説明

新生児乳幼児用仰臥器

【課題】新生児は、仰向けに寝せられたまま大部分の時間を過ごさざるを得ないが、仰向けに寝せられた状態で、また「ベビーカー」などに入れられた状態で、首から上の自由な運動を確保する。仰向けに寝せられた状態で、頭骨・頸骨・首の筋肉を保護する。また、頭の重量を後頭部の狭い部分だけでなく、後頭部の広い面に分散して負担させ、頭の形を生まれた時に予定されていた方向に向わせる。
【解決手段】手足の無い、空洞の人型を前後に半裁、後背部分だけを用い、首と胴とを分離し、自在関節のある継ぎ手で、元の位置に繋ぎ治し、これに新生児等を仰向きに入れ、胴体容器2に対して頭部容器1が自由(結果新生児などの頭が)に動ける(ただし真後ろへの動きは制限する)ようにする。また頭部容器1と中に入れた新生児の頭の間には多孔質で少々弾力のある半硬質スペーサーで埋める。以上の構造・手段で課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新生児・乳幼児の頭部及び頸部の保護、これらの正常・健全な発育を主目的としたものである。即ち、新生児・乳幼児の仰臥時が主であるが、新生児・乳幼児を抱く、移動のため抱き上げる、「抱っこひも」「ベビーカー」等に入れる、等々の育児のために遭遇するいろいろな場面で、新生児・乳幼児の自由意志による頭の動かし方を不自由なく許容し、特に新生児の場合は、頭の形を出生当初に予定され、成長・成熟を予約された方向に、抵抗なく導くため、また看護師・母親等保育する者の肉体的労力・精神的負担を大きく軽減するための育児用具である。
【背景技術】
【0002】
本発明に類似した従来の技術上の生産物、又は本発明に近縁な利用領域の物としては、「抱っこひも」「ベビーカー」「ベビーバギー」「ベビーシート(乗用車用)」等の構成部位として見られる新生児・乳幼児・幼児の後頭部及び胴背面を全体的に保護する胴体背面部容器様のもの及びこれに用いるやや薄手のクッション様のものがある。しかしこれらのものは、例えば、「抱っこひも」等の中に入れられた新生児・乳幼児の頭部の動きはいささか不自由と見られる。また頭の形の成長・成熟の方向性への配慮は、希薄であろう。これらの物には、新生児・乳幼児の夜間の睡眠中の使用への考えは見られず、使用目的も異なる。その外本発明に類似するものは、巷間全く見当らない。因みに、2010年7月東京ビックサイトで第2回ベビー&キッズEXPOが開催され、国内企業・ヨーロッパ各国・アメリカ・オーストラリア・カナダ・台湾・韓国・香港・China等の企業からベビー用品が出品されたが、本発明に類似するものは見られなかった。
【0003】
前記[0002]に記述の「抱っこひも」「ベビーカー」「ベビーバギー」「ベビーシート(乗用車用)」等の構成部位のやや薄手のクッション様のものの、硬質の胴体背面部容器とでも言うべきものの外、本発明に同等のもの、類似のものは、見当たらないので、本発明の発想背景及びこの発明に関連した世情を述べる。
【0004】
新生児の出生初期は、胴体と頭を繋ぐ頚椎及び頚椎を支える筋肉が脆弱で、ために首が据っていない、また頭蓋骨頭頂には未縫合の部分も残されている。この首が据るまで、そして頭蓋骨がもう少々成長するまで、就寝時に限らず、覚醒時の仰臥状態も含め、授乳、オシメの取り替え、何らかの必要性から抱く、移動する等々、当該新生児等を静置する、動かす等の大部分の場面で、親等保育者は細心の注意を必要とする。
【0005】
また首の据りと関係なく、新生児・乳幼児を仰向けに寝せておくと後頭部が偏平になるという俗説がある。因みに、巷間テレビなどで、高齢・高名な医師(小児科医ではないようである)が、仰向けに寝せておくと後頭部が偏平になるとして、俯せ寝を推奨したりする場面に出会ったことがある。これら俯せ寝とは因果関係を承知していないし、他の要因も重なるのであろうが、たまたま俯せ寝をしていた乳幼児が食べたものの吐き戻しによって窒息死したとの報道がされたことがある。その他、確かに、昭和初期頃は、巷で、後頭部が偏平な子供がよく見られた。
【0006】
