説明

文字入力支援装置、文字入力支援方法および携帯端末装置

【課題】場所の違いに応じた入力支援を個々のユーザの違いに対応して行う
【解決手段】文字入力支援装置は、入力手段110と、位置情報を取得するための位置情報処理部12と、文字予測変換の候補及び候補ごとの優先度をユーザの設定入力に応じて地域別に記憶した複数の地域別ユーザ辞書141、142、143と、位置情報処理部12により取得された位置情報に対応する地域別ユーザ辞書141、142、143を選択する地域辞書選択手段160と、選択された地域別ユーザ辞書141、142、143を用いた予測変換を行う予測変換部170と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文字入力支援装置、文字入力支援方法および携帯端末装置に関する。詳しくは、入力文字から変換候補を予測してユーザの文字入力を支援する文字入力支援装置、文字入力支援方法および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予測変換機能を有する端末装置が知られている。この端末装置は、ユーザが入力したい単語や文節等の最初の数文字を入力した場合に、入力された文字を含む単語や文節をデータベースから検索して、予測変換候補として提示する。ユーザは提示された数種類の予測変換候補の中からユーザが入力したいものを選択すればよい。これにより、ユーザの文字入力動作が簡略化される。
また近年の端末装置は、多機能、大画面化しており、さらに、GPS(Global Positioning System)機能を有したものが増加している。このような端末装置において、GPSから得られた位置情報を利用して、位置に応じた変換候補を提示する試みがなされている。
【0003】
特許文献1には、文字入力において地域に応じた適切な情報を提供する文字入力支援システムに関する技術が記載されている。これによると、端末装置の属する地域が変化した場合に、端末装置は基地局を介してその地域に対応する地域辞書データを受信し、入力文字変換の際において地域辞書データを参照する。これによりユーザは、その地域で特有の読みのために一般に入力が困難な地名等を、容易に入力することができる。
その他、特許文献2から特許文献5にも同様の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−303186号公報
【特許文献2】特開2003−330916号公報
【特許文献3】特開2004−185200号公報
【特許文献4】特開2007−108971号公報
【特許文献5】特開2010−113432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たしかに特許文献1から特許文献5に記載の技術によれば、端末装置の位置に応じて地名の入力などについては入力支援を受けられる。しかし、場所を移動したときにユーザが入力したい情報は地名だけではない。たとえば、大阪に移動すれば大阪の取引先や友人の名前を頻繁に入力することになり、東京に移動すれば、東京でよく利用するホテルや親戚の名前を入力したりする。
ユーザのニーズは個々人で様々であり、地域別に設定されたサーバ辞書からの支援だけでは、個々のユーザのニーズに細かく応えられるものではない。
したがって、ユーザはなお文字入力に不便をきたしていた。
【0006】
本発明は、場所の違いに応じた入力支援を個々のユーザの違いに対応して行うことができる文字入力支援装置および文字入力支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる入力支援装置は、入力手段と、位置情報を取得するための位置情報処理部と、文字予測変換の候補及び候補ごとの優先度をユーザの設定入力に応じて地域別に記憶した複数の地域別ユーザ辞書と、前記位置情処理部により取得された位置情報に対応する前記地域別ユーザ辞書を選択する地域辞書選択手段と、前記選択された地域別ユーザ辞書を用いた予測変換を行う予測変換部と、を備える。
【0008】
また本発明にかかる文字入力支援方法は、文字を入力し、位置情報を取得し、入力された文字から行う文字予測変換の候補及び候補ごとの優先度を地域別に記憶した複数の地域別ユーザ辞書として記憶し、位置情報に対応する前記地域別ユーザ辞書を選択し、前記選択された地域別ユーザ辞書を用いた予測変換を行う。
【0009】
また本発明にかかる携帯端末装置は、前記文字入力支援装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
