消滅ガンマ線が放出される。すなわち、放射線照射装置により重粒子線を照射しながら、PET装置によりPET画像を略リアルタイムで再構成することで、医師は、治療計画により定めた部位に重粒子線が照射されているかをモニタすることができる。
【0007】
そこで、近年、放射線治療モニタ用PET装置の開発が進められている。例えば、放射線治療モニタ用PET装置として、平板な2つの検出器を、被検体を挟んで対向する位置に設置したPET装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の放射線治療モニタ用PET装置は、被検体を軸とする円周の全方向にて同時計数を行なえないので、PET画像の画質が劣化する。また、上述した従来の放射線治療モニタ用PET装置では、放射線照射装置から照射される重粒子線の照射角度が限定される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の放射線治療装置は、照射部と、検出器と、制御部と、画像再構成部とを備える。照射部は、治療用放射線として重粒子線を照射する。検出器は、ガンマ線に由来する光を計数し、被検体の体軸を軸とする回転面に前記照射部により照射された重粒子線を通過させる隙間部分が設けられる。制御部は、前記隙間部分への重粒子線照射が可能な状態で、前記照射部と前記検出器とを同期して回転するように制御する。画像再構成部は、前記制御部による回転制御が実行された状態で、前記照射部から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した前記検出器の計数時における位置情報に基づいて、核医学画像を再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態における放射線治療装置が有するPET−CT装置の構成の全体像について示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態におけるPETスキャナの隙間部分の一例について示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態におけるPETスキャナと放射線照射装置との位置関係の一例について示す図(1)である。
【図4】図4は、第1の実施形態におけるPETスキャナと放射線照射装置との位置関係の一例について示す図(2)である。
【図5】図5は、第1の実施形態におけるPETスキャナとX線CTスキャナとの関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態におけるPETスキャナの構成について示す図である。
【図7】図7は、第1の実施形態における検出器の構造の一例を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態におけるアンガー型の検出器により検出される情報を示す図である。
【図9】図9は、第1の実施形態におけるコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図10は、第1の実施形態における計数情報記憶部521に記憶された計数情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施形態における同時計数情報記憶部に記憶された同時計数情報の一例を示す図である。
【図12】図12は、第1の実施形態における位置情報記憶部により記憶される位置情報の一例を示す図である。
【図13】図13は、第1の実施形態における放射線治療装置によるPET画像撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、隙間部分の一例について示す図(1)である。
【図15】図15は、隙間部分の一例について示す図(2)である。
【図16】図16は、PETスキャナの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下では、放射線治療装置の一例として、治療用放射線として重粒子線を照射する放射線照射装置がPET−CT装置に設置された装置を用いて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、放射線照射装置が設置される装置は、PET装置であっても良く、PET−MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置でも良い。
【0013】
なお、第1の実施形態では、任意の方向から強度を変調しながら重粒子線を照射する強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)を実行可能な放射線照射装置がPET−CT装置に設置される場合について説明する。しかし、第1の実施形態は、重粒子線を照射する装置であるならば、適用可能である。
【0014】
図1は、第1の実施形態における放射線治療装置が有するPET−CT装置の構成の全体像について示す図である。図1において、100はPET−CT装置を示し、200はPETスキャナを示し、300はX線CTスキャナを示し、400は寝台を示し、401は被検体が載せられる天板を示し、402は、被検体を示す。図1に示すように、PET−CT装置100は、PETスキャナ200と、X線CTスキャナ300と、寝台400と、コンソール装置500とを有する。図1におけるX方向は、図1の天板401に載せられた被検体402の体軸方向を示す。Y方向は、X方向と直行する水平面上の方向を示す。Z方向は、垂直方向を示す。
