説明

文書処理装置

【目的】 印刷終了時に自動的に電源をオフすることができ、無駄な電力を消費せず、しかも印刷処理中にそのまま放置しても安心な文書処理装置を得る。また、印刷中に何らかの原因で電源がオフされたとしても、印刷終了までは電源供給を保持できる文書処理装置を得る。
【構成】 中央処理装置1に、印刷終了時に電源をオフする指令信号を出力する電源オフ指令手段と、印刷の終了を検出し印刷終了信号を出力する印刷終了検出手段との機能を持たせ、この中央処理装置1からの電源オフ指令信号を受け、印刷終了信号を受けると電源と電源回路12との間に接続された電源リレー14aをオフする電源制御手段15を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、文書処理装置に係り、特に、印刷中における電源の状態に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、例えば特開昭63−244223号公報に示された文書処理装置を示すものであり、図において、1は装置全体の制御を司る中央処理装置(CPU)で、印刷時には図6に示すフローチャートに基づき処理するものである。2はこの中央処理装置が実行するための文書の作成、編集、校正等の処理プログラムを格納するプログラム部と、所定の書式に従う複数頁分の文書情報等が格納されるデータ部とを有する内部メモリ(MMU)、3は各種プログラム情報、文書情報等が保存されるフロッピーディスクコントローラ(FDC)等からなる制御手段、5は文書入力等のための各種キーを有するキーボード(KB)、6はこのキーボードのコントローラである。
【0003】7は各種作業メニュー、作成文書、文書の制御情報等を表示するディスプレイ(DISP)等からなる表示手段、8はこの表示手段を制御するための表示制御手段(DISPC)、9は漢字パターンメモリ(KPM)等からなる文字フォント格納手段、10は文書等の印刷を行うためのプリンタ(PRT)等からなる印刷手段、11はこの印刷手段を制御する印刷制御手段(PRTC)、12は100Vの交流電源等の外部電源を文書処理装置内部で使用する5Vの直流電源である内部電源に変換する電源回路、13bはこの電源回路のオン/オフを行うための電源スイッチである。
【0004】次に、この様に構成された文書処理装置の動作について説明する。まず、電源スイッチ13bを投入すると、外部電源から電源回路12に交流電力が供給され、電源回路12が5Vの直流電源に変換して装置自身を駆動状態にする。すると、中央処理装置1が内部メモリ2のプログラム部に格納されている処理プログラムに基づいてシステム全体の制御を開始する。中央処理装置1の制御に従って表示制御手段8が表示手段7に各種の操作のための表示を行わせる。
【0005】そして、キーボード5からキー操作によって文書の作成あるいはフロッピーディスクコントローラ4の制御のもとにフロッピーディスク3からの文書の読み込みや校正などが実行される。こうして印刷すべき文書が文書情報として内部メモリ2のデータ部の所定領域内に格納される。
【0006】次に、印刷すべき文書が作成され、この文書を印刷する場合は、キーボード5の操作によって印刷指示を入力する。すると、中央処理装置1は内部メモリ2のデータ部における所定領域に格納された印刷すべき文書情報を、所定所要時間の算出及び表示と並行して印刷を開始する。
【0007】この印刷動作を図6に示した中央処理装置1が行うフローチャートに基づいてさらに詳細に説明する。まず、ステップ61にて、内部メモリ2のデータ部における印刷すべき文書情報の書式情報と文字コードデータより印刷に要する時間を行毎に算出して加算し、全印刷時間を算出する。次いで、ステップ62にて印刷時間の表示要求の有無を確認し、要求有りであるとステップ63に進み、印刷に要する全所要時間と残りの印刷に必要な時間を表示制御手段8に指示して表示手段7に表示させる。
