斜板支持台の装着構造および液圧装置
【課題】 斜板支持台のがたつきを抑制し、斜板支持台をケーシングに着脱することが容易な斜板支持台の装着構造を提供する。
【解決手段】 ピストンポンプ20のケーシング26およびケーシング26に装着可能な斜板支持台60は、変位阻止手段77および回動阻止手段78を備える。斜板支持台60およびケーシング26は、変位阻止手段77の係合爪部72と係合片63とが相互に係合することによって、回転軸線L20方向一方X1および他方X2の相対変位が阻止され、回動阻止手段78のピン部材67およびピン嵌合孔部73が相互に嵌合することによって、回転軸線L20まわりの相対的な回動が阻止される。
【解決手段】 ピストンポンプ20のケーシング26およびケーシング26に装着可能な斜板支持台60は、変位阻止手段77および回動阻止手段78を備える。斜板支持台60およびケーシング26は、変位阻止手段77の係合爪部72と係合片63とが相互に係合することによって、回転軸線L20方向一方X1および他方X2の相対変位が阻止され、回動阻止手段78のピン部材67およびピン嵌合孔部73が相互に嵌合することによって、回転軸線L20まわりの相対的な回動が阻止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば斜板が用いられるピストンポンプおよびピストンモータとして、好適に実施することができる液圧装置に関し、特にその液圧装置に含まれる斜板を支持する斜板支持台を液圧装置のケーシングに装着させるための斜板支持台の装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、第1の従来の技術のピストンポンプ1の一部を拡大して示す拡大断面図である。ピストンポンプ1は、ケーシング2内に、回転軸3によって回転軸線L1まわりに回転方向A1へ回転可能に設けられるシリンダブロックを備えている。シリンダブロックには、複数のピストン室が形成され、各ピストン室に連通するシリンダポートがそれぞれ形成されている。各ピストン室には、ピストンが嵌まり込んでいる。各ピストンの一端部には、シューが設けられ、各シューは、回転軸線L1に垂直な仮想平面に対して傾斜する斜板4に向けて押圧されている。各ピストンは、シリンダブロックの回転と同期して、伸長行程および縮退行程を有して往復変位する。
【0003】
斜板4は、斜板支持台5に回転軸線L1に直交する傾動軸線L2まわりに傾動可能に支持される。各ピストンは、斜板を傾動軸線L2まわりに傾動させることによって、ストローク長が変わり、各ピストン室に吸入可能な作動油の容量が変わる。ケーシング2には、その内周部にピン6が嵌合されている。ピン6は、その内周部から回転軸線L1方向一方に一部を突出させて設けられる。斜板支持台5は、回転軸3が挿通した状態で、このピン6が嵌合されてケーシング2に装着される。これによって斜板支持台5の回転軸線L1まわりの回動が阻止される。振動などに起因する斜板の回転軸線L1まわりの角変位を防ぎ、斜板4のがたつきを抑制する(たとえば特許文献1)。
【0004】
図11は、第2の従来の技術のピストンポンプの一部を拡大して示す拡大断面図である。ピストンポンプ10では、ケーシング11、回転軸12、シリンダブロック、複数のピストン、複数のシュー、斜板13および斜板支持台14を含み、第1の従来の技術のピストンポンプ1と同様に構成される。斜板支持台14が、回転軸12を挿通した状態で、ケーシング11に装着される。斜板支持台14は、ケーシング11をその外方から内方に貫通する複数のボルト15によって、ケーシング11に固定される。これによって斜板支持台14の回転軸線L1まわりの回動および回転軸線L1方向の変位が阻止される。振動などに起因する斜板の回転軸線L1まわりの角変位、および回転軸の回転軸線L1方向の変位に伴う斜板の前記方向の変位を防ぐことができ、斜板のがたつきを抑制する(たとえば特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−90782号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の従来の技術のピストンポンプ1では、ピン6によって、ケーシング2に対する斜板支持台5の回転軸線L1まわりの相対的な回動が阻止できるけれども、回転軸線L1方向の相対変位が起こり得る。したがって回転軸3の回転軸線L1方向の変位などによって、斜板支持台5のがたつきが発生し、このがたつきに伴って、シューを斜板4に押し付ける押え部材などのケーシング内に配設される構成部品が損傷するなどの不具合が生じる場合がある。
【0007】
第2の従来の技術のピストンポンプ10では、第1の従来の技術の不具合を抑制するために、ボルト15によって、回転軸線L1まわりの回動および回転軸線L1方向の変位を阻止し得る。ピストンポンプ10では、ボルト15でケーシングと斜板支持台とを固定するので、ボルト15がケーシング11を貫通するように設けられる。それ故、ボルト15が貫通する貫通孔から潤滑油などが漏れないように、シールを達成した状態で、斜板支持台14をケーシング11に装着する必要があり、Oリング16が配設される。このようにボルト15だけでなく、Oリング16を設ける必要があり、部品点数が増加する。またボルト15を用いるので、ケーシング11に斜板支持台14を着脱する手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、斜板支持台の回転軸線まわりおよび軸線方向のがたつきを抑制し、かつケーシングに斜板支持台を容易に装着できる斜板支持台の装着構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)回転軸線まわりに回転可能に設けられ、複数のピストン室に回転に伴って伸縮する複数のピストンが嵌まり込むシリンダブロックと、各ピストンを支持する斜板とが収容されるケーシングと、
(b)ケーシングに、装着準備位置と装着完了位置との間で、回転軸線まわりに回動可能に設けられ、装着完了位置で斜板を支持する斜板支持台と、
(c)斜板支持台が装着準備位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を許容し、斜板支持台が装着完了位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を阻止する軸変位阻止手段とを備えることを特徴とする斜板支持台の装着構造である。
【0010】
また本発明は、軸変位阻止手段は、
ケーシングに設けられる第1軸係合片と、
斜板支持台に設けられ、斜板支持台が装着準備位置にある場合第1軸係合片に対して非係合状態にあり、斜板支持台が装着完了位置にある場合第1軸係合片と係合される係合状態にある第2軸係合片とを有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線まわりに回動することを阻止する回動阻止手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、回動阻止手段は、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部と、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられ、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、係合孔部に対して非係合状態にある非係合位置と、係合孔部に対して係合状態にある係合位置とにわたって、変位可能なピン部材と、
ピン部材を、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧するばね力発生手段とを有することを特徴とする。
また本発明は、前記斜板支持台の装着構造が用いられる液圧装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、斜板支持台を、ケーシングに対して回転軸線まわりに、装着準備位置から装着完了位置に回動させることができる。斜板支持台は、装着準備位置にある状態で、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向に変位させることができる。斜板支持台は、装着完了位置にある状態で、斜板を支持し、軸変位阻止手段によってケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位が阻止され、ケーシングに装着される。したがって斜板支持台を装着完了位置に回動させると、第1の従来の技術の課題であったケーシングに対する斜板支持台の軸線方向のがたつき、たとえば振動および駆動軸の接触に起因する軸線方向のがたつきを抑制する。これによってケーシングに対する斜板支持台のがたつきに起因する、内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングに装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングから離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシングに斜板支持台を容易に着脱をすることができる。さらに第2の従来の技術のようにケーシングにボルトを貫通させる必要がなく、シール構造を適用しなくとも、嵌合構造が適用される部分から油が漏れてしまうことが防がれる。
【0014】
本発明によれば、ケーシングに設けられる第1軸係合片を斜板支持台に設けられる第2軸係合片に係合させることができる。斜板支持台が装着準備位置にある状態では、第2軸係合片が第1軸係合片に対して非係合状態にあり、第1軸係合片を第2軸係合片から離脱させることができる。斜板支持台が装着完了位置にある状態では、第2軸係合片が第1軸係合片に係合する係合状態にあり、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線に沿う軸線方向に変位することが阻止される。これによってケーシングに対する斜板支持台の軸線方向のがたつきを抑制し、斜板支持台を回転軸線周りに回動させるだけの容易な作業で、ケーシングに斜板支持台を装着できる斜板支持台の装着構造を実現することができる。
【0015】
本発明によれば、斜板支持台は、装着完了状態にある状態で、回動阻止手段によってケーシングに対して回転軸線まわりの回動が阻止されて、ケーシングに装着される。したがって斜板支持台を装着完了位置に回動させてケーシングに装着させると、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりのがたつき、たとえば振動に起因する回転軸線まわりのがたつきを抑制する。これによってケーシングに対する斜板支持台のがたつきに起因する、内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングに装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングから離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシングに斜板支持台を容易に着脱をすることができる。これによって斜板支持台の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0016】
