放射EMI測定装置
【課題】測定時間の短縮化や近傍界測定においても均一な放射パターンによる測定が可能な放射EMI測定装置を提供する。
【解決手段】測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて測定用アンテナ2−1,2−2を支持して電磁妨害波を測定する。
【解決手段】測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて測定用アンテナ2−1,2−2を支持して電磁妨害波を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品や電子装置などの電子機器から放射された電磁妨害波を検出して測定する放射EMI(Electro Magnetic Interference)測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EMC(Electro Magnetic Compatibility)試験とは、電子部品やこれを搭載する電子装置の電磁環境適合性を評価する試験であり、エミッション測定(EMI測定)とイミュニティ試験(EMS試験)がある。EMI測定では、供試機器(電子部品や電子装置などの電子機器)から放射される電磁妨害波(以下、放射EMIと適宜記載する)の大きさが測定される。また、イミュニティ試験は、外部から電磁妨害波を受けた際における機器の耐性を評価する。
【0003】
放射EMI試験で使用する従来の放射EMI測定装置は、一般的に測定用アンテナの数が1個であり、供試機器からの電磁妨害波が測定用アンテナのビーム幅を外れる範囲で放射される場合、測定用アンテナを移動させて測定する必要がある。例えば、測定用アンテナのビーム幅を供試機器の高さ方向に外れて電磁妨害波が放射される場合、測定用アンテナを供試機器の高さ方向に移動(ハイトスキャン)させて測定する。
【0004】
測定用アンテナを駆動制御することなく測定する従来の技術として、例えば特許文献1に開示されるEMI測定装置がある。この装置では、供試機器をxyz座標の原点位置に配置し、複数の測定用アンテナをx−y−zの3軸に配置することにより、測定用アンテナを駆動制御することなく、供試機器からの放射EMIの測定を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2743839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の放射EMI測定では、測定用アンテナが1個のEMI測定装置を利用する場合、供試機器からの電磁妨害波が測定用アンテナのビーム幅を外れる範囲で放射されると、例えば測定用アンテナを高さ方向に移動(ハイトスキャン)させて測定する必要がある。このように測定用アンテナを移動させる場合、測定周波数が1GHz未満であれば、測定用アンテナの移動速度はせいぜい数cm/秒で済む。
【0007】
これに対して、測定周波数が1GHz以上であると、測定用アンテナのビーム幅が狭くなるため、測定精度を維持するには、測定用アンテナの移動速度をMHz帯の測定時より遅くする必要がある。従って、供試機器における全ての部位から放射EMIを測定する際、MHz帯の場合よりも余計に時間がかかるという課題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載される測定装置では、複数の測定用アンテナで供試機器からの電磁妨害波を受信することにより、測定用アンテナのハイトスキャンを省略している。
しかしながら、放射EMI測定のように近傍界における測定では、複数の測定用アンテナの各位相中心と供試機器の一測定点との距離差により、各測定用アンテナの放射パターンを合成する際の位相差に起因した放射パターンの干渉(Null点)が発生して合成放射パターンを均一に成形できない。
【0009】
図14は、従来の放射EMI測定装置の構成を示す図であり、供試機器の高さ方向に複数の測定用アンテナを等間隔に配置して、測定用アンテナの駆動によるハイトスキャンをすることなく、放射EMI測定する場合を示している。図14において、従来の放射EMI測定装置100は、測定用アンテナ101−1〜101〜4、合成器103、プリアンプ104及び受信機105を備える。また、供試機器102は、ターンテーブル106上に設置される。
【0010】
測定用アンテナ101−1〜101−4は指向特性を有しており、受信可能な範囲を示すビーム内に入射した電磁波のみを受信することができ、ビームの範囲外から入射する電磁波はほとんど受信できない。また、測定用アンテナ101−1〜101−4は、GHz帯の電磁妨害波を受信できるように、ダブルリジッドホーン型アンテナとする。
【0011】
また、測定用アンテナ101−1〜101−4は、上記アンテナビームが供試機器102側に向き、かつ供試機器102からの放射EMIを受信可能な距離(アンテナビームの範囲内に供試機器102が入る距離)に配置される。さらに、測定用アンテナ101−1〜101−4を供試機器102の高さ方向にそれぞれ等間隔に配置する。
【0012】
供試機器102は、ターンテーブル106により鉛直軸中心に回転させられ、このとき供試機器102から放射される電磁妨害波が測定用アンテナ101−1〜101−4によって受信される。合成器103は、測定用アンテナ101−1〜101−4の受信出力を合成し、プリアンプ104に出力する。プリアンプ104では、合成器103を介して入力した妨害波信号を増幅して受信機105へ供給する。受信機105は、入力した妨害波信号から放射EMIを測定する。
【0013】
図15は、図14中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの高さ方向の間隔hを1mとし、測定周波数を6GHzとした場合の測定結果を示している。図15に示すように、測定用アンテナ101−1〜101−4は、供試機器102の高さ方向に広い放射パターンを形成するが、測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンを合成する際の位相差による放射パターンの干渉(Null点)が発生した不均一な放射パターンとなっている。
【0014】
これは、近傍界における測定となる放射EMI測定で複数の測定用アンテナを用いた場合に不可避的に発生する課題である。つまり、遠方界であれば、供試機器102と測定用アンテナ101−1〜101−4との距離が長いため、供試機器102の一測定点までの測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの光路差が小さい。この場合、測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンの位相差によるヌル(Null)が発生しにくい。
【0015】
これに対して、放射EMI測定のような近傍界では、供試機器102と測定用アンテナ101−1〜101−4との距離が短く、供試機器102の一測定点までの測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの光路差が大きくなる。このため、各測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンの位相差により、図15に示すような不感帯となるヌルが発生する。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、測定時間の短縮化や近傍界測定においても均一な放射パターンによる測定が可能な放射EMI測定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係る放射EMI測定装置は、供試機器から放射される電磁妨害波を受信する複数の測定用アンテナと、前記複数の測定用アンテナの各位相中心点が前記供試機器に対向して水平に一列に、かつ前記供試機器の被測定面上の任意の点から見て左右対称に並ぶように前記各位相中心点の高さを合わせて前記複数の測定用アンテナを支持する位置決め手段と、前記複数の測定用アンテナの受信出力を合成する合成手段と、前記合成された信号を入力して前記電磁妨害波を測定する受信処理手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、複数の測定用アンテナの各位相中心点が供試機器に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点の高さを合わせて複数の測定用アンテナを支持して電磁妨害波を測定するので、複数の測定用アンテナの位相差による放射パターンの干渉を抑制することができ、均一な合成放射パターンの放射EMI測定用アンテナを有する測定装置を実現することができる。また、複数の測定用アンテナの各ビーム放射方向を傾斜させることにより、高周波数帯域(例えば、GHz帯)であってもビーム幅の広い放射パターンが得られる。これにより、従来のハイトスキャンのように1個のアンテナを高さ方向又は横方向に移動させることなく、GHz帯での測定における測定時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1中の測定用アンテナと供試機器との詳細な位置関係を示す上面図である。
