説明

放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法

【課題】その被検体をより容易に位置合わせすること。
【解決手段】被検体が撮影された第1画像に基づいて複数の輝度勾配を算出するステップと、その複数の輝度勾配に基づいて複数の表示領域にそれぞれ表示される複数の表示部分63−1〜63−nをその第1画像から抽出するステップと、その複数の表示領域に複数の表示部分63−1〜63−nがそれぞれ表示され、他の領域に第2画像62が表示されている表示画像61を作成するステップとを備えている。このような表示画像61は、その第1画像が撮影された第1時刻からその第2画像が撮影された第2時刻までにその被検体がどのようにずれたかが見やすく、ユーザは、このような表示画像61を用いることにより、被検体35をより容易に位置合わせすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関し、特に、人体内部の腫瘍患部を放射線治療するときに利用される放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍患部に治療用放射線を曝射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療を実行する放射線治療装置は、カウチに横臥する患者のX線画像を撮像するイメージャシステムと、その患者に治療用放射線を曝射する治療用放射線照射装置とを備えている。その放射線治療装置は、事前に撮影された患者のCT画像とそのイメージャシステムにより直前に撮影されたその患者のX線画像とに基づいてその患者の患部が所定の位置に配置されるようにそのカウチが位置調整された後に、その治療用放射線照射装置によりその患部に治療用放射線を曝射する。その放射線治療では、その患者の患部をより高精度に所定の位置に配置することが望まれている。
【0003】
特開2007−143627号公報には、診断効率を向上することが可能な画像診断装置が開示されている。その画像診断装置は、被検体についての第1画像に、被検体についての第2画像を重畳させて表示画面に表示する表示部を有する。その画像診断装置は、前記表示部において前記第1画像を透過させて表示させる際の透過度を設定する第1透過度設定部と、前記表示部において前記第2画像を透過させて表示させる際の透過度を設定する第2透過度設定部とを含み、前記表示部は、前記第1透過度設定部によって設定された透過度に対応するように、前記第1画像を透過させて表示させると共に、前記第2透過度設定部によって設定された透過度に対応するように、前記第2画像を透過させて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−143627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、被検体の位置をより高精度に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、被検体の位置をより高速に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、第1画像収集部(42、43)と輝度勾配算出部(44)と位置合わせ表示領域算出部(45)と第2画像収集部(43、42)と表示画像作成部(46)とを備えている。第1画像収集部(42、43)は、被検体(35)が撮影された第1画像(51)(91)を収集する。第1画像(51)(91)は、複数の表示要素位置に対応する複数の第1輝度を示している。輝度勾配算出部(44)は、第1画像(51)(91)に基づいて複数の勾配算出用位置に対応する複数の輝度勾配を算出する。その複数の輝度勾配のうちの任意の位置に対応する輝度勾配は、その複数の第1輝度がその任意の位置で最も変化する勾配方向と、その複数の第1輝度がその任意の位置でその勾配方向に変化する程度とを示している。位置合わせ表示領域算出部(45)は、その複数の輝度勾配に基づいて、第1画像(51)(91)のうちの互いに異なる複数の表示領域にそれぞれ表示される複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出する。第2画像収集部(43、42)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻と異なる第2時刻に被検体(35)が撮影された第2画像を収集する。その第2画像は、その複数の表示要素位置に対応する複数の第2輝度を示している。表示画像作成部(46)は、その第2画像とその複数の表示領域とに基づいて表示画像(61)を作成する。表示画像(61)は、表示画像(61)のうちのその複数の表示領域に複数の表示部分(56−1〜56−n)がそれぞれ表示され、表示画像(61)のうちのその複数の表示領域を除く他の領域にその第2画像が表示されている。
【0008】
このような表示画像(61)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻に被検体(35)が配置されていた位置に対して、その第2画像が撮影された第2時刻に被検体(35)がどのようにずれて配置されているか見やすい。このため、ユーザは、このような表示画像(61)を用いて被検体(35)を位置合わせすることにより、被検体(35)をより容易に位置合わせすることができる。
【0009】
第1画像(51)(91)は、その第2画像よりノイズが少ないことが好ましい。すなわち、放射線治療装置制御装置(10)は、計画時に撮影された計画時画像とその計画時と異なる位置合わせ時に撮影された位置合わせ時時画像とのうちのノイズが少ない方の画像に基づいて複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出することが好ましい。
【0010】
位置合わせ表示領域算出部(45)は、その複数の輝度勾配から複数の表示領域候補輝度勾配を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数値を算出し、その複数の評価関数値に基づいて複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出する。このとき、その複数の評価関数値のうちの任意の組み合わせに対応する評価関数値は、その複数の輝度勾配のうちのその任意の組み合わせにより選択された複数の選択輝度勾配から選択される任意の2つの輝度勾配がそれぞれ配置される2つの位置の距離の総和が大きいほど大きく、かつ、その複数の選択輝度勾配がそれぞれ示す程度の総和が大きいほど大きく、かつ、その任意の2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角が直角に近いほど大きい。
【0011】
複数の表示部分(56−1〜56−n)は、複数の表示部分(56−1〜56−n)から選択される任意の2つの表示部分の間隔の総和がより大きいように、かつ、複数の表示部分(56−1〜56−n)に対応する複数の輝度勾配がそれぞれ示す複数の程度の総和がより大きいように、かつ、その任意の2つの表示部分に対応する2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角がより直角に近くなるように、抽出されることが好ましい。放射線治療装置制御装置(10)は、その複数の評価関数値に基づいて、このような複数の表示部分(56−1〜56−n)を算出することができ、好ましい。
【0012】
輝度勾配算出部(44)は、第1画像(91)を複数の画像部分(92−1〜92−m)に分割し、その複数の画像部分(92−1〜92−m)に対応する複数の平均輝度勾配を算出する。このとき、その複数の平均輝度勾配のうちの任意の画像部分に対応する平均輝度勾配は、その複数の第1輝度がその任意の画像部分で変化する勾配方向の平均と、その複数の第1輝度がその任意の画像部分でその平均に変化する程度とを示している。位置合わせ表示領域算出部(45)は、その複数の平均輝度勾配に基づいて第1画像(91)から複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出する。このような放射線治療装置制御装置(10)は、第1画像(51)(91)を構成する複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配に基づいて複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出することに比較して、複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出する演算の演算量を低減することができ、複数の表示部分(56−1〜56−n)をより高速に抽出することができる。その結果、このような放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)をより高速に位置合わせすることができる。
【0013】
その複数の表示要素位置は、平面上に配置される複数のピクセルがそれぞれ配置される複数の位置を示している。すなわち、第1画像(51)(91)とその第2画像と表示画像(61)とは、平面上に表示される画像であることが好ましい。
【0014】
複数の表示部分(56−1〜56−n)のうちの任意の表示部分の輪郭は、その複数の第1輝度がその任意の表示部分で変化する勾配方向の平均に平行である辺(72)を含むことが好ましい。このような表示画像(61)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻に被検体(35)が配置されていた位置に対して、その第2画像が撮影された第2時刻に被検体(35)がどの程度ずれて配置されているか見やすい。このため、ユーザは、このような表示画像(61)を用いて被検体(35)を位置合わせすることにより、被検体(35)をより容易に位置合わせすることができる。
