放射線照射用コンペンセータおよびコンペンセータ配列照合装置
【課題】作製に多くの手順と時間を要するコンペンセータに代わる製造が容易な放射線照射装置用コンペンセータと、その配列パターンを確認照合する手段を備えたコンペンセータ配列照合方法を提供する。
【解決手段】比重が11以上の重い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と、質量の軽い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と。比重が11以上の重い材料と比重が1未満の軽い材料を接合した直方体形状のコンペンセータ棒の合計3種類のコンペンセータ棒をマトリックス状に配列してケースに充填し、その配列パタンを照合確認できるようにした。
【解決手段】比重が11以上の重い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と、質量の軽い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と。比重が11以上の重い材料と比重が1未満の軽い材料を接合した直方体形状のコンペンセータ棒の合計3種類のコンペンセータ棒をマトリックス状に配列してケースに充填し、その配列パタンを照合確認できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽子線やX線またはガンマー線を用いた放射線照射装置のコンペンセータ(補償フイルタ)に係わり、直方体のブロックを平面マトリックス状に配列した放射線照射用コンペンセータと、そのコンペンセータの配列パターンを確認照合する手段を備えたコンペンセータ配列照合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に、下記非特許文献1であるKanaiらによるMedical Physics.10(3),May/June.1983に発表された陽子線を用いる放射線治療装置の従来例を示す。図11において、27は陽子線ビーム、28、29はビームを散乱させてビームサイズを大きくするための散乱体、30はビーム強度モニタ、31はコンピュータ、32は陽子ビームのエネルギーを一様に減衰させる水カラム、33a,33bはビーム幅を制限するマルチリーフコリメータ、34はエネルギーを人体内の腫瘍の形状に合わせて減衰させるボーラスと呼ばれるコンペンセータであり、水と同様なエネルギー減衰をもたらすアクリル樹脂等で作成される。35は人体、36は人体内部の腫瘍等の照射ターゲット、37は腫瘍の後方に位置する脊髄などの放射線に弱い臓器を示している。
【0003】
図11において、ボーラス34は、照射ターゲット36の最も深い位置の表面形状と同様な表面形状を有するように成型されている。陽子のような粒子線の場合、一般に表面より深い部分において放射線線量が大きくなる線量集中性を示すため、線量が一番大きくなる位置に腫瘍を配置して照射する必要がある。そのため、ボーラスを腫瘍の最も深い位置の表面形状と同様な表面形状を有するように成形することにより、腫瘍への線量を最大にできるとともに、腫瘍のすぐ後方にある脊髄37に放射線を与えないように照射できるため、脊髄37を保護することができる。
【0004】
一方、X線のような電磁放射線の場合、線量は表面で高く、浸透深さとともに低くなる傾向を示す。そのため、X線を人体の多方向から腫瘍に照射するとともに、照射方向ごとにX線の強度分布の空間パターンをコンペンセータにより変化させて、腫瘍部分だけに高い吸収線量を与え、周囲の正常組織の受ける線量を副作用が起きない程度に低減する方法が用いられる。よって、通常はX線でコンペンセータを用いる場合、予め計算により求めたコンペンセータの厚さ分布に応じて金属ブロックを加工して、コンペンセータとして用いている。
【非特許文献1】Medical Physics.10(3),May/June.1983
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、陽子線を用いる場合、腫瘍形状に合わせたボーラスを用いる必要があるため、患者ごとに、さらに患者へ照射する方向ごとにボーラスを作製し、治療時に交換しなければならず、ボーラスの製造コストが高くつくとともに、治療に要する時間が長くなるという問題があった。そのため、正常組織に副作用を与えないための必須の照射方法である多方向照射を短時間で実行することができないという問題もあった。また、X線の場合においては、陽子線と同様な問題に加え、金属ブロックを用いるため、加工が容易でなく、さらに重いため、取り扱いが不便であるという問題があった。また、陽子線のボーラス、X線の金属ブロックによるコンペンセータの作製は、通常、数値制御コンピュータと切削機による削り加工を行なっており、コンペンセータ1個当たりの加工時間が20分〜40分と長くなる不便と、加工によりボーラス材料や金属の削り屑や削りによる有害ガスが発生するなどの問題があり、かつ、コンペンセータ作製を行なう専用の工作室を設ける必要があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、医療廃棄物や有害ガスを発生することなく精度の良いコンペンセータを短時間に容易に作製できるコンペンセータと、そしてそのコンペンセータの形状が計画した形状と比較照合する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解消するため、本発明の放射線照射用コンペンセータは、直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリックス状に配列してコンペンセータブロックを成形し、ケースに充填したものである。
【0008】
また、前記コンペンセータ棒は、比重が11以上の重い吸収体のみで成形したものと、比重が1未満の軽い非吸収体のみで成形したもの、および前記吸収体と前記非吸収体を接合して成形した合計3種類を用いることを特徴とする。
【0009】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に数値で表示したことを特徴とする。
