文字列変換装置、文字列変換方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体
【課題】文章の生成を効果的に行うことを可能とすること。
【解決手段】記憶部16が、文章の生成に用いられる文字列を記憶し、文字列変換部20が、入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部16に記憶された文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する文字列を検索し、検索された文字列を選択可能に表示部13に表示させ、表示された文字列の中から1つの文字列が選択された場合に、選択された文字列を出力する。
【解決手段】記憶部16が、文章の生成に用いられる文字列を記憶し、文字列変換部20が、入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部16に記憶された文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する文字列を検索し、検索された文字列を選択可能に表示部13に表示させ、表示された文字列の中から1つの文字列が選択された場合に、選択された文字列を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力文字列を変換する文字列変換装置、文字列変換方法、その文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末が飛躍的に普及している。これらの携帯端末上で多く文字を入力する場合、少ない操作回数で目的とする文字列、特に、なるべく長い文字列を入力できる方法が求められている。
【0003】
そのための方法として、操作者が文字列を登録する方法が挙げられる。この方法では、操作者が予めよく使用すると考える文字列を、所定の手順で携帯端末に登録しておく。そして、操作者が携帯端末で文章を編集する時に、登録した文字列のリストを画面に表示させ、その中から選択した文字列を編集中の文章に挿入する。しかし、この方法は、操作者が予め文字列の登録をする必要があるため、手間がかかるという問題がある。
【0004】
そのため、受信電子メールの文章を所定の条件に基づいて区切って1又は複数の文字からなる文字列を取得して登録し、受信電子メールに対する返信電子メールの編集時に、登録してある文字列を選択可能に表示し、文字列を選択する操作者の操作を受付けると、選択された文字列を送信電子メールの文書に挿入する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0005】
この技術では、登録された文字列を操作者が選択する際に、表示対象となる文字列の数が多いと、操作者が画面上から目的の文字列を探すことが困難となる。また、全ての文字列を1画面内に表示できない場合は、ページ切り替えや、スクロールの操作が必要となり、目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになる。
【0006】
目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになるという問題を解消するものとして、入力文字列の文字数nに加算文字数αを加算した(n+α)を予測文字列が持つ文字数の上限値とし、この上限値の文字数以下の文字数からなり、上記入力文字列を先頭に持つ予測文字列のみを限定して辞書から検索し、予測文字列候補として表示する文字列予測方法が提案されている(特許文献2を参照)。この文字列予測方法では、例えば、α=2とした場合、利用者が「あさ」と入力すると、n=2であるので、「あさがお(朝顔)」、「あさひ(朝日)」、「あさ(朝)」といった2〜4文字の文字列のみが予測文字列として表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−52702号公報
【特許文献2】特開平8−255156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した文字列予測方法では、文章の作成を効果的に行うことが難しいという問題があった。例えば、文章の入力は、予測文字列候補を選択しつつ行われるが、上述した文字列予測方法は、利用者が文字列を入力するたびに、入力された文字列を先頭に持つ予測文字列を予測文字列候補として表示するものであるため、利用者が直前に選択した予測文字列候補とは無関係に、新たに利用者により入力された文字列に対する予測文字列候補が表示される。
【0009】
例えば、利用者が直前に予測文字列候補「朝日」を選択した場合であっても、次に表示される予測文字列候補は利用者により新たに入力された文字列に対する予測文字列であって、利用者が直前に選択した予測文字列候補「朝日」とは直接的な関係は無い。文章を作成する場合、直前に入力された文字列と、その次に入力される文字列とは関連性がある場合が多いが、上述した文字列予測方法ではそのような関係を有効に利用しないので、文章の作成を効果的に行うことが難しかった。
また特許文献2に記載の方法にて、特許文献1における目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになるという問題を解決するには、登録された文字列から表示対象となる文字列を限定するための入力文字列が必要であり、利用者が直前に選択した文字列とは別に、利用者に入力文字列を入力する作業を強いることになる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、文章の生成を効果的に行うことを可能とする文字列変換装置、文字列変換方法、その文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、入力文字列を変換する文字列変換装置であって、文章の生成に用いられる出力文字列を記憶する記憶部と、前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列のうち、前記選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する文字列変換部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、文章の生成が完了したことを検出した場合に、文章を区切る区切り記号を登録した区切り記号情報に基づいて、生成された文章を複数の文字列に区切り、文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる文字列登録部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記文字列登録部は、電子メールの送信を検出した場合に、前記区切り記号に基づいて電子メールの送信用に生成された文章を複数の文字列に区切り、該生成された文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の技術手段は、第2または第3の技術手段において、前記文字列変換部は、前記入力文字列の文字列変換の変換候補を登録した変換辞書を用いて文字列変換を行い、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列のうち、前記変換辞書に登録されている変換候補と一致する文字列は前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる対象から除外することを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の技術手段は、第2〜第4のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、所定の文字数以上の文字列のみを記憶させることを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の技術手段は、第2〜第5のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、1つの文章につき、所定の個数を上限として文字列を記憶させることを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の技術手段は、第2〜第6のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた文字列が、都、道、府、県、市、区、町、村、郡、大字、字のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合に、該文章が区切られてできた文字列の先頭文字から前記行政区画を示す文字までの文字を除いた文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の技術手段は、第2〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が複数の文字列に区切られた場合に、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記区切り記号を除いて前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の技術手段は、第2〜第8のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、該複数の文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該文章が区切られてできた複数の文字列を前記出力文字列として記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させることを特徴とする。
【0020】
本発明の第10の技術手段は、第2〜第9のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記表示された出力文字列から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列、および、学習文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列あるいは学習文字列を検索し、該出力文字列および学習文字列が検索された場合に検索された学習文字列を該出力文字列に優先して表示させることを特徴とする。
【0021】
本発明の第11の技術手段は、第2〜第10のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させる際に、該学習文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該学習文字列を記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された学習文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する学習文字列を検索し、検索された学習文字列を表示部に表示させることを特徴とする。
【0022】
本発明の第12の技術手段は、入力文字列を変換する文字列変換方法であって、前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部に記憶された出力文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索する検索ステップと、前記検索ステップにおいて検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の第13の技術手段は、上記文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0024】
本発明の第14の技術手段は、上記コンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索した出力文字列を出力するので、選択された変換候補と関連がある出力文字列を次に入力される文字列の候補として得ることができ、文章の生成を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る文章生成装置の機能ブロック図である。
【図2】文章データの一例を示す図である。
【図3】文字列テーブルの一例を示す図である。
【図4】区切り記号テーブルの一例を示す図である。
【図5】表示部に表示される入力文字列の一例を示す図である。
【図6】表示部に表示される変換候補リストの一例を示す図である。
【図7】表示部に表示される変換候補リストの一例を示す図である。
【図8】表示部に表示される文字列挿入後の文章の一例を示す図である。