【0015】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻に被検体(35)が配置された位置とその第2画像が撮影された第2時刻に被検体(35)が配置された位置とのずれ量を算出するずれ量算出部(47)をさらに備えている。このとき、放射線治療装置制御装置(10)は、このような表示画像(61)を用いてそのずれ量を算出することにより、そのずれ量をより高精度に算出することができる。
【0016】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)が所定の位置に配置されるように、被検体(35)を支持するカウチ(33)をそのずれ量に基づいて移動させる駆動装置(21、34)を制御する位置合わせ部(48)をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)がその所定の位置に配置された後に、被検体(35)の所定の部位に治療用放射線(24)が曝射されるように照射装置(6、21、23、34)を制御する照射部(49)をさらに備えていることが好ましい。
【0018】
本発明による放射線治療装置制御方法は、被検体(35)が撮影された第1画像(51)(91)を収集するステップと、第1画像(51)(91)に基づいて複数の勾配算出用位置に対応する複数の輝度勾配を算出するステップと、その複数の輝度勾配に基づいて、第1画像(51)(91)のうちの互いに異なる複数の表示領域にそれぞれ表示される複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出するステップと、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻と異なる第2時刻に被検体(35)が撮影された第2画像を収集するステップと、その第2画像とその複数の表示領域とに基づいて表示画像(61)を作成するステップとを備えている。第1画像(51)(91)は、複数の表示要素位置に対応する複数の第1輝度を示している。その第2画像は、その複数の表示要素位置に対応する複数の第2輝度を示している。その複数の輝度勾配のうちの任意の位置に対応する輝度勾配は、その複数の第1輝度がその任意の位置で最も変化する勾配方向と、その複数の第1輝度がその任意の位置でその勾配方向に変化する程度とを示している。表示画像(61)は、表示画像(61)のうちのその複数の表示領域に複数の表示部分(56−1〜56−n)がそれぞれ表示され、表示画像(61)のうちのその複数の表示領域を除く他の領域にその第2画像が表示されている。
【0019】
このような表示画像(61)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻に被検体(35)が配置されていた位置に対して、その第2画像が撮影された第2時刻に被検体(35)がどのようにずれて配置されているか見やすい。このため、ユーザは、このような表示画像(61)を用いて被検体(35)を位置合わせすることにより、被検体(35)をより容易に位置合わせすることができる。
【0020】
第1画像(51)(91)は、その第2画像よりノイズが少ない。すなわち、このような放射線治療装置制御方法では、計画時に撮影された計画時画像とその計画時と異なる位置合わせ時に撮影された位置合わせ時時画像とのうちのノイズが少ない方の画像に基づいて複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出することが好ましい。
【0021】
本発明による放射線治療装置制御方法は、その複数の輝度勾配から複数の表示領域候補輝度勾配を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数値を算出するステップをさらに備えている。このとき、複数の表示部分(56−1〜56−n)は、その複数の評価関数値に基づいて抽出される。その複数の評価関数値のうちの任意の組み合わせに対応する評価関数値は、その複数の輝度勾配のうちのその任意の組み合わせにより選択された複数の選択輝度勾配から選択される任意の2つの輝度勾配がそれぞれ配置される2つの位置の距離の総和が大きいほど大きく、かつ、その複数の選択輝度勾配がそれぞれ示す程度の総和が大きいほど大きく、かつ、その任意の2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角が直角に近いほど大きい。
【0022】
複数の表示部分(56−1〜56−n)は、複数の表示部分(56−1〜56−n)から選択される任意の2つの表示部分の間隔の総和がより大きいように、かつ、複数の表示部分(56−1〜56−n)に対応する複数の輝度勾配がそれぞれ示す複数の程度の総和がより大きいように、かつ、その任意の2つの表示部分に対応する2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角がより直角に近くなるように、抽出されることが好ましい。このような放射線治療装置制御方法では、その複数の評価関数値に基づいて、このような複数の表示部分(56−1〜56−n)を算出することができ、好ましい。
【0023】
本発明による放射線治療装置制御方法は、第1画像(91)を複数の画像部分(92−1〜92−m)に分割するステップと、その複数の画像部分(92−1〜92−m)に対応する複数の平均輝度勾配を算出するステップとをさらに備えている。その複数の平均輝度勾配のうちの任意の画像部分に対応する平均輝度勾配は、その複数の第1輝度がその任意の画像部分で変化する勾配方向の平均と、その複数の第1輝度がその任意の画像部分でその平均に変化する程度とを示している。このとき、複数の表示部分(56−1〜56−n)は、その複数の平均輝度勾配に基づいて第1画像(91)から抽出される。このような放射線治療装置制御方法では、第1画像(91)を構成する複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配に基づいて複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出することに比較して、複数の表示部分(56−1〜56−n)を抽出する演算の演算量を低減することができ、複数の表示部分(56−1〜56−n)をより高速に抽出することができる。その結果、このような放射線治療装置制御方法は、複数の表示部分(56−1〜56−n)に基づいて被検体(35)を位置合わせするときに、被検体(35)をより高速に位置合わせすることができる。
【0024】
本発明による放射線治療装置制御方法は、その複数の表示要素位置は、平面上に配置される複数のピクセルがそれぞれ配置される複数の位置を示している。すなわち、第1画像(51)(91)とその第2画像と表示画像(61)とは、平面上に表示される画像であることが好ましい。
【0025】
複数の表示部分(56−1〜56−n)のうちの任意の表示部分の輪郭は、その複数の第1輝度がその任意の表示部分で変化する勾配方向の平均に平行である辺(72)を含むことが好ましい。このような表示画像(61)は、第1画像(51)(91)が撮影された第1時刻に被検体(35)が配置されていた位置に対して、その第2画像が撮影された第2時刻に被検体(35)がどの程度ずれて配置されているか見やすい。このため、ユーザは、このような表示画像(61)を用いて被検体(35)を位置合わせすることにより、被検体(35)をより容易に位置合わせすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法によれば、このような表示画像は、2つの画像がそれぞれ撮影された2つの時刻の間に被検体がどのようにずれたかをより見やすく示すことができ、ユーザは、このような表示画像を用いることにより、その被検体をより容易に位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、放射線治療システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、放射線治療装置制御装置を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1画像を示す図である。
【図5】図5は、複数の表示部分を示す図である。
【図6】図6は、表示画像を示す図である。
【図7】図7は、1つの表示部分を示す図である。
【図8】図8は、表示部分の比較例を示す図である。
【図9】図9は、患者を位置合わせする動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、表示部分を抽出する動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第1画像から分割された複数の分割画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照して、本発明による放射線治療装置制御装置の実施の形態を記載する。その放射線治療装置制御装置10は、図1に示されているように、放射線治療システムに適用されている。その放射線治療システムは、放射線治療装置1と放射線治療装置制御装置10とCT(Computed Tomography)装置20とを備えている。放射線治療装置制御装置10は、双方向に情報を伝送することができるように、放射線治療装置1とCT装置20とに接続されている。
【0029】
放射線治療装置1は、図2に示されているように、Oリング2と走行ガントリ3と治療用放射線照射装置6とを備えている。Oリング2は、リング状に形成され、回転軸11を中心に回転可能に基礎に支持されている。回転軸11は、鉛直方向に平行である。走行ガントリ3は、リング状に形成されている。走行ガントリ3は、Oリング2のリングの内側に配置され、回転軸12を中心に回転可能にOリング2に支持されている。回転軸12は、鉛直方向に垂直であり、アイソセンタ14で回転軸11と交差している。回転軸12は、Oリング2に対して固定され、すなわち、Oリング2とともに回転軸11を中心に回転する。
