説明

料理用秤及び材料表示方法

【課題】 記憶されている料理の各材料の基本重量を用いて、各材料の目標重量を表示可能な料理用秤において、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】 本料理用秤は、計量皿11上に載せられた料理の材料を計量可能であると共に、料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、この材料データに基づき、1つの料理についての各材料の目標重量を表示部30に表示するようになっている。操作部40での操作によって、表示部30に表示されている料理の材料の内で、一の材料が選択される。目標重量算出部20eは、この一の材料の計量により得られた一の材料の重量と、材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、一の材料の重量に応じた他の材料の目標重量を算出する。目標重量表示制御部20fは、目標重量算出部20eにより算出された他の材料の目標重量を、表示部30上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量皿上に載せられた料理の材料を計量する料理用秤に係り、料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、1つの料理についてのこの材料データに基づき、料理の材料の目標重量を表示部に表示することが可能な料理用秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られたこの種のキッチンスケールの一つでは、ユーザが、所望の料理の食数を入力すると、その食数に応じた材料の目標重量が表示されるようになっている(特許文献1参照)。即ち、料理の一人分の材料の目標重量(基本となる重量)が、予め記憶されていて、ユーザが、食数を例えば五人分と入力すると、各材料の目標重量が5倍されて表示されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2001−12995(図12,13及び段落0025,0030等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキッチンスケールでは、例えば、漬物などでその主材料が先にあって、ユーザが主材料の全量を用いたいといった場合、他の材料の目標重量を知ろうとすると、その操作手順は煩雑なものになった。つまり、ユーザは、(1)その主材料を先ず計量して、(2)その主材料の計量値と、一人分の目標重量とから食数を求めて、(3)その後に、食数を入力するといった手順によらなければ、副材料等の他の材料の目標重量を知ることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決することができる料理用秤等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る料理用秤は、料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、1つの料理についての該材料データに基づき、料理の材料の目標重量を表示部に表示すると共に、計量皿上に載せられた料理の材料を計量する料理用秤であって、前記表示部に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択するための材料選択手段と、該材料選択手段で選択された一の材料の計量によって得られた該一の材料の重量と、前記材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、一の材料の重量に応じた他の材料の目標重量を算出する目標重量算出手段と、該目標重量算出手段により算出された他の材料の目標重量を、前記表示部上に表示させる目標重量表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る料理用秤は、請求項1に係る料理用秤において、前記目標重量表示制御手段は、料理についての他の材料の目標重量を、一覧形式で、前記表示部上に表示させることを特徴とする。
請求項3に係る料理用秤は、請求項1に係る料理用秤において、料理についての複数の他の材料を1つずつ順に切り替えるように指示する切替指示手段を備え、前記目標重量表示制御手段は、該切替指示手段での指示に応じて切り替えられた他の材料の目標重量を、前記表示部上に表示させることを特徴とする。
