説明

文書処理装置

【課題】 入力された文字列を構造化させるとともに、この文字列からなる文章の編集作業を容易して自由度の高い編集処理機能が得られるようにする。
【解決手段】 表示部3は文字列入力画面3a、ラベル設定画面3b、文書表示画面3dおよびラベル構造表示画面3eを同一画面上で個別に表示する。文字列入力部5は文字列の入力を受け付ける。ラベル設定部7は文字列に関連付けた構造化情報および文字属性情報を示すラベルの設定を受け付ける。主制御部1は、入力された文字列をその文字列入力画面3aに表示制御し、表示された文字列に対してラベル設定部7で設定されたラベルを関連付けてその文書表示画面3dに表示制御し、その文字列を構造化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書処理装置に係り、例えばコンピュータやワードプロセッサ等に搭載して好適な文書処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやワードプロセッサを用いて文書を作成することが一般的になってきており、その文書機能の一部として、複数の文書文字列をツリー状に構造化(階層化)する機能がある。
【0003】
例えば、特開平7−282054号公報(特許文献1)はこの種のものである。
【0004】
この特許文献1は、文書を構成する構成要素が、その上位および下位にツリー状に接続される構成要素を特定する論理構造情報を有し、その論理構造における論理構成の挿入や削除、移動等の編集操作を論理構造エディタで実施可能に構成してなり、使用者による文書の論理構造の把握および変更を容易としたものである。
【特許文献1】特開平7−282054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、単に、入力した文書が位置のみの構造化を有するのみであり、例えば、次のように文章の文字位置によって大項目、この配下に連なる中項目、小項目を見出し表示していた。
【0006】
大項目
・中項目
内容
・小項目
内容
【0007】
しかも、大項目〜小項目といった「見出し」は、単に、内容と目次の体裁を整えるためのフォントサイズを設定するものであり、どの項目がどこに属するかという情報がないため、文章の構造を編集する場合には利用し難かった。
【0008】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、文字列を構造化させるとともに、文章の編集作業が容易で、より自由度の高い編集処理機能を有する文書処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのような課題を解決するために本発明に係る文書処理装置は、文字列入力画面、ラベル設定画面および文書表示画面を同一画面上で個別に表示する表示部と、その文字列の入力を受け付ける文字列入力部と、その文字列に関連付けた構造化情報および文字属性情報を示すラベルの設定を受け付けるラベル設定部と、入力された文字列をその文字列入力画面に表示制御し、表示された文字列に対してそのラベル設定部で設定されたラベルを関連付けてその文書表示画面に表示制御し、その文字列を構造化する主制御部とを具備している。
【0010】
本発明の文書処理装置では、上記表示部が文字列のラベル構造表示画面を有し、設定されたラベルを上記主制御部がそのラベル構造表示画面に表示制御する構成も可能ある。
【0011】
本発明の文書処理装置では、上記主制御部が、入力され表示された文字列の編集機能を有する構成も可能である。
【0012】
本発明の文書処理装置では、上記主制御部が、入力され表示された文字列に対し、個別又は一括してそのラベルを関連付ける機能を有する構成も可能である。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係る文書処理装置では、その文字列の入力を文字列入力部で受け付け、その文字列に関連付けた構造化情報および文字属性情報を示すラベル設定をラベル設定部で受け付け、主制御部にて、入力された文字列をその表示部の文字列入力画面に表示制御し、表示された文字列に対してラベル設定部で設定されたラベルを関連付けてその文書表示画面で表示制御するから、文字列に対して構造化情報および文字属性情報を示すラベルを付加することで、文章の編集作業を容易にさせ、より自由度の高い編集処理を実行可能である。
【0014】
本発明の文書処理装置において、上記表示部が文字列のラベル構造表示画面を有し、上記主制御部がそのラベルをラベル構造表示画面に表示制御する構成では、文字列のラベル構造が視覚的に認識可能である。
【0015】
本発明の文書処理装置において、上記主制御部が、入力され表示された文字列の編集機能を有する構成では、文書表示画面の作成済み文字列の再編集が可能である。
【0016】
本発明の文書処理装置において、上記主制御部が、入力され表示された文字列に対し、個別又は一括してそのラベルを関連付ける機能を有する構成では、文字列に対するラベル付与作業の効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係る文書処理装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【0019】