【0010】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に符号で表示したことを特徴とする。
【0011】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面色で定義したことを特徴とする。
【0012】
また、前記コンペンセータブロックは、前記比重が11以上の重い吸収体で成形したコンペンセータ棒、前記比重が1未満の軽い非吸収体のみで成形したコンペンセータ棒、および前記吸収体と非吸収体を接合して成形した合計3種類を用いマトリックス上に配列し、ケースに充填してことを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる放射線照射用コンペンセータの配列照合装置は、コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするCCDカメラと、カメラ映像信号をデジタル処理する画像処理部と、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部を設けたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、成形をせず繰り返し使用可能な直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリックス状に配列してケースに充填することで、精度の良いコンペンセータを安価かつ容易に製作できる。また、コンペンセータ1個当たりの作製時間が20分〜40分かかる従来の削り加工に比べ、本発明の方法は、コンペンセータ棒の配列で作製できるため、コンペンセータ1個当たりの作製時間が、5分〜10分と短く、かつ、金属削り屑や有害ガスの発生がなく、コンペンセータ作製用の工作室も不要となるなどの効果がある。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、前記コンペンセータ棒を配列するマトリックス形状の各配列位置で、計画された吸収率に相当するコンペンセータ棒を選定して配置することで、患者体内の腫瘍に対して予め計算された最適な放射線線量分布を形成でき治療効果が向上できる効果がある。
【0016】
また、請求項3記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に数値で表示することで、コンペンセータ棒の種類を目視で容易に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0017】
また、請求項4記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面にコードで表示することで、コンペンセータ棒の種類を機械的に正確に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0018】
また、請求項5記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面色で表示することで、コンペンセータ棒の種類を目視または機械的に、かつ容易に正確に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0019】
また、請求項6記載の発明によれば、コンペンセータ棒を平面マトリックス状配列したブロックをケースに充填することで、ブロック内の吸収体と非吸収体の配置を安定にし、位置ずれを防止できる効果がある。
【0020】
また、請求項7記載の発明によれば、コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするCCDカメラと、CCDカメラ信号の画像処理部と、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部備えたことによりコンペンセータの配列を短時間で自動的で確認できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明に係るX線用コンペンセータの模式図である。図1において、1はコンペンセータブロック、2はコンペンセータ棒を示している。コンペンセータブロック1は、同じ高さで成形されているコンペンセータ棒2を縦横の平面マトリックス状に配列した直方体構造となっており、配列されたコンペンセータ棒はマトリックスの各配列場所で非吸収体のみのものや吸収体と非吸収体で接合されたもので配列されている。通常、放射線治療で用いる4MV〜18MVまでのX線を用いてコンペンセータブロックを照射した場合、X線は質量の軽い非吸収体では殆ど減弱せず質量の重い吸収体ブロック材料の比重と厚みで放射線量の減弱が支配されるため、放射線を図1に示すSの方向からコンペンセータを透過させて患者の患部に照射した場合、透過するX線の強度はコンペンセータ棒の吸収体部分の長さで減弱が起こるため、患者とX線の線源間にコンペンセータを配置することで、体内の腫瘍部に投与される放射線のプロファイルはコンペンセータ棒の配列と吸収体形状により制御することができる。よって、腫瘍部分で吸収線量プロファイルを予め計算された線量プロファイルになるようにコンペンセータの種類を選定して配列することで、腫瘍形状に合致した線量プロファイルを形成し治療効果を高めることができる。
【0022】
図2はコンペンセータブロックの配列例を示す模式図で、41〜4nはブロックを縦に分割したプレート状の配列模式図を示しており、3の部分が配列完了後のプレート各面のコンペンセータ棒内の吸収体形状を示していることが判る。
【0023】
図3は、前記コンペンセータブロック1の収納方法を示す模式図で、前記コンペンセータブロック1を直方体ケースに収納し、上下に蓋をして放射線発生装置の照射部に装着して使用するもので、1は前記コンペンセータブロック、5aはケース本体、5bは上蓋、5cは下蓋を示している。コンペンセータブロックを治療で用いる場合にはコンペンセータブロックをケース5aに充填し上蓋5b下蓋5cをした状態で、治療装置のコリメータ下面に装着して使用する。