【0015】
寝台400は、被検体402が載せられる天板401を有する。また、図1には図示していないが、寝台400は、天板401を移動させる寝台制御部を有する。寝台制御部は、コンソール装置500により制御され、天板401に載せられた被検体402をPET−CT装置100の撮影口内に移動させる。
【0016】
PETスキャナ200は、PET画像を再構成するためのガンマ線に由来する光を計数するフォトンカウンティング(Photon Counting)方式の検出器210(後述)を内蔵する。そして、第1の実施形態におけるPETスキャナ200には、図1に示すように、被検体402の体軸を軸とする回転面に、後述する放射線照射装置600により照射された重粒子線を通過させる隙間部分201が設けられている。ここで、隙間部分201は、検出器210(後述)およびPETスキャナ200に設けられたカバー202の双方に設けられている。カバー202は、検出器210(後述)を収納する。また、カバー202は、被検体402の体軸を軸として回転可能である。すなわち、カバー202は、検出器210(後述)とともに回転可能である。
【0017】
図2は、第1の実施形態におけるPETスキャナの隙間部分の一例について示す図である。図2に示す例では、PETスキャナ200のカバー202は、回転面の対向する位置に複数の隙間部分を有する。すなわち、検出器210(後述)は、回転面の対向する位置に複数の隙間部分を有する。
【0018】
図3と図4とは、第1の実施形態におけるPETスキャナと放射線照射装置との位置関係の一例について示す図である。第1の実施形態における放射線治療装置は、図3に示すように、治療用放射線として重粒子線を照射する放射線照射装置600が設置される。放射線照射装置600は、図3に示すように、カバー202の隙間部分から重粒子線が被検体402に対して照射可能となるように設置される。放射線照射装置600から照射された重粒子線601は、図示しない加速器によりエネルギーが調整されることで、被検体402の患部にて大部分が止まる。
【0019】
そして、放射線照射装置600とカバー202とは、後述するコンソール装置の制御部540の制御により、隙間部分201への重粒子線照射が可能な状態で、同期して回転する。図3に示す例では、放射線照射装置600およびカバー202が、被検体402を頭部から見た状態で、同期して時計回りへと回転する場合を例に示したが、第1の実施形態はこれに限定されるものではなく、被検体402を頭部から見た状態で、同期して反時計回りへと回転する場合であってもよい。
【0020】
ここで、放射線照射装置600は、カバー202の回転面との相対的な位置を維持した状態で回転するが、図4に示すように、カバー202の隙間部分201に対して、任意の位置および任意の方向から重粒子線601を照射することができる。
【0021】
このように、第1の実施形態における放射線治療装置は、放射線照射装置600とPETスキャナ200のカバー202とが同期して回転可能とすることで、治療計画にて定められた3次元の照射部位に対して、360度の任意の方向から重粒子線を照射することができる。
【0022】
ここで、上述したPETスキャナ200の検出器210が検出するガンマ線について説明する。PETスキャナ200は、PET画像を再構成するためのガンマ線を検出する検出器210を複数有する。複数ある検出器210は、被検体402の体軸を中心としてリング上に配置される。例えば、検出器210は、天板401に載せられた被検体402の体外から、被検体402の体内から放出された一対のガンマ線(対消滅ガンマ線)を検出する。
【0023】
具体的には、PETスキャナ200は、検出器210がガンマ線を計数するごとに、ガンマ線を検出した検出器210の位置を示す検出位置と、ガンマ線が検出器210に入射した時点におけるエネルギー値と、検出器210がガンマ線を検出した検出時間とを収集する。PETスキャナ200により収集される情報を「計数情報」とも称する。なお、第1の実施形態では、ガンマ線の検出時間として検出時刻(絶対時間)が計数情報として収集されるTOF(Time Of Flight)検出器を検出器210として用いる場合について説明する。しかし、第1の実施形態は、計数情報として時間を含まないnon―TOF検出器を検出器210として用いる場合であっても良い。
【0024】
ここで、第1の実施形態における検出器210は、放射線照射装置600から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない被検体402から放出された対消滅ガンマ線を検出する。すなわち、第1の実施形態における検出器210は、放射線照射装置600から隙間部分201に向かって重粒子線を照射することで、被検体402から放出された対消滅ガンマ線を検出器210で検出する。これにより、PET−CT装置100は、重粒子線の経路が描出されたPET画像を再構成する。
【0025】
図1に示すX線CTスキャナ300は、X線CT画像を再構成するためのX線を照射するX線管301と、X線管301により照射されたX線を検出するX線検出器302とを有する。X線CTスキャナ300では、X線管301がX線を被検体402に照射し、被検体402を透過したX線をX線検出器302が検出する。具体的には、X線CTスキャナ300は、被検体402の体軸を中心として回転しながら、X線管301がX線を照射し、X線検出器302がX線を検出する。言い換えると、X線CTスキャナ300は、被検体402の体軸を中心として回転しながら多方向からX線を被検体402に照射し、被検体402を透過することで被検体402に吸収されて減弱したX線を検出する。X線検出器302により検出されたX線に対して増幅処理やAD変換処理などを行うことで生成されるデータを「X線投影データ」とも称する。X線CTスキャナ300は、X線投影データと、X線投影データを生成する際に用いられたX線を検出した検出位置とを収集する。