【図9】文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図10に示した文字列テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図12に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る文章生成装置10の機能ブロック図である。文章生成装置10は、入力部11、入力インターフェース部12、表示部13、出力インターフェース部14、通信インターフェース部15、記憶部16、文章生成部17、電子メール処理部18、文字列登録部19、文字列変換部20を備える。そして、記憶部16、文字列登録部19、文字列変換部20により文字列変換装置が構成される。
【0028】
ここで、入力インターフェース部12、出力インターフェース部14、通信インターフェース部15、記憶部16、文章生成部17、電子メール処理部18、文字列登録部19、文字列変換部20はシステムバス21を介して接続されている。また、入力部11と入力インターフェース部12、表示部13と表示インターフェース部14は互いに接続され、通信インターフェース部15は、ネットワーク22に接続されている。
【0029】
入力部11は、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置である。入力インターフェース部12は、システムバス21を介して入力部11により入力された情報を各機能部に送信するインターフェース部である。表示部13は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プロジェクタなどの表示装置である。出力インターフェース部14は、システムバス21を介して各機能部から受信した情報を表示部13に出力するインターフェース部である。通信インターフェース部15は、ネットワーク22を介して外部装置との間で通信を行うインターフェース部である。
【0030】
記憶部16は、メモリ(半導体メモリなど)やハードディスク装置などの記憶装置である。この記憶部16は、変換辞書データ16a、文章データ16b、文字列テーブル16c、区切り記号テーブル16dを記憶する。
【0031】
変換辞書データ16aは、読み仮名とその変換候補となる漢字やカタカナ、数字、アルファベット等とを対応付けて記憶した辞書データである。文章データ16bは、電子メールなどの文章を記憶したデータである。図2は、文章データ16bの一例を示す図である。図2に示すように、例えば文章データ16bには、「本日の練習お疲れさまでした。厳しい暑さが続いていますが、試合に向けてあと一息頑張っていきましょう。明日の練習も9時集合でお願いします。」という文章が記憶される。
【0032】
文字列テーブル16cは、文章データ16bに記憶された文章から抽出された文字列を記憶したデータである。図3は、文字列テーブル16cの一例を示す図である。図3に示すように、文字列テーブル16cには、「本日の練習お疲れさまでした。」、「厳しい暑さが続いていますが、」、「試合に向けてあと一息頑張っていきましょう。」、「明日の練習も9時集合でお願いします。」などの文字列が記憶されている。
【0033】
区切り記号テーブル16dは、文章データ16bに記憶された文章から文字列を抽出する際に、文章を複数の文字列に区切る区切り記号を記憶したデータである。図4は、区切り記号テーブル16dの一例を示す図である。図4に示すように、区切り記号テーブル16dには、「。」、「、」、「!」、「?」、「改行記号」などの区切り記号が登録されている。
【0034】
文章生成部17は、入力部11により受け付けられた操作者からの入力に応じて、文章を生成する処理部である。文章の生成が完了した場合、文章生成部17は、生成された文章を文章データ16bとして記憶する。さらに、文章生成部17は、文字列登録部19に文章の生成が完了したことを通知する生成完了信号を送信する。
【0035】
電子メール処理部18は、電子メールの送受信などの処理を行う処理部である。この電子メール処理部18は、電子メールを受信した場合に、電子メールの文章を文章データ16bに記憶する処理や、文章生成部17により生成された文章を電子メールで送信する処理などを行う。
【0036】
文字列登録部19は、文章生成部17から生成完了信号を受信した場合に、文章データ16bに記憶された文章から文字列を抽出し、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する処理部である。
【0037】
具体的には、文字列登録部19は、文章から文字列データを抽出する際、文章内の先頭から末尾までの各文字を、区切り記号テーブル16dに記憶されている区切り記号と順次比較し、文章内の各文字がいずれかの区切り記号と一致するか否かを判定する。
【0038】
文章内の文字がいずれかの区切り記号と一致する場合は、文字列登録部19は、直前に区切り記号と一致した文字の次の文字(直前に区切り記号と一致した文字がなければ文章の先頭文字)から、現時点で区切り記号と一致した文字までの文字列を抽出し、抽出した文字列を文字列テーブル16cの先頭に追加する。このように、文字列テーブル16cへの文字列を追加する際に操作者による操作が不要であるため、操作者の負担を軽減することができる。
【0039】
その後、文字列登録部19は、文章から抽出した文字列の数が所定の上限値に達したか、もしくは文章の末尾の文字まで区切り記号との比較が完了した場合に、文字列の抽出処理を完了する。例えば、図2に示す文書データ16bに記憶された文章を、図4に示す区切り記号テーブル16dに基づいて文字列の抽出を行うと、図3に示すように、文字列が文字列テーブル16cに登録される。
【0040】
1つの文章から抽出する文字列の総数について、上記のような上限値を設けることによって次のような効果が得られる。一般的に電子メールのような文章においては、文章の先頭部分で、返答文句や決まり文句など、再利用される可能性が高い文字列が入力されている場合が多い。しかし、後続する文が多い場合にそれらをすべて記憶すると、再利用する可能性の低い文を多数記憶することにより文字列テーブル16c用に確保された記憶部16の記憶領域が一杯になり、他の電子メールの先頭部分にある再利用する可能性が高い文字列を抽出できなくなってしまう。そこで、上記のように所定の上限値を設けることにより、より多くの電子メールの先頭部分から再利用性の高い文を抽出し、文字列テーブル16cに記憶することができるようになる。
【0041】
また、ここでは、文章の生成が完了した場合に、文章生成部17が文字列登録部19に生成完了信号を送信することとしているが、具体的には、文章生成部17は、入力部11を介して操作者が文章を保存する操作を行った場合に文章の生成が完了したと判定し、生成完了信号を送信する。これによって、操作者が訂正する可能性がある生成途中の文章からではなく、完成した文章から文字列が抽出され、誤記等が含まれた文字列が文字列テーブル16cに記憶されることを防止することができる。
【0042】
もしくは、操作者が入力部11を介して電子メールを送信する操作を行った場合に、電子メール処理部18がその操作を検出して、文章の生成が完了したことを示す生成完了信号を文字列登録部19に送信することとしてもよい。電子メールにおいては、送信に至るまでに文章を編集する場合があるので、電子メールの送信時に文字列を抽出することにより、完成した文章から文字列が抽出され、抽出された文字列を再利用することができるようになる。
【0043】
また、文字列登録部19は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、変換辞書データ16aに登録されている変換候補と抽出された文字列とを比較し、抽出された文字列と一致する変換候補がある場合は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶しないようにしてもよい。変換辞書データ16aを用いて変換できる文字列は、変換辞書データ16aに記憶された変換候補から選択できるので、変換候補と同じ文字列を文字列テーブル16cに記憶し、変換時に変換候補と同じ文字列を変換候補とともに表示することは冗長であり、操作者が文字列を探す妨げとなってしまう。このように、変換辞書データ16aに記憶されている変換候補と一致する文字列を持つ抽出された文字列を文字列テーブル16cに対する記憶対象から除外することにより、上記のような冗長さがなくなり、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0044】
もしくは、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、所定の文字数以上の文字列のみを文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。上述した例では、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、抽出した文字列と変換辞書データ16aに記憶された文字列との比較を行っているが、抽出した文字列と変換辞書データ16aに記憶された全ての文字列との比較処理には時間を要する。文字数の少ない文字列については変換辞書データ16aに含まれている可能性が高いため、所定の文字数以上の文字列のみを文字列テーブル16cに記憶することとすることによって、短い処理時間で文字列を記憶することができ、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0045】
また、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際に、抽出した文字列を末尾の区切り記号を除いて文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。ここで、この区切り記号は、区切り記号テーブル16dに記憶されている区切り記号である。
【0046】
区切り記号として使用される記号は、入力する文章によって変えたい場合がある。例えば、「ありがとうございます。」という文の語気を強めたい場合、文末の区切り記号を変更し、「ありがとうございます!」という文にすることが望まれる。このような場合、文字列テーブル16cに記憶された文字列の末尾に区切り記号が含まれていると、一旦末尾の区切り記号を削除する必要が出てくる。そのため、区切り記号を予め除いて文字列を文字列テーブル16cに記憶しておけば、区切り記号の削除が不要となり、必要に応じて「!」等の文字を追加するだけでよくなる。
【0047】
また、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際に、抽出された文字列が、「都」、「道」、「府」、「県」、「市」、「区」、「町」、「村」、「郡」、「大字」、「字」のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合は、その抽出された文字列に加えて、抽出された文字列の先頭文字から行政区画を示す文字までの文字を抽出された文字列から除いた文字列を文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。
【0048】
例えば、文字列登録部19は、「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」という抽出された文字列については、「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」という文字列と、「東京都」を除いた「千代田区霞が関3丁目4番3号」という文字列と、「東京都」から「千代田区」までを除いた「霞が関3丁目4番3号」という文字列とを文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。
【0049】
具体的には、文字列登録部19は、抽出した文字列の先頭文字から、順次文字を行政区画を示す文字と比較し、文字が「都」、「道」、「府」、「県」、「市」、「区」、「町」、「村」、「郡」、「大字」、「字」のいずれかと一致した場合に、先頭からその文字までを除いた文字列を文字列テーブル16cに記憶する。
【0050】
もしくは、文字列登録部19は、「東京都」や「千代田区」などの行政区画を表す文字列のテーブルを記憶部16に記憶しておき、テーブルの先頭から末尾まで順次、抽出された文字列と行政区画を表す文字列とを比較してもよい。抽出された文字列に行政区画を表す文字列が部分一致すれば、文字列登録部19は、抽出された文字列の先頭文字から部分一致する文字列の末尾の文字までの文字を除いた抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する。
【0051】
ここで、文字列テーブル16cに対する記憶処理の対象から除外する行政区画を表す文字列は、都道府県名を示す文字列に限定するようにしてもよい。これによって、1つの抽出された文字列について、文字列テーブル16cに登録される文字列の数は、高々2つとすることができる。