【図3】図1中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図4】図1中の測定用アンテナの位置決め機構の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】図5中の測定用アンテナの側面図である。
【図7】測定用アンテナ単体の放射パターンを示すグラフである。
【図8】図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図9】図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図10】測定用アンテナの偏波面の変更を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態3による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図12】仰角及び俯角を与えた複数の測定用アンテナによる合成放射パターンを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態4による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図14】従来の放射EMI測定装置の構成を示す図である。
【図15】図14中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図16】この発明の実施の形態5による各測定用アンテナの仰角/俯角の計算結果を示すグラフである。
【図17】この発明の実施の形態7による放射EMI測定装置の構成を示す図である。
【図18】図17中の測定用アンテナの偏波面を説明するための図である。
【図19】この発明の実施の形態7による放射EMI測定装置の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図1に示すように、実施の形態1による放射EMI測定装置1は、測定用アンテナ2−1,2−2、合成器(合成手段)4、プリアンプ5及び受信機(受信処理手段)6を備える。また、供試機器3は、電子部品やこれを備えた電子装置などの電子機器であり、ターンテーブル7上に設置される。
【0021】
測定用アンテナ2−1,2−2は、図1に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて配置される。また、測定用アンテナ2−1,2−2は、GHz帯の電磁妨害波を受信できるようにダブルリジッドホーン型アンテナとしている。
【0022】
図2は、図1中の測定用アンテナと供試機器との詳細な位置関係を示す上面図である。測定用アンテナ2−1,2−2は、供試機器3の正面上の被測定点Pとが、図2に示す位置関係となるように配置される。ここで、供試機器3の被測定点Pは、測定用アンテナ2−1,2−2の中点(図1中の位相中心点8−1,8−2)A,Bのそれぞれから等しい距離にあり、線分ABの中点Oから供試機器3の正面へ引いた垂線上にある。つまり、測定用アンテナ2−1,2−2は、線分AOと線分BOの長さが等しく、線分APと線分BPの長さが等しくなるように配置される。
【0023】
このように測定用アンテナ2−1,2−2を配置することにより、供試機器3において、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の双方との距離が等しい被測定点の集合が被測定面となる。
【0024】
図3は、図1中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、測定用アンテナ2−1,2−2の水平方向の間隔(位相中心点8−1,8−2間の距離)aを0.2mとし、測定周波数を6GHzとした場合の測定結果を示している。図3から明らかなように、実施の形態1による放射EMI測定装置1では、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンの干渉(ヌル)が生じない均一なパターンが得られる。
【0025】
これは、測定用アンテナ2−1,2−2を、図1,2を用いて説明した位置関係で配置することにより、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定面上の任意の点との間の距離が常に等しくなり、測定用アンテナ2−1の位相中心点8−1と供試機器3の被測定点との光路差が0で、かつ測定用アンテナ2−2の位相中心点8−2と供試機器3の被測定点との光路差が0となり、光路差による位相差も0となるため、図15で示したようなヌルが生じなくなる。
【0026】
図4は、図1中の測定用アンテナの位置決め機構(位置決め手段)の一例を示す図である。図4において、測定用アンテナ2−1,2−2はシャフト9−1,9−2にそれぞれ取り付けられる。シャフト9−1,9−2は、支持ブロック10−1,10−2に取り付けられ、図4中に矢印で示すようにその軸周りに回動可能である。
【0027】
支持台11には、アンテナマスト12−1,12−2が設けられており、支持ブロック13−1,13−2が、それぞれアンテナマスト12−1,12−2に沿って上下移動可能に取り付けられる。また、支持ブロック13−1,13−2は、上述した支持ブロック10−1,10−2が軸14−1,14−2周りに回動可能に支持される。
【0028】
図1,2を用いて説明した位置関係で測定用アンテナ2−1,2−2を配置するには、支持ブロック10−1,10−2を軸14−1,14−2周りに回動させて測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2の水平方向の位置を合わせ、支持ブロック13−1,13−2をスライドさせて測定用アンテナ2−1,2−2の高さ(位相中心点8−1,8−2の高さ)が一致する位置に固定する。これにより、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2が同じ高さで水平に一列に並んだ状態となる。
【0029】
上述のようにして測定用アンテナ2−1,2−2の位置固定を実行した支持台11を、供試機器3に対向させて配置すると、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2との距離が等しい供試機器3の外面(測定用アンテナ2−1,2−2のアンテナ面に対向する外面)上の被測定点が決定され、これら被測定点の集合で被測定面が規定される。
【0030】
なお、シャフト9−1,9−2、支持ブロック10−1,10−2、及び支持ブロック13−1,13−2は、精密に位置合わせが可能であればよく、また駆動機構を設けて、自動的に位置合わせできるように構成してもよい。
【0031】
次に放射EMIの測定について説明する。
先ず、上述した位置関係で測定用アンテナ2−1,2−2及び供試機器3を配置し、ターンテーブル7により供試機器3を鉛直軸中心に回転させる。このとき、供試機器3から放射される電磁妨害波が測定用アンテナ2−1,2−2で受信する。
【0032】
測定用アンテナ2−1,2−2で受信された妨害波信号は、合成器4により合成されてプリアンプ5に出力される。プリアンプ5では、合成器4を介して入力した妨害波信号を増幅して受信機6へ供給する。受信機6は、入力した妨害波信号から放射EMIを測定する。
【0033】
なお、上述した説明では、測定用アンテナ2−1,2−2がダブルリジッドホーン型アンテナである場合を示したが、本発明はダブルリジッドホーン型に限定されるものではない。また、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面は、互いの偏波面が同一であればE面及びH面のいずれであっても構わない。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて測定用アンテナ2−1,2−2を支持して電磁妨害波を測定するので、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定面上の任意の点との間の距離が常に等しくなり、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2のそれぞれと供試機器3の被測定点との光路差が0となって、光路差に起因した位相差も0となる。これにより、複数の測定用アンテナを用いても、各測定用アンテナの放射パターンが互いに干渉することなく、均一な放射パターンを実現することができる。
【0035】
実施の形態2.