次いで、人の新生児と、生物進化上、人と最も近縁の霊長類・真猿亜目に属するチンパンジー・オランウータンの新生児との、またそれぞれの成熟時の体重と脳の重さの比較である。人の誕生時の体重は、真猿類のチンパンジー・オランウータンの2倍程度、脳の重さは、約2.9倍であるが、成熟時はその体重が同程度であるのに対して、脳の重さは、3.6倍である。人間はその文化を進展させ支える為、大きく緻密で重い脳を持つようになり、その為、将来への備えとして大きく重い脳を持って生れざるを得なくなった。真猿類は、その生活環境から完熟で生まれるのに対し、人は、体・脳・脳活動夫々が極めてアンバランスな熟度で生れるし、これらのものの物理的強度も極めて脆弱である。もし、人が真猿類と同程度の熟度で生まれるとすると、もう10ケ月程母体内に止まる必要があると言われているが、これには母体も産道も耐えられるものではない。何はともあれ、新生児の脳活動は極めて未熟であるが、誕生後急速にそして最終的には真猿類が全く及ばない文明程度に成長・発展する。人の誕生時の肉体の物理的強度上で脆弱さの典型的な例は、前述した頭蓋骨に未縫合の部分が存在するし、首も据わっていないことである。これらを含め新生児・乳幼児等は、親を含む保育者の徹底的な保護を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新生児は、母体内で、無重力の宇宙遊泳のような浮遊状態で出生を待っていたものと推測される。従ってこのような状態では、頭も、胴体も、局所的・部分的な圧力や重力を受けることはないと考える。出生直後は、地球上のあらゆる国の大部分の場所で、仰向けに寝かし付けられるものと推定するが、新生児が仰向けに置かれると、頭の部分では後頭部が、胴体では背から臀部にかけて夫々にその重さをを受けることになる。胴体の場合は、椎骨、肋骨、腰骨と臀部の厚い筋肉がその重さを受けるが、これらの部分はその重さを受けることに関して殆ど問題は無いと推定される。これに反して、頭の場合は、主として後頭部が頭全体の重さを受けることになるが、この場合、頭蓋骨の頂上に未縫合の部分が存在するし、首も据わっていないなどと、頭の部分は脆弱で、少ない面積で自らの重さを支えることになるのは不安である。
【0008】
また出産が近付くと母体内の胎児がお腹を蹴ったというような話を聞くが、胎児は母体内でそれなりの運動をしているのであろう。これまで殆どがそうであると思われるが、少々でも堆い枕の上に、仰向けに寝かし付けられた新生児等の頭は、前に傾けることは殆どなく、左右に曲げ傾けるのは、枕の表面と新生児等の頭の皮膚との摩擦抵抗に、頭の重量が加わり、これらが抵抗要因となることもあって、左右に曲げる、左右に回すなどの運動は、必ずしも自由自在ではない。頭を左右に小廻転させることは、例えば、成人が地面に直角に立って、頭を左右に小廻転させると、頸骨を廻転の軸として回るが、仰臥して左右に小廻転させると、枕の上で廻転させた方向に転がってこの小廻転を達成する。この場合、頸骨は廻転することと曲りとの合成の捩じれが生じる。この捩じれは、成人の場合には、頭の方向に真っ直ぐに頸骨の中心線を延ばした位置に、頭全体か上半身かをずらして無意識のうちに修正する。しかしこの捩じれは新生児等にとっては少々窮屈であろう。
【0009】
以上を踏まえ、仰臥中の新生児・乳幼児の頭の外郭を物理的に守る。新生児・乳幼児の自由意思による、頭を前・左右へ曲げる、頭を左右に小廻転させることが容易に出来る。睡眠中・覚醒時ともに仰臥中であれば、その頭の重量を、後頭部の後ろの曲面の突出部だけでなく、後頭部の斜面を含む後頭部の全域に渉って分散負担させる。また新生児・乳幼児を本発明の新生児乳幼児用仰臥器に入れ、その上で「抱っこひも」等に入れた場合等は、その頭は、安全で自由になる等、本発明では新生児乳幼児用仰臥器に入れられた新生児・乳幼児を、将来に向って総てプラスに成長するよう志向したものであり、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
乳幼児程度の大きさの頭・胴の模式的な人型(胴体部は寸胴で、頭部とともに中身は空洞とし、腕は肩の付け根から外し、当該付け根は腕部より少々太めの穴とする。胴体の下部は鼠蹊部で輪切りとする)を、前面部分と後背部分とに頭部頂上から胴体下部へと、ほぼ二等分したものの後背部分のもので、頭部半球状の部分(頭部容器と呼称)は、一度、首の部位で胴体部分(胴体部容器と呼称)から切り離す。頸部を構成する半円筒形の部分は大方削除する。これらの頭部容器と胴体部容器を、切り離し以前の元の位置関係になるように、特殊継手で再び接続したものである。これを新生児乳幼児用仰臥器と呼称する。
