説明

放送受信端末装置

【課題】テレビジョン放送番組と、コンテンツ蓄積装置からのコンテンツ関連情報とを連携させた情報提供を実現する。
【解決手段】放送受信方式において、受信された放送コンテンツに多重されているデータ放送コンテンツを再生するブラウザの一部として、前記データ放送コンテンツに含まれる手続き記述を実行する手続き記述処理部を備え、プロトコルと前記手続き記述とを変換するプロトコル−手続き記述変換部を備え、前記放送コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積装置において前記放送コンテンツを管理するためのコンテンツ関連情報の記述形式から、前記ブラウザで再生できる記述形式に変換するコンテンツ関連情報形式変換部を備え、前記手続き記述処理部が、前記コンテンツ関連情報を、前記プロトコル−手続き記述変換部経由で前記コンテンツ蓄積装置から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル放送に係る放送受信技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタル放送システムでは、放送受信端末装置において、ネットワーク経由等で取得した外部コンテンツ関連情報を、テレビジョン放送番組提示手段とは別の専用アプリケーションによって提示していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003-18581号公報(第3頁〜4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のデジタル放送システムでは、放送受信端末装置において、テレビジョン放送番組提示手段の他に、外部から取得したコンテンツ関連情報を提示するための専用手段を別途設ける必要があり、そのため、放送コンテンツであるテレビジョン放送番組と外部コンテンツ関連情報とを連携させた処理ができないという問題点があった。
【0004】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、視聴者に対して、テレビジョン放送番組制作者の意図に従って、テレビジョン放送番組と、コンテンツ蓄積装置からの外部コンテンツ関連情報とを連携させた情報提供を行うこと目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる放送受信端末装置は、受信された放送コンテンツに多重されているデータ放送コンテンツを再生する放送ブラウザの一部として、前記データ放送コンテンツに含まれる手続き記述を実行する手続き記述処理部と、前記手続き記述をコンテンツ関連情報提供サーバへのプロトコルにおける要求メッセージに変換するとともに、前記放送コンテンツの蓄積管理若しくは再生制御に使用されるコンテンツ関連情報をコンテンツ関連情報提供サーバまたはコンテンツ蓄積装置から取得するプロトコル−手続き記述変換部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、放送受信方式において、放送コンテンツと、コンテンツ蓄積装置からのコンテンツ関連情報とを連携させた処理を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による放送受信方式は、コンテンツ蓄積装置内で蓄積コンテンツの再生制御や蓄積管理に使用されるコンテンツ関連情報と、データ放送コンテンツとを連携させて取り扱うことができるものである。
【0008】
図1は、この発明の実施の形態1による放送受信方式におけるデジタル放送システムを示す構成図である。
図1において、放送局1は、映像と音声からなる本放送サービスとデータ放送サービスなどを放送番組としてMPEG−2 トランスポートストリーム(以下TSという、ISO/IEC13818-1勧告)の形式に多重され、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などの伝送路符号化を行って、放送波2として放送される。
【0009】
放送受信端末装置100は、視聴者からのチャネル選択指示によって、受信アンテナ99を介して、指定チャネルの放送波2を受信し、視聴者に放送番組を再生・表示する。放送受信端末装置100は、ネットワーク3を介して、コンテンツ関連情報提供サーバ200などにアクセスを行う。
このデータ放送サービス方式の一例としては、社団法人 電波産業会 発行の ARIB STD−B24「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式」に規定されるものなどがあげられる。
これは、放送受信機の特徴であるリモコン制御や、ネットワーク経由でのセキュアな通信を実現し、かつテレビジョンモニタ上で同一の表示結果を得られるよう規格化され、BML(Broadcast Markup Language)というマークアップ言語を中心に、スクリプトおよびDOM(Document Object Model)などの手続き処理方式、表示スタイルを記述するCSS(Cascading Style Sheets)などから構成される。
