説明

故障診断装置および故障診断方法

【課題】電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現する。
【解決手段】本発明の故障診断部5は、電磁リレー3が動作しているとき、電磁リレー3の復帰時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を非導通とするテスト信号をバイポーラトランジスタ4のベースに出力するテスト信号発生部51と、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧を診断する電圧検出部52と、当該コレクタ電圧に基づいてバイポーラトランジスタ4が不良であるか否かを判定する判定部53とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチによって駆動される電磁リレーに関するものであり、特に、電磁リレーに接続された負荷の状態を変化させずに半導体スイッチの故障を診断する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータなどに流す大きな負荷電流を開閉するリレー装置として、電磁リレー(電磁接触器)が用いられている。図8は、一般的な電磁リレー10の構成を示す図である。電磁リレー10は、コイル11、ばね12、可動鉄心13、固定接点14a、可動接点14bを備えており、コイル11は、半導体スイッチ15を介して電源16に接続されている。固定接点14aおよび可動接点14bからなる接点14は、電磁リレー10が動作することにより閉じるメーク接点である。
【0003】
図8(a)は、電磁リレー10が休止している状態を示しており、半導体スイッチ15がオフ状態となっている。このとき、コイル11には電圧が印加されないので、コイル11には電磁力が発生せず、バネ12によりコイル11と可動鉄心13とが離間し、それに伴い、固定接点14aと可動接点14bとが離間している。すなわち、接点14は開いた状態となる。
【0004】
図8(b)は、電磁リレー10が動作している状態を示しており、半導体スイッチ15がオン状態となっている。このとき、コイル11には電源16により電圧が印加され、コイル11に電磁力が発生する。これにより、可動鉄心13がコイル11に引き付けられ、それに伴い、固定接点14aと可動接点14bとが接触した状態、すなわち、接点14が閉じた状態となっている。
【0005】
このように、電磁リレー10では、半導体スイッチ15のオン/オフにより接点14の開閉を行っているため、半導体スイッチ15が故障している場合、接点14の開閉制御を行うことができなくなる。したがって、電磁リレー10の安全性を確保するためには、接点14の故障だけでなく、半導体スイッチ15の故障を診断・検出することが重要となる。
【0006】
ここで、半導体スイッチ15の故障を診断するために、電磁リレー10に接続された負荷側の冗長接点の動作をモニタすると、負荷の故障であるか半導体スイッチ15の故障であるかの判別ができない。そのため、半導体スイッチ15の動作状態を変化させて、正常に導通/非導通となっているかを確認する必要がある。
【0007】
電磁リレーを制御する半導体スイッチの故障を診断する技術を開示する文献として、特許文献1および2が挙げられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1では、半導体スイッチの機能を点検する際に、リレー装置を作動させなければならないので、リレー装置に接続された負荷の状態変化が許容されないシステムには適用できない。
【0009】
一方、特許文献2に開示の構成では、電磁リレーを制御する半導体スイッチが電圧駆動型半導体素子である場合、通常動作では流れない半導体素子のゲート電流の有無を検出することにより、半導体素子の故障を診断している。この構成では、半導体素子の動作状態を変化させないので、電磁リレーが負荷に接続されている状態においても、負荷の状態を変化させることなく、半導体素子の故障を診断することができる。
【特許文献1】特開平3−265401号公報(1991年11月26日公開)
【特許文献2】特開2003−219631号公報(2003年7月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の構成では、半導体スイッチが導通している状態でなければ、半導体素子の故障を診断することができないという問題がある。また、特許文献1の構成では、電磁リレーを制御する半導体スイッチが、MOSトランジスタとバイポーラトランジスタとを組み合わせたIGB等の電圧駆動型半導体素子に限られるため、電流駆動型の半導体素子には適用できない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置および故障診断方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、電磁リレーが動作しているとき、すなわち、トランジスタが導通状態でコイルに電圧が印加されているとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの復帰時間より短い期間トランジスタを非導通とする制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが非導通となるので、判定手段は、上記期間にトランジスタが非導通となったか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが非導通となることにより、コイルは電圧が印加されていない状態となるが、コイルに電圧が印加されていない期間は電磁リレーの復帰時間より短いので、電磁リレーが休止状態となることはなく、動作状態が継続する。