説明

散気管、散気ユニット及び浸漬膜ユニット

【課題】メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することのできる散気管、散気ユニット及び浸漬膜ユニットを提供する
【解決手段】伸縮可能な本体管101を備えているため、散気のための気体が流れている主管たる下側枠状部材22に対して、本体管101を伸ばすことによる突張り力で固定することができる。メンテナンスの際は、本体管101を縮めて突張り力を解除するだけの作業で散気管100を容易に取り外すことができる。洗浄後の組み付けの際は、本体管101を伸ばすだけの作業で再び組み付けることができる。メンテナンス時には洗浄に必要最低限な部分のみを取り外し、浸漬膜ユニット1における他の部分は動かしていない。従って、本体管101を延ばすだけの作業で、メンテナンス前と同じく充分に位置合わせされた状態を再現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽の液中に浸漬される浸漬型分離膜へ散気する散気管、散気ユニット及び当該散気管を備える浸漬膜ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浸漬膜ユニットとして、処理槽の液中に浸漬される中空糸膜の上側から吸引して処理槽の液を固液分離する中空糸膜モジュールを有するものであって、複数の中空糸膜の下端部を固定すると共に当該固定位置を回避する位置に開口部が設けられた結束部と、ユニットのフレームの下部に固定されて、結束部における円筒状部分をはめ込むことによって当該結束部を支持することができるソケット部材と、ソケット部材の内部空間を通過するようにソケット部材の側面部に挿通されると共に、ソケット部材の内部空間において散気孔から中空糸膜モジュールに対して空気を散気する散気管を備えるものが知られている。この浸漬膜ユニットにおいては、散気管から散気された空気が、ソケット部材の内部空間内で上昇してソケット部材に固定された結束部の開口部を通過することによって、散気される。このように、散気管が中空糸膜モジュールに対して空気を散気することによって、浸漬膜ユニットの中空糸膜モジュール表面に付着した汚泥を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−194680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、空気を散気する散気管が目詰まりなどによって充分な量の散気ができない場合、中空糸膜モジュールに附着した汚泥を充分に除去できなくなるため、散気管のメンテナンス性が求められている。しかしながら、上述の浸漬膜ユニットにおける散気管はメンテナンスのための取り外し作業が大掛かりになってしまい、メンテナンス性の向上が求められていた。更に、メンテナンス後に散気管をセットする際において、中空糸膜モジュールと散気管の散気孔とが位置精度よく配置されていたメンテナンス前の状態に容易に戻せること、すなわち位置合わせの再現性も求められる。具体的には、位置合わせの再現性が低く、空気を散気する散気孔が中空糸膜モジュールの中心位置からずれた位置に配置されている場合、中空糸膜モジュールに供給される空気に偏りが生じる。このような場合、空気の散気量が多くなる中空糸膜モジュールの特定箇所における中空糸膜の汚泥除去の効果が高くなる一方で、空気の散気量が減る部分においては、良好に汚泥が除去されなくなることにより中空糸膜の目詰まりが早まってしまう。この結果、一部の中空糸膜の目詰まりが早まってしまうことによって、中空糸膜モジュール全体を交換する時期が早くなってしまう可能性がある。従って、散気孔を中空糸膜モジュールの中心位置に近づけるべく、中空糸膜モジュールと散気管との間の位置精度を向上させることが求められていた。上述の浸漬膜ユニットでは、中空糸膜モジュールの結束部をソケット部材にはめ込み、ソケット部材に対して散気管を位置あわせする必要があるが、散気管と中空糸膜モジュールとの間の位置精度を一層向上させることが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することのできる散気管、散気ユニット及び浸漬膜ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る散気管は、浸漬膜に対して散気する散気管であって、伸縮可能な本体管と、本体管に形成され、浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、本体管における少なくとも一端側に形成され、散気孔から散気される気体を取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る散気管は、伸縮可能な本体管を備えているため、散気のための気体が流れている主管に対して、本体管を伸ばすことによる突張り力で固定することができる。このとき、気体取込部を主管側に配置しておくことにより、主管を流れる気体を気体取込部から取り込むことができる。また、取り込んだ気体を散気孔から散気することができる。ここで、本発明に係る散気管の本体管は伸縮可能であるため、メンテナンスの際は、本体管を縮めて突張り力を解除するだけの作業で散気管を容易に取り外すことができる。すなわち、浸漬膜ユニットにおける下部構造における、散気管以外の部分を動かすことなく、本体管を縮めるだけの作業により、洗浄において取り外す必要のある散気管のみを簡単に取り外すことができる。これによって、メンテナンス性を大幅に向上させることが可能となる。更に、洗浄後の組み付けの際は、本体管を伸ばすだけの作業で再び組み付けることができる。また、突張り力を受ける主管が強固な構成とされ変形しないものであれば、再び組み付けた後における散気孔の位置は、メンテナンス前における位置と同一となる。一方、メンテナンス時には洗浄に必要最低限な部分のみを取り外し、浸漬膜ユニットにおける他の部分は動かしていない。従って、本体管を延ばすだけの作業で、メンテナンス前と同じく充分に位置合わせされた状態を再現することができる。また、上述の構造をもつ散気管であるため該散気管は空気取り込み口から散気孔までの距離を一定に保つことができる。以上によって、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することができる。
【0008】
また、本発明に係る散気管において、本体管は、分解可能であることが好ましい。分解可能とすることによって、本体管の内部をより洗浄し易くなり、メンテナンス性が一層向上する。
