説明

数値群処理装置、数値群処理方法、ならびに、プログラム

【課題】 あるキャラクターやチームに関するパラメータ群等、各種の数値群を階層化することによって数値群の編集等を容易にするのに好適な数値群処理装置等を提供する。
【解決手段】 数値群処理装置201において、記憶部202は、節と有向枝を持つグラフ構造により階層化された数値群を記憶し、入力受付部203は、ある節に対応付けられる数値の編集の指示入力を受け付け、第1更新部204は、当該指示入力にしたがって、当該ある節の数値を更新し、第2更新部205は、数値が更新された節の子の節に、当該数値の変化量を配分して、当該子の節の数値を更新し、配分対象となる子の節がなくなるまでこれを繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるキャラクターやチームに関するパラメータ群等、各種の数値群を階層化することによって数値群の編集や対比を容易にするのに好適な数値群処理装置、数値群処理方法、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の数値群を編集したり対比したりする技術が種々提案されている。数値群としては、ゲームにおけるそれぞれのキャラクターの性格付けや設定を表現するパラメータ値の集合や、テキスト処理における文書内での各単語の出現頻度等、種々のものがある。このようなキャラクターのパラメータ値からなる数値群を処理・活用する技術については、以下の文献に開示がある。
【特許文献1】特許第3343099号公報
【特許文献2】特許第3425552号公報
【0003】
また、ある文書における単語の出現頻度をベクトルと考え、文書同士の類似度を当該ベクトルのなす角によって計算する手法等も広く利用されている。
【0004】
さて、このような数値群には、互いに関連したり類似したりするものがある。たとえば以下のように、野球チームの特性を考える。チームの特性には大別して攻撃力と守備力とがある。攻撃力には、打撃力、走塁力がある。走塁力には、投手のモーションを盗む能力、走行力、滑り込みの能力がある。守備力には、投手力、内野力、外野力がある。内野力には、走行力、捕球力、刺殺力がある。
【0005】
このように、各種数値群をその性格に応じて階層構造に整理できることは多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、階層構造、具体的には、
(a)複数の節と、ある節から他の節へを結ぶ有向枝と、を有し、
(b)有向枝をその向きにたどっても循環することはなく、
(c)任意の2つの節は結ばれないか、1つの有向枝で結ばれるか、のいずれかであり(以下、当該有向枝が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。)、
(d)所定の節(以下「根」という。)から有向枝をその向きにたどることにより、他の任意の節に到達でき、
(e)各節には数値が対応付けられ、
(f)当該各節に対応付けられた数値の集合が数値群となる
という条件を満たすようにグラフ構造に整理できるような数値群を、ユーザが編集しやすくしたい、との要望は大きい。
【0007】
また、このような数値群の「大小」や「類似度」を、ユーザの好みに合わせて計算できるようにし、適宜ソートして提示することにより、ユーザの選択の便に供したい、との要望は強い。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、あるキャラクターやチームに関するパラメータ群等、各種の数値群を階層化することによって数値群の編集や対比を容易にするのに好適な数値群処理装置、数値群処理方法、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。なお、本発明では、上述のように、複数の節と、ある節から他の節へを結ぶ有向枝と、を有し、有向枝をその向きにたどっても循環することはなく、任意の2つの節は結ばれないか、1つの有向枝で結ばれるか、のいずれかであり(以下、当該有向枝が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。)、所定の節(以下「根」という。)から有向枝をその向きにたどることにより、他の任意の節に到達できるグラフ構造を考える。
【0010】
本発明の第1の観点に係る数値群処理装置は、記憶部、入力受付部、第1更新部、第2更新部を備え、以下のように構成する。
【0011】
すなわち、記憶部は、他の任意の節に到達できるグラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群を記憶する。
【0012】
上記のように、グラフ構造に基づいて階層化された数値(パラメータ)群を、当該グラフ構造に含まれる節のそれぞれに対応付けて記憶するのである。パラメータのそれぞれを同じ木構造を用いて記憶しても良いし、グラフ構造の節に相当する部分の情報としてパラメータをそのまま採用したり、パラメータを格納すべき場所のアドレスを採用するなどの手法が考えられる。
【0013】
一方、入力受付部は、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「編集親節」という。)の選択により、当該編集親節から発する有向枝の他端の節(以下「編集子節」という。)のいずれかに対応付けて記憶される数値を編集する指示入力を受け付ける。
【0014】
たとえば、上記の例の場合、編集親節として根を選ぶと、編集子節は「攻撃力」と「防御力」になり、これらのいずれかの値を編集することとなる。また、編集親節として「防御力」を選ぶと、編集子節は「投手力」「内野力」「外野力」になり、これらのいずれかの値を編集することとなる。
【0015】
さらに、第1更新部は、入力を受け付けられた指示入力により、記憶部において当該編集子節のいずれかに対応付けて記憶される数値を更新する。
【0016】
当該指示入力は、たとえば、当該編集子節のそれぞれに対する数値を直接入力するものでも良いし、画面上に表示されたスライダーなどを移動させて数値を更新するものでも良い。
【0017】
そして、第2更新部は、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「更新親節」という。)に対応付けて記憶部に記憶される数値が更新された場合、当該更新に係る数値の変分を当該編集親節に対応付けられる規則により配分した数値が、当該更新親節から発する有向枝の他端の節(以下「更新子節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値に加算されるように、記憶部を更新し、当該更新された更新子節のそれぞれを、新たな更新親節として記憶部の更新を繰り返す。