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、上記トランジスタが非導通で上記電磁リレーが休止しているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、電磁リレーが休止しているとき、すなわち、トランジスタが非導通状態でコイルに電圧が印加されていないとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの動作時間より短い期間トランジスタを導通させる制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが導通するので、判定手段は、上記期間にトランジスタが導通したか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが導通することにより、コイルに電圧が印加されるが、コイルに電圧が印加される期間は電磁リレーの動作時間より短いので、電磁リレーが動作状態となることはなく、休止状態が継続する。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る故障診断装置では、上記判定手段は、上記トランジスタの被制御電極の少なくともいずれかの電位に基づいて、上記トランジスタが上記制御信号に応じて動作したか否かを検出してもよい。
【0017】
本発明に係る故障診断方法は、上記課題を解決するためにコイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断方法であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力するトランジスタ制御ステップと、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定ステップとを有することを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、電磁リレーが動作しているとき、すなわち、トランジスタが導通状態でコイルに電圧が印加されているとき、トランジスタ制御ステップにおいて、電磁リレーの復帰時間より短い期間トランジスタを非導通とする制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが非導通となるので、判定ステップにおいて、上記期間にトランジスタが非導通となったか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが非導通となることにより、コイルは電圧が印加されていない状態となるが、コイルに電圧が印加されていない期間は電磁リレーの復帰時間より短いので、電磁リレーが休止状態となることはなく、動作状態が継続する。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断方法を実現できるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る故障診断方法は、コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断方法であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、上記トランジスタが非導通で上記電磁リレーが休止しているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力するトランジスタ制御ステップと、上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定ステップとを有することを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、電磁リレーが休止しているとき、すなわち、トランジスタが非導通状態でコイルに電圧が印加されていないとき、トランジスタ制御ステップにおいて、電磁リレーの動作時間より短い期間トランジスタを導通させる制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが導通するので、判定ステップにおいて、上記期間にトランジスタが導通したか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが導通することにより、コイルに電圧が印加されるが、コイルに電圧が印加される期間は電磁リレーの動作時間より短いので、電磁リレーが動作状態となることはなく、休止状態が継続する。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断方法を実現できるという効果を奏する。
【0021】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力によりメーク接点を開閉する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記メーク接点が閉じているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、メーク接点が閉じているとき、すなわち、トランジスタが導通状態でコイルに電圧が印加されているとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの復帰時間より短い期間トランジスタを非導通とする制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが非導通となるので、判定手段は、上記期間にトランジスタが非導通となったか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが非導通となることにより、コイルは電圧が印加されていない状態となるが、コイルに電圧が印加されていない期間は電磁リレーの復帰時間より短いので、メーク接点が開くことはない。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0023】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力によりメーク接点を開閉する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、上記メーク接点が開いているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、メーク接点が開いているとき、すなわち、トランジスタが非導通状態でコイルに電圧が印加されていないとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの動作時間より短い期間トランジスタを導通させる制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが導通するので、判定手段は、上記期間にトランジスタが導通したか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが導通することにより、コイルに電圧が印加されるが、コイルに電圧が印加される期間は電磁リレーの動作時間より短いので、メーク接点が閉じることはない。