【0024】
図4は、コンペンセータ棒の構造示す模式図で、2はコンペンセータ棒、6はコンペンセータ棒の吸収体部分、7はコンペンセータ棒の非吸収体部分で、21〜2nは吸収体と非吸収体の長さが異なるコンペンセータ棒を示している。
【0025】
本来、コンペンセータ棒2の非吸収体部分7は、放射線吸収を最小にするため、空気とすることが望ましい。しかしながら、吸収体のみで配列したコンペンセータ棒では、必要とする線量プロファイルを得るためには複数の異なる吸収率を持つコンペンセータ棒、つまり吸収体長さが異なるコンペンセータ棒をマトリックス状に配列することになり、配列精度とマトリックス形状を維持固定することが困難になる。従って、本発明では、コンペンセータ棒を吸収体と非吸収体を接合し、かつ吸収率が異なるが長さが同じコンペンセータ棒を21〜2nまで複数種類用い、必要とする吸収率のコンペンセータ棒をマトリックス内の必要部分に配列することにより、ブロック内の吸収体部分の配列構造に関わらずコンペンセータブロックを同一形状の直方体とすることができ、精度と形状安定性を保つことができるようになっている。
【0026】
吸収体としては、コンペンセータの高さを低くするため、比重が大きい、タングステン、鉛、鉄、及びその他合金などが好まれるが、加工性とコスト面から、タングステンなどの重金属とプラスティック材料との混合物で成型加工したものが好ましい。また、比重が11以上の重い材料を用いることが好ましい。
【0027】
非吸収体としては、非吸収体内での放射線吸収を少なくすることにより、コンペンセータ透過後の被照射体内での線量分布精度を向上させ、かつ、被照射体の表面線量を軽減できることから、比重が小さい軽い材料を用いることが好ましい。よって、被照射体が人体の場合、非吸収体ブロック材料の比重は人体組織の比重1より低いことが必要であり、比重0.05ないし0.4、特に好ましくは、0.1ないし0.2の材料が良く、例えば発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、または発泡ポリスチレンなどの発泡材料が適している。また、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、木材、木材とプラスティック材料との合成物なども非吸収体として用いることができる。
る。
【0028】
なお、使用後はコンペンセータ棒をケースから取り出し、配列を変えて異なる線量プロファイルを得るための再配列も容易にでき、コンペンセータ棒は再利用が可能となる。
【0029】
次に、本発明に関わるコンペンセータ棒の種類判別について説明する。図5は、本発明に関わるコンペンセータ棒の種類判別方法を示す模式図で、コンペンセータ棒21〜2nは各々吸収体と非吸収体の比率が異なるもの、つまり放射線の減弱率が段階的に設定できるコンペンセータである。図5において、81〜8nはコンペンセータ上面の表示部を示しており、コンペンセータ棒2には番号1が、コンペンセータ棒22には番号2、棒2nにはnと吸収体長さの短いものから順番に、吸収率を特定する番号が表示されている。よって、各ブロックは目視やCCDカメラなどによりコンペンセータ棒の種類を判別できるようになっている。
【0030】
なお、種類判別方法は、前記のように数値で表示する以外にアルファベットなどの文字でもよいし、バーコードなどの符号化パターンでもよい。表示場所は上下面でも側面でもよく、また複数箇所に表示してもよい。更に、コンペンセータ棒表面を種類別に異なる色を塗ることで判別が可能である。
【0031】
次に、本発明のコンペンセータブロックを用いたX線照射装置の動作について、図を用いて説明する。図7はX線照射装置でコンペンセータを用いる場合の放射線照射の模様を示す模式図で、図8は図7の模様をFの方向から示した模式図である。
【0032】
図7と図8において、13はX線照射装置の回転ガントリ、14はX線照射時に患者を乗せる治療台天板、15は回転ガントリ13の回転中心軸、16は治療ビーム軸、17はX線ターゲット、18は患者、19は患者体内の腫瘍、20、20a、20bはコリメータ、21はコンペンセータブロック、22a、22b、22c、22dはX線束領域と非線束領域の境界域である照射野を示している。
【0033】
次に、動作について説明する。図7は、回転ガントリ内のX線ターゲット17から発生したX線を18の患者体内にある腫瘍19に照射している模様を示している。X線やガンマー線などの医療用放射線を用いる放射線治療では一般的に、その吸収線量分布を癌と診断された患者体内の腫瘍の3次元形状に合致させる工夫が為されており、X線ターゲット17から発生するX線の照射野を、患者体内の腫瘍形状に合致させるため、20のコリメータで部分的に遮蔽することで、図7の22a、22bで示すような腫瘍形状に外接したX線フルエンスフィールド、いわゆる照射野を形成する。
【0034】
図8は、16の治療ビーム軸上での患者体軸横断面図を図7のF方向から表した模式図で、一般的に放射線治療ではコリメータの開度は22c、22dのX線ビーム照射野が腫瘍形状に外接した形成になるように設定する。このとき、一般のX線照射でコンペンセータを用いる場合には、コンペンセータはコリメータと患者の間の照射野内に設置される。
【0035】
図9は、図8の状態でコンペンセータ21を設置しない場合のX線ビーム軸上での患者体軸横断面においての治療対象である患者体内腫瘍位置と、X線照射野およびX線強度分布を判り易く示した模式図で、図9においての22c、22dの広がりを持つX線照射野内において、24はコンペンセータ搭載位置よりターゲットに接近した位置、つまりXビームがコンペンセータを透過する前のX線線量強度分布を示している。ここで、照射部ターゲット17と腫瘍19の間にはコンペンセータが無いため、そのX線強度プロファイルは、照射部が出力したプロファイルに相似した平坦な分布25となっている。なお、腫瘍19中の23は、アイソセンタ(治療中心)であり、X線照射中にX線ビームが必ず照射される点である。
【0036】