【0052】
住所を文字入力する場合、「東京都」などの先頭部分の行政区画を表す文字列を省略することはよくあることである。上記の方法によれば、操作者が過去に入力した住所を利用して、先頭部分の行政区画を表す文字列を除いた文字列を容易に入力することができる。
【0053】
文字列変換部20は、操作者により入力された文字列を変換するとともに、文字列テーブル16cに記憶された文字列を、次回以降の文章生成における文字列変換の変換候補として出力する処理などを行う処理部である。
【0054】
具体的には、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して行った文字入力操作を、入力インターフェース部12から信号を受信することにより検出し、入力された文字列を出力インターフェース部14に出力して、その文字列を表示部13に表示させる。図5は、表示部13に表示される入力文字列の一例を示す図である。図5の例では、操作者が「ほんじつ」と入力した場合について示してある。
【0055】
そして、文字列変換部20は、変換辞書データ16aを参照して、入力文字列に対する変換候補リストを出力インターフェース部14を介して表示部13に表示させる。図6は、表示部13に表示される変換候補リスト30の一例を示す図である。図6の例では、入力文字列「ほんじつ」に対する変換候補「本日」、「本日中」、「本日の」が変換候補リスト30として表示されている。
【0056】
その後、文字列変換部20は、操作者が変換候補の選択操作を行ったか否かを、入力インターフェース部12からの選択操作信号を検出することにより判定する。変換候補が選択されることにより、操作者が入力した入力文字列の変換結果が確定する。そして、文字列変換部20は、変換候補の選択操作が行われた場合、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとして、文字列テーブル16cに記憶された文字列のうち変換候補の文字列に部分一致する文字列を検索する。そして、文字列変換部20は、検索された文字列から変換候補の文字列を除外した文字列を出力インターフェース部14を介して表示部13に表示させる。
【0057】
図7は、表示部13に表示される変換候補リスト40の一例を示す図である。図7の例では、操作者により変換候補「本日の」が選択された場合について示してある。この場合、文字列テーブル16cに記憶された文字列「本日の練習おつかれさまでした。」が変換候補「本日の」に部分一致する文字列として検索されるので、文字列変換部20は、検索キーワード「本日の」を除いた文字列「練習おつかれさまでした。」を変換候補リスト40として表示する。図7の例では、文字列が1つだけ表示されているが、検索された文字列が複数ある場合は、検索された複数の文字列が変換候補リスト40として表示される。
【0058】
そして、文字列変換部20は、操作者により変換候補リスト40から文字列が選択されたか否かを、入力インターフェース部12からの選択操作信号を検出することにより判定する。そして、文字列変換部20は、文字列の選択操作が行われた場合、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入する。
【0059】
図8は、表示部13に表示される文字列挿入後の文章の一例を示す図である。図8には、図7に示した変換候補リスト40から文字列「練習おつかれさまでした。」が選択され、文字列「練習おつかれさまでした。」が生成中の文章のカーソル位置に挿入された場合が示されている。
【0060】
このように、過去の文章生成時に入力され、文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から、直前に変換した文字列を検索キーワードとして、直前に変換した文字列を含む文字列が検索され、検索の結果得られた文字列が選択可能に表示されるので、操作者が過去の文章生成時に入力された文字列を選択する操作を軽減することができる。
【0061】
また、直前の変換候補の選択操作に続いて、過去の文章生成時に入力された文字列が変換候補として表示されるので、直前の文字列に繋がる文字列を、操作者が望むタイミングで選択し、その文字列を入力することができる。
【0062】
さらに、過去の文章生成時に入力され、文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から、直前に変換した文字列を検索キーワードとして、直前に変換した文字列を含む文字列が検出されるので、過去の文章生成時に入力された文字列を読み出すために、その文字列の読み仮名を予め登録し、読み仮名を用いて文字列変換を行うなどの処理は不要であり、また登録される読み仮名を取得する形態素解析などの処理も不要となるので、メモリ使用領域が節約できる。
【0063】
直前の変換で選択された文字列(例えば、図7における文字列「本日の」)は、図6に示す変換候補リスト30において操作者による変換候補の選択操作の実行を文字列変換部20が検出した際に、生成中の文書のカーソル位置に文字列変換部20により挿入される。なお、図7に示す変換候補リスト40において操作者による変換候補の選択操作の実行を文字列変換部20が検出した際に、直前の変換で選択された文字列が変換候補リスト40から選択された文字列と結合され、結合された文字列が文字列変換部20によりカーソル位置に挿入されることとしてもよい。
【0064】
次に、文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順について説明する。図9は、文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、文章生成装置10の文字列登録部19は、文章の生成が完了したことを検出する(ステップS101)。そして、文字列登録部19は、記憶部16に記憶された区切り記号テーブル16dを参照し、文章データ16bに含まれる文章を区切り記号の位置で区切って、区切り記号により区切られた文字列を抽出する(ステップS102)。その後、文字列登録部19は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶し(ステップS103)、この文字列の抽出処理を終了する。
【0065】
次に、文字列の変換候補決定処理の処理手順について説明する。図10は、文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、図6に示したような変換候補リスト30において、変換候補の1つが選択されたことを検出する(ステップS201)。
【0066】
そして、文字列変換部20は、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとし、検索キーワードに部分一致する文字列を文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から検索する(ステップS202)。
【0067】
続いて、文字列変換部20は、検索された文字列を変換候補リスト40として表示部13に表示させる(ステップS203)。そして、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して変換候補リスト40として表示された文字列の中から1つの文字列を選択した場合に、選択された文字列の情報を受け付ける(ステップS204)。その後、文字列変換部20は、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入し(ステップS205)、この変換候補の決定処理を終了する。
【0068】
次に、図10のステップS202に示した文字列テーブル16cの検索処理の処理手順について詳細に説明する。図11は、図10に示した文字列テーブル16cの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、文字列テーブル10に記憶された先頭の文字列を選択する処理を行う(ステップS301)。
【0069】
そして、文字列変換部20は、文字列テーブル10の先頭の文字列が選択できたか否かを調べる(ステップS302)。文字列テーブル10に文字列が記憶されていないなどの理由で、先頭の文字列が選択できなかった場合(ステップS302においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0070】
先頭の文字列が選択できた場合(ステップS302においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した文字列と検索キーワード(変換候補リスト30において選択された変換候補)を比較する(ステップS303)。そして、文字列変換部20は、選択した文字列が検索キーワードに部分一致するか否かを調べる(ステップS304)。
【0071】
選択した文字列が検索キーワードに部分一致する場合(ステップS304においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した文字列を変換候補リスト40の末尾に追加する(ステップS305)。選択した文字列が検索キーワードに部分一致しない場合(ステップS304においてNOの場合)、あるいは、選択した文字列を変換候補リスト40の末尾に追加した場合(ステップS305)、文字列変換部20は、文字列テーブル16cにおいて、次の文字列を選択する処理を行う(ステップS306)。
【0072】
その後、ステップS302に移行して、文字列変換部20は、次の文字列が選択できたかを調べ(ステップS302)、次の文字列を選択できた場合(ステップS302においてYESの場合)、次の文字列に対して、ステップS303以後の処理を実行する。次の文字列が無いなどの理由で、次の文字列を選択できなかった場合(ステップS302においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0073】
ここで、変換候補リスト40に追加する文字列の数の上限を決めておき、文字列テーブル16cに記憶された日時が現時点に近い順に文字列テーブル16cに記憶された文字列を変換候補リスト40に追加し、変換候補リスト40に追加された文字列の数が上限に達したところで図11に示した検索処理を終了し、変換候補リスト40を表示するようにしてもよい。
【0074】
例えば、文字列変換部20が、図11のステップS305の処理の後に、変換候補リスト40に追加された文字列の数が上限に達したか否かを判定し、文字列の数が上限に達していれば図11に示した検索処理を終了するようにすればよい。これにより、文字列テーブル16cに記憶された文字列のうち最新の文字列のみが変換候補リスト40に表示されるので、再利用する文字列を、操作者が最近利用したものに絞ることができる。
【0075】
また、過去に変換候補リスト40から操作者によって選択された文字列を、優先的に変換候補リスト40に表示するようにしてもよい。文章が生成されると、その文章は区切り記号の位置で区切られ、文章が区切られてできた文字列は自動的に文字列テーブル16に記憶され、文字列テーブル16cに記憶された文字列は、変換候補リスト40に表示されることになる。この場合、文字列変換部20は、変換候補リスト40から文字列が選択されると、選択された文字列を、文字列テーブル16cとは別の履歴テーブルの先頭に学習文字列として記憶するようにする。そして、この履歴テーブルを文字列テーブル16cよりも先に検索し、検索された学習文字列を変換候補リスト40に優先的に表示させる。
【0076】
次に、この履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順について説明する。図12は、履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、図6に示したような変換候補リスト30において、変換候補の1つが選択されたことを検出する(ステップS401)。
【0077】
そして、文字列変換部20は、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとし、検索キーワードに部分一致する文字列を履歴テーブルに記憶された学習文字列の中から検索する(ステップS402)。さらに、文字列変換部20は、検索キーワードに部分一致する文字列を文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から検索する(ステップS403)。
【0078】
続いて、文字列変換部20は、履歴テーブルから検索された学習文字列、あるいは、文字列テーブル16cから検索された文字列を変換候補リスト40として表示部13に表示させる(ステップS404)。その際、文字列変換部20は、変換候補リスト40において、履歴テーブルから検索された学習文字列を文字列テーブル16cから検索された文字列よりもより先頭側に表示させ、履歴テーブルから検索された学習文字列を操作者が容易に確認できるようにする。また、文字列変換部20は、文字列テーブル16cから検索された文字列に学習文字列と重複する文字列がある場合は、文字列テーブル16cから検索された重複する文字列の表示は行わない。