この実施の形態2では、上記実施の形態1の構成において、一方の測定用アンテナに下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナに上向きの角度(仰角)を与えた場合を説明する。
【0036】
図5は、この発明の実施の形態2による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図5に示すように、実施の形態2による放射EMI測定装置1では、測定用アンテナ2−1に下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナ2−2に上向きの角度(仰角)を与えている。なお、図5において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図6は、図5中の測定用アンテナの側面図であり、測定用アンテナ2−1,2−2における俯角、仰角の付け方を示している。測定用アンテナ2−1,2−2における俯角、仰角の付け方としては、図6に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2を通る水平線(図5中に一点破線で示す)を軸として、当該水平線周りに測定用アンテナ2−1,2−2を傾斜させて下向き、上向きの角度を与える。この結果、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の位置を変化させずに、測定用アンテナ2−1,2−2のアンテナ面に俯角θ2、仰角θ1を付けることができる。
【0038】
図7は、測定用アンテナ単体の放射パターンを示すグラフであり、測定周波数6GHzとし、測定用アンテナとして用いたダブルリジッドホーン型アンテナのE面偏波を示している。図7に示すように、GHz帯では高周波になるほど、測定用アンテナの放射パターンのビーム幅が狭くなる傾向がある。また、このような測定用アンテナを、上記実施の形態1で示したように各測定用アンテナのビーム放射方向が水平に並ぶように配置すると、ビーム合成によりビーム幅がさらに絞られてしまう。
【0039】
そこで、この実施の形態2では、上述したように測定用アンテナ2−1のアンテナ面に俯角θ2を与えてビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させ、測定用アンテナ2−2のアンテナ面に仰角θ1を与えてビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンを上下方向に振り分ける。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンのビーム合成が抑制され、広いビーム幅の放射パターンを実現することができる。これにより、放射EMIの検出感度を向上することが可能である。
【0040】
図8及び図9は、図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、アンテナの水平方向の間隔aを0.2mとし、アンテナの仰角θ1、俯角θ2を水平方向(図6中のx軸)基準にそれぞれ23度とした場合における様々な測定周波数での結果を示している。図8に示す符号f1を付した放射パターンは、測定周波数を1GHzとした場合の結果であり、図7に示したアンテナ単体の場合と比較して格段に広いビーム幅が実現されている。
【0041】
また、図8に示す符号f2を付した放射パターンは測定周波数が2GHz、符号f3を付した放射パターンは測定周波数が3GHzとした場合の結果であり、GHz帯で徐々に高周波にしても広いビーム幅が維持される。さらに、図9に示す符号f4,f5,f6を付した放射パターンは、それぞれ測定周波数を4GHz、5GHz、6GHzとした場合の結果であり、この範囲で高周波とした場合であっても、アンテナ単体の場合と比較して格段に広いビーム幅が得られる。
【0042】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2に仰角、俯角を付ける手段としては、上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構を用いる。例えば、支持ブロック10−1を軸14−1周りに下向きに回動させて測定用アンテナ2−1に所定の俯角を与え、支持ブロック10−2を軸14−2周りに上向きに回動させて測定用アンテナ2−2に所定の仰角を与えて、支持ブロック10−1,10−2の位置を固定する。この状態で、支持ブロック13−1,13−2をアンテナマスト12−1,12−2に沿って移動させ、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の高さが一致する位置で固定する。
【0043】
なお、上述の説明では、上記実施の形態1と同様に、測定用アンテナ2−1,2−2としてダブルリジッドホーン型アンテナを用いる場合を示したが、アンテナはダブルリジッドホーン型に限定されるものではない。また、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面は、互いの偏波面が同一であればE面及びH面のいずれであっても構わない。
【0044】
また、測定用アンテナ2−1に俯角を与え、測定用アンテナ2−2に仰角を与える場合を示したが、仰角と俯角の与え方を測定用アンテナ2−1,2−2で入れ替えても構わない。この場合、放射パターンが上下対称に入れ替わり、供試機器の正面側の放射パターンも同様に上下対称に入れ替わるだけである。
【0045】
以上のように、この実施の形態2によれば、測定用アンテナ2−1,2−2のうちの一方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、他方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させて支持する。このようにすることで、測定用アンテナ2−1に下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナ2−2に上向きの角度(仰角)を与えることができ、測定用アンテナ2−1及び測定用アンテナ2−2の放射パターンがそれぞれ上下方向に振り分けられて、図8及び図9に示すように広いビーム幅の放射パターンが得られる。
【0046】
さらに、上記実施の形態1と同様に、位相中心点8−1,8−2の高さを一致させているので、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定点との光路差による位相差も0となり、放射パターンの干渉がない均一な放射パターンが得られる。
【0047】
このように、均一かつビーム幅の広い放射パターンのGHz帯放射EMI測定用アンテナを実現できるため、電子機器からの放射電磁妨害波を測定するGHz帯放射EMI測定において、測定用アンテナのハイトスキャンなしに測定が可能であり、測定時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0048】
また、上記実施の形態2において、測定用アンテナ2−1,2−2の各偏波面を回転自在に支持するように構成し、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面をそれぞれ別個に変更してもよい。例えば、図4に示した位置決め機構を用い、図4中に矢印で示すように、シャフト9−1,9−2を回動させる。ここで、垂直偏波の場合は、図10上段に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面を合わせ、水平偏波の場合は、シャフト9−1,9−2を90度回転させて、図10下段に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面を合わせる。
【0049】
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態2の構成において、測定用アンテナの台数を3以上の奇数台とし、3以上の奇数台の測定用アンテナの各位相中心点が通る線分の中点に位置する位相中心点に関して左右対称となるように、3以上の奇数台の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持した場合を説明する。
【0050】
図11は、この発明の実施の形態3による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図11に示すように、実施の形態3による放射EMI測定装置1は、3台の測定用アンテナ2−1,2−2,2−3を備え、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3を水平方向に並べた中央の測定用アンテナ2−2を基準として左右対称となるように、各測定用アンテナに仰角、俯角を付けている。
【0051】
図11の例では、中央の測定用アンテナ2−2には上向きの角度(仰角)を与え、その左右に位置する測定用アンテナ2−1,2−3は下向きの角度(俯角)を与えることにより、各アンテナ面が水平方向に対称に配置される。なお、図11において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
また、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3は、図11に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2,8−3の高さを合わせて配置される。この状態で、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が通る線分の中点に位置する位相中心点8−2に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて仰角、俯角を付ける。これにより、測定用アンテナ2−1,2−3の位相中心点8−1,8−3の双方との距離が等しい供試機器3の上記被測定点の集合が被測定面となる。
【0053】
図12は、仰角及び俯角を与えた複数の測定用アンテナによる合成放射パターンを示す図であり、図12(a)は2台の測定用アンテナの放射パターンを示しており、図12(b)は3台の測定用アンテナの放射パターンを示している。ここで、図12(a)の結果は、上記実施の形態2と同様に、2台の測定用アンテナにダブルリジッドホーン型アンテナを使用し、測定用アンテナのホーン仰角/俯角を±23度とし、水平方向のアンテナ間隔aを0.2mとして、円筒スキャンした実測値である。2台の測定用アンテナで左右に仰角、俯角を付けた場合、図12(a)に示すように、各測定用アンテナの放射パターンの極大値が斜めに現れ、合成放射パターンも斜めになってしまう。
【0054】
一方、図12(b)の結果は、ホーン仰角/俯角を±17度とし、水平方向のアンテナ間隔aを0.18mとして、図11と同様に3台のアンテナ(角錐ホーン)を配置した構成における平面スキャンを模擬した計算結果を示している。このように、実施の形態3では、下向きの測定用アンテナ2−1,2−3及び上向きの測定用アンテナ2−2のそれぞれの放射パターンが合成されるため、水平方向の中央のパターンが真っ直ぐとなる。つまり、垂直方向(図6参照)にも放射パターンが形成され、供試機器3からの放射EMIの最大放射方向を容易に特定することが可能である。
【0055】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3に仰角、俯角を付ける手段としては、例えば上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構にアンテナマストや支持ブロックを追加したものを用いる。
【0056】
また、上述の説明では、測定用アンテナを3台備える場合を示したが、5台以上の奇数台であっても、同様の効果を得ることができる。
【0057】
以上のように、この実施の形態3によれば、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が通る線分の中点に位置する位相中心点8−2に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持する。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム合成で垂直な放射パターンを形成することが可能となり、供試機器3の最大放射方向の特定が容易となる。
【0058】
実施の形態4.
この実施の形態4は、上記実施の形態2の構成において、測定用アンテナの台数を4以上の偶数台とし、4以上の偶数台の測定用アンテナの各位相中心点が通る線分の中点に関して左右対称となるように、4以上の偶数台の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持した場合を説明する。
【0059】
図13は、この発明の実施の形態4による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図13に示すように、実施の形態4による放射EMI測定装置1は、4台の測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4を備え、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように各測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4に仰角、俯角を付けている。
【0060】
図13の例では、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点を介して隣り合う測定用アンテナ2−2,2−3には仰角を与えてビーム放射方向を水平方向に対して上向きの角度で傾斜させ、その左右に位置する測定用アンテナ2−1,2−4は俯角を与えて下向きの角度で傾斜させることにより、各アンテナ面が前記中点に関して対称に配置される。なお、図13において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
また、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4は、図13に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4の高さを合わせて配置される。この状態で、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて仰角、俯角を付ける。これにより、測定用アンテナ2−1,2−4の位相中心点8−1,8−4の双方との距離が等しく、測定用アンテナ2−2,2−3の位相中心点8−2,8−3の双方との距離が等しい供試機器3の上記被測定点の集合が被測定面となる。
【0062】
実施の形態4による測定用アンテナでの合成放射パターンは、上記実施の形態3で示した図12(a)の放射パターンを左右対称で合成したものとなる。この場合においても、下向きの測定用アンテナ2−1,2−4及び上向きの測定用アンテナ2−2,2−3のそれぞれの放射パターンが合成されるため、水平方向の中央のパターンが真っ直ぐとなる。このように垂直方向(図6参照)にも放射パターンが形成されることから、供試機器3の最大放射方向を容易に特定することが可能である。
【0063】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4に仰角、俯角を付ける手段としては、例えば上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構にアンテナマストや支持ブロックを追加したものを用いる。
【0064】
また、上述の説明では、測定用アンテナを4台備える場合を示したが、6台以上の偶数台であっても、同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上のように、この実施の形態4によれば、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて支持する。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム合成で垂直な放射パターンを形成することが可能となり、供試機器3の最大放射方向の特定が容易となる。
【0066】
実施の形態5.
