説明

断層画像撮影装置、画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及びプログラム

【課題】 眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成できるようにする。
【解決手段】 被検眼の動き量を検出する検出手段と、前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する決定手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像撮影装置、及び該断層画像撮影装置により撮影された断層画像を処理する画像処理装置ならびに画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層計(OCT;Optical Coherence Tomography)などの眼部断層画像撮影装置では、網膜に照射した近赤外光の反射光と参照光とを干渉させることにより干渉光を取得し、該取得した干渉光に基づいて断層画像を生成する。一般に、このように干渉光に基づいて生成される断層画像の画質は、網膜に入射される近赤外光の強度に依存する。このため、断層画像の画質を向上させるためには、網膜に照射する近赤外光の強度を上げる必要があるが、安全性の観点から、網膜に照射可能な近赤外光の強度には一定程度の限界がある。
【0003】
このため、安全上、問題のない強度範囲で近赤外光の照射を行いつつ、高画質な断層画像を生成することが望まれている。このような要求に対して、主として、これまで以下の2つの手法による取り組みがなされてきた。
(i)オーバーサンプリングを用いる方法
(ii)重ね合わせを用いる方法
そこで、以下、当該2つの手法による取り組みについて簡単に説明する。
【0004】
はじめにオーバーサンプリング法について図9を参照しながら説明する。図9(a)は断層画像撮影装置において撮影された網膜の断層画像の一例を示す図である。図9(a)において、Tは2次元断層画像(B−scan像)を表しており、Aijは走査線(A−scan)を表している。図9(a)に示すように、2次元断層画像Tは、同一平面上に位置する複数の走査線Aijによって構成されている。
【0005】
図9(c)は、図9(a)に示す2次元断層画像Tの撮影において、網膜に照射される近赤外光を、眼底表面から網膜の深度方向に向かって見た場合の照射分布の一例を示す図である。図9(c)においてAi1〜Aimに示す楕円は、近赤外光のビーム径を表している。
【0006】
一方、図9(b)は、断層像撮影装置において撮影された網膜の断層画像の一例であり、図9(a)と同じ撮影範囲を2倍の走査線数で撮影した場合の2次元断層画像T’を示す図である。また、図9(d)は、図9(b)に示す2次元断層画像T’の撮影において、網膜に照射される近赤外光を、眼底表面から網膜の深度方向に向かって見た場合の照射分布の一例を示す図である。図9(d)において、Ai1〜Ai2mに示す楕円は、近赤外光のビーム径を表している。
【0007】
図9(a)、(b)からわかるように、撮影範囲が同じである場合、走査線数が増えるほど、2次元断層画像の解像度は上がる。また、図9(c)、(d)からわかるように、解像度を上げるために走査線数を増やすにあたっては、網膜に照射される近赤外光を、隣接するビーム同士でオーバーラップするように照射させる必要がある。
【0008】
そして、このように、隣接するビーム同士でオーバーラップするように照射させることで、解像度の高い2次元断層画像を生成する手法を、一般に、オーバーサンプリング法と呼んでいる。
【0009】
一方、重ね合わせ法とは、同一の撮影範囲を同一の走査線数で複数回走査することで撮影された複数の断層画像を、互いに重ね合わせて合成することにより、ノイズの少ない断面画像を生成する手法である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−237238号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】C. Tomasi and T. Kanade, “Detection and tracking of point features”, Technical report, CMUCS-91-132, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、高画質な断層画像を生成するための上記2つの手法の場合、以下のような課題がある。例えば、特許文献1に開示された重ね合わせ法の場合、重ね合わせて合成される複数の断層画像は、互いに異なる時刻に撮影された断層画像である。そして、それぞれの断層画像を用いて、対応する画素の画素値を平均化するため、各断層画像内に含まれるノイズの低減において有効である。しかしながら、それぞれの断層画像自体の解像度は同じであるため、合成することにより高解像度の断層画像を生成することは困難である。
