説明

救助用装具

【課題】防護服の着用者を容易に搬送するための救命用装具。
【解決手段】防護服の上から着用する救命用装具であって、該装具は2本の胴回りバンド1と、これらのバンドにほぼ直交して防護服の正面から背面にかけて肩に架かる2本の肩掛け用バンド2より成り、前記2本の胴回りバンドの間に胴部を覆う前面生地と背面生地を設け、且つ肩掛け用バンドに取っ手4を設けたことを特徴とする救命用装具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防護服と共に着用する救助用装具であって、防護服の着用者が事故や疾病等により自力で歩行できなくなった際に、安全且つ容易に搬送できる救命用装具に関する。
【背景技術】
【0002】
酸、アルカリ、有機薬品、その他の気体及び液体又は粒子状有害化学物質を取り扱う作業に従事する場合、作業者は化学物質の透過及び/又は浸透を防止する目的で全身を防護するための防護服を着用するが、この防護服を着用する際には作業者は顔面に呼吸用保護具を付け、背中にボンベを背負う等の装備を行ってから着用するので、防護服着用者は可成りの負担を担っていることになる。そして、この防護服着用者が事故や疾病等で倒れた場合、安全な場所まで移動させた後、防護服やその他の装備品を外し、治療に当たる必要があるが、防護服を着用している環境は汚染された環境がほとんどであるため救助者も又防護服を着用している場合が多いので、救助者自身の身動きも自由にならない場合がある。また、防護服は耐薬品性を考慮した形状・材質であるため凹凸が少ない形状で、且つ、表面が滑らかであるものが殆どである。このような状況のため、要救助者を安全な場所に搬送することは困難であり、更に必要な小物を携帯する際、防護服にはポケットなどの部位がないため、手で持ち運ばざるを得なくなるため両手がふさがり、益々活動に支障をきたすことが多い。
しかし、従来はこのような場合についても特別の考慮を払うことはなかったので防護服着用者の救助が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明者らは防護服を着用した要救助者を安全な場所に容易に搬送するために種々検討した結果、本発明を完成したもので、本発明は自力で歩行できなくなった防護服を着用した要救助者を安全且つ容易に搬送できる救命用装具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要旨は、防護服の上から着用する救命用装具であって、該装具は2本の胴回りバンドと、これらのバンドにほぼ直交して防護服の正面から背面にかけて肩に架かる2本の肩掛け用バンドより成り、前記胴回り2本の胴回りバンドの間に胴部を覆う前面生地と背面生地を設け、且つ肩掛け用バンドに取っ手を設けたことを特徴とする救命用装具である。そして前面生地にはポケットを設けても良く、2本の肩掛け用バンドの間には補助バンドを設けてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る救命用装具は肩掛け用バンドに取っ手を設けたことによって防護服を着用した要救助者をこの取っ手を利用して安全且つ容易に搬送でき、更に補助バンドを設けることによって救命用装具を防護服の上からピッタリと装着することが出来る等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明にかかる救命用装具の正面図
【図2】本発明にかかる救命用装具の背面図
【図3】本発明にかかる救命用装具の取っ手の取り付けを示した側面図
【図4】他の本発明にかかる救命用装具の取っ手の取り付けを示した側面図
【図5】本発明にかかる救命用装具を着用した説明図
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で使用する胴回りバンド及び肩掛け用バンドは幅約40〜50mm程度のポリプロピレン等の強固な材質で構成されたものであって、胴回りバンドは前面部分と背面部分とに分け、それぞれの端部にバックルを取り付け、これで連結すると、装着が容易となるので好ましい。そして2本の胴回りバンドの間隔は約20〜40cm程度であって、この間に生地を張り防護服の上から胴部分をおさえ、更に、前面の生地にはポケットを設けたり、或いはD環を取り付けることによって必要な小物を、手を使うことなく携帯することが可能となる。そして、肩掛け用バンドには取っ手を取り付ける。取っ手の取り付け方としては、特に規定はないが、通常肩掛け用バンドに縫いつけたり或いは肩掛け用バンドを取っ手とし、その裏当てとしてバンドを縫いつけてもよい。
【実施例】
【0008】
次に実施例として本発明にかかる救命用装具の図をもって具体的に説明する。
図1は本発明にかかる救命用装具の正面図であり、図2はその背面図である。図1及び図2において2本の胴回りバンド1,1´の間に生地6を張り、また、バンド1,1´の防護服の側面個所に相当する部位で2つに分けそれぞれの端部にバックル3、3´を取り付け、着用に際しては該バックルを結合して胴部分を廻らす。2本の肩掛け用バンド2,2´は胴回りのバンド1,1´にほぼ直交して取り付けられており、それぞれの肩掛け用バンド2,2´には取っ手4を取り付ける。取っ手4の取り付け方法を図3及び図4に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図3は肩掛けバンド2に取っ手4を縫いつけた場合であり、図4は肩掛けバンド2を取っ手4となるように肩掛けバンドの裏面に裏当てバンド5を取り付けた場合である。なお、必要に応じて肩掛け用バンドの間に補助バンド7を設けて肩掛け用バンドを防護服の上よりしっかりと固定してもよい。更に、本発明にかかる救命用装具の前面にポケット8を設けたり、或いは、D環9を設けることによって着用者の小物を携帯することが出来るので好ましい。
救命用装具の着用は、防護服を着用後、肩掛けバンドを両肩の上に載せ、胴回りバンドの端部を結合することによって容易に着用することが出来る。着用した状態を図5に示す。
この防護服の着用者が要救助者となった場合は、防護服の上に着用している救命用具の取っ手を救助者が把持して移動させることによって、容易に要救助者を搬送することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0009】
以上述べたように、本発明にかかる救命用具は極めて簡単な構造で、これを着用した者が要救助者となった場合、肩掛けバンドに取り付けた取っ手をもって移動させることによって容易に搬送することが出来るので極めて有用である。
【符号の説明】
【0010】
1,1´ 胴回りのバンド 2,2´ 肩掛け用バンド
3、3´ バックル 4 取っ手 5 裏当て 6 生地
7 補助バンド 8 ポケット 9 D環

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護服の上から着用する救命用装具であって、該装具は2本の胴回りバンドと、これらのバンドにほぼ直交して防護服の正面から背面にかけて肩に架かる2本の肩掛け用バンドより成り、前記2本の胴回りバンドの間に胴部を覆う前面生地と背面生地を設け、且つ肩掛け用バンドに取っ手を設けたことを特徴とする救命用装具。
【請求項2】
前面生地にポケット及び/又はD環を設けた請求項1記載の救命用装具。
【請求項3】
2本の肩掛け用バンドの間に補助バンドを設けた請求項1または請求項2のいずれかの項に記載の救命用装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−188053(P2010−188053A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37867(P2009−37867)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000145507)株式会社重松製作所 (17)
【Fターム(参考)】