【0026】
図5は、第1の実施形態におけるPETスキャナとX線CTスキャナとの関係の一例を示す図である。図5では、Y軸方向に見た場合におけるPETスキャナ200とX線CTスキャナ300との断面図を示した。図5に示す例では、Y軸方向に見た場合におけるPETスキャナ200とX線CTスキャナ300との断面に、隙間部分201ではなく検出器210がある場合における図を示した。図5において、200は、PETスキャナを示し、210は、検出器を示し、300は、X線CTスキャナを示し、301は、X線管を示し、302はX線検出器を示し、303は、X線管301により照射されたX線を示す。図5では、説明の便宜上、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とに加えて、天板401を併せて示した。
【0027】
図5に示すように、PETスキャナ200では、X軸方向に複数の検出器210が配置される。また、複数の検出器210は、被検体402の体軸をリング状に取り囲むように配置される。図5に示すように、X線CTスキャナ300は、X線管301とX線検出器302とを有する。X線管301とX線検出器302とは、測定時に被検体402が載せられる天板401を挟んで対向する位置に配置される。
【0028】
図6は、第1の実施形態におけるPETスキャナの構成について示す図である。図6において、400は寝台を示し、401は天板を示し、402は被検体を示し、201は、隙間部分を示し、202は、カバーを示し、210は検出器を示す。図6は、X軸方向に見たPETスキャナの断面図である。図6では、説明の便宜上、PETスキャナ200に加えて、被検体402と、寝台400と、天板401とを併せて示した。
【0029】
図6に示すように、PETスキャナ200は、複数の検出器210が被検体402の周囲をリング状に取り囲むように配置される。検出器210は、例えば、フォトンカウンティング(Photon Counting)方式の検出器が該当する。また、図6に示すように、PETスキャナ200は、回転面に隙間部分201を有する。図6に示す例では、複数ある検出器210の間およびカバー202に隙間部分201を有する。
【0030】
図7は、第1の実施形態における検出器の構造の一例を示す図である。図7において、211はシンチレータを示し、212はライトガイドを示し、213は光電子増倍管(PMT:Photo Multiplier Tube)を示す。
【0031】
図7に示すように、ガンマ線に由来する光を計数する検出器210は、シンチレータ211と、ライトガイド212と、光電子増倍管213とを有する。シンチレータ211は、被検体402から放出されて検出器210に入射されたガンマ線を可視光に変換し、可視光を出力する。シンチレータ211は、例えば、ガンマ線を可視光に変換するNaIやBGOなどで形成される。また、シンチレータ211は、図7に示すように、2次元に配列される。シンチレータ211により出力された可視光を「シンチレーション光」とも称する。ライトガイド212は、シンチレータ211から出力された可視光を光電子増倍管213に伝達する。ライトガイド212は、例えば、光透過性に優れたプラスチック素材などで形成される。光電子増倍管213は、シンチレータ211によって出力された可視光をライトガイド212を介して受信し、受信した可視光を電気信号に変換する。光電子増倍管213は、複数個配置される。
【0032】
光電子増倍管213について更に説明する。光電子増倍管213は、シンチレーション光を受信して光電子を発生させる光電陰極と、光電陰極により発生された光電子を加速する電場を与える多段のダイノードと、電子の流れ出し口である陽極とを有する。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向かって加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子をたたき出す。ダイノードの表面にて複数の電子がたたき出される現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることで、電子数がなだれ的に増える。
【0033】
例えば、陽極は、シンチレーション光を1つ受信した場合に、約100万もの電子を出力する。シンチレーション光を1つ受信した場合に陽極から得られる電子の数を「光電子増倍管の利得率」とも称する。この場合、光電子増倍管213の利得率は「100万倍」となる。なお、電子数をなだれ的に増やす際には、ダイノードと陽極との間には、通常、1000ボルト以上の電圧が印加される。
【0034】
このように、検出器210では、シンチレータ211がガンマ線を可視光に変換し、光電子増倍管213が可視光を電気信号に変換することで、被検体402から放出されたガンマ線を検出する。
【0035】
上述したように、PETスキャナ200は、検出器210がガンマ線を検出するごとに、検出位置とエネルギー値と検出時刻とを収集する。ここで、図8を用いて、複数の隣接する検出器210が同時にガンマ線を検出した場合における検出位置とエネルギー値とを計算する処理の一例について簡単に説明する。図8は、実施例1におけるアンガー型の検出器により検出される情報を示す図である。
