説明

放電ランプ

【課題】耐久性のある放電ランプを提供する。
【解決手段】透光性封体内に一組の電極を有する放電ランプであって、電極の後端側に延設された電極リード棒21と、その電極リード棒21の後端側に固着された、封止管部(透光性封体)11bの端部と微小空間W1をもって遊嵌する導電体22と、その導電体22に一端を固着された導電箔23とを備える放電ランプにおいて、導電体22の外周に凹部Gを有するとともに、封止管部11bに、凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを有し、微小空間W1と所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性封体内に一組の電極を有する放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の導電箔を有する放電ランプは、図4に示すように、発光管部111aと発光管部111aの両端から延びる円筒状の封止管部111bとからなる透光性封体111と、発光管部111aの内部に配置された一組の電極(陽電極120、陰電極130)と、電極の後端側に延設された電極リード棒121と、電極リード棒121の後端側に固着された導電体122と、導電体122に一端を固着されたストリップ状の導電箔123と、導電体122の後端側に当接する密閉体124と、密閉体124の後端側に配置され、かつ、導電体123の一端が固着された集電用ディスク125と、集電用ディスク125の後端側に固着された導入線126とを有している。導電体122と密閉体124とは、膨張率が大きく異なるため、溶着または固着はされておらず、導電体122は、導電箔123によって支持されている。
【0003】
導電体122の方が封止管部111bよりも膨張率が大きいので、ランプ点灯時の温度上昇によって導電体122が膨張して封止管部111bを破損することを防止するために、導電体122と封止管部111bとの間には微小空間Sが設けられている。
このような放電ランプ110には、静置状態においても、電極(陽電極120または陰電極130)、電極リード棒121および導電体122の重量により導電体122を傾けようとする力がかかっている。導電体122と封止管部111bとの間には微小空間Sが設けられているため、このような力によって、導電体122は微小空間S内で傾こうとし、導電体122を支持している導電箔123には引っ張り力が加わっている。しかし、静置状態においては、導電箔123に加わっている引っ張り力が降伏応力を上回ることはないため、導電箔123が引き延ばされたり切断されたりすることはない。
しかし、放電ランプ110に運搬などによって振動が加えられると、振動によって、さらに導電体122を傾けようとする力が加わるとともに、導電箔123にさらに引っ張り力が加わる。その結果、図5に示すように、導電箔123は引き延ばされ、ついには切断されてしまうという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、導電体122の厚みを軸方向に大きくすることによって、導電体122の傾きを少なくする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法によれば、導電体122の傾きが少なくなる結果、導電箔123が引っ張られる距離が短くなるため、導電箔123は引き延ばされるものの切断には至らなくなる。
【0005】
【特許文献1】特公平4−67297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近時、放電ランプにおいては、放射光量増加の要請がある。放射光量増加のためには入力電流を増加すればよいが、入力電流を増加すると、電極間を流れる電子流も増加する。このため、増加した電子流に耐えられるように電極を大きくする必要があり、これに伴い放電ランプ全体を大型化する必要がある。
そして、放電ランプを大型化すると、電極の重量が増大するばかりか、電極の重心から導電体122までの距離も増大する。このため、放電ランプに振動が加わった場合には、導電体122を傾けようとする力も大きくなり、導電箔123には従来の放電ランプに比べて大きな引っ張り力が加わることとなる。また、導電箔123には、大きな引っ張り力が加わった場合には、わずかしか延びることができずに切断されてしまうという性質がある。このため、従来の比較的小型の放電ランプと同じ程度に導電体122の傾きが少なくなるように設計しても、大型化した放電ランプに振動が加わった場合には導電箔123に大きな引っ張り力が加わるため、導電箔123はわずかしか延びることができずに切断されてしまうという問題がある。
【0007】
一方、放電ランプを大型化すると、電極の大型化に伴って封止管部111bの内径も大きくする必要があるため、封止管部111bと微小空間Sをもって遊嵌する導電体122の直径も大きくする必要がある。そして、上述のように導電体122の方が封止管部111bよりも膨張率が大きいので、導電体122の直径を大きくする場合には、導電体122と封止管部111bとの間に設けられる微小空間Sも大きくする必要がある。微小空間Sが大きくなると、導電体122が傾く角度も大きくなるため、導電箔123が引っ張られる距離が長くなる。
【0008】