【0008】ステップ64にて印刷すべき文書情報の有無を確認し、印刷すべき文書情報が有りであるとステップ65に進み、印刷すべき文書情報を印刷制御手段11の制御のもとに印刷手段に1行分出力し、印刷手段10にて1行分の印刷を行わせる。同時にステップ66にて残りの印刷に必要な時間を再計算し、ステップ62に戻り上記と同様の動作を繰り返し行い、印刷すべき文書情報のすべてを印刷手段10にて印刷させるとともに1行分印刷が終了する毎に残り時間の再計算を行って表示手段7に表示させる。このようにして印刷すべき文書情報のすべての印刷が終了すると、ステップ64にて印刷すべき文書情報がないと判断して印刷を終了する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記のように構成された従来の文書処理装置にあっては、印刷時間及び印刷残り時間が表示されるものの、印刷終了まで待機するかあるいは印刷残り時間を見てその時間を見計らって印刷終了時点以降に戻ってきて電源をオフする必要がある。従って、印刷終了後に何らかの原因で長時間たってから戻ってきて電源をオフしたのでは無駄に電力を消費する結果となるとともに製品寿命を短くしてしまうものであり、また、印刷処理を実行したままでそのまま放置して置くこともできないという問題点を有しているものであった。
【0010】また、印刷中に何らかの原因で電源をオフしてしまうと印刷が途中で終了してしまい、再度印刷をやり直さなければならないという問題点を有しているものであった。
【0011】この発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、印刷終了時に自動的に電源をオフすることができ、無駄な電力を消費せず、しかも印刷処理中にそのまま放置しても安心な文書処理装置を得ることを第1の目的とするものである。
【0012】また、印刷中に何らかの原因で電源がオフされたとしても、印刷終了までは電源供給を保持できる文書処理装置を得ることを第2の目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の発明に係る文書処理装置は、印刷終了時に電源をオフする電源オフ指令信号を出力する電源オフ指令手段と、印刷の終了を検出し印刷終了信号を印刷終了検出手段と、電源オフ指令手段からの電源指令信号を受け、印刷終了検出手段からの印刷終了信号を受けると電源をオフする電源制御手段とを設けたものである。
【0014】この発明の第2の発明に係る文書処理装置は、電源スイッチと、印刷開始あるいは印刷中などの印刷状態を示す信号を受けて印刷中に例え電源スイッチがオフ状態になっても電源供給を少なくとも印刷終了までは保持する電源供給保持手段とを設けたものである。
【0015】
【作用】この発明の第1の発明にあっては、電源制御手段が、電源オフ指令手段からの電源オフ指令信号を受け、印刷終了検出手段からの印刷終了信号を受けて印刷終了時に電源をオフし、無駄な電力の消費を抑制せしめる。
【0016】また、この発明の第2の発明にあっては、電源供給保持手段が印刷中に例え電源がオフ状態になっても、印刷終了までは電源供給を保持せしめ、印刷を最後まで完了さす。
【0017】
【実施例】
実施例1.以下にこの発明の一実施例を図1及び図2に基づいて説明する。図1において、13aは外部電源を電源回路12に電源を供給するかしないかを指示するための電源スイッチ、14aは外部電源と電源回路12との間に接続され、外部電源から電源回路12への電力供給をオン/オフ制御する電源リレー、15は上記電源スイッチ13aのオン/オフ操作によって上記電源リレー14aの開閉動作を制御するとともに、中央処理装置1からの電源オフ指令信号及び印刷終了信号を受け、印刷終了信号を受けたときに上記電源リレー14aを開放させる電源制御手段(PSC)で、印刷中に上記電源スイッチ13aのオフ操作がされた場合には印刷終了を待って上記電源リレー14aを開放させるものである。
【0018】また、中央処理装置1は印刷時に図2に示すフローチャートに基づき処理するものであり、キーボード5からの入力操作によって印刷終了時に電源をオフする電源オフ指令信号を出力する電源オフ指令手段と、印刷の終了を検出し印刷終了信号を出力する印刷終了検出手段との機能を果たすものである。さらに、内部メモリ2のプログラム部には図2に示すフローチャートに基づく処理プログラムが格納されているものである。
【0019】次に、上記のように構成された文書処理装置の動作について説明する。まず、電源スイッチ13aを投入すると、電源制御手段15が動作して電源リレー14aを閉止し、外部電源からこの電源リレー14aを介して電源回路12に交流電力が供給され、電源回路12が5Vの直流電源に交換して装置自身を駆動状態にする。すると、中央処理装置1が内部メモリ2のプログラム部に格納されている処理プログラムに基づいてシステム全体の制御を開始する。中央処理装置1の制御に従って表示制御手段8が表示手段7に各種の操作のための表示を行わせる。