【0036】
例えば、PETスキャナ200は、アンガー型位置計算処理を行うことで、検出位置を確定する。また、例えば、PETスキャナ200は、光電子増倍管213が位置検出型の光電子増倍管である場合には、位置検出型の光電子増倍管213を用いて検出位置を収集する。図8の(1)に示すように、3つの光電子増倍管213が、同じタイミングにてシンチレーション光を電気信号に変換して出力した場合を用いて説明する。この場合、PETスキャナ200は、同時に電気信号を出力した光電子増倍管213の位置を取得し、同時に電気信号を出力した光電子増倍管213から出力された電気信号のエネルギー値各々を取得する。そして、PETスキャナ200は、取得したエネルギー値から重心の位置を算出し、算出した重心の位置に対応するシンチレータ211を特定する。また、PETスキャナ200は、同じタイミングにてシンチレーション光を電気信号に変換して出力した各光電子増倍管213が出力した電気信号のエネルギー値を積分し、積分結果となるエネルギー値を検出器210に入射したガンマ線のエネルギー値とする。
【0037】
図8の(2)に示すように、検出器210がガンマ線を検出するごとに、PETスキャナ200は、シンチレータ211を一意に識別する「シンチレータ番号」と、「エネルギー値」と、「検出時刻」とを収集する。図8の(2)に示す例では、「シンチレータ番号」「エネルギー値」「検出時刻」に加えて、更に、複数ある検出器210を一意に特定する情報である「モジュールID」を出力する場合を示した。
【0038】
検出器210は、例えば、10−10秒〜10−12秒の精度にて検出時刻を収集する。
【0039】
ここで、第1の実施形態におけるPET−CT装置100がPET画像とX線CT画像とを再構成する場合における処理の流れについて簡単に説明する。PET−CT装置100は、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とが、図1や図5において左から右に移動したり、天板401や寝台400が右から左に移動したりすることで、X線CTスキャナ300がX線投影データを収集し、その後、PETスキャナ200が計数情報を収集する。その後、コンソール装置500が、収集した情報に基づいてPET画像とX線CT画像とを再構成する。ただし、これに限定されるものではなく、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とが図1や図5において右から左に移動しても良い。
【0040】
図9は、第1の実施形態におけるコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。コンソール装置500は、X線CTスキャナ300により収集された情報によりX線CT画像を再構成する。また、コンソール装置500は、PETスキャナ200により収集された計数情報を用いて同時計数情報を生成し、生成した同時計数情報に基づいてPET画像を再構成する。以下では、コンソール装置500によるPET画像を再構成する処理やX線CT画像を再構成する処理については、任意の手法を用いて実行して良く、説明を簡潔に行う。
【0041】
図9に示す例では、説明の便宜上、コンソール装置500に加えて、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300と放射線照射装置600とを併せて示した。図9に示す例では、コンソール装置500は、入出力部510と、制御部540とを有する。また、図9に示す例では、コンソール装置500は、X線CT画像を再構成するために、X線投影データ記憶部530と、X線CT画像再構成部531とを有する。また、また、図9に示す例では、コンソール装置500は、PET画像を再構成するために、計数情報収集部520と、計数情報記憶部521と、同時計数情報生成部522と、位置情報記憶部523と、同時計数情報記憶部524と、PET画像再構成部525とを有する。なお、第1の実施形態では、1台のコンソール装置500においてX線CT画像とPET画像とが再構成される場合について説明する。しかし、第1の実施形態は、X線CT画像の再構成とPET画像の再構成とが別々のコンソール装置において行なわれる場合であっても適用可能である。
【0042】
入出力部510は、制御部540と接続される。入出力部510は、放射線治療装置を利用する利用者から各種指示を受け付け、受け付けた各種指示を制御部540に送信する。また、入出力部510は、制御部540から情報を受信し、受信した情報を利用者に出力する。例えば、入出力部510は、キーボードやマウス、マイクなどが該当し、モニタやスピーカなどが該当する。なお、入出力部510によって受け付けられる情報や指示の詳細や、入出力部510によって出力される情報の詳細については、ここでは説明を省略し、関係する各部について説明する際に併せて説明する。
【0043】
制御部540は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部540は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路が該当する。制御部540は、放射線治療装置全体の処理を制御する。具体的には、制御部540は、PETスキャナ200およびX線CTスキャナ300を制御することで、PET−CT装置100による撮影を制御する。また、制御部540は、治療計画に沿って多方向から重粒子線が連続的又は間欠的に照射されるように放射線照射装置600を制御する。また、制御部540は、隙間部分201への重粒子線照射が可能な状態で、放射線照射装置600と検出器210(カバー202)とを同期して回転するように制御する。