【0009】
また、本発明に係る散気管において、本体管の両端側に気体取込部が形成されていることが好ましい。これによって、本体管の両側から気体を取り込むことが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る散気管において、本体管の伸縮方向に交わる方向に広がると共に、気密性を確保するための気密部材を配置可能な当面を更に備えることが好ましい。本体管の伸縮方向に交わる方向に広がる当面を、主管に押し当てることにより、散気管は当面で主管にしっかりと支持され、位置合わせを確実に行うことができる。この当面には気密部材を配置することができるため、主管に対する位置合わせを行うと同時に、主管と散気管との間の気密性も確保することができる。
【0011】
また、本発明に係る散気ユニットは、浸漬膜に対して散気する散気管と、散気管が散気する気体が流れる主管と、を備える散気ユニットであって、散気管は、伸縮可能な本体管と、本体管に形成され、浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、本体管における少なくとも一端側に形成され、散気孔から散気される気体を主管から取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上述と同様の構成を有する散気管を備えているため、上述と同様の作用・効果を得ることができ、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することができる。
【0013】
また、本発明に係る散気ユニットにおいて、主管は、気体取込部が形成される本体管の一端側が挿入される孔部を有し、本体部と孔部の一方には、位置合わせ用の突出部が形成され、他方には突出部に対応する溝部が形成されていることが好ましい。このような位置合わせ用の突出部と溝部を形成しておくことにより、散気管を主管に組み付けたときに、散気管の中心軸線周りにおける散気孔の位置合わせを行うことができる。
【0014】
本発明に係る浸漬膜ユニットは、浸漬膜と、浸漬膜に対して散気する散気管と、散気管が散気する気体が流れる主管と、を備える浸漬膜ユニットであって、散気管は、伸縮可能な本体管と、本体管に形成され、浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、本体管における少なくとも一端側に形成され、散気孔から散気される気体を主管から取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上述と同様の構成を有する散気管を備えているため、上述と同様の作用・効果を得ることができ、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る浸漬膜ユニットの構成を示す一部断面正面図である。
【図2】図1に示す浸漬膜ユニットの展開斜視図である。
【図3】中空糸膜モジュール及びアンダーサポートの一部の断面図である。
【図4】アンダーサポートの上方の構造を示す斜視図である。
【図5】アンダーサポートの下方の構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る散気管の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る散気管を下方から見た時の分解図である。
【図8】図1に示すVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図1に示すIX−IX線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る浸漬膜ユニット1の構成を示す一部断面正面図である。また、図2は、図1に示す浸漬膜ユニット1の展開斜視図である。浸漬膜ユニット1は、処理槽内の処理水中に浸漬して処理水の汚泥等の懸濁物質を除去する機能を有しており、図1及び図2に示すように、処理水の浄化を行う中空糸膜モジュール3と、中空糸膜モジュール3の下方に設けられて中空糸膜モジュール3を支持するアンダーサポート2と、中空糸膜モジュール3の上方に設けられて中空糸膜モジュール3の濾過水を吸い出すヘッダ管4と、浸漬膜ユニット1の各構成要素を組み付けてユニット化するフレーム5と、中空糸膜モジュール3に散気する散気管100を備えて構成されている。
【0019】
フレーム5は、長方形状をなす中空の上側枠状部材21と、上側枠状部材21の下側に配置されて当該上側枠状部材21と同形状の中空の下側枠状部材(主管)22と、上側枠状部材21及び下側枠状部材22同士を連結する四本の中空の柱部材23,24,26,27から構成されている。長方形枠状の上側枠状部材21及び下側枠状部材22は、各辺が断面矩形状に構成されていると共に、各辺の内部空間が互いに連通されている。上側枠状部材21と下側枠状部材22とは、上方から見て四辺が互いに重なり合うように対向配置されており、柱部材23,24,26,27は、上側枠状部材21の下面21bにおける四隅と下側枠状部材22の上面22aにおける四隅とをそれぞれ連結している。上側枠状部材21の内部空間と下側枠状部材22の内部空間とは、柱部材23,24,26,27の内部空間を介して互いに連通されている。また、上側枠状部材21の一方の短辺における外周面には、当該上側枠状部材21の内部空間に連通されたパイプ状の継手部28が形成されている。この継手部28には図示されない気体供給装置が接続されており、供給された気体は、上側枠状部材21の内部空間、柱部材23,24,26,27の内部空間、及び下側枠状部材22の内部空間全体へ広がる。継手部28は、上側枠状部材21の一方の短辺を貫通すると共に長辺における中央位置まで延び、当該中央位置において垂直に二方へ分岐し、上側枠状部材21の長辺における内周面にそれぞれ接続されている。なお、フレーム5を構成する各部材には、処理水が海水である場合にも対応するべく、接液する金属部材の表面または内外表面には、耐海水、耐アルカリ性、耐酸性のあるFRP(繊維強化プラスチック)等の樹脂コーティングや、塗料による塗装、若しくはスーパーステンレスを用いることが好ましい。
【0020】