【0011】
[0010]記載の特殊継手は、料理用の汁用杓子に似たもので、汁を掬う椀状部に似た部分を椀型小皿部と呼称し、この椀型小皿部の上側の凹型湾曲部を頭部容器を乗せる部分とする。ここで椀型小皿部の縦の長さは、頭部容器の縦の長さと同じ程度、横幅の最大部分は、頭部容器の縦方向中央部位での横方向で半円周状の縁から縁までの距離の1/3程度とする。また椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の曲面は、縦方向は頭部容器の底部分に準えたものとし、横方向は正円円弧状とする。料理用の汁用杓子の持ち手の柄に似た棒状部分は10cm程度の長さとし、この特殊継手を胴体部容器へ固定する部位とする。この杓子の持ち手の柄に似た棒状部分の椀型小皿部に近い場所に、自在関節を装備する。
【0012】
[0010]記載の特殊継手の胴体部容器への装着は、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に頭部容器をすぽっと乗せた場合、頭部容器がもともと切り離し以前に胴体部容器に接続していた位置になるように、料理用の汁用杓子の持ち手の柄に似た棒状部分を、新生児乳幼児仰臥器を生体と仮定した場合の胸椎と頚椎が接続している位置の胸椎部分の上端に、当該棒状部分の椀型小皿部と反対の部分を、その長さなりに胸椎部分の下方(臀部方向)に及んで固定する。
【0013】
更に[0011]で記載の特殊継手の自在関節は、特殊継手の椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に乗せられた頭部容器が、特殊継手の椀型小皿部とともに前・左右に夫々45°程度傾けることが出来るようにする。
【0014】
また特殊継手の自在関節の機能とは無関係に、頭部容器が、特殊継手の椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で椀型小皿部と互いに離脱することなく椀型小皿部から独立して左右に60°程度小廻転出来るようにしたものでもある。
【0015】
これらに加えて、半球状の頭部容器と中に入る新生児・乳幼児の頭の後半部分との全間隙を、耳の部分は除外して、多孔質で少々弾力のある半硬質のスペーサーで埋める。
【0016】
模式化し単純化して、頭部容器と、椀型小皿部との大まかな形状を、両方の相互関係の面を含めて記述すると、頭部容器を、果物の完熟西瓜で、花のあった部分から蔓につながっていた下の部分に真っ二つに輪切りにし、中の赤い可食部分を切除した半球状の西瓜の皮に例えるとして、椀型小皿部の形状は、頭部容器の西瓜より少々曲率半径の大きな西瓜を、頭部容器に準えた西瓜と同じ起点から終点にかけ六つ切り、即ち60°づつの角度の六片に切り、中の赤い可食部分を切除した形状のものの一片である。60°程に角のついている上下の端部分は少々切り落とす。これらから特殊継手の大まかな外観は、上下端を切落とした三日月型の椀状のものと、平たい棒状のものとを繋いだ形のものである。
【0017】
頭部容器が、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で、当該凹型湾曲部の上から離脱することなく独立して左右に小廻転(それぞれ60°程度)が出来る構造のうち、まず廻転構造は、椀型小皿部の長い方向の中で、対応する新生児等の頭の頂上部分から首方向に向って1/3及び2/3程に相当する位置に、それぞれ新生児乳幼児用仰臥器に入る新生児・乳幼児の正中線(以下基準正中線と呼称)に対して直角に一列づつ計二列、基準正中線に対して直角方向に廻転する一列につき4〜5個程度の小車輪をほぼ等間隔に椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上の横幅一杯に直列に正円円弧状に取り付ける。この小車輪の上に頭部容器を乗せるが、この正円円弧状に夫々一列に連なる小車輪の頭部容器の受け部は、正円円弧状で、当該小車輪と接触する面は、基準正中線に対して平行面のベルト帯とする。これらの椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で横に夫々一列に連なる総ての小車輪の廻転外側面と頭部容器の受け部の円弧状ベルト帯との接触面は同一曲率半径の正円円弧状とする。これによって、頭部容器が、中に入っている新生児・乳幼児の頭と共に椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で左右に小廻転できる。