【0013】
一方、オーバーサンプリング法の場合、走査線数を増やし、オーバーラップの幅を広げることで、より高解像度の断層画像を生成することができる。しかしながら、走査線数が増えると、1枚の断層画像を撮影するのにかかる時間が増加し、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を受けやすくなる。この結果、撮影された断層画像内に歪みが生じることとなる。
【0014】
このため、高画質な断層画像を生成するためには、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を受けにくい撮影条件のもとで、極力、ノイズの少ない高解像度の断層画像が生成できるように撮影を行うことが望ましい。一方で、眼球の固視微動の大きさや頭の動きの大きさ等には個人差があり、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を受けにくい撮影条件は、常に一定とは限らない。
【0015】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために本発明に係る画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
被検眼の動き量を検出する検出手段と、
前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像処理システムの構成を示す図である。
【図2】画像処理装置における断層画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】断層画像及び眼底画像の一例を示す概略図である。
【図4】走査線数と撮影枚数との関係の一例を示す概略図である。
【図5】断層画像生成処理を説明するための図である。
【図6】画像処理システムの構成を示す図である。
【図7】画像処理装置における断層画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】画像処理装置における断層画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】オーバーサンプリング法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置は、オーバーサンプリング法または重ね合わせ法による撮影を行うにあたり、被検眼の動き量を検出し、該検出した動き量に応じた撮影条件に基づいて撮影を行うことを特徴としている。
【0020】
本実施形態によれば、個人ごとの眼の動き量に応じた撮影条件のもとでオーバーサンプリング法または重ね合わせ法による撮影を行うため、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成することが可能となる。
【0021】
以下、本実施形態に係る画像処理装置を備える画像処理システムについて、詳細を説明する。
【0022】
<画像処理システムの構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置110を備える画像処理システム100の構成を示す図である。図1に示すように、画像処理システム100は、画像処理装置110が、インタフェースを介して断層画像撮影装置120及び眼底画像撮影装置130と接続されることにより構成されている。
【0023】
断層画像撮影装置120は、眼部の断層画像を撮影する装置であり、当該装置としては、例えば、タイムドメイン方式のOCTやフーリエドメイン方式のOCT等が挙げられる。なお、断層画像撮影装置120は既知の装置であるため、詳細な説明は省略し、ここでは、画像処理装置110からの指示により設定される、走査線数、撮影枚数等によって動作内容が変更される機能についてのみ説明を行う。
【0024】
図1において、ガルバノミラー121は近赤外光の照射位置を制御する。また、ガルバノミラー駆動部122は、平面方向の走査線数(平面方向の走査速度)を規定する。
【0025】
パラメータ設定部123は、ガルバノミラー駆動部122によるガルバノミラー121の動作制御に用いられる各種パラメータを、ガルバノミラー駆動部122に設定する。パラメータ設定部123により設定されるパラメータにより、断層画像撮影装置120による断層画像の撮影における撮影条件が決定される。具体的には、画像処理装置110からの指示により設定される走査線数、撮影枚数により、平面方向の主走査方向及び平面方向の副走査方向の走査速度が決定される。
【0026】
眼底画像撮影装置130は、眼部の眼底画像を撮影する装置であり、当該装置としては、例えば、眼底カメラやSLO等が挙げられる。
【0027】
画像処理装置110は、断層画像撮影装置120により撮影された断層画像を処理し、表示部117において表示される断層画像を生成する。画像処理装置110は、画像取得部111と、記憶部112と、第1の動き検出部113と、第2の動き検出部114と、決定部115と、画像作成部116と、表示部117とを備える。