このため、大型化した放電ランプに振動が加わった場合には、導電箔123は、その長くなった距離の分だけ延びることができないため、切断されてしまうという問題がある。このため、導電箔123が引っ張られる距離を短くする必要があるが、前記従来の技術で提案されているような導電体122の厚みを軸方向に大きくする方法を用いると、導電体122の厚みを大きくした分だけ放電ランプが必要以上に大型化してしまう。そうすると、放電ランプを組み込んだ装置(例えば液晶のカラーフィルターの製造工程における露光装置など)全体も大型化してしまうという問題がある。さらに、導電体122の厚みを軸方向に大きくすると、導電体122の重量も増大する。このため、このような放電ランプに振動が加えられた場合には、導電箔123に加わる引っ張り力も増大してしまうため、かえって導電箔123が切断されやすくなってしまうという問題がある。
このため、放電ランプを大型化した場合には、結局、導電箔123の切断を防止することができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、耐久性のある放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に記載の発明は、透光性封体内に一組の電極を有する放電ランプであって、電極の後端側に延設された電極リード棒と、該電極リード棒の後端側に固着された、前記透光性封体の端部と微小空間W1をもって遊嵌する導電体と、該導電体に一端を固着された導電箔とを備える放電ランプにおいて、前記導電体の外周に凹部を有するとともに、前記透光性封体に、前記凹部に所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部を有し、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の放電ランプであって、前記凹部が、全周にわたって設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の放電ランプであって、前記凹部が、陽電極側の導電体の外周に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の放電ランプであって、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>2W2となるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の放電ランプであって、前記凹部が、前記導電体の後端寄りに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、前記導電体の外周に凹部を有するとともに、前記透光性封体に、前記凹部に所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部を有し、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成されているので、振動などによって前記導電体が傾いても、前記凹部が前記凸部にぶつかることによって前記導電体の傾きが止まるため、前記導電箔が引っ張られる距離はほぼW2と等しい距離(すなわちW1よりも小さい距離)にとどまる。したがって、前記導電体の重量を過大にすることなく前記導電箔が引っ張られる距離を小さくできるため、放電ランプを大型化した場合においても前記導電箔の切断を防止することができる放電ランプを提供することができる。すなわち、耐久性のある放電ランプ、特に振動に対して耐久性のある放電ランプを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、凹部が全周にわたって設けられているので、より簡易に加工することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、凹部が陽電極側の導電体の外周に設けられているので、重量が大きくより大きな引っ張り力が加わる陽電極側の導電箔の切断を防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、微小空間W1と所定の間隙W2とがW1>2W2となるように構成されているので、より効果的に導電箔の切断を防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、凹部が導電体の後端寄りに設けられているので、所定の間隙W2をより小さくすることができるため、より効果的に導電箔の切断を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の放電ランプの断面図であり、図2は、図1の導電体22付近の拡大図である。
放電ランプ10は、中空でほぼ球形の発光管部11aと、発光管部11aの両端から延びる円筒状の封止管部11bとからなる透光性封体11と、発光管部11aの内部に配置された陽電極20と陰電極30とからなる一組の電極と、電極の後端側に延設された電極リード棒21と、電極リード棒21の後端側に固着された、前記透光性封体11の端部である封止管部11bと微小空間W1をもって遊嵌する導電体22と、導電体22の後端側に当接する密閉体24と、密閉体24の後端側に配置された集電用ディスク25と、集電用ディスク25の後端側に固着された導入線26と、密閉体24の周囲に沿って配設され、その両端が導電体22および集電用ディスク25に固着された導電箔23とを有している。