フレーム5の上側枠状部材21の上面21aには、一対のヘッダ管4が取り付けられている。このヘッダ管4は、上側枠状部材21の長辺の長さと略同一の長さを有しており、また、ヘッダ管4は二本のパイプを平行に並べた略構造であり、合計の幅が上側枠状部材21の短辺の長さと略同一とされている。ヘッダ管4は、四個のヘッダ管ユニット30A,30B,30C,30Dによって構成されている。ヘッダ管ユニット30A,30B,30C,30Dは、一方のヘッダ管4を構成するパイプ31と、他方のヘッダ管4を構成するパイプ32を平行に並べて互いを固定することによって構成されており、各ユニットのパイプ31同士とパイプ32同士を連結することによって一対のヘッダ管4となる。
【0021】
また、パイプ31及びパイプ32の下面には、下方へ向かって延びる二本の継手34がそれぞれ設けられている。この継手34は、ヘッダ管ユニット30A,30B,30C,30Dを上側枠状部材21の上面21aを固定させたときに、いずれも上側枠状部材21の内周部分を通過して、上側枠状部材21の下面21bよりも下方に突き出すように配置される。ヘッダ管4の一端部に該当するヘッダ管ユニット30Aのパイプ31,32の一端部、及びヘッダ管4の他端部に該当するヘッダ管ユニット30Dのパイプ31,32の他端部には、それぞれ封止用キャップ36が取り付けられている。また、ヘッダ管ユニット30Aには、パイプ31とパイプ32との両方に連通された吸水継手37が上方へ向かって延びるように設けられている。この吸水継手37には、図示されない吸水装置が接続されており、当該吸水装置で吸水を行うことによって、ヘッダ管4は継手34及び中空糸膜モジュール3を介して処理槽内の処理水を吸い上げることができる。
【0022】
フレーム5の下側枠状部材22の内周部分には、長辺方向に並べられた四つのアンダーサポート2が嵌め込まれる。このアンダーサポート2は、矩形箱状の樹脂部材であり、上面には中空糸膜モジュール3の下端部を挿入させて支持するための四つの挿入孔41A,41B,41C,41Dが設けられている。この挿入孔41A,41B,41C,41Dは、四つのアンダーサポート2を下側枠状部材22の内周部分にはめ込んだときに、ヘッダ管4の継手34の下方に配置されるように設けられている。アンダーサポート2は、フレーム5に嵌め込むことができ、処理水量に応じて複数の嵌め込むことができる。アンダーサポート2の詳細な構成については、後述する。また、下側枠状部材22は、散気管100に対して散気するための気体を流通させると共に、散気管100を取り付ける際における位置合わせの基準としての機能も有している。フレーム5の下側枠状部材22及び当該下側枠状部材22に取り付けられた散気管100によって、散気ユニット200が構成される。詳細については後述する。
【0023】
中空糸膜モジュール3は、上端側がヘッダ管4の継手34に接続されることによってヘッダ管4を介して上側枠状部材21に支持され、下端側がアンダーサポート2の挿入孔41A,41B,41C,41Dに挿入されることによって支持される。フレーム5に組み込まれる中空糸膜モジュール3同士の設置間隔は、複数の中空糸膜3aの処理水内での揺れを考慮して当該中空糸膜モジュール3の外径の1.2倍以上且つ2倍以下程度に設定することが好ましい。例えば、中空糸膜モジュール3同士のピッチは180mm以上且つ300mm以下程度が好ましい。中空糸膜モジュール3同士が近すぎる場合、隣接する中空糸膜3a同士がぶつかり合い、中空糸膜3aの擦化が進行する可能性がある。また、中空糸膜3aの揺れの幅が抑制され、汚泥の付着抑制効果が損なわれる可能性もあるため、中空糸膜モジュール3同士の設置間隔は該中空糸膜モジュール3の外径の1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上程度に設定することが好ましい。
【0024】
図3は、中空糸膜モジュール3、アンダーサポート2、及び散気管100の一部の断面図である。図3に示すように、中空糸膜モジュール3は、複数の中空糸膜3aと、複数の中空糸膜3aを下側で結束する結束部7と、結束部7に取り付けられたスカート部8と、複数の中空糸膜3aを上側で結束する結束部9と、結束部9の上端側に取り付けられたキャップ部材11と、スカート部8と結束部9を連結する側芯棒3bと、を備えて構成されている。
【0025】
中空糸膜3aは、内部に処理水の流路が形成されたチューブ形状をなしており、その壁面は処理水を濾過するための濾過膜となっているため、処理水を吸い込むことによって処理水中の汚泥を除去することができる。結束部7は、中空糸膜3aの下端に固定された円板状部材である。中空糸膜3aの下端側の開口部分は結束部7の上面によって封止されている。この結束部7には、下方に配置された散気管100からの曝気空気を上方に通過させるため、中空糸膜3aが固定されている位置を除く位置に複数の貫通孔7aが形成されている。スカート部8は、上端側に結束部7が嵌入された円筒状部材である。このスカート部8の下端側はアンダーサポート2の挿入孔41A,41B,41C,41Dに嵌入されている。これによって、スカート部8は、アンダーサポート2からの空気を逃がさないように複数の中空糸膜3aとアンダーサポート2同士を固定することができる。
【0026】
中空糸膜モジュール3の上端側の結束部9は、複数の貫通孔9aを有しており、この貫通孔9aに中空糸膜3aの上端部が挿入されることによって、中空糸膜3aを支持する部材である。また、キャップ部材11は中空円錐台状部材であり、その下端部に結束部9が嵌入されている。また、キャップ部材11の頂部からは上方へ向かって接続管が突出しており、この接続管とヘッダ管4の継手34とは、伸縮可能な伸縮継手12を介して接続されている(図1参照)。
【0027】
以上のように構成された浸漬膜ユニット1では、ヘッダ管4で処理水Wを吸引することで、処理水Wが複数の中空糸膜3aで濾過されて汚泥が除去された状態で吸い上げられ、ヘッダ管4で集液される。一方、散気管100の散気孔110A,110Bから散気された空気は、上方へ向かって浮上し、結束部7の貫通孔7aを通過して複数の中空糸膜3a周辺を通過する。このとき、中空糸膜3aは散気された空気の影響で揺らされることによって、膜面に堆積した堆積物が振り払われる。更に、空気の上向流は槽内混合液を攪拌混合し、中空糸膜3aの膜面に掃流として作用して膜面を洗浄する。
【0028】
