説明

放電ランプ及び照明器具

【課題】電力供給量を増やした場合でも外部電極で覆った部分の容器が溶融による損傷をきたすおそれが少なく、しかも、発光効率が低下するおそれの少ない放電ランプ及び照明器具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の放電ランプ1は、容器2と、容器2の両端側の夫々に配設された外部電極3と、通電切替制御部4とを備えている。外部電極3は、夫々、通電切替可能な上電極片31と下電極片32とを備えている。通電切替制御部4は、温度検出部43によって、容器2における第1電極片31と第2電極片32との夫々の温度を検出し、その検出した温度検出データが電極片設定温度よりも高くなると、上電極片31と下電極片32との通電の切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ガスを封入した容器における外面に外部電極を配設した外部電極型の放電ランプ及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電ランプとして、ガラス容器の内部に電極を備えた内部電極型のランプ(冷陰極型のランプ)が知られている。また、近年においては、ガラス容器における外面に外部電極を配設した外部電極型の放電ランプ(誘電体バリア放電型のランプ)も知られている。この外部電極型の放電ランプとして、例えば液晶ディスプレイ等のバックライト用の放電ランプ(蛍光ランプ)が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このバックライト用の放電ランプは、放電ガスが封入されたガラス容器の両端部を包むように形成されるエンドキャップ形外部電極を備えたものである。しかしながら、この放電ランプを、大光量化するために電力供給量を増やすと、ガラス容器におけるエンドキャップ形外部電極で覆った部分が過熱され、その部分に損傷をきたす場合も多い。
【0004】
一方、ガラス容器が損傷し難いように、ガラス容器における損傷し易い部分の厚さ(肉厚)を他の部分よりも厚くしたものが提案されている(特許文献2、図3参照)。
【特許文献1】特開2002−8408号公報
【特許文献2】特開2004−79270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2のように、ガラス容器における外部電極で覆った部分の厚さを厚くすると、外部電極と放電ランプの内部との静電的結合が弱くなる。その結果、放電ランプの発光効率が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、大光量化するために電力供給量を増やした場合でも外部電極で覆った部分の容器が溶融による損傷をきたすおそれが少なく、しかも、発光効率が低下するおそれの少ない放電ランプ及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、放電ガスが封入された容器の両端部夫々における外面に、その容器の一部を覆うように外部電極が通電可能に配設された放電ランプであって、前記外部電極は、夫々、複数の電極片を備え、前記複数の電極片は、通電切替制御部によって、順次に通電が切り替えられるように構成されていることを特徴とする放電ランプを提供する。
【0008】
請求項2のように、前記通電切替制御部は、前記複数の電極片、又は、前記容器における複数の電極片に覆われた部分、夫々の温度を検出する温度検出部を備えているとともに、その温度検出部によって、通電されている一の電極片、又は、容器における通電されている一の電極片に覆われた部分に対して検出された温度検出データが、電極片設定温度又は容器設定温度よりも高くなった場合に、他の電極片へ通電を切り替える処理を行うように構成されていることが好ましい。
【0009】
請求項3のように、前記通電切替制御部は、前記複数の電極片夫々に対する通電状況を示す電圧情報、電流情報、及び、電圧と電流との位相角情報との3種類の通電状況情報の内の少なくとも一つを検出する状況情報検出部を備えているとともに、その状況情報検出部によって、通電されている一の電極片に対して検出された通電状況情報検出データが前記通電状況情報の種類に応じて設定された設定値を超えた場合に、他の電極片へ通電を切り替える処理を行うように構成されていることが好ましい。
【0010】