本発明によれば、ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部をケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられるピン部材に係合させることができる。ピン部材は、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、第1軸係合片に対して非係合状態にある非係合位置と、第1軸係合片に係合する係合状態にある係合位置とにわたって変位することができる。したがってピン部材を係合位置に変位させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりの変位が阻止され、ピン部材を非係合位置に変位させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりの変位が許容される。これによってケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりのがたつきを抑制し、斜板支持台を回転軸線まわりに回動させるだけの容易な作業で、ケーシングに斜板支持台を容易に装着できる斜板支持台の装着構造を実現することができる。またピン部材を係合孔部に係合させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の位置決めをすることができる。
【0017】
また本発明では、ピン部材は、ばね力発生手段によって、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧されるので、斜板支持台を装着完了位置に配置すると、弾発的に押圧されて非係合位置から係合位置に変位し、係合状態になる。これによって斜板支持台が装着完了状態に変位させるだけで、ピン部材を係合孔部に係合させることができ、ケーシングに斜板支持台を容易に装着できる。またピン部材が係合方向へ弾発的に押圧されるので、係合位置から非係合位置に離脱することが阻止され、装着完了位置から装着準備位置に変位することを阻止する。したがってケーシングに対する斜板支持台の軸線方向および回転軸線まわりの変位を阻止し、がたつきを確実に抑制できる。また係合位置にあるピン部材を係合方向の反対方向に押圧することによって、ピン部材を係合位置から非係合位置に変位させることができる。これによって斜板支持台を装着完了位置から装着準備位置に変位させることができ、斜板支持台を離脱可能な状態にすることができる。このようにケーシングに斜板支持台が装着された状態から、容易に離脱可能な状態にすることができる。これによって斜板支持台の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0018】
本発明によれば、斜板支持台の装着構造が液圧装置に用いられる。これによって斜板支持台のがたつきが抑制される液圧装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0020】
図1は、本発明の実施の一形態のピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を示す断面図である。図2は、ピストンポンプ20を概略示す断面図である。図3は、斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を拡大して示す拡大断面図である。液圧装置であるピストンポンプ20は、たとえば産業機械および建設機械に設けられる可変容量形の斜板式油圧ポンプであって、原動機からの駆動力によって駆動され、作動液体である作動油を、産業機械および建設機械に設けられるアクチュエータに供給して、そのアクチュエータを駆動するために用いられる。このピストンポンプ20は、基本的に、弁板21と、シリンダブロック22と、複数のピストン23と、複数のシュー24と、斜板25と斜板支持台60とを含む。これらはピストンポンプ20がさらに備えるケーシング26に収納されている。ケーシング26は、ケーシング本体26a、フロントカバー26bおよびバルブケーシング26cを有している。
【0021】
またピストンポンプ20は、さらに回転軸27を含む。回転軸27は、軸線方向一端部27aがフロントカバー26bから部分的に突出した状態で、第1ベアリング29を介してフロントカバー26bに、その軸線と一致する回転軸線L20まわりに回転可能に支持されている。また前記回転軸27は、軸線方向他端部27bが、第2ベアリング30を介してバルブケーシング26cに、前記回転軸線L20まわりに回転可能に支持されている。回転軸27は、回転方向A20へ回転可能である。
【0022】
弁板21は、大略的に円板状であって、回転軸27が挿通した状態で、回転軸27と同軸に配置されて、バルブケーシング26cに固定して設けられる。この弁板21には、吸入ポート31と、図示しない吐出ポートとが形成される。吸入ポート31および吐出ポートは、回転軸線L20まわりに、約180度ずれた位置に、周方向に延びて円弧状に形成される。図2には、理解を容易にするために、吸入ポート31の位置を周方向にずらして示す。
【0023】
シリンダブロック22は、回転軸27が同軸に挿通され、たとえばスプライン結合されて相互の回転が阻止された状態で、回転軸27に設けられ、回転軸線L20まわりに回転可能である。またシリンダブロック22には、複数のピストン室37が、周方向に等しい間隔をあけて形成され、さらに各ピストン室37に個別に連なるシリンダポート38が、周方向に等しい間隔をあけて形成される。各ピストン室37は、回転軸線L20と略平行な軸線を有し、シリンダブロック22の軸線方向一端部で開口する。各シリンダポート38は、シリンダブロック22の軸線方向他端部で開口する。このシリンダブロック22は、相互間のシールを達成しかつ摺動可能に、軸線方向他端部が弁板21に当接する状態で設けられ、シリンダブロック22の角度位置に応じて、各シリンダポート38が、吸入ポート31、吐出ポートに接続される。
【0024】
各ピストン23は、大略的に円柱状であり、シリンダブロック22の各ピストン室37に、相互間のシールを達成した状態で部分的にそれぞれ嵌まり込んで収納され、油圧室41を形成する。また各ピストン23は、その軸線に沿ってシリンダブロック22に対して往復変位可能に設けられる。各ピストン23の往復変位は、伸長方向へ変位する伸長行程と、縮退方向へ変位する縮退行程とを含んでいる。各ピストン23の変位によって、各油圧室41の容積がそれぞれ変化する。また各ピストン23のピストン室37から突出する側の軸線方向一端部43は、外表面が球面状に形成されている。
【0025】
各シュー24は、大略的に円柱状であり、その軸線方向一端部に軸線に垂直な当接面44が形成されるフランジ部45を有するとともに、軸線方向他端部で開口する嵌合部46が形成される。各シュー24の嵌合部46の内表面は、球面状に形成され、この嵌合部46にピストン23の軸線方向一端部33を嵌合させて、各シュー24は、嵌合部46および前記一端部43の中心を回動中心として、直交3軸まわりに単独および組合わせて回動可能に、ピストン23に連結される。
【0026】
斜板25は、シリンダブロック22の軸線方向一端部側に設けられ、各シュー24の当接面44を受けて支持する平坦な支持面47を有する。斜板25は、斜板の支持面47と反対側に、部分円筒面状の傾動面61を有する。この斜板25は、回転軸線L20と異なる方向に延びる傾動軸線、本実施の形態では回転軸線L20と直交する傾動軸線L25まわりに傾動可能に設けられており、ピストンポンプ20が備えるサーボ機構48によって、傾動軸線L25まわりに傾動駆動され、支持面47の回転軸線L20に対して成す角度が変更される。斜板25は、前記角度を変更することによって、各シュー24を変位させ、各ピストン23のストローク長を変更させる。サーボ機構48は、たとえばケーシング26の上部に設けられる。
【0027】
ピストンポンプ20は、押さえ部材51を、さらに含む。回転軸27には、シリンダブロック22よりも軸線方向一端部27a寄りの部分に、外表面が球面状の球面ブッシュ50が形成されされている。この球面ブッシュ50の外表面が成す球の中心は、回転軸線L20上の一点、本実施の形態では回動軸線L20および頃動軸線L25の交点と一致し、球面ブッシュ50の外表面は、押え部材51を案内する案内面となる。
【0028】
押さえ部材51は、球面ブッシュ50の案内面で支持される状態で、案内面が成す球の中心、したがって回転軸線L20および頃動軸線L25の交点を回動中心として、直交3軸まわりに単独および組合わせて回動可能に、設けられる。この押さえ部材51は、各シュー24のフランジ部45を係止して、各シュー24を斜板25の支持面47に向けて押圧する。この状態で、各シュー24は、斜板25の支持面47に沿う方向へは、押さえ部材51に対してわずかな変位が許容されている。
【0029】
ピストンポンプ20は、シリンダブロック22の1回転に対して、各ピストン23が1往復する構成である。各ピストン23の往復動作は、回転軸線L20まわりの周方向に、相互に180度毎の角度位置に、最も伸長した最伸長位置と、最も縮退した最縮退位置とをそれぞれ有する。具体的には、回転軸線L20を含みかつ傾動軸線L22に垂直な仮想平面と、ピストン23の軸線が一致する角度位置に、最伸長位置および最縮退位置が存在する。ピストン23の往復変位は、最伸長位置から最縮退位置に向かう行程が縮退行程であり、最縮退位置から最伸長位置に向かう行程が伸長行程である。以下、最伸長位置および最縮退位置を死点という場合がある。
【0030】
図4は、フロントカバー26bの一部を示す正面図である。図1〜3を参照しつつ、説明する。フロントカバー26bには、回転軸線L20周りに、第1ベアリング29が嵌まり込む孔部32より大径の装着孔部62が形成される。フロントカバー26bには、装着孔部62を形成する内周部に、半径方向内方に向かって突出する複数の係合片63が設けられる。第1軸係合片である各係合片63が互いに周方向に間隔をあけて形成され、互いに隣り合う係合片63の間には、嵌入口64が形成される。本実施の形態では、前記内周部に2つの嵌入口を部分を除いた周方向全周にわたって、一対の係合片63が形成され、2つの嵌入口64が周方向に180度ずれた位置に形成されている。各係合片63は、装着孔部62を形成する底部65とともに半径方向内方に向かって開口する係合溝部66を形成する。
【0031】
ケーシング26には、さらにピン部材67および弾性部材68が設けられる。ピン部材67は、その中心軸線L30周りに空気孔69が形成される円筒形状の平行ピンであり、フロントカバーの底部65に回転軸線L25に沿う軸線方向である回転軸線L20方向一方X1および他方X2(以下では、単に「X1方向」および「X2方向」と称する場合がある)に摺動変位可能に嵌まり込んで設けられている。ただしピン部材67は、空気孔69が形成されているものに限定されず、空気孔69が形成されていないものでもよい。ピン部材67は、たとえば底部65の上部側に配設される。ただし底部65の上部側に設けられることに限定されず、底部65の下部側に設けられてもよい。ピン部材67と前記底部65との間には、弾性部材収容空間70が形成され、この弾性部材収容空間70には、係合方向であるX1方向の弾発力をピン部材67に付勢する弾性部材68、本実施の形態では、圧縮コイルばね部材が収容されている。ピン部材67は、このばね力発生手段である弾性部材68によって、自然状態でX1方向にその一部が突出している。空気孔69は、ピン部材67が摺動変位際、弾性部材収容空間70の空気を抜くために形成される。