【0028】
画像取得部111は、断層画像撮影装置120や眼底画像撮影装置130で撮影された断層画像や眼底画像を取得し、記憶部112に格納する。第1の動き検出部113は、断層画像撮影装置120において撮影時に計測された反射光強度(信号強度)に基づいて、被検眼の深度方向の動き量を検出する。第2の動き検出部114は、眼底画像撮影装置130において撮影された眼底画像に基づいて、被検眼の平面方向の動き量を検出する。
【0029】
決定部115は、第1の動き検出部113と第2の動き検出部114とにおいて検出された被検眼の動き量に基づいて、オーバーサンプリング法または重ね合わせ法による撮影を行うためのパラメータ(走査線数、撮影枚数等)を決定する。
【0030】
画像作成部116は、決定部115により決定されたパラメータのもとで、オーバーサンプリング法または重ね合わせ法により撮影された断層画像を処理し、表示部117において表示される断層画像を生成する。表示部117は、画像作成部116において生成された断層画像を表示する。
【0031】
<画像処理装置における断層画像処理の流れ>
次に、図2及び図3を参照しながら、本実施形態の画像処理装置110における断層画像処理の流れについて説明する。
【0032】
ステップS201では、画像処理装置110からの指示に基づいて、断層画像撮影装置120及び眼底画像撮影装置130が、それぞれ被検眼の動き量を検出するために被検眼を撮影する。画像取得部111では、断層画像撮影装置120において撮影された断層画像及び眼底画像撮影装置130において撮影された眼底画像(これらを総称して、動き検出用画像ともいう)を取得する。
【0033】
図3は、画像取得部111において取得された動き検出用画像の一例を示す図である。このうち、図3(A)は、断層画像撮影装置120において撮影した断層画像の一例を、図3(B)は、眼底画像撮影装置130において撮影された眼底画像の一例をそれぞれ示している。なお、図3(B)において、参照記号Fは、眼底を示している。
【0034】
ステップS202では、第1の動き検出部113と第2の動き検出部114が、被検眼の動き量を検出する。第1の動き検出部113では、断層画像撮影装置120において断層画像を撮影する際に被検眼に照射された近赤外光の反射光強度(反射信号の強度)に基づいて、眼の深度方向(図3(A)のz軸方向)の動き量を検出する。
【0035】
また、第2の動き検出部114では、眼底画像撮影装置130より取得した眼底画像において、血管分岐部などの特徴点を追跡することで、眼の平面方向(図3(B)のx−y軸方向)の動き量を検出する。なお、特徴点の検出及び追跡は、例えば、KLT法(非特許文献1参照)等を用いて実行されるものとする(ただし、特徴点の検出及び追跡は、KLT法に限定されるものではない)。
【0036】
ステップS203では、決定部115が、第1の動き検出部113、第2の動き検出部114で検出した被検眼の動き量に応じて、断層画像撮影装置120が撮影を行う際の撮影条件を構成するパラメータを決定する。更に、決定したパラメータを断層画像撮影装置120のパラメータ設定部123に設定する。なお、決定部115におけるパラメータ決定処理の詳細については後述する。
【0037】
ステップS204では、画像処理装置110からの指示に基づいて、決定部115において決定されたパラメータを用いて断層画像撮影装置120が撮影を行うことにより得られた断層画像を、画像取得部111が取得する。
【0038】
ステップS205では、画像作成部116が、ステップS204において取得した断層画像を処理し(例えば、複数画素の加算平均処理を行うことで、各画素の画素値を算出し)、表示部117において表示される断層画像を生成する。なお、画像作成部116における当該断層画像生成処理の詳細は後述する。ステップS206では、表示部117が、画像作成部116において生成された断層画像を表示する。
【0039】
<各部における処理の詳細>
次に、画像処理装置110を構成する各部の処理の詳細について説明する。
【0040】
<決定部115におけるパラメータ決定処理の詳細>
はじめに、決定部115におけるパラメータ決定処理の詳細について説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置110では、高画質な断層画像を生成すべく、1画素あたりの加算平均処理に用いる画素数として画素数n(n>1)を用いることとする。
【0041】
決定部115では、当該画素数nによる加算平均処理を実現しつつ、かつ1枚の断層画像内に歪みが生じることがないように、各パラメータ(撮影枚数、走査線数)を決定していく。以下、詳細に説明する。
【0042】
断層画像生成時の横方向解像度をrx、同一断面における断層画像の撮影枚数をk、1枚の断層画像における走査線数をAとすると、横方向解像度rxと、撮影枚数kと走査線数Aとの関係は(1)式のようになる。
【0043】
【数1】

【0044】