【0030】
治療用放射線照射装置6は、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。治療用放射線照射装置6は、チルト軸16に回転可能に、かつ、パン軸17に回転可能に、走行ガントリ3に支持されている。チルト軸16は、パン軸17に直交している。チルト軸16とパン軸17との交点は、アイソセンタ14から1mだけ離れている。治療用放射線照射装置6は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、照射野が制御された治療用放射線24を出射する。治療用放射線24は、チルト軸16とパン軸17との交点を頂点とするコーンビームである。
【0031】
放射線治療装置1は、さらに、旋回駆動装置21とジンバル装置23とを備え、図示されていない走行駆動装置を備えている。旋回駆動装置21は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、回転軸11を中心にOリング2を回転させる。旋回駆動装置21は、さらに、基礎に対してOリング2が配置される旋回角度を測定し、その旋回角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、回転軸12を中心に走行ガントリ3を回転させる。その走行駆動装置は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が配置されるガントリ角度を測定し、そのガントリ角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0032】
ジンバル装置23は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、チルト軸16を中心に治療用放射線照射装置6を回転させ、パン軸17を中心に治療用放射線照射装置6を回転させる。ジンバル装置23は、さらに、チルト軸16を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するチルト角を測定し、そのチルト角を放射線治療装置制御装置10に出力する。ジンバル装置23は、さらに、パン軸17を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するパン角を測定し、そのパン角を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0033】
治療用放射線24は、治療用放射線照射装置6が走行ガントリ3にこのように支持されることにより、治療用放射線照射装置6がアイソセンタ14に向くように走行ガントリ3に一旦固定されると、旋回駆動装置21によりOリング2が回転されても、または、その走行駆動装置により走行ガントリ3が回転されても、常に概ねアイソセンタ14に出射される。すなわち、放射線治療装置1は、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ14に向けて治療用放射線24の照射が可能になる。
【0034】
放射線治療装置1は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置1は、第1診断用X線源25と第2診断用X線源26と第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とを備えている。第1診断用X線源25は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第1診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源26は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第2診断用X線源26を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源26は、さらに、アイソセンタ14から第1診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ14から第2診断用X線源26を結ぶ線分とのなす角が直角(90度)になるように、配置されている。第1センサアレイ27は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14を介して第1診断用X線源25に対向するように、配置されている。第2センサアレイ28は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14を介して第2診断用X線源26に対向するように、配置されている。
【0035】
第1診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第1診断用X線31をアイソセンタ14に向けて出射する。第1診断用X線31は、第1診断用X線源25が有する1点から出射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。第2診断用X線源26は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第2診断用X線32をアイソセンタ14に向けて出射する。第2診断用X線32は、第2診断用X線源26が有する1点から出射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0036】
第1センサアレイ27は、受光部を備えている。第1センサアレイ27は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第1透視画像を生成する。第2センサアレイ28は、受光部を備えている。第2センサアレイ28は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第2透視画像を生成する。その透視画像は、複数のピクセルから形成されている。その複数のピクセルは、その透視画像上にマトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。その透視画像は、その複数のピクセルの各々に対応する輝度がその複数のピクセルの各々に着色されることにより、被写体を映し出している。第1センサアレイ27と第2センサアレイ28としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0037】
このようなイメージャシステムによれば、第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とにより得た画像信号に基づき、アイソセンタ14を中心とする透視画像を生成することができる。
【0038】
放射線治療装置1は、さらに、カウチ33とカウチ駆動装置34とを備えている。カウチ33は、x軸とy軸とz軸とを中心に回転移動可能に、かつ、そのx軸とy軸とz軸とに平行に平行移動可能に基礎に支持されている。そのx軸とy軸とz軸とは、互いに直交している。カウチ33は、その放射線治療システムにより治療される患者35が横臥することに利用される。カウチ33は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、患者35が動かないように、患者35をカウチ33に固定する。カウチ駆動装置34は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、カウチ33を回転移動させ、カウチ33を平行移動させる。
【0039】
図3は、放射線治療装置制御装置10を示している。放射線治療装置制御装置10は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録する。その記憶装置は、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、特に、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その通信装置は、通信回線網を介して接続される他のコンピュータから配信される情報を放射線治療装置制御装置10にダウンロードする。その通信装置は、特に、他のコンピュータからコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にダウンロードし、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、そのCPUにより生成された画像を表示するディスプレイが例示される。
【0040】
そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置10に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、CT装置20と治療用放射線照射装置6と旋回駆動装置21と走行駆動装置とジンバル装置23と第1診断用X線源25と第2診断用X線源26と第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とカウチ駆動装置34とを含んでいる。
【0041】
放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムは、放射線治療装置制御装置10に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、治療計画収集部41と計画時画像収集部42と位置合わせ時画像撮影部43と輝度勾配算出部44と位置合わせ表示領域算出部45と表示画像作成部46とずれ量算出部47と患者位置合わせ部48と照射部49とを含んでいる。
【0042】