ユーザの場所が移った場合でも、場所ごとのユーザのニーズに応じた変換予測を行い、文字入力動作を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる端末装置100のブロック図。
【図2】実施の形態1において、地域別ユーザ辞書データベース140の構成を示す図。
【図3】実施の形態1において、端末装置100が行う動作の概略を示す図。
【図4】実施の形態1において、文字変換候補を登録するための処理手順を示すフローチャート。
【図5】実施の形態1において、予測変換部170にユーザ辞書を設定する際のフローチャート。
【図6】実施の形態1において、予測変換を行う際のフローチャート。
【図7】変形例1を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、端末装置100のブロック図である。以下、図1を用いて説明する。
【0013】
端末装置100は、入力手段110と、位置情報処理部12と、地域別ユーザ辞書機能部14と、予測変換処理部17と、表示指示部190と、表示手段200と、通話機能部210と、を備える。端末装置100は、典型的にはユーザが携帯する携帯電話機などの携帯端末装置である。
【0014】
入力手段110は、端末装置100のユーザが操作することで文字入力を行うための手段である。典型的には入力手段110は、キーボード、ポインティングデバイス、あるいはタッチパネルで構成されるが、これらの例に限られない。
入力手段110は、ユーザの操作により入力された文字情報を、予測変換処理部17と、地域別ユーザ辞書機能部14に出力する。
【0015】
位置情報処理部12は、端末装置自身の位置を算出し、端末装置100が現在いる地域を地域別ユーザ辞書機能部14に知らせる。位置情報処理部12は、位置情報取得手段120と、地域算出手段130と、を備える。
【0016】
位置情報取得手段120は、典型的にはGPSにより位置情報を取得する手段である。位置情報取得手段120は、例えばアンテナを備え、該アンテナを介して3箇所以上のGPS衛星と通信を行うことにより、端末装置100の現在地を算出する。なお位置情報を取得する方法は、GPSに限られない。例えば位置情報取得手段120は、端末装置100の外部に設けられている基地局と通信を行うことにより、該基地局から位置情報を取得しても良い。
位置情報取得手段120は、取得した位置情報を地域算出手段130に出力する。
なお、アンテナは位置情報以外の情報の送受信に用いても良い。
【0017】
地域算出手段130は、端末装置の位置を地域単位で求める。
すなわち、地域算出手段130は、位置情報取得手段120から入力された位置情報に基づき、端末装置100がどの地域に属しているかを算出する手段である。例えば位置情報取得手段120により、神奈川県川崎市内の場所(例えば川崎市1丁目○番地○号付近)が位置情報として取得されていた場合には、地域算出手段130は、端末装置100が「神奈川県川崎市」の地域に属するとする。なお地域算出手段130が算出する地域の広さの単位は、例えば県、市、区などであるがこれらに限られない。例えば、「関東」「近畿」といった広い地域としても良く、「一丁目」「二丁目」「自宅内」など、より狭い地域としても良い。また地域算出手段130は、典型的には1つの「地域」を算出して求めるが、1つの位置情報から、「神奈川県」「神奈川県川崎市」「神奈川県川崎市中原区」といった広さが異なる複数の地域を算出しても良い。
地域算出手段130は、算出した地域の情報を地域別ユーザ辞書機能部14に出力する。
【0018】
地域別ユーザ辞書機能部14は、ユーザ設定による地域別辞書を有し、端末装置100の現位置(地域)情報に応じた地域別辞書を選択設定する。地域別ユーザ辞書機能部14は、地域別ユーザ辞書データベース140と、地域別ユーザ辞書設定手段150と、地域辞書選択手段160と、を備える。
【0019】
地域別ユーザ辞書データベース140には、地域別に設けられた辞書が複数登録されている。図2に、地域別ユーザ辞書データベース140の構成例を示す。地域別ユーザ辞書データベース140は、例えば、東京都に関連付けられた地域別ユーザ辞書(東京都辞書)141、神奈川県横浜市と関連付けられた地域別ユーザ辞書(横浜市辞書)142、神奈川県川崎市と関連付けられた地域別ユーザ辞書(川崎市辞書)143を有している。それぞれの地域別ユーザ辞書141、142、143には、ユーザが登録した変換候補の文字列と、変換候補の文字列の優先度が登録されている。例えば地域別ユーザ辞書(川崎市辞書)143には、「す」から始まる文字列として、「鈴木」「菅原」といった川崎市に在住している友人等の名称や、「杉田商事」といった川崎市にある取り引き企業名が、それぞれ優先度とともに記憶されている。