又、本発明の請求項4は、前記課題を解決するために、請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電ランプと、この放電ランプを保持した照明器具本体とを備えていることを特徴とする照明器具を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、複数の電極片は、通電切替制御部によって、順次に通電が切り替えられるように構成されている。
【0012】
これにより、例えば一の電極片への通電により容器におけるその電極片に覆われた部分の温度が一定の温度よりも高くなると他の電極片に通電を切り替えることができる。
【0013】
従って、容器の過熱を防止でき、大光量化するために電力供給量を増やした場合でも外部電極で覆った部分の容器が溶融により損傷をきたすおそれの少ないものにできる。しかも、複数の電極片への通電の切り替えによって放電ランプを点灯し続けることができ、使用便利なものにできる。
【0014】
又、容器における外部電極で覆った部分の厚さを厚くすることなく行うため、外部電極と放電ランプの内部との静電的結合が弱くなって放電ランプの発光効率が低下するようなことを防止できる。
【0015】
請求項2によれば、通電切替制御部は、温度検出部によって、通電されている一の電極片、又は、容器における通電されている一の電極片に覆われた部分に対して検出された温度検出データが、電極片設定温度又は容器設定温度よりも高くなった場合に、前記通電の切り替えを行う。
【0016】
こうすることにより、容器が一定の温度になった場合に通電の切り替えを行うことができ、確実に容器の過熱を防止でき、信頼性の高いものにできる。
【0017】
請求項3によれば、通電切替制御部は、状況情報検出部によって、通電されている一の電極片に対して検出された通電状況情報検出データが通電状況情報の種類に応じて設定された設定値を超えた場合に、他の電極片へ通電を切り替える処理を行う。
【0018】
例えば、容器の内表面が局所的に温度上昇すると、その部分から熱電子の供給が容易になるため、電圧値は減少し、電流値は増加し、一方、位相角の値は小さくなる。従って、例えば状況情報検出部によって検出した電圧情報検出データが予め設定した電圧の設定値を越えて低くなった場合に、通電の切り替えを行えば、容器が一定の温度以上になるようなことを防止できる。よって、容器が溶融する温度になるのを防止できる。
【0019】
又、その際、容器における電極片夫々に覆われた部分の温度を検出する温度検出センサ等の設置を不要にでき、構成を簡素化でき、低コストなものにできる。
【0020】
請求項4によれば、外部電極で覆った部分の容器が溶融による損傷をきたすおそれが少なく、しかも、発光効率が低下するおそれの少ない放電ランプを有する照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の放電ランプの概略説明図、図2は、その放電ランプの要部拡大横断面図、図3は、その放電ランプの要部拡大縦断面図である。
【0022】
第1実施形態の放電ランプ1は、図1、図2に示すように、直管状の容器2と、外部電極3と、通電切替制御部4とを備えている。容器2は、光を放射する光放射部21と、光放射部21の軸方向の左右の両端側に配設された電極配設部22とから構成されている。
【0023】
光放射部21は、光を放射する部分であり、この実施形態では、ホウ珪酸ガラスから円筒状に形成された透光性を有するガラス管から構成されている。この光放射部21の内面には、蛍光体21aが塗布されているとともに、その蛍光体21aとガラス管との間には、アルミナを主成分とした保護膜(図示せず)が塗布されている。
【0024】
又、この実施形態における光放射部21の軸方向の長さL1は、1200mm程度である。又、外径R1は、15.5mm程度で、その厚さは、1mm程度である。
【0025】
電極配設部22は、外部電極3が配設される部分で、光放射部21の軸方向の左右両側に形成されている。この実施形態の電極配設部22は、光放射部21と一体的に形成されている。
【0026】
又、この実施形態における電極配設部22の軸方向の長さL2は、200mm程度である。又、外径及びその厚さは、光放射部21の外径及び厚さ夫々と同じ程度である。
【0027】
そして、これらの電極配設部22と光放射部21とによって、内部が中空気密に形成された容器2が構成されている。又、このように中空気密に形成された容器2内には、放電ガスが封入されている。
【0028】