この実施の形態5は、上記実施の形態1の構成において、仰角/俯角を23°とした場合である。
【0067】
図16は、この発明の実施の形態5による各測定用アンテナの仰角/俯角の計算結果を示すグラフであり、3dBビーム幅の周波数特性(計算値)を示している。なお、測定距離dは3m、供試機器の高さwは3mとする。この場合、要求される3dBビーム幅は、CISPR(国際無線障害特別委員会)規格のCISPR16−2−3 2006よって、下記式(1)で表される。
w=2dtan(0.5×θ3dB) ・・・(1)
上記式(1)より、上記条件では、3dBビーム幅θ3dBが53.2°となる。
【0068】
また、測定用アンテナには2台のダブルリジッドホーン型アンテナを用い、それぞれのアンテナに仰角/俯角を与えて構成した場合、仰角/俯角に応じて3dBビーム幅が大きくなる(仰角/俯角=20〜25°の場合)。しかしながら、仰角/俯角=26°になると、ビームに現れるリップルの振幅が3dBを超過する。これにより、θ3dB=53.2°を満たす測定用アンテナの仰角/俯角は、安全マージンを見込んで仰角/俯角=23°を最適角度とすれば良い。
【0069】
以上のように、この実施の形態5によれば、仰角/俯角=23°とすることで、3dBビーム幅の要求値(=53.2°)を満足し、3dBビーム幅を最大限に拡大し、かつ、ビーム幅のリップルを3dB以内に抑えることが可能となる。
【0070】
実施の形態6.
この実施の形態6は、上記実施の形態1の構成において、合成器とRFセレクタとを接続するケーブルを、同等の電気特性で、かつ同じ長さとした場合である。
【0071】
上述したように、実施の形態6による放射EMI測定装置は、上記実施の形態1で図1を用いて説明した構成と基本的に同様であるが、合成器4と、RFセレクタである測定用アンテナ2−1及び測定用アンテナ2−2とをそれぞれ接続するケーブルを、同等の電気特性を有し、かつ同じ長さとしている。
【0072】
一般的に、信号はケーブルが長くなると減衰する特性を有するので、ケーブル長さは、可能な限り短くした方がよい。また、合成器4及びアンテナ2−1と、合成器4及びアンテナ2−2との間では、ケーブルでの信号減衰量は同じにする必要がある。
【0073】
ケーブルによる信号減衰量の上限値は、マルチビームアンテナの利得によって決定されるため、合成器4と測定用アンテナ2−1,2−2とをそれぞれ接続するケーブルを、同等の電気特性を有し、かつ同じ長さとすることにより、アンテナ利得が大きい場合は、ケーブルの信号減衰量の上限値が緩和される。また、ケーブルの長さの違いによる位相差が低減するため、測定アンテナ2−1,2−2からの各信号の位相差を低減し、Null点を減少させることが可能となる。
【0074】
実施の形態7.
この実施の形態7は、上記実施の形態1の構成において、測定用アンテナが偏波を共用可能な場合であり、かつ、各々の偏波毎に端子を備えている場合である。
【0075】
図17は、この発明の実施の形態1において、測定用アンテナが偏波を共用可能な場合であり、かつ、各々の偏波毎に端子を備えている場合の構成を示す図である。また、この実施の形態で使用する放射EMI測定用アンテナ(クワッド・リッジホーン・アンテナ)を図18に示す。
偏波を共用可能な測定用クワッド・リッジホーン・アンテナ15−1,15−2(ここではリッジホーン・アンテナを例とする)は、図18に示すように、水平と垂直の両偏波を1台のアンテナで測定できるように、両偏波のリッジを備え、両偏波の信号を独立して送受信できるように端子を2つ備えている。このアンテナを適用する場合は、測定用アンテナ15−1,15−2の水平偏波用の端子を合成器4−1に接続し、一方、測定用アンテナ15−1,15−2の垂直偏波用の端子を合成器4−2に接続し、RFセレクタ16で所望の偏波面の信号を選択するような構成とする。
【0076】
また、図19のように、各測定用アンテナ15−1,15−2の水平偏波用信号と垂直偏波用信号との2信号を、RFセレクタ16−1,16−2にそれぞれ入力して切替を行っても良い。この場合には、RFセレクタ16−1とRFセレクタ16−2との切替は、水平偏波用信号のみ、又は垂直偏波用信号のみを選択するように同時に切替を行う必要がある。
【0077】
以上の構成により、アンテナの偏波回転機構を設けることなく、水平及び垂直偏波の放射EMI測定が可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 放射EMI測定装置、2−1〜2−4,15−1,15−2 測定用アンテナ、3 供試機器、4,4−1,4−2 合成器(合成手段)、5 プリアンプ、6 受信機(受信処理手段)、7 ターンテーブル、8−1〜8−4 位相中心点、9−1,9−2 シャフト、10−1,10−2,13−1,13−2 支持ブロック、11 支持台、12−1,12−2 アンテナマスト、14−1,14−2 軸、16,16−1,16−2 RFセレクタ、100 放射EMI測定装置、101−1〜101〜4 測定用アンテナ、102 供試機器、103 合成器、104 プリアンプ、105 受信機、106 ターンテーブル。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品や電子装置などの電子機器から放射された電磁妨害波を検出して測定する放射EMI(Electro Magnetic Interference)測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EMC(Electro Magnetic Compatibility)試験とは、電子部品やこれを搭載する電子装置の電磁環境適合性を評価する試験であり、エミッション測定(EMI測定)とイミュニティ試験(EMS試験)がある。EMI測定では、供試機器(電子部品や電子装置などの電子機器)から放射される電磁妨害波(以下、放射EMIと適宜記載する)の大きさが測定される。また、イミュニティ試験は、外部から電磁妨害波を受けた際における機器の耐性を評価する。
【0003】
放射EMI試験で使用する従来の放射EMI測定装置は、一般的に測定用アンテナの数が1個であり、供試機器からの電磁妨害波が測定用アンテナのビーム幅を外れる範囲で放射される場合、測定用アンテナを移動させて測定する必要がある。例えば、測定用アンテナのビーム幅を供試機器の高さ方向に外れて電磁妨害波が放射される場合、測定用アンテナを供試機器の高さ方向に移動(ハイトスキャン)させて測定する。
【0004】
測定用アンテナを駆動制御することなく測定する従来の技術として、例えば特許文献1に開示されるEMI測定装置がある。この装置では、供試機器をxyz座標の原点位置に配置し、複数の測定用アンテナをx−y−zの3軸に配置することにより、測定用アンテナを駆動制御することなく、供試機器からの放射EMIの測定を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2743839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の放射EMI測定では、測定用アンテナが1個のEMI測定装置を利用する場合、供試機器からの電磁妨害波が測定用アンテナのビーム幅を外れる範囲で放射されると、例えば測定用アンテナを高さ方向に移動(ハイトスキャン)させて測定する必要がある。このように測定用アンテナを移動させる場合、測定周波数が1GHz未満であれば、測定用アンテナの移動速度はせいぜい数cm/秒で済む。
【0007】
これに対して、測定周波数が1GHz以上であると、測定用アンテナのビーム幅が狭くなるため、測定精度を維持するには、測定用アンテナの移動速度をMHz帯の測定時より遅くする必要がある。従って、供試機器における全ての部位から放射EMIを測定する際、MHz帯の場合よりも余計に時間がかかるという課題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載される測定装置では、複数の測定用アンテナで供試機器からの電磁妨害波を受信することにより、測定用アンテナのハイトスキャンを省略している。
しかしながら、放射EMI測定のように近傍界における測定では、複数の測定用アンテナの各位相中心と供試機器の一測定点との距離差により、各測定用アンテナの放射パターンを合成する際の位相差に起因した放射パターンの干渉(Null点)が発生して合成放射パターンを均一に成形できない。
【0009】
図14は、従来の放射EMI測定装置の構成を示す図であり、供試機器の高さ方向に複数の測定用アンテナを等間隔に配置して、測定用アンテナの駆動によるハイトスキャンをすることなく、放射EMI測定する場合を示している。図14において、従来の放射EMI測定装置100は、測定用アンテナ101−1〜101〜4、合成器103、プリアンプ104及び受信機105を備える。また、供試機器102は、ターンテーブル106上に設置される。
【0010】
測定用アンテナ101−1〜101−4は指向特性を有しており、受信可能な範囲を示すビーム内に入射した電磁波のみを受信することができ、ビームの範囲外から入射する電磁波はほとんど受信できない。また、測定用アンテナ101−1〜101−4は、GHz帯の電磁妨害波を受信できるように、ダブルリジッドホーン型アンテナとする。
【0011】
また、測定用アンテナ101−1〜101−4は、上記アンテナビームが供試機器102側に向き、かつ供試機器102からの放射EMIを受信可能な距離(アンテナビームの範囲内に供試機器102が入る距離)に配置される。さらに、測定用アンテナ101−1〜101−4を供試機器102の高さ方向にそれぞれ等間隔に配置する。
【0012】
