説明

整列フィーダ

【課題】 簡単かつ低コストな構成でありながら、搬送経路の途中で詰まり等を発生させることなく、搬送対象物を所定に分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダを提供する。
【解決手段】 本発明は、供給される搬送対象物を振動を利用して分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダ100(200)であって、供給される搬送対象物を振動する傾斜面122(222)に導くことで、搬送対象物に、搬送方向への搬送力(CF)と、傾斜面による重力落下成分の力(GF)と、を作用させる一方で、前記重力落下成分の力による傾斜面122(222)上の落下を規制することで搬送対象物を分別しつつ整列搬送することを特徴とする。前記規制は、傾斜面122から突出して設けられる堤体部121により、或いは仕切板221によりなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続供給(投入)される或いは一群となっている、形状やサイズ等の異なる搬送対象物(固形物)を所定に分別(分粒)して整列搬送する整列フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、自己の出願である特許文献1において、処理対象物である廃棄物に関し、廃棄物毎に取得した画像情報から廃棄物毎に形状情報、色情報彩、質感情報を取得し、これらの情報に基づいて廃棄物毎の材質を判定する廃棄物の材質判定方法及び材質判定装置を提案している。
【0003】
かかる廃棄物の材質判定方法及び材質判定装置を利用した廃棄物処理システムでは、混在して投入される種々の廃棄物を、廃棄物の材質判定結果に従って材質毎に分別して廃棄や処理するが、廃棄物の材質判定を精度良く行わせるためには、混在して投入される廃棄物を個々に独立した状態に整列させて、廃棄物の材質判定装置へ搬送することが必要となる。
【0004】
すなわち、例えば、隣接する複数の廃棄物が接触していたり重なり合っていると、個々の廃棄物の材質を精度良く判定することができず、廃棄物を材質毎に選別して後処理に送るといったことができなくなるおそれがある。
【0005】
従来、廃棄物を分別する技術として、例えば、特許文献2に記載されているような振動ふるいが知られている。
この種の装置は、ふるい(メッシュ)を振動させることで処理対象物(廃棄物など)を分粒(分級)するもので、処理対象物(廃棄物など)の搬送方向に対して異なるメッシュサイズ(粒径)のメッシュを複数配設することで(或いは異なるメッシュサイズのメッシュに交換することで)、粒径毎に分粒することができる(例えば図9参照)。
【0006】
また、特許文献3に記載されているように、処理対象物を振動させることにより移動経路上で整列させて移送することができる整列フィーダが知られている。
この種の装置は、振動により処理対象物を搬送する振動フィーダに、処理対象物を整列させる機能を付加したもので、ボウルのような収容部に処理対象物を収容し、その後振動を与えることで所定方向に処理対象物を搬送するが、振動方向や振動数の調整によって処理対象物の搬送方向を定めると共に、処理対象物の形状等を考慮したガイドを設けてそこから落下等させることで整列化せることができるように構成されている(例えば図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−38689号公報
【特許文献2】実用新案登録第3026700号公報
【特許文献3】特開平9−2642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されているような振動ふるいは、分粒した後においては対象物を搬送することができない構造であるため、分粒後の対象物を整列させて搬送するためには、別途ベルトコンベアや振動フィーダなどの搬送装置や対象物を所定に整列させるための装置などを備える必要があり、コストが増加すると共に構造が複雑化するおそれがあると共に、設置スペースの問題も生じるといった実情がある。
【0009】
また、メッシュを用いて分粒する場合、目詰まりの発生を抑制することは難しく、例えば産業廃棄物などのように比較的重量がある対象物が連続投入されるような場合には、例えば目詰まり発生をチェックするために常時人間が監視するなどの必要があり、また一旦目詰まりが発生すると、装置を停止して、比較的大掛かりで手間ひまのかかる除去作業を行う必要があるなど、作業能率を高めることは難しいといった実情がある。
【0010】
特許文献3に記載されているような整列フィーダは、一般に、形状や大きさが同じもの(パーツなど)を対象物として流し整列を行うもので、例えば産業廃棄物のような形状や大きさ、比重などが異なる種々の物体(固形物)が混在したものを対象とする場合には、以下のような実情がある。
【0011】
すなわち、対象物の相違によって搬送速度(移動速度)が異なるおそれがあるため、例えば、移動速度が速い対象物(固形物)が、移動速度が遅い対象物(固形物)に追いついて、重なったり乗り越えようとして良好に整列させることができなくなるといった実情がある。
【0012】
例えば、コンクリート塊の場合、実験では、サイズの大きい塊が、小さい塊より、相対的に移動速度が速いといった現象がみられた。なお、当該現象は、振動の方向、振幅等によって異なることがある。
【0013】
従って、特許文献3に記載されているような装置では、特許文献1に記載したような廃棄物の材質判定装置に対して、精度の高い判定を実現可能な間隔をもって処理対象物を順次搬送することができなくなるおそれが高い。
【0014】
