説明

放熱性の高い高性能、高容量パッケージ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路パッケージ技術に関し、特に、コンデンサを内蔵した集積回路パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路は、今日の高度に洗練された電子機器を動作させるコンピュータ・チップとなる。集積回路は、製造されると集積回路パッケージの中に入れられ、集積回路内の回路は、パッケージを通過してパッケージの外部表面上のリード線に通じている相互接続部に電気的に結合される。次に、集積回路はパッケージ内に恒久的にシールされ、パッケージ壁を介してこれらの外部リード線から操作される。集積回路パッケージは、集積回路を損傷から保護するための働きをするばかりでなく、集積回路が最高の性能を発揮できる環境を集積回路に与えるための働きもする。しかし、現在のパッケージ技術では、いくつかの更に高度に進歩した集積回路を支持するには適さないものもある。したがって、次世代のマイクロプロセッサやコントローラなどの集積回路の潜在力を十分に引き出すには、更に高度に進歩したパッケージ設計技術を使う必要がある。
【0003】
集積回路パッケージを設計する場合には、考慮しなければならない設計上の制約や動作パラメータが数多くある。たとえば、いくつかの集積回路は、特にマイクロプロセッサやその他多量の電力を消費する素子などは、動作中にかなりの量の熱を発生する。この熱は、適切に放熱されないと、たとえば、素子の動作速度を遅くして集積回路の性能を落としてしまうおそれがある。加えて、集積回路が発生した熱は直ちに除去されないと、それ自身の回路の溶融を引き起こすことによって、実質的に破壊してしまったり、あるいは好ましくない変質を起こすおそれがある。たとえば、接合スパイキングは、熱的な活性化が存在すると、集積回路の相互接続部を集積回路基板にショートさせ、これによって素子を破壊してしまう共通の機構である。
【0004】
集積回路によってパッケージ内に発生した熱を放散させるための一般的な方法には、集積回路の底を大きな金属板の上面に熱的に結合させる方法がある。これは、一般的には、熱伝導性はんだペーストを使って集積回路を金属板の中央に取り付けるというやりかたで行われる。そして、金属板の底面は、パッケージの外壁の一部分となる一方、金属板の上面はパッケージの縁に取り付けられ、パッケージ内部の集積回路を密封する。このような構成で集積回路が動作させられると、集積回路によって発生した熱は、金属板を通ってパッケージの外部表面まで伝達され、この熱は周囲の環境に放熱される。
【0005】
集積回路パッケージ設計者が考慮に入れるべき別の問題は、個々の集積回路が耐えられる、電力線や接地線の雑音の量である。電力線上の雑音は、該電力線の電圧をある程度変動させる効果がある。この程度が特定の閾値を越えたら、集積回路は、この変化する電圧を実際の信号と解釈して対応し、内部の回路の状態を変えてしまう。これは集積回路のデータ・エラーの原因となったり、または更に厳しい状況では、電源線の雑音は、ラッチアップとして知られる現象を引き起こすことがあり、この現象は集積回路を完全に壊してしまう現象である。電源電圧が低下し続け、集積回路の周波数が増加し続けていくにつれ、たとえば、雑音によって引き起こされる電圧供給レベルの変動は、全供給電圧の割合を益々大きくするので、電源線の雑音の問題は致命的な問題となる。
【0006】
残念ながら、電源線の雑音を抑制する方法は、集積回路が発生する熱を放散させる上述の方法とは相容れないものである。これは、集積回路の電源線の雑音がパッケージの表面にある外部リード線へ電源線と接地線を巡らせ、これらのリード線に大きなコンデンサを取り付けて集積回路電源線の雑音を抑制するからである。これらの大きなコンデンサは、電源線から高周波雑音を濾波する働きをし、集積回路が使用する電源の定常的な直流(dc)成分を絶縁する。しかし、放熱のために使われる大きな金属板は、これらのコンデンサが置かれることになる領域を占めてしまう。結果として、放熱のために金属板を内蔵しているパッケージは、高周波雑音を抑制するパッケージの中に含むことができるかなり小さい容量のコンデンサに依存しなければならなくなる。この程度の容量のコンデンサでは、一般に小さすぎて、電源線からの雑音を適切に、できるだけ多く抑制することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
放熱技術との両立を保ちながら、大容量のコンデンサの雑音濾波による利点を与えることのできる集積回路パッケージが望まれている。
【0008】