請求項4に係る料理用秤は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に係る料理用秤において、前記材料データに基づき、複数の料理を前記表示部上に表示させる料理表示制御手段と、該料理表示制御手段により表示されている料理の内で1つの料理を選択するための料理選択手段と、該料理選択手段により選択された料理についての前記材料データに基づき、該料理の材料を前記表示部上に表示させる材料表示制御手段とを備え、前記材料選択手段は、ユーザに、該材料表示制御手段により前記表示部上に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択させることを特徴する。
請求項5に係る料理用秤は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に係る料理用秤において、各材料の計量に先立ち材料を入れる容器が前記計量皿上に載せられた状態で、重量の計量について0点設定を行うように指示する0点設定指示手段と、該0点設定指示手段による指示に応じて、前記0点設定を行う0点設定手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6に係る材料表示方法は、料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、1つの料理についての該材料データに基づき、料理の材料の目標重量を表示部に表示すると共に、計量皿上に載せられた料理の材料を計量する料理用秤における材料表示方法であって、前記表示部に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択するステップと、選択された一の材料の計量によって得られた該一の材料の重量と、前記材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、一の材料の重量に応じた他の材料の目標重量を算出するステップと、算出された他の材料の目標重量を前記表示部上に表示させるステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ユーザは、所望の料理のための複数の材料の内の一つの材料を選んで、計量皿に載せるだけで、その料理における他の材料の目標重量が、自動的に算出されて表示されるため、ユーザの利便性が向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(最良の実施の形態)
本発明の最良の実施の形態である料理用秤について説明する。図1に示すように、この料理用秤1は、その上面側に計量皿11を有しており、この計量皿11上に載せられた計量対象物、例えばジャガイモや鶏肉などの食材は、図2の計量部12により計量される。この計量部12は、周知のロードセルを用いたものであり、計量部12では、一例として、4つの歪みゲージが、計量皿11を支える支持棒の異なる位置に接着され、これら4つの歪みゲージが、ホイートストンブリッジ回路を構成するようになっている。
【0009】
制御部20は、料理用秤1の全体の動作を制御するものであって、上記計量部12のホイートストンブリッジ回路における電圧の変化により、計量皿11上の計量対象物の重量を計量可能になっている。この制御部20は、同図2のように、増幅器21、A/D変換器22、マイクロプロセッサ23、ROM24、RAM25及びEEPROM26などからなる。
【0010】
増幅器21は、計量部12で生成された、計量値を表す電圧信号を増幅し、A/D変換器22は、この増幅されたアナログの電圧信号を、マイクロプロセッサ23での処理が可能になるように、デジタル信号へと変換する。
【0011】
マイクロプロセッサ23は、電源がオンされて本料理用秤1が起動されると、料理のレシピの表示(料理の材料の重量の表示)、計量対象物の計量等に係る所定のプログラムをROM24からRAM25上へと読み出し実行するようになっている。EEPROM26は、料理の各材料の重量を料理毎に表す材料データ等を記憶する。
【0012】
1つの料理についての材料データは、レシピの表示等に用いられるものであり、その料理の料理名、料理に用いられる材料の材料名、及び、各材料の基本重量を含んでいる。この各材料の基本重量は、例えば、その料理の一人分に相当する各材料の分量である。料理の一例を挙げると、辛子漬けについて、その料理名は「カラシヅケ」であり、材料名及びその基本重量は、「キュウリ 1000g」、「辛子 50g」、「砂糖 135g」、「塩 50g」、「みりん 30g」である。これらが材料データとして登録され記憶されるようになっている。
【0013】
表示部30は、液晶ディスプレイであり、計量対象物の計量値、料理の材料の目標重量、ユーザへの操作ガイダンス等を表示するようになっている。操作部40には、前図1のように、電源キー41、テンキー42a〜j、決定キー43、戻るキー44、カーソル移動キー45a〜d、風袋引きキー46、及び、モード選択キー47が設けられている。
【0014】