次に、本実施形態に係る浸漬膜ユニット1の散気管100、散気ユニット200、及びアンダーサポート2及び当該アンダーサポート2周辺の下部構造について図4〜図9を参照して詳細に説明する。図4は、アンダーサポート2の上方の構造を示す斜視図である。図5は、アンダーサポート2の下方の構造を示す斜視図である。図6は、散気管100の斜視図である。図7は、散気管100を下方から見たときの分解図である。図8は、図1に示すVIII−VIII線に沿った断面図である。図9は、図1に示すIX−IX線に沿った断面図である。図4〜図9において、図中Aで示す方向はアンダーサポート2及び散気管100がフレーム5の下側枠状部材22内に並べられる方向であり、以下「並列方向」と称し、図中Bで示す並列方向と直交する垂直方向を以下「幅方向」と称する。この幅方向Bは、取り付け時における散気管100の伸縮方向と一致する。
【0029】
図4及び図5に示すように、アンダーサポート2は、フレーム5の下側枠状部材22に嵌め込むための骨格構造をなすと共に中空糸膜モジュール3のスカート部8を挿入して支持するための4つの挿入孔41A,41B,41C,41Dが形成されている台座43を備えて構成されている。このアンダーサポート2は、樹脂成形によって成形されている樹脂材料としては、例えば、ABSや硬質塩化ビニールや変性ポリフェニレンエーテル樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0030】
台座43は、水平方向に広がる略正方形平板状の上側箱状部46と、上側箱状部46の下側に設けられている略長方形状の下側箱状部47を備えて構成されている。上側箱状部46の並列方向Aの大きさは下側枠状部材22の枠状の上面22aの内周側に描かれる長方形の長さの四分の一の大きさとされており、幅方向Bの大きさは上面22aの内周側に描かれる長方形の幅よりも大きく、上面22aの外周側に描かれる長方形の幅よりも小さくされている。また、上側箱状部46の上下方向の大きさは下側枠状部材22の上下方向の大きさよりも薄くされている。下側箱状部47の並列方向Aの大きさは上側箱状部46の並列方向Aの大きさと同一とされており、幅方向Bの大きさは上側箱状部46よりも小さく下側枠状部材22の上面22aの内周側に描かれる長方形の幅と同一とされており、上下方向の厚みは下側枠状部材22の上下方向の大きさと同一とされている。幅方向Bにおいて上側箱状部46が下側箱状部47よりも大きくされているため、上側箱状部46の幅方向Bの両縁部は、下側箱状部47の上端側においてそれぞれ幅方向Bにはみ出した拡張部48,49として構成される。また、上側箱状部46と下側箱状部47の幅方向Bの中心線は互いに一致しているため、幅方向Bにおける拡張部48,49の大きさは同一とされている。
【0031】
図8に示すように、拡張部48,49の下面48a,49aは、アンダーサポート2を下側枠状部材22に嵌め込んだときに、下側枠状部材22の上面22aとそれぞれ接触する。また、下側箱状部47の幅方向Bの両側の側面51,52は、それぞれ平面状に形成されており、アンダーサポート2を下側枠状部材22に嵌め込んだときに、下側枠状部材22の内周側の側面とそれぞれ接触する。図4及び図5に戻り、下側箱状部47の並列方向Aの両側の側面53,54は、平面状に形成されると共に、当該平面部分が上側箱状部46の並列方向Aの両側の側面と同一平面を形成している。この側面53の平面部分は、並列方向Aに隣り合うアンダーサポートの側面54の平面部分と、あるいは下側枠状部材22の内周面と接触する。また、側面54の平面部分は、並列方向Aに隣り合うアンダーサポートの側面53の平面部分と、あるいは下側枠状部材22の内周面と接触する。
【0032】
挿入孔41A,41B,41C,41Dは、上側箱状部46の上面から下方へ向かって、上側箱状部46の一部及び下側箱状部47を貫通する円形状の貫通孔を、幅方向Bに二つ、並列方向Aに二つずつ形成することによって構成されている。上側箱状部46の上面46aにおいて、挿入孔41Aは、幅方向Bの中央位置よりも拡張部48側であって並列方向Aの中央位置よりも側面53側の領域に形成され、挿入孔41Bは、幅方向Bの中央位置よりも拡張部48側であって並列方向Aの中央位置よりも側面54側の領域に形成され、挿入孔41Cは、幅方向Bの中央位置よりも拡張部49側であって並列方向Aの中央位置よりも側面53側の領域に形成され、挿入孔41Dは、幅方向Bの中央位置よりも拡張部49側であって並列方向Aの中央位置よりも側面54側の領域に形成されている。また、挿入孔41A,41Bは、幅方向Bの中央線に対して挿入孔41C,41Dと線対称な位置に形成されている。また、挿入孔41A,41Cは、並列方向Aの中央線に対して挿入孔41B,41Dと線対称な位置に形成されている。
【0033】
挿入孔41Aを構成する円は、上方から見たときに下側箱状部47からはみ出す拡張部48に一部が差し掛かっており、当該円の内側に下側箱状部47の側面51の一部が含まれる位置関係となる。従って、挿入孔41Aの水平方向の断面形状は、上側箱状部46における領域では正円形状をなしており、下側箱状部47における領域では、側面51を弦とする欠円形状をなしている。なお、挿入孔41Aの上側箱状部46における領域の底部分には座面56Aが形成されており、この座面56Aの裏面が上側箱状部46の下面48aをなす。また、挿入孔41Bを構成する円は、上方から見たときに下側箱状部47からはみ出す拡張部48に一部が差し掛かっており、当該円の内側に下側箱状部47の側面51の一部が含まれる位置関係となる。従って、挿入孔41Bの水平方向の断面形状は、上側箱状部46における領域では正円形状をなしており、下側箱状部47における領域では、側面51を弦とする欠円形状をなしている。なお、挿入孔41Bの上側箱状部46における領域の底部分には座面56Bが形成されており、この座面56Bの裏面が上側箱状部46の下面48aをなす。
【0034】
挿入孔41Cを構成する円は、上方から見たときに下側箱状部47からはみ出す拡張部49に一部が差し掛かっており、当該円の内側に下側箱状部47の側面52の一部が含まれる位置関係となる。従って、挿入孔41Cの水平方向の断面形状は、上側箱状部46における領域では正円形状をなしており、下側箱状部47における領域では、側面52を弦とする欠円形状をなしている。なお、挿入孔41Cの上側箱状部46における領域の底部分には座面56Cが形成されており、この座面56Cの裏面が上側箱状部46の下面49aをなす。また、挿入孔41Dを構成する円は、上方から見たときに下側箱状部47からはみ出す拡張部49に一部が差し掛かっており、当該円の内側に下側箱状部47の側面52の一部が含まれる位置関係となる。従って、挿入孔41Dの水平方向の断面形状は、上側箱状部46における領域では正円形状をなしており、下側箱状部47における領域では、側面52を弦とする欠円形状をなしている。なお、挿入孔41Dの上側箱状部46における領域の底部分には座面56Dが形成されており、この座面56Dの裏面が上側箱状部46の下面49aをなす。