【0032】
図5は、斜板支持台60を示す正面図である。図6は、斜板支持台60を断面線A−Aで切断してみた断面図である。図7は、斜板支持台60を示す背面図である。斜板支持台60は、大略的に円板状であり、装着孔部62に装着してケーシング26内に設けられ、装着孔部62に装着された状態で、回転軸線L20に一致する装着孔部62の軸線まわりに回動可能に設けられる。斜板支持台60は、その軸線方向一表面部60aに、斜板25の傾動面61を受けて傾動軸線L25まわりに傾動可能に支持する、部分円筒面状の一対の斜板支持面71を有する。本実施の形態では、一対の斜板支持面71は、互いに傾動軸線L25方向に離隔して形成される。斜板支持台60の外周部の軸線方向他表面部60b側に、半径方向外方に突出する複数の係合爪部72が設けられる。図1〜3では、理解を容易にするために、係合爪部72が、図5に対して周方向にずれた位置に示されている。第2軸係合片である各係合爪部72は、周方向に互いに間隔をあけて、各嵌入口64からそれぞれ嵌入可能に形成される。さらに各係合爪部72は、嵌入口64から嵌入され、底部65に軸線方向他表面部60bである当接面部60bを当接させた状態で、周方向一方A30に回動させると、係合溝部66に少なくともその一部が嵌まり込んで係合片63に係合し、係合する状態で周方向他方A35に回動させると係合が解除されるように形成される。周方向一方A30が、図4に示すように紙面に向かって時計回りの方向であり、他方A35がその逆回りの方向である。係合片63は、斜板支持台60が装着孔部62に装着された状態で、係合爪部72の少なくとも一部が係合溝部66に嵌まり込んで、周方向の回動を阻止した状態で係合するように形成される。望ましくは、本実施の形態のように、係合片63は、係合爪部72の全体が係合溝部66に嵌まり込んで、X1方向およびX2方向の変位を阻止した状態で係合するように形成される。本実施の形態では、一対の係合爪部72が互いに周方向に180度ずれた位置に形成されている。
【0033】
図8は、ピン嵌合孔部73を拡大して示す拡大断面図である。斜板支持台60は、当接面部60bに、装着孔部62に装着された状態で自然状態のピン部材67が嵌合可能なピン嵌合孔部73が形成される。係合孔部であるピン嵌合孔部73は、斜板支持台60の半径方向に延び、前記半径方向外方に開口し、前記半径方向内方側の部分が半円柱状に形成される。半円柱状の部分には、自然状態でのピン部材67が、その中心軸線L30を半円柱状の部分の軸線に一致させて、がたつくことなく嵌合される。
【0034】
ピン嵌合孔部73の底部73bには、斜板支持台60をその軸線に略平行に貫通し、斜板支持台60の軸線方向一表面部60aおよび他表面部60bで開口する貫通孔74が形成される。貫通孔74は、ピン嵌合孔部73の半円柱状部分の中心軸線、すなわち嵌合するピン部材67の中心軸線L30より斜板支持台60の半径方向外方寄りに形成される。貫通孔74は、ピン部材67が嵌合する状態で、ピン部材67の軸線方向一端部の少なくとも一部が貫通孔74に臨むように形成される。貫通孔74は、たとえば直線状の棒状部材を挿通して、ピン部材67を弾性部材68の弾発力に抗する力を押圧するために設けられ、押圧することによって、ピン部材67を押し戻してピン嵌合孔部73から離脱可能に形成される。本実施の形態では、貫通孔74は、斜板支持台60の軸線に略平行な軸線周りに形成され、ピン嵌合孔部73に嵌合されるピン部材67の中心軸線からずれた位置で開口し、開口部全体が空気孔69に臨むことがないように形成される。
【0035】
本実施の形態のピストンポンプでは、係合爪部72および係合片63が軸変位阻止手段77に相当し、ピン部材67およびピン嵌合孔部73が回動阻止手段78に相当する。
【0036】
図9は、ピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合させる手順を示す図であり、図9(1)は、ピン部材67がピン嵌合孔部73に嵌合される前の状態を示す図であり、図9(2)がピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合された状態を示す図である。図9では、理解を容易にするために、フロントカバー26bに配設されるピン部材67および弾性部材68だけを示し、フロントカバー26bを省略して示している。斜板支持台60は、一対の係合爪部72をフロントカバー26bの各嵌入口64から嵌入し、装着孔部62に嵌合され、係合爪部73と係合片63とが非係合状態となる装着準備位置に配置される。このときピン部材67は、斜板支持台60が装着孔部62に嵌合されるとともに、図9(1)に示すように、斜板支持台60によって、当接面部60bが底部65に当接する状態まで押し戻される。ピン部材67は、押圧される状態で、図7の2点鎖線で示すように、当接面部60bに当接するように配設される。装着準備位置に配置される状態で、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させると、係合爪部72が係合溝部66に嵌まり込んで係合片63に係合される。さらに周方向一方A30に回動させると、係合爪部72が係合片63に係合したままの状態で、ピン部材67がピン嵌合孔部73に臨む装着完了位置に配置される。装着準備位置と装着完了位置とは、周方向一方A30および他方A35に角度θ1ずれている。角度θ1は、片手で回転軸線まわりに回動可能な角度範囲であり、好ましくは10度以上90度以下であり、本実施の形態では約45度である。ただしこのような範囲に限定されるものでなく、角度θ1の範囲は、0<θ1<360であればよい。装着完了位置にある状態で、ピン部材67は、弾性部材68によってX1方向に押し出され、ピン嵌合孔部73と非係合状態にある非係合位置からピン嵌合孔部73と係合する係合状態にある係合位置に変位し、ピン嵌合孔部73に嵌合する。これによって斜板支持台60は、フロントカバー26bに装着される。
【0037】
装着完了位置にある状態において、一対の係合爪部72は、一対の嵌入口64に対して周方向他方A35に角度θ1ずれた位置に配置される。したがってピン部材67は、装着準備位置でピン部材67が当接面部60bに当接する位置から装着完了位置でピン部材67が当接面部60bする位置(図7の1点鎖線)までの角度θ1を摺動する。
【0038】
離脱させる場合、棒状部材を貫通孔74に挿通しピン部材67を押し戻して、ピン部材67をピン嵌合孔部73を離脱させる。離脱させた状態で、斜板支持台60を係合位置から非係合位置に周方向他方A35に回動させると、係合爪部72を係合溝部66から離脱させることができる。離脱した係合爪部72を嵌入口64に通すと、斜板支持台60を装着孔部62から外すことができる。このようにして斜板支持台60を係合位置から非係合位置に周方向他方A35に回動されることによって、装着孔部62から離脱させることができる。斜板支持台60は、装着準備位置または装着完了位置に配置された状態で、回転軸線まわりである周方向一方A30および他方A35に回動させることができる。
【0039】
以下では、このようにして構成されるピストンポンプ20が奏する効果について説明する。本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60を、ケーシング26に対して周方向A30に、装着準備位置から装着完了位置に回動させることができる。斜板支持台60は、装着準備位置にある状態で、ケーシング26に対するX1およびX2方向に変位させることができる。斜板支持台60は、装着完了位置にある状態で、斜板25を支持し、軸変位阻止手段77によってケーシング26に対するX1およびX2方向の変位が阻止され、ケーシング26装着される。したがって斜板支持台60を装着完了位置に回動させると、ケーシング26に対する斜板支持台60のX1およびX2方向のがたつき、たとえば振動および駆動軸の接触に起因するX1およびX2方向のがたつきを抑制する。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のがたつきに起因する、押え部材51、ピストン23およびシリンダブロック22などの内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に周方向一方A30に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26に装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に周方向他方A35に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26から離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシング26に斜板支持台60を容易に着脱をすることができる。さらに第2の従来の技術のようにケーシング11にボルト15を貫通させる必要がなく、シール構造を適用しなくとも、斜板支持台60の装着構造が用いられている部分から油などの流体が漏れてしまうことが防がれる。
【0040】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、ケーシング26に設けられる一対の係合片63を斜板支持台60に設けられる係合爪部72に係合させることができる。斜板支持台60が装着準備位置にある状態では、係合爪部72が係合片63に対して非係合状態にあり、斜板支持台60をケーシング26から離脱させることができる。斜板支持台60が装着完了位置にある状態では、係合爪部72が係合片63に係合する係合状態にあり、斜板支持台60がケーシング26に対してX1およびX2方向に変位することが阻止される。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のX1およびX2方向のがたつきを抑制し、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させるだけの容易な作業で、ケーシング26に斜板支持台60を装着できる斜板支持台60の装着構造を実現することができる。
【0041】