電源キー41は、ユーザがこの料理用秤1の電源をオン/オフするためのキーである。テンキー42a〜jは、ユーザが数値を入力するためのキーであり、決定キー43は、ユーザが入力を決定(確定)するためのキーである。戻るキー44は、一連の入力操作が行われている際に、表示部30に前画面を表示させるためのキーである。カーソル移動キー45a〜dは、表示部30内に表示されたカーソルを上下左右に移動させるためのキーであり、風袋引きキー46は、風袋引きにより、重量の計量につき0点設定を行うように指示するためのキーである。
【0015】
特に、この料理用秤1では、ユーザがカタカナを入力可能になっている。このカタカナ入力は、テンキー42a〜j及び決定キー43等を組み合わせて用いたり、表示部30上への所定のソフトウェアキーボードの表示を伴わせつつカーソル移動キー45a〜d及び決定キー43等を組み合わせて用いたりすることにより行われる。
【0016】
モード選択キー47は、ユーザが(1)レシピ登録モード、(2)レシピ表示モード、(3)レシピ順次計量モード、及び、(4)はかりモードのいずれか1つの動作モードを選択的に指示するためのキーである。即ち、ユーザがこのモード選択キー47を押すことにより、表示部30上に、図3に示すモード選択画面が表示されるようになっている。このモード選択画面で、ユーザがカーソル移動キー45a,bを押すことにより、カーソルCを上下に移動させ、所望の動作モードの左側にカーソルCが表示されている状態で、決定キー43を押すことにより、動作モードが選択される(選択が入力される)。本料理用秤1の主要な特徴は、レシピ表示モード及びレシピ順次計量モードにおける動作である。
【0017】
(1)レシピ登録モードは、ユーザが料理用秤1に料理の各材料の基本重量を登録するための動作モードである。即ち、料理用秤1では、このレシピ登録モードにおいて、ユーザが頻繁に調理する料理等の種々の料理につき、料理毎の材料データの登録が受け付けられ、登録された材料データに基づいて、レシピ表示モード又はレシピ順次計量モードが実行されるようになっている。
【0018】
モード選択画面(同図3)において、レシピ登録モードが選択されると、先ず、表示部30上に、「料理名を入力してください」といったガイダンス表示が行われ、料理名の入力が促される(図4(a))。先述の辛子漬けの例であれば、ユーザが、操作部40から、テンキー42a〜j及び決定キー43等を用いて、「カラシヅケ」と入力しその入力を決定すると、続いて、材料名とその材料の基本重量との入力が順次受け付けられていく。
【0019】
この材料名と基本重量との入力において、具体的には、先ず、表示部30上に、「材料名を入力してください」といったガイダンス表示が行われ、調理される材料の内の1つの材料の材料名の入力が促される(図4(b))。ユーザが、操作部40から、「キュウリ」と入力してこの入力を決定すると、次に、「重さを入力してください」といったガイダンス表示により、その材料「キュウリ」の基本重量の入力が促される。
【0020】
このガイダンス表示に応じて、ユーザが、「1000」と入力すると、他の材料についても、同様に、その材料名及び基本重量の入力が行われていく。他の材料の1つ、ここでは「カラシ」について材料名及び基本重量の入力が決定されると(図4(c))、これ以外の他の材料についても、順次、表示部30への同様の表示を伴いながら、ユーザが操作部40から入力を行っていく。
【0021】
全ての材料につき材料名及びその基本重量の入力が完了して、例えば戻るキー44の押下などの所定のキー操作が行われると、1つの料理についての材料データの登録が完了する。この材料データの登録と共に、登録された料理の材料について、材料名と基本重量とが、表示部30上に一覧形式で表示される(図4(d))。
【0022】
(2)レシピ表示モードは、料理用秤1が、レシピ登録モードで登録された料理の内の1つの料理について、その料理の材料の内の1つの材料の計量に基づき、他の材料の目標重量を表示する動作モードである。このレシピ表示モードでは、材料の目標重量は一覧形式で表示されるようになっている(後述する図5(e))。
【0023】
モード選択画面(図3)においてレシピ表示モードが選択されると、表示部30上に「料理名を選択してください」といったガイダンス表示が行われる共に、レシピ登録モードで登録された料理の一覧が表示される。例えば、図5(a)では、登録済みの料理の料理名として、「ニクジャガ」、「カラシヅケ」、「オデン」、「クッキー」、「キムチ」が、表示部30上に表示されている。これらの表示により、ユーザに対し、登録済みの複数の料理の内で1つの料理を選択することが促されている。
【0024】
ユーザが、カーソル移動キー45a,bを用いて、カーソルCをこれらの料理の内の「カラシヅケ」の左側にカーソルCを移動させ、この状態で、ユーザが決定キー43を押すと、「カラシヅケ」の選択が決定される。