本発明は、上述した実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストな構成でありながら、搬送経路の途中で詰まり等を発生させることなく、搬送対象物を所定に分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダ(整列搬送装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、
供給される搬送対象物を振動を利用して分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダであって、
供給される搬送対象物を振動する傾斜面に導くことで、搬送対象物に、搬送方向への搬送力と、傾斜面による重力落下成分の力と、を作用させる一方で、
前記重力落下成分の力による傾斜面上の落下を規制することで搬送対象物を分別しつつ整列搬送することを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記規制は、傾斜面から突出して設けられる堤体部によりなされることを特徴とすることができる。
【0017】
本発明において、前記堤体部の傾斜面からの突出度合いによって、重力落下成分の力による傾斜面上の落下を規制する度合いを調整して分別の度合いを調整することを特徴とすることができる。
【0018】
本発明において、前記堤体部の搬送方向途中部分に他の部分より傾斜面からの突出量が小さい部分が設けられていることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明において、前記堤体部により落下が規制されている搬送対象物のうち、所定サイズより大きなものに当接して堤体部から落下させるガイドが設けられることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明において、前記堤体部は、搬送方向幅方向に複数段配設されることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明において、前記規制は、搬送方向に延在される仕切板であって、仕切板の下端と、傾斜面上面と、の間に隙間が設けられる仕切板によりなされることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明において、前記仕切板の下端と、傾斜面上面と、の間の隙間は、搬送方向下流側に進むに従って大きくなることを特徴とすることができる。
【0023】
前記仕切板は、搬送方向に複数備えられることを特徴とすることができる。
【0024】
本発明において、搬送方向下流側の仕切板の上流端が、搬送方向上流側の仕切板の下流端に対して、傾斜面の落下方向下側にオフセットされていることを特徴とすることができる。
【0025】
本発明において、前記仕切板は、搬送方向幅方向に複数段配設されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、簡単かつ低コストな構成でありながら、搬送経路の途中で詰まり等を発生させることなく、搬送対象物を所定に分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダ(整列搬送装置)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る産業廃棄物等の選別システムの全体構成を概略的に説明するための全体構成図である。
【図2】同上実施の形態に係る選別システムの分粒整列部としての整列フィーダの一例を搬送方向下流側の斜め上方から見た斜視図である(理解し易いように、投入部、搬送部(傾斜面、各サイズの廃棄物の搬送経路等、堤体部)、排出部等を主に示している)。
【図3】同上実施の形態に係る整列フィーダを搬送方向斜め下流側から見た斜視図(右側壁150を省略している)及びその断面図(傾斜面の部分)であり、傾斜面及び堤体部による廃棄物の分別(落下)動作を説明するための図である。
【図4】同上実施の形態に係る整列フィーダを搬送方向斜め下流側から見た拡大斜視図(右側壁150を省略している)であり、ガイドによる廃棄物の落下動作を説明するための図である。
【図5】第2の実施の形態に係る選別システムの分粒整列部としての整列フィーダの一例を搬送方向下流側の斜め上方から見た斜視図である(理解し易いように、投入部、搬送部(傾斜面、各サイズの廃棄物の搬送経路等、仕切板)、排出部等を主に示している)。
【図6】同上実施の形態に係る整列フィーダを搬送方向斜め下流側から見た斜視図(右側壁250を省略している)及びその断面図(傾斜面の部分)であり、傾斜面及び仕切板による廃棄物の分別(落下)動作を説明するための図である。
【図7】同上実施の形態に係る整列フィーダを搬送方向斜め下流側から見た拡大斜視図(左側壁240を省略している)であり、仕切板を並設した場合の廃棄物の詰まりを説明するための図である。
【図8】同上実施の形態に係る整列フィーダを搬送方向斜め下流側から見た拡大斜視図(左側壁240を省略している)であり、仕切板を並設した場合の廃棄物の詰まりを抑制するためのオフセットを説明するための図である。
【図9】従来の振動ふるいの構成例を示す斜視図である。
【図10】従来の整列フィーダ(パーツフィーダ)の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0029】
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る整列フィーダ100は、図1に示すような産業廃棄物等の選別システムに利用される。
本実施の形態に係る選別システムは、概略以下のように動作する。
【0030】
(1)ステップ1
図1に示した最上流のホッパー1には、整列して搬送する対象物の一例である廃棄物が投入される。
なお、廃棄物は、建物解体工事などにより発生するコンクリート、鉄筋、内装部材、備品などを自走式の油圧ショベルやグリッパー等を備えた双腕マニュピレータ或いはその他の機器を用いて所定に粉砕、破砕などすることで所定サイズに調整されている。