大容量のコンデンサを備えることができる放熱集積回路パッケージについて述べる。パッケージ基板は、一方の表面に集積回路素子が配置される領域から離れている凹部領域を持っている。この凹部領域の中に、この凹部領域内の基板の表面よりも下に、その全体が納まってしまうような大きさのコンデンサが配置されている。最後に、コンデンサに妨げられることなく、基板の表面に金属板が取り付けられる。
【0009】
低雑音で高放熱の集積回路パッケージについて述べる。以下の説明で、材料の配合、電気部品の数値、パッケージの設計などの数値的詳細は、本発明を更に完全に理解させるために述べられているものである。しかし、本発明がこれらの特定の詳細な値を使用しなくても実現できるということは、当業者には明かであろう。他の例において、よく知られたプロセス、技術、および構造については、本発明を不必要に判り難くするのを避けるため詳細に記述することはしていない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を表わす図が図1−3であるが、これらの図は本発明を限定するものではない。ここで具体的な構造を述べる意図は、本発明を明確に理解する助けとするためと、集積回路パッケージを形成するために本発明が使われている特定の実施態様を説明するためとである。
【0011】
図1は、パッケージが本発明に従って形成される、パッケージ基板10の上面の図を示している。パッケージ基板10は、集積回路用のピン・グリッド・アレイ(PGA)を形成するように設計されている。パッケージ基板10の周縁に沿って導電性のピン12があり、これらは、パッケージ内に含まれている集積回路を、関連のPGAソケットを通して外部の電子システムに電気的に結合するために使われている。集積回路がパッケージの中に適切に固定されると、各ピン12はパッケージを通して集積回路上のボンド・パッドにつながり、集積回路は外部ピン12を介して外部の電子システムと連絡できるようになっている。
【0012】
代わりに、パッケージ基板の周縁に任意の数のピンを形成して、それらのピンの全部が集積回路に結合されるわけではないというようにしてもよい。別の実施態様では、別のタイプの基板が、パッケージ基板の縁からピンが突出したような別のタイプのパッケージの形成に使われている。代わりに、たとえば、ボール・グリッド・アレイ(BGA)パッケージなどのパッケージ基板の一方全面にパッドあるいははんだボールが形成されたパッケージが使われる。したがって、本発明は、事実上いかなるタイプの集積回路パッケージ法と組み合わせて使ってもよい。
【0013】
図1のパッケージ基板10は、内部に金属相互接続線が形成されたセラミック外殻を有している。これら金属相互接続線は、パッケージ基板10の中の集積回路パッケージと外部ピン12との間で電気信号を運ぶ。さらに、電力平面および接地平面(後で詳述)と呼ばれ、誘電材料で分離されている金属層がパッケージ基板10の中に形成されている。また、パッケージ基板は主として、プラスチック、ポリイミド、あるいは基板中に形成された相互接続線を電気的に絶縁することのできる他の材料などの別のタイプの電気絶縁材料から成るものでもよい。
【0014】
パッケージ基板10の中央により近く、貫通孔11を囲んでボンディング用の棚部13、15がある。第1のボンディング用の棚部15の表面には、パッケージ基板10の第1の相互接続層に形成されている金属相互接続線16の露出部がある。第2のボンディング用の棚部13の表面には、パッケージ基板10の第2相互接続層に形成されている金属相互接続線14の露出部がある。集積回路が貫通孔開口部11の中に納められた後、パッケージ内に封止された集積回路のボンド・パッドがワイヤ・ボンディングされるのはこれら金属相互接続線の露出部に対してである。代わりに、金属相互接続線の数にあわせて同じ数のボンディング用の棚部をパッケージ基板の中に形成してもよい。
【0015】
図2は、パッケージ基板10の底面の図を示している。本発明に従って、凹部領域19がパッケージ基板10に形成されている。凹部領域19の寸法は、コンデンサが、パッケージ基板10の表面より上に突き出ることなく凹部領域19の中に全体を収容することができる寸法になっている。したがって、凹部領域19の深さは、凹部領域19の中に入れられるコンデンサの深さ(または厚さ)よりも大きい、または等しくなっている。凹部領域19の深さは、図1に示されているパッケージ基板10の第1の棚部15にある相互接続層を妨げないように、この相互接続層までの深さよりも浅くすべきである。凹部領域は、焼結前に、グリーン・テープである間に多層パッケージ基板の最下層の形成に使われるセラミック片に孔を開けて作る。したがって、凹部領域の深さは、孔が形成されるセラミック片の厚さに等しいのである。