供試機器102は、ターンテーブル106により鉛直軸中心に回転させられ、このとき供試機器102から放射される電磁妨害波が測定用アンテナ101−1〜101−4によって受信される。合成器103は、測定用アンテナ101−1〜101−4の受信出力を合成し、プリアンプ104に出力する。プリアンプ104では、合成器103を介して入力した妨害波信号を増幅して受信機105へ供給する。受信機105は、入力した妨害波信号から放射EMIを測定する。
【0013】
図15は、図14中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの高さ方向の間隔hを1mとし、測定周波数を6GHzとした場合の測定結果を示している。図15に示すように、測定用アンテナ101−1〜101−4は、供試機器102の高さ方向に広い放射パターンを形成するが、測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンを合成する際の位相差による放射パターンの干渉(Null点)が発生した不均一な放射パターンとなっている。
【0014】
これは、近傍界における測定となる放射EMI測定で複数の測定用アンテナを用いた場合に不可避的に発生する課題である。つまり、遠方界であれば、供試機器102と測定用アンテナ101−1〜101−4との距離が長いため、供試機器102の一測定点までの測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの光路差が小さい。この場合、測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンの位相差によるヌル(Null)が発生しにくい。
【0015】
これに対して、放射EMI測定のような近傍界では、供試機器102と測定用アンテナ101−1〜101−4との距離が短く、供試機器102の一測定点までの測定用アンテナ101−1〜101−4のそれぞれの光路差が大きくなる。このため、各測定用アンテナ101−1〜101−4の各放射パターンの位相差により、図15に示すような不感帯となるヌルが発生する。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、測定時間の短縮化や近傍界測定においても均一な放射パターンによる測定が可能な放射EMI測定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係る放射EMI測定装置は、供試機器から放射される電磁妨害波を受信する複数の測定用アンテナと、前記複数の測定用アンテナの各位相中心点が前記供試機器に対向して水平に一列に、かつ前記供試機器の被測定面上の任意の点から見て左右対称に並ぶように前記各位相中心点の高さを合わせて前記複数の測定用アンテナを支持する位置決め手段と、前記複数の測定用アンテナの受信出力を合成する合成手段と、前記合成された信号を入力して前記電磁妨害波を測定する受信処理手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、複数の測定用アンテナの各位相中心点が供試機器に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点の高さを合わせて複数の測定用アンテナを支持して電磁妨害波を測定するので、複数の測定用アンテナの位相差による放射パターンの干渉を抑制することができ、均一な合成放射パターンの放射EMI測定用アンテナを有する測定装置を実現することができる。また、複数の測定用アンテナの各ビーム放射方向を傾斜させることにより、高周波数帯域(例えば、GHz帯)であってもビーム幅の広い放射パターンが得られる。これにより、従来のハイトスキャンのように1個のアンテナを高さ方向又は横方向に移動させることなく、GHz帯での測定における測定時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1中の測定用アンテナと供試機器との詳細な位置関係を示す上面図である。
【図3】図1中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図4】図1中の測定用アンテナの位置決め機構の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】図5中の測定用アンテナの側面図である。
【図7】測定用アンテナ単体の放射パターンを示すグラフである。
【図8】図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図9】図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図10】測定用アンテナの偏波面の変更を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態3による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図12】仰角及び俯角を与えた複数の測定用アンテナによる合成放射パターンを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態4による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図14】従来の放射EMI測定装置の構成を示す図である。
【図15】図14中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図16】この発明の実施の形態5による各測定用アンテナの仰角/俯角の計算結果を示すグラフである。
【図17】この発明の実施の形態7による放射EMI測定装置の構成を示す図である。
【図18】図17中の測定用アンテナの偏波面を説明するための図である。
【図19】この発明の実施の形態7による放射EMI測定装置の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図1に示すように、実施の形態1による放射EMI測定装置1は、測定用アンテナ2−1,2−2、合成器(合成手段)4、プリアンプ5及び受信機(受信処理手段)6を備える。また、供試機器3は、電子部品やこれを備えた電子装置などの電子機器であり、ターンテーブル7上に設置される。
【0021】
測定用アンテナ2−1,2−2は、図1に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて配置される。また、測定用アンテナ2−1,2−2は、GHz帯の電磁妨害波を受信できるようにダブルリジッドホーン型アンテナとしている。
【0022】
図2は、図1中の測定用アンテナと供試機器との詳細な位置関係を示す上面図である。測定用アンテナ2−1,2−2は、供試機器3の正面上の被測定点Pとが、図2に示す位置関係となるように配置される。ここで、供試機器3の被測定点Pは、測定用アンテナ2−1,2−2の中点(図1中の位相中心点8−1,8−2)A,Bのそれぞれから等しい距離にあり、線分ABの中点Oから供試機器3の正面へ引いた垂線上にある。つまり、測定用アンテナ2−1,2−2は、線分AOと線分BOの長さが等しく、線分APと線分BPの長さが等しくなるように配置される。
【0023】
このように測定用アンテナ2−1,2−2を配置することにより、供試機器3において、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の双方との距離が等しい被測定点の集合が被測定面となる。
【0024】
図3は、図1中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、測定用アンテナ2−1,2−2の水平方向の間隔(位相中心点8−1,8−2間の距離)aを0.2mとし、測定周波数を6GHzとした場合の測定結果を示している。図3から明らかなように、実施の形態1による放射EMI測定装置1では、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンの干渉(ヌル)が生じない均一なパターンが得られる。
【0025】
これは、測定用アンテナ2−1,2−2を、図1,2を用いて説明した位置関係で配置することにより、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定面上の任意の点との間の距離が常に等しくなり、測定用アンテナ2−1の位相中心点8−1と供試機器3の被測定点との光路差が0で、かつ測定用アンテナ2−2の位相中心点8−2と供試機器3の被測定点との光路差が0となり、光路差による位相差も0となるため、図15で示したようなヌルが生じなくなる。
【0026】
図4は、図1中の測定用アンテナの位置決め機構(位置決め手段)の一例を示す図である。図4において、測定用アンテナ2−1,2−2はシャフト9−1,9−2にそれぞれ取り付けられる。シャフト9−1,9−2は、支持ブロック10−1,10−2に取り付けられ、図4中に矢印で示すようにその軸周りに回動可能である。
【0027】
支持台11には、アンテナマスト12−1,12−2が設けられており、支持ブロック13−1,13−2が、それぞれアンテナマスト12−1,12−2に沿って上下移動可能に取り付けられる。また、支持ブロック13−1,13−2は、上述した支持ブロック10−1,10−2が軸14−1,14−2周りに回動可能に支持される。
【0028】
図1,2を用いて説明した位置関係で測定用アンテナ2−1,2−2を配置するには、支持ブロック10−1,10−2を軸14−1,14−2周りに回動させて測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2の水平方向の位置を合わせ、支持ブロック13−1,13−2をスライドさせて測定用アンテナ2−1,2−2の高さ(位相中心点8−1,8−2の高さ)が一致する位置に固定する。これにより、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2が同じ高さで水平に一列に並んだ状態となる。