【0025】
そして、料理が選択されると、表示部30上には、「主材料を選択してください」といったガイダンスが表示されると共に、選択された料理の材料の一覧が表示される。「カラシヅケ」が選択された例では、図5(b)のように、具体的に、その材料名として、「キュウリ」、「カラシ」、「サトウ」、「シオ」、「ミリン」が、表示部30上に表示されている。これらの表示により、ユーザに対し、選択された料理の複数の材料の内で、主材料の選択が促されている。
【0026】
ユーザが、カーソル移動キー45a,bを用い、表示部30内でカーソルCをこれらの材料の内の「キュウリ」の左側にカーソルCを移動させ、決定キー43を押すと、「キュウリ」の選択が決定される。
【0027】
これらのようにして主材料が決定されると、風袋引きの後に主材料の計量が行われるようになっている。先ず、風袋引きについてであるが、表示部30上には、「容器をのせてください」といったガイダンスが表示され、計量皿11上に載せられた容器につき、通常の計量が行われる(図5(c))。辛子漬けの例では、その主材料となるキュウリの計量に際し、その空の容器の計量値が「125g」であることが表示されている。
【0028】
ここで、ユーザが風袋引きキー46を押すと、容器が載せられた状態で0点が設定され、続いて、主材料の計量が行われる。主材料の計量では、先ず、「主材料をのせてください。 キュウリ」といったガイダンス表示が表示部30で行われる(図5(d))。この表示によって、その主材料を計量皿11上に載せ、主材料を計量することが促されている。ユーザがキュウリを計量皿11上に載せると、その計量値「826g」が表示される。
【0029】
この状態でユーザが決定キー43を押すと、主材料の計量値が決定され、主材料以外の他の全ての材料の目標重量が材料データに基づき算出される。そして、図5(e)のように、表示部30に、全ての材料について、材料名及び目標重量が一覧形式で表示される。表示部30の画面中央で、その主材料についての、「キュウリ 826g」との表示以外に、副材料についての、「カラシ 41g」、「サトウ 112g」、「シオ 41g」、「ミリン 25g」といった表示が行われている。
【0030】
本料理用秤1では、材料一覧のこれら表示を維持しつつ、画面右側で、計量皿11上に載せられた材料の計量値を表示させることが可能である。所定のキー操作があるまで、料理用秤1では、この表示状態が維持されるようになっており、ユーザは、「カラシ」、「サトウ」、「シオ」、「ミリン」と、適宜各材料の容器につき風袋引きを行いながら、順に各材料を計量していく。
【0031】
(3)レシピ順次計量モードでも、レシピ表示モードと同様に、登録済みの料理の内の1つの料理について、その料理の材料の内の1つの材料の計量に基づき、他の材料の目標重量が表示される。ここでは、レシピ表示モードと異なり、材料の目標重量が1つずつ順に表示されながら、他の材料の計量が行われるようになっている(後述の図6(e))。
【0032】
モード選択画面(図3)で、レシピ順次計量モードが選択されると、レシピ表示モードと同様に、料理の選択(図6(a))、主材料の選択(図6(b))、主材料計量に先立っての風袋引き(図6(c))、主材料の計量(図6(d))が順に行われていく。主材料の計量時に、ユーザが決定キー43を押すことにより、その計量値が決定されると、必要に応じ適宜風袋引きが行われながら、副材料の計量が順にガイドされていく。
【0033】
辛子漬けの例について説明すると、表示部30の図6(d)に示す画面の表示中に、主材料「キュウリ」の計量値が決定されると、副材料「カラシ」(図6(e))、「サトウ」、「シオ」、「ミリン」の計量が順にガイドされていく。図6(e)では、副材料の一つである「カラシ」について、「カラシを41gのせてください」といったガイダンス表示が行われていると共に、通常の計量動作を行うことが可能になっている。ここでは、表示部30の画面の右下隅に、その計量値「41g」が表示されている。
【0034】
この状態でユーザが決定キー43を押すことにより、次の副材料「シオ」の計量がガイドされるようになっており、ユーザはこの「シオ」を計量皿11の上に載せて、「シオ」を計量する。全ての副材料につきこれらが繰り返されることにより、全材料の計量が完了する。
【0035】
(4)はかりモードは、料理用秤1が、計量皿11上の計量対象物につき通常の計量を行い、その計量値を表示部30に表示する動作モードである。モード選択画面(図3)で、はかりモードが選択されると、料理用秤1は、通常の秤として機能するようになっている。
【0036】
先述のように、本料理用秤1の主な特徴は、レシピ表示モード及びレシピ順次計量モードにおける各材料の目標重量の算出及びその表示にある。以下、これらの動作モードでの制御について、より具体的に説明する。