廃棄物には、コンクリートガラ、鉄、アルミニウムなどの金属、プラスチック等の樹脂、木材などが含まれる。
【0031】
(2)ステップ2
ホッパー1に投入された廃棄物は、下流工程へ所定に定量供給されるように、振動フィーダ2にて山崩しされる。
【0032】
(3)ステップ3
振動フィーダ2の下流工程の振動スクリーン3では、多列の櫛により櫛刃の間隔をくぐり抜けた規格外(小径)のサイズの廃棄物を落下させて除外する。なお、例えば、振動スクリーン3の上流側半分は平板状になっており、振動フィーダ2から供給された廃棄物を分散させ廃棄物同士の重なりをある程度除去する。下流側半分が前述の櫛状に形成されている。
【0033】
(4)ステップ4
廃棄物のうち所定に磁性を有する固形物(鉄類等)は、振動スクリーン3上において、磁気吸着力を利用して磁性を有する固形物(鉄類等)を取り除く磁選機4により除去される。磁選機4により除去された磁性を有する固形物(鉄類等)は、別ルートにより所定の鉄類集合所に集められる。
但し、磁選機4によりすべての鉄類が除去されるわけではなく、面積の小さい鉄片等は除去されない可能性がある。そこで以降の材質判定部6においても鉄の識別は行われ、鉄と識別された場合は掻き出し装置7で掻き出すようになっている。すなわち、以降の廃棄物にも「鉄」は含まれる可能性がある。
【0034】
(5)ステップ5
磁性を有する固形物(鉄類等)が除かれた所定サイズの廃棄物は、振動スクリーン3により、廃棄物を所定に分粒して整列搬送する分粒整列部5(本発明に係る整列フィーダ100)へ搬送される。
かかる分粒整列部5の詳細については後述する。
【0035】
(6)ステップ6
分粒整列部5により所定に整列され所定間隔をもって個々に独立した状態にて順々に搬送されてくる個々の廃棄物は、分粒整列部5の出口近傍に配設されるベルトコンベア6Aに載置され、廃棄物の画像情報に基づく材質判定部6に搬入される。
材質判定部6は、例えば、既述した特許文献1に記載される廃棄物の材質判定装置を利用することができるが、他の材質判定装置を採用することができる。
例えば、材質判定部6では、ベルトコンベア6A上を搬送されてくる個々の廃棄物毎に画像情報を取得し、その取得した画像情報に基づいて、廃棄物毎に形状情報、色情報彩、質感情報を取得し、これらの情報に基づいて廃棄物毎に材質を判定する。
【0036】
(7)ステップ7
材質判定部6における廃棄物の材質判定結果に基づいて、掻き出し装置7が、コンクリート以外の廃棄物(鉄、アルミニウム、プラスチック等の樹脂、木材など)をベルトコンベア6A上から掻き出して、エプロンコンベア等からなる中継コンベア8へ移送する。
掻き出し装置7は、例えば、エアシリンダなどのアクチュエータ(或いはギア駆動など)により駆動されるフラップ或いはハンド状要素により、材質判定部6における廃棄物の材質判定結果に基づいて、コンクリート以外の個々の廃棄物を、個々に、中継コンベア8へ掻き出す(或いは押し出す)ことができるように構成されることができる。
【0037】
(8)ステップ8
掻き出し装置7により掻き出されたコンクリート以外の廃棄物(アルミニウム、プラスチック等の樹脂、木材など)は、中継コンベア8により、材質判定部6と同様の材質判定部9へ搬送される。
中継コンベア8は、ベルトコンベア上に所定に突出する搬送用スタンドが設けてあって、当該搬送用スタンドによって仕切られることで廃棄物が所定以上に接近することなく個々に搬送可能であると共に、廃棄物を高低方向へ搬送することも可能となっている。
【0038】
(9)ステップ9
中継コンベア8はその最下流において廃棄物を自由落下させて、シュート9Aに順次廃棄物を投入する。シュート9Aを通過した廃棄物は、ベルトコンベア9B上に載置される。
ベルトコンベア9B上の廃棄物は、材質判定部9に搬入され、材質判定部6と同様の方法で廃棄物毎に材質を判定する。
【0039】
(10)ステップ10
材質判定部9における廃棄物の材質判定結果に基づいて、鉄、アルミニウム、プラスチック等の樹脂、木材、その他の廃棄物を材質毎に選別したうえで、掻き出し装置10は、廃棄物をベルトコンベア9B上から掻き出すが、掻き出す対象である廃棄物の材質に対応した収容容器11へ各廃棄物を集めることができるように、その掻き出す方向やタイミングを制御可能に構成されている。なお、掻き出し装置10は、掻き出し装置7と同様の構成とすることができる。
【0040】
このような構成の本実施の形態に係る産業廃棄物等の選別システムによれば、建物の解体作業等により発生する廃棄物(コンクリート、鉄、アルミニウム、プラスチック等の樹脂、木材など)を、自動的に材質毎に選別して集めることが可能であり、精度良く選別された廃棄物を材質に応じた後処理等に供することができ、効率の良い後処理作業等の実現に寄与することができる。
【0041】
ここにおいて、本実施の形態に係る分粒整列部5の一例である整列フィーダ100について説明する。
【0042】
図2に示すように、本実施の形態に係る整列フィーダ100(堤体方式)には、投入部110から、整列搬送するべき対象物の一例である廃棄物が例えば連続的に投入される。
【0043】
具体的には、例えば、前処理において所定サイズに調整された廃棄物(コンクリートガラ、磁性を帯びない金属、プラスチック等の樹脂、木材など)が、振動スクリーン3から順次落下されて投入部110へ投入(供給)される。
【0044】
投入部110から投下された種々の廃棄物は、振動フィーダとして機能する搬送部120へ導かれるが、まず、投入部110から投下された廃棄物は、搬送部120に設けられる凹部120Aの断面略L字状の長辺側底部120Bなどに衝突して、断面略L字状の短辺側底部120C側へ、更には堤体部121の稜線部分121Aより図2中左側の凹部(搬送経路)122Aへ誘導される。
【0045】