【0029】
上述のようにして測定用アンテナ2−1,2−2の位置固定を実行した支持台11を、供試機器3に対向させて配置すると、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2との距離が等しい供試機器3の外面(測定用アンテナ2−1,2−2のアンテナ面に対向する外面)上の被測定点が決定され、これら被測定点の集合で被測定面が規定される。
【0030】
なお、シャフト9−1,9−2、支持ブロック10−1,10−2、及び支持ブロック13−1,13−2は、精密に位置合わせが可能であればよく、また駆動機構を設けて、自動的に位置合わせできるように構成してもよい。
【0031】
次に放射EMIの測定について説明する。
先ず、上述した位置関係で測定用アンテナ2−1,2−2及び供試機器3を配置し、ターンテーブル7により供試機器3を鉛直軸中心に回転させる。このとき、供試機器3から放射される電磁妨害波が測定用アンテナ2−1,2−2で受信する。
【0032】
測定用アンテナ2−1,2−2で受信された妨害波信号は、合成器4により合成されてプリアンプ5に出力される。プリアンプ5では、合成器4を介して入力した妨害波信号を増幅して受信機6へ供給する。受信機6は、入力した妨害波信号から放射EMIを測定する。
【0033】
なお、上述した説明では、測定用アンテナ2−1,2−2がダブルリジッドホーン型アンテナである場合を示したが、本発明はダブルリジッドホーン型に限定されるものではない。また、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面は、互いの偏波面が同一であればE面及びH面のいずれであっても構わない。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、測定用アンテナ2−1,2−2の各位相中心点8−1,8−2が供試機器3に対向して水平に一列に並ぶように、各位相中心点8−1,8−2の高さを合わせて測定用アンテナ2−1,2−2を支持して電磁妨害波を測定するので、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定面上の任意の点との間の距離が常に等しくなり、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2のそれぞれと供試機器3の被測定点との光路差が0となって、光路差に起因した位相差も0となる。これにより、複数の測定用アンテナを用いても、各測定用アンテナの放射パターンが互いに干渉することなく、均一な放射パターンを実現することができる。
【0035】
実施の形態2.
この実施の形態2では、上記実施の形態1の構成において、一方の測定用アンテナに下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナに上向きの角度(仰角)を与えた場合を説明する。
【0036】
図5は、この発明の実施の形態2による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図5に示すように、実施の形態2による放射EMI測定装置1では、測定用アンテナ2−1に下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナ2−2に上向きの角度(仰角)を与えている。なお、図5において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図6は、図5中の測定用アンテナの側面図であり、測定用アンテナ2−1,2−2における俯角、仰角の付け方を示している。測定用アンテナ2−1,2−2における俯角、仰角の付け方としては、図6に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2を通る水平線(図5中に一点破線で示す)を軸として、当該水平線周りに測定用アンテナ2−1,2−2を傾斜させて下向き、上向きの角度を与える。この結果、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の位置を変化させずに、測定用アンテナ2−1,2−2のアンテナ面に俯角θ2、仰角θ1を付けることができる。
【0038】
図7は、測定用アンテナ単体の放射パターンを示すグラフであり、測定周波数6GHzとし、測定用アンテナとして用いたダブルリジッドホーン型アンテナのE面偏波を示している。図7に示すように、GHz帯では高周波になるほど、測定用アンテナの放射パターンのビーム幅が狭くなる傾向がある。また、このような測定用アンテナを、上記実施の形態1で示したように各測定用アンテナのビーム放射方向が水平に並ぶように配置すると、ビーム合成によりビーム幅がさらに絞られてしまう。
【0039】
そこで、この実施の形態2では、上述したように測定用アンテナ2−1のアンテナ面に俯角θ2を与えてビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させ、測定用アンテナ2−2のアンテナ面に仰角θ1を与えてビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンを上下方向に振り分ける。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2の放射パターンのビーム合成が抑制され、広いビーム幅の放射パターンを実現することができる。これにより、放射EMIの検出感度を向上することが可能である。
【0040】
図8及び図9は、図5中の測定用アンテナの放射パターンを示すグラフであり、アンテナの水平方向の間隔aを0.2mとし、アンテナの仰角θ1、俯角θ2を水平方向(図6中のx軸)基準にそれぞれ23度とした場合における様々な測定周波数での結果を示している。図8に示す符号f1を付した放射パターンは、測定周波数を1GHzとした場合の結果であり、図7に示したアンテナ単体の場合と比較して格段に広いビーム幅が実現されている。
【0041】
また、図8に示す符号f2を付した放射パターンは測定周波数が2GHz、符号f3を付した放射パターンは測定周波数が3GHzとした場合の結果であり、GHz帯で徐々に高周波にしても広いビーム幅が維持される。さらに、図9に示す符号f4,f5,f6を付した放射パターンは、それぞれ測定周波数を4GHz、5GHz、6GHzとした場合の結果であり、この範囲で高周波とした場合であっても、アンテナ単体の場合と比較して格段に広いビーム幅が得られる。
【0042】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2に仰角、俯角を付ける手段としては、上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構を用いる。例えば、支持ブロック10−1を軸14−1周りに下向きに回動させて測定用アンテナ2−1に所定の俯角を与え、支持ブロック10−2を軸14−2周りに上向きに回動させて測定用アンテナ2−2に所定の仰角を与えて、支持ブロック10−1,10−2の位置を固定する。この状態で、支持ブロック13−1,13−2をアンテナマスト12−1,12−2に沿って移動させ、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2の高さが一致する位置で固定する。
【0043】
なお、上述の説明では、上記実施の形態1と同様に、測定用アンテナ2−1,2−2としてダブルリジッドホーン型アンテナを用いる場合を示したが、アンテナはダブルリジッドホーン型に限定されるものではない。また、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面は、互いの偏波面が同一であればE面及びH面のいずれであっても構わない。
【0044】
また、測定用アンテナ2−1に俯角を与え、測定用アンテナ2−2に仰角を与える場合を示したが、仰角と俯角の与え方を測定用アンテナ2−1,2−2で入れ替えても構わない。この場合、放射パターンが上下対称に入れ替わり、供試機器の正面側の放射パターンも同様に上下対称に入れ替わるだけである。
【0045】
以上のように、この実施の形態2によれば、測定用アンテナ2−1,2−2のうちの一方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、他方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させて支持する。このようにすることで、測定用アンテナ2−1に下向きの角度(俯角)を与え、他方の測定用アンテナ2−2に上向きの角度(仰角)を与えることができ、測定用アンテナ2−1及び測定用アンテナ2−2の放射パターンがそれぞれ上下方向に振り分けられて、図8及び図9に示すように広いビーム幅の放射パターンが得られる。
【0046】
さらに、上記実施の形態1と同様に、位相中心点8−1,8−2の高さを一致させているので、測定用アンテナ2−1,2−2の位相中心点8−1,8−2と供試機器3の被測定点との光路差による位相差も0となり、放射パターンの干渉がない均一な放射パターンが得られる。
【0047】
このように、均一かつビーム幅の広い放射パターンのGHz帯放射EMI測定用アンテナを実現できるため、電子機器からの放射電磁妨害波を測定するGHz帯放射EMI測定において、測定用アンテナのハイトスキャンなしに測定が可能であり、測定時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0048】