この実施形態では、放電ガスとして、紫外線放射材料を構成する水銀蒸気ガス、バッファガスの役目をする希ガスとしてのアルゴンが、例えば25°Cの環境下にて100パスカル、封入されている。又、水銀蒸気ガスは、液体水銀の形態で封入されており、放電ランプ動作時の温度環境にて、その蒸気圧が調整され得るようになっている。
【0029】
次に、外部電極3について説明する。外部電極3は、容器2内に誘電体バリア放電を生じさせるためのもので、容器2の電極配設部22夫々の外面のほぼ全体を覆うように配設されている。
【0030】
又、外部電極3は、夫々、複数の電極片から構成される。この実施形態では、第1電極片としての上電極片31と、上電極片31の下側に配設された第2電極片としての下電極片32との2つから構成されている。
【0031】
上電極片31と下電極片32とは、上下に対称な一対をなすように配設されている。より詳しくは、上電極片31と下電極片32とは、同じ面積を有する(同じ大きさ)同構成の金属箔から構成されている。
【0032】
そして、夫々は、順次に所定の隙間を隔てるようにして、電極配設部22の上外周面、下外周面の夫々におけるほぼ長さ全体に貼り付けられることにより、ほぼ同じ面積を覆っている。
【0033】
このように構成された上電極片31と下電極片32とは、夫々、電極配設部22を介して、容器2の内部と静電的に結合している。電気回路図では、所定の容量を持ったコンデンサを介して容器2の内部と結合されていることになる。
【0034】
そして、これらの外部電極3の夫々の上電極片31と下電極片32とは、夫々、図1に示すように高周波電源51を有する点灯回路5に通電切替可能に接続され、その高周波電源51から同じ電圧を選択的に印加されるように構成されている。
【0035】
通電切替制御部4は、この第1実施形態では、図4に示すように、温度判定部41と、通電切替部42とを備えている。又、温度判定部41は、温度検出部43を備えている。
【0036】
この温度検出部43は、図2、図3に示すように、上電極片31と下電極片32との夫々に配設された温度検出センサとしての熱電対43aを備え、上電極片31、下電極片32夫々の温度を検出できるように構成されている。
【0037】
そして、温度判定部41は、上記温度検出部43によって検出された温度検出データが電極片設定温度よりも高くなったか否かを判定する。
【0038】
この電極片設定温度は、電極配設部22が溶融する際の上電極片31、下電極片32夫々の温度よりも低く設定された温度である。この実施形態では、電極片設定温度は、300°Cに設定されている。
【0039】
尚、上記温度検出部43は、上電極片31、下電極片32夫々の温度を検出する形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば温度検出部43は、上電極片31及び下電極片32夫々に覆われた容器2の電極配設部22の温度を検出するものとする。そして、温度判定部41は、その温度検出部43によって検出された電極配設部22の温度検出データが容器設定温度よりも高くなったか否かを判定するようにしても良い。
【0040】
また、その場合の容器設定温度としては、例えば電極配設部22が溶融する際の温度よりも低い温度を設定するようにすれば良い。
【0041】
そして、温度判定部41は、上記温度検出データが電極片設定温度よりも高い場合に、高いとの判定をし、一方、温度検出データが電極片設定温度よりも高くない場合に、高くないとの判定をする。
【0042】
通電切替部42は、上記温度判定部41によって、上記高いとの判定をした場合に、点灯回路5における高周波電源51からの電圧を、上電極片31から下電極片32に、或いは、下電極片32から上電極片31に印加するように切り替える。即ち、通電切替部42は、上電極片31と下電極片32との通電を切り替える。
【0043】
以上のように構成された放電ランプ1の外部電極3、例えば上電極片31に、高周波電源51から、例えば100kHzの正弦波の電圧が印加されると、その電圧の時間変化量に比例した交番電界が容器2の内部の気密空間に印加される。
【0044】
これは、上電極片31を配設した部分に覆われた電極配設部22の内面に電荷が溜まったり放出されたりすることである。その結果、上電極片31は、容器2の電極配設部22の上部を介して容器2の内部に電流が流れる。
【0045】
この電流は、印加電圧の増加、減少方向に応じて、逆向きにも流れる。容器2の内部に存在する電子は、印加された交番電界により、運動エネルギが供給される。そして、水銀原子に衝突する。衝突された水銀原子は電離したり励起したりし、放電が容器2の内部に発生する。