一方、断層画像撮影装置120で用いられる光源の周波数をf[Hz]とすると、1枚の断層画像を撮影するのに要する時間t[s]は(2)式により求めることができる。
【0045】
【数2】

【0046】
ここで、断層画像撮影装置120で用いられる光源の波長に基づいて、断層画像の横方向分解能ORxと深度方向分解能ORzとを求めることができる。
【0047】
そして、決定部115では、1枚の断層画像内において歪みが生じることがないようにするために、1枚の断層画像を撮影する時間内に検出された被検眼の動き量の平均値あるいは中央値が、当該分解能を超えないようにパラメータを決定する。
【0048】
つまり、被検眼が、横方向分解能ORx移動するのに要する時間をtORx[s]、深度方向分解能ORz移動するのに要する時間をtORz[s]とすると、tORx及びtORzがtを超えないようにパラメータを決定する。具体的には、走査線数Aは、(2)式を用いて、(3)式により求める。
【0049】
【数3】

【0050】
更に、撮影枚数kは、(1)式と(3)式とを用いて、(4)式により求める。
【0051】
【数4】

【0052】
次に、図4を用いて、1枚の断層画像における走査線数Aと、同一断面における撮影枚数kとの関係について説明する。図4における縦軸目盛りは、断層画像撮影時の横方向解像度rxを512、加算平均処理に用いる画素数nを4とした場合の数値である。
【0053】
図4において、左の縦軸とグラフの実線が走査線数Aを表し、右の縦軸とグラフの破線が撮影枚数kを表している。また、横軸は眼の動き量を表している。図4に示すように、1枚の断層画像内に歪みが生じることがないようにパラメータが決定された場合、眼の動き量が大きくなるにつれ、走査線数Aの数は少なくなり、撮影枚数が増えることとなる。
【0054】
なお、図4では、走査線数Aを512、1024、2048の3段階としているため、グラフはステップ関数状になっているが、走査線数Aは、これに限定されるものではない。例えば、任意の走査線数に対応した右下がりの線形関数、あるいは非線形関数となるように構成してもよい。
【0055】
<画像作成部116における断層画像生成処理の詳細>
次に、画像作成部116における断層画像生成処理の詳細について説明する。図5(a)は、オーバーサンプリング法により撮影された断層画像を処理し断層画像を生成する断層画像生成処理(同一断層画像上に位置する走査線の加算平均処理)を説明するための図である。
【0056】
図5(b)は、重ね合わせ法により撮影された複数の断層画像を処理し断層画像を生成する断層画像生成処理(異なる時刻に撮影された、異なる断層画像上に位置する走査線の加算平均処理)を説明するための図である。
【0057】
図5(c)は、オーバーサンプリング法及び重ね合わせ法の組み合わせにより撮影された断層画像を処理し断層画像を生成する断層画像生成処理(同一断層画像上及び異なる断層画像上に位置する走査線の加算平均処理)を説明するための図である。図5(d)は、断層画像生成処理により生成された断層画像を示す図である。以下、各処理の詳細について説明する。
【0058】
(1)オーバーサンプリング法で撮影された断層画像に基づく断層画像生成処理
まず、図5(a)を用いて、オーバーサンプリング法で撮影した断層画像に基づく断層画像生成処理について説明する。ここでは、横方向解像度rxの2倍の解像度で撮影が行われた場合の例について説明する。
【0059】
図5(a)において、Ai2j’、Ai2j+1’は、各走査線を表している。なお、Ai2j+1’は、Ai2j’を撮影した1/f[s]後に撮影された走査線を示している。図5(d)は、各画素あたり、n個の画素を用いて加算平均処理を行うことにより生成された断層画像である。
【0060】
つまり、図5(d)において、Aijは対応する走査線について加算平均処理を行うことにより算出された新たな走査線である。図5(a)の場合、Aijは、Ai2j’、Ai2j+1’の走査線について加算平均処理を行うことにより算出される。なお、オーバーサンプリング法により撮影された断層画像についての断層画像生成処理の方法は、加算平均処理に限定されるものではなく、中央値算出処理、重み付加算平均処理などを用いてもよい。
【0061】
(2)重ね合わせ法で撮影された断層画像についての断層画像生成処理
次に、図5(b)を用いて、重ね合わせ法により撮影された断層画像に基づく断層画像生成処理について説明する。ここでは、同一断面における撮影枚数kが2の場合について説明する。
【0062】
複数の断層画像に基づいて重ね合わせ処理を行う場合には、不図示の位置合わせ部において、事前に断層画像同士(T’’とTi+1’’)の位置合わせを行っておく必要がある。断層画像間の位置合わせ処理としては、例えば、2つの断層画像の類似度を表す評価関数を事前に定義しておき、この評価関数の値が最も良くなるように断層画像を変形する。評価関数としては、例えば、画素値で評価する方法が挙げられる(例えば、相互情報量を用いて評価を行う方法が挙げられる)。また、断層画像の変形処理としては、例えば、アフィン変換を用いて並進や回転を行ったり、拡大率を変化させたりする処理が挙げられる。なお、以下、複数断層画像での重ね合わせ処理においては、断層画像間の位置合わせ処理は既に完了しているものとする。