また、上記実施の形態2において、測定用アンテナ2−1,2−2の各偏波面を回転自在に支持するように構成し、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面をそれぞれ別個に変更してもよい。例えば、図4に示した位置決め機構を用い、図4中に矢印で示すように、シャフト9−1,9−2を回動させる。ここで、垂直偏波の場合は、図10上段に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面を合わせ、水平偏波の場合は、シャフト9−1,9−2を90度回転させて、図10下段に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2の偏波面を合わせる。
【0049】
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態2の構成において、測定用アンテナの台数を3以上の奇数台とし、3以上の奇数台の測定用アンテナの各位相中心点が通る線分の中点に位置する位相中心点に関して左右対称となるように、3以上の奇数台の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持した場合を説明する。
【0050】
図11は、この発明の実施の形態3による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図11に示すように、実施の形態3による放射EMI測定装置1は、3台の測定用アンテナ2−1,2−2,2−3を備え、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3を水平方向に並べた中央の測定用アンテナ2−2を基準として左右対称となるように、各測定用アンテナに仰角、俯角を付けている。
【0051】
図11の例では、中央の測定用アンテナ2−2には上向きの角度(仰角)を与え、その左右に位置する測定用アンテナ2−1,2−3は下向きの角度(俯角)を与えることにより、各アンテナ面が水平方向に対称に配置される。なお、図11において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
また、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3は、図11に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2,8−3の高さを合わせて配置される。この状態で、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が通る線分の中点に位置する位相中心点8−2に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて仰角、俯角を付ける。これにより、測定用アンテナ2−1,2−3の位相中心点8−1,8−3の双方との距離が等しい供試機器3の上記被測定点の集合が被測定面となる。
【0053】
図12は、仰角及び俯角を与えた複数の測定用アンテナによる合成放射パターンを示す図であり、図12(a)は2台の測定用アンテナの放射パターンを示しており、図12(b)は3台の測定用アンテナの放射パターンを示している。ここで、図12(a)の結果は、上記実施の形態2と同様に、2台の測定用アンテナにダブルリジッドホーン型アンテナを使用し、測定用アンテナのホーン仰角/俯角を±23度とし、水平方向のアンテナ間隔aを0.2mとして、円筒スキャンした実測値である。2台の測定用アンテナで左右に仰角、俯角を付けた場合、図12(a)に示すように、各測定用アンテナの放射パターンの極大値が斜めに現れ、合成放射パターンも斜めになってしまう。
【0054】
一方、図12(b)の結果は、ホーン仰角/俯角を±17度とし、水平方向のアンテナ間隔aを0.18mとして、図11と同様に3台のアンテナ(角錐ホーン)を配置した構成における平面スキャンを模擬した計算結果を示している。このように、実施の形態3では、下向きの測定用アンテナ2−1,2−3及び上向きの測定用アンテナ2−2のそれぞれの放射パターンが合成されるため、水平方向の中央のパターンが真っ直ぐとなる。つまり、垂直方向(図6参照)にも放射パターンが形成され、供試機器3からの放射EMIの最大放射方向を容易に特定することが可能である。
【0055】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3に仰角、俯角を付ける手段としては、例えば上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構にアンテナマストや支持ブロックを追加したものを用いる。
【0056】
また、上述の説明では、測定用アンテナを3台備える場合を示したが、5台以上の奇数台であっても、同様の効果を得ることができる。
【0057】
以上のように、この実施の形態3によれば、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3の各位相中心点8−1,8−2,8−3が通る線分の中点に位置する位相中心点8−2に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持する。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3のビーム合成で垂直な放射パターンを形成することが可能となり、供試機器3の最大放射方向の特定が容易となる。
【0058】
実施の形態4.
この実施の形態4は、上記実施の形態2の構成において、測定用アンテナの台数を4以上の偶数台とし、4以上の偶数台の測定用アンテナの各位相中心点が通る線分の中点に関して左右対称となるように、4以上の偶数台の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して傾斜(仰角、俯角)させて支持した場合を説明する。
【0059】
図13は、この発明の実施の形態4による放射EMI測定装置の構成を概略的に示す図であり、装置構成は機能ブロックで示し、放射EMI測定における測定用アンテナ及び供試機器の配置を斜視図で示している。図13に示すように、実施の形態4による放射EMI測定装置1は、4台の測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4を備え、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように各測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4に仰角、俯角を付けている。
【0060】
図13の例では、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点を介して隣り合う測定用アンテナ2−2,2−3には仰角を与えてビーム放射方向を水平方向に対して上向きの角度で傾斜させ、その左右に位置する測定用アンテナ2−1,2−4は俯角を与えて下向きの角度で傾斜させることにより、各アンテナ面が前記中点に関して対称に配置される。なお、図13において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
また、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4は、図13に示すように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が供試機器3の正面に対向して水平に一列に並ぶように各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4の高さを合わせて配置される。この状態で、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて仰角、俯角を付ける。これにより、測定用アンテナ2−1,2−4の位相中心点8−1,8−4の双方との距離が等しく、測定用アンテナ2−2,2−3の位相中心点8−2,8−3の双方との距離が等しい供試機器3の上記被測定点の集合が被測定面となる。
【0062】
実施の形態4による測定用アンテナでの合成放射パターンは、上記実施の形態3で示した図12(a)の放射パターンを左右対称で合成したものとなる。この場合においても、下向きの測定用アンテナ2−1,2−4及び上向きの測定用アンテナ2−2,2−3のそれぞれの放射パターンが合成されるため、水平方向の中央のパターンが真っ直ぐとなる。このように垂直方向(図6参照)にも放射パターンが形成されることから、供試機器3の最大放射方向を容易に特定することが可能である。
【0063】
なお、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4に仰角、俯角を付ける手段としては、例えば上記実施の形態1の図4で示した位置決め機構にアンテナマストや支持ブロックを追加したものを用いる。
【0064】
また、上述の説明では、測定用アンテナを4台備える場合を示したが、6台以上の偶数台であっても、同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上のように、この実施の形態4によれば、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4の各位相中心点8−1,8−2,8−3,8−4が通る線分の中点に関して左右対称となるように、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム放射方向を水平方向に対して傾斜させて支持する。このようにすることにより、測定用アンテナ2−1,2−2,2−3,2−4のビーム合成で垂直な放射パターンを形成することが可能となり、供試機器3の最大放射方向の特定が容易となる。
【0066】
実施の形態5.