【0046】
このように、容器2の内部には、放電が生じ、導電性を持つプラズマ6(図2に図示)が維持される状態になる。励起された水銀原子は、基底状態に戻るときに紫外線を放出する。放出された紫外線は容器2の光放射部21に塗布された蛍光体21aによって可視光に変換され、光放射部21から外部に出て行く。
【0047】
又、その際、光放射部21からの光出力を増大するために、上電極片31に大電力を入力すると、上電極片31に覆われた電極配設部22の一部が局所的に過熱される。これは、電極配設部22の内面に発生したシース電界によるイオンの加速衝突によるものと考えられる。シースの電界強度の高い場所が局所的に加熱され、例えば瞬間的に800°Cといった高温になる。
【0048】
このような高温になると、電極配設部22を構成したホウ珪酸ガラスが溶融してしまう。しかし、この第1実施形態では、通電切替制御部4が次のように動作し、これを防止する。
【0049】
即ち、通電切替制御部4は、温度判定部41によって、上電極片31の温度が電極片設定温度よりも高くなったか否かを判定する。そして、高くなったとの判定をした場合、通電切替制御部4は、通電切替部42によって、点灯回路5における高周波電源51からの電圧を、上電極片31から下電極片32に印加するように切り替える制御を行う。
【0050】
これにより、上電極片31への電圧の印加が止まり、下電極片32へ電圧が印加される。従って、上電極片31に覆われた電極配設部22の上部は、過熱が抑えられ、溶融して損傷をきたすようなことを防止できる。又、その際、放電ランプ1は、下電極片32へ同じ電圧が印加されているため、同じ電力量により同じ光量で点灯し続ける。
【0051】
そして、通電切替制御部4は、上記切り替えを行った後、上電極片31の場合と同様に制御する。より詳しくは、温度判定部41によって、下電極片32の温度が電極片設定温度よりも高くなったか否かを判定する。
【0052】
そして、高くなったとの判定をした場合、通電切替部42によって、点灯回路5における高周波電源51からの電圧を、下電極片32から上電極片31に印加するように切り替える制御を行う。
【0053】
これにより、下電極片32への電圧の印加が止まり、上電極片31へ再度、電圧が印加され、下電極片32に覆われた電極配設部22の下部の過熱が抑えられる。又、上電極片31に覆われた電極配設部22の上部は、すでに冷却されているため、電圧が印加されても、即座に溶融温度になることはない。
【0054】
従って、電極配設部22が溶融して損傷するようなことを防止できる。又、その際においても、放電ランプ1は、上電極片31へ同じ電圧が印加されているため、同じ電力量により同じ光量で点灯し続ける。
【0055】
次に、第2実施形態の放電ランプ100について、図5〜図7を参照にして説明する。第2実施形態の放電ランプ100の通電切替制御部140は、図7に示すように、先の第1実施形態の温度判定部41に代えて、通電状況判定部141を備えている。
【0056】
この通電状況判定部141は、通電状況情報を検出する状況情報検出部144を備えている。状況情報検出部144は、下電極片32又は上電極片31への通電の状況を示す電圧情報、電流情報、及び、電圧と電流との位相角情報の3種類の通電状況情報の内の少なくとも一つを検出する。
【0057】
そして、通電状況判定部141は、上記3種類の通電状況情報の夫々が、通電状況情報の種類に応じて設定された設定値、即ち、電圧の設定値、電流の設定値、電圧と電流との位相角の設定値を越えたか否かを判定する。
【0058】
又、この判定は、状況情報検出部144により検出した通電状況情報検出データである電圧情報検出データ、電流情報検出データ、電圧と電流との位相角情報検出データと、上記設定値とに基づいて行う。
【0059】
従って、この第2実施形態の通電切替制御部140は、図5、図6に示すように、先の第1実施形態のような温度検出部を有しておらず、それに代えて状況情報検出部144を有する。
【0060】
例えば、電極配設部22の内表面が局所的に温度上昇すると、その部分から熱電子の供給が容易になるため、電圧値は減少し、電流値は増加し、一方、位相角の値は小さくなる。
【0061】
従って、通電状況を示す通電状況情報が電圧情報である場合、状況情報検出部144によって検出した電圧情報検出データが予め設定した電圧の設定値よりも低くなった場合に、設定値を越えたとの判定をする。尚、この場合、例えば電極配設部22の内表面が溶融する通電状況での電圧値よりも高い数値を電圧の設定値とすれば良い。