治療計画収集部41は、入力装置から治療計画を収集する。その治療計画は、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者35の患部に治療用放射線24を照射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ33の位置を示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング2の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング2に対する走行ガントリ3の位置を示している。その線量は、その照射角度から患者35に照射される治療用放射線24の線量を示している。その治療計画は、CT装置20により撮影された計画時3次元データに基づいて作成される。
【0043】
計画時画像収集部42は、その計画時3次元データをCT装置20から収集する。その計画時3次元データは、患者35の3次元データを示し、複数のボクセルに複数のCT値を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者35が配置される空間に隙間なく充填される複数の領域に対応している。たとえば、その複数の領域は、それぞれ、直方体に形成されている。その複数のCT値のうちの任意のボクセルに対応する1つのCT値は、その複数の領域のうちのその任意のボクセルに対応する領域にX線が透過する透過率に対応している。計画時画像収集部42は、さらに、その計画時3次元データに基づいて計画時断層画像を再構成する。
【0044】
位置合わせ時画像撮影部43は、カウチ33に横臥した患者35を映す複数の位置合わせ時第1透視画像と複数の位置合わせ時第2透視画像とが撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、位置合わせ時画像撮影部43は、基礎に対してOリング2が所定の旋回角度に配置されるように、旋回駆動装置21を制御する。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が一定の角速度で回転軸12を中心に回転するように、その走行駆動装置を制御する。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定の複数のガントリ角度に配置されたときに、第1診断用X線31が曝射されるように、第1診断用X線源25を制御する。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定の複数のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用X線32が曝射されるように、第2診断用X線源26を制御する。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定の複数のガントリ角度に配置されたときに、複数の位置合わせ時第1透視画像がそれぞれ生成されるように、第1センサアレイ27を制御する。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定の複数のガントリ角度に配置されたときに、複数の位置合わせ時第2透視画像がそれぞれ生成されるように、第2センサアレイ28を制御する。
【0045】
位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、複数の位置合わせ時第1透視画像と複数の位置合わせ時第2透視画像とに基づいて位置合わせ時3次元データを算出する。その位置合わせ時3次元データは、患者35の3次元データを示し、その計画時3次元データと同様にして、複数のボクセルに複数のCT値を対応付けている。患者35の3次元データを示し、複数のボクセルに複数のCT値を対応付けている。その複数のCT値のうちの任意のボクセルに対応する1つのCT値は、その複数の領域のうちのその任意のボクセルに対応する領域にX線が透過する透過率に対応している。位置合わせ時画像撮影部43は、さらに、その位置合わせ時3次元データに基づいて位置合わせ時断層画像を再構成する。
【0046】
輝度勾配算出部44は、計画時画像収集部42により再構成された計画時断層画像に基づいて計画時画像ノイズ量を算出する。その計画時画像ノイズ量は、その計画時断層画像に含まれるノイズの量を示している。輝度勾配算出部44は、位置合わせ時画像撮影部43により再構成された位置合わせ時断層画像に基づいて位置合わせ時画像ノイズ量を算出する。その位置合わせ時画像ノイズ量は、その位置合わせ時断層画像に含まれるノイズの量を示している。輝度勾配算出部44は、その計画時画像ノイズ量とその位置合わせ時画像ノイズ量とに基づいて、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちから第1画像と第2画像とを選択する。その第1画像は、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちのノイズの量が少ない方の画像を示している。その第2画像は、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちのノイズの量が多い方の画像を示している。
【0047】
輝度勾配算出部44は、ガウシアンフィルタにより、その第1画像をノイズ除去する。なお、輝度勾配算出部44は、ガウシアンフィルタと異なる他のノイズ除去手法が適用されることもできる。そのノイズ除去手法としては、ミーンフィルタ、メディアンフィルタが例示される。輝度勾配算出部44は、ニアレストネイバー法により、そのノイズ除去された第1画像を縮小する。なお、輝度勾配算出部44は、ニアレストネイバー法と異なる他の縮小化手法が適用されることもできる。その縮小化手法としては、バイリニア法、バイキュービック法、平均画素法が例示される。
【0048】
輝度勾配算出部44は、さらに、その第1画像が示す複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配を算出する。その複数の輝度勾配の各々は、勾配方向と勾配量とを示している。その複数の輝度勾配のうちの任意のピクセルに対応する1つの輝度勾配が示す勾配方向は、その第1画像が示す複数の輝度がその任意のピクセルで最も変化する方向を示している。その1つの輝度勾配が示す勾配量は、その第1画像が示す複数の輝度がその任意のピクセルでその勾配方向に変化する程度とを示している。
【0049】
このような縮小によれば、その複数の輝度勾配を算出するための計算量は、低減し、輝度勾配算出部44は、その複数の輝度勾配をより高速に算出することができる。
【0050】
位置合わせ表示領域算出部45は、輝度勾配算出部44により算出された複数の輝度勾配に基づいて、輝度勾配算出部44により選択された第1画像から複数の表示表域に配置される複数の表示部分を抽出する。
【0051】
表示画像作成部46は、輝度勾配算出部44により選択された第2画像と位置合わせ表示領域算出部45により抽出された複数の表示部分とに基づいて、表示画像を作成する。表示画像作成部46は、さらに、その表示画像を表示装置に表示する。
【0052】
ずれ量算出部47は、表示画像作成部46により作成された表示画像に基づいてずれ量を算出する。
【0053】
患者位置合わせ部48は、ずれ量算出部47により算出されたずれ量に基づいて補正量を算出する。その補正量は、x軸回転補正量とy軸回転補正量とz軸回転補正量とx軸並進補正量とy軸並進補正量とz軸並進補正量とから形成されている。そのx軸回転補正量は、x軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのy軸回転補正量は、y軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのz軸回転補正量は、z軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのx軸並進補正量は、x軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。そのy軸並進補正量は、y軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。そのz軸並進補正量は、z軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。
【0054】
患者位置合わせ部48は、その補正量に基づいてカウチ駆動装置34を制御する。すなわち、患者位置合わせ部48は、x軸を中心にそのx軸回転補正量だけカウチ33が回転し、x軸を中心にカウチ33が回転した後にy軸を中心にそのy軸回転補正量だけカウチ33が回転し、y軸を中心にカウチ33が回転した後にz軸を中心にそのz軸回転補正量だけカウチ33が回転するように、カウチ駆動装置34を制御する。患者位置合わせ部48は、さらに、z軸を中心にカウチ33が回転した後に、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動するように、カウチ駆動装置34を制御する。
【0055】
照射部49は、治療計画収集部41により収集された治療計画に示される放射線治療が実行されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、照射部49は、その治療計画が示す照射角度に治療用放射線照射装置6が患者35に対して配置されるように、カウチ駆動装置34を制御し、旋回駆動装置21を制御し、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。照射部49は、さらに、患者35を写す治療時第1透視画像が撮影されるように、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とを制御する。照射部49は、さらに、患者35を写す治療時第2透視画像が撮影されるように、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とを制御する。照射部49は、さらに、その治療時第1透視画像と治療時第2透視画像とに基づいて、患者35の患部の位置を算出し、その患部の形状を算出する。照射部49は、さらに、その算出された患部の位置に治療用放射線照射装置6が向くように、ジンバル装置23を制御する。照射部49は、さらに、その患部の形状に治療用放射線24の照射野が一致するように、治療用放射線照射装置6を制御し、その患部に治療用放射線24が照射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。照射部49は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線24が患者35の患部に照射されるまで、その治療時第1透視画像と治療時第2透視画像との撮影から治療用放射線24の照射までの動作を繰り返して実行する。