【0037】
制御部20(マイクロプロセッサ23)で実行されるプログラムは、図7に模式的に示す料理表示制御部20a、材料表示制御部20b、計量値取得部20c、0点設定部20d、目標重量算出部20e及び目標重量表示制御部20fのそれぞれに対応する部分を含んでいる。レシピ表示モード及びレシピ順次計量モードのいずれが選択された場合でも、目標重量表示制御部20f以外の各部20a〜eの動作は同様である。
【0038】
また、先述のように、レシピ登録モードでは、種々の料理につき材料データが登録されており、材料データ記憶部20gは、これら材料データを記憶している。材料データ記憶部20gは、EEPROM26内の所定領域としてよい。
【0039】
各部21〜26のそれぞれにつき説明すると、料理表示制御部20aは、材料データ記憶部20g内の材料データに含まれる料理名に基づいて、登録済みの料理の一覧を表示部30上に表示するように制御する(図5(a))。この表示が行われている状態で、ユーザは、操作部40から(図1のカーソル移動キー45a,b及び決定キー43等を用いて)、一覧中の料理の内で1つの料理を選択可能である。
【0040】
材料表示制御部20bは、ユーザが選択した料理についての材料データに含まれる材料名に基づいて、各材料を表示部30上に表示するように制御する(図5(b))。この表示状態で、ユーザは、操作部40から、表示中の材料の内の1つの材料を、主材料として選択可能である。
【0041】
計量値取得部20cは、計量皿11上の計量対象物につき、計量部12での計量による計量値を取得し、これを表示部30の右下隅等に表示するように制御する。(上述のように、計量値を表す信号は、計量部12(ロードセル)から、増幅器21及びA/D変換器22介して、制御部30へと出力される。)
【0042】
主材料及びその他の材料の計量に先立ち、材料を入れるための容器が計量皿11上に載せられ、計量値取得部20cでその計量が行われている状態で(図5(c))、ユーザは、操作部40から(図1の風袋引きキー46の押下により)、風袋引きを行うように指示することが可能である。0点設定部20dは、この風袋引きの指示に応じて、0点設定を行うようになっている。風袋引きにより、計量値は「0g」にリセットされる。
【0043】
ユーザは、材料表示制御部20bでの表示に応じ先に自らが選択した主材料を、計量皿11上の容器内に収める。上記計量値取得部20cでは、この主材料の重量(計量値)が取得され、目標重量算出部20eは、取得された主材料の重量と、材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、主材料の重量に応じた他の各材料の目標重量を算出するようになっている。
【0044】
例えば、図4(d)のように、「カラシヅケ」についての材料データ中の主材料「キュウリ」の基本重量が「1000g」であり、4つの副材料「カラシ」、「サトウ」、「シオ」、「ミリン」の基本重量が、それぞれ、「50g」、「135g」、「50g」、「30g」であるものとする。この場合、「キュウリ」の計量値が、「826g」であれば(図5(d))、主材料の計量値と基本重量との比率(826/1000)を、副材料のそれぞれの基本重量に掛けることにより、その目標重量が算出される。即ち、「カラシ」、「サトウ」、「シオ」、「ミリン」の目標重量は、「41g」(=50g×0.826)、「112g」(=135g×0.826)、「41g」(=50g×0.826)、「25g」(=30g×0.826)と得られる。
【0045】
目標重量表示制御部20f(図7)は、目標重量算出部20eで算出された他の各材料の目標重量を表示部30上に表示するように制御する。レシピ表示モードが選択されていれば、目標重量表示制御部20fは、他の各材料の目標重量を、一覧形式で表示させる(図5(e))。レシピ順次計量モードでは、目標重量表示制御部20fは、操作部40での操作(図1の決定キー43の押下)によって、複数ある他の材料を1つずつ順に切り替えながら、各材料の目標重量を表示部30上に表示させる(図6(e))。
【0046】
制御部20は、次に図8のフローチャートに示す流れで、上述した各部20a〜fにおける処理を実行することにより、レシピ表示モードでの処理を制御する。ステップ1(以下、ステップをSと略す)では、先ず、材料データ記憶部20g内の材料データから、登録済みの全ての料理の料理名が読み出される。続くS2において、これら読み出された料理の一覧が、表示部30上に表示される(図5(a))。
【0047】