【0063】
図5(b)において、T’’とTi+1’’とは、同一断面をそれぞれ異なる時刻に撮影された断層画像である。Aij’’、A(i+1)j’’は、断層画像T’’とTi+1’’におけるそれぞれの走査線を表している。なお、A(i+1)j’’は、Aij’’を撮影したA/f+β[s]後に撮影した走査線を示している。ここでβは、走査線の位置を断層画像の最後の位置(図5(b)のAim)から最初の位置(図5(b)のAi1)に戻すための時間である。
【0064】
図5(b)の断層画像から図5(d)の断層画像を生成する場合、図5(d)におけるAijは、Aij’’、A(i+1)j’’の走査線について加算平均処理を行うことにより算出される。
【0065】
(3)オーバーサンプリング法及び重ね合わせ法の組み合わせにより撮影された断層画像についての断層画像生成処理
次に、図5(c)を用いて、オーバーサンプリング法と重ね合わせ法との組み合わせにより撮影された断層画像に基づく断層画像生成処理について説明する。ここでは、1画素あたりの重ねあわせを行う数nを4とし、横方向解像度をrxの2倍の解像度とし、同一断面における撮影枚数kが2の場合について説明する。
【0066】
図5(c)において、Ai2j’’’、Ai2j+1’’’は、断層画像T’’’における各走査線を表し、A(i+1)2j’’’、A(i+1)2j+1’’’は、断層画像Ti+1’’’における各走査線を表している。
【0067】
図5(c)の断層画像から図5(d)の断層画像を生成する場合、図5(d)におけるAijは、Ai2j’’’、Ai2j+1’’’、A(i+1)2j’’’、A(i+1)2j+1’’’の走査線について加算平均処理を行うことにより算出される。
【0068】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、個人ごとの眼の動き量を検出した上で撮影条件を設定し、当該撮影条件のもとでオーバーサンプリング法または重ね合わせ法により撮影することで得られた断層画像を処理する構成とした。
【0069】
この結果、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成することが可能となった。
【0070】
なお、本実施形態では、1枚の高画質な2次元断層画像を生成する方法について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、同様の方法を用いて3次元断層画像を生成するように構成してもよい。更には、放射線状や円形状に走査した断層画像においても、同様の方法により高画質な断層画像を生成することが可能である。
【0071】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、動き量を検出するための撮影を行い、撮影条件を設定した上で、再度、断層画像を撮影する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、所定の撮影条件のもとで撮影を行い、取得された断層画像を処理する際に、被検眼の動き量に応じた処理を行うように構成してもよい。以下、本実施形態の詳細について説明する。
【0072】
<画像処理システムの構成>
図6は、本実施形態に係る画像処理装置610を備える画像処理システム600の構成を示す図である。図6に示すように、上記第1の実施形態において説明した画像処理システム100とは、画像処理装置610の機能構成が相違する。したがって、以下では、当該相違点を中心に説明する。
【0073】
図6に示すように、画像処理装置610は、画像取得部111と、記憶部112と、第1の動き検出部613と、第2の動き検出部614と、画像作成部616と、表示部117と、決定部615とを備える。このうち、画像取得部111と、記憶部112と、表示部117については、上記第1の実施形態と同様の機能を有するため、ここでは説明を省略する。
【0074】
第1の動き検出部613は、断層画像撮影装置120において撮影時に計測された反射光強度(信号強度)に基づいて、被検眼の深さ方向の動き量を検出する。更に、1枚の断層画像を撮影する間に、断層画像撮影装置120で用いる光源の波長から求められる深度方向分解能ORzを超える動き量を検出した場合に、当該検出時の時刻を記憶部112に記録する。
【0075】
第2の動き検出部614は、眼底画像撮影装置130において撮影された眼底画像に基づいて、被検眼の平面方向の動き量を検出する。更に、断層画像撮影装置120が1枚の断層画像を撮影している間に、眼底画像に基づいて、断層画像撮影装置120で用いる光源の波長から求められる横方向分解能ORxを超える動き量を検出した場合に、当該検出時の時刻を記憶部112に記録する。
【0076】