【0056】
図4は、輝度勾配算出部44により選択された第1画像を示している。その第1画像51は、2次元のデータであり、すなわち、1つの平面上に配置される複数のピクセルに複数の輝度が対応付けられている。第1画像51は、患者35のうちの所定の平面と交差した部分を映す像52が表示されている。すなわち、その複数の輝度のうちの任意のピクセルに対応する輝度は、患者35のうちのその任意のピクセルに対応する部分にX線が透過する透過率を示している。
【0057】
輝度勾配算出部44により選択された第2画像は、第1画像51と同様にして、2次元のデータであり、すなわち、1つの平面上に配置される複数のピクセルに複数の輝度が対応付けられている。その第2画像は、患者35のうちの所定の平面と交差した部分を映す像を表示している。その所定の平面は、第1画像51が示す患者35の部分が配置される平面に一致している。その複数の輝度のうちの任意のピクセルに対応する輝度は、患者35のうちのその任意のピクセルに対応する部分にX線が透過する透過率を示している。
【0058】
図5は、位置合わせ表示領域算出部45により抽出された複数の表示部分を示している。その複数の表示部分55は、複数の表示領域56−1〜56−n(n=2,3,4,…)に対応付けられている。複数の表示部分55は、第1画像51のうちの複数の表示領域56−1〜56−nにそれぞれ表示されている複数の部分を示している。
【0059】
このとき、位置合わせ表示領域算出部45は、輝度勾配算出部44により算出された複数の輝度勾配に基づいて、第1画像51が示す複数のピクセルから複数の表示点候補を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数を算出する。その複数の評価関数のうちの任意の組み合わせに対応する評価関数は、その任意の組み合わせにより選択された複数の表示点候補から選択される任意の2つの表示点候補の間隔の総和が大きいほど大きくなるように、かつ、その任意の2つの表示点候補に対応する2つの輝度勾配の勾配方向のなす角が直角に近いほど大きくなるように、かつ、その任意の組み合わせにより選択された複数の表示点候補に対応する複数の輝度勾配の勾配量の総和が大きいほど大きくなるように、算出される。
【0060】
すなわち、第1画像51が示す複数のピクセルからn個の表示点候補を選択する組み合わせに対応する評価関数Dは、次式:
=|∇I(x)|×(к・Dxy,n+(1−к)・DΔθ,n
により表される。ここで、変数Dxy,nは、次式:
xy,n=Σ1≦l≦n[Σl≦k≦n||x−x||]
により表現される。変数DΔθ,nは、次式:
Δθ,n=Σ1≦l≦n[Σl≦k≦n f(Δθl,k)]
により表現される。関数f(x)は、次式:
f(x)={π/2−|(|x| mod π)−π/2|}
により表現される。角度差Δθl,kは、次式:
Δθl,k=cos−1{∇I(x)・∇I(x)/(|∇I(x)||∇I(x)|)}
により表現される。座標xは、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択されたピクセルの位置を示している。輝度I(x)は、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択されたピクセルが示す輝度を示している。輝度勾配∇I(x)は、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択された点に対応する輝度勾配を示している。強調係数кは、0以上1以下の数を示し、大きいと評価関数Dにおいて変数Dxy,nの項が強調される。
【0061】
図6は、表示画像作成部46により作成された表示画像を示している。その表示画像61は、像62と複数の表示部分63−1〜63−nとが表示されている。像62は、輝度勾配算出部44により選択された第2画像に表示される患者35の像を示している。複数の表示部分63−1〜63−nは、位置合わせ表示領域算出部45により抽出された複数の表示部分をそれぞれ示している。複数の表示部分63−1〜63−nは、表示画像61のうちの複数の表示領域56−1〜56−nにそれぞれ表示されている。
【0062】
図7は、複数の表示部分63−1〜63−nのうちの1つの表示部分を示している。その表示部分71は、特徴線73を表示している。特徴線73は、表示部分71に対応する輝度勾配が算出された点を含み、表示部分71のうちの輝度の変化が比較的大きい領域を示している。すなわち、特徴線73は、表示部分71に対応する輝度勾配が示す勾配方向75に概ね平行である。表示部分71は、長方形に形成されている。その長方形を形成する複数の辺は、辺72を含んでいる。辺72は、辺72の方向74が特徴線73に概ね垂直になるように、すなわち、方向74が勾配方向75に平行になるように、形成されている。
【0063】
図7は、さらに、像62の一部を示している。像62は、特徴線76を表示している。特徴線76は、像62のうちの輝度の変化が比較的大きい領域を示し、特徴線73が示す被写体と同じ被写体を示している。このとき、ずれ量算出部47は、特徴線73と特徴線76とに基づいて画像ずれ量77を算出する。画像ずれ量77は、特徴線73から特徴線76までの距離を示している。ずれ量算出部47は、表示部分71から画像ずれ量77を算出することと同様にして、複数の表示部分63−1〜63−nに対応する複数の画像ずれ量を算出する。ずれ量算出部47は、その複数の画像ずれ量と複数の表示部分63−1〜63−nに対応する複数の輝度勾配がそれぞれ示す複数の勾配方向とに基づいて、ずれ量を算出する。
【0064】
そのずれ量は、x軸回り回転ずれ量とy軸回り回転ずれ量とz軸回り回転ずれ量とx軸平行移動ずれ量とy軸平行移動ずれ量とz軸平行移動ずれ量とを示している。そのx軸周り回転ずれ量は、患者35をx軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのy軸周り回転ずれ量は、患者35をy軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのz軸周り回転ずれ量は、患者35をz軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのx軸平行移動ずれ量は、患者35をx軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのy軸平行移動ずれ量は、患者35をy軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのz軸平行移動ずれ量は、患者35をz軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのずれ量は、患者35がそのずれ量だけ移動したときに、放射線治療装置1を用いて位置合わせ時画像撮影部43により撮影された位置合わせ時3次元データから再構成された位置合わせ時断層画像が、計画時画像収集部42により再構成された計画時断層画像に類似するように、算出される。
【0065】
図8は、表示部分の比較例を示している。その表示部分81は、特徴線83を表示している。特徴線83は、表示部分81に対応する輝度勾配が算出された点を含み、表示部分81のうちの輝度の変化が比較的大きい領域を示している。すなわち、特徴線83は、表示部分81に対応する輝度勾配が示す勾配方向85に概ね平行である。表示部分81は、長方形に形成されている。その長方形を形成する複数の辺は、辺82を含んでいる。辺82は、辺82の方向84が特徴線83と垂直にならないように、すなわち、方向84が勾配方向85に平行にならないように、形成されている。
【0066】
図8は、さらに、表示画像作成部46により作成された表示画面に表示部分81とともに表示される像の一部を示している。その像は、特徴線86を表示している。特徴線86は、その像のうちの輝度の変化が比較的大きい領域を示し、特徴線83が示す被写体と同じ被写体を示している。このとき、表示部分81は、辺72に沿って輝度が変化する程度に比較して、辺82に沿って輝度が変化する程度がより小さくなる。画像に映し出される2つの部分の境界は、一般に、その2つの部分の輝度の差が小さいほど、すなわち、その2つの部分のコントラストが小さいほど、不明瞭である。このため、その表示画面を見るユーザは、特徴線83から特徴線86までの距離を示す画像ずれ量87の程度を見誤ることがある。さらに、特徴線83と特徴線86とは、特徴線83と特徴線86とが同一直線状に配置されていないときに、なだらかに屈曲する1本の曲線の一部に見えることがある。このため、その表示画面を見るユーザは、特徴線83から特徴線86までの距離を示す画像ずれ量87の程度を見誤ることがある。
【0067】
すなわち、表示部分71は、表示部分81に比較して、特徴線73と特徴線76とが同一直線状に配置されていないと誤認する可能性を低減することができる。さらに、複数の表示部分63−1〜63−nの各々が表示部分71と同様に作成されることにより、ずれ量算出部47は、複数の表示部分63−1〜63−nに対応する複数の画像ずれ量をより高精度に算出することができ、患者35のずれ量をより高精度に算出することができる。