また本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60は、装着完了状態にある状態で、回動阻止手段78によってケーシング26に対して周方向一方A30および他方A35への回動が阻止されて、ケーシング26に装着される。したがって斜板支持台60を装着完了位置に回動させてケーシング26に装着させると、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりのがたつき、たとえば振動に起因する回転軸線L20まわりのがたつきを抑制する。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のがたつきに起因する、押え部材51、ピストン23およびシリンダブロック22などの内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に周方向一方A30に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26に装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に周方向他方A35に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26から離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシング26に斜板支持台60を容易に着脱をすることができる。これによって斜板支持台60の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0042】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60に設けられるピン嵌合孔部73をケーシング26に設けられるピン部材67に係合させることができる。ピン部材67は、斜板支持台60が装着完了位置にある状態で、ピン嵌合孔部73に対して非係合状態にある非係合位置と、ピン嵌合孔部73に係合する係合状態にある係合位置とにわたって変位することができる。したがってピン部材67を係合位置に変位させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりの変位が阻止され、ピン部材67を非係合位置に変位させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりの変位が許容される。これによってケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりのがたつきを抑制し、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させるだけの容易な作業で、ケーシング26に斜板支持台60を容易に装着できる斜板支持台60の装着構造を実現することができる。またピン部材67をピン嵌合孔部73に係合させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の位置決めをすることができる。
【0043】
また本実施の形態のピストンポンプ20では、ピン部材67は、弾性部材68によって、非係合位置から係合位置に向かうX1方向へ弾発的に押圧されるので、斜板支持台60を装着完了位置に配置すると、弾発的に押圧されて非係合位置から係合位置に変位し、係合状態になる。これによって斜板支持台60が装着完了状態に回動させるだけで、ピン部材67をピン嵌合孔部73に係合させることができ、ケーシング26に斜板支持台60を容易に装着できる。またピン部材67がX1方向へ弾発的に押圧されるので、係合位置から非係合位置に離脱することが阻止され、装着完了位置から装着準備位置に回動することを阻止する。したがってケーシング26に対する斜板支持台60のX1方向、X2方向および回転軸線L2まわりの変位を阻止し、がたつきを確実に抑制できる。また係合位置にあるピン部材67をX2方向に押圧することによって、ピン部材67を係合位置から非係合位置に変位させることができる。これによって斜板支持台60を装着完了位置から装着準備位置に回動させることができ、斜板支持台60を離脱可能な状態にすることができる。このようにケーシング26に斜板支持台60が装着された状態から、容易に離脱可能な状態にすることができる。これによって斜板支持台60の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0044】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60の装着構造が用いられる。これによって斜板支持台60のがたつきが抑制されるピストンポンプ20が実現できる。
【0045】
本実施の形態のピストンポンプ20では、装着準備位置と装着完了位置とが角度θ1ずれて形成される。角度θ1は、腕を中心に手のひらが角変位可能な範囲に設定される。したがって使用者は、装着準備位置に配置される斜板支持台60を把持して周方向一方A30に角度θ1回動させるだけで装着完了位置に配置でき、容易に装着できる。
【0046】
本実施の形態のピストンポンプによれば、ピン嵌合孔部73に嵌合するピン部材67の中心軸線L30からずらした位置に貫通孔74が形成される。具体的には、空気孔69からずらした位置に貫通孔74が形成される。これによって貫通孔74を挿通させた棒状部材が空気孔69に嵌まり込んで、ピン部材67を押圧不能になってしまうこと防がれ、確実にピン部材67を押圧し、ピン嵌合孔部73から離脱させることができる。このように空気孔69からずらした位置に貫通孔74を形成することによって、離脱の手間を軽減することができる。
【0047】
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することができる。たとえば斜板支持台60に2つの係合爪部72が設けられているけれども、3つ以上であってもよい。たとえばさらに2つの係合爪部を回転軸線L20および傾動軸線L2に直交する軸線に略平行に設けると、前期傾動軸線L2に略平行な軸線まわりの傾動を抑制できる。このとき各係合爪部72に対応する嵌入口64が設けられる係合爪部72の数量形成される。ただし嵌入口64は、係合爪部72の同数だけ形成されることに限らず、係合爪部72の数量以上に形成されてもよい。またピン部材67は、平行ピンに限らずテーパピンであってもよく、ポンプに限らず、モータに実施されてもよい。さらに前述の実施の形態では、シリンダブロック22が一方向にだけ回転する構成として説明したけれども、正逆両方向に回転可能な構成であってもよい。また本実施の形態では、回転軸27の軸線とシリンダブロック22の軸線とが同軸上に配置されているけれども、必ずしも同軸上に限らず、斜軸式油圧ポンプのように前記2つの軸線が異軸上に配置されてもよい。液圧装置は、作動油以外の流体、たとえば作動水によって動作する構成であってもよい。また産業機械および建設機械以外の他の機械ならびに車両などに用いられる構成であってもよい。
【0048】
本実施の形態では、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み、係合片63に係合させ、さらに周方向一方A30に回動させることによって斜板支持台60をケーシング26に装着させている。しかしながらこのような構成に限定されるものでなく、斜板支持台を周方向他方A35に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み、係合片63に係合させ、さらに周方向他方A35に回動させることによって斜板支持台60をケーシング26に装着させてもよい。つまり周方向一方A30およびA35いずれの方向に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み係合片63に係合させて、斜板支持台60を装着させてもよい。周方向一方A30および他方A35のどちらに回動させて装着しても、同様の効果を奏する。
【0049】
また本実施の形態ではピン部材67がケーシング26に設けられているけれども、これに限定されず、斜板支持台60に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の一形態のピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を示す断面図である。
【図2】ピストンポンプ20を概略示す断面図である。
【図3】ピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】フロントカバー26bの一部を示す正面図である。
【図5】斜板支持台60を示す正面図である。
【図6】斜板支持台60を断面線A−Aで切断してみた断面図である。
【図7】斜板支持台60を示す背面図である。
【図8】ピン嵌合孔部73を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】ピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合させる手順を示す図であり、図9(1)は、ピン部材67がピン嵌合孔部73に嵌合される前の状態を示す図であり、図9(2)がピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合された状態を示す図である。
【図10】第1の従来の技術のピストンポンプ1の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図11】第2の従来の技術のピストンポンプの一部を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
20 ピストンポンプ
22 シリンダブロック
23 ピストン
25 斜板
26 ケーシング
26c フロントカバー
60 斜板支持台
63 係合片
67 ピン部材
68 弾性部材
72 係合爪部
73 ピン嵌合孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば斜板が用いられるピストンポンプおよびピストンモータとして、好適に実施することができる液圧装置に関し、特にその液圧装置に含まれる斜板を支持する斜板支持台を液圧装置のケーシングに装着させるための斜板支持台の装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、第1の従来の技術のピストンポンプ1の一部を拡大して示す拡大断面図である。ピストンポンプ1は、ケーシング2内に、回転軸3によって回転軸線L1まわりに回転方向A1へ回転可能に設けられるシリンダブロックを備えている。シリンダブロックには、複数のピストン室が形成され、各ピストン室に連通するシリンダポートがそれぞれ形成されている。各ピストン室には、ピストンが嵌まり込んでいる。各ピストンの一端部には、シューが設けられ、各シューは、回転軸線L1に垂直な仮想平面に対して傾斜する斜板4に向けて押圧されている。各ピストンは、シリンダブロックの回転と同期して、伸長行程および縮退行程を有して往復変位する。
【0003】
斜板4は、斜板支持台5に回転軸線L1に直交する傾動軸線L2まわりに傾動可能に支持される。各ピストンは、斜板を傾動軸線L2まわりに傾動させることによって、ストローク長が変わり、各ピストン室に吸入可能な作動油の容量が変わる。ケーシング2には、その内周部にピン6が嵌合されている。ピン6は、その内周部から回転軸線L1方向一方に一部を突出させて設けられる。斜板支持台5は、回転軸3が挿通した状態で、このピン6が嵌合されてケーシング2に装着される。これによって斜板支持台5の回転軸線L1まわりの回動が阻止される。振動などに起因する斜板の回転軸線L1まわりの角変位を防ぎ、斜板4のがたつきを抑制する(たとえば特許文献1)。
【0004】