【0018】
頭部容器が、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で、当該頭部容器の中に入る新生児等の頭と共に左右へ60°程廻転し、椀型小皿部と頭部容器が互いに離れることなく、その廻転の端で止まる構造は、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した小車輪の作動を妨げない近辺の位置に夫々一列づつ、逆L字状の細長いバー状の突起を、基準正中線に直角で、当該逆L字状の細長いバー状の突起の逆L字の平らな上辺を、基準正中線に平行に、更にこの二本の逆L字状の細長いバー状の突起の直角狭窄部分を、互いに向き合うように、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の横幅一杯に凹型湾曲に添って設置する。一方頭部容器には、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した逆L字状の細長いバー状の突起に対応する位置に、順L字状の細長いバー状の突起を基準正中線に直角で順L字状の細長いバー状の突起の底辺を基準正中線に平行に、当該二本の順L字状の細長いバー状の突起の直角狭窄部分が背反するように、頭部容器の外周に縁から縁まで装置する。加えて、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した逆L字状の細長いバー状の突起の直角狭窄部分と頭部容器に設置した順L字状の細長いバー状の突起の直角狭窄部分が噛合う構成とする。更にまた椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した逆L字状の細長いバー状の突起、頭部容器の外周を縁から縁まで装置した順L字状の細長いバー状の突起、これらは総て正円円弧とする。尚且つ頭部容器の外周を縁から縁まで装置した順L字状の細長いバー状の突起は、頭部容器の縁で直角狭窄部分を二本とも同一廻転角度で止まるよう埋めて廻転の停止部とする。
【0019】
加えて、頭部容器の外周を縁から縁まで装置した小車輪の廻転受けの円弧状ベルト帯、同じく頭部容器の外周を縁から縁まで装置した円弧状の順L字状の細長いバー状の突起、同じく椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した小車輪の円弧状の配列、又同じく椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上に設置した円弧状の逆L字状の細長いバー状の突起、これらはいずれも基準正中線に直角の正円円弧状に造るが、加えてこれらの円弧を正円に補完した円の中心は、基準正中線に平行で、頸椎の直線延長線に限りなく近付けた同一直線上に構成した同心円とする。
【0020】
なお、この新生児・乳幼児を入れる新生児乳幼児用仰臥器の胴体部容器の大きさ並びに形状は、これに新生児・乳幼児を入れた場合、この新生児・乳幼児の着衣の外側部分に、当該胴体部容器の内側が全体的に緩やかに接触する程度とする。また新生児・乳幼児の頭を入れる頭部容器の大きさは、一般的な新生児・乳幼児の頭より若干大きくし、新生児・乳幼児の頭と、当該頭部容器との間に、全体的に1cm程度の隙間を設け、頭蓋骨後半分の立体カーブなりこの隙間を、新生児・乳幼児の頭を半球状に包む多孔質で少々弾力のある半硬質のスペーサーで満たして、広い面で新生児・乳幼児の頭の重さを支える。ただし、耳の部位はスペーサーの充填を除外する。頭部容器・胴体部容器ともども硬質プラスチックで成型するが、その構造体は空気・湿気の流通を良くするため、連続多孔状とする。
【0021】