【0020】
陽電極20および陰電極30は、円錐または円錐を軸と垂直に切断した一部と円柱とを結合した形状に形成されている。
電極リード棒21は丸棒状に形成されている。外部端子27は装置の取付形状により任意の形状としてもよい。集電用ディスク25と外部端子27を接続する導入線26は丸棒やフレキシブルな導電可能なリード線を使用している。外部端子27と封止管部11bはセメントなどの従来からある公知の技術を利用して固定される。
電極リード棒21および導入線26は、陽電極20、陰電極30、導電体22および集電用ディスク25の中心にそれぞれ設けられた孔に取り付けられ、かつ、溶接などの手段によってそれぞれ導電的に固着されている。また、外部端子27と導入線26についても、溶接などの手段によって導電的に固着されている。
外部端子27は、金属製のキャップ状に形成されている。この外部端子27の内径と封止管部11bの外径とは、外部端子27の内径のほうが大きくなるように構成されている。また、外部端子27の中心部には導入線26を貫通するための貫通孔が形成されている。なお、導入線26と外部端子27の貫通孔との隙間は溶接によって導通状態で封じるものとする。
密閉体24の周面には、該周面に沿って軸方向に伸びた、複数枚のストリップ状の導電箔23が配設されている。前記複数枚の導電箔23は、通常1mm程度の間隔で、密閉体24のほぼ全周にわたって配設されている。配設される導電箔23の枚数は、通常3枚程度である。導電箔23と、導電体22および集電用ディスク25とは、それぞれ溶接などによって導電的に固着されている。
【0021】
導電箔23の幅および長さは導電体22の形状等に応じて適宜設定すればよいが、幅は通常8mmから30mm程度であり、長さは通常25mmから150mm程度である。導電箔23の厚さは、通常20μmから60μm程度である。
密閉体24と封止管部11bとは、それらの間に導電箔23を介して嵌合されており、密閉体24と封止管部11bとを溶着させることにより、放電ランプ10内が密閉(シール)されているが導電箔23により導電を可能としている。放電ランプ10は、このような箔シール構造を有している。
導電体22は封止管部11bに比べて膨張率が大きい。そこで、ランプ点灯時の温度上昇によって導電体22が膨張して封止管部11bを破損することを防止するために、導電体22と封止管部11bとの間には、微小空間W1が設けられている。
導電体22と密閉体24とは、膨張率が大きく異なるため、溶着または固着されていない。
導電体22は、導電箔23によって支持されている。
【0022】
そして、導電体22の外周に凹部Gを有するとともに、透光性封体11に、前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを有している。
導電体22の外周の設けられる凹部Gは、旋盤による方法など従来公知の方法によって加工することができる。
透光性封体11に設けられる凸部Pは、透光性封体11の封止管部11bを加熱して封止する工程と同様の方法によって加工することができ、通常酸水素バーナーを使用して加熱することによって加工される。したがって、透光性封体11に設けられる凸部Pの形状は、これと所定の間隙W2をもって嵌り合う導電体22の外周に設けられた凹部Gの形状に応じて決定される。
【0023】
導電体22の外周に設けられる凹部Gは、全周にわたって設けられている。前記凹部Gは、少なくとも導電体22の外周の一部に設ければよく、導電体22の外周の一部に設ける場合には、周方向に等間隔に、かつ、複数設けるのが好ましく、周方向に等間隔に、かつ、4つ以上設けるのがより好ましい。さらに、前記凹部Gは、全周にわたって設けられるのが、加工が容易であるとともに、透光性封体11に前記凹部Gと所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを設ける加工がしやすく、かつ、透光性封体11が破損しにくいという点で好ましい。
前記凹部Gは、導電体22の後端寄りに設けられている。前記凹部Gは、後端よりに設けられるのが、所定の間隙W2を狭くして導電体22の傾きを抑制し、導電箔23の切断を防止するためには好ましい。
【0024】
前記凹部Gは、陽電極20側の導電体22の外周に設けられている。前記凹部Gは、陽電極20側の導電体22または陰電極30側の導電体22のいずれか一方の外周に設けてもよいし、陽電極20側の導電体22および陰電極30側の導電体22の両方の外周に設けてもよい。陽電極20は陰電極30よりも重量が大きいので、陽電極側の導電箔23にはより大きな引っ張り力が加わるため、陽電極側の導電箔23はより切断されやすい。そこで、前記凹部Gは陽電極20側の導電体22の外周に設けるのが好ましい。
【0025】
発光管部11aと封止管部11bとからなる透光性封体11は、石英ガラスなど従来公知の材料にて構成されている。
陽電極20および陰電極30は放電に適した材料にて形成され、通常タングステンなどの高融点の金属にて形成される。
電極リード棒21は導電性材料にて形成され、通常タングステンにて形成される。
導電体22は導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。
導電箔23は導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。