【0079】
その後、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して変換候補リスト40として表示された文字列の中から文字列を選択した場合に、選択された文字列の情報を受け付ける(ステップS405)。その後、文字列変換部20は、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入し(ステップS406)、この変換候補の決定処理を終了する。
【0080】
次に、図12のステップS402に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順について詳細に説明する。図13は、図12に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図13に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、履歴テーブルに記憶された先頭の学習文字列を選択する(ステップS501)。
【0081】
そして、文字列変換部20は、履歴テーブルの先頭の学習文字列が選択できたか否かを調べる(ステップS502)。履歴テーブルに学習文字列が記憶されていないなどの理由で、先頭の学習文字列が選択できなかった場合(ステップS502においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0082】
先頭の学習文字列が選択できた場合(ステップS502においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した学習文字列と検索キーワード(変換候補リスト30において選択された変換候補)を比較する(ステップS503)。そして、文字列変換部20は、選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致するか否かを調べる(ステップS504)。
【0083】
選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致する場合(ステップS504においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した学習文字列を変換候補リスト40の末尾に追加する(ステップS505)。選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致しない場合(ステップS504においてNOの場合)、あるいは、選択した学習文字列を変換候補リスト40の末尾に追加した場合(ステップS505)、文字列変換部20は、履歴テーブルにおいて、次の学習文字列を選択する(ステップS506)。
【0084】
その後、ステップS502に移行して、文字列変換部20は、次の学習文字列が選択できたかを調べ(ステップS502)、次の学習文字列を選択できた場合(ステップS502においてYESの場合)、次の学習文字列に対して、ステップS503以後の処理を実行する。次の学習文字列が無いなどの理由で、次の学習文字列を選択できなかった場合(ステップS502においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0085】
このように、操作者が一度選択した学習文字列を優先的に変換候補リスト40に表示することで、操作者の利用頻度の高い、過去に入力された文字列を容易に再利用することができるようになる。
【0086】
また、文章生成装置10において、文章の生成を行うアプリケーションソフトウェアが複数導入されている場合に、アプリケーションソフトウェアごとに文字列テーブル16cをそれぞれ用意しておき、文章から抽出した文字列を記憶する際には、文字列登録部19は、その際に起動しているアプリケーションソフトウェアに対応した文字列テーブル16cに文字列を記憶し、文字列変換部20は、文字列テーブル16cに記憶された文字列を変換候補リスト40として表示する際に、現在起動しているアプリケーションソフトウェアに対応した文字列テーブル16cから文字列を検索するようにしてもよい。
【0087】
例えば、文字列登録部19は、電子メールのアプリケーションソフトウェアを用いて文章の生成が完了した時には、抽出された文字列を電子メールのアプリケーションソフトウェアに対応付けられた文字列テーブル16cに記憶し、電子メールのアプリケーションソフトウェアを用いた次回以降の文章の生成時に、その電子メールのアプリケーションソフトウェアに対応付けられた文字列テーブル16cから文字列を検索する。
【0088】
このようにすることで、特定のアプリケーションソフトウェアでのみ利用する文字列について、そのアプリケーションソフトウェアが起動されている時に限って文字列を変換候補として表示できるようになるため、他のアプリケーションソフトウェアでのみ使用するような余分な文字列が変換候補として表示されるのを防止することができ、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0089】
さて、これまで文字列変換装置および文字列変換方法の実施形態を中心に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、文字列変換装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムとしての形態、あるいは、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態として本発明が実施されることとしてもよい。
【0090】
ここで、記録媒体としては、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等、さまざまな形態のものを採用することができる。
【0091】
これら記録媒体に上述した本実施形態の文字列変換装置の機能を実現させるコンピュータプログラム、または、文字列変換方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録して流通させることにより、コストの低廉化、及び可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0092】
そして、コンピュータに上記記録媒体を装着し、コンピュータにより記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出してメモリに格納し、コンピュータが備えるプロセッサ(CPU:Central Processing Unit, MPU:Micro Processing Unit)が当該コンピュータプログラムをメモリから読み出して実行することにより、本実施形態に係る文字列変換装置の機能を実現し、文字列変換方法を実行することができる。
【0093】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…文章生成装置、11…入力部、12…入力インターフェース部、13…表示部、14…出力インターフェース部、15…通信インターフェース部、16…記憶部、16a…変換辞書データ、16b…文章データ、16c…文字列テーブル、16d…区切り記号テーブル、17…文章生成部、18…電子メール処理部、19…文字列登録部、20…文字列変換部、30,40…変換候補リスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力文字列を変換する文字列変換装置、文字列変換方法、その文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末が飛躍的に普及している。これらの携帯端末上で多く文字を入力する場合、少ない操作回数で目的とする文字列、特に、なるべく長い文字列を入力できる方法が求められている。
【0003】
そのための方法として、操作者が文字列を登録する方法が挙げられる。この方法では、操作者が予めよく使用すると考える文字列を、所定の手順で携帯端末に登録しておく。そして、操作者が携帯端末で文章を編集する時に、登録した文字列のリストを画面に表示させ、その中から選択した文字列を編集中の文章に挿入する。しかし、この方法は、操作者が予め文字列の登録をする必要があるため、手間がかかるという問題がある。
【0004】
そのため、受信電子メールの文章を所定の条件に基づいて区切って1又は複数の文字からなる文字列を取得して登録し、受信電子メールに対する返信電子メールの編集時に、登録してある文字列を選択可能に表示し、文字列を選択する操作者の操作を受付けると、選択された文字列を送信電子メールの文書に挿入する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0005】
この技術では、登録された文字列を操作者が選択する際に、表示対象となる文字列の数が多いと、操作者が画面上から目的の文字列を探すことが困難となる。また、全ての文字列を1画面内に表示できない場合は、ページ切り替えや、スクロールの操作が必要となり、目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになる。
【0006】
目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになるという問題を解消するものとして、入力文字列の文字数nに加算文字数αを加算した(n+α)を予測文字列が持つ文字数の上限値とし、この上限値の文字数以下の文字数からなり、上記入力文字列を先頭に持つ予測文字列のみを限定して辞書から検索し、予測文字列候補として表示する文字列予測方法が提案されている(特許文献2を参照)。この文字列予測方法では、例えば、α=2とした場合、利用者が「あさ」と入力すると、n=2であるので、「あさがお(朝顔)」、「あさひ(朝日)」、「あさ(朝)」といった2〜4文字の文字列のみが予測文字列として表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−52702号公報
【特許文献2】特開平8−255156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した文字列予測方法では、文章の作成を効果的に行うことが難しいという問題があった。例えば、文章の入力は、予測文字列候補を選択しつつ行われるが、上述した文字列予測方法は、利用者が文字列を入力するたびに、入力された文字列を先頭に持つ予測文字列を予測文字列候補として表示するものであるため、利用者が直前に選択した予測文字列候補とは無関係に、新たに利用者により入力された文字列に対する予測文字列候補が表示される。
【0009】
例えば、利用者が直前に予測文字列候補「朝日」を選択した場合であっても、次に表示される予測文字列候補は利用者により新たに入力された文字列に対する予測文字列であって、利用者が直前に選択した予測文字列候補「朝日」とは直接的な関係は無い。文章を作成する場合、直前に入力された文字列と、その次に入力される文字列とは関連性がある場合が多いが、上述した文字列予測方法ではそのような関係を有効に利用しないので、文章の作成を効果的に行うことが難しかった。