図1において、本発明に係る文書処理装置は、主制御部1を中心にして表示部3、文字列入力部5、ラベル設定部7、記憶部9を有し、例えばコンピュータ(図示省略)で構成される。主制御部1は、表示部3、文字列入力部5、ラベル設定部7および記憶部9を制御するものであるが、詳細は後述する。
【0020】
表示部3は、図2に示すように、文字列入力画面3a、ラベル設定画面3b、ラベル名入力画面3c、文書表示画面3dおよびラベル構造表示画面3e等を有し、図示しない装置本体ケースに配置された例えば液晶表示パネルで形成されている。
【0021】
文字列入力画面3a、ラベル設定画面3b、ラベル名入力画面3c、文書表示画面3dおよびラベル構造表示画面3eは、例えばコンピュータに接続する液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の同一表示画面中を分割し、各々独立して割り当てられたウインドウであり、主制御部1の制御の下で表示制御されている。
【0022】
文字列入力画面3aは、後述する文字列入力部5から入力された文字列が表示されるエディタ画面領域であり、確定されると文書表示画面3dに表示される一方、文書表示画面3dに表示された文字列中であってポインタ等で指定された文字列が表示されるようになっており、文字列入力部5からの入力によって文字列の変更が可能になっている。
【0023】
ラベル設定画面3bは、文字列に関連付けた構造化情報であるラベルの構造化位置(レベル)およびフォント等の文字属性情報を設定する画面領域である。
【0024】
ラベル設定画面3b中の「▼」をポインタで選択すると、例えば図3Aに示すようなプルダウンメニューが表示され、構造化(階層化)レベルに応じた例えば最上位の「レベル1」、次レベルの「レベル2」、その次のレベルの「レベル3」といったレベル1〜3が表示されるようになっており、ラベル設定部7からの確定によって確定表示されるとともに、主制御部1の制御の下、文字列入力画面3aで表示確定された文字列に関連付けられるようになっている。
【0025】
ラベル設定画面3bでは、構造化レベルのプルダウンメニューから文字フォント等の文字属性情報(例えばフォント1〜4)のプルダウンメニューが連結表示されるようになっており、ラベル設定部7からの確定によって確定されるとともに、主制御部1の制御の下、文字列に関連付けられるようになっている。
【0026】
ラベル名入力画面3cは、「レベル1」〜「レベル3」の名称の表示画面であり、「レベル1」〜「レベル3」に応じて予め設定された名称が自動的に付与表示されるようになっている。なお、ポインタを置いて文字列入力部5からの入力によって名称の入力が可能である。
【0027】
文書表示画面3dは、文字列入力画面3aに表示され確定された文字列がレベルに応じた位置やフォントで表示される文書画面領域であり、表示された文字列がポインタ等で反転指定されると、文字列入力画面3aに表示されるようになっている。
【0028】
ラベル構造表示画面3eは、文字列に関連付けた構造化情報であるラベルの構造化位置(レベル)を、例えばラベル名入力画面3cで設定した名称で表示する画面領域である。
【0029】
文字列入力部5は、表示部3の文字列入力画面3a、ラベル設定画面3b、ラベル名入力画面3cに文字情報を入力したり入力文字等の確定をする図示しない公知のキーボードやマウスであり、入力された文字情報や確定(リターン)情報を主制御部1に出力するものである。
【0030】
ラベル設定部7は、ラベル設定画面3bにおいてレベル「1」〜「3」の選択入力や文字属性情報の選択入力、ラベル名入力画面3cにおけるラベル名称入力を受け付ける図示しないキーボードやマウスであり、入力された選択情報、文字情報、文字属性情報、確定(リターン)情報が主制御部1に出力される。なお、文字列入力部5およびラベル設定部7は同じキーボードやマウスで兼用可能である。
【0031】
記憶部9は、文書表示画面3dで表示させる文字情報、ラベル設定画面3bで設定されるレベル「1」〜「3」や文字属性情報に加えて、ラベル名入力画面3cで入力されたラベル名称、文書表示画面3dで表示する文字列からなる文書を記憶するとともに、主制御部1を動作させるプログラム、更には、入力文字情報から文字列や文書を生成する例えばかな漢字変換ソフト(FEP)等が格納された例えばハードディスク(HDD)である。
【0032】
主制御部1は、ポインタが文字列入力画面3aにあって、文字列入力部5から文字列が入力されると、かな漢字変換ソフトを用いて、その文字列を文字列入力画面3aに表示制御するとともに、確定されると文書表示画面3dに表示制御する一方、文書表示画面3dに表示された文字列中でポインタで指定した文字列を表示制御する機能を有している。
【0033】
主制御部1は、ラベル設定画面3bに構造化レベル1〜3を表示するとともに、ポインタがラベル設定画面3bにあって「▼キー」の押下によって選択的に表示されたレベル「1」〜「3」および文字属性「フォント1」〜「フォント4」を文字列に対応付けて記憶したり、ポインタがラベル名入力画面3cにあって文字列入力部5から入力された名称を文字列に対応付けて記憶する機能を有している。
【0034】
主制御部1は、文書表示画面3dに表示した文書(文字列)を任意に選択して文字列入力画面3aに再入力させ、ラベル設定画面3bにて個別又は一括して同一ラベルを関連付ける機能を有している。
【0035】