【0044】
また、制御部540は、コンソール装置500におけるPET画像再構成処理およびX線CT画像再構成処理を制御する。また、制御部540は、PET画像や、X線CT画像、PET画像およびX線CT画像の重畳画像などを、入出力部510のモニタにて表示させる。
【0045】
X線投影データ記憶部530は、X線CTスキャナ300から送信されたX線投影データを記憶する。X線CT画像再構成部531は、X線投影データ記憶部530が記憶するX線投影データを、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法により逆投影処理することで、X線CT画像を再構成する。
【0046】
計数情報収集部520は、複数の検出器210が出力した計数結果から計数情報を収集して計数情報記憶部521に格納する。すなわち、計数情報収集部520は、PETスキャナ200にて収集された計数情報を順次受信して、受信した計数情報を計数情報記憶部521に格納する。なお、計数情報収集部520は、PETスキャナ200内に設置される場合であっても良い。
【0047】
計数情報記憶部521は、計数情報収集部520により格納された計数情報を記憶する。計数情報記憶部521は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置が該当する。図10は、第1の実施形態における計数情報記憶部521に記憶された計数情報の一例を示す図である。
【0048】
図10に示す例では、計数情報記憶部521は、「モジュールID」に対応付けて、「シンチレータ番号」と「エネルギー値」と「検出時刻」とを記憶する。なお、「モジュールID」は、複数ある検出器210それぞれを一意に特定するための情報である。
【0049】
図10に示す例では、計数情報記憶部521は、モジュールID「D1」に対応付けて、シンチレータ番号「P11」エネルギー値「E11」検出時刻「T11」を記憶し、シンチレータ番号「P12」エネルギー値「E12」検出時刻「T12」を記憶する。すなわち、計数情報記憶部521は、検出器「D1」にて検出時刻「T11」にシンチレータ「P11」がエネルギー値「E11」のガンマ線を検出したことを記憶し、検出器「D1」にて検出時刻「T12」にシンチレータ「P12」がエネルギー値「E12」のガンマ線を検出したことを記憶する。また、計数情報記憶部521は、他の検出器210から出力された計数結果に基づく計数情報についても同様に記憶する。
【0050】
図9に戻って、同時計数情報生成部522は、計数情報記憶部521に記憶されている計数情報のうち、検出時刻の差がタイムウィンドウにある2つ計数情報の組み合わせを、対消滅ガンマ線を略同時に計数した同時計数情報として生成する。
【0051】
具体的には、同時計数情報生成部522は、操作者により指定された同時計数情報生成条件に基づいて同時計数情報を生成する。例えば、同時計数情報生成条件には、タイムウィンドウが含まれる。タイムウィンドウは、一対のガンマ線の双方を計数した場合における2つの検出時刻の差の上限を示す。
【0052】
陽電子放出核種から同時に放出された一対のガンマ線であれば、一対のガンマ線に含まれるガンマ線各々の検出時刻は、同時であったり、同時でなくても2つの検出時刻の差が僅かになる。このことを踏まえ、同時計数情報生成部522は、タイムウィンドウを用いることで、誤った同時計数情報を生成するのを防止する。
【0053】
例えば、タイムウィンドウ「10ナノ秒」を用いて同時計数情報生成部522が同時計数情報を生成する場合を例に説明する。この場合、同時計数情報生成部522は、「モジュールID」ごとの「検出時刻(T)」を参照し、2つの検出時刻の差が「タイムウィンドウ:10ナノ秒」以内である計数情報の組み合わせを、モジュール間で検索する。
【0054】
ここで、検出時刻がタイムウィンドウ以内にある組み合わせを検索することを「Coincidence Finding」とも称する。また、同時計数情報生成部522により生成された同時計数情報のリストを「Coincidence List」とも称する。
【0055】
なお、同時計数情報生成条件として、エネルギーウィンドウが設定される場合であってもよい。陽電子が消滅することで放出される一対のガンマ線のエネルギー値は予めわかっている。例えば、18Fや15O、11Cなどでは、「511keV」のガンマ線が放出される。このため、陽電子放出核種から同時に放出されたガンマ線であれば、エネルギー値が所定の範囲に入る。このことを踏まえ、同時計数情報生成部522は、エネルギーウィンドウを用いることで、陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線ではない計数情報を除外した上で同時計数情報を生成することで、誤った同時計数情報を生成するのを防止することもできる。このように、同時計数情報生成条件の設定により、偶発同時計数を除外するためのランダム補正、散乱したガンマ線の計数情報が同時計数情報として生成されることを除外するための散乱補正、検出器210間の感度の違いを補正するための感度補正などを行なうことができる。
【0056】