【0035】
台座43の下側箱状部47には、散気管100を通すためのスペースが形成されている。具体的には、挿入孔41A及び挿入孔41Cを散気管100が幅方向Bに向かって延びるように側面51,52及び挿入孔41Aと挿入孔41Cとの間の壁部に切り欠きが設けられている。また、挿入孔41B及び挿入孔41Dを散気管100が幅方向Bに向かって延びるように側面51,52及び挿入孔41Bと挿入孔41Dとの間の壁部に切り欠きが設けられている。
【0036】
ここで、挿入孔41A,41B,41C,41Dによる中空糸膜モジュール3のスカート部8の位置あわせ構造及び支持構造について説明する。まず、挿入孔41A,41B,41C,41Dの円の中心軸線は、アンダーサポート2を下側枠状部材22に組み付けたときに、ヘッダ管4の継手34のパイプの中心軸線と一致する。また、挿入孔41A,41B,41C,41Dの内径はスカート部8の外径と一致している。これによって、挿入孔41A,41B,41C,41Dの上側箱状部46における内周面は、スカート部8の外周面と当接することで当該スカート部8を固定すると共に水平方向の位置あわせを行うことによって、中空糸膜モジュール3を上下方向に直立させることのできる水平方向受け面57A,57B,57C,57Dとして機能することができる。
【0037】
また、挿入孔41A,41B,41C,41Dの断面欠円状の領域における円弧状の部分の内周面には、円弧の中心軸線周りに延びる座部59A,59B,59C,59Dが形成されている。座部59A,59B,59C,59Dは、上端面の高さが座面56A,56B,56C,56Dと同一とされており、これによって、座面56A,56B,56C,56Dと座部59A,59B,59C,59Dの上端面とで同一平面が形成される。これらの上端面は、スカート部8の下端面と当接することで当該スカート部8を支持するとともに鉛直方向の位置あわせを行うことができる鉛直方向受け面61A,61B,61C,61Dとして機能することができる。
【0038】
この台座43の挿入孔41A,41B,41C,41Dは、上側箱状部46における領域のみで断面円形状の形状をなすと共に水平方向受け面57A,57B,57C,57D及び鉛直方向受け面61A,61B,61C,61Dが形成されており、下側箱状部47における領域では断面欠円形状の形状をなすと共にそれに伴って側面51,52の間の幅方向Bにおける間隔が挿入孔の正円を二つ並べた大きさよりも小さくされている。これによって、上側箱状部46においては中空糸膜モジュール3のスカート部8をしっかりと固定すると同時に、スカート部8の固定に関与しない下側箱状部47においては間隔を狭くすることによって、フレーム5の下側枠状部材22の幅方向Bの大きさを小さくすることができる。以上によって、部品間の位置精度を損なうことなく、浸漬膜ユニット1全体のコンパクト化を図ることができる。
【0039】
次に、散気管100の構成について説明する。図6及び図7に示すように、散気管100は、伸縮可能な本体管101と、本体管101に形成される散気孔102A,102Bと、散気孔102A,102Bから散気される気体を取り込む気体取込部103A,103Bと、散気管100の取り付け時に主管たる下側枠状部材22と当接するフランジ部104A,104Bと、を備えている。
【0040】
本体管101は、第一管101Aと第二管101Bとに分解可能である。第一管101Aは、本体管101における一端側に設けられる管部111と、本体管101における他端側に設けられて管部111よりも外径及び内径が大きくされた大径部112と、を有している。管部111の一端側にはフランジ部104Aが形成されている。大径部112は、本体管101の伸縮のストロークを定めるものである。
【0041】
本体管101の第二管101Bは、本体管101における他端側に設けられる管部113と、本体管101における一端側に設けられるシール部114と、管部113とシール部114との間に設けられて外周面が螺子とされた螺子部115と、を有している。管部113の他端側にはフランジ部104Bが形成されている。シール部114の外周面には、全周にわたって延びる溝が二つ形成されており、それぞれの溝にはオーリング116,117が取り付けられている。取り付け時において、シール部114は第一管101Aの大径部112内に挿入されるが、このとき、オーリング116,117が、大径部112の内周面とシール部114の外周面(溝の底面)とで圧縮されることによって、第一管101Aと第二管101Bとの間の気密性が確保される。本体管101は、大径部112内をシール部114が気密性を保ちながら移動できる範囲で伸縮可能である。螺子部115には位置決め及び位置固定用のロックナット118,119が取り付けられる。なお、成型条件により、管部113を一つのパーツとして形成し、シール部114及び螺子部115を一つのパーツとして形成し、両者を接着剤などによって固定することで第二管101Bを構成しているが、管部113、シール部114、及び螺子部115を一つのパーツとして一体的に構成してもよい。
【0042】
散気孔102Aは、第一管101Aにおける管部111に形成されている。散気孔102Aは、管部111の管壁を径方向に貫通するように形成されている。散気孔102Bは、第二管101Bにおける管部113に形成されている。散気孔102Bは、管部113の管壁を径方向に貫通するように形成されている。図8及び図9に示すように、取り付け時においては、散気孔102A,102Bは、本体管101の内部空間から下方へ向かって管壁を貫通するように配置される。この散気孔102A,102Bは、本体管101を通過してきた気体をアンダーサポート2で支持している中空糸膜モジュール3に向けて散気する機能を有している。散気孔102A,102Bの中心軸線Cは、挿入孔41A,41B,41C,41Dのうち対応する挿入孔の中心軸線と一致するように配置される。従って、散気孔102A,102Bは、挿入孔41A,41B,41C,41Dの中心で散気を行うことができる。本体管101の内径(大径部112の内径は除く)と散気孔102A,102Bの径との比率は2〜12の範囲が好ましい。
【0043】