一方、図10は放射線照射野内にコンペンセータ21を配置した場合の模式図で、照射装置から出力されたX線強度分布を、コンペンセータ21の透過前と透過後で示している。図10において、コンペンセータ透過前では、コンペンセータが設置されていないプロファイル図9の24と同様に、平坦な分布となっているが、コンペンセータ透過後の分布26は、コンペンセータの吸収体でX線吸収が起こり、患者体内透過前の分布が強度変調されている。
【0037】
従って、コンペンセータ内の吸収体配列を腫瘍形状に対応して成型することにより、腫瘍内での線量強度を高くし、周囲の正常組織への線量強度を低くするようにX線量強度を制御できる。
【0038】
次に、本発明の実施例について図面を用い説明する。図6は、本発明によるコンペンセータ配列照合装置のブロック図である。図6において、1は前記コンペンセータブロック、9はコンペンセータブロックの保持器、10はコンペンセータの配列をモニターするCCDカメラ、11は10のCCDカメラで撮像した画像をデジタル処理する画像処理部、12はコンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを比較照合する配列照合操作部である。
【0039】
次に動作について説明する。本発明で製作したコンペンセータブロック1を保持器9に装着し、CCDカメラ10でモニタする。モニタした映像信号は11の画像処理部でデジタル処理を行い、画像をデジタルデータで12の配列照合操作部へ出力する。12の配列照合操作部は画像処理部11から入力した画像データをパターン認識処理で解析し、ブロックの配列パターンを割り出し、計画時の配列パターンと比較照合を行う。照合が一致した場合には一致した旨の表示を12のオペレーションモニタに表示し、照合が不一致の場合は不一致である旨のメッセージと、不一致部分を強調表示した配列の計画パターンと装着ブロック配列のパターンを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロックの模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロック配列例の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロックの収納方法を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わるコンペンセータ棒の構造を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータ棒の種類判別方法を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係わるコンペンセータ配列照合装置のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態1と3に係るコンペンセータを用いた放射線照射方法を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1と3に係るコンペンセータを用いた放射線照射方法を示す図でビーム軸上の患者横断面を示す模式図である。
【図9】図8においてコンペンセータが配置されていない場合の腫瘍とX線照射野の設定状態、及びX線の線量強度を示す模式図である。
【図10】図8においてコンペンセータが配置されている場合の腫瘍とX線照射野の設定状態、及びX線の線量強度を示す模式図である。
【図11】従来の陽子線照射装置での治療状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 コンペンセータブロック、2 コンペンセータ棒、3 コンペンセータプレートの吸収体形状、4 コンペンセータプレート、5a ケース本体、5b ケース上蓋、5c ケース下蓋、6 コンペンセータ棒の吸収体、7 コンペンセータ棒の非吸収体、8〜8n コンペンセータ棒上面表示部、9 コンペンセータブロック保持器、10 CCCDカメラ、11 画像処理部、12 配列照合操作部、13 X線照射装置ガントリ、14 治療台天板、15 回転ガントリの回転中心軸、16 治療ビーム軸、17 X線ターゲット、18 患者、19 患者体内の腫瘍、20、20a、20b、 コリメータ、21 コンペンセータブロック、22a、22b、22c、22d X線照射野、23 アイソセンタ、24 コンペンセータ透過前のX線強度分布、25、26 コンペンセータ透過後のX線強度分布、27 陽子線ビーム、28、29 散乱体、30 ビーム強度モニタ、31 コンピュータ、32 水カラム、33a、33b マルチリーフコリメータ、34 ボーラス、35 人体、36 照射ターゲット、37 注意臓器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽子線やX線またはガンマー線を用いた放射線照射装置のコンペンセータ(補償フイルタ)に係わり、直方体のブロックを平面マトリックス状に配列した放射線照射用コンペンセータと、そのコンペンセータの配列パターンを確認照合する手段を備えたコンペンセータ配列照合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に、下記非特許文献1であるKanaiらによるMedical Physics.10(3),May/June.1983に発表された陽子線を用いる放射線治療装置の従来例を示す。図11において、27は陽子線ビーム、28、29はビームを散乱させてビームサイズを大きくするための散乱体、30はビーム強度モニタ、31はコンピュータ、32は陽子ビームのエネルギーを一様に減衰させる水カラム、33a,33bはビーム幅を制限するマルチリーフコリメータ、34はエネルギーを人体内の腫瘍の形状に合わせて減衰させるボーラスと呼ばれるコンペンセータであり、水と同様なエネルギー減衰をもたらすアクリル樹脂等で作成される。35は人体、36は人体内部の腫瘍等の照射ターゲット、37は腫瘍の後方に位置する脊髄などの放射線に弱い臓器を示している。
【0003】