なお、搬送部120の搬送方向両側は、所定高さをもって搬送方向に延びる左側壁140と右側壁150により画成されている。
また、図2に示す全体が所定周期で所定振幅にて電動モータ等を介して加振されている。
【0046】
ここで、搬送部120は振動フィーダとして機能するので、投入された廃棄物には、残存する自由落下によるエネルギに起因する搬送力と、振動により付与される搬送力と、が作用する。
【0047】
また、搬送部120は、図2の右方向が下がった傾斜面122を有している。
このため、図2、図3に示すように、搬送部120の傾斜面122上の廃棄物には、図2中右方向へ進む重力成分(落下方向成分)の力(GF)が作用する。従って、傾斜面122上においては、廃棄物には、加振による搬送力(CF)と、重力成分(落下方向成分)の力(GF)と、により、搬送方向に対して斜め方向の搬送力(RF)が作用する。
【0048】
なお、傾斜面122は、図3に示したように、搬送方向下流側が上流側よりやや低くなるように進行方向に傾いて(前傾)(振動フィーダの搬送方向への搬送力が強い場合などは、これとは逆の傾き(後傾)でも可能である)に配設可能に構成されていて、当該進行方向傾き(前傾、後傾)の角度を調整することにより、例えば所望の搬送速度が得られるようにきめ細かな調整が可能となっている。なお、搬送速度の調整は、加振力の調整や振動周波数、或いはこれらの組み合わせによっても可能である。
【0049】
ここで、前記堤体部121は、図2や図3に示すように、廃棄物が重力成分(落下方向成分)の力によって傾斜面122に沿って図2中右側の凹部(搬送経路)122B側へ転がり落ちることを規制するように機能すべく、傾斜面122から所定に突出して形成されている。
【0050】
堤体部121の稜線部分121Aに規制されて図2中左側の凹部122Aに案内されて搬送されている廃棄物のうち、堤体部121の稜線部分121Aから図2中右側へはみ出すような比較的サイズの大きい(大径の)廃棄物は、振動等に伴って、稜線部分121Aを乗り越えて図2中右側の凹部122B側へ落下されて、排出部130の大径レーン130Bへと導かれる。
【0051】
これに対して、比較的サイズが小さい(小径の)廃棄物は、堤体部121の規制を受け、堤体部121の稜線部分121Aより図2中左側の凹部122A内を搬送されて、排出部130の小径レーン(搬送経路)130Aへと導かれる。
【0052】
なお、図2や図3に示すように、堤体部121の稜線部分121Aは、搬送方向下流側において、一旦、搬送方向横方向への張り出しの小さい稜線部分121Bに変更された後、再び稜線部分121Aと同程度の張り出しを持つ稜線部分121Cを持つように構成されている。
【0053】
従って、比較的大きなサイズではあるが、最初の稜線部分121Aを乗り越えて凹部122B側へ落下することなく搬送されてきた廃棄物が、稜線部分121Aより張り出しの小さい稜線部分121Bへ移動されると、稜線部分121Bを乗り越え易くなるため、図2中右側の凹部122Bへ落下されて、大径レーン130(搬送経路)Bへと導かれることになる。
【0054】
なお、廃棄物が、稜線部分121Aから、張り出しの小さい稜線部分121Bへ移動する際に、振動による搬送対象物の重心が不安定になるため、堤体部が小さくなることで重力を受け乗り越え易くなり、比較的大きなサイズの廃棄物を、図2中右側の凹部122Bへ落下させ易くすることができる。
【0055】
更に、比較的大きなサイズではあるが、稜線部分121Bから図2中右側にはみ出してはいるが凹部122B側へ落下することなく凹部122Aに沿って搬送されてきた廃棄物は、稜線部分121Cと稜線部分121Bとの段差部分Xに、そのはみ出し部分が衝突することになって、当該衝突によって図2中右側の凹部122B側への落下が促されることになる。すなわち、かかる段差部分Xは、比較的大きなサイズの廃棄物を、図2中右側の凹部122Bへ落下させ易くすることに貢献する。
【0056】
また、堤体部121では、目的のサイズの廃棄物を凹部122B側へ落下させることができなかった場合を想定して、本実施の形態では、更にガイド123を設けている。
【0057】
ガイド123は、図2、図3、図4に示すように、稜線部分121A(121B、121C)より図2中左側の凹部122Aに沿った搬送経路の上方に、右側壁140から凹部122A方向へ所定量突出して設けられている。ガイド123の形状、取り付け高さ、突き出し量などは、図2中右側の凹部122Bへ落下させたい廃棄物のサイズに合わせて、適宜変更することができる。
【0058】
このようなガイド123によれば、図4に示したように、ガイド123に干渉する比較的背の高い廃棄物のみが凹部122Bへ誘導されることになる。
【0059】
なお、ガイド123を上流側に設けないのは、投入部110の付近は、投入直後であるため、廃棄物が比較的密な状態となっているため、ガイド123で背の高い廃棄物の搬送方向への動きに制限を加えると、周囲の小さな廃棄物を巻き込んで詰まり等を発生させてしまうおそれがあるからである。
【0060】
すなわち、比較的上流側で堤体部121によって廃棄物を分粒し、隣接する廃棄物の間隔が所定に開いたところでガイド123による分粒を行うことで、詰まり等の発生を抑制しながら確実で精度の高い分粒を行うことが可能となる。
【0061】
ところで、小さいサイズの廃棄物は、堤体部121の張り出し量による影響を受け難いため、基本的には図2中左側の凹部122Aに沿った搬送経路を進行していくが、隣接する廃棄物の干渉や振動による「跳ね」などの「不測の動き」ために、例えば稜線部分121Aを省略して初めから張り出し量の小さい稜線部分121Bとすると、稜線部分121Bの張り出し量(実験では堤体高さ(突出量)18mm)では、図2中右側の凹部122B側へ落ちてしまうケースが散見された(実験条件:振動数20Hz、振幅5.2mm、振動方向:進行方向斜め上方、進行方向の傾斜:下向き5度、傾斜板角:15度)。