気体取込部103Aは、第一管101Aの一端101aにおける開口部分によって構成されている。気体取込部103Aは、取り付け時において、散気用の気体が流れている下側枠状部材22の内部空間Sに配置される。これによって、主管たる下側枠状部材22の内部空間Sから散気用の気体を本体管101内に取り込むことができる。また、気体取込部103Bは、第二管101Bの他端101bにおける開口部分によって構成されている。気体取込部103Bは、取り付け時において、散気用の気体が流れている下側枠状部材22の内部空間Sに配置される。これによって、主管たる下側枠状部材22の内部空間Sから散気用の気体を本体管101内に取り込むことができる。
【0044】
フランジ部104Aは、管部111において、一端101aよりも僅かに他端101b側に離間した位置に形成される円環状の部材である。フランジ部104Aよりも一端101a側における先端部111aは、取り付け時において主管たる下側枠状部材22の内周面22b,22cに形成された貫通孔29に挿入される。フランジ部104Aにおける一端101a側の端面、すなわち本体管101の伸縮方向に垂直に広がる端面は、散気管100を下側枠状部材22に取り付けたときに、内周面22b,22cと当たることによって散気管100全体の位置合わせを行うための当面122を構成する。この当面122には円環状の溝が形成されており、当該溝に気密性を確保するためのオーリング123(気密部材)を配置することができる。これによって、当面122が下側枠状部材22の側面22c,22bに当たったとき、オーリング123によって、散気管100と主管たる下側枠状部材22との間の気密性が確保される。この当面122と散気孔102Aの中心軸線との間の距離は、下側枠状部材22の側面22c,22bと挿入孔41A,41B,41C,41Dのうちいずれかの挿入孔の中心軸線との間の距離(すなわち、アンダーサポート2の側面51,52と挿入孔41A,41B,41C,41Dのうちいずれかの挿入孔の中心軸線との間の距離)と一致するように調整されている。
【0045】
先端部111aには、散気管100を下側枠状部材22に取り付けたときに、散気孔102Aが下方に向くように位置合わせするための、キー(突出部)121が形成されている。一方、先端部111aが挿入される下側枠状部材22の貫通孔29にも、キー121に対応するキー溝29aが形成されている。キー121は、本体管101の中心軸線周りにおいて、散気孔102Aと同じ位置に形成されているが、形成する位置は特に限定されない。取り付け時に散気孔102Aが下方に向くように配置されれば、どこに設けてもよい。そのとき、キー溝29aは、キー121の位置と対応する位置に形成される。
【0046】
フランジ部104Bは、管部113において、他端101bよりも僅かに一端101a側に離間した位置に形成される円環状の部材である。フランジ部104Bよりも他端101b側における先端部113aは、取り付け時において主管たる下側枠状部材22の内周面22b,22cに形成された貫通孔29に挿入される。フランジ部104Bにおける他端101b側の端面、すなわち本体管101の伸縮方向に垂直に広がる端面は、散気管100を下側枠状部材22に取り付けたときに、側面22c,22bと当たることによって散気管100全体の位置合わせを行うための当面126を構成する。この当面126には円環状の溝が形成されており、当該溝に気密性を確保するためのオーリング127(気密部材)を配置することができる。これによって、当面126が下側枠状部材22の側面22c,22bに当たったとき、オーリング127によって、散気管100と主管たる下側枠状部材22との間の気密性が確保される。この当面126と散気孔102Bの中心軸線との間の距離は、下側枠状部材22の側面22c,22bと挿入孔41A,41B,41C,41Dのうちいずれかの挿入孔の中心軸線との間の距離(すなわち、アッパーサポート2の側面51,52と挿入孔41A,41B,41C,41Dのうちいずれかの挿入孔の中心軸線との間の距離)と一致するように調整されている。
【0047】
先端部113aには、散気管100を下側枠状部材22に取り付けたときに、散気孔102Bが下方に向くように位置合わせするための、キー(突出部)124が形成されている。一方、先端部113aが挿入される下側枠状部材22の貫通孔29にも、キー124に対応するキー溝29aが形成されている。キー124は、本体管101の中心軸線周りにおいて、散気孔102Bと同じ位置に形成されているが、形成する位置は特に限定されない。取り付け時に散気孔102Bが下方に向くように配置されれば、どこに設けてもよい。そのとき、キー溝29aは、キー124の位置と対応する位置に形成される。また、散気管100側にキー溝を形成し、貫通孔29側にキーを設けてもよい。
【0048】
散気管100を主管たる下側枠状部材22に組み付け(これによって散気ユニット200が構成される)、中空糸膜モジュール3のスカート部8をアンダーサポート2に組み付け、アンダーサポート2を下側枠状部材22に組み付けたときの組付構造について説明する。図8及び図9に示すように、まず、下側枠状部材22の内周面22cと内周面22bには、幅方向Bに貫通する複数の貫通孔29が形成されている。内周面22cに形成される貫通孔29と、内周面22bに形成される貫通孔29は、互いに向かい合うような位置に形成されている。このような下側枠状部材22の内周側に、縮めた状態の散気管100をセットする。縮めた状態とは、ロックナット118、119を他端101b側へ緩めておき、第二管101Bのシール部114を第一管101Aの大径部112の奥まで押込んでおくような状態である。次に、キー121とキー溝29aが合うように、第一管101Aの先端部111aを内周面22cの貫通孔29に挿入する。他端101b側においても、キー124とキー溝29aが合うように、第二管101Bの先端部113aを内周面22bの貫通孔29に挿入する。次に、ロックナット118を一端101a側に締め付けることによって、散気管100を伸ばす。このとき、フランジ部104Aの当面122が内周面22cに(オーリング123で気密性を確保できる程度の強さで)当たり、フランジ部104Bの当面126が内周面22bに(オーリング127で気密性を確保できる程度の強さで)当たるように、ロックナット118を締付ける。ロックナット118の締め付けが完了したら、ロックナット119を一端101a側に締付ける。このようなダブルナット構造とすることにより、散気管100の長さが位置決めされた状態で固定される。この状態では、散気管100の散気孔102A,102Bと、下側枠状部材22との間の位置決めがなされている。また、下側枠状部材22と上側枠状部材21は、強固なフレーム構造とされているため、互いの位置精度が充分に確保されている。従って、散気管100の散気孔102A,102Bと、上側枠状部材21及び上部構造との間の位置決めも充分になされている。全ての貫通孔29に対して散気管100が取り付けられることによって、散気ユニット200が構成される。なお、本実施形態では、中空糸膜モジュール3が幅方向Bにおいて左右対称に取り付けられているので、散気管100を取り付ける向きは特に限定されず、フランジ部104Aを内周面22b側に当ててもよい。