【0062】
又、通電状況を示す通電状況情報が電流情報である場合、状況情報検出部144によって検出した電流情報検出データが予め設定した電流の設定値よりも高くなった場合に、設定値を越えたとの判定をする。尚、この場合、例えば電極配設部22の内表面が溶融する通電状況での電流値よりも低い数値を電流の設定値とすれば良い。
【0063】
更には、通電状況を示す通電状況情報が位相角情報である場合、状況情報検出部144によって検出した位相角情報検出データが予め設定した位相角の設定値よりも小さくなった場合に、設定値を越えたとの判定をする。尚、この場合の上記位相角の設定値として、例えば電極配設部22の内表面が溶融する通電状況での上記位相角の値よりも小さい数値とすれば良い。
【0064】
この実施形態では、通電状況を示す通電状況情報として、電圧情報を採用し、状況情報検出部144によって電圧情報を検出し、その検出した電圧情報検出データが予め設定した電圧の設定値よりも低くなった場合に、設定値を越えたとの判定をする。
【0065】
尚、通電状況情報として、電圧情報を採る形態のものに限らず、電圧情報、電流情報、位相角情報の3種類の内の少なくとも一つを採る形態のものであれば良く、適宜変更できる。
【0066】
以上のように構成された第2実施形態の動作について説明する。例えば上電極片31に、高周波電源151から電圧が印加されると、先の実施形態と同様にして、放電バルブ100は点灯する。
【0067】
そして、通電切替制御部140は、通電状況判定部141によって、状況情報検出部144により検出した電圧情報検出データが電圧の設定値よりも低くなると、設定値を越えたとの判定をする。
【0068】
又、上記越えたとの判定をした場合、通電切替制御部140は、通電切替部142によって、点灯回路150における高周波電源151からの電圧を、上電極片31から下電極片32に印加するように切り替える制御を行う。
【0069】
これにより、上電極片31への電圧の印加が止まり、下電極片32へ電圧が印加される。従って、上電極片31に覆われた電極配設部22の上部側の一部の過熱が抑えられ、溶融して損傷するようなことを防止できる。又、その際、放電ランプ1は、上電極片31と同じ面積の下電極片32へ同じ電圧が印加されているため、同じ電力量により同じ光量で点灯し続ける。
【0070】
そして、通電切替制御部140は、上記切り替えを行った後、上電極片31の場合と同様に制御を行う。より詳しくは、通電切替制御部140は、通電状況判定部141によって、状況情報検出部144により検出した電圧情報検出データが電圧の設定値よりも低くなると、設定値を越えたとの判定をする。
【0071】
又、上記判定をした通電切替制御部140は、通電切替部142によって、点灯回路150における高周波電源151からの電圧を、下電極片32から上電極片31に印加するように切り替える制御を行う。
【0072】
これにより、下電極片32への電圧の印加が止まり、再度、上電極片31へ電圧が印加され、下電極片32に覆われた電極配設部22の下部側の一部の過熱が抑えられ、溶融して損傷するようなことを防止できる。又、その際においても、放電ランプ1は、上電極片31へ同じ電圧が印加されているため、同じ電力量により同じ光量で点灯し続ける。
【0073】
以上のように構成された第2実施形態においては、温度検出センサを設ける必要がなく、比較的簡単な構成で、上電極片31と下電極片32とに対する電力供給(通電)を切り替えることができ、低コストなものにできる。
【0074】
次に、本発明の照明器具について説明する。本発明の照明器具200は、図8に示すように、放電ランプ1と、照明器具本体201とを備えている。放電ランプ1は、この実施形態では、上記第1実施形態のものと同構成のものが使用されている。
【0075】
照明器具本体201は、放電ランプ1を保持したランプ保持部材202と、高周波電力を供給する高周波電源51を含み外部電極3の上電極片31、下電極片32夫々と接続された点灯回路5(図1参照)、電源コード(図示せず)等を備えている。尚、照明器具200は、上記第1実施形態の放電ランプ1を用いる形態のものに限らず、第2実施形態の放電ランプ100を用いることもでき、適宜変更できる。
【0076】
尚、上記第1実施形態及び第2実施形態の放電ランプにおいては、放電ガスとして水銀