【0020】そして、キーボード5からのキー操作によって文書の作成あるいはフロッピーディスクコントローラ4の制御のもとにフロッピーディスク3からの文書の読み込みや校正などが実行される。こうして印刷すべき文書が文書情報として内部メモリ2のデータ部の所定領域内に格納される。
【0021】次に、印刷すべき文書が作成され、この文書を印刷する場合は、キーボード5の操作によって印刷指示を入力する。この時、同時にキーボード5の操作によって印刷終了後自動的に電源をオフする指示を入力しておくと、中央処理装置1は電源制御手段15に電源オフ指令信号を出力するとともに、内部メモリ2のデータ部における所定領域に格納された印刷すべき文書情報の印刷を開始し、文書情報のすべての印刷が終了すると、電源制御手段15に印刷終了信号を出力する。印刷終了信号を受けた電源制御手段15は電源リレー14aを開放し、外部電源から電源回路12への電力の供給を断つ。
【0022】この印刷動作を図2に示した中央処理装置1が行うフローチャートに基づいてさらに詳細に説明する。まず、ステップ21にて、内部メモリ2のデータ部における印刷すべき文書情報の有無を確認し、印刷すべき文書情報が有りであるとステップ22に進み、印刷すべき文書情報を印刷制御手段11の制御のもとに印刷手段10に1行分出力し、印刷手段10にて1行分の印刷を行わせ、ステップ21に戻り上記と同様の動作を繰り返し行い、印刷すべき文書情報のすべてを印刷手段10にて印刷させる。
【0023】このようにして印刷すべき文書情報のすべての印刷が終了すると、ステップ21にて印刷すべき文書情報がないと判断してステップ23に進む。ステップ23では、印刷実行前のキーボード5からの電源オフ要求あるいは印刷実行中のキーボード5からの電源オフ要求または電源スイッチ13aのオフ操作によって電源オフ要求があったか否かを判定する。電源オフ要求がありと判断されるとステップ24に進み、電源制御手段15に印刷終了信号を出力し、電源制御手段15が電源リレー14aを開放させて外部電源からの電力の供給を自動的に遮断させるものである。
【0024】このように構成された上記実施例1のものにあっては、印刷終了に伴って自動的に電源がオフさせるので、無駄な電力の消費がなくなり、装置の寿命も短くさせることがなく、しかも、間違って電源スイッチ13aをオフしたとしても、印刷終了までは電源の供給が保持されるので、再度印刷し直さなくとも済むものである。なお、電源オフ要求を入力しなければ、印刷が終了しても外部電源からの電力は供給されたままである。
【0025】実施例2.図3及び図4はこの発明の実施例2を示すものであり、図3においては14bは電源と電源回路12との間に接続された電源スイッチ13bと並列に接続された電源保持リレーからなる電源供給手段で、印刷制御手段11からの印刷開始あるいは印刷中などの印刷状態を示す信号を受けて外部電源と電源回路12とを電気的に接続しておくものである。
【0026】また、中央処理装置1は印刷時に図4に示すフローチャートに基づき処理するものであり、印刷要求信号を印刷制御手段11に出力するものである。さらに、内部メモリ2のプログラム部には図4に示すフローチャートに基づく処理プログラムが格納されているものである。また、印刷制御手段11は中央処理装置1からの印刷要求信号を受けて印刷が終了するまで電源供給保持手段14bに閉止状態を維持させるものである。
【0027】次に、上記のように構成された実施例2の動作について説明する。文書の作成、編集あるいはフロッピーディスク3からの文書の読み込みや校正は上記従来例と同様に動作するものであるので、説明は省略する。
【0028】印刷すべき文書が作成され、この文書を印刷する場合は、キーボード5の操作によって印刷指示を入力し、印刷動作が開始される。この印刷動作を図4に示した中央処理装置1が行うフローチャートに基づいてさらに詳細に説明する。まず、ステップ41にて、印刷手段10に対して印刷要求信号を印刷制御手段11が出力し、同時にこの印刷要求信号を電源供給保持手段14bに出力して電源供給保持手段14bを閉止状態にする。この状態で電源スイッチ13bが間違ってオフ操作されても外部電源から電源回路12への電力の供給は維持される。