【0018】
たとえば、攻撃力の数値が更新されると、これによって打撃力と走塁力の両方が更新される。打撃力が更新されることによって、打撃力より下の節に対応付けられる数値がまた更新される。また、走塁力が更新されることによって、投手のモーションを盗む能力、走行力、滑り込みの能力が更新される。このように、ある節の数値が更新されると、その節の子孫の節の数値がすべて、ある規則に基づいて更新されることとなるのである。
【0019】
本発明によれば、グラフ構造によって階層化されたある数値群を、簡単に編集するとともに、当該編集対象となった数値に関連する数値については自動的に更新されるようにして、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0020】
また、本発明の数値群処理装置において、第2更新部は、当該更新親節に対応付けられる規則として、当該変分を、当該更新子節のそれぞれに対応付けて記憶される数値により比例配分する規則を用いるように構成することができる。
【0021】
すなわち、単純かつ公平な規則として、現在の数値の値に応じた比例配分を採用するものであり、本発明は、上記発明の好適実施形態の一つに係るものである。
【0022】
本発明によれば、単純で人間にとって理解しやすい公平な規則を用いて、順次繰り返される更新を行うため、ある節に対応付けられる数値を更新した場合の影響をユーザが想像しやすくなり、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0023】
また、本発明の数値群処理装置において、第1更新部は、当該更新に係る数値の変分を当該編集子節と同じ親を有する他の節(以下「編集兄弟節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値により比例配分した数値が、当該編集兄弟節に対応付けて記憶される数値から減算されるように、記憶部をさらに更新するように構成する。
【0024】
たとえば、攻撃力が10減ったら防御力を10増やす、内野力が5減ったら、投手力と外野力の総和を5増やし、増加分の5は、元の投手力と内野力の比がそのまま保持されるように案分する、というものである。
【0025】
本発明によれば、単純で人間にとって理解しやすい公平な規則を用いて、順次繰り返される更新を行うため、ある節に対応付けられる数値を更新した場合の影響をユーザが想像しやすくなり、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0026】
また、本発明の数値群処理装置は、以下のように構成することができる。
【0027】
すなわち、記憶部は、当該節のそれぞれに係数を対応付けた係数群をさらに記憶する。
【0028】
各パラメータに、係数によって重みをつけるのである。
【0029】
一方、第2更新部は、当該更新親節に対応付けられる規則として、当該更新に係る数値の変分を当該更新子節のそれぞれに対応付けて記憶される数値と係数との積により比例配分する規則を用いる。
【0030】
さらに、第1更新部は、第1更新部は、当該更新に係る数値の変分を当該編集子節と同じ親を有する他の節(以下「編集兄弟節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値と係数との積により比例配分した数値が、当該編集兄弟節に対応付けて記憶される数値から減算されるように、記憶部をさらに更新する
【0031】
更新の際の値の配分は、同じ階層のパラメータの総和については、これが変化しないようにする一方で、単純な比例配分ではなく、重みの大きなパラメータについては、それだけ大きな変化が案分する、というものである。
【0032】
本発明によれば、数値群の各パラメータに重みをつけ、当該重みをさらに考慮に入れてパラメータの増分の案分を行い、同じ階層の数値の総和にはできるだけ変化がないようにするため、ある節に対応付けられる数値を更新した場合の影響をユーザが想像しやすくなり、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0033】
また、本発明の数値群処理装置は、計算部、ソート部をさらに備え、以下のように構成する。
【0034】
すなわち、計算部は、記憶部に記憶される数値群に対する指標を
(a)子を持たない節の指標は、当該数値群について当該節に対応付けられて記憶部に記憶される数値とし、
(b)子を持つ節の指標は、その子について得られた指標を、その子に対応付けて記憶部に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とし、
(c)根の指標を、当該数値群の指標として出力する
ことにより計算する。
【0035】
ここで計算される指標は、各パラメータの重みで当該パラメータを階層ごとにグラフ構造の下から根に向かって平均をとるものであり、各節に割り当てられた重みによって、当該グラフ構造を「採点」するものである。
【0036】
一方、ソート部は、記憶部に記憶される複数の数値群のそれぞれに対して計算される指標により、当該複数の数値群をソートする。
【0037】
すなわち、各節に割り当てられた重みによってグラフ構造を採点した結果により、当該グラフ構造に対応付けられて用意された複数の数値群をソートするものである。
【0038】
本発明によれば、複数の数値群をグラフ構造に対応付けられる重みによってソートすることができ、ユーザは、当該指標によって、数値群を比較することができるようになる。
【0039】
また、本発明の数値群処理装置は、計算部、ソート部をさらに備え、以下のように構成することができる。
【0040】
すなわち、計算部は、記憶部に記憶される第1の数値群と第2の数値群との類似度を
(a)子を持たない節の類似度は、当該第1の数値群と当該第2の数値群について当該節に対応付けられて記憶部に記憶される数値の積とし、
(b)子を持つ節の類似度は、その子について得られた類似度を、その子に対応付けて記憶部に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とし、
(c)根の類似度を、当該第1の数値群と当該第2の数値群との類似度として出力する
ことにより計算する。
【0041】
ここで重みを参照しながら計算される類似度は、ある数値群と他の数値群がどの程度似ているか、を、表わす指標の一つである。
【0042】