以上の構造から、本発明の新生児乳幼児用仰臥器に、新生児・乳幼児を仰向けに入れた場合、中の新生児・乳幼児は、その意志のままに、その頭を、新生児乳幼児用仰臥器の頭部容器と一緒に、自由に、前と左右に傾ける、横向きに近い程度まで左右に廻転させることが出来る。
【0022】
また頭の後ろ半分は、中に入れられた新生児・乳幼児の頭蓋骨後部の立体カーブなりに多孔質で少々弾力のある半硬質のスペーサーで包みこまれるので、下への重力即ち頭の重さを頭蓋骨後部の立体カーブなりに広範囲に分散させることが出来る。
【発明の効果】
【0023】
新生児・乳幼児を本発明の新生児乳幼児用仰臥器に入れて保育した場合、新生児・乳幼児の胴体と頭の位置関係、彼等の自由意思による頭の動かし方等が、好ましい状態に保たれ、未縫合の部分のある頭蓋骨並びに脆弱な頚骨及び頚骨を支える筋肉が保護され、結果、真っ当に首が据わるようになり、その上、新生児・乳幼児の仰臥時の頭全体の重量が頭部の後半部全域に分散・負担され、頭蓋骨が持って生まれた時に予定された形に成育するよう助けるものである。即ち首の据らない新生児は当然、首が据った後の乳幼児ともども後頭部が偏平になるとか、俯せ寝で食べたものを吐いて窒息するなどの憂いに無縁に、安全に、健康に養育することが出来、保育者の負担も大きく軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の新生児乳幼児用仰臥器を大まかに捉えると、胴体部容器と頭部容器とこれらを繋ぐ特殊継手からなっている。先ず胴体部容器と頭部容器であるが、これらの最良の形態は、ほぼ図1、図2に示すとおりの形である。ただし本発明品を用いる対象が、生身の新生児・乳幼児であることから、これらの胴体・頭に、大小・長短・深浅等変化が多数あって胴体部容器と頭部容器が一種類で、これに入れる生身の新生児・乳幼児の胴体・頭に完全に適合させることは不可能である。しかし、細部までの完全な適合は、その必要がない。胴体部容器に入れる新生児等は着衣のままであること、胴体を入れるという事から胴体部容器の形は使用条件上許容範囲が大きい。従って大小・長短・深浅と多種多様で膨大な数のものを取り揃えるには及ばない。また頭部容器の場合もその中に入れる新生児・乳幼児の頭との隙間を多孔質で少々弾力のある半硬質のスペーサーで満たすことから、また場合によっては、これらのスペーサーの厚みを変えるとかの対処で、頭部容器でも大小・長短・深浅と多種多様で膨大な数のものを取り揃えるには及ばない。ただし頭部容器の形及び大きさの変化は、胴体部容器の場合より多くなる。また胴体部容器と頭部容器とを特殊継手によって組み合わせを変えることでもこれらの変化に対応できる。胴体部容器・頭部容器ともに、多数の生身の新生児・乳幼児の胴体・頭の形を計測・写し取り、細かい凸凹などには拘らずにそこそこの数の種類の原形を造り、これを元として最終製品を製造することが出来る。
【0025】
特殊継手の場合は、第2図に示すものは特殊継手の基本的な作用を充足させるための構造を示したものである。特殊継手のこれまでの記述以外のコメントは、この特殊継手の取っ手部を板状とし、新生児乳幼児用仰臥器の中の新生児・乳幼児が、その頭を後ろに踏ん張って曲げようとした場合に対処するよう曲げに対して少々弾力性のある材質のものとする。関節部は、図では、前に曲げる部分と、左右に曲げる部分と、別々の構造のものとしているが一か所に纏めたものもあり得る。
【0026】
頭部容器は必然的に枕の機能をも持つことから、特殊継手の椀状小皿部分の上側の凹型湾曲部に乗せた頭部容器の中に入れる新生児・乳幼児の頭が仰臥時に最適の高さになるよう考慮する。これも極めて実現容易である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、頭部容器・胴体部容器・椀状小皿部分・特殊継手・L字状突起・椀状小皿部分に設置した小車輪本体及びこれらの受けの頭部容器に構築したベルト帯等総てプラスチックの成型で賄える。プラスチックの材料も事務用品・家庭用品等々に普通に使われているものの中から適当なものが選べる。特殊な材料とか高価な材料は全く必要がない。またこれらのものの成型も全く簡単である。ただし頭部容器の成型品の数は、人の頭は大きさとか形などがいろいろ変化に富むことから多くなる。胴体部容器の方はそれほど多様性は求められないであろう。