図11において、ボーラス34は、照射ターゲット36の最も深い位置の表面形状と同様な表面形状を有するように成型されている。陽子のような粒子線の場合、一般に表面より深い部分において放射線線量が大きくなる線量集中性を示すため、線量が一番大きくなる位置に腫瘍を配置して照射する必要がある。そのため、ボーラスを腫瘍の最も深い位置の表面形状と同様な表面形状を有するように成形することにより、腫瘍への線量を最大にできるとともに、腫瘍のすぐ後方にある脊髄37に放射線を与えないように照射できるため、脊髄37を保護することができる。
【0004】
一方、X線のような電磁放射線の場合、線量は表面で高く、浸透深さとともに低くなる傾向を示す。そのため、X線を人体の多方向から腫瘍に照射するとともに、照射方向ごとにX線の強度分布の空間パターンをコンペンセータにより変化させて、腫瘍部分だけに高い吸収線量を与え、周囲の正常組織の受ける線量を副作用が起きない程度に低減する方法が用いられる。よって、通常はX線でコンペンセータを用いる場合、予め計算により求めたコンペンセータの厚さ分布に応じて金属ブロックを加工して、コンペンセータとして用いている。
【非特許文献1】Medical Physics.10(3),May/June.1983
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、陽子線を用いる場合、腫瘍形状に合わせたボーラスを用いる必要があるため、患者ごとに、さらに患者へ照射する方向ごとにボーラスを作製し、治療時に交換しなければならず、ボーラスの製造コストが高くつくとともに、治療に要する時間が長くなるという問題があった。そのため、正常組織に副作用を与えないための必須の照射方法である多方向照射を短時間で実行することができないという問題もあった。また、X線の場合においては、陽子線と同様な問題に加え、金属ブロックを用いるため、加工が容易でなく、さらに重いため、取り扱いが不便であるという問題があった。また、陽子線のボーラス、X線の金属ブロックによるコンペンセータの作製は、通常、数値制御コンピュータと切削機による削り加工を行なっており、コンペンセータ1個当たりの加工時間が20分〜40分と長くなる不便と、加工によりボーラス材料や金属の削り屑や削りによる有害ガスが発生するなどの問題があり、かつ、コンペンセータ作製を行なう専用の工作室を設ける必要があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、医療廃棄物や有害ガスを発生することなく精度の良いコンペンセータを短時間に容易に作製できるコンペンセータと、そしてそのコンペンセータの形状が計画した形状と比較照合する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解消するため、本発明の放射線照射用コンペンセータは、直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリックス状に配列してコンペンセータブロックを成形し、ケースに充填したものである。
【0008】
また、前記コンペンセータ棒は、比重が11以上の重い吸収体のみで成形したものと、比重が1未満の軽い非吸収体のみで成形したもの、および前記吸収体と前記非吸収体を接合して成形した合計3種類を用いることを特徴とする。
【0009】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に数値で表示したことを特徴とする。
【0010】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に符号で表示したことを特徴とする。
【0011】
また、前記コンペンセータ棒は、段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面色で定義したことを特徴とする。
【0012】
また、前記コンペンセータブロックは、前記比重が11以上の重い吸収体で成形したコンペンセータ棒、前記比重が1未満の軽い非吸収体のみで成形したコンペンセータ棒、および前記吸収体と非吸収体を接合して成形した合計3種類を用いマトリックス上に配列し、ケースに充填してことを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる放射線照射用コンペンセータの配列照合装置は、コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするCCDカメラと、カメラ映像信号をデジタル処理する画像処理部と、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部を設けたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、成形をせず繰り返し使用可能な直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリックス状に配列してケースに充填することで、精度の良いコンペンセータを安価かつ容易に製作できる。また、コンペンセータ1個当たりの作製時間が20分〜40分かかる従来の削り加工に比べ、本発明の方法は、コンペンセータ棒の配列で作製できるため、コンペンセータ1個当たりの作製時間が、5分〜10分と短く、かつ、金属削り屑や有害ガスの発生がなく、コンペンセータ作製用の工作室も不要となるなどの効果がある。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、前記コンペンセータ棒を配列するマトリックス形状の各配列位置で、計画された吸収率に相当するコンペンセータ棒を選定して配置することで、患者体内の腫瘍に対して予め計算された最適な放射線線量分布を形成でき治療効果が向上できる効果がある。
【0016】
また、請求項3記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面に数値で表示することで、コンペンセータ棒の種類を目視で容易に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0017】
また、請求項4記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面にコードで表示することで、コンペンセータ棒の種類を機械的に正確に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0018】