図11は、第2の従来の技術のピストンポンプの一部を拡大して示す拡大断面図である。ピストンポンプ10では、ケーシング11、回転軸12、シリンダブロック、複数のピストン、複数のシュー、斜板13および斜板支持台14を含み、第1の従来の技術のピストンポンプ1と同様に構成される。斜板支持台14が、回転軸12を挿通した状態で、ケーシング11に装着される。斜板支持台14は、ケーシング11をその外方から内方に貫通する複数のボルト15によって、ケーシング11に固定される。これによって斜板支持台14の回転軸線L1まわりの回動および回転軸線L1方向の変位が阻止される。振動などに起因する斜板の回転軸線L1まわりの角変位、および回転軸の回転軸線L1方向の変位に伴う斜板の前記方向の変位を防ぐことができ、斜板のがたつきを抑制する(たとえば特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−90782号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の従来の技術のピストンポンプ1では、ピン6によって、ケーシング2に対する斜板支持台5の回転軸線L1まわりの相対的な回動が阻止できるけれども、回転軸線L1方向の相対変位が起こり得る。したがって回転軸3の回転軸線L1方向の変位などによって、斜板支持台5のがたつきが発生し、このがたつきに伴って、シューを斜板4に押し付ける押え部材などのケーシング内に配設される構成部品が損傷するなどの不具合が生じる場合がある。
【0007】
第2の従来の技術のピストンポンプ10では、第1の従来の技術の不具合を抑制するために、ボルト15によって、回転軸線L1まわりの回動および回転軸線L1方向の変位を阻止し得る。ピストンポンプ10では、ボルト15でケーシングと斜板支持台とを固定するので、ボルト15がケーシング11を貫通するように設けられる。それ故、ボルト15が貫通する貫通孔から潤滑油などが漏れないように、シールを達成した状態で、斜板支持台14をケーシング11に装着する必要があり、Oリング16が配設される。このようにボルト15だけでなく、Oリング16を設ける必要があり、部品点数が増加する。またボルト15を用いるので、ケーシング11に斜板支持台14を着脱する手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、斜板支持台の回転軸線まわりおよび軸線方向のがたつきを抑制し、かつケーシングに斜板支持台を容易に装着できる斜板支持台の装着構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)回転軸線まわりに回転可能に設けられ、複数のピストン室に回転に伴って伸縮する複数のピストンが嵌まり込むシリンダブロックと、各ピストンを支持する斜板とが収容されるケーシングと、
(b)ケーシングに、装着準備位置と装着完了位置との間で、回転軸線まわりに回動可能に設けられ、装着完了位置で斜板を支持する斜板支持台と、
(c)斜板支持台が装着準備位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を許容し、斜板支持台が装着完了位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を阻止する軸変位阻止手段とを備えることを特徴とする斜板支持台の装着構造である。
【0010】
また本発明は、軸変位阻止手段は、
ケーシングに設けられる第1軸係合片と、
斜板支持台に設けられ、斜板支持台が装着準備位置にある場合第1軸係合片に対して非係合状態にあり、斜板支持台が装着完了位置にある場合第1軸係合片と係合される係合状態にある第2軸係合片とを有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線まわりに回動することを阻止する回動阻止手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、回動阻止手段は、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部と、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられ、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、係合孔部に対して非係合状態にある非係合位置と、係合孔部に対して係合状態にある係合位置とにわたって、変位可能なピン部材と、
ピン部材を、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧するばね力発生手段とを有することを特徴とする。
また本発明は、前記斜板支持台の装着構造が用いられる液圧装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、斜板支持台を、ケーシングに対して回転軸線まわりに、装着準備位置から装着完了位置に回動させることができる。斜板支持台は、装着準備位置にある状態で、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向に変位させることができる。斜板支持台は、装着完了位置にある状態で、斜板を支持し、軸変位阻止手段によってケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位が阻止され、ケーシングに装着される。したがって斜板支持台を装着完了位置に回動させると、第1の従来の技術の課題であったケーシングに対する斜板支持台の軸線方向のがたつき、たとえば振動および駆動軸の接触に起因する軸線方向のがたつきを抑制する。これによってケーシングに対する斜板支持台のがたつきに起因する、内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングに装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングから離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシングに斜板支持台を容易に着脱をすることができる。さらに第2の従来の技術のようにケーシングにボルトを貫通させる必要がなく、シール構造を適用しなくとも、嵌合構造が適用される部分から油が漏れてしまうことが防がれる。
【0014】
本発明によれば、ケーシングに設けられる第1軸係合片を斜板支持台に設けられる第2軸係合片に係合させることができる。斜板支持台が装着準備位置にある状態では、第2軸係合片が第1軸係合片に対して非係合状態にあり、第1軸係合片を第2軸係合片から離脱させることができる。斜板支持台が装着完了位置にある状態では、第2軸係合片が第1軸係合片に係合する係合状態にあり、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線に沿う軸線方向に変位することが阻止される。これによってケーシングに対する斜板支持台の軸線方向のがたつきを抑制し、斜板支持台を回転軸線周りに回動させるだけの容易な作業で、ケーシングに斜板支持台を装着できる斜板支持台の装着構造を実現することができる。
【0015】
本発明によれば、斜板支持台は、装着完了状態にある状態で、回動阻止手段によってケーシングに対して回転軸線まわりの回動が阻止されて、ケーシングに装着される。したがって斜板支持台を装着完了位置に回動させてケーシングに装着させると、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりのがたつき、たとえば振動に起因する回転軸線まわりのがたつきを抑制する。これによってケーシングに対する斜板支持台のがたつきに起因する、内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングに装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に回動させるだけで、斜板支持台をケーシングから離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシングに斜板支持台を容易に着脱をすることができる。これによって斜板支持台の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0016】
本発明によれば、ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部をケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられるピン部材に係合させることができる。ピン部材は、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、第1軸係合片に対して非係合状態にある非係合位置と、第1軸係合片に係合する係合状態にある係合位置とにわたって変位することができる。したがってピン部材を係合位置に変位させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりの変位が阻止され、ピン部材を非係合位置に変位させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりの変位が許容される。これによってケーシングに対する斜板支持台の回転軸線まわりのがたつきを抑制し、斜板支持台を回転軸線まわりに回動させるだけの容易な作業で、ケーシングに斜板支持台を容易に装着できる斜板支持台の装着構造を実現することができる。またピン部材を係合孔部に係合させることによって、ケーシングに対する斜板支持台の位置決めをすることができる。
【0017】
また本発明では、ピン部材は、ばね力発生手段によって、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧されるので、斜板支持台を装着完了位置に配置すると、弾発的に押圧されて非係合位置から係合位置に変位し、係合状態になる。これによって斜板支持台が装着完了状態に変位させるだけで、ピン部材を係合孔部に係合させることができ、ケーシングに斜板支持台を容易に装着できる。またピン部材が係合方向へ弾発的に押圧されるので、係合位置から非係合位置に離脱することが阻止され、装着完了位置から装着準備位置に変位することを阻止する。したがってケーシングに対する斜板支持台の軸線方向および回転軸線まわりの変位を阻止し、がたつきを確実に抑制できる。また係合位置にあるピン部材を係合方向の反対方向に押圧することによって、ピン部材を係合位置から非係合位置に変位させることができる。これによって斜板支持台を装着完了位置から装着準備位置に変位させることができ、斜板支持台を離脱可能な状態にすることができる。このようにケーシングに斜板支持台が装着された状態から、容易に離脱可能な状態にすることができる。これによって斜板支持台の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0018】
本発明によれば、斜板支持台の装着構造が液圧装置に用いられる。これによって斜板支持台のがたつきが抑制される液圧装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0020】