一方、ソート部は、記憶部に記憶されるいずれかの数値群とその他の複数の数値群のそれぞれと、について計算される類似度により、当該その他の複数の数値群をソートする。
【0043】
すなわち、ある数値群に似ている順に、それ以外の数値群をソートするのである。
【0044】
本発明によれば、複数の数値群をグラフ構造に対応付けられる重みによって、ある数値群に似た順にソートすることができ、ユーザは、当該指標によって、数値群を比較することができるようになる。
【0045】
また、本発明の数値群処理装置において、計算部は、当該重みの最大値を乗ずる数値よりも大きい数値については、重み付き平均を計算する対象から除いて重み付き平均を計算するように構成することができる。
【0046】
すなわち、重み最大のパラメータは最も重要視されるべきパラメータであるから、この値よりも大きいパラメータが偶然存在する場合には、これを無視する、というものである。
【0047】
本発明によれば、複数の数値群をソートする際に、重要視すべきパラメータを適切に考慮することができるようになる。
【0048】
本発明のその他の観点に係る数値群処理方法は、記憶部、入力受付部、第1更新部、第2更新部を有する数値群処理装置にて実行され、入力受付工程、第1更新工程、第2更新工程を備え、以下のように構成する。
【0049】
すなわち、記憶部には、当該グラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群が記憶される。
【0050】
一方、入力受付工程では、入力受付部が、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「編集親節」という。)の選択により、当該編集親節から発する有向枝の他端の節(以下「編集子節」という。)のいずれかに対応付けて記憶される数値を編集する指示入力を受け付ける。
【0051】
さらに、第1更新工程では、第1更新部が、入力を受け付けられた指示入力により、記憶部において当該編集子節のいずれかに対応付けて記憶される数値を更新する。
【0052】
さらに、第2更新工程では、第2更新部が、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「更新親節」という。)に対応付けて記憶部に記憶される数値が更新された場合、当該更新に係る数値の変分を当該編集親節に対応付けられる規則により配分した数値が、当該更新親節から発する有向枝の他端の節(以下「更新子節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値に加算されるように、記憶部を更新し、当該更新された更新子節のそれぞれを、新たな更新親節として記憶部の更新を繰り返す。
【0053】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記の数値群処理装置として機能させ、または、コンピュータに上記の数値群処理方法を実行させるように構成する。
【0054】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0055】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、あるキャラクターやチームに関するパラメータ群等、各種の数値群を階層化することによって数値群の編集や対比を容易にするのに好適な数値群処理装置、数値群処理方法、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0058】
情報処理装置100は、CPU 101と、ROM 102と、RAM 103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROMドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、を備える。
【0059】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態の数値群処理装置が実現される。
【0060】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0061】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0062】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0063】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがレーシングゲームなどのゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0064】
インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、対戦ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、対戦に伴うチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0065】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ、動画情報データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0066】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)にバッファリング記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。このような画像処理部107の処理は、CPU 101の演算処理とは並行して行うことができる。
【0067】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0068】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0069】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。フォント情報は、ROM 102に記録されているが、DVD−ROMに記録された専用のフォント情報を利用することも可能である。
【0070】
このほか、DVD−ROMに記録された動画情報や、これをあらかじめRAM 103等に転送した場合の動画情報は、画像処理部107によって、画面の所定の領域にスーパーインポーズするような形式で、動画表示を行うことができる。
【0071】