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0025】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力によりブレーク接点を開閉する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、上記ブレーク接点が閉じているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、ブレーク接点が閉じているとき、すなわち、トランジスタが非導通状態でコイルに電圧が印加されていないとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの動作時間より短い期間トランジスタを導通させる制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが導通するので、判定手段は、上記期間にトランジスタが導通したか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが導通することにより、コイルに電圧が印加されるが、コイルに電圧が印加される期間は電磁リレーの動作時間より短いので、ブレーク接点が開くことはない。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0027】
本発明に係る故障診断装置は、上記課題を解決するために、コイルの電磁力によりブレーク接点を開閉する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記ブレーク接点が開いているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、ブレーク接点が開いているとき、すなわち、トランジスタが導通状態でコイルに電圧が印加されているとき、トランジスタ制御手段によって、電磁リレーの復帰時間より短い期間トランジスタを非導通とする制御信号がトランジスタの制御電極に出力される。このとき、トランジスタが正常であれば、トランジスタが非導通となるので、判定手段は、上記期間にトランジスタが非導通となったか否かに基づいてトランジスタが不良であるか否かを判定することができる。ここで、トランジスタが非導通となることにより、コイルは電圧が印加されていない状態となるが、コイルに電圧が印加されていない期間は電磁リレーの復帰時間より短いので、ブレーク接点が閉じることはない。したがって、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る故障診断装置は、以上のように、コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有するので、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断装置を実現できるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明に係る故障診断方法は、以上のように、コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断方法であって、前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力するトランジスタ制御ステップと、上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定ステップとを有するので、電磁リレーに接続された負荷への電力供給状態を変化させることなく、電磁リレーを駆動するトランジスタの故障を診断可能な故障診断方法を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すると以下の通りである。
【0032】
図2は、本実施形態に係る制御システム1の構成を示すブロック図である。制御システム1は、プログラマブル表示器2、電磁リレー3、リレー制御部4、故障診断部5およびデバイス6を備えている。
【0033】
プログラマブル表示器2は、ユーザが制御システム1を制御/監視するための携帯型のHMI(Human Machine Interface)であり、アンテナ21を有している。また、プログラマブル表示器2は、図示しない表示画面、タッチパネルおよび非常停止ボタンを備えており、ユーザの操作に応じた指示信号をアンテナ21から発信する。
【0034】
デバイス6は、例えば製造ラインに配置される電磁弁やアクチュエータである。デバイス6に電力を供給するデバイス用電源V1は、電磁リレー3を介してデバイス6に接続されている。電磁リレー3は、コイルの電磁力により接点を開閉する構成であり、電磁リレー3の接点が閉じているとき、デバイス用電源V1からデバイス6に電力が供給され、接点が開いているとき、デバイス用電源V1からデバイス6への電力供給が遮断される。
【0035】
また、電磁リレー3を駆動するリレー用電源V2が、リレー制御部4を介して電磁リレー3に接続されている。リレー制御部4は、例えば各種トランジスタのようなスイッチング素子であれば良く、本実施形態では、バイポーラトランジスタを用いている。リレー制御部4およびリレー用電源V2は、図8に示す半導体スイッチ15および電源16に相当する。リレー制御部4には、プログラマブル表示器2のアンテナ21からの信号を受信するためのアンテナ41が接続されている。
【0036】