【0049】
散気管100の取り付けが終了した後、アンダーサポート2を下側枠状部材22に組み付ける。このとき、アンダーサポート2の下側箱状部47の側面51,52は、下側枠状部材22の内周面22b,22cと当接し、側面53は下側枠状部材22の内周面22dあるいは隣接するアンダーサポート2の側面54と当接することによってアンダーサポート2の水平方向の位置決めがなされる。また、アンダーサポート2の上側箱状部46の拡張部48の下面48a及び拡張部49の下面49aは、下側枠状部材22の上面22aと当接することによってアンダーサポート2の鉛直方向の位置決めがなされる。これによって、アンダーサポート2の挿入孔41A,41B,41C,41Dと下側枠状部材22との間で位置決めがなされると共に、下側枠状部材22を介して挿入孔41A,41B,41C,41Dと散気管100の散気孔102A,102Bとの間の位置決めもなされる。更に、前述のように下側枠状部材22と上側枠状部材21が強固なフレーム構造で位置決めがなされているため、上部構造と、挿入孔41A,41B,41C,41D及び散気孔102A,102Bとの間の位置決めもなされる。以上によって、散気孔102A,102Bの中心軸線Cを、挿入孔41A,41B,41C,41Dの中の対応するものの中心軸線、スカート部8の中心軸線、上部構造における継手34や伸縮継手12の中心軸線と一致させることができる。
【0050】
更に、メンテナンスの際は、アンダーサポート2はそのまま組み付けた状態にて、散気管100のみを取り外すことができる。取り外した散気管100の本体管101を分解すると共にそれぞれ洗浄する。洗浄を終えたら再び散気管100を下側枠状部材22に組み付ける。このとき、他の構成部分の位置関係は変わっていないと共に、金属部材で強固に構成されている下側枠状部材22に対して、前述と同様な組み付け方法にて散気管100を組み付けるため、各部品同士の位置関係はメンテナンス前の状態と同じく、充分に位置決めがなされた状態とすることができる。
【0051】
次に、浸漬膜ユニット1における散気のための気体の流れについて説明する。図1に示すように、継手部28を介して外部の気体供給装置から供給された気体は、上側枠状部材21の内部空間にひろがり、その後、柱部材23,24,26,27の内部空間を介し、散気ユニット200の主管を構成する下側枠状部材22の内部空間S全体へ広がる。そして、それぞれの散気管100の気体取込部103A,103Bは、主管たる下側枠状部材22から気体を本体管101内部に取り込む。これによって、本体管101へ取り込まれた気体は、散気孔102A,102Bから処理槽内部の処理水中へ散気される。このように、フレーム5の柱部材23,24,26,27を利用することによって、別途パイプや当該パイプに取り付けるための伸縮継手を設けることなく、散気のための気体を下側構造に供給することができる。尚、継手部28の方式にはユニオン接続、フランジ接続、ヴィクトリック型、配管(パイプ)を挿入することで容易に配管接続できるカプラ型、側面シールが可能な管継手等が挙げられ、設置する現場に応じた方式を選択することができる。
【0052】
次に、本発明の実施形態に係る浸漬膜ユニット1の作用・効果について説明する。
【0053】
本発明に係る散気管100は、伸縮可能な本体管101を備えているため、散気のための気体が流れている主管たる下側枠状部材22に対して、本体管101を伸ばすことによる突張り力で固定することができる。このとき、気体取込部103A,103Bを下側枠状部材22の内部空間Sに配置しておくことにより、内部空間Sを流れる気体を気体取込部103A,103Bから取り込むことができる。また、取り込んだ気体を散気孔から散気することができる。ここで、本実施形態に係る散気管100の本体管101は伸縮可能であるため、メンテナンスの際は、本体管101を縮めて突張り力を解除するだけの作業で散気管100を容易に取り外すことができる。すなわち、浸漬膜ユニット1における下部構造における、散気管100以外の部分を動かすことなく、本体管101を縮めるだけの作業により、洗浄において取り外す必要のある散気管100のみを簡単に取り外すことができる。これによって、メンテナンス性を大幅に向上させることが可能となる。更に、洗浄後の組み付けの際は、本体管101を伸ばすだけの作業で再び組み付けることができる。また、突張り力を受ける主管たる下側枠状部材22が金属製の強固な構成とされ変形しないものであるため、再び組み付けた後における散気孔102A,102Bの位置は、メンテナンス前における位置と同一となる。一方、メンテナンス時には洗浄に必要最低限な部分のみを取り外し、浸漬膜ユニット1における他の部分は動かしていない。従って、本体管101を延ばすだけの作業で、メンテナンス前と同じく充分に位置合わせされた状態を再現することができる。また、上述の構造をもつ散気管100であるため該散気管100は気体取込部103A,103Bから散気孔102A,102Bまでの距離を一定に保つことができる。以上によって、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することができる。
【0054】
また、散気管100において、本体管101は、第一管101Aと第二管101Bに分解可能である。分解可能とすることによって、本体管101の内部をより洗浄し易くなり、メンテナンス性が一層向上する。
【0055】
また、散気管100において、本体管101の両端側に気体取込部103A,103Bが形成されている。これによって、本体管101の両側から気体を取り込むことが可能となる。
【0056】