さて、NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0072】
インターネット内のSNTPサーバにNIC 109を介して接続し、ここから情報を得ることによって現在の日時情報を得ることができる。また、各種のネットワークゲームのサーバ装置が、SNTPサーバと同様の機能を果たすように構成設定してもよい。
【0073】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0074】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0075】
さらに、情報処理装置100には、インターフェイス104を介してマイクを接続することができる。この場合、マイクからのアナログ信号に対しては、適当なサンプリング周波数でA/D変換を行い、PCM形式のディジタル信号として、音声処理部110でのミキシング等の処理ができるようにする。情報処理装置100をゲーム装置として利用する場合には、マイクから入力された音声データを指示入力データとして、コントローラ105のかわりに入力デバイスとして用いることも可能である。
【0076】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0077】
また、ユーザからの文字列の編集入力を受け付けるためのキーボードや、各種の位置の指定および選択入力を受け付けるためのマウスなどを接続する形態も採用することができる。また、本実施形態の情報処理装置100にかえて、汎用のパーソナルコンピュータを利用することもできる。
【0078】
一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、ゲームにおける画面表示には必ずしも特化していない画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっているのが一般的である。また、コントローラではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0079】
したがって、このような一般的なコンピュータを、本発明の数値群処理装置として動作させることも可能である。
【0080】
図2は、本発明の実施形態の一つに係る数値群処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0081】
数値群処理装置201は、情報処理装置100にプログラムを実行させることによって実現され、記憶部202、入力受付部203、第1更新部204、第2更新部205、計算部206、ソート部207を備える。
【0082】
ここで、RAM 103やハードディスク等が記憶部202として、コントローラ105やキーボード、マウス等が入力受付部203として、CPU 101がRAM 103やハードディスク等と共働して第1更新部204、第2更新部205として、それぞれ機能する。
【0083】
まず、記憶部202は、他の任意の節に到達できるグラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群を記憶する。図3は、当該グラフ構造の一つが記憶部に記憶される様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0084】
本図に示すように、グラフ構造301は、複数の節302と、ある節302から他の節302へを結ぶ有向枝303と、を有する。有向枝303には向きがあり、本図では矢印を用いてその向きが表現されている。
【0085】
有向枝303をその向きに順次たどったとしても循環することはない。したがって、グラフ構造301は、一種の木構造と考えることもできる。そこで、1つの有向枝303で結ばれる節302同士の当該有向枝303が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。
【0086】
グラフ構造301から任意の2つの節302を選んだ場合、これらは結ばれないか、1つの有向枝303で結ばれるか、のいずれかである。すなわち、2つの節302を結ぶ有向枝303の個数は高々1本である。
【0087】
グラフ構造301は、一種の木構造なので、「根」に相当する節302を持つ。根となる節302から有向枝303をたどると、どんな他の節302にも到達する経路が必ず存在する。これにより、グラフ構造301は、全体として一体となっている。
【0088】
各節302は、メモリ内の構造体として構成することができる。このとき、各節302には、以下のような情報が格納されることになる。
(a)その節の子の総数。
(b)その節の子の節を表現する構造体のアドレスの配列。この情報が、有向枝303に相当する。
(c)当該節の名前(パラメータの名称)。
(d)後述する数値群配列における添字。
(e)当該グラフ構造301をテンプレートとして使用するときのテンプレートを特徴付ける係数。
【0089】
このほか、種々の追加情報を構造体に格納することとしても良い。また、節の名前は文字列をそのまま構造体に格納するのではなく、文字列がメモリ内で確保されているアドレスを記録する、としても良い。
【0090】
本図に示すグラフ構造301では、上述の野球チームのパラメータの階層構造が表現されており、各節302には、攻撃力、守備力、打撃力、走塁力、投手のモーションを盗む能力、走行力、滑り込みの能力、投手力、内野力、外野力、走行力、捕球力、刺殺力などのパラメータの名称が割り当てられている。なお、本図に図示されない各種のパラメータを表す節もあり、そのような節への有向枝は点線で表記している。
【0091】
また、走行力は、走塁力の子でもあり、内野手の子でもある。このように、本発明のグラフ構造においては、複数の親が同じ子を共有することがありうる。
【0092】
さて、このようなグラフ構造に対応付けられる数値群は、本実施形態では、数値の配列として表現される。本図では、複数の数値群311が配列として表記されている。
【0093】
上記のようにグラフ構造301の節302には、当該節のパラメータの数値群311の配列における添字が記録されている。すなわち、攻撃力0、守備力1、打撃力2、走塁力3、投手のモーションを盗む能力4、走行力5、滑り込みの能力6、投手力7、内野力8、外野力9、捕球力10、刺殺力11となっている。
【0094】
したがって、ある数値群311における内野力を知りたい場合には、当該数値群311の配列の8番目の要素を見れば良いことになる。
【0095】