次に、S3において、料理名の選択のための、カーソル移動キー45a,b及び決定キー43による入力が受け付けられており、S4で、決定キー43が押されたか否かが判定される。決定キー43の押下により、レシピ表示の対象とする料理が決定されると(S4にてYES)、S5で、その選択された料理についての材料データから、その料理に用いられる全ての材料の材料名が読み出される。S6では、この材料名の一覧が、表示部30上に表示され、主材料の選択が促される(図5(b))。
【0048】
続いて、S7では、上述のS3と同様に、主材料の選択のための、カーソル移動キー45a,b及び決定キー43による入力が受け付けられている。S8で、決定キー43が押されたことが判定されて(S8にてYES)、主材料が決定されると、S9で、容器の計量を促すガイダンス表示が行われる(図5(c))。
【0049】
さらに、S10では、計量部12からの計量値の取得と、表示部30へのその計量値の表示といった計量動作が行われ、S11で、風袋引きキー46が押されたか否かが判定される。ユーザが、S9でのガイダンス表示に応じて、計量皿11上に容器を載せて、その後に風袋引きキー46を押すと(S11にてYES)、S12において、計量皿11上に容器が載せられた状態で、計量値につき0点が設定される。
【0050】
その後、S13において、主材料の計量を促すガイダンス表示が表示部30上で行われ(図5(d))、続くS14では、上述のS10と同様に、計量動作が行われる。S15で、決定キー43が押されたと判定されると(S15にてYES)、S16で、材料データ記憶部20g内の材料データから、材料の基本重量が読み出され、S17で、主材料以外の他の材料の目標重量が算出される。即ち、先述したように、他の材料のそれぞれの基本重量に、主材料の計量値と基本重量との比率が掛けられることによって、他の材料のそれぞれの目標重量が算出される。

【0051】
S18において、主材料の計量値と、他の材料についての目標重量とが一覧表示され(図5(e))、ユーザが、この表示を見て他の材料を計量可能なように、S19では、上述のS10と同様に計量動作が行われ、この計量動作は、戻るキー44が押されるまで継続される。即ち、S20において、戻るキー44が押されると(S20にてYES)、この計量動作は終了して、処理は本レシピ表示モードから抜ける。
【0052】
これらのレシピ表示モードでは、ユーザは、登録済みの料理の内の所望の料理を調理する際、複数の材料の内の1つの材料を主材料として選んで、これを計量皿11に載せるだけで、その料理の他の材料の目標重量が、自動的に算出されて表示される。他の材料の目標重量についてのこれらの表示によると、ユーザの利便性が向上している。
【0053】
例えば、ある料理について、ユーザが主材料の全てを用いたい場合、ユーザは、その主材料を計量皿11上に載せるだけで、他の材料の目標重量を知ることができるから、ユーザは、他の材料の計量を便利に行うことができる。牛肉1塊、玉ねぎ3個、魚肉2片等のいずれかを主材料とし、これを基準に他の各材料を計量するような場合、ユーザが計算して、主材料の計量値から他の材料の目標重量を得ることは煩雑である。このような場合に、本料理用秤1での他の各材料の目標重量の表示は有効である。
【0054】
また、制御部20は、次に図9のフローチャートに示す流れで、各部20a〜fにおける処理を実行することにより、レシピ順次表示モードでの処理を制御するようになっている。図9のフローチャートにおいて、図8における処理と同様の処理については、同じステップ番号(S1〜S17)を付している。
【0055】
図9で、S17までの処理によって、所望の料理につき、主材料が選択されてその計量が行われ、他の材料の目標重量が算出されている。これに続くS21では、他の材料の内の1つの材料について、その計量を促すガイダンス表示が行われる(図6(e))。ユーザは、このガイダンス表示に応じて、計量皿11上に容器や他の材料を載せる。S22では、計量皿11上の容器や他の材料について、計量部12からの計量値の取得と、表示部30へのその表示といった計量動作が行われるようになっている。
【0056】
そして、S23において、風袋引きキー46が押されたことが検出されると(S23にてYES)、計量皿11に空の容器が載せられたものとして、S24で計量値の0点設定が行われ、S22へと処理が戻される。また、S25において、決定キー43が押されたことが検出されると(S23にてNO、且つ、S25にてYES)、計量皿11に他の材料が、容器を伴わず若しくは容器と共に載せられ、その計量が行われたものとして、S26で、主材料以外の他の材料の全てについて、計量が行われたか否かが判定される。
【0057】
S26において、他の材料の全てが計量されているのでなければ(S26にてNO)、S27で、目標重量を表示する対象が、次の材料に設定され、この材料について、S21からの処理が繰り返される。つまり、S25において、決定キー43は、主材料以外の複数の他の材料を1つずつ順に切り替えるように指示するための手段となっており、この後のS21で、その指示に応じて切り替えられた他の材料の目標重量の表示が行われる。一方、他の材料の全てが計量されていれば(S26にてYES)、レシピ順次計量モードでの処理は終了する。
