説明

放電生成ガス溶解装置および放電生成ガス発生装置

【課題】 放電により生成されたガスを再度放電器に送り込む循環方式の溶解装置において、溶解しきれなかった水分を含んだガスの水分を除去するために、大量の乾燥剤を設けることなく、低コストで小型な放電生成ガス溶解装置を提供する。
【解決手段】 放電器と、前記ガス流出口から排出された放電生成ガスを導入する導入口を有する貯水部と、前記放電器で生成された放電生成ガスを前記導入口に送るガス移動手段と、前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた放電生成ガス溶解装置であって、前記導入口は、前記貯水部に貯水された水に放電生成ガスをバブリングさせるバブラ−手段を有し、前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴とする放電生成ガスの溶解装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電により生成されたガス、たとえば、二酸化窒素ガスを水に溶解させ硝酸水溶液を生成したり、オゾンガスを水に溶解させてオゾン水を生成したり、水中の有機物の酸化、脱臭、殺菌などに利用される放電によって生成される放電生成ガス溶解装置ならびに、放電生成ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電によって発生するガスを溶解する装置の代表的なものとしてオゾン水生成装置がある。放電器で生成されたオゾンガスは貯水されたタンク内に導入され、水中でバブリングさせて溶解させている。オゾンガスは水への溶解性が悪いため、溶解しきれなかったオゾンガスは循環路を介して再度、放電器に送られ、再び水中でバブリングさせて溶解させることで、溶解しきれないオゾンガスを有効利用する循環方式のオゾン反応装置が開示されている。(特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開2002−11981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、オゾンガスの生成は、対向する電極間に交流高電圧を印加し、放電により空気中の酸素ガスをオゾンガスへ化学変化させる手段がとられている。
ところが、電極間の放電領域への水分の流入は、放電の阻害になる放電副生成物たとえば硝酸アンモニウムの生成を促進し、オゾン生成量の低下の原因になる。
【0005】
特許文献1に記載されたオゾン水生成装置では、オゾンガスは水への溶解性が悪いため、溶解しきれなかった水分を多量に含んだオゾンガスは、乾燥剤などを介して水分を除去した状態で再度放電器に送り込まれていた。
しかし大量の水分を除去するためには、大量の乾燥剤が必要であり、設備が大型化し、かつコストがかかるなどの問題があった。
従って、本発明は、放電により生成されたガスを再度放電器に送り込む循環方式の溶解装置において、溶解しきれなかった水分を含んだガスの水分を除去するために、大量の乾燥剤を設けることなく、低コストで小型な放電生成ガス溶解装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によればガス流入口とガス流出口とを有し、少なくとも一対の電極の間に電圧を印加することにより放電を生じさせ放電生成ガスを生成可能な放電器と、前記ガス流出口から排出された放電生成ガスを導入する導入口を有する貯水部と、前記放電器で生成された放電生成ガスを前記導入口に送るガス移動手段と、前記導入口から導入された放電生成ガスのうち、前記貯水部に貯水された水に溶解しきれない放電生成ガスを再び前記ガス流入口に導入する循環路と、前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた放電生成ガス溶解装置であって、前記導入口は、前記貯水部に貯水された水に放電生成ガスをバブリングさせるバブラ−手段を有し、前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴としており、本発明によれば、放電により生成されたガスを再度放電器に送り込む循環方式の溶解装置において、溶解しきれなかった水分を含んだガスの水分を除去するために、大量の乾燥剤を設けることなく、低コストで小型な放電生成ガス溶解装置を提供することが可能となる。