また特許文献2に記載の方法にて、特許文献1における目的の文字列を探すため操作者に煩雑な作業を強いることになるという問題を解決するには、登録された文字列から表示対象となる文字列を限定するための入力文字列が必要であり、利用者が直前に選択した文字列とは別に、利用者に入力文字列を入力する作業を強いることになる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、文章の生成を効果的に行うことを可能とする文字列変換装置、文字列変換方法、その文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、入力文字列を変換する文字列変換装置であって、文章の生成に用いられる出力文字列を記憶する記憶部と、前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列のうち、前記選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する文字列変換部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、文章の生成が完了したことを検出した場合に、文章を区切る区切り記号を登録した区切り記号情報に基づいて、生成された文章を複数の文字列に区切り、文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる文字列登録部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記文字列登録部は、電子メールの送信を検出した場合に、前記区切り記号に基づいて電子メールの送信用に生成された文章を複数の文字列に区切り、該生成された文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の技術手段は、第2または第3の技術手段において、前記文字列変換部は、前記入力文字列の文字列変換の変換候補を登録した変換辞書を用いて文字列変換を行い、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列のうち、前記変換辞書に登録されている変換候補と一致する文字列は前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる対象から除外することを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の技術手段は、第2〜第4のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、所定の文字数以上の文字列のみを記憶させることを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の技術手段は、第2〜第5のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、1つの文章につき、所定の個数を上限として文字列を記憶させることを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の技術手段は、第2〜第6のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた文字列が、都、道、府、県、市、区、町、村、郡、大字、字のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合に、該文章が区切られてできた文字列の先頭文字から前記行政区画を示す文字までの文字を除いた文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の技術手段は、第2〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が複数の文字列に区切られた場合に、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記区切り記号を除いて前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の技術手段は、第2〜第8のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、該複数の文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該文章が区切られてできた複数の文字列を前記出力文字列として記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させることを特徴とする。
【0020】
本発明の第10の技術手段は、第2〜第9のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、前記表示された出力文字列から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列、および、学習文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列あるいは学習文字列を検索し、該出力文字列および学習文字列が検索された場合に検索された学習文字列を該出力文字列に優先して表示させることを特徴とする。
【0021】
本発明の第11の技術手段は、第2〜第10のいずれか1つの技術手段において、前記文字列登録部は、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させる際に、該学習文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該学習文字列を記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された学習文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する学習文字列を検索し、検索された学習文字列を表示部に表示させることを特徴とする。
【0022】
本発明の第12の技術手段は、入力文字列を変換する文字列変換方法であって、前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部に記憶された出力文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索する検索ステップと、前記検索ステップにおいて検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の第13の技術手段は、上記文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0024】
本発明の第14の技術手段は、上記コンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索した出力文字列を出力するので、選択された変換候補と関連がある出力文字列を次に入力される文字列の候補として得ることができ、文章の生成を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る文章生成装置の機能ブロック図である。
【図2】文章データの一例を示す図である。
【図3】文字列テーブルの一例を示す図である。
【図4】区切り記号テーブルの一例を示す図である。
【図5】表示部に表示される入力文字列の一例を示す図である。
【図6】表示部に表示される変換候補リストの一例を示す図である。
【図7】表示部に表示される変換候補リストの一例を示す図である。
【図8】表示部に表示される文字列挿入後の文章の一例を示す図である。
【図9】文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図10に示した文字列テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図12に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る文章生成装置10の機能ブロック図である。文章生成装置10は、入力部11、入力インターフェース部12、表示部13、出力インターフェース部14、通信インターフェース部15、記憶部16、文章生成部17、電子メール処理部18、文字列登録部19、文字列変換部20を備える。そして、記憶部16、文字列登録部19、文字列変換部20により文字列変換装置が構成される。
【0028】
ここで、入力インターフェース部12、出力インターフェース部14、通信インターフェース部15、記憶部16、文章生成部17、電子メール処理部18、文字列登録部19、文字列変換部20はシステムバス21を介して接続されている。また、入力部11と入力インターフェース部12、表示部13と表示インターフェース部14は互いに接続され、通信インターフェース部15は、ネットワーク22に接続されている。
【0029】
入力部11は、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置である。入力インターフェース部12は、システムバス21を介して入力部11により入力された情報を各機能部に送信するインターフェース部である。表示部13は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プロジェクタなどの表示装置である。出力インターフェース部14は、システムバス21を介して各機能部から受信した情報を表示部13に出力するインターフェース部である。通信インターフェース部15は、ネットワーク22を介して外部装置との間で通信を行うインターフェース部である。
【0030】
記憶部16は、メモリ(半導体メモリなど)やハードディスク装置などの記憶装置である。この記憶部16は、変換辞書データ16a、文章データ16b、文字列テーブル16c、区切り記号テーブル16dを記憶する。
【0031】
変換辞書データ16aは、読み仮名とその変換候補となる漢字やカタカナ、数字、アルファベット等とを対応付けて記憶した辞書データである。文章データ16bは、電子メールなどの文章を記憶したデータである。図2は、文章データ16bの一例を示す図である。図2に示すように、例えば文章データ16bには、「本日の練習お疲れさまでした。厳しい暑さが続いていますが、試合に向けてあと一息頑張っていきましょう。明日の練習も9時集合でお願いします。」という文章が記憶される。
【0032】
文字列テーブル16cは、文章データ16bに記憶された文章から抽出された文字列を記憶したデータである。図3は、文字列テーブル16cの一例を示す図である。図3に示すように、文字列テーブル16cには、「本日の練習お疲れさまでした。」、「厳しい暑さが続いていますが、」、「試合に向けてあと一息頑張っていきましょう。」、「明日の練習も9時集合でお願いします。」などの文字列が記憶されている。
【0033】
区切り記号テーブル16dは、文章データ16bに記憶された文章から文字列を抽出する際に、文章を複数の文字列に区切る区切り記号を記憶したデータである。図4は、区切り記号テーブル16dの一例を示す図である。図4に示すように、区切り記号テーブル16dには、「。」、「、」、「!」、「?」、「改行記号」などの区切り記号が登録されている。
【0034】
文章生成部17は、入力部11により受け付けられた操作者からの入力に応じて、文章を生成する処理部である。文章の生成が完了した場合、文章生成部17は、生成された文章を文章データ16bとして記憶する。さらに、文章生成部17は、文字列登録部19に文章の生成が完了したことを通知する生成完了信号を送信する。
【0035】
電子メール処理部18は、電子メールの送受信などの処理を行う処理部である。この電子メール処理部18は、電子メールを受信した場合に、電子メールの文章を文章データ16bに記憶する処理や、文章生成部17により生成された文章を電子メールで送信する処理などを行う。
【0036】
文字列登録部19は、文章生成部17から生成完了信号を受信した場合に、文章データ16bに記憶された文章から文字列を抽出し、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する処理部である。
【0037】
具体的には、文字列登録部19は、文章から文字列データを抽出する際、文章内の先頭から末尾までの各文字を、区切り記号テーブル16dに記憶されている区切り記号と順次比較し、文章内の各文字がいずれかの区切り記号と一致するか否かを判定する。
【0038】
文章内の文字がいずれかの区切り記号と一致する場合は、文字列登録部19は、直前に区切り記号と一致した文字の次の文字(直前に区切り記号と一致した文字がなければ文章の先頭文字)から、現時点で区切り記号と一致した文字までの文字列を抽出し、抽出した文字列を文字列テーブル16cの先頭に追加する。このように、文字列テーブル16cへの文字列を追加する際に操作者による操作が不要であるため、操作者の負担を軽減することができる。
【0039】
その後、文字列登録部19は、文章から抽出した文字列の数が所定の上限値に達したか、もしくは文章の末尾の文字まで区切り記号との比較が完了した場合に、文字列の抽出処理を完了する。例えば、図2に示す文書データ16bに記憶された文章を、図4に示す区切り記号テーブル16dに基づいて文字列の抽出を行うと、図3に示すように、文字列が文字列テーブル16cに登録される。
【0040】
1つの文章から抽出する文字列の総数について、上記のような上限値を設けることによって次のような効果が得られる。一般的に電子メールのような文章においては、文章の先頭部分で、返答文句や決まり文句など、再利用される可能性が高い文字列が入力されている場合が多い。しかし、後続する文が多い場合にそれらをすべて記憶すると、再利用する可能性の低い文を多数記憶することにより文字列テーブル16c用に確保された記憶部16の記憶領域が一杯になり、他の電子メールの先頭部分にある再利用する可能性が高い文字列を抽出できなくなってしまう。そこで、上記のように所定の上限値を設けることにより、より多くの電子メールの先頭部分から再利用性の高い文を抽出し、文字列テーブル16cに記憶することができるようになる。
【0041】