密閉体24は透光性封体11と膨張率が近く、かつ、密閉に適した材料にて形成され、通常、石英ガラスにて形成される。
集電用ディスク25は導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。
導入線26は従来公知の導電性材料にて構成される。
【0026】
本発明の放電ランプとしては、例えば、箔シール構造を有する放電ランプがあげられ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプおよびキセノンランプなどが含まれる。なかでも、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプが好ましい。また、ショートアーク型放電ランプであるのが好ましい。
なお、本発明の放電ランプ10の導電体22および透光性封体11以外の構成は、従来公知の放電ランプと同様に構成することができる。
【0027】
図2において、符号Aは導電体22の厚さを表す。符号Bは導電体22の後端部から凹部Gまでの距離を表す。符号Cは導電体22に設けられた凹部Gの底部の幅を表す。符号Dは導電体22の直径を表す。符号Eは導電体22に設けられた凹部Gの深さである。符号α1、符号α2は、導電体22に設けられた凹部Gの側面の角度を表す。
符号W1は、ランプ点灯時の温度上昇によって導電体22が膨張して封止管部12を破損することを防止するために、導電体22と封止管部11bとの間に設けられた微小空間を表す。
符号W2は、導電体22の外周に設けられた凹部Gと透光性封体11に設けられた凸部Pとの間に設けられる所定の間隙を表す。
【0028】
前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とは、W1>W2となるように構成されている。W1>2W2であるのが、導電体22の傾きを抑制し、導電箔23が引っ張られる距離を短くすることによって、導電箔23の切断を防止するためには好ましい。
導電体22と封止管部11bとの間に設けられる微小空間W1は、導電体22と封止管部11bとの膨張率の差および導電体部22の直径などに応じて適宜設定すればよいが、導電体部22の直径が20mmである場合には通常200μm程度であり、導電体部22の直径が50mmである場合には通常500μm程度である。すなわち、動作時の温度を考慮した間隔で設けられる。
導電体22の外周に設けられた凹部Gと透光性封体11に設けられた凸部Pとの間に設けられる所定の間隙W2は、20μm以上100μm以下であるのが好ましく、通常50μm程度である。
【0029】
導電体22の厚さAは、導電体22の直径D以上であることが、加工時に導電箔23へ加わるモーメントが減少するという点で好ましい。さらに、酸水素バーナでの加工時、導電体22の厚さAが長すぎてしまうと、間隔W1を設定する際の導電体22を全体的に昇温する際の温度管理が困難となってしまうために、導電体22の厚さAは、導電体22の後端部から凹部Gまでの距離Bの5倍以下であることが望ましい。
導電体22の後端部から凹部Gまでの距離Bは、さらに3mm以上20mm以下であるのが好ましい。3mm未満であると導電箔23を固着することが困難になるという問題がある。20mmより大きくなると、放電ランプ10点灯時の温度上昇に伴う導電体22の膨張による導電体22の後端部から凹部Gまでの距離Bの増加が大きくなるため、所定の間隙W2を大きくする必要が生じる。そうすると、放電ランプ10に振動が加わった際の導電体22の傾きが大きくなり、したがって導電箔23が引っ張られる距離が長くなるため、効果的に導電箔23の切断を防止することができなくなるという問題がある。
【0030】
導電体22に設けられた凹部Gの底部の幅Cは、3mm以上10mm以下であるのが好ましい。3mm未満であると、透光性封体11に、前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを設ける加工が困難になるという問題がある。
導電体22の直径Dは、放電ランプの点灯電流値でほぼ決定され、適宜設定すればよいが、通常14mm以上50mm以下である。
導電体22に設けられた凹部Gの深さEは、0.5mm以上1mm以下であるのが好ましい。0.5mm未満であると、導電体22の外周に設けられた凹部Gと、透光性封体11に設けられた凸部Pとが十分に嵌り合うことができず、導電体22の傾きを抑制することが困難になり、結局導電箔23が切断することを防止するのが困難になるという問題がある。1mmより大きいと、透光性封体11に、前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを設ける加工が困難になるという問題がある。
【0031】
導電体22に設けられた凹部Gの側面の角度α1、α2は、55°より大きく75°より小さいのが好ましい。55°以下であると、導電体22の外周に設けられた凹部Gと、透光性封体11に設けられた凸部Pとが十分に嵌り合うことができず、導電体22の傾きを抑制することが困難になり、結局導電箔23が切断することを防止するのが困難になるという問題がある。75°以上であると、透光性封体11に前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを設ける加工が困難になるばかりか、透光性封体11に設けられた凸部Pの基部にクラックが生じやすくなるという問題がある。