メモリ内には、複数の数値群311が用意されているため、ユーザが数値群311同士を比較、対照したりする際には、何らかの手法で、数値群311をソートしておくと便利である。
【0096】
また、グラフ構造301は、必ずしも1つに限る必要はなく、同じ数値群311に対して複数あっても良い。異なるグラフ構造301は、その構造自体が異なっている場合もあるが、各節302に記憶される「係数」のみが異なるというのが典型的である。「係数」は、そのグラフ構造301をテンプレートとして使用する際のテンプレートを特徴付ける数値であり、あるテンプレートに基づいて数値群311をソートしたり、別のテンプレートに基づいて数値群311をソートしたりすれば、異なるソート結果が得られるため、ユーザの要望に応じて、各種のテンプレートを用意したり、作成することになる。
【0097】
尚、ソートの手法については後述する。
【0098】
さて、このようなグラフ構造301と数値群311がある状況下で、本実施形態では、数値群311を編集することとするのであるが、この際に、「編集の対象となる節302の親の節302」(以下、「編集親節」という。)を選択する。すなわち、編集親節の子の節302(以下、「編集子節」という。)が、編集の対象となるのである。
【0099】
たとえば、グラフ構造301の根の節302が編集親節である場合、編集子節は攻撃力の節302と防御力の節302である。防御力の節302が編集親節である場合、編集子節は投手力の節302、内野力の節302、外野力の節302となる。
【0100】
このように、編集親節を1つ選ぶことによって、ある一定の相補的な関係下にある編集子節の複数のパラメータをひとまとめに扱うこととして、ユーザにわかりやすく数値群311を編集できるようにするのである。
【0101】
図4は、本実施形態に係る数値群処理装置にて実行される数値群編集処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0102】
数値群編集処理が開始されると、入力受付部203は、画面にグラフ構造301の概略を表示し(ステップS401)、当該概略からユーザにいずれかの節を編集親節として選択させ(ステップS402)、当該編集親節の子の節のパラメータを編集する画面を表示し(ステップS403)、現在編集対象となっている数値群311のコピーを一時的に作成し(ステップS404)、当該パラメータのいずれかを編集する入力を受け付ける(ステップS405)。
【0103】
図5は、画面に表示されるグラフ構造の概略を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0104】
画面501の左側には、グラフ構造301の概略が表示されている。画面501の左側に示されるグラフ構造502は、図3に示すものと相似する形状であるが、途中で子の表示を省略している親節がある。親節の名称の横に「+」と書かれている場合は、その親節には子があり、子の表示を省略していることを意味する。また、「−」が書かれている場合は、子も表示されていることを意味する。
【0105】
ユーザは、コントローラ105やマウス等を利用して、グラフ構造502からいずれかの節を選択する。コントローラ105を使用して選択する場合、各種の矢印キーを使用して、画面内のカーソル504を移動させ、コントローラ105に用意されている所望の節の上にカーソル504が移動したら、○ボタンを押圧操作すると、その節が選択され、その節の状態が「+」であったならば「−」になるように、グラフ構造502の表示を更新する。
【0106】
また、ある節の上で×ボタンを押圧操作すると、現在のその節の状態が「+」であれば「−」に、現在のその節の状態が「−」であれば「+」に、それぞれグラフ構造502の表示を更新する。
【0107】
画面501の右側には、選択された編集親節の子である編集子節のパラメータがすべて星型グラフ503で表示されている。
【0108】
本図に示す例では、「内野力」が編集親節として選択されているため、「走行力」「捕球力」「刺殺力」の3つのパラメータが3角形状に星型グラフ503として表示されている。
【0109】
星型グラフ503の頂点の近傍にカーソル504を移動させて○ボタンを押圧操作すると、そのパラメータが選択され、当該パラメータに対する編集モードが開始される。このモードでは、矢印キーを利用すると、上矢印キーでは、そのパラメータの値が増え、下矢印キーでは、そのパラメータの値が減る。×ボタンを押圧操作すると、当該パラメータに対する編集モードから抜ける。
【0110】
なお、この数値の表示や編集は、このほかにも種々の手法が考えられる。たとえば、当該編集子節のそれぞれに対する数値を直接入力するものでも良いし、画面上に表示されたスライダーなどを移動させて数値を更新するものでも良い。
【0111】
さて、このようにして、ある編集子節のパラメータが編集された場合、その編集結果の数値を、ひとまずステップS404で作成したコピーに格納し(ステップS406)、もとの数値群311への編集の指示入力の反映は以下のようにして行う。
【0112】
まず、RAM 103内に用意された「更新親節」を記憶するためのコンテナ構造体に編集の対象となった編集子節を追加する(ステップS407)。コンテナ構造体としては、たとえば、スタックやキューなどを採用することができ、これらには、節302のアドレスを1個以上保持させる。追加をする処理はプッシュやエンキューである。
【0113】
次に、当該コンテナ構造体が空であるか否かを調べ(ステップS408)、空でなければ(ステップS408;No)、コンテナ構造体からいずれか一つの節302を、ポップやデキューにより取り出す(ステップS409)。
【0114】
そして、取り出された節302の、編集前の数値をメモリ内の数値群311の配列から取得し、編集後の数値をメモリ内のコピーの配列から取得して、その節の数値の変化量Δを計算する(ステップS410)。変化量Δは、後者から前者を減算することによって得られる。
【0115】
つぎに、この変化量Δを、当該ステップS409で取り出された節302(以下、「更新親節」という。)から更新親節の子の節302(以下、「更新子節」という。)のそれぞれへ配分する配分量を、規則に基づいて計算する(ステップS411)。
【0116】
この配分規則としては、以下のようなものが考えられる。以下では、更新子節の数がNであるものとする。
(a)単純に等分して配分する。すなわち、それぞれの配分量を
Δ/N,…,Δ/N
とする。
【0117】
(b)現在の更新子節の現在の値がp1,…,pNであるとしたとき、
T = Σi=1N pi
を計算して、それぞれの配分量を、
Δp1/T,…,ΔpN/T