【0058】
これらのレシピ順次計量モードにあっても、レシピ表示モードと同様に、ユーザは、所望の料理の主材料を選んで計量皿11に載せるだけで、他の材料の目標重量が、自動的に算出されて表示され、これによって、ユーザの利便性が向上している。特に、このレシピ順次計量モードでは、他の各材料が1つずつ表示され、計量対象が明確であるため、一の副材料について、他の副材料の目標重量分を誤って計量するといったミスが生じ難くなっている。
【0059】
(他の実施の形態等)
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することができる。
a. 例えば、上記実施の形態において、主材料が、ユーザにより選択されるものとした。当然ながら、選択される材料は、主材料ではない他の副材料であってもよい。即ち、ユーザに複数の材料の内で任意の1つの材料を選択させ、この選択された材料について得られた、計量値と基本重量との比率を、他の材料の基本重量に掛けるようにし、これにより、他の材料の目標重量を算出する。
【0060】
b. 表示部30に複数の料理を表示して、操作部40からいずれか1つの料理を選択させるようにした。これとは異なり、例えば、カード状をした1つの記憶媒体に、1つの料理についての材料データが記憶されるように、料理毎に記憶媒体を構成することが可能である。この場合、料理用秤には、カード状の記憶媒体の1つを差し込んだ状態で、その記憶媒体から材料データを読み出すことが可能なデータ読出部を設ける。ユーザは、記憶媒体のいずれか1つをデータ読出部に差し込むことによって、料理を選択するというわけである。
【0061】
c. 当然ながら、主材料の計量の直前に風袋引きを必ず行うようになっておらず、図8,9のS9〜S15での処理が、S21〜S25での処理に準ずるものとしてよい。即ち、風袋引きキー46が押されるか、決定キー43が押されるかによって、計量皿11上の計量対象物が、容器であるか、材料の1つ(又は容器に入れられた材料の1つ)であるかが判断されるものとしてよい。
【0062】
つまり、レシピ表示モード又はレシピ順次計量モードにおけるユーザの一連の操作の中で、ユーザは、容器に入れる材料と容器に入れない材料とを適宜に選択し、容器に入れる材料につき風袋引きが行われるように操作する。これによると、ユーザは、一連の操作をより便利に行うことができる。
【0063】
d. 材料データ中に主材料が何れの材料であるかを示すデータを含めておき、例えば、図5(e)のように、主材料にマーキングMを付すことによって、主材料を表すことが可能である。このようなマーキングによると、材料が多くなっても、ユーザは、主材料として計量済みのものと、主材料以外の他の材料として計量すべきものとを即座に知ることができる。
【0064】
e. レシピ登録モードにおいて、各料理毎に材料データを登録するようにした。これとは異なり、ユーザが、材料データを、別途、PC(パーソナルコンピュータ)で入力するようにして、PC側で入力されたこの材料データを、PCから料理用秤へと送信可能なように、料理用秤に通信手段を設けてもよい。ユーザは、PCを用いることにより、材料データの登録をより簡便に行うことができる。もちろん、PC同士で材料データを送受信するといったことも可能である。
【0065】
f. ユーザが調理に用いたい主材料の全量が、一度に、計量皿11に載せられない場合も想定される。このような場合に備えて、計量継続キーといった操作キーを操作部40内に設けることが可能である。
【0066】
即ち、計量皿11に、主材料の一部が載せられた状態で、ユーザがこの計量継続キーを押下すると、その主材料の一部についての計量値が記憶される。続いて、主材料の他の一部が載せられた状態で、ユーザが計量継続キーを押下すると、その主材料の他の一部についての計量値が記憶される。これらを繰り返し、最後に、ユーザが決定キーを押下すること等により、これらの計量値の合計が、主材料の全量の計量値として算出される。この算出された計量値を、主材料以外の他の材料の目標重量の算出に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本料理用秤の外観を示す図
【図2】料理用秤のハードウェア構成の概略を示すブロック図
【図3】動作モードの選択を促す表示部での表示画面を示す図
【図4】レシピ登録モードにおける表示画面を示す図
【図5】レシピ表示モードにおける表示画面を示す図
【図6】レシピ順次計量モードにおける表示画面を示す図