【0016】
図2の四角のシール環17と18は、セラミック基板10の底面に形成されている金属環である。これらの金属環はパッケージの接地平面に接続されている。これによって、集積回路は集積回路基板を通して接地電流を流し出すのである。また、これらの環は、次にパッケージの底面に固着される金属板(後述)を密封するのにも役立つ。外側四角環17は、金属板上のこれと相補的な外側四角環が取り付けられる表面となり、一方、内側四角環18は、金属板上のこれに相補的な内側四角環に取り付けられる。ある実施の形態においては、シール環17と18はニッケルめっきのタングステンから成り、一方、金属板上のこれらと相補的な環は、同様なニッケルめっきの表面を有する。外側環17は、金属板に接続されたとき、凹部領域19だけでなく、パッケージ基板10の底面の集積回路が入れられる貫通孔11をも密封する役目を果たすということに注意されたい。更に、内側環18は、金属板に接続されると、貫通孔11を密封するのに、また、集積回路が入れられる貫通孔から凹部領域19を隔離するために設けられている。内側環18は、外側環17よりも集積回路に近いので、集積回路基板のために一層良好な接地を提供する。
【0017】
また、内側環がなく外側環だけでも、集積回路が配置されている貫通孔と一緒に、コンデンサが配置されている両凹部を密封するシールを形成することができる。シール環を形成するのに使われているニッケルめっきタングステン膜の代わりに、あるいは、これに加えて、別の金属、あるいは他のコンパウンドを使用することもできるということに注意されたい。たとえば、ある実施の形態では、ニッケルめっきタングステンのシール環は金で被覆される。
【0018】
図3は、集積回路20,金属板21,およびコンデンサ22と23がパッケージ基板に固着された後の図1および図2に示したパッケージ基板の断面を示している。本発明に従って、コンデンサは、図2に示されている4つの凹部領域19のそれぞれの中に収容されている。上記のように、コンデンサは凹部領域の中に完全に納まり、パッケージ基板10の底面よりも下にある。このようにして、次に取り付けられる金属板21は、コンデンサに邪魔されずにパッケージ基板の底面と面一になれるのである。代わりに、2つ、またはそれ以上のコンデンサを1つの凹部領域に収容してもよく、任意の数の凹部領域を形成することもできる。
【0019】
集積回路の電源線の雑音を抑制することは、電源と接地の間の静電容量の増加に関係してくる。この静電容量を増やすために、パッケージ基板10の中に電力平面と接地平面とが連続して絡み合った構造を形成する。電力平面25と36は、集積回路の電源電圧を運ぶ電力線が電気的に接続している導電材料の層である。接地平面24と35は、集積回路の接地を担う接地線が接続している導電材料の層である。電力平面は、電気絶縁性の誘電材料の層によって接地平面から分離されている。このように、電力平面と接地平面はコンデンサの2つの端子として機能し、電源線の高周波雑音を短絡するとともに、集積回路が使用するための電源線の一定の直流(dc)成分を切り離す。
【0020】
残念ながら、この電力平面と接地平面を与える方法は、電源線と接地供給線との間に少量の静電容量しか付加することができない。静電容量は、コンデンサの濾波機能の遮断周波数に反比例するので、電力平面と接地平面で形成された少量の静電容量は高周波雑音を漉き取る。集積回路パッケージにコンデンサを付加することにより、電力平面と接地平面との間の静電容量が増加し、低周波成分も濾波される。
【0021】
本発明に従えば、パッケージ基板の底面に放熱板を一体的に取り付けることを妨げないように、凹部領域内のパッケージ基板10にコンデンサが追加される。図3に示すように、コンデンサ22と23は、パッケージ基板10の凹部領域の外へ突出しない。コンデンサは凹部領域19の中に納まったまま、電源線と接地線の間に追加の静電容量をパッケージに与える一方、以下に記す放熱技術との両立も保っている。コンデンサによる追加の静電容量によって、さらに低周波雑音をパッケージへの電源線から濾波することができ、それによって、パッケージの中に内蔵されている集積回路の動作の信頼性が改善される。また、これらのコンデンサの1つまたはそれ以上を集積回路の別の動作に寄与させるために使ってもよい。
【0022】