そして、同時計数情報生成部522は、生成した同時計数情報を同時計数情報記憶部524に格納する。例えば、同時計数情報記憶部524は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置が該当する。図11は、第1の実施形態における同時計数情報記憶部に記憶された同時計数情報の一例を示す図である。
【0057】
図11に示すように、同時計数情報記憶部524は、2つの計数情報の組み合わせを記憶する。図11では記載の便宜上、計数情報の組み合わせに含まれる2つの計数情報をそれぞれ「計数情報A」と「計数情報B」と記載した。図11に示す例では、同時計数情報記憶部524は、シンチレータ番号「P11」エネルギー値「E11」検出時刻「T11」を含む計数情報Aと、シンチレータ番号「P22」エネルギー値「E22」検出時刻「T22」を含む計数情報Bとの組み合わせを記憶する。すなわち、同時計数情報記憶部524は、重粒子線のエネルギー放出にともない被検体402から放出された対消滅ガンマ線のうち一方について、検出時刻「T11」にシンチレータ「P11」が検出したことを記憶し、重粒子線のエネルギー放出にともない被検体402から放出された対消滅ガンマ線のうち他方について、検出時刻「T22」にシンチレータ「P22」が検出したことを記憶する。
【0058】
図9に戻って、PET画像再構成部525は、同時計数情報生成部522により生成された同時計数情報を同時計数情報記憶部524から読み出して、読み出した同時計数情報を用いてPET画像を再構成する。具体的には、PET画像再構成部525は、同時計数情報をガンマ線の投影データとし、ガンマ線の投影データから逐次近似法を用いることで、PET画像を再構成する。なお、逐次近似法としては、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)法や、MLEM法のアルゴリズムを改良することで大幅に収束時間を短縮したOSEM(Ordered Subset MLEM)法がある。
【0059】
しかし、第1の実施形態においては、検出器210が、重粒子線の照射とともに回転している。そこで、第1の実施形態におけるPET画像再構成部525は、制御部540による回転制御が実行された状態で、放射線照射装置600から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した検出器210の計数時における位置情報に基づいて、PET画像を再構成する。
【0060】
すなわち、PET画像再構成部525は、同時計数情報におけるシンチレータ番号が、実際の計数時における位置に修正された情報を用いてPET画像を再構成する。
【0061】
かかる処理の一例について、以下、説明する。例えば、同時計数情報生成部522は、図9に示す位置情報記憶部523を用いて同時計数情報の修正を行なう。図12は、第1の実施形態における位置情報記憶部により記憶される位置情報の一例を示す図である。
【0062】
位置情報記憶部523は、検出器210の位置を示す位置情報を、時刻を示す時刻情報に対応付けて記憶する。図12に示す例では、位置情報記憶部523は、シンチレータ番号に対応付けて、時刻情報と位置情報とを記憶する。例えば、位置情報記憶部523は、シンチレータ番号「P11」に対応付けて、時刻情報「T11」と位置情報「5、4、10」とを記憶する。なお、位置情報「5、4、10」に含まれる数字各々は、X軸、Y軸、Z軸上における座標を示す。すなわち、位置情報記憶部523は、シンチレータ「P11」が、時刻「T11」に位置情報「5、4、10」にあったことを記憶する。また、同様に、位置情報記憶部523は、他の時刻についての位置情報を記憶し、他のシンチレータ211についても同様に時刻情報と位置情報とを記憶する。
【0063】
なお、図12に示す例では、位置情報記憶部523が、シンチレータ番号に対応付けて時刻情報と位置情報とを記憶する場合を示したが、第1の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、位置情報記憶部523は、検出器210を識別する識別情報に対応付けて位置情報と時刻情報とを記憶しても良く、被検体402のいる空間座標における検出位置を特定できれば任意の情報に対応付けて位置情報と時刻情報とを記憶して良い。また、図12に示す例では、位置情報として、X軸、Y軸、Z軸上における座標を用いる場合を示したが、第1の実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の情報を用いて良い。
【0064】
位置情報記憶部523に記憶される位置情報は、例えば、治療計画に沿って放射線照射装置600および検出器210の回転制御を行なう制御部540により提供される。例えば、制御部540は、検出器210の初期位置および回転速度に基づいて、図12に示す一例のような位置情報を生成して、生成した位置情報を位置情報記憶部523に格納する。
【0065】
そして、同時計数情報生成部522は、位置情報記憶部523が記憶する位置情報を用いて、生成した同時計数情報のシンチレータ番号を、計数時の位置(座標)に修正して、同時計数情報記憶部524に格納する。そして、PET画像再構成部525は、位置情報が修正された同時計数情報を同時計数情報記憶部524から読み出して、PET画像を再構成する。なお、PET画像再構成部525により再構成されたPET画像は、制御部540の制御により、入出力部510のモニタに表示される。
【0066】
[放射線治療装置によるPET画像の再構成処理]