また、請求項5記載の発明によれば、吸収体と非吸収体の長さを段階的に分けた比率をコンペンセータ棒の表面色で表示することで、コンペンセータ棒の種類を目視または機械的に、かつ容易に正確に判別でき、配列誤りを防ぐ効果がある。
【0019】
また、請求項6記載の発明によれば、コンペンセータ棒を平面マトリックス状配列したブロックをケースに充填することで、ブロック内の吸収体と非吸収体の配置を安定にし、位置ずれを防止できる効果がある。
【0020】
また、請求項7記載の発明によれば、コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするCCDカメラと、CCDカメラ信号の画像処理部と、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部備えたことによりコンペンセータの配列を短時間で自動的で確認できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明に係るX線用コンペンセータの模式図である。図1において、1はコンペンセータブロック、2はコンペンセータ棒を示している。コンペンセータブロック1は、同じ高さで成形されているコンペンセータ棒2を縦横の平面マトリックス状に配列した直方体構造となっており、配列されたコンペンセータ棒はマトリックスの各配列場所で非吸収体のみのものや吸収体と非吸収体で接合されたもので配列されている。通常、放射線治療で用いる4MV〜18MVまでのX線を用いてコンペンセータブロックを照射した場合、X線は質量の軽い非吸収体では殆ど減弱せず質量の重い吸収体ブロック材料の比重と厚みで放射線量の減弱が支配されるため、放射線を図1に示すSの方向からコンペンセータを透過させて患者の患部に照射した場合、透過するX線の強度はコンペンセータ棒の吸収体部分の長さで減弱が起こるため、患者とX線の線源間にコンペンセータを配置することで、体内の腫瘍部に投与される放射線のプロファイルはコンペンセータ棒の配列と吸収体形状により制御することができる。よって、腫瘍部分で吸収線量プロファイルを予め計算された線量プロファイルになるようにコンペンセータの種類を選定して配列することで、腫瘍形状に合致した線量プロファイルを形成し治療効果を高めることができる。
【0022】
図2はコンペンセータブロックの配列例を示す模式図で、41〜4nはブロックを縦に分割したプレート状の配列模式図を示しており、3の部分が配列完了後のプレート各面のコンペンセータ棒内の吸収体形状を示していることが判る。
【0023】
図3は、前記コンペンセータブロック1の収納方法を示す模式図で、前記コンペンセータブロック1を直方体ケースに収納し、上下に蓋をして放射線発生装置の照射部に装着して使用するもので、1は前記コンペンセータブロック、5aはケース本体、5bは上蓋、5cは下蓋を示している。コンペンセータブロックを治療で用いる場合にはコンペンセータブロックをケース5aに充填し上蓋5b下蓋5cをした状態で、治療装置のコリメータ下面に装着して使用する。
【0024】
図4は、コンペンセータ棒の構造示す模式図で、2はコンペンセータ棒、6はコンペンセータ棒の吸収体部分、7はコンペンセータ棒の非吸収体部分で、21〜2nは吸収体と非吸収体の長さが異なるコンペンセータ棒を示している。
【0025】
本来、コンペンセータ棒2の非吸収体部分7は、放射線吸収を最小にするため、空気とすることが望ましい。しかしながら、吸収体のみで配列したコンペンセータ棒では、必要とする線量プロファイルを得るためには複数の異なる吸収率を持つコンペンセータ棒、つまり吸収体長さが異なるコンペンセータ棒をマトリックス状に配列することになり、配列精度とマトリックス形状を維持固定することが困難になる。従って、本発明では、コンペンセータ棒を吸収体と非吸収体を接合し、かつ吸収率が異なるが長さが同じコンペンセータ棒を21〜2nまで複数種類用い、必要とする吸収率のコンペンセータ棒をマトリックス内の必要部分に配列することにより、ブロック内の吸収体部分の配列構造に関わらずコンペンセータブロックを同一形状の直方体とすることができ、精度と形状安定性を保つことができるようになっている。
【0026】
吸収体としては、コンペンセータの高さを低くするため、比重が大きい、タングステン、鉛、鉄、及びその他合金などが好まれるが、加工性とコスト面から、タングステンなどの重金属とプラスティック材料との混合物で成型加工したものが好ましい。また、比重が11以上の重い材料を用いることが好ましい。
【0027】
非吸収体としては、非吸収体内での放射線吸収を少なくすることにより、コンペンセータ透過後の被照射体内での線量分布精度を向上させ、かつ、被照射体の表面線量を軽減できることから、比重が小さい軽い材料を用いることが好ましい。よって、被照射体が人体の場合、非吸収体ブロック材料の比重は人体組織の比重1より低いことが必要であり、比重0.05ないし0.4、特に好ましくは、0.1ないし0.2の材料が良く、例えば発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、または発泡ポリスチレンなどの発泡材料が適している。また、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、木材、木材とプラスティック材料との合成物なども非吸収体として用いることができる。
る。
【0028】
なお、使用後はコンペンセータ棒をケースから取り出し、配列を変えて異なる線量プロファイルを得るための再配列も容易にでき、コンペンセータ棒は再利用が可能となる。
【0029】
次に、本発明に関わるコンペンセータ棒の種類判別について説明する。図5は、本発明に関わるコンペンセータ棒の種類判別方法を示す模式図で、コンペンセータ棒21〜2nは各々吸収体と非吸収体の比率が異なるもの、つまり放射線の減弱率が段階的に設定できるコンペンセータである。図5において、81〜8nはコンペンセータ上面の表示部を示しており、コンペンセータ棒2には番号1が、コンペンセータ棒22には番号2、棒2nにはnと吸収体長さの短いものから順番に、吸収率を特定する番号が表示されている。よって、各ブロックは目視やCCDカメラなどによりコンペンセータ棒の種類を判別できるようになっている。