【0062】
このような小さいサイズの廃棄物は、本来、凹部122B側へ落下して欲しくないため、「不測の動き」があっても落下しないように、本実施の形態では、最初は安定区間として張り出し量の大きい稜線部分121Aの区間を設けるようにして、小さいサイズの廃棄物の不測の落下を抑制するようにしている。
【0063】
また、小径レーン130Aは、搬送方向上流側に向かうに従って高さが高くなるスロープ状に形成してあり、これにより、図2中左側の凹部122Aに沿った搬送経路の端部122Cから、小さいサイズの廃棄物が、小径レーン130Aへ落下したときに「跳ね」などによって隣接する廃棄物との間で重なりが生じたり、大径レーン130B側へ飛び出してしまうようなことを抑制している。
【0064】
本発明者らは、建設廃棄物(主にコンクリート塊)の粒径約40〜300mmのものを、粒径約100mmを境に分別(分粒)する実験を行ったが、その結果、最初の堤体部(121Aの区間)を高さ(突出量)約35mmで長さ約600mmとし、A区間(121Bの区間)を高さ(突出量)約18mmで長さ約150mmとし、A区間終了後の堤体部(121Cの区間)を高さ(突出量)約35mmで長さ約130mmとしたときに、最も分別率が高かった。
【0065】
なお、堤体部121の張り出し量を、稜線部分121A(121C)の区間と、稜線部分121Bの区間と、の2段階としたが、これに限定されるものではなく、より多くの段数(3段以上)の多段に設けることも可能である。
【0066】
ただし、使用条件や要求度合い等によっては、張り出し量の小さい稜線部分121Bを省略して、堤体部121全体に亘って共通の張り出し量をもった構造を採用することもできる。
【0067】
なお、小径レーン130A、大径レーン130Bに振り分けられた廃棄物は、振動により各レーンを搬送方向下流側に向けて搬送される。
【0068】
このように、本実施の形態によれば、異なる形状、サイズが混在する廃棄物が投入されると、廃棄物は落下によるエネルギや振動フィーダによる加振力などによって所定搬送方向に搬送されるが、その搬送面の一部を構成している傾斜面122により、図2、図3等に示したように落下方向成分の力が作用することになる。
【0069】
そして、この落下方向成分の力による落下を、本実施の形態では、堤体部121により規制することで、比較的小さいサイズの廃棄物については、凹部122Aに沿って搬送方向下流側へ向けて搬送し小径レーン(搬送経路)130Aに沿って搬送方向下流側へ搬送することができる。
【0070】
この一方で、比較的大きいサイズの廃棄物については、落下方向成分の力によって堤体部121の稜線部分121A、121B、121Cを乗り越えて図2中の右側の凹部121Bへ落下させることができるため、大径レーン130Bに沿って搬送方向下流側へ搬送することができることになる。
【0071】
なお、各レーン内においては、それぞれの廃棄物は、搬送方向に沿って順に並んで搬送される。
【0072】
本実施の形態によれば、サイズに応じて分粒されているので、各レーン内において、隣接する廃棄物の下側に入り込んだりするようなことが抑制されるため、隣接する廃棄物を所定に整列した状態で搬送することができる。
【0073】
すなわち、本実施の形態によれば、異なる形状、サイズが混在する廃棄物を分粒し、分粒後の廃棄物を粒径に対応した搬送経路に整列させて搬送することができることになる。
【0074】
また、本実施の形態では、廃棄物が搬送経路の途中に詰まって、目詰まりのような現象を発生させることがないので、比較的大掛かりで手間ひまのかかる除去作業の必要がなく、また廃棄物を連続投入しても、例えば目詰まり発生をチェックするために常時人間が監視するなどの必要がないので、例えば自動運転なども可能であり、従来の装置に比べて、大幅に作業能率を高めることができる。
【0075】
なお、小径レーン130A、大径レーン130Bの各レーン内において隣接する廃棄物が搬送方向において接近して接触するような現象も想定されるが、このような場合でも、本実施の形態では、以下のような構成とすることで、後工程の材質判定部6において精度良く材質判定を行うことができるように、搬送方向において所定間隔を空けて廃棄物を材質判定部6へ送り込むことができるようになっている。
【0076】
すなわち、小径レーン130A、大径レーン130Bの下流側には、ベルトコンベア6Aを接続する構成としている。
これにより、各レーンから比較的小さいサイズの廃棄物と比較的大きいサイズの廃棄物がベルトコンベア6A上に(落下等により)供給されるが、比較的小さいサイズの廃棄物と、比較的大きいサイズの廃棄物と、は、ベルトコンベア6Aの幅方向において、区別可能に載置される。
【0077】
また、ベルトコンベア6Aの搬送速度を、整列フィーダ100(小径レーン130A、大径レーン130B)の振動による搬送速度より高速に設定することで、廃棄物が乗り移る際に近接していても、その搬送速度差によって隣接する廃棄物の間隔を広げることができるため、ベルトコンベア6Aの搬送方向における廃棄物間の間隔を所定にすることができる。
【0078】
従って、材質判定部6においては、小径レーン130Aから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができると共に、同様に、大径レーン130Bから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができることになる。
【0079】
ところで、本実施の形態では、ベルトコンベア6Aに関し、小径レーン130Aから搬出される廃棄物と、大径レーン130Bから搬出される廃棄物と、を共通のベルト上に載置する構成としたが、それぞれのレーンに対応して独立のベルトコンベアを備えるような構成とすることができる。これにより、それぞれのレーンに対応してベルトコンベアの搬送速度を独立して設定することができるため、例えば材質判定部6の材質判定精度を一層高めたい場合などにおいては有益なものとなる。