なお地域別ユーザ辞書の数は、3つに限られず、もっと多くてもよいことはもちろんである。
【0020】
地域別ユーザ辞書設定手段150は、地域別ユーザ辞書データベース140に地域別ユーザ辞書141、142、143を設定する。具体的には、ユーザは入力手段110を操作し、地域別ユーザ辞書設定手段150に、地域ごとの変換候補およびその変換候補の優先度を入力する。たとえば、地域別ユーザ辞書(川崎市辞書)143に「鈴木」「1」などと入力する。地域別ユーザ辞書設定手段150は、入力された変換候補「鈴木」および変換候補の優先度「1」を地域別ユーザ辞書(川崎市辞書)143に登録する。変換候補および変換候補の優先度の登録方法については、後に詳述する。
【0021】
地域辞書選択手段160は、地域算出手段130から入力された地域の情報を地域別ユーザ辞書データベース140に出力し、該地域と関連する地域別ユーザ辞書を探索する。地域辞書選択手段160は、探索により抽出された地域別ユーザ辞書を地域別ユーザ辞書データベース140から受け取り、受け取った地域別ユーザ辞書を予測変換処理部17にロードする。
なお地域辞書選択手段160は、地域別ユーザ辞書データベース140に地域算出手段130で算出された地域に関連付けられた地域別ユーザ辞書が無い場合には、その旨を予測変換処理部17に出力する。
【0022】
予測変換処理部17は、地域別ユーザ辞書141、142,143を用いた予測変換を行う。予測変換処理部17は、予測変換部170と、変換候補検索手段180と、を備える。
【0023】
予測変換部170には、地域辞書選択手段160により地域別ユーザ辞書141、142、143が設定される。例えばユーザが川崎市内にいるときには、予測変換部170には、川崎市に関連付けられた地域別ユーザ辞書143がロードされる。予測変換部170は、地域別ユーザ辞書に記憶されている予測変換候補をその優先度の高い順に抽出し、予測変換データとする。
なお予測変換部170には、標準辞書171が付設されており、地域別ユーザ辞書に加えて標準辞書も用いて文字列を検索する。
【0024】
変換候補検索手段180は、入力文字出力手段181と予測変換データ受け取り部182と、を有している。入力文字出力手段181は、入力手段110により入力された文字を予測変換部170に出力する。すると予測変換部170は、予測変換候補を優先度順に抽出し、予測変換データとして出力する。予測変換データ受け取り部182は、予測変換部170によって抽出された予測変換データを受け取る。
予測変換データ受け取り部182は、受け取った予測変換データを表示指示部190に出力する。
【0025】
表示指示部190は、予測変換データ受け取り部182から入力された予測変換データを表示するように表示手段200に指示を出す。
【0026】
表示手段200は、例えば端末装置100に設けられた液晶パネルである。表示手段200は、表示指示部190から入力された指示に基づいて予測変換データを表示する。
例えばユーザは、表示手段200に表示された予測変換データから、入力手段110を用いて任意の1つを選択することで、予測変換を用いた文字入力を行うことができる。
【0027】
通話機能部210は、端末装置100が他の通信端末と通信するための機能を有している。例えば、通話機能部210は、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路と、プログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する記憶装置等を有し、入力音声をデジタル信号へ変換して送信する機能や、他の通信端末から受信したデジタル信号を音声信号に変換して出力する。その他、メール送受信、インターネット通信機能を有していてもよい。
【0028】
次に、端末装置100の動作について説明する。図3は、端末装置100で行われる処理フローである。
端末装置100が行う工程としては、地域別ユーザ辞書を作成する工程(ST10)と、場所に応じた地域別ユーザ辞書を設定する工程(ST20)と、ユーザの文字入力支援を行う工程(ST30)と、がある。以下、各手順について詳述する。
【0029】