また、ここでは、文章の生成が完了した場合に、文章生成部17が文字列登録部19に生成完了信号を送信することとしているが、具体的には、文章生成部17は、入力部11を介して操作者が文章を保存する操作を行った場合に文章の生成が完了したと判定し、生成完了信号を送信する。これによって、操作者が訂正する可能性がある生成途中の文章からではなく、完成した文章から文字列が抽出され、誤記等が含まれた文字列が文字列テーブル16cに記憶されることを防止することができる。
【0042】
もしくは、操作者が入力部11を介して電子メールを送信する操作を行った場合に、電子メール処理部18がその操作を検出して、文章の生成が完了したことを示す生成完了信号を文字列登録部19に送信することとしてもよい。電子メールにおいては、送信に至るまでに文章を編集する場合があるので、電子メールの送信時に文字列を抽出することにより、完成した文章から文字列が抽出され、抽出された文字列を再利用することができるようになる。
【0043】
また、文字列登録部19は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、変換辞書データ16aに登録されている変換候補と抽出された文字列とを比較し、抽出された文字列と一致する変換候補がある場合は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶しないようにしてもよい。変換辞書データ16aを用いて変換できる文字列は、変換辞書データ16aに記憶された変換候補から選択できるので、変換候補と同じ文字列を文字列テーブル16cに記憶し、変換時に変換候補と同じ文字列を変換候補とともに表示することは冗長であり、操作者が文字列を探す妨げとなってしまう。このように、変換辞書データ16aに記憶されている変換候補と一致する文字列を持つ抽出された文字列を文字列テーブル16cに対する記憶対象から除外することにより、上記のような冗長さがなくなり、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0044】
もしくは、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、所定の文字数以上の文字列のみを文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。上述した例では、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する際、抽出した文字列と変換辞書データ16aに記憶された文字列との比較を行っているが、抽出した文字列と変換辞書データ16aに記憶された全ての文字列との比較処理には時間を要する。文字数の少ない文字列については変換辞書データ16aに含まれている可能性が高いため、所定の文字数以上の文字列のみを文字列テーブル16cに記憶することとすることによって、短い処理時間で文字列を記憶することができ、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0045】
また、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際に、抽出した文字列を末尾の区切り記号を除いて文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。ここで、この区切り記号は、区切り記号テーブル16dに記憶されている区切り記号である。
【0046】
区切り記号として使用される記号は、入力する文章によって変えたい場合がある。例えば、「ありがとうございます。」という文の語気を強めたい場合、文末の区切り記号を変更し、「ありがとうございます!」という文にすることが望まれる。このような場合、文字列テーブル16cに記憶された文字列の末尾に区切り記号が含まれていると、一旦末尾の区切り記号を削除する必要が出てくる。そのため、区切り記号を予め除いて文字列を文字列テーブル16cに記憶しておけば、区切り記号の削除が不要となり、必要に応じて「!」等の文字を追加するだけでよくなる。
【0047】
また、文字列登録部19は、抽出した文字列を文字列テーブル16cに記憶する際に、抽出された文字列が、「都」、「道」、「府」、「県」、「市」、「区」、「町」、「村」、「郡」、「大字」、「字」のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合は、その抽出された文字列に加えて、抽出された文字列の先頭文字から行政区画を示す文字までの文字を抽出された文字列から除いた文字列を文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。
【0048】
例えば、文字列登録部19は、「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」という抽出された文字列については、「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」という文字列と、「東京都」を除いた「千代田区霞が関3丁目4番3号」という文字列と、「東京都」から「千代田区」までを除いた「霞が関3丁目4番3号」という文字列とを文字列テーブル16cに記憶するようにしてもよい。
【0049】
具体的には、文字列登録部19は、抽出した文字列の先頭文字から、順次文字を行政区画を示す文字と比較し、文字が「都」、「道」、「府」、「県」、「市」、「区」、「町」、「村」、「郡」、「大字」、「字」のいずれかと一致した場合に、先頭からその文字までを除いた文字列を文字列テーブル16cに記憶する。
【0050】
もしくは、文字列登録部19は、「東京都」や「千代田区」などの行政区画を表す文字列のテーブルを記憶部16に記憶しておき、テーブルの先頭から末尾まで順次、抽出された文字列と行政区画を表す文字列とを比較してもよい。抽出された文字列に行政区画を表す文字列が部分一致すれば、文字列登録部19は、抽出された文字列の先頭文字から部分一致する文字列の末尾の文字までの文字を除いた抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶する。
【0051】
ここで、文字列テーブル16cに対する記憶処理の対象から除外する行政区画を表す文字列は、都道府県名を示す文字列に限定するようにしてもよい。これによって、1つの抽出された文字列について、文字列テーブル16cに登録される文字列の数は、高々2つとすることができる。
【0052】
住所を文字入力する場合、「東京都」などの先頭部分の行政区画を表す文字列を省略することはよくあることである。上記の方法によれば、操作者が過去に入力した住所を利用して、先頭部分の行政区画を表す文字列を除いた文字列を容易に入力することができる。
【0053】
文字列変換部20は、操作者により入力された文字列を変換するとともに、文字列テーブル16cに記憶された文字列を、次回以降の文章生成における文字列変換の変換候補として出力する処理などを行う処理部である。
【0054】
具体的には、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して行った文字入力操作を、入力インターフェース部12から信号を受信することにより検出し、入力された文字列を出力インターフェース部14に出力して、その文字列を表示部13に表示させる。図5は、表示部13に表示される入力文字列の一例を示す図である。図5の例では、操作者が「ほんじつ」と入力した場合について示してある。
【0055】
そして、文字列変換部20は、変換辞書データ16aを参照して、入力文字列に対する変換候補リストを出力インターフェース部14を介して表示部13に表示させる。図6は、表示部13に表示される変換候補リスト30の一例を示す図である。図6の例では、入力文字列「ほんじつ」に対する変換候補「本日」、「本日中」、「本日の」が変換候補リスト30として表示されている。
【0056】
その後、文字列変換部20は、操作者が変換候補の選択操作を行ったか否かを、入力インターフェース部12からの選択操作信号を検出することにより判定する。変換候補が選択されることにより、操作者が入力した入力文字列の変換結果が確定する。そして、文字列変換部20は、変換候補の選択操作が行われた場合、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとして、文字列テーブル16cに記憶された文字列のうち変換候補の文字列に部分一致する文字列を検索する。そして、文字列変換部20は、検索された文字列から変換候補の文字列を除外した文字列を出力インターフェース部14を介して表示部13に表示させる。
【0057】
図7は、表示部13に表示される変換候補リスト40の一例を示す図である。図7の例では、操作者により変換候補「本日の」が選択された場合について示してある。この場合、文字列テーブル16cに記憶された文字列「本日の練習おつかれさまでした。」が変換候補「本日の」に部分一致する文字列として検索されるので、文字列変換部20は、検索キーワード「本日の」を除いた文字列「練習おつかれさまでした。」を変換候補リスト40として表示する。図7の例では、文字列が1つだけ表示されているが、検索された文字列が複数ある場合は、検索された複数の文字列が変換候補リスト40として表示される。
【0058】
そして、文字列変換部20は、操作者により変換候補リスト40から文字列が選択されたか否かを、入力インターフェース部12からの選択操作信号を検出することにより判定する。そして、文字列変換部20は、文字列の選択操作が行われた場合、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入する。
【0059】
図8は、表示部13に表示される文字列挿入後の文章の一例を示す図である。図8には、図7に示した変換候補リスト40から文字列「練習おつかれさまでした。」が選択され、文字列「練習おつかれさまでした。」が生成中の文章のカーソル位置に挿入された場合が示されている。
【0060】
このように、過去の文章生成時に入力され、文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から、直前に変換した文字列を検索キーワードとして、直前に変換した文字列を含む文字列が検索され、検索の結果得られた文字列が選択可能に表示されるので、操作者が過去の文章生成時に入力された文字列を選択する操作を軽減することができる。
【0061】
また、直前の変換候補の選択操作に続いて、過去の文章生成時に入力された文字列が変換候補として表示されるので、直前の文字列に繋がる文字列を、操作者が望むタイミングで選択し、その文字列を入力することができる。
【0062】
さらに、過去の文章生成時に入力され、文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から、直前に変換した文字列を検索キーワードとして、直前に変換した文字列を含む文字列が検出されるので、過去の文章生成時に入力された文字列を読み出すために、その文字列の読み仮名を予め登録し、読み仮名を用いて文字列変換を行うなどの処理は不要であり、また登録される読み仮名を取得する形態素解析などの処理も不要となるので、メモリ使用領域が節約できる。
【0063】
直前の変換で選択された文字列(例えば、図7における文字列「本日の」)は、図6に示す変換候補リスト30において操作者による変換候補の選択操作の実行を文字列変換部20が検出した際に、生成中の文書のカーソル位置に文字列変換部20により挿入される。なお、図7に示す変換候補リスト40において操作者による変換候補の選択操作の実行を文字列変換部20が検出した際に、直前の変換で選択された文字列が変換候補リスト40から選択された文字列と結合され、結合された文字列が文字列変換部20によりカーソル位置に挿入されることとしてもよい。
【0064】
次に、文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順について説明する。図9は、文章から文字列を抽出する抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、文章生成装置10の文字列登録部19は、文章の生成が完了したことを検出する(ステップS101)。そして、文字列登録部19は、記憶部16に記憶された区切り記号テーブル16dを参照し、文章データ16bに含まれる文章を区切り記号の位置で区切って、区切り記号により区切られた文字列を抽出する(ステップS102)。その後、文字列登録部19は、抽出された文字列を文字列テーブル16cに記憶し(ステップS103)、この文字列の抽出処理を終了する。
【0065】
次に、文字列の変換候補決定処理の処理手順について説明する。図10は、文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、図6に示したような変換候補リスト30において、変換候補の1つが選択されたことを検出する(ステップS201)。
【0066】