また、散気管100において、本体管101の伸縮方向に垂直に広がると共に、気密性を確保するためのオーリング123,127を配置可能な当面122,126を備えている。本体管101の伸縮方向に垂直に広がる当面122,126を、主管たる下側枠状部材22の内周面22b,22cに押し当てることにより、散気管100は当面122,126で内周面22b,22cにしっかりと支持され、位置合わせを確実に行うことができる。この当面122,126にはオーリング123,127を配置することができるため、主管たる下側枠状部材22に対する位置合わせを行うと同時に、下側枠状部材22と散気管100との間の気密性も確保することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る浸漬膜ユニット1及び散気ユニット200は、上述のような構成を有する散気管100を備えているため、上述と同様の作用・効果を得ることができ、メンテナンス性を向上させ、位置合わせの再現性を向上させ、所定流量の空気を斑無く均一に供給することができる。
【0058】
また、散気ユニット200において、位置合わせ用のキー121,124とキー溝29aを形成しておくことにより、散気管100を下側枠状部材22に組み付けたときに、散気管100の中心軸線周りにおける散気孔102A,102Bの位置合わせを行うことができる。
【0059】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
例えば、散気管は、一端側にのみ気体取込部を有するものであってもよい。すなわち、他端側は気体を取り込めないように封止されている。例えば、下側枠状部材22の内周面22b側にしか貫通孔29が設けられておらず、内周面22b側のみから気体取込部で気体を取り込み、内周面22c側では気体を取り込むことなく、突張り力で支持されるだけであってもよい。あるいは、下側枠状部材22の内側の領域の幅方向Bにおける中央位置に、突張り力支持用の長尺のフレーム(内周面22bに対向する面と、内周面22cに対向する面を有する)を配置しておく。散気管は、実施形態に係る散気管100の略半分の長さであって、一方の端部側が気体を取り込めないように封止されている。散気管100の気体取込部を内周面22b,22cの貫通孔29に挿入し、封止されている端部を突張り力支持用のフレームに押し当てておく。このような構成であっても、主管たる下側枠状部材22から気体を取り込むことができる。
【0061】
また、気体取込部は、本体管の端部を完全に開放することで形成されていたが、特に構成は限定されず、主管の内部空間Sから気体を取り込めるものであればどのような構成であってもよい。例えば、散気管のうち、内部空間Sに入り込む先端部分を長くしておき、内部空間Sに当該入り込んでいる先端部分の周壁部に貫通孔を空けることで、気体を取り込んでもよい。
【0062】
また、散気管の本体管は伸縮可能なものであれば、分解できないものであってもよい。また、本体管を伸縮させて位置合わせした後、ロックナットで固定するタイプのものに限らず、例えばバネによって伸縮可能な構成とし、当該バネによって突張り力を発生させて位置を固定してもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、主管は、フレームタイプの下側枠状部材22であったが、散気用の気体を流すことができるものであればどのようなものであってもよく、円形の管であってもよい。
【0064】
また、アンダーサポート2がなくてもよく、下側枠状部材自体にスカート部8を支持する構造が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…浸漬膜ユニット、2…アンダーサポート、22…下側枠状部材(主管)、29…貫通孔(孔部)、29a…キー溝(溝部)、100…散気管、101…本体管、102A,102B…散気孔、103A,103B…気体取込部、121,124…キー(突出部)、200…散気ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬膜に対して散気する散気管であって、
伸縮可能な本体管と、
前記本体管に形成され、前記浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、
前記本体管における少なくとも一端側に形成され、前記散気孔から散気される前記気体を取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする散気管。
【請求項2】
前記本体管は、分解可能であることを特徴とする請求項1記載の散気管。
【請求項3】
前記本体管の両端側に前記気体取込部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の散気管。
【請求項4】
前記本体管の伸縮方向に交わる方向に広がると共に、気密性を確保するための気密部材を配置可能な当面を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の散気管。
【請求項5】
浸漬膜に対して散気する散気管と、前記散気管が散気する気体が流れる主管と、を備える散気ユニットであって、
前記散気管は、
伸縮可能な本体管と、
前記本体管に形成され、前記浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、
前記本体管における少なくとも一端側に形成され、前記散気孔から散気される前記気体を前記主管から取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする散気ユニット。
【請求項6】
前記主管は、前記気体取込部が形成される前記本体管の前記一端側が挿入される孔部を有し、
前記本体部と前記孔部の一方には、位置合わせ用の突出部が形成され、他方には前記突出部に対応する溝部が形成されていることを特徴とする請求項5記載の散気ユニット。
【請求項7】
浸漬膜と、前記浸漬膜に対して散気する散気管と、前記散気管が散気する気体が流れる主管と、を備える浸漬膜ユニットであって、
前記散気管は、
伸縮可能な本体管と、
前記本体管に形成され、前記浸漬膜に対して気体を散気する散気孔と、
前記本体管における少なくとも一端側に形成され、前記散気孔から散気される前記気体を前記主管から取り込む気体取込部と、を備えることを特徴とする浸漬膜ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66180(P2012−66180A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212084(P2010−212084)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】