とする。
【0118】
(c)現在の更新子節の現在の値がp1,…,pNであり、更新子節に記憶される「係数」がw1,…,wNであるとしたとき、
S = Σi=1N wipi
を計算して、それぞれの配分量を
Δw1p1/S,…,ΔwNpN/S
とする。
【0119】
(d)現在の更新子節の現在の値がp1,…,pNであり、更新子節に記憶される「係数」がw1,…,wNであり、その「係数」のうち最大のものがwHであるとき、
S' = Σi=1N fiwipi
を計算して、それぞれの配分量を
Δf1w1p1/S',…,ΔfNwNpN/S'
とする。ただし、fiは、以下のように定義される。
fi = 1,(pi≦pH);
= 0,(pi>pH)
【0120】
(e)その他、更新親節と更新子節との間の所定の関係が維持されるように、これらのパラメータの配分量を決める規則を採用する。
【0121】
さらに、計算された配分量を各更新子節に配分して、コピーの配列における当該更新子節の値にそれぞれを加算し(ステップS412)、各更新子節をコンテナ構造体に追加して(ステップS413)、ステップS408に戻る。
【0122】
なお、ステップS409において取り出された節に子がない場合は、ステップS410〜ステップS413の処理は実行する必要がなく、直ちにステップS408に戻っても良い。
【0123】
このループ処理により、有向枝303の向きに沿ってグラフ構造301内の到達可能な節302をすべて通過することになるが、上記のように、グラフ構造301に循環はないから、このループ処理は必ず終了する。したがって、ステップS408において、空であれば(ステップS408;Yes)、ユーザの編集によりグラフ構造301内の必要な節302のパラメータの更新後の結果がすべて得られたことになるので、コピーの配列の内容を編集対象の数値群311の配列に上書き転送することにより(ステップS414)、最終的な更新結果を得て、本処理を終了する。
【0124】
このように、本実施形態によれば、グラフ構造によって階層化されたある数値群を、簡単に編集するとともに、当該編集対象となった数値に関連する数値については自動的に更新されるようにして、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0125】
なお、計算部206、ソート部207は、省略可能な要素であり、これらの機能については後述する[実施例3]において説明する。
【実施例2】
【0126】
上記の手法では、ある節のパラメータが変更された場合、その節の子孫のパラメータのみが更新されることとなっていたが、本実施形態では、ある節のパラメータが変更されると、その節の「兄弟」も更新される、とする。ある節と同じ節を親とする他の節をその節の「兄弟」という。
【0127】
一般に、同じ階層にあるパラメータは、あるパラメータが増えるとほかのパラメータが減るようなトレードオフの関係にあることも多い。本実施形態は、そのような関係に対応するものである。
【0128】
すなわち、本実施形態では、ステップS411〜ステップS413の処理の後に、更新親節の兄弟について以下の処理を実行してから、ステップS408に戻るのである。
【0129】
図6は、この追加する処理の制御の流れを説明するフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0130】
ステップS413が終わったら、更新親節の変化量Δを、その兄弟のそれぞれへ配分する配分量を、規則に基づいて計算する(ステップS601)。
【0131】
この配分規則としては、上記の更新子節の場合と同様に、以下のようなものが考えられる。以下では、更新親節の兄弟の数をMとする。
【0132】
(a)単純に等分して配分する。すなわち、それぞれの配分量を
-Δ/M,…,-Δ/M
とする。
【0133】
(b)現在の兄弟の現在の値がq1,…,qMであるとしたとき、
V = Σi=1M qi
を計算して、それぞれの配分量を、
-Δq1/V,…,-ΔqM/V
とする。
【0134】
(c)現在の兄弟の現在の値がq1,…,qMであり、兄弟の節に記憶される「係数」がy1,…,yMであるとしたとき、
R = Σi=1M yiqi
を計算して、それぞれの配分量を
-Δy1q1/R,…,-ΔyMqM/R
とする。
【0135】
(d)現在の兄弟の現在の値がq1,…,qMであり、兄弟の節に記憶される「係数」がy1,…,yMであり、その「係数」のうち最大のものがyKであるとき、
R' = Σi=1M giyiqi
を計算して、それぞれの配分量を
Δg1y1q1/R',…,ΔgMyMqM/R'
とする。ただし、giは、以下のように定義される。
gi = 1,(qi≦qK);
= 0,(qi>qK)
【0136】
(e)その他、更新親節とその兄弟との間の所定の関係が維持されるように、これらのパラメータの配分量を決める規則を採用する。
【0137】
更新子節の場合と異なり、マイナスの符号がついているのは、これらがトレードオフの関係にあると想定されるからである。
【0138】
さらに、計算された配分量を各兄弟に配分して、コピーの配列における当該兄弟の節の値にそれぞれを加算し(ステップS602)、各兄弟をコンテナ構造体に追加して(ステップS603)、ステップS408に戻る。
【0139】
上記のように、有向枝303に循環がないので、本処理を追加した場合であっても、ループは必ず終了する。
【0140】
本発明によれば、単純で人間にとって理解しやすい公平な規則を用いて、順次繰り返される更新を行うため、ある節に対応付けられる数値を更新した場合のトレードオフ等の影響をユーザが想像しやすくなり、ユーザによる数値群の編集を容易にすることができる。
【0141】
なお、ある節の編集モードとそれ以外のモードとは、自由に行き来ができるようにした方が便利である。また、ある編集子節の編集モードに入っている間、ユーザの編集の指示入力に追随して、他の節の数値の更新が行われるようにすると、数値の変化がユーザにとってわかりやすい場合も多い。そこで上記のフローチャートの制御の順を適宜変更することとしても良い。
【実施例3】
【0142】
以下では、数値群311同士の順序を何らかの基準によって定める実施形態について説明する。この際には、まず、複数用意してあるグラフ構造301から、いずれかをユーザにテンプレートとして選択させて、順序を定めソートを行う。したがって、CPU 101がRAM 103等と共働して、計算部206、ソート部207として機能する。
【0143】
第1の手法は、計算部206が、テンプレートとなるグラフ構造301に含まれる節302のそれぞれについて、以下の指標をボトムアップに再帰的に計算するものである。すなわち、