そして、文字列変換部20は、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとし、検索キーワードに部分一致する文字列を文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から検索する(ステップS202)。
【0067】
続いて、文字列変換部20は、検索された文字列を変換候補リスト40として表示部13に表示させる(ステップS203)。そして、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して変換候補リスト40として表示された文字列の中から1つの文字列を選択した場合に、選択された文字列の情報を受け付ける(ステップS204)。その後、文字列変換部20は、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入し(ステップS205)、この変換候補の決定処理を終了する。
【0068】
次に、図10のステップS202に示した文字列テーブル16cの検索処理の処理手順について詳細に説明する。図11は、図10に示した文字列テーブル16cの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、文字列テーブル10に記憶された先頭の文字列を選択する処理を行う(ステップS301)。
【0069】
そして、文字列変換部20は、文字列テーブル10の先頭の文字列が選択できたか否かを調べる(ステップS302)。文字列テーブル10に文字列が記憶されていないなどの理由で、先頭の文字列が選択できなかった場合(ステップS302においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0070】
先頭の文字列が選択できた場合(ステップS302においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した文字列と検索キーワード(変換候補リスト30において選択された変換候補)を比較する(ステップS303)。そして、文字列変換部20は、選択した文字列が検索キーワードに部分一致するか否かを調べる(ステップS304)。
【0071】
選択した文字列が検索キーワードに部分一致する場合(ステップS304においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した文字列を変換候補リスト40の末尾に追加する(ステップS305)。選択した文字列が検索キーワードに部分一致しない場合(ステップS304においてNOの場合)、あるいは、選択した文字列を変換候補リスト40の末尾に追加した場合(ステップS305)、文字列変換部20は、文字列テーブル16cにおいて、次の文字列を選択する処理を行う(ステップS306)。
【0072】
その後、ステップS302に移行して、文字列変換部20は、次の文字列が選択できたかを調べ(ステップS302)、次の文字列を選択できた場合(ステップS302においてYESの場合)、次の文字列に対して、ステップS303以後の処理を実行する。次の文字列が無いなどの理由で、次の文字列を選択できなかった場合(ステップS302においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0073】
ここで、変換候補リスト40に追加する文字列の数の上限を決めておき、文字列テーブル16cに記憶された日時が現時点に近い順に文字列テーブル16cに記憶された文字列を変換候補リスト40に追加し、変換候補リスト40に追加された文字列の数が上限に達したところで図11に示した検索処理を終了し、変換候補リスト40を表示するようにしてもよい。
【0074】
例えば、文字列変換部20が、図11のステップS305の処理の後に、変換候補リスト40に追加された文字列の数が上限に達したか否かを判定し、文字列の数が上限に達していれば図11に示した検索処理を終了するようにすればよい。これにより、文字列テーブル16cに記憶された文字列のうち最新の文字列のみが変換候補リスト40に表示されるので、再利用する文字列を、操作者が最近利用したものに絞ることができる。
【0075】
また、過去に変換候補リスト40から操作者によって選択された文字列を、優先的に変換候補リスト40に表示するようにしてもよい。文章が生成されると、その文章は区切り記号の位置で区切られ、文章が区切られてできた文字列は自動的に文字列テーブル16に記憶され、文字列テーブル16cに記憶された文字列は、変換候補リスト40に表示されることになる。この場合、文字列変換部20は、変換候補リスト40から文字列が選択されると、選択された文字列を、文字列テーブル16cとは別の履歴テーブルの先頭に学習文字列として記憶するようにする。そして、この履歴テーブルを文字列テーブル16cよりも先に検索し、検索された学習文字列を変換候補リスト40に優先的に表示させる。
【0076】
次に、この履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順について説明する。図12は、履歴テーブルを用いた文字列の変換候補決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、図6に示したような変換候補リスト30において、変換候補の1つが選択されたことを検出する(ステップS401)。
【0077】
そして、文字列変換部20は、選択された変換候補の文字列を検索キーワードとし、検索キーワードに部分一致する文字列を履歴テーブルに記憶された学習文字列の中から検索する(ステップS402)。さらに、文字列変換部20は、検索キーワードに部分一致する文字列を文字列テーブル16cに記憶された文字列の中から検索する(ステップS403)。
【0078】
続いて、文字列変換部20は、履歴テーブルから検索された学習文字列、あるいは、文字列テーブル16cから検索された文字列を変換候補リスト40として表示部13に表示させる(ステップS404)。その際、文字列変換部20は、変換候補リスト40において、履歴テーブルから検索された学習文字列を文字列テーブル16cから検索された文字列よりもより先頭側に表示させ、履歴テーブルから検索された学習文字列を操作者が容易に確認できるようにする。また、文字列変換部20は、文字列テーブル16cから検索された文字列に学習文字列と重複する文字列がある場合は、文字列テーブル16cから検索された重複する文字列の表示は行わない。
【0079】
その後、文字列変換部20は、操作者が入力部11を介して変換候補リスト40として表示された文字列の中から文字列を選択した場合に、選択された文字列の情報を受け付ける(ステップS405)。その後、文字列変換部20は、生成中の文章のカーソル位置に、選択された文字列を挿入し(ステップS406)、この変換候補の決定処理を終了する。
【0080】
次に、図12のステップS402に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順について詳細に説明する。図13は、図12に示した履歴テーブルの検索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図13に示すように、文章生成装置10の文字列変換部20は、履歴テーブルに記憶された先頭の学習文字列を選択する(ステップS501)。
【0081】
そして、文字列変換部20は、履歴テーブルの先頭の学習文字列が選択できたか否かを調べる(ステップS502)。履歴テーブルに学習文字列が記憶されていないなどの理由で、先頭の学習文字列が選択できなかった場合(ステップS502においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0082】
先頭の学習文字列が選択できた場合(ステップS502においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した学習文字列と検索キーワード(変換候補リスト30において選択された変換候補)を比較する(ステップS503)。そして、文字列変換部20は、選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致するか否かを調べる(ステップS504)。
【0083】
選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致する場合(ステップS504においてYESの場合)、文字列変換部20は、選択した学習文字列を変換候補リスト40の末尾に追加する(ステップS505)。選択した学習文字列が検索キーワードに部分一致しない場合(ステップS504においてNOの場合)、あるいは、選択した学習文字列を変換候補リスト40の末尾に追加した場合(ステップS505)、文字列変換部20は、履歴テーブルにおいて、次の学習文字列を選択する(ステップS506)。
【0084】
その後、ステップS502に移行して、文字列変換部20は、次の学習文字列が選択できたかを調べ(ステップS502)、次の学習文字列を選択できた場合(ステップS502においてYESの場合)、次の学習文字列に対して、ステップS503以後の処理を実行する。次の学習文字列が無いなどの理由で、次の学習文字列を選択できなかった場合(ステップS502においてNOの場合)、そのままこの検索処理を終了する。
【0085】
このように、操作者が一度選択した学習文字列を優先的に変換候補リスト40に表示することで、操作者の利用頻度の高い、過去に入力された文字列を容易に再利用することができるようになる。
【0086】
また、文章生成装置10において、文章の生成を行うアプリケーションソフトウェアが複数導入されている場合に、アプリケーションソフトウェアごとに文字列テーブル16cをそれぞれ用意しておき、文章から抽出した文字列を記憶する際には、文字列登録部19は、その際に起動しているアプリケーションソフトウェアに対応した文字列テーブル16cに文字列を記憶し、文字列変換部20は、文字列テーブル16cに記憶された文字列を変換候補リスト40として表示する際に、現在起動しているアプリケーションソフトウェアに対応した文字列テーブル16cから文字列を検索するようにしてもよい。
【0087】
例えば、文字列登録部19は、電子メールのアプリケーションソフトウェアを用いて文章の生成が完了した時には、抽出された文字列を電子メールのアプリケーションソフトウェアに対応付けられた文字列テーブル16cに記憶し、電子メールのアプリケーションソフトウェアを用いた次回以降の文章の生成時に、その電子メールのアプリケーションソフトウェアに対応付けられた文字列テーブル16cから文字列を検索する。
【0088】
このようにすることで、特定のアプリケーションソフトウェアでのみ利用する文字列について、そのアプリケーションソフトウェアが起動されている時に限って文字列を変換候補として表示できるようになるため、他のアプリケーションソフトウェアでのみ使用するような余分な文字列が変換候補として表示されるのを防止することができ、操作者が目的とする文字列を探しやすくなる。
【0089】
さて、これまで文字列変換装置および文字列変換方法の実施形態を中心に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、文字列変換装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムとしての形態、あるいは、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態として本発明が実施されることとしてもよい。
【0090】
ここで、記録媒体としては、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等、さまざまな形態のものを採用することができる。
【0091】
これら記録媒体に上述した本実施形態の文字列変換装置の機能を実現させるコンピュータプログラム、または、文字列変換方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録して流通させることにより、コストの低廉化、及び可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0092】
そして、コンピュータに上記記録媒体を装着し、コンピュータにより記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出してメモリに格納し、コンピュータが備えるプロセッサ(CPU:Central Processing Unit, MPU:Micro Processing Unit)が当該コンピュータプログラムをメモリから読み出して実行することにより、本実施形態に係る文字列変換装置の機能を実現し、文字列変換方法を実行することができる。