しかしこれらの数が多くなることは産業上では普通の事で、何等問題はないと考える。また頭部容器・胴体部容器は、硬質プラスチックで造られるが、構造体は連続細孔を持つものとする。これは空気の流通を良くし、湿気を籠らせないようにするためであるが、これらも製造容易である。その他に小車輪の外縁接触部の硬質ゴム、小車輪の軸受けの金属棒、特殊継手に設置する自在関節の芯の金属棒、特殊継手を胴体部容器に固定する金属ネジ、多孔質で少々弾力のある半硬質のスペーサーなどがあるが、これらは総て産業上の普通の物品で、入手は日常茶飯事の事柄である。また本発明に同様発想のものが、これまで全く見当たらない事から、産業上の利用可能性は大きいと考える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】頭部容器・胴体部容器、及びその配列を示す斜視図。外郭線で表す。
【図2】頭部容器・胴体部容器・特殊継手の側面図
【図3】特殊継手に設置した頭部容器を受ける小車輪、当該小車輪を受ける頭部容器のベルト帯、頭部容器・胴体部容器の離脱防止の順・逆L字状の細長いバー状突起の機構部分の噛合わせ状態の総合部分断面図。図面のものは頭頂に近いものを表す。頸部に近いものの機構は対称に表れる。
【符号の説明】
【0029】
1 頭部容器
2 胴体部容器
3 特殊継手の椀状小皿部分
4 特殊継手の棒状取っ手部分
5 特殊継手の自在関節の前傾用関節部分
6 特殊継手の自在関節の左右曲げ用関節部分
7 小車輪受けのベルト帯
8 順L字状の細長いバー乗突起
9 小車輪受けのベルト帯、順L字状の細長いバー突起を頭部容器に設置した部分の頭部容器に対して縦方向の断面図。
10 小車輪、逆L字状の細長いバー突起を椀状小皿部分に設置した部分の頭部容器に対して縦方向の断面図。
11 小車輪の断面図。
12 順L字状の細長いバー突起の断面図。
13 逆L字状の細長いバー突起の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児程度の大きさの頭・胴の模式的な人型(胴体部は寸胴で、頭部とともに中身は空洞とし、腕は肩の付け根から外し、当該付け根は腕部より少々太めの穴とする。胴体の下部は鼠蹊部で輪切りとする)を、前面部分と後背部分とに頭部頂上から胴体下部へと、ほぼ二等分したものの後背部分のもので、頭部半球状の部分(頭部容器と呼称)は、一度首の部位で胴体部分(胴体部容器と呼称)から切り離す。頸部を構成する半円筒形の部分は大方削除する。これらの頭部容器と胴体部容器を、切り離し以前の元の位置関係になるように、特殊継手で再び接続することを特徴とする新生児乳幼児用仰臥器。
【請求項2】
特殊継手は、料理用の汁用杓子に似た物で、汁を掬う椀状部に準えた部分を椀型小皿部と呼称し、当該椀型小皿部の上側の凹型湾曲部を、頭部容器を乗せる部位とする。ここで椀型小皿部の縦の長さは、頭部容器の縦の長さと同じ程度、横幅の最大部分は、頭部容器の縦方向中央部での横方向部位で半円状外周の1/3程度とする。また椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の曲面は、縦方向は頭部容器底部の曲面に準えたものとし、横方向は、正円円弧状とする。料理用の汁用杓子の持ち手の柄に似た棒状部分は、この特殊継手を胴体部容器へ固定する部位とし、この杓子の持ち手の柄に似た棒状部分の椀型小皿部に近い場所に、自在関節を装備する。以上を特徴とする新生児乳幼児用仰臥器。
【請求項3】
頭部容器は、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で、当該椀型小皿部と共に、特殊継手の自在関節部で、胴体部容器に対し、前に傾かすことと左右に動かすことが出来、更に、頭部容器は、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の上で、椀型小皿部とともに特殊継手の自在関節部で前と左右に動く機能とは無関係に、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部から離脱することなく、椀型小皿部から独立して、左右に小廻転が出来ることを特徴とする新生児乳幼児用仰臥器。
【請求項4】