【0030】
なお、種類判別方法は、前記のように数値で表示する以外にアルファベットなどの文字でもよいし、バーコードなどの符号化パターンでもよい。表示場所は上下面でも側面でもよく、また複数箇所に表示してもよい。更に、コンペンセータ棒表面を種類別に異なる色を塗ることで判別が可能である。
【0031】
次に、本発明のコンペンセータブロックを用いたX線照射装置の動作について、図を用いて説明する。図7はX線照射装置でコンペンセータを用いる場合の放射線照射の模様を示す模式図で、図8は図7の模様をFの方向から示した模式図である。
【0032】
図7と図8において、13はX線照射装置の回転ガントリ、14はX線照射時に患者を乗せる治療台天板、15は回転ガントリ13の回転中心軸、16は治療ビーム軸、17はX線ターゲット、18は患者、19は患者体内の腫瘍、20、20a、20bはコリメータ、21はコンペンセータブロック、22a、22b、22c、22dはX線束領域と非線束領域の境界域である照射野を示している。
【0033】
次に、動作について説明する。図7は、回転ガントリ内のX線ターゲット17から発生したX線を18の患者体内にある腫瘍19に照射している模様を示している。X線やガンマー線などの医療用放射線を用いる放射線治療では一般的に、その吸収線量分布を癌と診断された患者体内の腫瘍の3次元形状に合致させる工夫が為されており、X線ターゲット17から発生するX線の照射野を、患者体内の腫瘍形状に合致させるため、20のコリメータで部分的に遮蔽することで、図7の22a、22bで示すような腫瘍形状に外接したX線フルエンスフィールド、いわゆる照射野を形成する。
【0034】
図8は、16の治療ビーム軸上での患者体軸横断面図を図7のF方向から表した模式図で、一般的に放射線治療ではコリメータの開度は22c、22dのX線ビーム照射野が腫瘍形状に外接した形成になるように設定する。このとき、一般のX線照射でコンペンセータを用いる場合には、コンペンセータはコリメータと患者の間の照射野内に設置される。
【0035】
図9は、図8の状態でコンペンセータ21を設置しない場合のX線ビーム軸上での患者体軸横断面においての治療対象である患者体内腫瘍位置と、X線照射野およびX線強度分布を判り易く示した模式図で、図9においての22c、22dの広がりを持つX線照射野内において、24はコンペンセータ搭載位置よりターゲットに接近した位置、つまりXビームがコンペンセータを透過する前のX線線量強度分布を示している。ここで、照射部ターゲット17と腫瘍19の間にはコンペンセータが無いため、そのX線強度プロファイルは、照射部が出力したプロファイルに相似した平坦な分布25となっている。なお、腫瘍19中の23は、アイソセンタ(治療中心)であり、X線照射中にX線ビームが必ず照射される点である。
【0036】
一方、図10は放射線照射野内にコンペンセータ21を配置した場合の模式図で、照射装置から出力されたX線強度分布を、コンペンセータ21の透過前と透過後で示している。図10において、コンペンセータ透過前では、コンペンセータが設置されていないプロファイル図9の24と同様に、平坦な分布となっているが、コンペンセータ透過後の分布26は、コンペンセータの吸収体でX線吸収が起こり、患者体内透過前の分布が強度変調されている。
【0037】
従って、コンペンセータ内の吸収体配列を腫瘍形状に対応して成型することにより、腫瘍内での線量強度を高くし、周囲の正常組織への線量強度を低くするようにX線量強度を制御できる。
【0038】
次に、本発明の実施例について図面を用い説明する。図6は、本発明によるコンペンセータ配列照合装置のブロック図である。図6において、1は前記コンペンセータブロック、9はコンペンセータブロックの保持器、10はコンペンセータの配列をモニターするCCDカメラ、11は10のCCDカメラで撮像した画像をデジタル処理する画像処理部、12はコンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを比較照合する配列照合操作部である。
【0039】
次に動作について説明する。本発明で製作したコンペンセータブロック1を保持器9に装着し、CCDカメラ10でモニタする。モニタした映像信号は11の画像処理部でデジタル処理を行い、画像をデジタルデータで12の配列照合操作部へ出力する。12の配列照合操作部は画像処理部11から入力した画像データをパターン認識処理で解析し、ブロックの配列パターンを割り出し、計画時の配列パターンと比較照合を行う。照合が一致した場合には一致した旨の表示を12のオペレーションモニタに表示し、照合が不一致の場合は不一致である旨のメッセージと、不一致部分を強調表示した配列の計画パターンと装着ブロック配列のパターンを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロックの模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロック配列例の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータブロックの収納方法を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わるコンペンセータ棒の構造を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るコンペンセータ棒の種類判別方法を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係わるコンペンセータ配列照合装置のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態1と3に係るコンペンセータを用いた放射線照射方法を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1と3に係るコンペンセータを用いた放射線照射方法を示す図でビーム軸上の患者横断面を示す模式図である。