図13を用いて、第1の実施形態における放射線治療装置によるPET画像撮影処理の流れの一例を示す。図13は、第1の実施形態における放射線治療装置によるPET画像撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、PET−CT装置100は、以下に説明する一連の処理に先だって、X線CT画を撮影する。また、PET画像の撮影時には、上述したように、制御部540は、隙間部分201への重粒子線照射が可能な状態で、放射線照射装置600と検出器210とを同期して回転するように制御する。なお、制御部540は、放射線照射装置600の回転中に、隙間部分201への重粒子線の照射方向を、治療計画に沿って任意に変更することができる(図4を参照)。
【0067】
図13に示すように、放射線治療装置を構成するPET−CT装置100では、撮影要求を利用者から受け付けると(ステップS101肯定)、制御部540がPETスキャナ200を動作させ、PETスキャナ200が計数情報を収集する(ステップS102)。すなわち、PETスキャナ200は、ガンマ線を検出するごとに、検出位置とエネルギー値と検出時刻とを収集する。
【0068】
そして、計数情報収集部520は、PETスキャナ200により収集された計数情報を受信して計数情報記憶部521に格納する(ステップS103)。そして、同時計数情報生成部522は、計数情報記憶部521に格納された計数情報から同時計数情報を生成し、さらに、位置情報記憶部523が記憶する位置情報に基づいてシンチレータ番号を修正した同時計数情報を生成する(ステップS104)。
【0069】
そして、PET画像再構成部525は、修正済みの同時計数情報を用いてPET画像を再構成し(ステップS105)、処理を終了する。
【0070】
[第1の実施形態の効果]
上述したように、第1の実施形態によれば、放射線照射装置600は、治療用放射線として重粒子線を照射する。検出器210は、ガンマ線に由来する光を計数し、被検体402の体軸を軸とする回転面に放射線照射装置600により照射された重粒子線を通過させる隙間部分201が設けられる。制御部540は、隙間部分201への重粒子線照射が可能な状態で、放射線照射装置600と検出器210とを同期して回転するように制御する。PET画像再構成部525は、制御部540による回転制御が実行された状態で、放射線照射装置600から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した検出器210の計数時における位置情報に基づいて、PET画像を再構成する。
【0071】
すなわち、第1の実施形態では、重粒子線の経路が描出されたPET画像を撮影する際でも、任意の方向から重粒子線を照射することができる。また、第1の実施形態では、被検体を軸とする円周の全方向にて同時計数ができる。すなわち、第1の実施形態では、PET画像の画質を均一にすることができる。したがって、第1の実施形態では、重粒子線の照射角度の自由度を確保したうえで、重粒子線が照射された部位を精度よく確認することが可能となる。
【0072】
また、第1の実施形態によれば、PETスキャナ200は、回転面の対向する位置に複数の隙間部分201を有する。すなわち、第1の実施形態では、仮に重粒子線が体内で止まらずに、検出器210により検出されることを防止できる。その結果、第1の実施形態では、PET画像にノイズが発生することを防止でき、重粒子線が照射された部位を確実に確認することが可能となる。
【0073】
(第2の実施形態)
さて、上述した第1の実施形態以外にも、その他の実施形態にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施形態を示す。
【0074】
[修正処理]
上述した第1の実施形態では、同時計数情報を一旦生成したのちに、位置情報を用いてシンチレータ番号の修正処理が行なわれる場合について説明した。しかし、実施形態は、PET画像の再構成に用いられる同時計数情報におけるガンマ線の検出位置が、計数時の検出器210の位置を反映したものであれば良い。例えば、計数情報収集部520が計数情報のシンチレータ番号を、計数時の座標に修正する場合であってもよい。また、PETスキャナ200において、計数情報のシンチレータ番号を、計数時の座標に修正する場合であってもよい。
【0075】
また、位置情報の修正処理は、上述したテーブルを参照して実行される場合であっても良いが、回転速度の情報を用いて検出時刻から検出位置(計数時における位置)を算出して行なわれる場合であってもよい。
【0076】
[隙間部分]
また、例えば、上述した第1の実施形態では、PETスキャナ200に長方形状の隙間部分201が2つ設けられた場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の形状であって良く、任意の数であっても良い。例えば、図14に示すように、隙間部分201の形状は円や楕円であっても良く、任意の形状であって良い。また、図15に示すように、隙間部分201の数は3つ以上であっても良く、任意の数であって良い。また、隙間部分201は1つであっても良い。なお、図15には、隙間部分201が4つある場合を示した。図14と図15とは、隙間部分の一例について示す図である。
【0077】
[PETスキャナ]
また、例えば、上述した第1の実施形態では、PETスキャナ200にて、検出器210がリング状に配置された場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。放射線照射装置600と同期して回転可能であるならば、例えば、図16に示すように、検出器210が平板上に配列されても良く、任意の形状であって良い。図16は、PETスキャナの一例を示す図である。図16は、Z軸方向に見たPETスキャナ200の断面図である。