まず、地域別ユーザ辞書の作成(ST10)について説明する。図4は、地域別ユーザ辞書を作成するフローチャートである。
【0030】
ユーザは、入力手段110の操作により、地域別辞書設定機能を呼び出す(ST110)。地域別辞書設定機能とは、地域別ユーザ辞書設定手段150により地域別ユーザ辞書141、142、143の登録を行う機能である。
【0031】
ユーザは、地域別ユーザ辞書を設定したい地域を選択する(ST120)。例えば表示手段200には、選択できる地域の一覧表示や地域の検索画面が表示され、ユーザが設定したい地域を自由に選択することができるようになっていることが望ましい。
【0032】
ユーザは、地域別ユーザ辞書データベース140に予測変換の候補を設定する(ST130)。具体的には、ユーザは入力手段110を用いて予測変換候補として登録したい文字列を入力する。地域別ユーザ辞書設定手段150は、入力手段110で入力された文字列を予測変換候補として地域別ユーザ辞書データベース140に出力する。このとき地域別ユーザ辞書設定手段150は、ST120で設定された地域に関連付けられた地域別ユーザ辞書に登録する。
例えば川崎市に関連付けられた地域別ユーザ辞書143において、文字列「す」の予測変換候補として「鈴木」「菅原」「杉田商事」の文字列を登録する。なお典型的には、予測変換候補として、漢字やひらがなやカタカナを使用して表示したい文字列そのものを登録するほか、入力した予測変換候補をひらがなやカタカナのみの読み仮名に変換した文字列を登録しておく。
【0033】
また地域別ユーザ辞書設定手段150は、ユーザの入力設定に応じて、各予測変換候補にそれぞれ優先度を設定する(ST140)。例えば、図2に示したように「鈴木」「菅原」「杉田商事」の順に優先度を高く設定する。
【0034】
ユーザは、予測変換候補の設定が完了したら、地域別辞書設定機能を終了する(ST150)。
これによりユーザは、予測変換候補とその優先度を地域辞書に関連付けられた状態で地域別ユーザ辞書データベース140に設定することができる。
【0035】
次に、端末装置100の場所に応じた地域別ユーザ辞書を予測変換部170に設定する方法(ST20)について説明する。図5は、地域別ユーザ辞書を予測変換部170に設定するフローチャートである。
【0036】
位置情報取得手段120は、位置情報を取得する(ST210)。典型的には、位置情報取得手段120はGPS機能により数個のGPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星からの電波の発信時間と、位置情報取得手段120による受信時間との差などを利用して、端末装置100の位置を算出する。
なお位置情報の取得は、逐次行うほか、一定時間ごとに行っても良く、ユーザによる手動操作に基づき任意のタイミングで行っても良い。
【0037】
次に、前記取得した位置情報が前回取得した位置情報と同じか否かを判定する(ST220)。すなわち、前回位置情報を取得した際の端末装置100の位置と今回の位置情報の取得時の端末装置100の位置とが同一であるか否かを判定する。この判断は位置情報取得手段120によって行ってもよい。同一と判定された場合には(ST220でYES)、現在の設定を継続し(ST230)、処理を終了する。同一と判定される場合には、前回の位置情報の取得またはそれ以前に、予測変換部170に該地域に関連づけられた地域別ユーザ辞書が設定されているためである。
端末装置100が移動した場合には、同一と判定されない(ST220でNO)。このとき、端末装置100の属する地域が、前回位置情報を取得した際の地域と異なる場合があるため、確認する必要がある。したがって以下の処理を行う。
【0038】
位置情報取得手段120により取得した位置情報から、地域算出手段130により地域を特定する(ST240)。このとき地域の単位は、あらかじめ地域別ユーザ辞書データベース140に設定されている地域ごととする。
【0039】
地域辞書選択手段160は、地域別ユーザ辞書データベース140から、ST240で特定された地域に関連付けられた地域別辞書データを選択する(ST250)。例えば、地域算出手段130により算出された場所が神奈川県川崎市であり、地域別ユーザ辞書データベース140に川崎に関連付けられた地域別ユーザ辞書143が存在している場合には、地域辞書選択手段160は地域別ユーザ辞書143を選択する。
【0040】