【0093】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…文章生成装置、11…入力部、12…入力インターフェース部、13…表示部、14…出力インターフェース部、15…通信インターフェース部、16…記憶部、16a…変換辞書データ、16b…文章データ、16c…文字列テーブル、16d…区切り記号テーブル、17…文章生成部、18…電子メール処理部、19…文字列登録部、20…文字列変換部、30,40…変換候補リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力文字列を変換する文字列変換装置であって、
文章の生成に用いられる出力文字列を記憶する記憶部と、
前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列のうち、前記選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する文字列変換部と、
を備えることを特徴とする文字列変換装置。
【請求項2】
文章の生成が完了したことを検出した場合に、文章を区切る区切り記号を登録した区切り記号情報に基づいて、生成された文章を複数の文字列に区切り、文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる文字列登録部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の文字列変換装置。
【請求項3】
前記文字列登録部は、電子メールの送信を検出した場合に、前記区切り記号に基づいて電子メールの送信用に生成された文章を複数の文字列に区切り、該生成された文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする請求項2に記載の文字列変換装置。
【請求項4】
前記文字列変換部は、前記入力文字列の文字列変換の変換候補を登録した変換辞書を用いて文字列変換を行い、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列のうち、前記変換辞書に登録されている変換候補と一致する文字列は前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる対象から除外することを特徴とする請求項2または3に記載の文字列変換装置。
【請求項5】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、所定の文字数以上の文字列のみを記憶させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項6】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、1つの文章につき、所定の個数を上限として文字列を記憶させることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項7】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた文字列が、都、道、府、県、市、区、町、村、郡、大字、字のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合に、該文章が区切られてできた文字列の先頭文字から前記行政区画を示す文字までの文字を除いた文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項8】
前記文字列登録部は、前記文章が複数の文字列に区切られた場合に、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記区切り記号を除いて前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項9】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、該複数の文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該文章が区切られてできた複数の文字列を前記出力文字列として記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項10】
前記文字列登録部は、前記表示された出力文字列から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列、および、学習文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列あるいは学習文字列を検索し、該出力文字列および学習文字列が検索された場合に検索された学習文字列を該出力文字列に優先して表示させることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項11】
前記文字列登録部は、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させる際に、該学習文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該学習文字列を記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された学習文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する学習文字列を検索し、検索された学習文字列を表示部に表示させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項12】
入力文字列を変換する文字列変換方法であって、
前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部に記憶された出力文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおいて検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする文字列変換方法。
【請求項13】
請求項12に記載の文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
入力文字列を変換する文字列変換装置であって、
文章の生成に用いられる出力文字列を記憶する記憶部と、
前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出し、前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列のうち、前記選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する文字列変換部と、
を備えることを特徴とする文字列変換装置。
【請求項2】
文章の生成が完了したことを検出した場合に、文章を区切る区切り記号を登録した区切り記号情報に基づいて、生成された文章を複数の文字列に区切り、文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる文字列登録部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の文字列変換装置。
【請求項3】
前記文字列登録部は、電子メールの送信を検出した場合に、前記区切り記号に基づいて電子メールの送信用に生成された文章を複数の文字列に区切り、該生成された文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする請求項2に記載の文字列変換装置。
【請求項4】
前記文字列変換部は、前記入力文字列の文字列変換の変換候補を登録した変換辞書を用いて文字列変換を行い、前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列のうち、前記変換辞書に登録されている変換候補と一致する文字列は前記記憶部に前記出力文字列として記憶させる対象から除外することを特徴とする請求項2または3に記載の文字列変換装置。
【請求項5】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、所定の文字数以上の文字列のみを記憶させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項6】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、1つの文章につき、所定の個数を上限として文字列を記憶させることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項7】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた文字列が、都、道、府、県、市、区、町、村、郡、大字、字のいずれかの行政区画を示す文字を含んでいる場合に、該文章が区切られてできた文字列の先頭文字から前記行政区画を示す文字までの文字を除いた文字列を前記記憶部に前記出力文字列として記憶させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項8】
前記文字列登録部は、前記文章が複数の文字列に区切られた場合に、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記区切り記号を除いて前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項9】
前記文字列登録部は、前記文章が区切られてできた複数の文字列を前記記憶部に記憶させる際に、該複数の文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該文章が区切られてできた複数の文字列を前記出力文字列として記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索し、検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項10】
前記文字列登録部は、前記表示された出力文字列から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた場合に、前記記憶部に記憶された出力文字列、および、学習文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列あるいは学習文字列を検索し、該出力文字列および学習文字列が検索された場合に検索された学習文字列を該出力文字列に優先して表示させることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項11】
前記文字列登録部は、選択された出力文字列を学習文字列として前記記憶部に記憶させる際に、該学習文字列の記憶時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて該学習文字列を記憶させ、前記文字列変換部は、前記1つの変換候補を選択する操作がなされた時に起動しているアプリケーションソフトウェアと対応付けて記憶された学習文字列の中から該選択された変換候補と部分一致する学習文字列を検索し、検索された学習文字列を表示部に表示させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の文字列変換装置。
【請求項12】
入力文字列を変換する文字列変換方法であって、
前記入力文字列の文字列変換の変換候補の中から1つの変換候補を選択する操作がなされたか否かを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記1つの変換候補を選択する操作がなされたことが検出された場合に、記憶部に記憶された出力文字列のうち、選択された変換候補と部分一致する出力文字列を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおいて検索された出力文字列を選択可能に表示部に表示させ、表示された出力文字列の中から1つの出力文字列が選択された場合に、選択された出力文字列を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする文字列変換方法。
【請求項13】
請求項12に記載の文字列変換方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−83815(P2012−83815A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227172(P2010−227172)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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