【図7】料理用秤のソフトウェア構成の概略を示すブロック図
【図8】レシピ表示モードで実行される処理の手順を示すフローチャート
【図9】レシピ順次計量モードで実行される処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0068】
1………………料理用秤
11……………計量皿
12……………計量部
20……………制御部
20a…………料理表示制御部(料理表示制御手段)
20b…………材料表示制御部(材料表示制御手段)
20c…………計量値取得部
20d…………0点設定部(0点設定手段)
20e…………目標重量算出部(目標重量算出手段)
20f…………目標重量表示制御部(目標重量表示制御手段)
20g…………材料データ記憶部
21……………増幅器
22……………A/D変換器
23……………マイクロプロセッサ
24……………ROM
25……………RAM
26……………EEPROM
30……………表示部
40……………操作部
41……………電源キー
42a〜j……テンキー
43……………決定キー(材料選択手段の一部、料理選択手段の一部、切替指示手段)
44……………戻るキー
45a〜d……カーソル移動キー(材料選択手段の一部、料理選択手段の一部)
46……………風袋引きキー(0点設定指示手段)
47……………モード選択キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、1つの料理についての該材料データに基づき、料理の材料の目標重量を表示部に表示すると共に、計量皿上に載せられた料理の材料を計量する料理用秤であって、
前記表示部に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択するための材料選択手段と、
該材料選択手段で選択された一の材料の計量によって得られた該一の材料の重量と、前記材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、一の材料の重量に応じた他の材料の目標重量を算出する目標重量算出手段と、
該目標重量算出手段により算出された他の材料の目標重量を、前記表示部上に表示させる目標重量表示制御手段と
を備えたことを特徴とする料理用秤。
【請求項2】
前記目標重量表示制御手段は、料理についての他の材料の目標重量を、一覧形式で、前記表示部上に表示させることを特徴とする請求項1に記載の料理用秤。
【請求項3】
料理についての複数の他の材料を1つずつ順に切り替えるように指示する切替指示手段を備え、
前記目標重量表示制御手段は、該切替指示手段での指示に応じて切り替えられた他の材料の目標重量を、前記表示部上に表示させることを特徴とする請求項1に記載の料理用秤。
【請求項4】
前記材料データに基づき、複数の料理を前記表示部上に表示させる料理表示制御手段と、
該料理表示制御手段により表示されている料理の内で1つの料理を選択するための料理選択手段と、
該料理選択手段により選択された料理についての前記材料データに基づき、該料理の材料を前記表示部上に表示させる材料表示制御手段とを備え、
前記材料選択手段は、ユーザに、該材料表示制御手段により前記表示部上に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の料理用秤。
【請求項5】
各材料の計量に先立ち材料を入れる容器が前記計量皿上に載せられた状態で、重量の計量について0点設定を行うように指示する0点設定指示手段と、
該0点設定指示手段による指示に応じて、前記0点設定を行う0点設定手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の料理用秤。
【請求項6】
料理の各材料の基本重量を料理毎に材料データとして記憶し、1つの料理についての該材料データに基づき、料理の材料の目標重量を表示部に表示すると共に、計量皿上に載せられた料理の材料を計量する料理用秤における材料表示方法であって、
前記表示部に表示されている料理の材料の内で、一の材料を選択するステップと、
選択された一の材料の計量によって得られた該一の材料の重量と、前記材料データ中の各材料の基本重量とに基づき、一の材料の重量に応じた他の材料の目標重量を算出するステップと、
算出された他の材料の目標重量を前記表示部上に表示させるステップと
を備えたことを特徴とする材料表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−139186(P2009−139186A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314869(P2007−314869)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)