通常時では、電磁リレー3の接点は閉じており、デバイス6に電力が供給される状態となっている。ここで、デバイス6を緊急停止させる場合、ユーザはプログラマブル表示器2の緊急停止ボタンを押下することにより、アンテナ21から停止信号を発信させる。リレー制御部4は、アンテナ41により停止信号を受信し、リレー制御部4が非導通状態となる。これにより、電磁リレー3の接点が開き、デバイス6への電力供給が遮断される。
【0037】
さらに、制御システム1では、リレー制御部4に、リレー制御部4の故障を診断するための故障診断部5が接続されている。続いて、故障診断部5によるリレー制御部4の故障診断について、図1に基づいて具体的に説明する。
【0038】
図1は、図2に示す電磁リレー3、リレー制御部4および故障診断部5の具体的な構成を示す図である。なお、本実施形態では、リレー制御部4はバイポーラトランジスタであるので、以下の説明ではリレー制御部4をバイポーラトランジスタ4と称する。また、図1では、図2に示すアンテナ41を省略している。
【0039】
電磁リレー3は、コイル31、接点32およびダイオード33を備えている。電磁リレー3の全体構成は、図8に示す電磁リレー10と略同様である。すなわち、コイル31の構成は、図8に示すコイル11の構成と略同様であり、接点32の構成は、図8に示す固定接点14aおよび可動接点14bと略同様である。
【0040】
接点32は、電磁リレー3の動作時に閉状態となるメーク接点である。具体的には、コイル31に電圧が印加された状態では接点32が閉じており、コイル31の電圧が印加されていない状態では接点32が開いている。
【0041】
コイル31はバイポーラトランジスタ4のコレクタと接続されており、バイポーラトランジスタ4のエミッタは接地されている。これにより、バイポーラトランジスタ4が導通しているとき、コイル31にリレー用電源V2からの電圧が印加され、バイポーラトランジスタ4が非導通であるとき、コイル31には電圧が印加されない。このように、バイポーラトランジスタ4は、コイル31に印加する電圧を制御している。
【0042】
故障診断部5は、テスト信号発生部51、電圧検出部52および判定部53を備えている。テスト信号発生部51は、バイポーラトランジスタ4のベースに接続されており、バイポーラトランジスタ4の故障診断のためのテスト信号(制御信号)を当該ベースに出力する。テスト信号に関する具体的な説明は後述する。
【0043】
電圧検出部52は、バイポーラトランジスタ4のコレクタに接続されており、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧を検出する。判定部53は、上記テスト信号とバイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧とに基づいて、バイポーラトランジスタ4が不良であるか否かを判定する。
【0044】
テスト信号発生部51の発生するテスト信号は、電磁リレー3の復帰時間よりも短い期間バイポーラトランジスタ4を非導通とする信号である。先に、復帰時間について説明する。
【0045】
図3は、接点32が閉状態(ON)から開状態(OFF)になる場合を示しており、(a)〜(d)はそれぞれ、バイポーラトランジスタ4のベース電流、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧、コイル31の電流、および接点32の開閉状態を示す図である。
【0046】
まず、バイポーラトランジスタ4のベース電流がIのとき、バイポーラトランジスタ4は導通状態であるので、コイル31に印加される電圧は、リレー用電源V2と同電位であるVONとなる。バイポーラトランジスタ4の抵抗がコイル31の抵抗に比べて非常に小さいため、このとき、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧は、0Vとなる。
【0047】
続いて、時点Tにおいてバイポーラトランジスタ4のベース電流がIから0になったとき、バイポーラトランジスタ4は非導通状態となる。このとき、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧は、リレー用電源V2と同電位であるVONとなり、コイル31に印加される電圧は0となる。印加電圧が0になると、コイル31に流れていた電流は、コイル31およびダイオード33からなるループを循環するようになるが、電流の変化を打ち消す方向に働く誘導起電力がコイル31に発生するため、図3(c)に示すように、コイル31の電流は、即座にIから0になるバイポーラトランジスタ4のベース電流とは異なり、徐々に減少する。これにより、コイル31の電磁力も徐々に減少するため、接点32はTの時点から一定時間、閉状態を継続する。
【0048】
その後、時点Tにおいてコイル31の電流がリレー遮断電流IOFFまで減少すると、図3(d)に示すように、接点32は開状態(OFF)となる。リレー遮断電流IOFFは、例えば定常電流Iの約10%である。このように、接点32は、バイポーラトランジスタ4が非導通状態となっても、すぐには開状態とはならない。バイポーラトランジスタ4が非導通状態となることにより、コイル31は電圧が印加されていない状態となる。コイル31に電圧が印加されていない状態となってから接点32が開状態となるまでの時間TOFF(TOFF=T−T)を、復帰時間(リレー開放遅延時間)という。この復帰時間は、電磁リレー3の機種によって異なるが、概ね4〜40msである。
【0049】
ついで、トランジスタの故障診断装置の動作について説明する。
【0050】
図4(a)〜(d)はそれぞれ、バイポーラトランジスタ4の故障診断テスト時における、バイポーラトランジスタ4のベース電流、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧、コイル31の電流、および接点32の開閉状態を示す図である。
【0051】
図4(a)に示すバイポーラトランジスタ4のベース電流は、テスト信号発生部51から出力され、所定時間ごとに期間tだけ0となる波形を有している。これに伴い、バイポーラトランジスタ4が正常であれば、バイポーラトランジスタ4は非導通状態となり、期間tだけコイル31に印加される電圧が0となる。本実施形態では、期間tを1msとしている。
【0052】