図1は、本発明の実施の一形態のピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を示す断面図である。図2は、ピストンポンプ20を概略示す断面図である。図3は、斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を拡大して示す拡大断面図である。液圧装置であるピストンポンプ20は、たとえば産業機械および建設機械に設けられる可変容量形の斜板式油圧ポンプであって、原動機からの駆動力によって駆動され、作動液体である作動油を、産業機械および建設機械に設けられるアクチュエータに供給して、そのアクチュエータを駆動するために用いられる。このピストンポンプ20は、基本的に、弁板21と、シリンダブロック22と、複数のピストン23と、複数のシュー24と、斜板25と斜板支持台60とを含む。これらはピストンポンプ20がさらに備えるケーシング26に収納されている。ケーシング26は、ケーシング本体26a、フロントカバー26bおよびバルブケーシング26cを有している。
【0021】
またピストンポンプ20は、さらに回転軸27を含む。回転軸27は、軸線方向一端部27aがフロントカバー26bから部分的に突出した状態で、第1ベアリング29を介してフロントカバー26bに、その軸線と一致する回転軸線L20まわりに回転可能に支持されている。また前記回転軸27は、軸線方向他端部27bが、第2ベアリング30を介してバルブケーシング26cに、前記回転軸線L20まわりに回転可能に支持されている。回転軸27は、回転方向A20へ回転可能である。
【0022】
弁板21は、大略的に円板状であって、回転軸27が挿通した状態で、回転軸27と同軸に配置されて、バルブケーシング26cに固定して設けられる。この弁板21には、吸入ポート31と、図示しない吐出ポートとが形成される。吸入ポート31および吐出ポートは、回転軸線L20まわりに、約180度ずれた位置に、周方向に延びて円弧状に形成される。図2には、理解を容易にするために、吸入ポート31の位置を周方向にずらして示す。
【0023】
シリンダブロック22は、回転軸27が同軸に挿通され、たとえばスプライン結合されて相互の回転が阻止された状態で、回転軸27に設けられ、回転軸線L20まわりに回転可能である。またシリンダブロック22には、複数のピストン室37が、周方向に等しい間隔をあけて形成され、さらに各ピストン室37に個別に連なるシリンダポート38が、周方向に等しい間隔をあけて形成される。各ピストン室37は、回転軸線L20と略平行な軸線を有し、シリンダブロック22の軸線方向一端部で開口する。各シリンダポート38は、シリンダブロック22の軸線方向他端部で開口する。このシリンダブロック22は、相互間のシールを達成しかつ摺動可能に、軸線方向他端部が弁板21に当接する状態で設けられ、シリンダブロック22の角度位置に応じて、各シリンダポート38が、吸入ポート31、吐出ポートに接続される。
【0024】
各ピストン23は、大略的に円柱状であり、シリンダブロック22の各ピストン室37に、相互間のシールを達成した状態で部分的にそれぞれ嵌まり込んで収納され、油圧室41を形成する。また各ピストン23は、その軸線に沿ってシリンダブロック22に対して往復変位可能に設けられる。各ピストン23の往復変位は、伸長方向へ変位する伸長行程と、縮退方向へ変位する縮退行程とを含んでいる。各ピストン23の変位によって、各油圧室41の容積がそれぞれ変化する。また各ピストン23のピストン室37から突出する側の軸線方向一端部43は、外表面が球面状に形成されている。
【0025】
各シュー24は、大略的に円柱状であり、その軸線方向一端部に軸線に垂直な当接面44が形成されるフランジ部45を有するとともに、軸線方向他端部で開口する嵌合部46が形成される。各シュー24の嵌合部46の内表面は、球面状に形成され、この嵌合部46にピストン23の軸線方向一端部33を嵌合させて、各シュー24は、嵌合部46および前記一端部43の中心を回動中心として、直交3軸まわりに単独および組合わせて回動可能に、ピストン23に連結される。
【0026】
斜板25は、シリンダブロック22の軸線方向一端部側に設けられ、各シュー24の当接面44を受けて支持する平坦な支持面47を有する。斜板25は、斜板の支持面47と反対側に、部分円筒面状の傾動面61を有する。この斜板25は、回転軸線L20と異なる方向に延びる傾動軸線、本実施の形態では回転軸線L20と直交する傾動軸線L25まわりに傾動可能に設けられており、ピストンポンプ20が備えるサーボ機構48によって、傾動軸線L25まわりに傾動駆動され、支持面47の回転軸線L20に対して成す角度が変更される。斜板25は、前記角度を変更することによって、各シュー24を変位させ、各ピストン23のストローク長を変更させる。サーボ機構48は、たとえばケーシング26の上部に設けられる。
【0027】
ピストンポンプ20は、押さえ部材51を、さらに含む。回転軸27には、シリンダブロック22よりも軸線方向一端部27a寄りの部分に、外表面が球面状の球面ブッシュ50が形成されされている。この球面ブッシュ50の外表面が成す球の中心は、回転軸線L20上の一点、本実施の形態では回動軸線L20および頃動軸線L25の交点と一致し、球面ブッシュ50の外表面は、押え部材51を案内する案内面となる。
【0028】
押さえ部材51は、球面ブッシュ50の案内面で支持される状態で、案内面が成す球の中心、したがって回転軸線L20および頃動軸線L25の交点を回動中心として、直交3軸まわりに単独および組合わせて回動可能に、設けられる。この押さえ部材51は、各シュー24のフランジ部45を係止して、各シュー24を斜板25の支持面47に向けて押圧する。この状態で、各シュー24は、斜板25の支持面47に沿う方向へは、押さえ部材51に対してわずかな変位が許容されている。
【0029】
ピストンポンプ20は、シリンダブロック22の1回転に対して、各ピストン23が1往復する構成である。各ピストン23の往復動作は、回転軸線L20まわりの周方向に、相互に180度毎の角度位置に、最も伸長した最伸長位置と、最も縮退した最縮退位置とをそれぞれ有する。具体的には、回転軸線L20を含みかつ傾動軸線L22に垂直な仮想平面と、ピストン23の軸線が一致する角度位置に、最伸長位置および最縮退位置が存在する。ピストン23の往復変位は、最伸長位置から最縮退位置に向かう行程が縮退行程であり、最縮退位置から最伸長位置に向かう行程が伸長行程である。以下、最伸長位置および最縮退位置を死点という場合がある。
【0030】
図4は、フロントカバー26bの一部を示す正面図である。図1〜3を参照しつつ、説明する。フロントカバー26bには、回転軸線L20周りに、第1ベアリング29が嵌まり込む孔部32より大径の装着孔部62が形成される。フロントカバー26bには、装着孔部62を形成する内周部に、半径方向内方に向かって突出する複数の係合片63が設けられる。第1軸係合片である各係合片63が互いに周方向に間隔をあけて形成され、互いに隣り合う係合片63の間には、嵌入口64が形成される。本実施の形態では、前記内周部に2つの嵌入口を部分を除いた周方向全周にわたって、一対の係合片63が形成され、2つの嵌入口64が周方向に180度ずれた位置に形成されている。各係合片63は、装着孔部62を形成する底部65とともに半径方向内方に向かって開口する係合溝部66を形成する。
【0031】
ケーシング26には、さらにピン部材67および弾性部材68が設けられる。ピン部材67は、その中心軸線L30周りに空気孔69が形成される円筒形状の平行ピンであり、フロントカバーの底部65に回転軸線L25に沿う軸線方向である回転軸線L20方向一方X1および他方X2(以下では、単に「X1方向」および「X2方向」と称する場合がある)に摺動変位可能に嵌まり込んで設けられている。ただしピン部材67は、空気孔69が形成されているものに限定されず、空気孔69が形成されていないものでもよい。ピン部材67は、たとえば底部65の上部側に配設される。ただし底部65の上部側に設けられることに限定されず、底部65の下部側に設けられてもよい。ピン部材67と前記底部65との間には、弾性部材収容空間70が形成され、この弾性部材収容空間70には、係合方向であるX1方向の弾発力をピン部材67に付勢する弾性部材68、本実施の形態では、圧縮コイルばね部材が収容されている。ピン部材67は、このばね力発生手段である弾性部材68によって、自然状態でX1方向にその一部が突出している。空気孔69は、ピン部材67が摺動変位際、弾性部材収容空間70の空気を抜くために形成される。
【0032】
図5は、斜板支持台60を示す正面図である。図6は、斜板支持台60を断面線A−Aで切断してみた断面図である。図7は、斜板支持台60を示す背面図である。斜板支持台60は、大略的に円板状であり、装着孔部62に装着してケーシング26内に設けられ、装着孔部62に装着された状態で、回転軸線L20に一致する装着孔部62の軸線まわりに回動可能に設けられる。斜板支持台60は、その軸線方向一表面部60aに、斜板25の傾動面61を受けて傾動軸線L25まわりに傾動可能に支持する、部分円筒面状の一対の斜板支持面71を有する。本実施の形態では、一対の斜板支持面71は、互いに傾動軸線L25方向に離隔して形成される。斜板支持台60の外周部の軸線方向他表面部60b側に、半径方向外方に突出する複数の係合爪部72が設けられる。図1〜3では、理解を容易にするために、係合爪部72が、図5に対して周方向にずれた位置に示されている。第2軸係合片である各係合爪部72は、周方向に互いに間隔をあけて、各嵌入口64からそれぞれ嵌入可能に形成される。さらに各係合爪部72は、嵌入口64から嵌入され、底部65に軸線方向他表面部60bである当接面部60bを当接させた状態で、周方向一方A30に回動させると、係合溝部66に少なくともその一部が嵌まり込んで係合片63に係合し、係合する状態で周方向他方A35に回動させると係合が解除されるように形成される。周方向一方A30が、図4に示すように紙面に向かって時計回りの方向であり、他方A35がその逆回りの方向である。係合片63は、斜板支持台60が装着孔部62に装着された状態で、係合爪部72の少なくとも一部が係合溝部66に嵌まり込んで、周方向の回動を阻止した状態で係合するように形成される。望ましくは、本実施の形態のように、係合片63は、係合爪部72の全体が係合溝部66に嵌まり込んで、X1方向およびX2方向の変位を阻止した状態で係合するように形成される。本実施の形態では、一対の係合爪部72が互いに周方向に180度ずれた位置に形成されている。
【0033】
図8は、ピン嵌合孔部73を拡大して示す拡大断面図である。斜板支持台60は、当接面部60bに、装着孔部62に装着された状態で自然状態のピン部材67が嵌合可能なピン嵌合孔部73が形成される。係合孔部であるピン嵌合孔部73は、斜板支持台60の半径方向に延び、前記半径方向外方に開口し、前記半径方向内方側の部分が半円柱状に形成される。半円柱状の部分には、自然状態でのピン部材67が、その中心軸線L30を半円柱状の部分の軸線に一致させて、がたつくことなく嵌合される。
【0034】