また、本発明の一態様によればガス流入口とガス流出口とを有し、少なくとも一対の電極の間に電圧を印加することにより放電を生じさせ放電生成ガスを生成可能な放電器と、前記放電器で生成された放電生成ガスを前記ガス流出口から排出させるガス移動手段と、前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた放電生成ガス溶解装置であって、前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴としている。
本発明によれば、空気中に含まれる水分を除去するために、大量の乾燥剤を設けることなく、低コストで小型な放電生成ガス溶解装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放電により生成されたガスを水に溶解する装置において、水に溶解しきれなかったガスの水分を乾燥剤などを介して水分を除去した状態で再度放電器に送り込む必要があったため、大量の乾燥剤が必要であり、設備が大型化し、かつコストがかかるなどの問題があったのに対し、大量の乾燥剤を必要としないので、装置の小型化、装置の初期コストおよびランニングコストの低減が可能になり、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる放電生成ガス溶解装置の要部構成を例示する模式図である。
図1に示すように、本発明の放電生成ガス溶解装置は、上部にガスが流入するガス流入口14と、下部にガスが流出するガス流出口13とを有する放電器10と、放電器10の下方にはガス流出口13から排出されたガスをガス導入管路23を経由して導入する導入口を上部に形成した貯水タンク30と、貯水タンク30の上部に接続され、水道水を貯水タンク30内に供給する給水管路22と、導入口から貯水タンク30内に一旦導入されたガスを再び放電器10のガス流入口14に送る循環管路22と、貯水タンク30の下部に設けられた排水部からU字トラップ42を介して、貯水タンク30内の液体を装置外に排出する排水管路と、外部空気を導入する空気導入口70と、放電ガス溶解装置の作動を制御する制御装置80と、を有する。
【0009】
また、放電器10内には後述する一対の放電電極15に電圧を印加する高圧電源11と高電圧投入スイッチ12が直列に配列されている。つまり、高電圧投入スイッチ12をONにすると放電器10に高電圧が印加され、高電圧投入スイッチ12をOFFにすると放電器10に電圧は印加されない構造となっている。
【0010】
また、貯水タンク30に水道水を供給する給水管路20の途上には水の流入用開閉弁21が設けられており、この水の流入用開閉弁21の開閉を行うことで貯水タンク30内への水の供給/止水を切替えている。
【0011】
この貯水タンク30の上部に形成された導入口には、放電器10のガス流出口13に接続された導入管路23が貫通されており、導入管路23のガス流出口13とは逆側の端部にはバブラ31が取り付けられている。このバブラ31の微小孔は貯水タンク30の下方に配置され、貯水タンク30内に水が流入された状態で水没するようになっている。バブラ31は内面と外面を貫通した多数の微小孔が形成されている。このようにして、バブラ31で放電生成ガスを貯水タンク30内の水にバブリングした際に溶解されなかった放電生成ガスは貯水タンク30の上部に形成された循環口から循環管路22に送られるようになっている。
【0012】
また、排水管路のU字トラップ部42より下流側には生成水排出用開閉弁41が設けられており、貯水タンク30内の水を排水管路下流側に排出/止水とを切替えている。更に、貯水タンク30の上部には給排気口70が設けられている。
更に導入管路23の途上にはガス移動手段としてのダイアフラムを有するエアポンプ60を設け、放電生成ガスを導入管路23のガス流出口13とは逆側の端部に送り出すようにしている。
【0013】
次に、図10に示すフローチャートと、図2〜図9に示す図を用いて、本発明の実施の形態にかかる放電生成ガス溶解装置の動作を説明する。
【0014】
装置の起動が開始されると、制御装置80によって溶解装置が次のように作動する。
まず、図2に示すように、貯水タンク30に水道水を流入するために、生成水排出用開閉弁41を閉じ、水の流入用開閉弁21を開け、給水管路20から水道水を、貯水タンク30に流入する。この際、給排気口70に開閉弁(図示しない)を設けた場合には開閉弁を開にしておく。
【0015】
つぎに、図3に示すように、貯水タンク30内に流れ込んだ水道水の水位が、所望の量になった後、水道水の流入を止めるために水の流入用開閉弁21を閉じる。尚、この際に貯水タンク30内にあった空気は給排気口70を経て外部に排出される。
【0016】
つぎに、図4に示すように、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を投入し、放電器10に高電圧を印加する。これにより放電器10内で放電が発生し放電生成ガスが生成される。