したがって、バイポーラトランジスタ4が正常であれば、バイポーラトランジスタ4のベース電流が0のとき、図4(b)に示すように、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧の波形は、VONとなる。バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧は、図1に示す電圧検出部52によって検出され、検出結果が判定部53に入力される。
【0053】
また、判定部53には、テスト信号発生部51の出力波形も入力される。判定部53は、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧の波形とテスト信号の波形とを比較することにより、期間tにバイポーラトランジスタ4が非導通となったか否かを検知する。これにより、バイポーラトランジスタ4が不良であるか否かを判定することができる。
【0054】
ここで、上記のように、期間tは、電磁リレー3の復帰時間TOFFより短い1msに設定されている。したがって、バイポーラトランジスタ4が非導通状態となっても、図4(c)に示すように、コイル31の電流はリレー遮断電流IOFFまで低下することはない。よって、接点32は閉状態(ON)のまま推移し、電磁リレー3に接続されるデバイス6の状態は変化しない。たとえば、稼動状態であるデバイス6は、稼動状態が保たれたままとなり、その状態は変化しない。すなわち、負荷への電力供給状態は変化しない。
【0055】
なお、上記の期間tは、バイポーラトランジスタ4が動作可能な時間の範囲内で設定される。一般に、半導体スイッチの動作速度は、電磁リレーの動作速度よりも速いので、バイポーラトランジスタ4の動作可能な時間は、電磁リレー3の復帰時間よりも短い。したがって、電磁リレー3の復帰時間より短い期間だけバイポーラトランジスタ4を非導通とすることは容易である。
【0056】
また、本実施形態では、テスト信号によりバイポーラトランジスタ4を非導通とする周期を、例えば100msに設定している。この周期は、電磁リレー3に要求される安全規格に応じて適宜設定される。
【0057】
このように、本実施形態では、バイポーラトランジスタ4の故障診断テスト時に、電磁リレー3の復帰時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を非導通状態にするので、接点32は閉じたままである。したがって、デバイス6の状態を変化させることなく、バイポーラトランジスタ4を動作させてバイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、ベース電流がIから0に変化すると、コレクタ電圧が0からVONになるか否かで判定しているが、ベース電流を段階的に、すなわちIから0まで例えば10段階で変化させるようにして、コレクタ電圧がどのように変化するかを測定するようにすれば、バイポーラトランジスタ4の経年変化や劣化も診断することができる。例えば、コレクタ電圧をVONとするために新規使用開始時に比べて所定以上に高いベース電流を必要とすることが観察された場合、バイポーラトランジスタ4が劣化していると判定する。この場合は、ベース電流をIから0へ変化させるのに要する時間を、復帰時間より短くする必要があるのは当然である。これにより、バイポーラトランジスタ4の劣化の有無を診断できるので、バイポーラトランジスタ4の故障による電磁リレー3の誤動作を未然に防ぐことができる。なお、バイポーラトランジスタ4の代わりにMOSトランジスタを用いる場合も、ゲート電圧を段階的に変化させることにより、MOSトランジスタの劣化具合を診断してもよい。
【0059】
なお、劣化のため、まれに所定以上に低いベース電流によりコレクタ電圧がVONとなることもあるが、いずれの場合であっても所定のベース電流と異なるベース電流によりコレクタ電圧がVONとなるので、劣化を診断することができる。
【0060】
以上では、電磁リレー3の接点32を閉じた状態で、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断する構成について説明した。続いて、電磁リレー3の接点32を開いた状態で、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断する構成について説明する。この場合、図1に示すテスト信号発生部51は、電磁リレー3の動作時間よりも短い期間バイポーラトランジスタ4を導通させるテスト信号を出力する。先に、動作時間について説明する。
【0061】
図5は、図1に示す接点32が開状態(OFF)から閉状態(ON)になる場合を示しており、(a)〜(d)はそれぞれ、バイポーラトランジスタ4のベース電流、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧、コイル31の電流、および接点32の開閉状態を示す図である。
【0062】
まず、バイポーラトランジスタ4のベース電流が0のとき、バイポーラトランジスタ4は非導通状態であるので、コイル31に印加される電圧は、0である。このとき、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧は、リレー用電源V2と同電位であるVONとなる。
【0063】
続いて、時点Tにおいてバイポーラトランジスタ4のベース電流が0からIになったとき、バイポーラトランジスタ4は導通状態となる。このとき、バイポーラトランジスタ4のコレクタの電位は、即座に0となる。したがって、コイル31に印加される電圧はVONとなるが、電流の変化を打ち消す方向に働く誘導起電力が発生するため、図5(c)に示すように、コイル31の電流は、即座に0からIになるバイポーラトランジスタ4のベース電流とは異なり、徐々に増加する。これにより、コイル31の電磁力も徐々に増加するため、接点32はTの時点から一定時間、開状態を継続する。
【0064】