(a)子を持たない節302の指標は、当該数値群311について当該節302に対応付けられて記憶部202に記憶される数値とする。
(b)子を持つ節302の指標は、その子について得られた指標を、その子に対応付けて記憶部202に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とする。
(c)根の節302の指標を、当該数値群の指標として出力する。
【0144】
ここで計算される指標は、各パラメータの重みで当該パラメータを階層ごとにグラフ構造の下から根に向かって平均をとるものであり、各節に割り当てられた重みによって、当該グラフ構造を「採点」するものである。
【0145】
第2の手法は、計算部206が、テンプレートとなるグラフ構造301と、ある選ばれた数値群311(第1の数値群)とを用いて、それ以外の数値群311(第2の数値群)との類似度を計算するものである。すなわち、
(a)子を持たない節302の類似度は、当該第1の数値群311と当該第2の数値群311について当該節に対応付けられて記憶部202に記憶される数値の積とする。
(b)子を持つ節302の類似度は、その子について得られた類似度を、その子に対応付けて記憶部202に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とする。
(c)根の節302の類似度を、当該第1の数値群311と当該第2の数値群311との類似度として出力する。
【0146】
ここで計算される指標は、ある数値群と他の数値群がどの程度似ているか、を、表わす類似度である。
【0147】
なお、これらの計算の際には、上記のfiやgiを使う手法と同様に、当該重みの最大値を乗ずる数値よりも大きい数値については、重み付き平均を計算する対象から除いて重み付き平均を計算するようにしても良い。
【0148】
重み最大のパラメータは最も重要視されるべきパラメータであるから、この値よりも大きいパラメータが偶然存在する場合には、これを無視する、というものである。
【0149】
そして、ソート部207は、このようにして計算された指標を元に数値群をソートして、出力する。
【0150】
ユーザは、このソートの結果を見れば、たとえば、あるチームと別のチームとが似ている、や、ある傾向を持つチームのうち、この傾向の度合が一番甚しいのはこのチームである、などの情報を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上説明したように、本発明によれば、あるキャラクターやチームに関するパラメータ群等、各種の数値群を階層化することによって数値群の編集や対比を容易にするのに好適な数値群処理装置、数値群処理方法、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができ、各種の認証技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】プログラムの実行により本発明の数値群処理装置を実現する典型的なゲーム用の情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る数値群処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係る数値群処理装置にて処理されるグラフ構造と数値群の様子を示す説明図である。
【図4】本実施形態に係る数値群処理装置にて実行される数値群編集処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】画面に表示されるグラフ構造の概略を示す模式図である。
【図6】追加処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0153】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
201 数値群処理装置
202 記憶部
203 入力受付部
204 第1更新部
205 第2更新部
206 計算部
207 ソート部
301 グラフ構造
302 節
303 有向枝
311 数値群
501 画面
502 グラフ構造
503 星型グラフ
504 カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の節と、ある節から他の節へを結ぶ有向枝と、を有し、有向枝をその向きにたどっても循環することはなく、任意の2つの節は結ばれないか、1つの有向枝で結ばれるか、のいずれかであり(以下、当該有向枝が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。)、所定の節(以下「根」という。)から有向枝をその向きにたどることにより、他の任意の節に到達できるグラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群を記憶する記憶部、
当該グラフ構造の節のいずれか(以下「編集親節」という。)の選択により、当該編集親節から発する有向枝の他端の節(以下「編集子節」という。)のいずれかに対応付けて記憶される数値を編集する指示入力を受け付ける入力受付部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、前記記憶部において当該編集子節のいずれかに対応付けて記憶される数値を更新する第1更新部、
当該グラフ構造の節のいずれか(以下「更新親節」という。)に対応付けて前記記憶部に記憶される数値が更新された場合、当該更新に係る数値の変分を当該編集親節に対応付けられる規則により配分した数値が、当該更新親節から発する有向枝の他端の節(以下「更新子節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値に加算されるように、前記記憶部を更新し、当該更新された更新子節のそれぞれを、新たな更新親節として前記記憶部の更新を繰り返す第2更新部
を備えることを特徴とする数値群処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の数値群処理装置であって、
前記第2更新部は、当該更新親節に対応付けられる規則として、当該変分を、当該更新子節のそれぞれに対応付けて記憶される数値により比例配分する規則を用いる
ことを特徴とする物。
【請求項3】
請求項2に記載の数値群処理装置であって、