【0080】
なお、本実施の形態では、堤体部121を、廃棄物の搬送方向の幅方向において一列だけ設けた構成例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、堤体部121を搬送方向幅方向において複数列(多段)に設け、それぞれの堤体部の張り出し量などを適宜に調整して複数段の搬送経路を設けるようにすることで、大径、小径だけでなくさらに多くの段階で粒径を分け、整列化して搬送するような構成を採用することも可能である。
【0081】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、図1に示した産業廃棄物等の選別システムに利用される分粒整列部5の他の一例を示すものである。
【0082】
第2の実施の形態は、分粒整列部5として、第1の実施の形態における整列フィーダ100に代えて、整列フィーダ200を利用する以外は、第1の実施の形態において説明した産業廃棄物等の選別システムとほぼ同様であるので、システム全体としての詳細な説明は省略し、第2の実施の形態に係る整列フィーダ200についての説明のみを行うこととする。
【0083】
図5に示すように、本実施の形態に係る整列フィーダ200(仕切板方式)には、第1の実施の形態と同様に、投入部210から、整列搬送するべき対象物の一例である廃棄物が連続的に投入される。
【0084】
投入部210から投下される種々の廃棄物は、振動フィーダとして機能する搬送部220へ導かれるが、まず、投入部210から投下された廃棄物は、搬送部220の図5中仕切板221の左側の搬送経路222Aへ誘導される。
【0085】
なお、搬送部220の搬送方向両側は、所定高さをもって搬送方向に延びる左側壁240と右側壁250により画成されている。
また、図5に示す全体が所定周期で所定振幅にて電動モータ等を介して加振されている。
【0086】
ここで、搬送部220は振動フィーダとして機能するので、投入された廃棄物には、残存する自由落下によるエネルギに起因する搬送力と、振動により付与される搬送力と、が作用する。
【0087】
また、搬送部220は、第1の実施の形態の搬送部120と同様、図5の右方向が下がった傾斜面222を有している。
【0088】
このため、図5、図6に示すように、搬送部220の傾斜面222上の廃棄物には、図5中右方向へ進む重力成分(落下方向成分)の力(GF)が作用する。従って、傾斜面222上においては、廃棄物には、加振による搬送力(CF)と、重力成分(落下方向成分)の力(GF)と、により、搬送方向に対して斜め方向の搬送力(RF)が作用する。
【0089】
なお、傾斜面222は、図6等に示したように、搬送方向下流側が上流側よりやや低くなるように進行方向に傾いて(前傾)(振動フィーダの搬送方向への搬送力が強い場合などは、これとは逆の傾き(後傾)でも可能である)に配設可能に構成されていて、当該進行方向傾き(前傾、後傾)の角度を調整することにより、例えば所望の搬送速度が得られるようにきめ細かな調整が可能となっている。
【0090】
本実施の形態では、図5中仕切板221の左側の搬送経路222A内の所定以上のサイズの廃棄物が、重力方向(落下方向成分)の力によって傾斜面222に沿って図5中右側の搬送経路222B側へ転がり落ちることを規制するように、図5、図6等に示すように、傾斜面222の表面から所定高さの開口(隙間)を形成する仕切板221がフレーム部材223に取り付けられている。
【0091】
従って、図5中仕切板221の左側の搬送経路222A内を搬送されている廃棄物のうち、仕切板221の下端と傾斜面222の上面との間の開口(隙間)よりサイズが大きい(大径の)廃棄物は、その開口(隙間)を通り抜けることができないため、図5中右側の搬送通路222B側へ落下することなく、搬送経路222Aを進行して、排出部230の大径レーン230Aへと導かれる。
【0092】
これに対して、図5中仕切板221の左側の搬送経路222A内を搬送されている廃棄物のうち、仕切板221の下端と傾斜面222の上面との間の開口(隙間)よりサイズの小さい(小径の)廃棄物は、その開口(隙間)を通り抜けて図5中右側の搬送通路222B側へ落下されて、排出部230の小径レーン230Bへと導かれる。
【0093】
従って、本実施の形態に係る整列フィーダ200によれば、確実に、比較的大きいサイズ(大径)の廃棄物と、比較的小さいサイズ(小径)の廃棄物と、を分粒(分別)することができる。
【0094】
ここで、本発明者等が実験を行っている際に、仕切板221の下端と傾斜面222上面との間に形成される開口(隙間)が搬送方向に亘って同一の大きさの隙間であると、廃棄物が詰まるといった現象が散見された。
【0095】
この詰まり現象を抑制するために、本発明者等は種々の実験研究を重ねた結果、以下のような知見を得た。
【0096】
すなわち、仕切板221の下端と傾斜面222上面との間に形成される隙間が、搬送方向下流側に向かうに従ってその隙間が大きくなるように、予め角度を設けて仕切板221を取り付けるようにすることで、廃棄物の詰まりを効果的に抑制することができることを確認することができた。
【0097】
今回の実験では、粒径約100mmを境に廃棄物を分粒することとしたため、傾斜板222から仕切板221までの高さを約60mm(搬送方向上流側)から100mm(搬送方向下流側)まで変化させた。すなわち、傾斜面222に対する傾き角度が約5°となるように、仕切板221を取り付けた。
【0098】
これにより、振動の送り方向(進行方向)に隙間が広がっていくため廃棄物の詰まりを解消することができると共に、廃棄物が隙間に詰まりかけるような現象が生じても後続の廃棄物が流れてくることで詰まりかけた廃棄物が押され、詰まりが取り除かれることが確認された。