【0078】
[計数情報]
また、例えば、上述した第1の実施形態では、コンソール装置500がPETスキャナ200から計数情報を受信して用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コンソール装置500は、PETスキャナ200から検出器210による検出結果そのものを受信しても良い。この場合、コンソール装置500は、光電子増倍管213から出力される波形データそのものを受信し、受信した波形データから計数情報を生成する。
【0079】
[同時計数情報]
また、例えば、上述した第1の実施形態では、コンソール装置500がPETスキャナ200から計数情報を受信して同時計数情報を生成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、PETスキャナ200は、計数情報から同時計数情報を生成し、生成した同時計数情報をコンソール装置500に送信しても良い。
【0080】
[システム構成]
また、第1の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については(図1〜図16)、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0081】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
[その他]
なお、第1の実施形態で説明した放射線治療装置が実行する制御方法は、あらかじめ用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。また、制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0083】
[実施例の効果]
上述したように、第1の実施形態や第2の実施形態によれば、重粒子線の照射角度の自由度を確保したうえで、重粒子線が照射された部位を精度よく確認することが可能となる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
100 PET−CT装置
200 PETスキャナ
201 隙間部分
202 カバー
210 検出器
211 シンチレータ
212 ライトガイド
213 光電子増倍管
300 X線CTスキャナ
301 X線管
302 X線検出器
500 コンソール装置
510 入出力部
520 計数情報収集部
521 計数情報記憶部
522 同時計数情報生成部
523 位置情報記憶部
524 同時計数情報記憶部
525 PET画像再構成部
530 X線投影データ記憶部
531 X線CT画像再構成部
540 制御部
600 放射線照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用放射線として重粒子線を照射する照射部と、
ガンマ線に由来する光を計数し、被検体の体軸を軸とする回転面に前記照射部により照射された重粒子線を通過させる隙間部分が設けられた検出器と、
前記隙間部分への重粒子線照射が可能な状態で、前記照射部と前記検出器とを同期して回転するように制御する制御部と、
前記制御部による回転制御が実行された状態で、前記照射部から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した前記検出器の計数時における位置情報に基づいて、核医学画像を再構成する画像再構成部と
を備えたことを特徴とする放射線治療装置。
【請求項2】
前記検出器は、前記回転面の対向する位置に複数の隙間部分を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項3】
治療用放射線として重粒子線を照射する照射部と、ガンマ線に由来する光を計数し、被検体の体軸を軸とする回転面に前記照射部により照射された重粒子線を通過させる隙間部分が設けられた検出器とを、前記隙間部分への重粒子線照射が可能な状態で、同期して回転するように制御する制御ステップと、
前記制御ステップによる回転制御が実行された状態で、前記照射部から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した前記検出器の計数時における位置情報に基づいて、核医学画像を再構成する画像再構成ステップと、
を含んだことを特徴とする制御方法。
【請求項4】
治療用放射線として重粒子線を照射する照射部と、ガンマ線に由来する光を計数し、被検体の体軸を軸とする回転面に前記照射部により照射された重粒子線を通過させる隙間部分が設けられた検出器とを、前記隙間部分への重粒子線照射が可能な状態で、同期して回転するように制御する制御手順と、
前記制御手順による回転制御が実行された状態で、前記照射部から照射された重粒子線のエネルギー放出にともない放出された対消滅ガンマ線を略同時に計数した前記検出器の計数時における位置情報に基づいて、核医学画像を再構成する画像再構成ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−45291(P2012−45291A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192284(P2010−192284)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】