決定部615は、動き量の小さい断面画像を基準断面画像として選択するとともに、動き量が所定の閾値を超えている画素の有無を記憶部112の記録結果に基づいて判断する。更に、動き量が所定の閾値を超えている画素があった場合には、当該画素について、加算平均処理に用いる走査線を選択する。
【0077】
画像作成部616は、記憶部112に記録された断面画像のうち、決定部615において基準断面画像として選択された断面画像について、動き量が所定の閾値を超えている画素に対して、選択された走査線を用いて加算平均処理を行う。
【0078】
<画像処理装置における断層画像処理の流れ>
次に、図7を参照しながら、本実施形態の画像処理装置610における断層画像処理の流れについて説明する。
【0079】
ステップS701では、画像処理装置610からの指示に基づいて、断層画像撮影装置120及び眼底画像撮影装置130が、それぞれ被検眼の撮影を行う。なお、断層画像撮影装置120では、予めパラメータ設定部123に設定されているパラメータを用いて被検眼の撮影を行う(例えば、走査線数Aを2048、同一断面における撮影枚数kを4として撮影を行う)。
【0080】
ステップS702では、第1の動き検出部613と第2の動き検出部614が、被検眼の動き量を検出する。なお、動き量の検出方法は、上記第1の実施形態において説明済みであるため、ここでは説明を省略する。第1の動き検出部613、第2の動き検出部614では、更に、1枚の断層画像を撮影する間に、光源の波長から求められる横方向分解能ORx、深度方向分解能ORzを超える動き量があった場合にこれを検出し、該検出した時刻を記憶部112に記録していく。
【0081】
ステップS703では、ステップS702で検出した動き量と、ステップS701で撮影した断層画像とに基づいて、決定部615が、加算平均処理を行う画素を選択する合成画像選択処理を行う。ここで、当該合成画素選択処理(ステップS703)の詳細について、図7(b)のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
なお、合成画素選択処理(ステップS703)の説明にあたっては、選択された画素において加算平均処理に用いられる画素数nが4、横方向解像度rxが512、走査線数Aが2048、同一断面における撮影枚数kが4であるものとする。
【0083】
ステップS710では、決定部615が、複数の断層画像の中から基準となる断層画像を選択する。基準断層画像の選択は、ステップS702において、1枚の断層画像を撮影する時間内に、横方向分解能ORx、深度方向分解能ORzを超える被検眼の動き量がない断層画像を選択する。その条件を満たす断層画像がない場合には、1枚の断層画像を撮影する時間内で最大動き量が最も小さい断層画像、もしくは、動き量の平均値が最も小さい断層画像を選択する。あるいは、各断層画像をそれぞれ基準断層画像に設定し、その他の断層画像とそれぞれの断層画像との間で位置合わせを行い、その他の断層画像との位置合わせ評価値の平均値が高かった断層画像を最終的に選択する。
【0084】
ステップS720では、基準断層画像が所定の条件を満たしているかを判断する。具体的には、ステップS710において選択した基準断層画像の被検眼の動き量が、横方向分解能及び深度方向分解能を超えているか否かを判断する。ステップS720において横方向分解能及び深度方向分解能を超えていないと判断した場合には、合成画素選択処理を終了する。
【0085】
一方、基準断層画像の被検眼の動き量が横方向分解能または深度方向分解能を超えていると判断した場合には、オーバーサンプリング法と重ね合わせ法の組み合わせにより撮影された断層画像の走査線について加算平均処理を行うべく、ステップS730に進む。
【0086】
ステップS730では、決定部615が、基準断層画像の各走査線において、各走査線が撮影された時刻と、横方向分解能ORxまたは深度方向分解能ORzを超える動き量が検出された時刻とを対応付ける。そして、横方向分解能または深度方向分解能を超える動き量を検出した時刻に撮影された基準断層画像の走査線と、その走査線との間で加算平均処理を行う同一断面上の基準断層画像以外の断層画像の走査線とを選択する。
【0087】
図7(a)の説明に戻る。ステップS704では、画像作成部616が、断層画像撮影装置120で撮影した断層画像を処理する。ここでは、ステップS710において選択された基準断層画像について、ステップS730において選択された走査線を用いて加算平均処理を行い、表示部117において表示される断層画像を生成する。なお、加算平均処理は、走査線毎に、ステップS205で示す方法に基づいて行われるものとする。
【0088】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、被検眼の撮影を行いながら、被検眼の動き量を検出し、取得された断層画像に対して、当該検出した動き量に応じた処理を行う構成とした。
【0089】