その後、時点Tにおいてコイル31の電流がリレー駆動電流IONまで増加すると、図5(d)に示すように、接点32は閉状態(ON)となる。リレー駆動電流IONは、例えば定常電流Iの約75%である。このように、接点32は、バイポーラトランジスタ4が導通状態となっても、すぐには閉状態とはならない。バイポーラトランジスタ4が導通状態となることにより、コイル31は印加された状態となる。コイル31に電圧を印加してから接点32が閉状態となるまでの時間TON(TON=T−T)を、動作時間(リレー閉遅延時間)という。この動作時間は、電磁リレー3の機種によって異なるが、概ね8〜50msである。
【0065】
図6(a)〜(d)はそれぞれ、バイポーラトランジスタ4の故障診断テスト時における、バイポーラトランジスタ4のベース電流、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧、コイル31の電流、および接点32の開閉状態を示す図である。
【0066】
図6(a)に示すバイポーラトランジスタ4のベース電流は、テスト信号発生部51から出力され、所定時間ごとに期間tだけIとなる波形を有している。これに伴い、バイポーラトランジスタ4が正常であれば、バイポーラトランジスタ4は導通状態となり、期間tだけコイル31に印加される電圧がVONとなる。本実施形態では、期間tを1msとしている。
【0067】
したがって、バイポーラトランジスタ4が正常であれば、バイポーラトランジスタ4のベース電流がIのとき、図6(b)に示すように、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧の値は、0となる。バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧は、図1に示す電圧検出部52によって検出され、検出結果が判定部53に入力され、判定部53は、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧の波形とテスト信号の波形とを比較することにより、期間tにバイポーラトランジスタ4が導通したか否かを検知する。これにより、バイポーラトランジスタ4が不良であるか否かを診断することができる。
【0068】
ここで、上記のように、期間tは、電磁リレー3の動作時間TONより短い1msに設定されている。したがって、バイポーラトランジスタ4が導通状態となっても、図6(c)に示すように、コイル31の電流はリレー駆動電流IONまで上昇することはない。よって、接点32は開状態(OFF)のまま推移し、電磁リレー3に接続されるデバイス6の状態は変化しない。
【0069】
なお、上記の期間tも、期間tと同様、バイポーラトランジスタ4が動作可能な時間の範囲内で設定される。一般に、半導体スイッチの動作速度は、電磁リレーの動作速度よりも速いので、バイポーラトランジスタ4の動作可能な時間、すなわち、半導体スイッチのターンオン時間とターンオフ時間との合計は、電磁リレー3の動作時間よりも短い。したがって、電磁リレー3の動作時間より短い期間だけバイポーラトランジスタ4を導通させることは容易である。
【0070】
このように、本実施形態では、バイポーラトランジスタ4の故障診断テスト時に、電磁リレー3の動作時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を導通状態にするので、接点32は開いたままである。したがって、デバイス6の状態を変化させることなく、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断することができる。
【0071】
本実施形態では、電圧検出部52は、バイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧を検出する構成であったが、これに限定されず、図7に示すように、例えば、電圧検出部52が、バイポーラトランジスタ4のエミッタ電圧を検出する構成としてもよい。この場合、バイポーラトランジスタ4が導通状態の場合と非導通状態の場合とで、エミッタ電圧が異なるようにするため、バイポーラトランジスタ4のエミッタと接地との間に抵抗7を設ける必要がある。
【0072】
また、本実施形態では、判定部53は、電圧検出部52によって検出されたバイポーラトランジスタ4のコレクタ電圧またはエミッタ電圧に基づいて、バイポーラトランジスタ4がテスト信号に従って導通/非導通となったか否かを検知していたが、バイポーラトランジスタ4がテスト信号に従って導通/非導通となったか否かを検知する方法は、これに限定されない。例えば、判定部53は、バイポーラトランジスタ4のコレクタまたはエミッタに流れる電流を検知することにより、バイポーラトランジスタ4がテスト信号に従って導通/非導通となったか否かを検知してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、接点32は、電磁リレー3の動作時に閉状態となるメーク接点である場合について説明したが、これに限定されず、接点32は、電磁リレー3の動作時に開状態となるブレーク接点であってもよい。この場合は、バイポーラトランジスタ4の故障診断テスト時に、バイポーラトランジスタ4を次のように制御する。
【0074】
すなわち、接点32が閉じている場合、電磁リレー3の動作時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を導通状態にする。これにより、接点32は閉状態のまま維持されるので、デバイス6の状態を変化させることなく、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断することができる。一方、接点32が開いている場合、電磁リレー3の復帰時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を非導通状態にする。これにより、接点32は開状態のまま維持されるので、デバイス6の状態を変化させることなく、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断することができる。
【0075】