頭部容器が、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部から離脱することなく、独立して左右に、小廻転が出来る機構は、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部の長い方向で、全体の1/3及び2/3程に相当する位置に、椀型小皿部の長さ方向(頭部容器及びこれに連なる胴体部容器(新生児乳幼児用仰臥器)に入る新生児等の正中線(以下基準正中線と呼称))に直角な円を想定して、この円に添って頭頂方向に一列、首方向に一列づつ計二列、一列につき4〜5個程度の小車輪を、ほぼ等間隔に椀型小皿部の凹型湾曲部の横幅一杯に円弧状に設置する。またこれらの小車輪の夫々の配列に平行にその近辺に、逆L字状の細長いバー状突起を合計二列、椀型小皿部の凹型湾曲部の横幅一杯に円弧状に設置する。加えて、逆L字状の細長いバー状突起の逆L字の平らな上辺を基準正中線に平行に、更にこの二列の逆L字状の細長いバー状突起の直角狭窄部分をお互い向き合うように、設定する。一方、頭部容器には、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した二列の小車輪の配列に対応する当該小車輪の廻転を受けるベルト帯を、頭部容器の半円状外周一杯に横に端から端まで基準正中線に対して直角な円を想定し、この円に添うた方向に、また小車輪の廻転を受けるベルト帯の面を基準正中線に対して平行になるように二列設置する。また頭部容器の外周一杯に、椀型小皿部の凹型湾曲部に設置した逆L字状の細長い二列のバー状突起に対応させる順L字状の二列のバー状突起を同じく基準正中線に対して直角な円を想定し、この円に添った方向に、加えて,二列の順L字状のバー状突起の直角狭窄部分がお互い背反するように、基準正中線に対して直角方向に頭部容器の外周を基準正中線に直角に端から端まで半円状に設置する。また更に、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した二列の逆L字状のバー状突起の直角狭窄部分と頭部容器に設置した二列の順L字状のバー状突起の直角狭窄部分とが噛合うように設定する。ここで椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した二列の小車輪の配列、この小車輪の廻転を受ける頭部容器の二列のベルト帯、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した逆L字状の二列のバー状突起、頭部容器に設置した順L字状の二列のバー状突起は総て正円・同心円・円弧とし、加えて当該同心円の中心は、基準正中線に平行に、頸骨から頭頂に向けて延長した直線に可能な限り近か付けたものとする。椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した逆L字状のバー状突起の直角狭窄部分と頭部容器に設置した順L字状のバー状突起の直角狭窄部分との二列の噛合部分は夫々同一曲率半径とし、椀型小皿部の上側の凹型湾曲部に設置した二列の小車輪の外周接触部と、当該小車輪の廻転を受ける頭部容器の二列のベルト帯の接触部分も夫々同一曲率半径のものとする。これらに加えて、頭部容器に設置した二列の順L字状のバー状突起の直角狭窄部分は、頭部容器の縁でその三角溝を埋めて椀型小皿部の上側の凹型湾曲部での頭部容器の廻転の停止部分とする。以上の特徴を持つ新生児乳幼児用仰臥器。
【請求項5】
頭部容器は、その中に新生児・乳幼児の頭を入れるが、当該頭部容器と中に入る新生児・乳幼児の頭部の後ろ部分との全面間隙を、耳の部分は除外して、多孔質で少々弾力のある半硬質スペーサーで埋めることを特徴とする新生児乳幼児用仰臥器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120814(P2012−120814A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286611(P2010−286611)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(392036566)
【Fターム(参考)】