【0032】
図3は、本発明の放電ランプ10の効果を示す図であり、導電体22付近を拡大したものである。
本発明の放電ランプ10に振動が加えられると、導電体22と封止管部11bとの間に微小空間W1が設けられているため、電極(陽電極20または陰電極30)、電極リード棒21および導電体22の重量により導電体22を傾けようとする力が加わるとともに、導電体22を支持している導電箔23に引っ張り力が加わる。
このような引っ張り力によって前記導電体22が傾いても、導電体22の外周に凹部Gを有するとともに、透光性封体11に、前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを有し、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成されているので、前記凹部Gが前記凸部Pにぶつかることによって前記導電体22の傾きが止まるため、前記導電箔23が引っ張られる距離はほぼW2と等しい距離(すなわち、W1よりも小さい距離)にとどまる。
このため、本発明の放電ランプ10によれば、導電箔23に大きな引っ張り力が加わった場合であっても、引っ張られる距離が短いので、導電箔23は切断されない。
【0033】
本発明の高圧放電ランプ10の実施の形態としては、例えば、透光性封体11内に陽電極20と陰電極30とからなる一組の電極を有する放電ランプであって、電極の後端側に延設された電極リード棒21と、該電極リード棒21の後端側に固着された、前記透光性封体11の端部と微小空間W1をもって遊嵌する導電体22と、該導電体22に一端を固着された導電箔23とを備える放電ランプにおいて、前記導電体22の外周に凹部Gを有するとともに、前記透光性封体11に、前記凹部Gに所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部Pを有し、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成される。
また、前記凹部Gが、全周にわたって設けられているように構成される。
さらに、前記凹部Gが、陽電極20側の導電体22の外周に設けられているように構成される。
加えて、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>2W2となるように構成される。
さらに加えて、前記凹部Gが、前記導電体22の後端寄りに設けられているように構成される
【0034】
なお、本発明は、上述の例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の放電ランプの断面図である。
【図2】図1の放電ランプの導電体付近の拡大図である。
【図3】本発明の放電ランプの効果を示す図である。
【図4】従来の放電ランプの断面図である。
【図5】従来の放電ランプの効果を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 放電ランプ
11 透光性封体
11a 発光管部
11b 封止管部
20 陽電極
21 電極リード棒
22 導電体
23 導電箔
24 密閉体
25 集電用ディスク
26 導入線
27 外部端子
30 陰電極
A 厚さ
B 距離
C 幅
D 直径
E 深さ
G 凹部
P 凸部
1 微小空間
2 間隙
α1,α2 角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性封体内に一組の電極を有する放電ランプであって、
電極の後端側に延設された電極リード棒と、該電極リード棒の後端側に固着された、前記透光性封体の端部と微小空間W1をもって遊嵌する導電体と、該導電体に一端を固着された導電箔とを備える放電ランプにおいて、
前記導電体の外周に凹部を有するとともに、前記透光性封体に、前記凹部に所定の間隙W2をもって嵌り合う凸部を有し、前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>W2となるように構成されていることを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記凹部が、全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記凹部が、陽電極側の導電体の外周に設けられていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記微小空間W1と前記所定の間隙W2とがW1>2W2となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ
【請求項5】
前記凹部が、前記導電体の後端寄りに設けられていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−228440(P2006−228440A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37221(P2005−37221)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(505470937)株式会社ワコム電創 (7)
【Fターム(参考)】