【0017】
その後、図5に示すように、所定時間経過後にエアポンプ60を駆動し、放電生成ガスを放電器10のガス流出口13からバブラ31を通して、水中でバブリングさせ、放電生成ガスを水道水に溶解させる。その際に、溶解しきれなかった放電生成ガスは、再度放電器10のガス流入口14に戻り、放電器10、放電器の流出口13を通過し、再度バブラ31を通して、水中でバブリングさせ、放電生成ガスを水に溶解させる。この際、エアポンプ60を駆動しているため循環管路22内に溶解しきれなかった放電生成ガスのほとんどは流れ込み、給排気口70からは排出されにくい。給排気口70に開閉弁(図示しない)を設けた場合には開閉弁を閉にしておく。
【0018】
つぎに、図6に示すように、所定時間経過後、たとえば放電生成ガスが窒素酸化物ガスであれば、生成水が硝酸水溶液になり、pHが所望の値になった時間経過後、もしくは放電生成ガスがオゾンガスの場合、生成水がオゾン水になり、水中オゾン濃度が所望の値になった時間経過後に、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を切断し、放電器10内での放電を停止し、かつエアポンプ60を停止し、水中への放電生成ガスのバブリングを終了させる。この際、少しでも放電生成ガスを有効利用すること、放電生成ガスの濃度を最終的に極力、低下させるために放電器10を停止した後も所定時間、エアポンプ60のみを駆動させても良い。
【0019】
つぎに、図7に示すように、生成水を取り出すために、生成水排出用開閉弁41を開放し、給排気口70から外気を自然導入させながら、生成水を生成水排出口40から取り出す。その際、U字トラップ42があるために、貯水タンク30内の、最終的に溶解しきれなかった放電生成ガスはU字トラップ42の下流側に排出されることが無いため、生成水流出用開閉弁40から外部へ漏れ出すことは無い。また、生成水流出用開閉弁41が開放されて生成水を取り出している間は貯水タンク30内に負圧が発生しているため、貯水タンク30内に残存した放電生成ガスが給排気口70から排出されることはない。
【0020】
以後、図8に示すように、貯水タンク30に水を流入するために、生成水排出用開閉弁41を閉じ、図9(=図2)に示すように、水の流入用開閉弁21を開放し、給水管路20から水道水を、貯水タンク30に流入し、以後、図2(=図9)〜図8の一連の動作を繰り返すことにより、何度でも生成水を作り出すことが可能になる。
【0021】
ここで、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を投入し、放電器10に高電圧を印加し、所定時間遅らせてエアポンプ60を駆動することにより、放電領域で起こる現象と効果に対し、図15のように推測した。
従来の動作では、図15(a)に示すように、まず初期の図15(a)の状態(高電圧ON・ポンプON)では、良好な放電を持続する。
しかし、図15(b)の状態のように、徐々に硝酸塩(主に硝酸アンモニウム)が誘電体ペレット17表面に生成される。
高電圧をOFFし、ポンプOFFした直後は図15(c)の状態であるが、空気中に多数の水分が含まれるため、その水分によって硝酸塩が潮解し、導電性の膜を形成する。
よって、その後、高電圧およびポンプONしても、図15(d)に示すように、常時供給される空気中の水分で、潮解した硝酸塩は導電性膜の状態を保つため、放電が起こらない。
そこで、本発明の動作ように、図15(f)のように、ポンプはOFFの状態で、高電圧のみをONし、誘電加熱による発熱で、潮解した硝酸塩の導電膜の水分を蒸発させ、再結晶化させる。
再結晶化した硝酸塩は絶縁膜になる。その絶縁膜は脆弱なため、図15(g)のように徐々に放電が発生しだし、最終的には図15(h)のような良好な放電状態にもどるものと考える。
【0022】
図16に、本発明の効果を実証するために、水道水から酸性水を生成した実験結果に関して説明する。
まず、図2に示すように、貯水タンク30に水道水を流入するために、生成水排出用開閉弁41を閉じ、水の流入用開閉弁21を開け、給水管路20から水道水を、貯水タンク30に流入した。
つぎに、図3に示すように、貯水タンク30内に流れ込んだ水道水の水量が160mlになった後、水道水の流入を止めるために水の流入用開閉弁21を閉じた。
つぎに、図5に示すように、放電器10とエアポンプ60とを同時に駆動させ、放電生成ガスをバブラ31を介して水道水中に溶解する動作を60分継続した後に、