この実施の形態5は、上記実施の形態1の構成において、仰角/俯角を23°とした場合である。
【0067】
図16は、この発明の実施の形態5による各測定用アンテナの仰角/俯角の計算結果を示すグラフであり、3dBビーム幅の周波数特性(計算値)を示している。なお、測定距離dは3m、供試機器の高さwは3mとする。この場合、要求される3dBビーム幅は、CISPR(国際無線障害特別委員会)規格のCISPR16−2−3 2006よって、下記式(1)で表される。
w=2dtan(0.5×θ3dB) ・・・(1)
上記式(1)より、上記条件では、3dBビーム幅θ3dBが53.2°となる。
【0068】
また、測定用アンテナには2台のダブルリジッドホーン型アンテナを用い、それぞれのアンテナに仰角/俯角を与えて構成した場合、仰角/俯角に応じて3dBビーム幅が大きくなる(仰角/俯角=20〜25°の場合)。しかしながら、仰角/俯角=26°になると、ビームに現れるリップルの振幅が3dBを超過する。これにより、θ3dB=53.2°を満たす測定用アンテナの仰角/俯角は、安全マージンを見込んで仰角/俯角=23°を最適角度とすれば良い。
【0069】
以上のように、この実施の形態5によれば、仰角/俯角=23°とすることで、3dBビーム幅の要求値(=53.2°)を満足し、3dBビーム幅を最大限に拡大し、かつ、ビーム幅のリップルを3dB以内に抑えることが可能となる。
【0070】
実施の形態6.
この実施の形態6は、上記実施の形態1の構成において、合成器とRFセレクタとを接続するケーブルを、同等の電気特性で、かつ同じ長さとした場合である。
【0071】
上述したように、実施の形態6による放射EMI測定装置は、上記実施の形態1で図1を用いて説明した構成と基本的に同様であるが、合成器4と、RFセレクタである測定用アンテナ2−1及び測定用アンテナ2−2とをそれぞれ接続するケーブルを、同等の電気特性を有し、かつ同じ長さとしている。
【0072】
一般的に、信号はケーブルが長くなると減衰する特性を有するので、ケーブル長さは、可能な限り短くした方がよい。また、合成器4及びアンテナ2−1と、合成器4及びアンテナ2−2との間では、ケーブルでの信号減衰量は同じにする必要がある。
【0073】
ケーブルによる信号減衰量の上限値は、マルチビームアンテナの利得によって決定されるため、合成器4と測定用アンテナ2−1,2−2とをそれぞれ接続するケーブルを、同等の電気特性を有し、かつ同じ長さとすることにより、アンテナ利得が大きい場合は、ケーブルの信号減衰量の上限値が緩和される。また、ケーブルの長さの違いによる位相差が低減するため、測定アンテナ2−1,2−2からの各信号の位相差を低減し、Null点を減少させることが可能となる。
【0074】
実施の形態7.
この実施の形態7は、上記実施の形態1の構成において、測定用アンテナが偏波を共用可能な場合であり、かつ、各々の偏波毎に端子を備えている場合である。
【0075】
図17は、この発明の実施の形態1において、測定用アンテナが偏波を共用可能な場合であり、かつ、各々の偏波毎に端子を備えている場合の構成を示す図である。また、この実施の形態で使用する放射EMI測定用アンテナ(クワッド・リッジホーン・アンテナ)を図18に示す。
偏波を共用可能な測定用クワッド・リッジホーン・アンテナ15−1,15−2(ここではリッジホーン・アンテナを例とする)は、図18に示すように、水平と垂直の両偏波を1台のアンテナで測定できるように、両偏波のリッジを備え、両偏波の信号を独立して送受信できるように端子を2つ備えている。このアンテナを適用する場合は、測定用アンテナ15−1,15−2の水平偏波用の端子を合成器4−1に接続し、一方、測定用アンテナ15−1,15−2の垂直偏波用の端子を合成器4−2に接続し、RFセレクタ16で所望の偏波面の信号を選択するような構成とする。
【0076】
また、図19のように、各測定用アンテナ15−1,15−2の水平偏波用信号と垂直偏波用信号との2信号を、RFセレクタ16−1,16−2にそれぞれ入力して切替を行っても良い。この場合には、RFセレクタ16−1とRFセレクタ16−2との切替は、水平偏波用信号のみ、又は垂直偏波用信号のみを選択するように同時に切替を行う必要がある。
【0077】
以上の構成により、アンテナの偏波回転機構を設けることなく、水平及び垂直偏波の放射EMI測定が可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 放射EMI測定装置、2−1〜2−4,15−1,15−2 測定用アンテナ、3 供試機器、4,4−1,4−2 合成器(合成手段)、5 プリアンプ、6 受信機(受信処理手段)、7 ターンテーブル、8−1〜8−4 位相中心点、9−1,9−2 シャフト、10−1,10−2,13−1,13−2 支持ブロック、11 支持台、12−1,12−2 アンテナマスト、14−1,14−2 軸、16,16−1,16−2 RFセレクタ、100 放射EMI測定装置、101−1〜101〜4 測定用アンテナ、102 供試機器、103 合成器、104 プリアンプ、105 受信機、106 ターンテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試機器から放射される電磁妨害波を受信する複数の測定用アンテナと、
前記複数の測定用アンテナの各位相中心点が前記供試機器に対向して水平に一列に、かつ前記供試機器の被測定面上の任意の点から見て左右対称に並ぶように前記各位相中心点の高さを合わせて前記複数の測定用アンテナを支持する位置決め手段と、
前記複数の測定用アンテナの受信出力を合成する合成手段と、
前記合成された信号を入力して前記電磁妨害波を測定する受信処理手段とを備えた放射EMI測定装置。
【請求項2】
前記複数の測定用アンテナとして2台の測定用アンテナを備え、
前記位置決め手段は、一方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、他方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させて支持することを特徴とする請求項1記載の放射EMI測定装置。
【請求項3】
前記合成手段は、同等の電気特性を有する同じ長さのケーブルを用いて、前記複数のアンテナそれぞれと接続されることを特徴とする請求項1記載の放射EMI測定装置。
【請求項1】
供試機器から放射される電磁妨害波を受信する複数の測定用アンテナと、
前記複数の測定用アンテナの各位相中心点が前記供試機器に対向して水平に一列に、かつ前記供試機器の被測定面上の任意の点から見て左右対称に並ぶように前記各位相中心点の高さを合わせて前記複数の測定用アンテナを支持する位置決め手段と、
前記複数の測定用アンテナの受信出力を合成する合成手段と、
前記合成された信号を入力して前記電磁妨害波を測定する受信処理手段とを備えた放射EMI測定装置。
【請求項2】
前記複数の測定用アンテナとして2台の測定用アンテナを備え、
前記位置決め手段は、一方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して上向きに傾斜させ、他方の測定用アンテナのビーム放射方向を水平方向に対して下向きに傾斜させて支持することを特徴とする請求項1記載の放射EMI測定装置。
【請求項3】
前記合成手段は、同等の電気特性を有する同じ長さのケーブルを用いて、前記複数のアンテナそれぞれと接続されることを特徴とする請求項1記載の放射EMI測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−101159(P2013−101159A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−43099(P2013−43099)
【出願日】平成25年3月5日(2013.3.5)
【分割の表示】特願2009−76430(P2009−76430)の分割
【原出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年3月5日(2013.3.5)
【分割の表示】特願2009−76430(P2009−76430)の分割
【原出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
[ Back to top ]