【0029】次に、ステップ42に進み、内部メモリ2のデータ部における印刷すべき文書情報の有無を確認し、印刷すべき文書情報が有りであるとステップ43に進み、印刷すべき文書情報を印刷制御手段11の制御のもとに印刷手段10に1行分出力し、印刷手段10にて1行分の印刷を行わせ、ステップ42に戻り上記と同様の動作を繰り返し行い、印刷すべき文書情報のすべてを印刷手段10にて印刷させる。
【0030】このようにして印刷すべき文書情報のすべての印刷が終了すると、ステップ42にて印刷すべき文書情報がないと判断してステップ44に進む。ステップ44では、印刷制御手段11に印刷要求信号がオフ状態となる信号を出力し、印刷制御信号11が電源供給保持手段14bを開放させて外部電源からの電力の供給を遮断させるものである。
【0031】このように構成された実施例2のものにあっては、印刷実行中に誤って電源スイッチ13bをオフ操作しても、内部メモリ2内の文書情報が破壊されたり、失われたりすることがなく、文書情報の最後まで印刷が行われるものである。
【0032】なお、上記実施例1及び2において、電源制御手段15によって制御される電源リレー14a及び印刷制御手段11によって制御される電源供給保持手段14bは、電磁リレーやソリッドステートリレー等のオン/オフ制御が可能なスイッチであれば良いものである。
【0033】また、実施例1及び2においては、外部電源にて電力が供給されるものを示したが、内蔵された電池によって電力が供給されるものにも適用できるものであり、この場合、内蔵された電池からの供給を制御する構成にすれば良いものである。
【0034】
【発明の効果】以上に述べたように、この発明の第1の発明は、電源オフ指令手段からの電源オフ指令信号を受け、印刷終了検出手段からの印刷終了信号を受けると電源をオフする電源制御手段を設けたので、印刷が終了すると自動的に電源がオフされ、無駄な電力消費が抑えられ、製品寿命の短縮化を妨げ、しかも、印刷実行後印刷終了を待たずに放置できるという効果を有するものである。
【0035】また、この発明の第2の発明は、印刷開始あるいは印刷中などの印刷状態を示す信号を受けて印刷中に例え電源スイッチがオフ状態になっても電源供給を少なくとも印刷終了までは保持する電源供給保持手段を設けたので、印刷中に誤って電源スイッチをオフ操作しても印刷終了まで印刷が行われ、また印刷実行後に電源スイッチをオフ操作すれば印刷終了に伴って電源が自動的にオフできるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック構成図。
【図2】この発明の実施例1における中央処理装置における印刷時の処理フローを示すフローチャート。
【図3】この発明の実施例2を示すブロック構成図。
【図4】この発明の実施例2における中央処理装置における印刷時の処理フローをしめすフローチャート。
【図5】従来の文書処理装置を示すブロック構成図。
【符号の説明】
1 電源オフ指令手段及び電源制御手段の機能を有した中央処理装置
2 内部メモリ
5 キーボード
10 印刷手段
11 印刷制御手段
13a 電源スイッチ
13b 電源スイッチ
14a 電源リレー
14b 電源供給保持手段
15 電源制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷終了時に電源をオフする指令信号を出力する電源オフ指令手段、印刷の終了を検出し印刷終了信号を出力する印刷終了検出手段、上記電源オフ指令手段からの電源オフ指令信号を受け、上記印刷終了検出手段からの印刷終了信号を受けると上記電源をオフする電源制御手段を備えた文書処理装置。
【請求項2】 電源スイッチ、印刷開始あるいは印刷中など印刷状態を示す信号を受けて印刷中に例え上記電源スイッチがオフ状態になっても電源供給を少なくとも印刷終了までは保持する電源供給保持手段を備えた文書処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平6−161613
【公開日】平成6年(1994)6月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−57599
【出願日】平成3年(1991)3月1日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)