主制御部1による文字列と構造化レベルや文字属性情報との対応付けとしては、例えば、図3Bに示すように、文字列からなる1個の文書の名称である「文書名」、この文書の構成を示す「文書構成情報」、文書を構成する文字列を実際に含む「文書情報1」〜「文書情報n」等の形式からなっている。
【0036】
個々の「文書情報」例えば「文書情報1」は、構造化レベルを示す「論理属性ID」、フォント情報を示す「属性情報1」、色や装飾情報を示す「属性情報2」、実際の文字列情報である「実文字列データ1」〜「実文字列データn」等の形式からなっており、主制御部1によって生成される。
【0037】
次に本発明に係る文書処理装置の動作を簡単に説明する。
【0038】
主制御部1は、キーボードやマウスによってポインタを文字列入力画面3aに位置させ、文字列入力部5から文字列を入力すると、その文字列が文字列入力画面3aに表示される。
【0039】
ラベル設定画面3bにポインタを位置させ、ポインタで「▼キー」を押下してレベル「1」〜「3」を選択するとともにフォント1〜4を選択して文字列に対応付ける。
【0040】
さらに、ラベル名入力画面3cにポインタを移し、文字列入力部5からラベル名称を選択する。
【0041】
そして、それらの表示を文字列入力部5又はラベル設定部7で確定させると、図3Bのように構造化レベル1〜3、ラベル名称が対応付けられた文字列からなる文書が記憶部に記憶されるとともに、表示部3の文書表示画面3dに表示される。その際、ラベル構造化画面3eにもラベル名で構造化表示される。
【0042】
また、表示部3の文書表示画面3dに表示された文書中の文字列をポインタで反転指定すると、それが文字列入力画面3aに再表示され、文字列入力部5又はラベル設定部7で修正編集可能となる。
【0043】
このように構成された本発明の文書処理装置では、文字列入力画面3a、ラベル設定画面3b、文書表示画面3dおよびラベル構造表示画面3eを同一画面上で個別独立表示する表示部3と、その文字列の入力を受け付ける文字列入力部5と、その文字列に関連付けた構造化情報および文字属性情報を示すラベルの設定を受け付けるラベル設定部7と、入力された文字列をその文字列入力画面3aに表示制御し、表示された文字列に対してそのラベル設定部7で設定されたラベルを関連付けてその文書表示画面3dに表示制御するとともに、その文字列を構造化する主制御部1とを具備している。
【0044】
そのため、文字列を構造化させることが可能であるし、入力した文字列に種々の属性を関連付けることが可能で、幅広い文章の編集作業が可能で、より自由度の高い編集処理機能が得られるうえ、文字列のラベル構造も視覚的に確認可能である。
【0045】
しかも、入力され表示された文字列の編集機能を有するから、文書表示画面の作成済み文字列の再編集も可能である。
【0046】
また、文字列入力画面3aに入力され表示された文字列に対し、ラベル設定画面3bにて個別又は一括してそのラベルを関連付けることも可能であるから、複数の任意の文字列に対して異なる又は同じ構造化情報および文字属性情報を付与可能で、ラベル付与作業の効率化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る文書処理装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の文書処理装置における表示部の例を示す図である。
【図3】本発明の文書処理装置における文書構造の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
1 主制御部
3 表示部
3a 文字列入力画面
3b ラベル設定画面
3c ラベル名入力画面
3d 文書表示画面
3e ラベル構造表示画面
5 文字列入力部
7 ラベル設定部
9 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列入力画面、ラベル設定画面および文書表示画面を同一画面上に個別に表示する表示部と、
前記文字列の入力を受け付ける文字列入力部と、
前記文字列に関連付けた構造化情報および文字属性情報を示すラベルの設定を受け付けるラベル設定部と、
入力された前記文字列を前記文字列入力画面に表示制御し、表示された前記文字列に対して前記ラベル設定部で設定された前記ラベルを関連付けて前記文書表示画面に表示制御し、前記文字列を構造化する主制御部と、
を具備することを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
前記表示部は前記文字列のラベル構造表示画面を有し、前記主制御部は設定された前記ラベルを前記ラベル構造表示画面に表示制御する請求項1記載の文書処理装置。
【請求項3】
前記主制御部は、入力され表示された前記文字列の編集機能を有する請求項1又は2記載の文書処理装置。
【請求項4】
前記主制御部は、入力され表示された前記文字列に対し、個別又は一括して前記ラベルを関連付ける機能を有する請求項1〜3いずれか1記載の文書処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−234273(P2008−234273A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72381(P2007−72381)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】