つぎに、図6に示すように、60分経過後、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を切断し、放電器10内での放電を停止し、かつエアポンプ60を停止し、水中への放電生成ガスのバブリングを終了させ、
図7に示すように生成水排出用開閉弁41を開放し、給排気口70から外気を自然導入させながら、生成水を生成水排出口40から取り出した。
その生成水のpH値をpHメーター(HORIBA製:D−13)で測定し、図16にプロットした。
同じ動作を繰り返したところ、1回目,2回目,3回目までは、水道水のpH値は4前後まで低下したが、4回目で殆どpH値が低下しなくなった。
そこで、5回目は、本発明にかかる実施例に基づいて、あらかじめ図4に示すように、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を投入し、エアポンプを駆動させない状態で、放電器10に高電圧を印加した。
その後、図5に示すように、10分経過後にエアポンプ60を駆動し、放電生成ガスを放電器10のガス流出口13からバブラ31を通して、水中でバブリングさせ、放電生成ガスを水道水に溶解させた。その際に、溶解しきれなかった放電生成ガスは、再度放電器10のガス流入口14に戻り、放電器10、放電器の流出口13を通過し、再度バブラ31を通して、水中でバブリングさせ、放電生成ガスを水に溶解させた。
つぎに、図6に示すように、60分経過後、高圧電源11の高電圧投入スイッチ12を切断し、放電器10内での放電を停止し、かつエアポンプ60を停止し、水中への放電生成ガスのバブリングを終了させ、
図7に示すように生成水排出用開閉弁41を開放し、給排気口70から外気を自然導入させながら、生成水を生成水排出口40から取り出した。
結果、水道水のpH値は、再度4前後まで低下させることが出来た。
つまり、本実験結果からも、本発明の効果は明確であることが実証された。
【0023】
生成水に接する部分の部材は、耐酸性、耐オゾン性に優れる材料で形成することが好ましい。たとえばフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料を用いることが好ましい。
【0024】
なお、本願明細書において「放電生成ガス」とは、空気中で放電させることにより生成されるガスをいい、空気を構成するガスが単に分解したガスのみならず、これら分解したガスが新たに結合して生成されるガスも含むものとする。例えば、単に窒素(N)あるいは酸素(O)などが分解したガスのみならず、窒素と酸素が新たに結合して生成される窒素酸化物ガス、酸素と活性酸素(O)が新たに結合して生成されるオゾンガスも「放電生成ガス」に含まれるものとする。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、放電により生成されたガスを再度放電器に送り込む循環方式の溶解装置において、溶解しきれなかった水分を含んだガスの水分を除去するために、大量の乾燥剤を設けることなく、低コストで小型な放電生成ガス溶解装置を提供することが可能となる。
【0026】
尚、本実施例においては導入管路23の途上にエアポンプ60を設けていたが、エアポンプ60の位置はこれに限定されるものではなく同様の効果を果たすことができれば良い。例えば循環管路22の途上に設けても良い。
【0027】
図11は本実施形態に係る放電器10の一例の正面模式図であり、図12は側面模式図、図13はB−B線の断面模式図、図14はA−A線の断面模式図である。
【0028】
図11及び図12、図13、図14に表したように、放電器10としては、Packed Bed方式の放電リアクタを用いることができる。この放電リアクタは、例えば、2枚の貫通穴を数個空けた板状の放電電極15を、任意の間隔を隔てて対向して設置し、球状の誘電体ペレット17を充填する。
対向する放電電極15間に、数ヘルツ〜数百キロヘルツ、数キロボルト〜数十キロボルトの交流電圧を印加すると、誘電体ペレット17の空隙において放電が発生する。そこに、空気を通気させると、空気が窒素原子や酸素原子などに一旦分解された後、再結合により例えば、NO(一酸化窒素)やNO(二酸化窒素)などの窒素酸化物ガスや、O(オゾン)などの放電生成ガスが生成される。
【0029】
ここで、誘電体ペレットの材料としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)等の強誘電体を用いることができる。
【0030】
放電器10としては、上記構造のPacked Bed方式の放電リアクタに限らず、同心円筒型、沿面放電型、無声放電型など、放電により放電生成ガスを生成できるものであれば、放電器の形態は限定しない。