ST250で選択した辞書が、すでに予測変換部170に設定されている場合には、処理を終了する(ST260でYES)。ST250で選択した辞書が予測変換部170に登録されていない状態であれば、ST270に進む(ST260でNO)。ここで、ST250で選択した辞書が予測変換部170に登録されていない状態とは、例えば端末装置100が他の地域から現在の地域に移動してから、初めてST260の処理を行う場合である。例えば川崎市からいったん大阪に移動して、予測変換部170に大阪の辞書が設定された後に、川崎市に戻ってきた場合である。
【0041】
予測変換部170に、地域別ユーザ辞書を設定する(ST270)。例えば、地域算出手段130により算出された地域が「神奈川県川崎市」であり、地域別ユーザ辞書データベース140に神奈川県川崎市と関連付けられた辞書がある場合には、地域別ユーザ辞書143が予測変換部170に設定される。
【0042】
これにより、位置情報取得手段120に基づいて算出した地域に関連付けられた地域別ユーザ辞書を予測変換辞書として設定することができる。
【0043】
次に、ユーザの文字入力を支援する工程(ST30)について説明する。図6は、ユーザによる文字入力に基づき、表示手段に予測変換された文字を出力するための処理手順を示す。
【0044】
ユーザは入力手段110を操作し、文字入力を行う(ST310)。入力された文字は、入力文字出力手段181を介して、予測変換部170に出力される(ST320)。
【0045】
予測変換部170は、入力文字出力手段181から入力された文字に基づいて、変換候補を抽出する(ST330)。ここで例えば端末装置100は神奈川県川崎市にあり、予測変換部170には川崎に関連付けられた地域別ユーザ辞書143が設定されているものとする。そしてユーザが、最初の1文字目として「す」を入力したものとする。
予測変換部170には「鈴木」「菅原」「杉田商事」の順に登録されており、他の予測変換候補はこれらの文字列より優先度が低い状態で登録されている。ここで他の予測変換候補とは、ユーザにより設定されていない文字列であり、例えば標準辞書から導出された予測変換候補である。
【0046】
予測変換データ受け取り部182は、予測変換部170から予測変換候補を受け取る(ST340)。このとき予測変換データ受け取り部182は、予測変換部170から予測変換候補の優先度に基づく表示順の通りに、予測変換候補を受け取る。
【0047】
表示指示部190は、予測変換データ受け取り部182が受け取った予測変換候補を、表示手段200が表示するよう指示を出す(ST350)。
表示手段200は、表示指示部190からの指示に基づいて予測変換候補を表示する(ST360)。このとき、予測変換候補の「鈴木」「菅原」「杉田商事」が、ユーザの操作により選択しやすい上部に表示される。その他の予測変換候補は、例えば「鈴木」「菅原」「杉田商事」よりも、選択に手間のかかる下部に表示される。これにより、ユーザが「す」を選択した場合に、川崎でよく入力する「鈴木」「菅原」「鈴木商事」を簡便、迅速に入力することができる。
【0048】
本実施形態によれば次のような効果を奏する。
ユーザは地域に関連付けられた地域別ユーザ辞書141、142、143に地域別によく使用する文字変換候補を設定することができる。これにより、ユーザがよく使用する単語、文字列が地域ごとに違っていた場合であっても、各地域に応じた最適の予測変換により、簡便、迅速に文字入力を行うことができる。
【0049】
辞書の設定は地域算出手段130を用いて「地域」ごとに行う。ある程度の範囲を持った地域ごとに辞書を作成し、地域ごとに使用頻度の異なる語を設定できる。
地域の広さもユーザが選択設定することができる。これにより各ユーザのニーズに応えることができる。
【0050】
ユーザにより設定された優先度が高い文字変換候補を表示順のトップに表示する。これにより、各地域において、ユーザが登録した文字変換候補を優先的に表示し、ユーザによる文字入力動作を削減することができる。
【0051】
位置情報取得手段120で位置情報を取得し地域算出手段130で地域を算出した結果に基づき、地域辞書選択手段160により地域別ユーザ辞書を選択する。これにより、端末装置100が移動した場合であっても、自動で地域別ユーザ辞書を設定することができる。ユーザが地域の移動に伴い複数の単語辞書から適用する単語辞書を手動選択するのは面倒かつ非現実的であるのに比べ、本実施の形態による方法は簡便で容易である。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、地域別ユーザ辞書141、142、143には、ユーザが登録した変換候補の文字列および優先度の他、一般的に用いる語を記憶した標準辞書の内容が登録されていてもよい。また、予測変換処理部17ではあらかじめ標準辞書171を有さず、地域別ユーザ辞書データベース140が標準辞書を有しておき、地域辞書選択手段160は地域別ユーザ辞書の設定と合わせて、標準辞書を予測変換部170に設定するものとしてもよい。