コンデンサ22と23それぞれの2つの端子は、凹部領域19の基部の2個のニッケルめっきタングステンのそれぞれが対応するパッドに接続され、更にそれらは図示しているようにパッケージ基板10の中の導電平面にそれぞれが接続される。コンデンサ22の正極端子は、ビア26を通って電力平面36と電力平面25に接続され、一方、コンデンサ22の負極端子は、ビア27を通って接地平面35と接地平面24に接続されている。同様に、コンデンサ23の正極端子は、ビア30を通って電力平面36と電力平面25に接続され、一方、コンデンサ23の負極端子は、ビア28を通って接地平面35と接地平面24に接続されている。代わりに、コンデンサの端子は、他のどの電力供給線接合部、あるいは接地線接合部に接続されてもよい、即ち、パッケージ内部に別の電力平面と接地平面を形成すれば、コンデンサは複数の電力平面や接地平面に接続することができる。
【0023】
従来の集積回路パッケージの上にコンデンサを形成する方法に比べて、ビア26、27、28、および30の長さは著しく短いということに注意されたい。従来の方法では、コンデンサは、凹部領域の中よりむしろパッケージ基板の底面上に形成される。結果として、この従来のタイプのパッケージの内部の電力および接地平面をコンデンサにその表面で接続することはより長いビアを必要とする。本発明によって、コンデンサはパッケージ内の凹部領域に納まるので、コンデンサは、電力平面と接地平面により近くなる。したがって、これらの埋め込まれたコンデンサをパッケージの中で電力および接地平面に接続するにはもっと短いビアでよい。
【0024】
集積回路パッケージ内に形成されたより長いビアは、短いビアよりも、ビアによって運ばれる電気信号に対してより有意な量のインダクタンスを与える。上記のように、パッケージ基板10内でコンデンサ22と23を電力および接地平面に接続しているビア26、27、28、および30は、従来の方法におけるものよりも短い。従来の方法では、コンデンサはパッケージ基板の外部表面に位置するか、そうでなければ、電力および接地平面から延伸して、たとえば、フラックスをコンデンサの下側から取り払うことができるようになっている。したがって、本発明に従えば、パッケージ基板10に内蔵されている集積回路20のための電源上のインダクタンスは、かなり減少させられ、集積回路20への電力の配電効率が高められ、更に、電源線上の雑音も減少される。さらに、図3に示す本発明の実施の形態では、凹部領域19の中に形成されているコンデンサの端子が、電力平面および接地平面36および35と同じ平面にそれぞれがあるということに注意されたい。この構成では、電源線上のインダクタンスに寄与するコンデンサ・ビアが削除される。
【0025】
コンデンサ22と23が凹部領域19に配置された後、図示するように金属板21が基板の底面に配置され、コンデンサと金属板は単一のステップの熱処理でパッケージ基板に溶着される。金属板21は、ニッケルメッキの表面を有する純銅の基板である。金属板21は、外側シール環17と内側シール環18に、パッケージ基板上で外側シール環および内側シール環と接触する金属板21の領域にスクリーン印刷されたAgBiSnPdを有するペーストを使って固着される。前述したように、コンデンサは、金属板21をパッケージ基板10の底面に取り付ける妨げにならないように、全体が凹部領域19内にある。金属板21は、シール環17と18にそって気密シールを形成している。したがって、コンデンサ22と23は、内側と外側のシール環との間の、パッケージ基板の凹部領域19内で気密にシールされる。
【0026】
また、金属板21は、パッケージ基板10内に集積回路20を、少なくともパッケージの底面から密閉する(後述する、もう一方の金属板が、集積回路をパッケージ内にパッケージの上面から密閉する)。さらに、2つの固有の内側および外側シール環を使うので、これらのシール環の一方が壊れたとしても、他方が集積回路の気密を行う。別の実施の形態では、金属板またはコンデンサは、GeAu、Ag−In_Sn−Pb、Ag−Cu−In_Sn、またはPb−Snなどの他の多くのペーストの内のいずれか一つを使って、パッケージ基板に取り付けることができる。しかしながら、Pb−Snペーストを使う本発明の実施の形態では、接続する導電面を金めっきする必要があるということに注意されたい。
【0027】
コンデンサ22と23,および金属板21がパッケージ基板に取り付けられた後、パッケージ基板上面の開口から集積回路素子20が金属板に固着される。集積回路素子20は、集積回路素子と金属板との間の熱的および電気的接合が確実に行われるように共融法によって固着される。代わりに、電気および熱伝導性のあるエポキシを使って集積回路素子を固着することもある。集積回路は、コンデンサが取り付けられた後で取り付けられるので、より清浄で、より耐久力のある温度の高い方法を、パッケージ基板10へのコンデンサ22と23の取り付けに使うことができる。たとえば、クリーニングが続けて必要となるはんだ法によるよりもむしろ、ろう付けでつけてもよい。したがって、本発明に従えば、金属板とコンデンサを取り付けるのに使われる方法は、集積回路を金属板に取り付けるのに使われている温度よりも高い融点を持つ材料を使う。