この結果、眼球の固視微動や頭の動き等の影響を極力抑えた、低ノイズかつ高解像度の断層画像を生成することが可能となった。
【0090】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、被検眼の動き量を検出するための撮影において取得された断層画像及び眼底画像に基づいてパラメータを決定し、当該決定したパラメータを用いて撮影することにより取得された断層画像を処理する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、決定したパラメータを用いて撮影する間も、動き量を検出しておき、所定の閾値以上の動き量が検出された場合には、再度、パラメータを決定しなおし、自動的に撮影をやり直すように構成してもよい。
【0091】
このような構成とすることにより、撮影中にまばたきやマイクロサッカードなど大きな変化が生じた場合であっても、撮影中に検出した動き量からパラメータが再設定されるため、高画質な断層画像の生成を維持することが可能となる。
【0092】
以下、本実施形態の詳細について図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態の画像処理装置の機能構成は、上記第1の実施形態の画像処理装置の機能構成と同じである。また、本実施形態の画像処理装置における断層画像処理(図8)のうち、ステップS801からステップS804までの処理は、上記第1の実施形態の画像処理装置における断層画像処理(図2)のステップS201からステップS204までの処理と同様である。更に、ステップS805、ステップS807、ステップS808の処理は、ステップS202、ステップS205、ステップS206の処理と同様である。このため、以下では、ステップS806の処理についてのみ説明する。
【0093】
ステップS806では、決定部115が、被検眼の動き量が一定の閾値を超えた場合に、再度、撮影を行うか否かを判断する。具体的には、1枚の断層画像を撮影している途中で、被検者のまばたきやマイクロサッカードにより、眼の位置が大幅にずれるといった事態が起きた場合に、決定部115では、ステップS803に戻り、パラメータを再設定する決定を行う。被検眼の位置ずれが起きた場合は、それまでに撮影した同一断面の断層画像とも位置がずれている。このため、再度パラメータを設定しなおし、撮影を行う(ステップS804)。
【0094】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、断層画像の撮影中も動き量を検出し、検出した動き量が所定の閾値を超えた場合には、再度撮影を行う構成とした。この結果、撮影中に、例えば、まばたきやマイクロサッカードなどといった大きな変化が生じた場合であっても、自動的に再撮影が行われるため、高画質な断層画像の生成を維持することが可能となる。
【0095】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の動き量を検出する検出手段と、
前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する決定手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記被検眼の複数の2次元断層画像に対して、2次元断層画像間の類似度に基づいて位置合わせを行う位置合わせ手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記被検眼の複数の2次元断層画像それぞれの対応する画素の画素値を加算平均処理することで、1枚の2次元断層画像を作成する画像作成手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、2次元断層画像を取得する際に得られる信号を用いて前記被検眼の深さ方向の動き量を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、2次元断層画像を取得する際に得られる信号と前記被検眼の眼底画像とに基づいて、前記被検眼の平面方向の動き量を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記被検眼の深さ方向と平面方向とのうち少なくとも一方の動き量が、前記2次元断層画像を取得する際の分解能を超えないように、前記走査線数を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記検出手段は、更に、前記被検眼の複数の2次元断層画像を取得する間の、該被検眼の動き量を検出することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記被検眼の複数の2次元断層画像から、前記検出手段により検出された動き量が最も小さい2次元断層画像を基準断層画像として選択する選択手段を更に備え、
前記画像作成手段は、