さらに、接点32が切換接点であってもよい。この場合、バイポーラトランジスタ4が導通して電磁リレー3が動作状態にあるとき、電磁リレー3の復帰時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を非導通状態にする。また、バイポーラトランジスタ4が非導通で電磁リレー3が休止状態にあるとき、電磁リレー3の動作時間より短い期間バイポーラトランジスタ4を導通状態にする。これにより、故障診断テストを行う間、接点32の状態が変わらないので、デバイス6の状態を変化させることなく、バイポーラトランジスタ4の故障の有無を診断することができる。
【0076】
また、本実施形態では、バイポーラトランジスタ4がNPN型バイポーラトランジスタであったが、バイポーラトランジスタ4としてPNP型バイポーラトランジスタを用いてもよい。また、電磁リレー3のコイル31を駆動する半導体スイッチとして、MOSトランジスタを用いてもよい。
【0077】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、半導体スイッチによって駆動される電磁リレーを備える制御システムに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る制御システムの電磁リレー、リレー制御部および故障診断部の具体的な構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す接点が閉状態から開状態になる場合を示しており、(a)〜(d)はそれぞれ、本発明の実施形態に係る制御システムのバイポーラトランジスタのベース電流、バイポーラトランジスタのコレクタ電圧、コイルの電流、および接点の開閉状態を示す図である。
【図4】(a)〜(d)はぞれぞれ、バイポーラトランジスタの故障診断テスト時における、バイポーラトランジスタのベース電流、バイポーラトランジスタのコレクタ電圧、コイルの電流、および接点の開閉状態を示す図である。
【図5】図1に示す接点が開状態から閉状態になる場合を示しており、(a)〜(d)はそれぞれ、バイポーラトランジスタのベース電流、バイポーラトランジスタのコレクタ電圧、コイルの電流、および接点の開閉状態を示す図である。
【図6】(a)〜(d)はぞれぞれ、バイポーラトランジスタの故障診断テスト時における、バイポーラトランジスタのベース電流、バイポーラトランジスタのコレクタ電圧、コイルの電流、および接点の開閉状態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例に係るリレー制御部の構成を示す回路図である。
【図8】一般的な電磁リレーの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
3 電磁リレー
4 バイポーラトランジスタ(トランジスタ)
5 故障診断部(故障診断装置)
31 コイル
32 接点
51 テスト信号発生部(トランジスタ制御手段)
52 電圧検出部(判定手段)
53 判定部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、
前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、
上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、
上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする故障診断装置。
【請求項2】
コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断装置であって、
前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、
上記トランジスタが非導通で上記電磁リレーが休止しているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力しうるトランジスタ制御手段と、
上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする故障診断装置。
【請求項3】
上記判定手段は、上記トランジスタの被制御電極の少なくともいずれかの電位に基づいて、上記トランジスタが上記制御信号に応じて動作したか否かを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の故障診断装置。
【請求項4】
コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断方法であって、
前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの復帰時間より短く、
上記トランジスタが導通して上記電磁リレーが動作しているとき、上記電磁リレーの復帰時間より短い期間上記トランジスタを非導通とする制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力するトランジスタ制御ステップと、
上記期間に上記トランジスタが非導通となったか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定ステップとを有することを特徴とする故障診断方法。
【請求項5】
コイルの電磁力により接点の状態を制御する電磁リレーの当該コイルに印加する電圧を制御するトランジスタの故障を診断する故障診断方法であって、
前記トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との合計が、上記電磁リレーの動作時間より短く、
上記トランジスタが非導通で上記電磁リレーが休止しているとき、上記電磁リレーの動作時間より短い期間上記トランジスタを導通させる制御信号を上記トランジスタの制御電極へ出力するトランジスタ制御ステップと、
上記期間に上記トランジスタが導通したか否かに基づいて上記トランジスタが不良であるか否かを判定する判定ステップとを有することを特徴とする故障診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−146841(P2010−146841A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322421(P2008−322421)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)