【0099】
このように、仕切板221の下端と傾斜面222上面との間に形成される隙間が、搬送方向下流側に向かうに従ってその隙間が大きくなるように仕切板221を取り付けると、仕切板221が搬送方向に沿って長尺である場合、下流側ではその隙間が過大となって、その過大となった部分は仕切板221としての機能(すなわち、分粒機能)を奏することができなくなる。
【0100】
このため、本実施の形態では、図6に詳細に示すように、仕切板221を搬送方向において複数に分割した構成としている。
【0101】
すなわち、ここでは、例えば仕切板221を搬送方向に沿って2分割として、上流側の仕切板221Aと、下流側の仕切板221Bと、を設けるようにしている。
【0102】
なお、これらの仕切板221A、221Bのそれぞれの隙間は、分粒したい廃棄物のサイズに応じて適宜設定できるが、ここでは、例えば同一の隙間221a(上流側約60mmで下流側約100mm)、221b(上流側約60mmで下流側約100mm)としている。
【0103】
これにより、例えば、粒径約100mmを境に廃棄物を精度良く確実に分粒することができる。
【0104】
ただし、単純に、上流側の仕切板221Aと、下流側の仕切板221Bと、を連設すると、図7に示すように、その接続部に廃棄物が詰まるおそれがある。
【0105】
このため、本実施の形態では、廃棄物の搬送方向の幅方向において、仕切板221Aの下流側端部と、仕切板221Bの上流側端部と、の間に隙間(オフセット)Yを設けて、廃棄物が詰まることを抑制している。
すなわち、仕切板と傾斜面の隙間角度が浅ければ浅いほど廃棄物が詰まる可能性が高くなるため、隙間角度が急な仕切板を複数並べることで詰まりを解消している。しかし、上流側の仕切板により一度広げた隙間を、下流側の仕切板によって急に狭めてしまうと当然詰まりの原因になる。そこでY方向にも隙間を設けることで詰まりを解消している。
【0106】
なお、本実施の形態では、図5等に示したように、搬送方向の幅方向において仕切板を1列として、搬送経路222A、222Bを設け、大径と小径とで分粒する構成としたが、仕切板を搬送方向幅方向において多段に設け、それぞれの隙間を適宜に調整して各段に対応した搬送経路を設けるようにすることで、大径、小径だけでなくさらに多くの段階で粒径を分け、整列化して排出することも可能である。
【0107】
なお、大径レーン230A、小径レーン230Bの各レーン内においては、それぞれの廃棄物は、搬送方向に沿って順に並んで搬送される。
【0108】
本実施の形態によれば、サイズに応じて分粒されているので、各レーン内において、隣接する廃棄物の下側に入り込んだりするようなことが抑制されるため、隣接する廃棄物を所定に整列した状態で搬送することができる。
【0109】
すなわち、本実施の形態によれば、異なる形状、サイズが混在する廃棄物を分粒し、分粒後の廃棄物を粒径に対応した搬送経路に整列させて搬送することができることになる。
【0110】
また、本実施の形態では、廃棄物が搬送経路の途中に詰まって、目詰まりのような現象を発生させることが抑制されているので、比較的大掛かりで手間ひまのかかる除去作業が必要となるケースも少なく、また廃棄物を連続投入しても、例えば目詰まり発生をチェックするために常時人間が監視する必要性も低いので、例えば自動運転なども可能であり、従来の装置に比べて、大幅に作業能率を高めることができる。
【0111】
なお、本実施の形態において、大径レーン230A、小径レーン230Bの各レーン内において隣接する廃棄物が搬送方向において接近して接触するような現象も想定されるが、本実施の形態においても、大径レーン230A、小径レーン230Bの下流側には、ベルトコンベア6Aが接続されるので、これにより、各レーンから比較的小さいサイズの廃棄物と比較的大きいサイズの廃棄物がベルトコンベア6A上に(落下等により)供給されるが、比較的小さいサイズの廃棄物と、比較的大きいサイズの廃棄物と、は、ベルトコンベア6Aの幅方向において区別可能である。
【0112】
また、ベルトコンベア6Aの搬送速度を、整列フィーダ200(大径レーン230A、小径レーン230B)の振動による搬送速度より高速に設定することで、廃棄物が乗り移る際に近接していても、その搬送速度差によって隣接する廃棄物の間隔を広げることができるため、ベルトコンベア6Aの搬送方向における廃棄物間の間隔を所定にすることができる。
【0113】
従って、材質判定部6においては、小径レーン130Aから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができると共に、同様に、大径レーン130Bから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができることになる。
【0114】
本実施の形態において、ベルトコンベア6Aに関し、大径レーン230Aから搬出される廃棄物と、小径レーン230Bから搬出される廃棄物と、を共通のベルト上に載置する構成としたが、それぞれのレーンに対応して独立のベルトコンベアを備えるような構成とすることができる。これにより、それぞれのレーンに対応してベルトコンベアの搬送速度を独立して設定することができるため、例えば材質判定部6の材質判定精度を一層高めたい場合などにおいては有益なものとなる。
【0115】
なお、本発明に係る第1、第2の実施の形態によれば、以下のような特有の効果を奏することができる。
(1)異なる形状、大きさの固形物(廃棄物)を搬送しながら大きなサイズ(大径)、小さなサイズ(小径)に分けて排出できる(ふるいが不要)。
(2)堤体部や仕切板を搬送方向幅方向において複数段にすることで任意の段階に廃棄物のサイズを分別することができる。
(3)上記により、大径、小径に分けることで搬送の過程で廃棄物同士の重なりや乗り越えなどを抑制できるので搬送方向における廃棄物の整列化が可能である。