【0010】
ここで、図2を用いて、放送受信端末装置100における、放送番組を再生・表示する方式について説明する。
101は、受信した放送波2の伝送路符号化の復号と、TSを分離して本放送用の映像・音声符号化データと、データ放送コンテンツなどとに抜き出す放送波インタフェース(以下、IFという)、
102は、入力される映像・音声符号化データをデコードして、映像フレームおよび音声フレームを生成する映像・音声再生部、
103は、入力される複数の映像フレーム、画像フレーム、および音声フレームデータを合成するフレーム合成処理部、
104は、入力される映像および音声を出力するモニタ&スピーカ・デバイス、
105は、視聴者がチャネル変更操作などを行うリモコン、
106は、リモコン105から送出される赤外線、
107は、赤外線106を受ける赤外線IF
108は、放送受信端末装置100の初期設定などを永続的に記憶する永続記憶領域、
109は、インターネットなどの外部ネットワークに接続するネットワークIF、
110は、データ放送コンテンツを再生するデータ放送ブラウザ、
111は、データ放送ブラウザ110に内蔵されて、データ放送コンテンツと放送受信端末装置100のH/Wとの各種API(Application Program Interface)を司る手続き記述処理部、
112は、データ放送ブラウザ110にてデータ放送コンテンツの再生処理に必要なワークメモリ領域である再生メモリ、
113は、データ放送ブラウザ110にてデータ放送コンテンツの画面切り替えの際、再生中の画面用データを一旦退避しておくメモリ領域の退避メモリ、
120は、以降に説明するコンテンツ関連情報提供サーバ200にアクセスする際に使用する専用プロトコルとデータ放送コンテンツで使用する手続き記述に変換するリモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部、
121は、手続き記述処理部111からの手続き記述をコンテンツ関連情報提供サーバ200用の専用プロトコルに変換して送信する手続き記述→アクセスプロトコル変換部、
122は、ネットワークIF109を介してコンテンツ関連情報提供サーバ200から受信される専用プロトコルを手続き記述に変換するアクセスプロトコル→手続き記述変換部、
130は、放送受信端末装置100にコンテンツ蓄積装置201を接続するための放送受信端末装置内機器接続IFである。
【0011】
次に、放送受信端末装置100の動作について説明する。
放送受信端末装置100では、放送を受信するにあたり、設置場所の郵便番号・住所やインターネット接続設定など、例えば図3に示すような各種初期設定を予め設定し、永続記憶領域108に記憶させておく。
【0012】
視聴者がリモコン105で指定したチャネルの放送波2を受信アンテナ99で受信し、放送波IF101で伝送路復号とTS分離を行って生成した、映像・音声符号化データを映像・音声生成部102に、データ放送コンテンツをデータ放送ブラウザ110に引き渡す。映像・音声再生部102では映像フレームおよび音声フレームを復号する。データ放送ブラウザ110では、再生メモリ112を利用して、データ放送コンテンツのマークアップ言語に従って、コンテンツ内容を展開/再生し、画像フレームや効果音などの音声フレームを生成し、これをフレーム合成処理103に引き渡す。この時、マークアップ言語内に手続き記述がある場合は、これを手続き記述処理部111に引き渡し、しかるべき処理を実施する。例えば、手続き記述に表示中の画面を退避させて、別画面表示させる手続き記述があった場合は、手続き記述処理部111で再生メモリ112の内容(またはコンテンツのデータそのものと、現在のコンテンツ再生状態)を退避メモリ113に退避させた後、データ放送ブラウザ110にて再生メモリ112を用いて次画面のコンテンツ再生処理を開始する、などである。
【0013】
最後に、映像フレーム、音声フレーム、画像フレームをフレーム合成処理部103で映像、音声毎にフレーム合成してモニタ&スピーカ104に出力することで、放送サービスの視聴環境を提供する。
【0014】
また、コンテンツ関連情報提供サーバ200について説明する。これは、放送局が放送する過去・現在・将来の放送番組などの放送コンテンツの番組名・ジャンル・放送スケジュール・概要説明などの属性情報で構成されるコンテンツ関連情報のデータベースサーバである。このコンテンツ関連情報の一例としては、社団法人 電波産業会 発行の ARIB STD−B38「サーバ型放送における符号化、伝送及び蓄積制御方式」に規定されるものがあげられ、XML(eXtensible Markup Language、W3C勧告)形式で属性を示したマークアップ言語のテキスト情報で記述される。また、これはSOAP(Simple Object Access Protocol、W3C Technical Reports)などの要求・応答メッセージによる専用プロトコルを利用して、要求元に提供される。
【0015】