【0028】
集積回路20が金属板21に固着された後、集積回路上のそれぞれのボンド・パッドは、図1に示した、それぞれ棚部13と15の上にある相互接続線14と16の露出した部分にワイヤ・ボンディングされる。この方法では、ボンディング・ワイヤ31によって、パッケージ基板14の中に形成されている相互接続線に外部ピン12を結合させる電気的な通路が完成する。これらの相互接続線は、ボンディング・ワイヤを通じて集積回路20の内部回路に結合している。ワイヤ・ボンディングの後、最後の板がパッケージ基板10の上面に取り付けられ、パッケージ内に集積回路を密封する。
【0029】
集積回路が動作すると、集積回路によって発生した熱は、金属板21に吸収されて金属板の底面に伝達されるが、該底面はパッケージの外側の雰囲気に露出している。したがって、金属板21は、たとえば、空冷または液冷などの多くの放熱法のいずれかによって冷却することができる。この方法においては、集積回路20はパッケージ内において比較的冷たく保たれ、集積回路が最高の性能で動作することができる。金属板21の目的は、集積回路20から熱を吸収してその熱をパッケージの外へ放出することである。したがって、本発明の別の実施の形態では、板は、Cu−Wのような熱伝導性材料や、または他の金属から成り、集積回路の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するものが好ましい。これらの熱膨張係数をおおよそ合わせることによって、集積回路は割れにくく、板から剥がれにくくなる。
【0030】
さらに、本発明の別の実施の形態では、集積回路を板に直接取り付ける必要はない。代わりに、集積回路は、熱伝導性のビアやはんだなどの熱ペーストを通じて、板に熱的に接合されている別の基板に接合される。また、別の実施の形態では、板は熱伝導性でなくてもよい。代わりに、板は、セラミックやプラスチックなどの誘電材料から成り、単に、パッケージ基板内のコンデンサと集積回路を密封するための保護板として機能しているだけである。この実施の形態は、集積回路電源線上の雑音の抑制ほど放熱が重要ではない利用分野で有用であるかもしれない。
【0031】
以上、放熱技術と両立させながら、大容量のコンデンサを用いて利点を与えることができる集積回路パッケージについて述べた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って形成されているパッケージ基板の上面の図である。
【図2】図1に示されているパッケージ基板の底面の図である。
【図3】付け加えた部品を含む図2に示されているパッケージ基板の断面図である。
【符号の説明】
10 基板
11 貫通孔
12 ピン
13,15 ボンディング用の棚部
14,16 金属相互接続線
19 凹部領域
20 集積回路
21 金属板
22,23 コンデンサ
24,35 接地平面
25,36 電力平面
26,27,28,30 ビア
31 ボンディング・ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を収容するパーケージにおいて、
表面を有し、凹部領域と前記集積回路を収容するために設けられる貫通孔とが該表面内に形成される基板と、
該凹部領域内の前記基板表面よりも下に設けられたコンデンサと、
前記基板表面に取り付けられ、前記凹部領域の中の前記コンデンサを密封し、かつ貫通孔の一方を密封する金属板と、
前記基板内に設けられ、前記コンデンサの第1の端子と前記金属板との両方に電気的に結合される接地平面と、
前記基板内に設けられ、前記コンデンサの第2の端子に電気的に結合される電力平面とを含むことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記金属板は銅を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記集積回路は前記金属板に熱的に結合されていることを特徴とする、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージはピン・グリッド・アレイ・パッケージであることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記パッケージはボール・グリッド・アレイ・パッケージであることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項6】
集積回路を収容するセラミック・パッケージにおいて、
表面を有し、凹部領域が該表面内に形成されるパッケージ基板であって、接地線に電気的に結合する接地平面と、電力線に電気的に結合する電力平面とをさらに有するパッケージ基板と、