【0068】
なお、表示部分71は、長方形と異なる他の形状に形成されることもできる。その形状は、特徴線73に概ね垂直である辺を有し、すなわち、勾配方向75に平行である辺を有している多角形(三角形、六角形)を含んでいる。その形状は、曲線により囲まれる図形(たとえば、楕円)をさらに含んでいる。このとき、その曲線は、特徴線73に垂直である直線を接線とし、すなわち、勾配方向75に平行である直線を接線としている。その曲線は、その接線の接点で特徴線73に交差している。このような形状に形成される表示部分は、既述の実施の形態における表示部分71と同様にして、特徴線73と特徴線76とが同一直線状に配置されるかどうかを誤認する可能性を低減することができる。
【0069】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の形態は、放射線治療装置制御装置10により実行され、患者を位置合わせする動作と放射線治療する動作とを備えている。
【0070】
その位置合わせ時透視画像を撮影する動作は、CT装置20により患者35の3次元データが撮影され、ユーザにより患者35の治療計画が作成された後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、図9に示されているように、患者35がカウチ33に固定された後に、まず、患者35を映す複数の位置合わせ時第1透視画像と複数の位置合わせ時第2透視画像とが撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、複数の位置合わせ時第1透視画像と複数の位置合わせ時第2透視画像とに基づいて位置合わせ時3次元データを算出する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その位置合わせ時3次元データに基づいて位置合わせ時断層画像を再構成する。
【0071】
放射線治療装置制御装置10は、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちから第1画像と第2画像とを選択する(ステップS1)。その第1画像は、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちのノイズの量が少ない方の画像を示している。その第2画像は、その計画時断層画像とその位置合わせ時断層画像とのうちのノイズの量が多い方の画像を示している。放射線治療装置制御装置10は、ガウシアンフィルタによりその第1画像をノイズ除去し(ステップS2)、ニアレストネイバー法によりその第1画像を縮小する(ステップS3)。放射線治療装置制御装置10は、さらに、このように作成された第1画像51が示す複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配を算出する(ステップS4)。
【0072】
放射線治療装置制御装置10は、このようなノイズ除去と縮小により、その複数の輝度勾配を算出する計算量を低減することができ、複数の輝度勾配をより高速に算出することができる。なお、放射線治療装置制御装置10は、その第1画像のノイズが十分に少ないときに、または、放射線治療装置制御装置10が複数の輝度勾配を十分に高速に算出することができるときに、そのノイズ除去または縮小を省略することもできる。
【0073】
放射線治療装置制御装置10は、その複数の輝度勾配に基づいて、第1画像51から複数の表示領域56−1〜56−nに配置される複数の表示部分55を抽出する(ステップS5)。放射線治療装置制御装置10は、その第2画像と複数の表示部分55とに基づいて表示画像61を作成する(ステップS6)。放射線治療装置制御装置10は、さらに、表示画像61を表示装置に表示する。ユーザは、表示画像61を見ることにより、患者35がどの方向にどの程度ずれて配置されているかを容易に確認することができる。
【0074】
放射線治療装置制御装置10は、表示画像61に基づいてずれ量を算出する(ステップS7)。放射線治療装置制御装置10は、そのずれ量に基づいて補正量を算出する。その補正量は、x軸回転補正量とy軸回転補正量とz軸回転補正量とx軸並進補正量とy軸並進補正量とz軸並進補正量とから形成されている。放射線治療装置制御装置10は、その補正量に基づいてカウチ駆動装置34を制御する(ステップS8)。すなわち、放射線治療装置制御装置10は、x軸を中心にそのx軸回転補正量だけカウチ33が回転し、x軸を中心にカウチ33が回転した後にy軸を中心にそのy軸回転補正量だけカウチ33が回転し、y軸を中心にカウチ33が回転した後にz軸を中心にそのz軸回転補正量だけカウチ33が回転するように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、z軸を中心にカウチ33が回転した後に、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動するように、カウチ駆動装置34を制御する。
【0075】
図10は、ステップS5の表示領域の抽出を示している。放射線治療装置制御装置10は、ステップS4で算出された複数の輝度勾配に基づいて1番目の表示部分を抽出する(ステップS11)。その1番目の表示部分は、その複数の輝度勾配のうちの勾配量|∇I(x)|が最大である輝度勾配に対応するピクセルxを含む領域である。放射線治療装置制御装置10は、変数nに2を代入する(ステップS12)。放射線治療装置制御装置10は、第1画像51が示す複数のピクセルからn個の表示点候補を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数Dを算出する。そのn個の表示点候補は、ステップS11で抽出された1番目の表示部分を含んでいる。評価関数Dは、次式:
=|∇I(x)|×(к・Dxy,n+(1−к)・DΔθ,n
により表される。ここで、変数Dxy,nは、次式:
xy,n=Σ1≦l≦n[Σl≦k≦n||x−x||]
により表現される。変数DΔθ,nは、次式:
Δθ,n=Σ1≦l≦n[Σl≦k≦n f(Δθl,k)]
により表現される。関数f(x)は、次式:
f(x)={π/2−|(|x| mod π)−π/2|}
により表現される。角度差Δθl,kは、次式:
Δθl,k=cos−1{∇I(x)・∇I(x)/(|∇I(x)||∇I(x)|)}
により表現される。座標xは、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択されたピクセルの位置を示している。輝度I(x)は、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択されたピクセルが示す輝度を示している。輝度勾配∇I(x)は、そのn個の表示点候補のうちのk番目(1≦k≦n−1)に選択された点に対応する輝度勾配を示している。強調係数кは、ユーザにより設定された定数を示し、0以上1以下の数を示している。
【0076】
放射線治療装置制御装置10は、その複数の評価関数Dのうちの最大である評価関数Dを選択し、その選択された評価関数Dに基づいて複数のピクセルのうちから1つのピクセルxを選択し、ピクセルxを含む表示領域を求めるべき複数の表示領域に追加する(ステップS13)。ピクセルxは、その複数の組み合わせのうちのその選択された評価関数Dに対応する組み合わせにより選択されたn個の表示点候補のうちのn番目の表示点候補を示している。
【0077】
放射線治療装置制御装置10は、変数nの値に1を加算した和に変数nを更新する(ステップS14)。放射線治療装置制御装置10は、その選択された評価関数Dを算出するときに算出された変数Dxy,nと変数DΔθ,nとが所定の範囲内にあるかどうかを判別する(ステップS15)。放射線治療装置制御装置10は、次式:
xy,n−Dxy,n−1>Thxy
が成立するときに、または、次式:
Δθ,n−DΔθ,n−1>ThΔθ
が成立するときに(ステップS15、YES)、変数nと定数Nとの大小関係を判別する(ステップS16)。閾値Thxyと閾値ThΔθとは、ユーザにより設定された定数である。定数Nは、ユーザにより設定された自然数であり、2以上の自然数である。
【0078】
放射線治療装置制御装置10は、変数nが定数Nより小さいときに(ステップS16、YES)、第1画像51が示す複数のピクセルからn個の表示点候補を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数Dを再度算出する(ステップS13)。
【0079】
放射線治療装置制御装置10は、次式:
xy,n−Dxy,n−1>Thxy
が成立しないで、かつ、次式:
Δθ,n−DΔθ,n−1>ThΔθ
が成立しなくなるまで(ステップS15、NO)、または、変数nが定数Nになるまで(ステップS16、NO)、ステップS13〜S14を繰り返して実行する。
【0080】
このように抽出された複数の表示部分55によれば、放射線治療装置制御装置10は、第1画像に対して第2画像がどの方向にどの程度ずらすことにより第1画像と第2画像とが一致するかをより高精度に算出することができ、このため、患者35のずれ量をより高精度に算出することができ、患者35をより高精度に位置合わせすることができる。放射線治療装置制御装置10は、ステップS15により、不要な表示領域が選択されることが防止され、患者35のずれ量をより高速に算出することができる。
【0081】
なお、放射線治療装置制御装置10は、ステップS13で、次式:
xy,n−Dxy,n−1>Thxy
が成立するときに、かつ、次式:
Δθ,n−DΔθ,n−1>ThΔθ
が成立するときに、ステップS16に進み、変数nと定数Nとの大小関係を判別するようにすることもできる。この場合も、放射線治療装置制御装置10は、第1画像に対して第2画像がどの方向にどの程度ずらすことにより第1画像と第2画像とが一致するかをより高精度に算出することができ、このため、患者35のずれ量をより高精度に算出することができ、患者35をより高精度に位置合わせすることができる。この場合も、放射線治療装置制御装置10は、さらに、不要な表示領域が選択されることが防止され、患者35のずれ量をより高速に算出することができる。