ここで、放送局1のコンテンツ制作者の意図によって、ネットワーク経由で外部コンテンツ関連情報を取得させるため、外部コンテンツ関連情報取得手続き記述を入れ込んだデータ放送コンテンツが放送された場合について説明する。
【0016】
放送局1では、前記と同様に、外部コンテンツ関連情報取得手続き記述を含むデータ放送サービスと本放送サービスとをTS多重・伝送路符号化して、放送波2として放送する。
放送受信端末装置100では、予めコンテンツ関連情報提供サーバ200へのアドレスを永続記憶領域108に記憶させておく。前記のように、受信した放送波2から取出されたデータ放送コンテンツがデータ放送ブラウザ110に渡され、マークアップ言語に従ってコンテンツの再生処理を開始する。手続き記述処理部111では、引き渡された手続き記述から外部コンテンツ関連情報取得手続き記述を見つけると、リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120にこれを転送する。リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120の手続き記述→アクセスプロトコル変換部121では、外部コンテンツ関連情報取得手続き記述を引き渡されると、永続記憶領域108からコンテンツ関連情報提供サーバ・アドレス(図3ではURIとして表示)を取得して、コンテンツ関連情報提供サーバ200の専用プロトコルの要求メッセージに変換し、ネットワークIF109からネットワーク3経由で、外部コンテンツ関連情報の提供要求を送信する。
【0017】
コンテンツ関連情報提供サーバ200では、放送受信端末装置100からの要求メッセージに対して、外部コンテンツ関連情報を添付した応答メッセージを返送する。
【0018】
放送受信端末装置100では、ネットワークIF109で受信した応答メッセージをリモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120のアクセスプロトコル→手続き記述変換処理122にてプロトコル解釈を行い、正常応答の場合は添付される外部コンテンツ関連情報を抜き出し、手続き記述処理部111に戻すことにより、データ放送ブラウザ110内で処理中のデータ放送コンテンツにて外部コンテンツ関連情報を取得することができる。
【0019】
一方、コンテンツ蓄積装置201は、格納される各種コンテンツを本装置独自形式のコンテンツ関連情報を用いて、蓄積管理・再生制御を行うものであり、図4に示すような装置構成である。
図4において、
202は、本装置と他の装置を接続するための専用インタフェースであるコンテンツ蓄積装置内機器接続IF、
203は、コンテンツとそのコンテンツ関連情報を格納する記憶領域、
204は、コンテンツの記憶領域203に格納する際の制御を司るコンテンツ格納制御処理部、
205は、記憶領域203に蓄積されるコンテンツを再生する際の制御を司る蓄積コンテンツ再生制御処理部、
206は、記憶領域203に蓄積されるコンテンツのコンテンツ関連情報に関する処理を行う独自形式コンテンツ関連情報処理部、
207は、独自形式のコンテンツ関連情報を他の装置で取り扱い可能な形式に変換するコンテンツ関連情報形式変換部である。
【0020】
ここで、コンテンツ蓄積装置内機器接続IF202では、他の装置と通信するために、上述のコンテンツ関連情報提供サーバ200の専用プロトコルを利用する。
独自形式コンテンツ関連情報処理部206は、コンテンツ格納制御処理部204でコンテンツを格納する際は、コンテンツ関連情報を生成してコンテンツと一緒に記憶領域203に格納し、蓄積コンテンツ再生制御処理部205でコンテンツを再生する際は、記憶領域203からコンテンツ関連情報を読み出して、コンテンツの格納場所を蓄積コンテンツ再生制御処理部205に通知する。
コンテンツ関連情報形式変換部207は、コンテンツ蓄積装置内機器接続IF202経由で蓄積コンテンツのコンテンツ関連情報提供要求があった場合に、独自形式コンテンツ関連情報処理部206に記憶領域203からコンテンツ関連情報を読ませて、コンテンツ関連情報の記述形式の変換処理後、要求元に対して応答する。
【0021】
図5は、以下の(S8)の機能を持つ手続き記述の一例を示したものである。
(S8)コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述
:コンテンツ蓄積装置から、XML形式の外部コンテンツ関連情報を取得する手続き記述
図2において、リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120では、コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述(S8)による要求メッセージ送信およびその返答メッセージ受信を、放送受信端末装置内機器接続IF130を利用してコンテンツ蓄積装置201と行う。
【0022】