【図9】図8においてコンペンセータが配置されていない場合の腫瘍とX線照射野の設定状態、及びX線の線量強度を示す模式図である。
【図10】図8においてコンペンセータが配置されている場合の腫瘍とX線照射野の設定状態、及びX線の線量強度を示す模式図である。
【図11】従来の陽子線照射装置での治療状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 コンペンセータブロック、2 コンペンセータ棒、3 コンペンセータプレートの吸収体形状、4 コンペンセータプレート、5a ケース本体、5b ケース上蓋、5c ケース下蓋、6 コンペンセータ棒の吸収体、7 コンペンセータ棒の非吸収体、8〜8n コンペンセータ棒上面表示部、9 コンペンセータブロック保持器、10 CCCDカメラ、11 画像処理部、12 配列照合操作部、13 X線照射装置ガントリ、14 治療台天板、15 回転ガントリの回転中心軸、16 治療ビーム軸、17 X線ターゲット、18 患者、19 患者体内の腫瘍、20、20a、20b、 コリメータ、21 コンペンセータブロック、22a、22b、22c、22d X線照射野、23 アイソセンタ、24 コンペンセータ透過前のX線強度分布、25、26 コンペンセータ透過後のX線強度分布、27 陽子線ビーム、28、29 散乱体、30 ビーム強度モニタ、31 コンピュータ、32 水カラム、33a、33b マルチリーフコリメータ、34 ボーラス、35 人体、36 照射ターゲット、37 注意臓器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重が11以上の重い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と、比重が1未満の軽い材料のみで形成した直方体形状のコンペンセータ棒と、前記質量の重い材料と質量の軽い材料を接合した直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリクス状に配列した放射線照射用コンペンセータ。
【請求項2】
前記接合した直方体形状のコンペンセータ棒で、前記重い材料部分と前記軽い材料部分の長さの比率を段階的に分けたことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項3】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面に数値で表示したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項4】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面に符号で表示したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項5】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面色で定義したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項6】
前記コンペンセータ棒を平面マトリックス状配列したブロックを、ケースに充填したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ。
【請求項7】
コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするセンサーと、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部とを備えたことを特徴とするコンペンセータ配列照合装置。
【請求項1】
比重が11以上の重い材料のみで成形した直方体形状のコンペンセータ棒と、比重が1未満の軽い材料のみで形成した直方体形状のコンペンセータ棒と、前記質量の重い材料と質量の軽い材料を接合した直方体形状のコンペンセータ棒を平面マトリクス状に配列した放射線照射用コンペンセータ。
【請求項2】
前記接合した直方体形状のコンペンセータ棒で、前記重い材料部分と前記軽い材料部分の長さの比率を段階的に分けたことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項3】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面に数値で表示したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項4】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面に符号で表示したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項5】
前記段階的に分けた比率を、コンペンセータ棒の表面色で定義したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ棒。
【請求項6】
前記コンペンセータ棒を平面マトリックス状配列したブロックを、ケースに充填したことを特徴とする請求項1記載の放射線照射用コンペンセータ。
【請求項7】
コンペンセータブロックの保持器と、コンペンセータ配列をモニタするセンサーと、コンペンセータの計画配列パターンと実配列パターンを照合する配列照合操作部とを備えたことを特徴とするコンペンセータ配列照合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−158744(P2006−158744A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356062(P2004−356062)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
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