前記基準断層画像に含まれる画素のうち、所定の閾値を超えた動き量が検出された際に取得された画素について、当該画素の画素値を、対応する他の2次元断層画像に含まれる画素の画素値または当該画素に重なる複数の走査線に対応する画素の画素値を用いて加算平均処理することで1枚の2次元断層画像を作成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記検出手段により、所定の閾値以上の動き量が検出された場合には、再度、前記走査線数と前記枚数とを決定しなおすことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記決定された走査線数と枚数とに応じて、前記被検眼の平面方向の走査速度を決定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記被検眼の平面方向の走査速度は、前記被検眼の平面方向の主走査方向の走査速度と、前記被検眼の平面方向の副走査方向の走査速度と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記検出手段が、光を走査手段を介して照射した前記被検眼からの反射光の強度に基づいて、前記被検眼の深さ方向の動き量を検出し、前記被検眼の眼底画像の特徴領域に基づいて、前記被検眼の平面方向の動き量を検出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記検出手段が、前記被検眼の動き量として、光源の波長に対応する深さ方向の分解能を超える動き量を検出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記検出手段により、前記被検眼の動き量として光源の波長に対応する深さ方向の分解能を超える動き量が検出された場合に、当該検出した時刻を記録する記録手段を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記被検眼の動き量と前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数との関係、及び前記被検眼の動き量と前記被検眼の2次元断層画像を取得する枚数との関係はそれぞれ、線形関数、非線形関数、またはステップ関数のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記画像作成手段は、
前記被検眼の複数の2次元断層画像それぞれの対応する画素の画素値を加算平均処理することで、または、中央値算出処理することで、または、重み付け加算平均処理することで、前記1枚の2次元断層画像を作成することを特徴とする請求項3、7乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記所定の閾値以上の動き量は、前記被検眼のマイクロサッケードに対応する動き量であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項18】
被検眼の動き量を検出する工程と、
前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項19】
被検眼の動き量を検出する検出手段と、
前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする断層画像撮影装置。
【請求項20】
前記被検眼に照射する光を走査する走査手段と、
前記決定した走査線数と枚数とに基づいて前記走査手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項19に記載の断層画像撮影装置。
【請求項21】
前記決定手段が、前記決定された走査線数に応じて、前記被検眼の平面方向の走査速度を決定し、
前記制御手段が、前記走査速度で前記走査手段を制御することを特徴とする請求項20に記載の断層画像撮影装置。
【請求項22】
被検眼の動き量を検出する検出手段と、前記動き量が大きいほど、前記被検眼の2次元断層画像を取得する際の走査線数を減らし、且つ該被検眼の2次元断層画像を取得する枚数を増やすように、該走査線数と該枚数とを決定する決定手段と
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項23】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の画像処理装置の各機能をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176291(P2012−176291A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137263(P2012−137263)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2009−278945(P2009−278945)の分割
【原出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)