ピン嵌合孔部73の底部73bには、斜板支持台60をその軸線に略平行に貫通し、斜板支持台60の軸線方向一表面部60aおよび他表面部60bで開口する貫通孔74が形成される。貫通孔74は、ピン嵌合孔部73の半円柱状部分の中心軸線、すなわち嵌合するピン部材67の中心軸線L30より斜板支持台60の半径方向外方寄りに形成される。貫通孔74は、ピン部材67が嵌合する状態で、ピン部材67の軸線方向一端部の少なくとも一部が貫通孔74に臨むように形成される。貫通孔74は、たとえば直線状の棒状部材を挿通して、ピン部材67を弾性部材68の弾発力に抗する力を押圧するために設けられ、押圧することによって、ピン部材67を押し戻してピン嵌合孔部73から離脱可能に形成される。本実施の形態では、貫通孔74は、斜板支持台60の軸線に略平行な軸線周りに形成され、ピン嵌合孔部73に嵌合されるピン部材67の中心軸線からずれた位置で開口し、開口部全体が空気孔69に臨むことがないように形成される。
【0035】
本実施の形態のピストンポンプでは、係合爪部72および係合片63が軸変位阻止手段77に相当し、ピン部材67およびピン嵌合孔部73が回動阻止手段78に相当する。
【0036】
図9は、ピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合させる手順を示す図であり、図9(1)は、ピン部材67がピン嵌合孔部73に嵌合される前の状態を示す図であり、図9(2)がピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合された状態を示す図である。図9では、理解を容易にするために、フロントカバー26bに配設されるピン部材67および弾性部材68だけを示し、フロントカバー26bを省略して示している。斜板支持台60は、一対の係合爪部72をフロントカバー26bの各嵌入口64から嵌入し、装着孔部62に嵌合され、係合爪部73と係合片63とが非係合状態となる装着準備位置に配置される。このときピン部材67は、斜板支持台60が装着孔部62に嵌合されるとともに、図9(1)に示すように、斜板支持台60によって、当接面部60bが底部65に当接する状態まで押し戻される。ピン部材67は、押圧される状態で、図7の2点鎖線で示すように、当接面部60bに当接するように配設される。装着準備位置に配置される状態で、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させると、係合爪部72が係合溝部66に嵌まり込んで係合片63に係合される。さらに周方向一方A30に回動させると、係合爪部72が係合片63に係合したままの状態で、ピン部材67がピン嵌合孔部73に臨む装着完了位置に配置される。装着準備位置と装着完了位置とは、周方向一方A30および他方A35に角度θ1ずれている。角度θ1は、片手で回転軸線まわりに回動可能な角度範囲であり、好ましくは10度以上90度以下であり、本実施の形態では約45度である。ただしこのような範囲に限定されるものでなく、角度θ1の範囲は、0<θ1<360であればよい。装着完了位置にある状態で、ピン部材67は、弾性部材68によってX1方向に押し出され、ピン嵌合孔部73と非係合状態にある非係合位置からピン嵌合孔部73と係合する係合状態にある係合位置に変位し、ピン嵌合孔部73に嵌合する。これによって斜板支持台60は、フロントカバー26bに装着される。
【0037】
装着完了位置にある状態において、一対の係合爪部72は、一対の嵌入口64に対して周方向他方A35に角度θ1ずれた位置に配置される。したがってピン部材67は、装着準備位置でピン部材67が当接面部60bに当接する位置から装着完了位置でピン部材67が当接面部60bする位置(図7の1点鎖線)までの角度θ1を摺動する。
【0038】
離脱させる場合、棒状部材を貫通孔74に挿通しピン部材67を押し戻して、ピン部材67をピン嵌合孔部73を離脱させる。離脱させた状態で、斜板支持台60を係合位置から非係合位置に周方向他方A35に回動させると、係合爪部72を係合溝部66から離脱させることができる。離脱した係合爪部72を嵌入口64に通すと、斜板支持台60を装着孔部62から外すことができる。このようにして斜板支持台60を係合位置から非係合位置に周方向他方A35に回動されることによって、装着孔部62から離脱させることができる。斜板支持台60は、装着準備位置または装着完了位置に配置された状態で、回転軸線まわりである周方向一方A30および他方A35に回動させることができる。
【0039】
以下では、このようにして構成されるピストンポンプ20が奏する効果について説明する。本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60を、ケーシング26に対して周方向A30に、装着準備位置から装着完了位置に回動させることができる。斜板支持台60は、装着準備位置にある状態で、ケーシング26に対するX1およびX2方向に変位させることができる。斜板支持台60は、装着完了位置にある状態で、斜板25を支持し、軸変位阻止手段77によってケーシング26に対するX1およびX2方向の変位が阻止され、ケーシング26装着される。したがって斜板支持台60を装着完了位置に回動させると、ケーシング26に対する斜板支持台60のX1およびX2方向のがたつき、たとえば振動および駆動軸の接触に起因するX1およびX2方向のがたつきを抑制する。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のがたつきに起因する、押え部材51、ピストン23およびシリンダブロック22などの内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に周方向一方A30に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26に装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に周方向他方A35に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26から離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシング26に斜板支持台60を容易に着脱をすることができる。さらに第2の従来の技術のようにケーシング11にボルト15を貫通させる必要がなく、シール構造を適用しなくとも、斜板支持台60の装着構造が用いられている部分から油などの流体が漏れてしまうことが防がれる。
【0040】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、ケーシング26に設けられる一対の係合片63を斜板支持台60に設けられる係合爪部72に係合させることができる。斜板支持台60が装着準備位置にある状態では、係合爪部72が係合片63に対して非係合状態にあり、斜板支持台60をケーシング26から離脱させることができる。斜板支持台60が装着完了位置にある状態では、係合爪部72が係合片63に係合する係合状態にあり、斜板支持台60がケーシング26に対してX1およびX2方向に変位することが阻止される。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のX1およびX2方向のがたつきを抑制し、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させるだけの容易な作業で、ケーシング26に斜板支持台60を装着できる斜板支持台60の装着構造を実現することができる。
【0041】
また本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60は、装着完了状態にある状態で、回動阻止手段78によってケーシング26に対して周方向一方A30および他方A35への回動が阻止されて、ケーシング26に装着される。したがって斜板支持台60を装着完了位置に回動させてケーシング26に装着させると、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりのがたつき、たとえば振動に起因する回転軸線L20まわりのがたつきを抑制する。これによってケーシング26に対する斜板支持台60のがたつきに起因する、押え部材51、ピストン23およびシリンダブロック22などの内部部品の損傷などの不具合の発生を抑制する。また装着準備位置から装着完了位置に周方向一方A30に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26に装着することができ、また装着完了位置から装着準備位置に周方向他方A35に回動させるだけで、斜板支持台60をケーシング26から離脱可能な状態にすることができる。したがって第2の従来の技術よりもケーシング26に斜板支持台60を容易に着脱をすることができる。これによって斜板支持台60の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0042】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60に設けられるピン嵌合孔部73をケーシング26に設けられるピン部材67に係合させることができる。ピン部材67は、斜板支持台60が装着完了位置にある状態で、ピン嵌合孔部73に対して非係合状態にある非係合位置と、ピン嵌合孔部73に係合する係合状態にある係合位置とにわたって変位することができる。したがってピン部材67を係合位置に変位させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりの変位が阻止され、ピン部材67を非係合位置に変位させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりの変位が許容される。これによってケーシング26に対する斜板支持台60の回転軸線L20まわりのがたつきを抑制し、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させるだけの容易な作業で、ケーシング26に斜板支持台60を容易に装着できる斜板支持台60の装着構造を実現することができる。またピン部材67をピン嵌合孔部73に係合させることによって、ケーシング26に対する斜板支持台60の位置決めをすることができる。
【0043】
また本実施の形態のピストンポンプ20では、ピン部材67は、弾性部材68によって、非係合位置から係合位置に向かうX1方向へ弾発的に押圧されるので、斜板支持台60を装着完了位置に配置すると、弾発的に押圧されて非係合位置から係合位置に変位し、係合状態になる。これによって斜板支持台60が装着完了状態に回動させるだけで、ピン部材67をピン嵌合孔部73に係合させることができ、ケーシング26に斜板支持台60を容易に装着できる。またピン部材67がX1方向へ弾発的に押圧されるので、係合位置から非係合位置に離脱することが阻止され、装着完了位置から装着準備位置に回動することを阻止する。したがってケーシング26に対する斜板支持台60のX1方向、X2方向および回転軸線L2まわりの変位を阻止し、がたつきを確実に抑制できる。また係合位置にあるピン部材67をX2方向に押圧することによって、ピン部材67を係合位置から非係合位置に変位させることができる。これによって斜板支持台60を装着完了位置から装着準備位置に回動させることができ、斜板支持台60を離脱可能な状態にすることができる。このようにケーシング26に斜板支持台60が装着された状態から、容易に離脱可能な状態にすることができる。これによって斜板支持台60の装着および離脱の容易化、すなわち着脱の手間の軽減およびがたつきの抑制の双方を実現できる。