(4)図1に示したような選別システムにおいて、ふるいとしての機能、搬送する機能、整列させる機能を整列フィーダ100(200)の1台で奏することができるため、システムを構成する装置の台数を減らすことができるため、システム全体をコンパクト化を促進することができると共に、コストも削減できる。
(5)整列フィーダ100(200)は、上流から下流へ高低差を利用して搬送、分粒、整列を行うため、振動ふるいのように下方に別途搬送装置や整列装置を設ける必要がないため、システムを構成する装置の台数を減らせると共にシステム全体の高さを削減することができる。
(6)システムを構成する装置の台数を減らせるため、モータ等の動力源や可動部分を減らせることができるので、システム全体の騒音を低減することができる。
【0116】
ところで、第1の実施の形態において、左側壁140を中心として面対象に、整列フィーダ100を対面させて配設するようなレイアウトを採用することも可能である。なお、その場合には、例えば、左側壁140を省略するような構成とすることもできる。
【0117】
同様に、第2の実施の形態において、左側壁240を中心として面対象に、整列フィーダ200を対面させて配設するようなレイアウトを採用することも可能である。なお、その場合には、例えば、左側壁240を省略するような構成とすることもできる。
【0118】
また、各実施の形態では、廃棄物を分粒、整列搬送の対象として説明したが、これに限定されるものではなく、廃棄物以外の固形物を対象とすることができるものである。
【0119】
以上で説明した本発明に係る実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0120】
100 整列フィーダ(第1の実施の形態)
110 投入部
120 搬送部
121 堤体部
121A 稜線部分
121B 稜線部分
121C 稜線部分
122 傾斜面
122A 凹部(搬送経路:小サイズ側)
122B 凹部(搬送経路:大サイズ側)
123 ガイド
130 排出部
130A 小径レーン
130B 大径レーン
200 整列フィーダ(第2の実施の形態)
210 投入部
220 搬送部
221 仕切板
221A 搬送方向上流側仕切板
221B 搬送方向下流側仕切板
221a 仕切板221A側隙間(開口)
221b 仕切板221B側隙間(開口)
222A 搬送経路(大サイズ側)
222B 搬送経路(小サイズ側)
230 排出部
230A 大径レーン
230B 小径レーン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される搬送対象物を振動を利用して分別しつつ整列搬送することができる整列フィーダであって、
供給される搬送対象物を振動する傾斜面に導くことで、搬送対象物に、搬送方向への搬送力と、傾斜面による重力落下成分の力と、を作用させる一方で、
前記重力落下成分の力による傾斜面上の落下を規制することで搬送対象物を分別しつつ整列搬送することを特徴とする整列フィーダ。
【請求項2】
前記規制は、傾斜面から突出して設けられる堤体部によりなされることを特徴とする請求項1に記載の整列フィーダ。
【請求項3】
前記堤体部の傾斜面からの突出度合いによって、重力落下成分の力による傾斜面上の落下を規制する度合いを調整して分別の度合いを調整することを特徴とする請求項2に記載の整列フィーダ。
【請求項4】
前記堤体部の搬送方向途中部分に他の部分より傾斜面からの突出量が小さい部分が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の整列フィーダ。
【請求項5】
前記堤体部により落下が規制されている搬送対象物のうち、所定サイズより大きなものに当接して堤体部から落下させるガイドが設けられることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1つに記載の整列フィーダ。
【請求項6】
前記堤体部は、搬送方向幅方向に複数段配設されることを特徴とする請求項2〜請求項5の何れか1つに記載の整列フィーダ。
【請求項7】
前記規制は、搬送方向に延在される仕切板であって、仕切板の下端と、傾斜面上面と、の間に隙間が設けられる仕切板によりなされることを特徴とする請求項1に記載の整列フィーダ。
【請求項8】
前記仕切板の下端と、傾斜面上面と、の間の隙間は、搬送方向下流側に進むに従って大きくなることを特徴とする請求項7に記載の整列フィーダ。
【請求項9】
前記仕切板は、搬送方向に複数備えられることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の整列フィーダ。
【請求項10】
搬送方向下流側の仕切板の上流端が、搬送方向上流側の仕切板の下流端に対して、傾斜面の落下方向下側にオフセットされていることを特徴とする請求項9に記載の整列フィーダ。
【請求項11】
前記仕切板は、搬送方向幅方向に複数段配設されることを特徴とする請求項7〜請求項10の何れか1つに記載の整列フィーダ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−26126(P2011−26126A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−156589(P2010−156589)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18〜22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト建設系産業廃棄物処理RTシステム(特殊環境用ロボット分野)次世代マニピュレータによる廃棄物分離・選別システムの開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【Fターム(参考)】