次に、放送局1のコンテンツ制作者の意図によって、コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述(S8)で、コンテンツ蓄積装置から外部コンテンツ関連情報を取得させるようにしたデータ放送コンテンツの放送サービスの場合について説明する。
【0023】
放送受信端末装置100では、受信した放送波2から取出したデータ放送コンテンツについて、データ放送ブラウザ110で再生処理を開始し、手続き記述があると手続き処理111に引き渡す。手続き記述111で、内容確認し、コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述(S8)と認識すると、リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120にこれを転送する。手続き記述→アクセスプロトコル変換部121では、コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述(S8)を専用プロトコルに変換して、放送受信端末装置内機器接続IF130経由で蓄積外部コンテンツ関連情報の提供要求を送信する。
【0024】
コンテンツ蓄積装置201では、放送受信端末装置100からの要求メッセージをコンテンツ蓄積装置内機器接続IF202で受けて、専用プロトコルから、他の装置で取り扱い可能な形式でのコンテンツ関連情報提供要求であると解釈すると、コンテンツ関連情報形式変換部207にこれを引き渡す。コンテンツ関連情報形式変換部207では、独自形式コンテンツ関連情報処理部206に記憶領域203からの独自形式コンテンツ関連情報を取り出させ、形式変換したコンテンツ関連情報をコンテンツ蓄積装置内機器接続IF202に返す。コンテンツ蓄積装置内機器接続IF202では、外部コンテンツ関連情報を添付した専用プロトコルの応答メッセージを返送する。
【0025】
放送受信端末装置内機器接続IF130経由で、リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部120のアクセスプロトコル→手続き記述変換部122が、プロトコル解釈を行い、正常応答の場合は添付の外部コンテンツ関連情報を抜出し、手続き記述処理部111にこれら返す。これにより、手続き記述処理部111では、コンテンツ蓄積装置内外部コンテンツ関連情報取得手続き記述(S8)の正常応答として、データ放送ブラウザ110に外部コンテンツ関連情報を返す。
【0026】
以上のように構成することによって、コンテンツ蓄積装置の独自形式のコンテンツ関連情報もデータ放送ブラウザで取り扱い可能な記述形式となるので、データ放送コンテンツとコンテンツ蓄積装置からのコンテンツ関連情報とを連携させた処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の放送受信方式におけるデジタル放送システムの構成図
【図2】この発明の放送受信方式における放送受信端末装置の構成図
【図3】この発明の放送受信方式における記憶情報の一例を示す図
【図4】この発明の放送受信方式におけるコンテンツ蓄積装置の構成図
【図5】この発明の放送受信方式における手続き記述の一例を示す図
【符号の説明】
【0028】
100 放送受信端末装置
110 データ放送ブラウザ
111 手続き記述処理部
120 リモートサーバアクセスプロトコル−手続き記述変換部
201 コンテンツ蓄積装置
207 コンテンツ関連情報形式変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された放送コンテンツに多重されているデータ放送コンテンツを再生する放送ブラウザの一部として、前記データ放送コンテンツに含まれる手続き記述を実行する手続き記述処理部と、
前記手続き記述をコンテンツ関連情報提供サーバへのプロトコルにおける要求メッセージに変換するとともに、前記放送コンテンツの蓄積管理若しくは再生制御に使用されるコンテンツ関連情報を、コンテンツ関連情報提供サーバまたはコンテンツ蓄積装置から取得するプロトコル−手続き記述変換部と、
を備えたことを特徴とする放送受信端末装置。
【請求項2】
前記手続き記述処理部は、前記放送コンテンツの蓄積管理若しくは再生制御に使用されるコンテンツ関連情報を、前記前記データ放送コンテンツに含まれる手続き記述の戻り値として、前記プロトコル−手続き記述変換部経由で取得し、前記放送コンテンツを前記コンテンツ関連情報で制御することを特徴とする請求項1に記載の放送受信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−148141(P2010−148141A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21167(P2010−21167)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【分割の表示】特願2005−7849(P2005−7849)の分割
【原出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】