と希ガスを用いたが、この形態のものに限らず、例えば希ガスのみでも良い。その場合には、水銀の場合に比べ、発光効率は低下するものの、周囲温度の影響を受けない、いわゆる温度フリー型の放電ランプや照明器具を提供することが可能となる。
【0077】
例えば希ガスとしてキセノンを封入し、その紫外線発光と蛍光体の組み合わせで作用させても良い。或いは、蛍光体を塗布せずにネオンを封入し、その直接の赤色発光を利用しても良い。
【0078】
又、上記第1実施形態及び第2実施形態の放電ランプにおいては、外部電極材料として、金属箔を容器の外周に貼り付けたが、この形態のものに限らず、導電性部材を容器の外面に配設すれば良く、適宜変更できる。
【0079】
例えば、金属蒸着膜や導電性ペーストなどを適用することもできる。又、一般的には、電極配設部と導電性部材との密着度が良いほど、発光効率等の性能が高くなるが、製造性やコスト面などの兼ね合いで選択すれば良い。
【0080】
また、上記実施形態では、2つの外部電極3の夫々を、第1電極片としての上電極片31と第2電極片としての下電極片32との2つから構成したが、この形態のものに限らず、3つ以上の電極片から構成でき、適宜変更できる。
【0081】
又、電極片の配設位置は、特に限定されず、例えば2つから構成する場合に、上記実施形態のように、容器の上部と下部とに配設する形態のものに限らず、例えば容器の前部と後部とに配設しても良く、適宜変更し得る。
【0082】
又、上記実施形態では、高周波電源による高周波印加については100kHzの正弦波を印加したが、電圧が時間的に変化する電源であれば使用できる。例えば短形波や三角波も作用できる。周波数についても、効率、回路コスト、漏れ電流、EMIノイズなどの観点から選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態の放電ランプの概略説明図である。
【図2】その第1実施形態の放電ランプの要部の拡大横断明図である。
【図3】その第1実施形態の放電ランプの要部の拡大縦断明図である。
【図4】第1実施形態の通電切替制御部を説明するためのブロック図である。
【図5】第2実施形態の放電ランプの概略説明図である。
【図6】その第2実施形態における要部の拡大縦断明図である。
【図7】第2実施形態の通電切替制御部を説明するためのブロック図である。
【図8】照明器具の正面図である。
【符号の説明】
【0084】
1、100 放電ランプ
2 容器
3 外部電極
4、140 通電切替制御部
5 点灯回路
31 上電極片
32 下電極片
200 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ガスが封入された容器の両端部夫々における外面に、その容器の一部を覆うように外部電極が通電可能に配設された放電ランプであって、
前記外部電極は、夫々、複数の電極片を備え、
前記複数の電極片は、通電切替制御部によって、順次に通電が切り替えられるように構成されていることを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記通電切替制御部は、前記複数の電極片、又は、前記容器における複数の電極片に覆われた部分、夫々の温度を検出する温度検出部を備えているとともに、その温度検出部によって、通電されている一の電極片、又は、容器における通電されている一の電極片に覆われた部分に対して検出された温度検出データが、電極片設定温度又は容器設定温度よりも高くなった場合に、他の電極片へ通電を切り替える処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記通電切替制御部は、前記複数の電極片夫々に対する通電状況を示す電圧情報、電流情報、及び、電圧と電流との位相角情報の3種類の通電状況情報の内の少なくとも一つを検出する状況情報検出部を備えているとともに、その状況情報検出部によって、通電されている一の電極片に対して検出された通電状況情報検出データが前記通電状況情報の種類に応じて設定された設定値を超えた場合に、他の電極片へ通電を切り替える処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電ランプと、この放電ランプを保持した照明器具本体とを備えていることを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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