【0031】
ここで、例えば、二枚の放電電極15の間隔を6ミリメータにし、比誘電率が約10,000、直径が約1ミリメータのチタン酸バリウム製誘電体ペレット17を充填し、周波数1キロヘルツで、放電電極15に、2.0キロボルト程度の電圧を印加し、空気を分解した場合、Oガスリッチの混合ガスが生成される。
一方、2.5キロボルト程度の電圧を印加し、空気を分解した場合、NOxガスリッチな混合ガスが生成される。
これは、Nガスの解離エネルギーとOガスとの解離エネルギーが異なるからであり、放電により与えるエネルギーが高いとNOxガスリッチな混合ガスが得られ、放電により与えるエネルギーが低いとOガスリッチな混合ガスが生成される。
【0032】
図17は、給排気口70に、給排気用開閉弁51を設置したものである。
これにより、給排気口70からの外部への放電生成ガスの流出を、より確実に防止することが可能となる。
【0033】
図18は、放電器10への水の逆流を防止するために、導入管路の途上に逆止弁92を設置したものである。放電器10への水の流入は、放電を阻害し、放電生成ガスの低下を引き起こす。
逆止弁92を設置することにより、放電生成ガスの生成量の低下を防止できる。
【0034】
図19は、放電器10への水の流入を防止するために、貯水タンク30の循環口に脱気膜93を設置したものである。放電器10への水の流入は、放電を阻害し、放電生成ガスの低下を引き起こす。
脱気膜93を設置することにより、放電生成ガスの低下を防止できる。
【0035】
尚、万が一脱気膜を水分が通過してしまったり、結露によって放電器10内に水分が供給された場合においても、貯水タンク30の上方に放電器10が配置されているため、放電器10下部に形成されたガス流出口13から水滴は重力落下して放電器10内に水分が留まりにくくなり放電効率の低下を抑制することができる。
同様に、エアポンプ60内に水分が供給された場合においても、入口または/および出口をエアポンプ60の下部に形成することでエアポンプ60内、特にダイアフラム内に水が留まりにくくなり、ガスの循環効率の低下を抑制することができる。
【0036】
また、本発明を放電器10で生成されるガスが、主に窒素酸化物ガスであって、酸性水を生成する場合に用いた具体例について説明したが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
例えば、放電器で生成されるガスが、主にオゾンガスの場合、オゾン水生成装置やオゾンによる水の殺菌装置としても利用できる。
【0037】
さらに、本発明を放電生成ガス溶解装置を例に、その効果に関して説明したが、本発明に係る
ガス流入口とガス流出口とを有し、少なくとも一対の電極の間に電圧を印加することにより放電を生じさせ放電生成ガスを生成可能な放電器と、
前記放電器で生成された放電生成ガスを前記ガス流出口から排出させるガス移動手段と、
前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた
放電生成ガス生成装置であって、
前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴とする、放電生成ガス発生装置は、放電生成ガス溶解装置としての用途以外に、水分を含む空気の酸化、脱臭、殺菌などに広く利用できる放電生成ガス発生装置である。
【0038】
また、本発明の放電生成ガス溶解装置および放電生成ガス発生装置において、前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させる動作を、必ずしも毎回実施する必要は無く、省電力の面から考慮して、最低限の頻度で実施することが望ましい。
図16に、本発明の効果を実証するために、水道水から酸性水を生成した実験結果に関して説明したように、今回の実験条件で、水道水のpH値を低下させることが目的の場合、実験結果からわかるように、3回に1回の頻度で、エアポンプ60を起動させる前に10分間放電器10を運転させる動作を実施すれば良いことになる。