前記第1更新部は、当該更新に係る数値の変分を当該編集子節と同じ親を有する他の節(以下「編集兄弟節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値により比例配分した数値が、当該編集兄弟節に対応付けて記憶される数値から減算されるように、前記記憶部をさらに更新する
ことを特徴とする物。
【請求項4】
請求項1に記載の数値群処理装置であって、
前記記憶部は、当該節のそれぞれに係数を対応付けた係数群をさらに記憶し、
前記第2更新部は、当該更新親節に対応付けられる規則として、当該更新に係る数値の変分を当該更新子節のそれぞれに対応付けて記憶される数値と係数との積により比例配分する規則を用い、
前記第1更新部は、前記第1更新部は、当該更新に係る数値の変分を当該編集子節と同じ親を有する他の節(以下「編集兄弟節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値と係数との積により比例配分した数値が、当該編集兄弟節に対応付けて記憶される数値から減算されるように、前記記憶部をさらに更新する
ことを特徴とする物。
【請求項5】
請求項4に記載の数値群処理装置であって、
前記記憶部に記憶される数値群に対する指標を
(a)子を持たない節の指標は、当該数値群について当該節に対応付けられて前記記憶部に記憶される数値とし、
(b)子を持つ節の指標は、その子について得られた指標を、その子に対応付けて前記記憶部に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とし、
(c)根の指標を、当該数値群の指標として出力する
ことにより計算する計算部、
前記記憶部に記憶される複数の数値群のそれぞれに対して前記計算される指標により、当該複数の数値群をソートするソート部、
をさらに備えることを特徴とする物。
【請求項6】
請求項4に記載の数値群処理装置であって、
前記記憶部に記憶される第1の数値群と第2の数値群との類似度を
(a)子を持たない節の類似度は、当該第1の数値群と当該第2の数値群について当該節に対応付けられて前記記憶部に記憶される数値の積とし、
(b)子を持つ節の類似度は、その子について得られた類似度を、その子に対応付けて前記記憶部に記憶される係数を重みとして重み付き平均を計算して得られる数値とし、
(c)根の類似度を、当該第1の数値群と当該第2の数値群との類似度として出力する
ことにより計算する計算部、
前記記憶部に記憶されるいずれかの数値群とその他の複数の数値群のそれぞれと、について前記計算される類似度により、当該その他の複数の数値群をソートするソート部
をさらに備えることを特徴とする物。
【請求項7】
請求項5または6に記載の数値群処理装置であって、
前記計算部は、当該重みの最大値を乗ずる数値よりも大きい数値については、重み付き平均を計算する対象から除いて重み付き平均を計算する
ことを特徴とする物。
【請求項8】
記憶部、入力受付部、第1更新部、第2更新部を有する数値群処理装置にて実行される数値群処理方法であって、
前記記憶部には、複数の節と、ある節から他の節へを結ぶ有向枝と、を有し、有向枝をその向きにたどっても循環することはなく、任意の2つの節は結ばれないか、1つの有向枝で結ばれるか、のいずれかであり(以下、当該有向枝が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。)、所定の節(以下「根」という。)から有向枝をその向きにたどることにより、他の任意の節に到達できるグラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群が記憶され、
前記入力受付部が、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「編集親節」という。)の選択により、当該編集親節から発する有向枝の他端の節(以下「編集子節」という。)のいずれかに対応付けて記憶される数値を編集する指示入力を受け付ける入力受付工程、
前記第1更新部が、前記入力を受け付けられた指示入力により、前記記憶部において当該編集子節のいずれかに対応付けて記憶される数値を更新する第1更新工程、
前記第2更新部が、当該グラフ構造の節のいずれか(以下「更新親節」という。)に対応付けて前記記憶部に記憶される数値が更新された場合、当該更新に係る数値の変分を当該編集親節に対応付けられる規則により配分した数値が、当該更新親節から発する有向枝の他端の節(以下「更新子節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値に加算されるように、前記記憶部を更新し、当該更新された更新子節のそれぞれを、新たな更新親節として前記記憶部の更新を繰り返す第2更新工程
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
コンピュータを、
複数の節と、ある節から他の節へを結ぶ有向枝と、を有し、有向枝をその向きにたどっても循環することはなく、任意の2つの節は結ばれないか、1つの有向枝で結ばれるか、のいずれかであり(以下、当該有向枝が始まる節を「親」、終わる節を「子」という。)、所定の節(以下「根」という。)から有向枝をその向きにたどることにより、他の任意の節に到達できるグラフ構造の節のそれぞれに数値を対応付けた数値群を記憶する記憶部、
当該グラフ構造の節のいずれか(以下「編集親節」という。)の選択により、当該編集親節から発する有向枝の他端の節(以下「編集子節」という。)のいずれかに対応付けて記憶される数値を編集する指示入力を受け付ける入力受付部、
前記入力を受け付けられた指示入力により、前記記憶部において当該編集子節のいずれかに対応付けて記憶される数値を更新する第1更新部、
当該グラフ構造の節のいずれか(以下「更新親節」という。)に対応付けて前記記憶部に記憶される数値が更新された場合、当該更新に係る数値の変分を当該編集親節に対応付けられる規則により配分した数値が、当該更新親節から発する有向枝の他端の節(以下「更新子節」という。)のそれぞれに対応付けて記憶される数値に加算されるように、前記記憶部を更新し、当該更新された更新子節のそれぞれを、新たな更新親節として前記記憶部の更新を繰り返す第2更新部
として機能させる特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−271705(P2006−271705A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95596(P2005−95596)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】