【0082】
なお、放射線治療装置制御装置10は、ステップS15を省略することもできる。このとき、放射線治療装置制御装置10は、変数nが定数Nになるまで、ステップS13〜S14を繰り返して実行する。この場合も、放射線治療装置制御装置10は、第1画像に対して第2画像がどの方向にどの程度ずらすことにより第1画像と第2画像とが一致するかをより高精度に算出することができる。このため、放射線治療装置制御装置10は、患者35のずれ量をより高精度に算出することができ、患者35をより高精度に位置合わせすることができる。
【0083】
なお、ユーザは、放射線治療装置制御装置10がずれ量を算出した後に、そのずれ量を参照して、患者35がそのずれ量だけ移動するように、カウチ駆動装置34を手動で制御することもできる。この場合も、ユーザは、患者35をより高精度に位置合わせすることができる。さらに、ユーザは、患者35が位置合わせされた後に、再度、表示画像を作成し、その表示画像を見ることにより、患者35が所定の位置に配置されているかどうかをより容易に確認することができる。
【0084】
なお、ユーザは、放射線治療装置制御装置10により表示画像61が作成された後に、表示画像61を見ることにより、放射線治療装置制御装置10を用いないで患者35がどの方向にどの程度ずれて配置されているかを算出することもできる。このとき、放射線治療装置制御装置10は、ずれ量算出部47を省略することができる。このとき、放射線治療装置制御装置10は、患者35がそのずれ量だけ移動するように、そのずれ量に基づいてカウチ駆動装置34を制御し、または、ユーザは、患者35がそのずれ量だけ移動するように、カウチ駆動装置34を手動で制御する。このような位置合わせも、既述の実施の形態と同様にして、患者35をより高精度に位置合わせすることができる。
【0085】
その放射線治療する動作は、患者を位置合わせする動作が実行された後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、その治療計画が示すOリング回転角にOリング2が配置されるように、旋回駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示すガントリ回転角に走行ガントリ3が配置されるように、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。
【0086】
放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、患者35の第1追尾用透視画像が撮影されるように第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とを制御し、患者35の第2追尾用透視画像が撮影されるように第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とを制御する。
【0087】
放射線治療装置制御装置10は、その第1追尾用透視画像と第2追尾用透視画像とに基づいて患者35の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置10は、その算出された位置に治療用放射線照射装置6が向くように、ジンバル装置23を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その患部の形状に治療用放射線24の照射野が一致するように、かつ、その患部に治療用放射線24が所定の線量だけ照射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線24が患者35の患部に照射されるまで、その追尾用透視画像の撮影から治療用放射線24の照射までの動作を周期的に繰り返して実行する。
【0088】
このような放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置制御装置10は、患者35の骨が所定の位置に配置されるように患者35がより高精度に位置合わせされていることにより、患者35の患部に治療用放射線24をより高精度に照射することができ、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0089】
なお、放射線治療する動作は、放射線治療する他の動作に置換されることもできる。たとえば、放射線治療装置制御装置10は、その算出された患部の位置と治療用放射線照射装置6により治療用放射線24が曝射されようとしている位置との差が所定範囲に含まれるときに、治療用放射線24が出射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その算出された患部の位置と治療用放射線照射装置6により治療用放射線24が曝射されようとしている位置との差がその所定範囲に含まれないときに、治療用放射線24が曝射されないように、治療用放射線照射装置6を制御する。この場合も、放射線治療装置制御装置10は、既述の放射線治療の場合と同様にして、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0090】
なお、放射線治療装置制御装置10は、その計画時断層画像と位置合わせ時断層画像とをその第1画像と第2画像とのどちらにするかをノイズの量に無関係に固定することもできる。この場合も、表示画像は、患者35がどの方向にどの程度ずれているかをより見やすく示すことができ、ユーザは、このような表示画像を用いることにより、その被検体をより容易に位置合わせすることができる。
【0091】
なお、位置合わせ時画像撮影部43は、位置合わせ時3次元データを撮影しないで、位置合わせ時第1透視画像と位置合わせ時第2透視画像とのみを撮影することもできる。その位置合わせ時第1透視画像は、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。その位置合わせ時第2透視画像は、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。このとき、放射線治療装置制御装置10は、CT装置20により撮影された計画時3次元データに基づいて、第1DRR画像と第2DRR画像とを再構成する。その第1DRR画像は、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。その第2DRR画像は、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。放射線治療装置制御装置10は、断層画像のときと同様にして、表示画像を作成する。このように作成された表示画像は、断層画像に基づいて作成された表示画像と同様にして、患者35がどの方向にどの程度ずれているかをより見やすく示すことができ、ユーザは、このような表示画像を用いることにより、その被検体をより容易に位置合わせすることができる。
【0092】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の他の形態は、ステップS4とS5との処理が他の処理に置換されている。放射線治療装置制御装置10は、図11に示されているように、第1画像91が示す複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配を算出した後に、第1画像91を複数の分割画像92−1〜92−m(m=2,3,4,…)に分割する。放射線治療装置制御装置10は、複数の分割画像92−1〜92−mの各分割画像92−j(j=1,2,3,…,m)に含まれる複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配を平均することにより、複数の分割画像92−1〜92−mに対応する複数の平均輝度勾配を算出する。その複数の平均輝度勾配のうちの任意の分割画像92−jに対応する平均輝度勾配は、平均勾配方向と平均勾配量とを示している。その平均勾配方向は、分割画像92−jに含まれる複数のピクセルに対応する複数の輝度が最も変化する方向を示している。その平均勾配量は、分割画像92−jに含まれる複数のピクセルに対応する複数の輝度がその平均勾配方向に変化する程度とを示している。
【0093】
放射線治療装置制御装置10は、その評価関数がより大きくなるように、複数の分割画像92−1〜92−mから複数の分割画像を選択する。放射線治療装置制御装置10は、その選択された複数の分割画像に基づいて複数の表示部分を選択する。その複数の表示部分がそれぞれ配置される複数の表示領域は、その選択された複数の分割画像がそれぞれ含まれるように、第1画像91から抽出される。放射線治療装置制御装置10は、その第2画像とその選択された複数の表示部分とに基づいて表示画像を作成する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その表示画像を表示装置に表示する。
【0094】
このように作成された表示画像によれば、既述の実施の形態における表示画像61と同様にして、ユーザは、患者35がどの方向にどの程度ずれて配置されているかを容易に確認することができる。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第1画像91が示す複数のピクセルに対応する複数の輝度勾配に基づいて複数の表示部分を抽出することに比較して、その複数の平均輝度勾配に基づいてその複数の表示部分を抽出する演算の演算量を低減することができ、その複数の表示部分をより高速に抽出することができる。その結果、放射線治療装置制御装置10は、患者35をより高速に位置合わせすることができる。
【0095】