また、例えば、放電器10のガス流出口13の近傍に、NOガスセンサを設置し、NO濃度をモニターさせ、NO濃度が所定値以下になったことを検知した場合のみ、次回の放電生成水作成動作開始前に、エアポンプ60を起動させる前に所定時間放電器10を運転させる動作をさせるなどの制御を組み込むことも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図2】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図3】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図4】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図5】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図6】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図7】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図8】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図9】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図10】本発明の実施の形態にかかる放電ガス溶解フロー図。
【図11】本発明の実施の形態にかかる放電器の概要図。
【図12】本発明の実施の形態にかかる放電器の概要図。
【図13】本発明の実施の形態にかかる放電器の概要図。
【図14】本発明の実施の形態にかかる放電器の概要図。
【図15】本発明の別の実施の形態にかかるメカニズム説明概要図。
【図16】本発明の別の実施の形態にかかる実験結果。
【図17】本発明の別の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図18】本発明の別の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【図19】本発明の別の実施の形態にかかる放電ガス溶解装置の概要図。
【符号の説明】
【0040】
10 放電器
11 高圧電源
12 高圧投入スイッチ
13 ガス流出口
14 ガス流入口
15 放電電極
17 誘電体ペレット
20 給水管路
21 水の流入用開閉弁
22 循環管路
23 導入管路
30 貯水タンク
31 バブラ
40 生成水排出口
41 生成水排出用開閉弁
42 U字トラップ
51 給排気用開閉弁
60 エアポンプ
70 給排気口
80 制御装置
92 逆止弁
93 脱気膜
L 水の流れ
G ガスの流れ
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流入口とガス流出口とを有し、少なくとも一対の電極の間に電圧を印加することにより放電を生じさせ放電生成ガスを生成可能な放電器と、
前記ガス流出口から排出された放電生成ガスを導入する導入口を有する貯水部と、
前記放電器で生成された放電生成ガスを前記導入口に送るガス移動手段と、
前記導入口から導入された放電生成ガスのうち、前記貯水部に貯水された水に溶解しきれない放電生成ガスを再び前記ガス流入口に導入する循環路と、
前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた
放電生成ガス溶解装置であって、
前記導入口は、前記貯水部に貯水された水に放電生成ガスをバブリングさせるバブラ−手段を有し、前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴とする、
放電生成ガス溶解装置。
【請求項2】
前記放電生成ガスを導入する前記導入口の前段に逆止弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電生成ガス溶解装置。
【請求項3】
前記貯水部の前記循環路の途上に脱気膜を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の放電生成ガス溶解装置。
【請求項4】
ガス流入口とガス流出口とを有し、少なくとも一対の電極の間に電圧を印加することにより放電を生じさせ放電生成ガスを生成可能な放電器と、
前記放電器で生成された放電生成ガスを前記ガス流出口から排出させるガス移動手段と、
前記ガス移動手段と前記放電器とを制御可能な制御部と、を備えた
放電生成ガス生成装置であって、
前記制御装置は、前記ガス移動手段を起動させる前に所定時間、放電器を運転させるようにすることを特徴とする、
放電生成ガス生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−260542(P2007−260542A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87994(P2006−87994)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】