該凹部領域内の前記パッケージ基板表面よりも下に設けられ、第1の端子が前記接地平面に電気的に結合し、第2の端子が前記電力平面に電気的に結合しているコンデンサと、
前記パッケージ基板表面に取り付けられ、前記凹部領域の中の前記コンデンサを密封し、前記接地平面に電気的に結合される金属板とを有するセラミック・パッケージ。
【請求項7】
集積回路をさらに有し、該集積回路は、集積回路を前記パッケージの中に密封し、集積回路で発生した熱を集積回路から放熱するように前記金属板に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のセラミック・パッケージ。
【請求項8】
複数の凹部領域の中に、複数のコンデンサが配置されていることを特徴とする、請求項6に記載のセラミック・パッケージ。
【請求項9】
集積回路をパッケージに収容する方法において、該方法は、
集積回路を収容するために設けられる貫通孔を有するパッケージ基板の表面に凹部領域を設けること、
該凹部領域にコンデンサを、前記パッケージ基板表面よりも下に設けられるように配置すること、
前記パッケージ基板表面上に金属板を、該板が前記凹部領域を覆うように配置すること、
前記コンデンサと前記金属板とが前記パッケージ基板に溶着するように、前記パッケージ基板とコンデンサと金属板とを高温に曝して、前記パッケージ基板内に設けられる接地平面を前記コンデンサの第1の端子と前記金属板との両方に電気的に結合し、前記パッケージ基板内に設けられる電力平面を前記コンデンサの第2の端子に電気的に結合すること、および
前記パッケージ基板に取付けられた金属板の前記貫通孔内に露出する一部分に集積回路を取付けることを含むことを特徴とする、集積回路をパッケージに収容する方法。
【請求項10】
前記板が前記コンデンサを前記凹部領域に密閉することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属板は純銅から成ることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記パッケージはピン・グリッド・アレイパッケージであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記パッケージはボール・グリッド・アレイパッケージであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記金属板は銅を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記金属板はCu−Wから成ることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記金属板は集積回路の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有する材料から成ることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
パッケージ内に集積回路を組み立てる方法において、該方法は、
表面に貫通孔と凹部領域とを有し、内部に電力平面と接地平面とを有するパッケージ基板を与えること、
前記凹部領域にコンデンサを、前記パッケージ基板表面よりも下に設けられるように配置すること、
前記パッケージ基板表面に、前記凹部領域と前記貫通孔の一方とを密閉し、前記接地平面に電気的に結合するように、金属板を取り付けること、および
前記貫通孔内に露出する前記金属板の一部分に前記集積回路を取り付けることを有する方法。
【請求項18】
前記集積回路を前記パッケージ基板上の導電パッドにワイヤ・ボンディングするステップをさらに有することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属板は銅を含み、前記コンデンサは前記集積回路の接地と電源との間で電気的に結合されていることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
集積回路のためのパッケージを製造する方法において、該方法は、
まだグリーン・テープの形状の間に一連のセラミック層に孔を開け、1つの表面に貫通孔と凹部領域とを持つパッケージ基板を作ること、
前記パッケージ基板内の電力平面および接地平面に結合された電気ビアに、第1の導電性ペーストを使ってコンデンサを、前記凹部領域内に配置されるように取り付けること、および
前記パッケージ基板表面に形成されている、前記パッケージ基板内の接地平面に結合され、かつ前記貫通孔と前記凹部領域との両方を取り囲むシール環に第2の導電ペーストを使って金属板を取り付けることを含む方法。