なお、表示画像は、3次元データに置換されることもできる。すなわち、放射線治療装置制御装置10は、計画時3次元データと位置合わせ時3次元データとのうちの一方から複数の3次元領域に表示される複数の3次元部分を抽出し、その計画時3次元データと位置合わせ時3次元データとのうちの他方とその抽出された複数の3次元部分とが重ねて表示された3次元表示画像を作成する。このような3次元表示画像によれば、既述の実施の形態における2次元の表示画像61と同様にして、ユーザは、患者35がどの方向にどの程度ずれて配置されているかを容易に確認することができる。このような3次元表示画像によれば、既述の実施の形態における2次元の表示画像61に比較して、ユーザは、患者35がどの3次元方向にどの程度ずれて配置されているかをより容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 :放射線治療装置
2 :Oリング
3 :走行ガントリ
6 :治療用放射線照射装置
10:放射線治療装置制御装置
11:回転軸
12:回転軸
14:アイソセンタ
16:チルト軸
17:パン軸
20:CT装置
21:旋回駆動装置
23:ジンバル装置
24:治療用放射線
25:第1診断用X線源
26:第2診断用X線源
27:第1センサアレイ
28:第2センサアレイ
31:第1診断用X線
32:第2診断用X線
33:カウチ
34:カウチ駆動装置
35:患者
41:治療計画収集部
42:計画時画像収集部
43:位置合わせ時画像撮影部
44:輝度勾配算出部
45:位置合わせ表示領域算出部
46:表示画像作成部
47:ずれ量算出部
48:患者位置合わせ部
49:照射部
51:第1画像
52:像
55:表示部分
56−1〜56−n:複数の表示領域
61:表示画像
62:像
63−1〜63−n:複数の表示部分
71:表示部分
72:辺
73:特徴線
74:方向
75:勾配方向
76:特徴線
77:画像ずれ量
91:第1画像
92−1〜92−m:複数の分割画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が撮影された第1画像を収集する第1画像収集部と、
前記第1画像に基づいて複数の勾配算出用位置に対応する複数の輝度勾配を算出する輝度勾配算出部と、
前記複数の輝度勾配に基づいて、前記第1画像のうちの互いに異なる複数の表示領域にそれぞれ表示される複数の表示部分を抽出する位置合わせ表示領域算出部と、
前記第1画像が撮影された第1時刻と異なる第2時刻に前記被検体が撮影された第2画像を収集する第2画像収集部と、
前記第2画像と前記複数の表示領域とに基づいて表示画像を作成する表示画像作成部とを具備し、
前記第1画像は、複数の表示要素位置に対応する複数の第1輝度を示し、
前記第2画像は、前記複数の表示要素位置に対応する複数の第2輝度を示し、
前記複数の輝度勾配のうちの任意の位置に対応する輝度勾配は、
前記複数の第1輝度が前記任意の位置で最も変化する勾配方向と、
前記複数の第1輝度が前記任意の位置で前記勾配方向に変化する程度とを示し、
前記表示画像は、
前記表示画像のうちの前記複数の表示領域に前記複数の表示部分がそれぞれ表示され、
前記表示画像のうちの前記複数の表示領域を除く他の領域に前記第2画像が表示される
放射線治療装置制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1画像は、前記第2画像よりノイズが少ない
放射線治療装置制御装置。
【請求項3】
請求項1〜請求項2のいずれかにおいて、
前記位置合わせ表示領域算出部は、前記複数の輝度勾配から複数の表示領域候補輝度勾配を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数を算出し、前記複数の評価関数に基づいて前記複数の表示部分を抽出し、
前記複数の評価関数のうちの任意の組み合わせに対応する評価関数は、
前記複数の輝度勾配のうちの前記任意の組み合わせにより選択された複数の選択輝度勾配から選択される任意の2つの輝度勾配がそれぞれ配置される2つの位置の距離の総和が大きいほど大きく、
前記複数の選択輝度勾配がそれぞれ示す程度の総和が大きいほど大きく、
前記任意の2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角が直角に近いほど大きい
放射線治療装置制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項2のいずれかにおいて、
前記輝度勾配算出部は、前記第1画像を複数の画像部分に分割し、前記複数の画像部分に対応する複数の平均輝度勾配を算出し、
前記複数の平均輝度勾配のうちの任意の画像部分に対応する平均輝度勾配は、
前記複数の第1輝度が前記任意の画像部分で変化する勾配方向の平均と、
前記複数の第1輝度が前記任意の画像部分で前記平均に変化する程度とを示し、
前記位置合わせ表示領域算出部は、前記複数の平均輝度勾配に基づいて前記第1画像から前記複数の表示部分を抽出する
放射線治療装置制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
前記複数の表示要素位置は、平面上に配置される複数のピクセルがそれぞれ配置される複数の位置を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記複数の表示部分のうちの任意の表示部分の輪郭は、前記複数の第1輝度が前記任意の表示部分で変化する勾配方向の平均に平行である辺を含む
放射線治療装置制御装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかにおいて、
前記第1画像が撮影された第1時刻に前記被検体が配置された位置と前記第2画像が撮影された第2時刻に前記被検体が配置された位置とのずれ量を算出するずれ量算出部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記被検体が所定の位置に配置されるように、前記被検体を支持するカウチを前記ずれ量に基づいて移動させる駆動装置を制御する位置合わせ部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記被検体が前記所定の位置に配置された後に、前記被検体の所定の部位に治療用放射線が曝射されるように照射装置を制御する照射部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項10】
被検体が撮影された第1画像を収集するステップと、
前記第1画像に基づいて複数の勾配算出用位置に対応する複数の輝度勾配を算出するステップと、
前記複数の輝度勾配に基づいて、前記第1画像のうちの互いに異なる複数の表示領域にそれぞれ表示される複数の表示部分を抽出するステップと、
前記第1画像が撮影された第1時刻と異なる第2時刻に前記被検体が撮影された第2画像を収集するステップと、
前記第2画像と前記複数の表示領域とに基づいて表示画像を作成するステップとを具備し、
前記第1画像は、複数の表示要素位置に対応する複数の第1輝度を示し、
前記第2画像は、前記複数の表示要素位置に対応する複数の第2輝度を示し、
前記複数の輝度勾配のうちの任意の位置に対応する輝度勾配は、
前記複数の第1輝度が前記任意の位置で最も変化する勾配方向と、
前記複数の第1輝度が前記任意の位置で前記勾配方向に変化する程度とを示し、
前記表示画像は、
前記表示画像のうちの前記複数の表示領域に前記複数の表示部分がそれぞれ表示され、
前記表示画像のうちの前記複数の表示領域を除く他の領域に前記第2画像が表示される
放射線治療装置制御方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1画像は、前記第2画像よりノイズが少ない
放射線治療装置制御方法。
【請求項12】
請求項10〜請求項11のいずれかにおいて、
前記複数の輝度勾配から複数の表示領域候補輝度勾配を選択する複数の組み合わせに対応する複数の評価関数を算出するステップをさらに具備し、
前記複数の表示部分は、前記複数の評価関数に基づいて抽出され、
前記複数の評価関数のうちの任意の組み合わせに対応する評価関数は、
前記複数の輝度勾配のうちの前記任意の組み合わせにより選択された複数の選択輝度勾配から選択される任意の2つの輝度勾配がそれぞれ配置される2つの位置の距離の総和が大きいほど大きく、
前記複数の選択輝度勾配がそれぞれ示す程度の総和が大きいほど大きく、
前記任意の2つの輝度勾配がそれぞれ示す2つの勾配方向のなす角が直角に近いほど大きい
放射線治療装置制御方法。
【請求項13】
請求項10〜請求項11のいずれかにおいて、
前記第1画像を複数の画像部分に分割するステップと、
前記複数の画像部分に対応する複数の平均輝度勾配を算出するステップとをさらに具備し、
前記複数の平均輝度勾配のうちの任意の画像部分に対応する平均輝度勾配は、
前記複数の第1輝度が前記任意の画像部分で変化する勾配方向の平均と、
前記複数の第1輝度が前記任意の画像部分で前記平均に変化する程度とを示し、
前記複数の表示部分は、前記複数の平均輝度勾配に基づいて前記第1画像から抽出される
放射線治療装置制御方法。
【請求項14】
請求項10〜請求項13のいずれかにおいて、
前記複数の表示要素位置は、平面上に配置される複数のピクセルがそれぞれ配置される複数の位置を示す
放射線治療装置制御方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記複数の表示部分のうちの任意の表示部分の輪郭は、前記複数の第1輝度が前記任意の表示部分で変化する勾配方向の平均に平行である辺を含む
放射線治療装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−30005(P2012−30005A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174223(P2010−174223)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】