【0044】
本実施の形態のピストンポンプ20によれば、斜板支持台60の装着構造が用いられる。これによって斜板支持台60のがたつきが抑制されるピストンポンプ20が実現できる。
【0045】
本実施の形態のピストンポンプ20では、装着準備位置と装着完了位置とが角度θ1ずれて形成される。角度θ1は、腕を中心に手のひらが角変位可能な範囲に設定される。したがって使用者は、装着準備位置に配置される斜板支持台60を把持して周方向一方A30に角度θ1回動させるだけで装着完了位置に配置でき、容易に装着できる。
【0046】
本実施の形態のピストンポンプによれば、ピン嵌合孔部73に嵌合するピン部材67の中心軸線L30からずらした位置に貫通孔74が形成される。具体的には、空気孔69からずらした位置に貫通孔74が形成される。これによって貫通孔74を挿通させた棒状部材が空気孔69に嵌まり込んで、ピン部材67を押圧不能になってしまうこと防がれ、確実にピン部材67を押圧し、ピン嵌合孔部73から離脱させることができる。このように空気孔69からずらした位置に貫通孔74を形成することによって、離脱の手間を軽減することができる。
【0047】
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することができる。たとえば斜板支持台60に2つの係合爪部72が設けられているけれども、3つ以上であってもよい。たとえばさらに2つの係合爪部を回転軸線L20および傾動軸線L2に直交する軸線に略平行に設けると、前期傾動軸線L2に略平行な軸線まわりの傾動を抑制できる。このとき各係合爪部72に対応する嵌入口64が設けられる係合爪部72の数量形成される。ただし嵌入口64は、係合爪部72の同数だけ形成されることに限らず、係合爪部72の数量以上に形成されてもよい。またピン部材67は、平行ピンに限らずテーパピンであってもよく、ポンプに限らず、モータに実施されてもよい。さらに前述の実施の形態では、シリンダブロック22が一方向にだけ回転する構成として説明したけれども、正逆両方向に回転可能な構成であってもよい。また本実施の形態では、回転軸27の軸線とシリンダブロック22の軸線とが同軸上に配置されているけれども、必ずしも同軸上に限らず、斜軸式油圧ポンプのように前記2つの軸線が異軸上に配置されてもよい。液圧装置は、作動油以外の流体、たとえば作動水によって動作する構成であってもよい。また産業機械および建設機械以外の他の機械ならびに車両などに用いられる構成であってもよい。
【0048】
本実施の形態では、斜板支持台60を周方向一方A30に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み、係合片63に係合させ、さらに周方向一方A30に回動させることによって斜板支持台60をケーシング26に装着させている。しかしながらこのような構成に限定されるものでなく、斜板支持台を周方向他方A35に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み、係合片63に係合させ、さらに周方向他方A35に回動させることによって斜板支持台60をケーシング26に装着させてもよい。つまり周方向一方A30およびA35いずれの方向に回動させて、係合爪部72を係合溝部66に嵌め込み係合片63に係合させて、斜板支持台60を装着させてもよい。周方向一方A30および他方A35のどちらに回動させて装着しても、同様の効果を奏する。
【0049】
また本実施の形態ではピン部材67がケーシング26に設けられているけれども、これに限定されず、斜板支持台60に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の一形態のピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を示す断面図である。
【図2】ピストンポンプ20を概略示す断面図である。
【図3】ピストンポンプ20の斜板支持台60の装着構造が用いられている部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】フロントカバー26bの一部を示す正面図である。
【図5】斜板支持台60を示す正面図である。
【図6】斜板支持台60を断面線A−Aで切断してみた断面図である。
【図7】斜板支持台60を示す背面図である。
【図8】ピン嵌合孔部73を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】ピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合させる手順を示す図であり、図9(1)は、ピン部材67がピン嵌合孔部73に嵌合される前の状態を示す図であり、図9(2)がピン部材67をピン嵌合孔部73に嵌合された状態を示す図である。
【図10】第1の従来の技術のピストンポンプ1の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図11】第2の従来の技術のピストンポンプの一部を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
20 ピストンポンプ
22 シリンダブロック
23 ピストン
25 斜板
26 ケーシング
26c フロントカバー
60 斜板支持台
63 係合片
67 ピン部材
68 弾性部材
72 係合爪部
73 ピン嵌合孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回転軸線まわりに回転可能に設けられ、複数のピストン室に回転に伴って伸縮する複数のピストンが嵌まり込むシリンダブロックと、各ピストンを支持する斜板とが収容されるケーシングと、
(b)ケーシングに、装着準備位置と装着完了位置との間で、回転軸線まわりに回動可能に設けられ、装着完了位置で斜板を支持する斜板支持台と、
(c)斜板支持台が装着準備位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を許容し、斜板支持台が装着完了位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を阻止する軸変位阻止手段とを備えることを特徴とする斜板支持台の装着構造。
【請求項2】
軸変位阻止手段は、
ケーシングに設けられる第1軸係合片と、
斜板支持台に設けられ、斜板支持台が装着準備位置にある場合第1軸係合片に対して非係合状態にあり、斜板支持台が装着完了位置にある場合第1軸係合片と係合される係合状態にある第2軸係合片とを有することを特徴とする請求項1に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項3】
斜板支持台が装着完了位置にある状態で、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線まわりに回動することを阻止する回動阻止手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項4】
回動阻止手段は、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部と、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられ、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、係合孔部に対して非係合状態にある非係合位置と、係合孔部に対して係合状態にある係合位置とにわたって、変位可能なピン部材と、
ピン部材を、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧するばね力発生手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の斜板支持台の装着構造が用いられる液圧装置。
【請求項1】
(a)回転軸線まわりに回転可能に設けられ、複数のピストン室に回転に伴って伸縮する複数のピストンが嵌まり込むシリンダブロックと、各ピストンを支持する斜板とが収容されるケーシングと、
(b)ケーシングに、装着準備位置と装着完了位置との間で、回転軸線まわりに回動可能に設けられ、装着完了位置で斜板を支持する斜板支持台と、
(c)斜板支持台が装着準備位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を許容し、斜板支持台が装着完了位置にある状態では、ケーシングに対する回転軸線に沿う軸線方向の変位を阻止する軸変位阻止手段とを備えることを特徴とする斜板支持台の装着構造。
【請求項2】
軸変位阻止手段は、
ケーシングに設けられる第1軸係合片と、
斜板支持台に設けられ、斜板支持台が装着準備位置にある場合第1軸係合片に対して非係合状態にあり、斜板支持台が装着完了位置にある場合第1軸係合片と係合される係合状態にある第2軸係合片とを有することを特徴とする請求項1に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項3】
斜板支持台が装着完了位置にある状態で、斜板支持台がケーシングに対して回転軸線まわりに回動することを阻止する回動阻止手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項4】
回動阻止手段は、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか一方に設けられる係合孔部と、
ケーシングおよび斜板支持台のいずれか他方に設けられ、斜板支持台が装着完了位置にある状態で、係合孔部に対して非係合状態にある非係合位置と、係合孔部に対して係合状態にある係合位置とにわたって、変位可能なピン部材と、
ピン部材を、非係合位置から係合位置に向かう係合方向へ弾発的に押圧するばね力発生手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の斜板支持台の装着構造。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の斜板支持台の装着構造が用いられる液圧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−23927(P2007−23927A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208438(P2005−208438)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(592216188)株式会社カワサキプレシジョンマシナリ (67)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(592216188)株式会社カワサキプレシジョンマシナリ (67)
【Fターム(参考)】
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