地域算出手段130が1つの位置情報から複数の地域を算出する場合であって、地域別ユーザ辞書データベース140が該複数の地域にそれぞれ関連付けられた地域別ユーザ辞書を有している場合には、地域辞書選択手段160がいずれの地域に関連付けられた地域別ユーザ辞書を優先的に選択するかをあらかじめユーザが設定できるようにしてもよい。
さらには、学習機能を備えていてもよいことはもちろんであり、ユーザによるユーザ辞書の設定内容にユーザの実際の文書作成傾向を加味することで、より適切な予測変換を提供できる。
【0053】
本発明は図7に示すように、入力手段110と、位置情報処理部12と、地域別ユーザ辞書141、142、143と、地域辞書選択手段160と、予測変換部170と、で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 端末装置
110 入力手段
12 位置情報処理部
120 位置情報取得手段
130 地域算出手段
14 地域別ユーザ辞書機能部
140 地域別ユーザ辞書データベース
141 地域別ユーザ辞書
142 地域別ユーザ辞書
143 地域別ユーザ辞書
150 地域別ユーザ辞書設定手段
160 地域辞書選択手段
17 予測変換処理部
170 予測変換部
171 標準辞書
180 変換候補検索手段
181 入力文字出力手段
182 予測変換データ受け取り部
190 表示指示部
200 表示手段
210 通話機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と、
位置情報を取得するための位置情報処理部と、
文字予測変換の候補及び候補ごとの優先度をユーザの設定入力に応じて地域別に記憶した複数の地域別ユーザ辞書と、
前記位置情報処理部により取得された位置情報に対応する前記地域別ユーザ辞書を選択する地域辞書選択手段と、
前記選択された地域別ユーザ辞書を用いた予測変換を行う予測変換部と、を備える、
文字入力支援装置。
【請求項2】
前記位置情報処理部は、現在の位置の情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報に基づいて、本装置が属する地域を算出する地域算出手段と、を備える、
請求項1に記載の文字入力支援装置。
【請求項3】
前記地域辞書選択手段は、前記地域算出手段にて算出された地域に対応する前記地域別ユーザ辞書を選択する、
請求項1又は請求項2に記載の文字入力支援装置。
【請求項4】
前記予測変換部は標準辞書を備え、入力された文字に基づき地域別ユーザ辞書と標準辞書を用いた予測変換を行う、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の文字入力支援装置。
【請求項5】
前記標準辞書から抽出された候補よりも、前記地域別ユーザ辞書から抽出された候補の優先度を高く表示する、
請求項4に記載の文字入力支援装置。
【請求項6】
前記地域別ユーザ辞書を作成するための前記地域の広さは、ユーザによって選択可能である、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の文字入力支援装置。
【請求項7】
文字を入力し、
位置情報を取得し、
入力された文字から行う文字予測変換の候補及び候補ごとの優先度を地域別に記憶した複数の地域別ユーザ辞書として記憶し、
位置情報に対応する前記地域別ユーザ辞書を選択し、
前記選択された地域別ユーザ辞書を用いた予測変換を行う、
文字入力支援方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6に記載の文字入力支援装置を有する携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−99008(P2012−99008A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247608(P2010−247608)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】