【請求項21】
前記第1および第2の導電ペーストは、次に前記金属板に前記集積回路を結合するために使用される温度よりも高い融点を持つことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
基板表面には、金属製の内側シール環および外側シール環が設けられることを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項23】
パッケージ基板表面には、金属製の内側シール環および外側シール環が設けられることを特徴とする請求項6記載のセラミック・パッケージ。
【請求項24】
パッケージ基板と金属板とは、パッケージ基板表面に設けられる金属製の内側シール環および外側シール環を介して機械的および電気的に接続されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項25】
パッケージ基板表面には、金属製の内側シール環および外側シール環が設けられることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項26】
前記凹部領域が外側シール環によって取り囲まれ、前記貫通孔が内側シール環によって取り囲まれることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項27】
凹部領域の中に形成されているコンデンサの端子が、基板中の電力平面および接地平面と同じ平面にそれぞれあることを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項28】
凹部領域の中に形成されているコンデンサの端子が、パッケージ基板中の電力平面および接地平面と同じ平面にそれぞれあることを特徴とする請求項6記載のセラミック・パッケージ。
【請求項29】
凹部領域の中に形成されているコンデンサの端子が、パッケージ基板中の電力平面および接地平面と同じ平面にそれぞれあることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項30】
凹部領域の中に形成されているコンデンサの端子が、パッケージ基板中の電力平面および接地平面と同じ平面にそれぞれあることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項31】
凹部領域の中に形成されているコンデンサの端子が、パッケージ基板中の電力平面および接地平面と同じ平面にそれぞれあることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項32】
基板がセラミックスから成ることを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項33】
パッケージ基板がセラミックスから成ることを特徴とする請求項6記載のセラミック・パッケージ。
【請求項34】
パッケージ基板がセラミックスから成ることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項35】
パッケージ基板がセラミックスから成ることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項36】
パッケージ基板がセラミックスから成ることを特徴とする請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3545892号(P3545892)
【登録日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【発行日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願平8−318272
【出願日】平成8年11月28日(1996.11.28)
【公開番号】特開平10−163366
【公開日】平成10年6月19日(1998.6.19)
【審査請求日】平成12年10月18日(2000.10.18)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【参考文献】
【文献】実開平02−027746(JP,U)
【文献】実開平04−127660(JP,U)
【文献】特開平06−244301(JP,A)
【文献】特開平08−008359(JP,A)
【文献】特開昭50−028769(JP,A)
【文献】特開昭59−084493(JP,A)
【文献】特開平08−181245(JP,A)
【文献】特開平09−148486(JP,A)
【文献】特開平07−058426(JP,A)