説明

新規なオキソニウムイオン

【課題】求核種を反応させることによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る有用性のある新規なオキソニウムイオンを提供することである。
【解決手段】酸性条件下、3-ブテン-1-オール及びホルムアルデヒド誘導体(例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン)を反応させることによって得られるオキソニウムイオンであって、求核種と反応することによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る。例えば、塩素イオンを反応させることによって、4−クロロテトラヒドロピランを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキソニウムイオンに関する。新規なオキソニウムイオンは、求核種を反応させることによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来、本発明の新規なオキソニウムイオンは、全く知られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、新規なオキソニウムイオンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、酸性条件下、3-ブテン-1-オール及びホルムアルデヒド誘導体を反応させることによって得られるオキソニウムイオンであって、求核種と反応することによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る新規なオキソニウムイオンによって解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、有用性のある新規なオキソニウムイオンを提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において使用するホルムアルデヒド誘導体としては、ホルムアルデヒドの水溶液又はホルムアルデヒドの重合体が挙げられるが、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサンが好適に使用される。なお、これらのホルムアルデヒド誘導体は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0007】
前記ホルムアルデヒドの使用量は、3-ブテン-1-オール1モルに対して、ホルムアルデヒド換算で、好ましくは1.0〜5.0モル、更に好ましくは1.1〜2.0モルである。
【0008】
本発明の新規なオキソニウムイオンは、例えば、酸性条件下、3-ブテン-1-オール及びホルムアルデヒド誘導体を混合して、攪拌させる等の方法によって得られる。その際の反応温度は、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは20〜60℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0009】
本発明の新規なオキソニウムイオンは、求核種を反応させることによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来るが、例えば、塩素イオンを反応させることによって、4-クロロテトラヒドロピランを生成させることが出来る。
【0010】
なお、本発明の新規なオキソニウムイオンは、化学反応式(1)の反応機構によって生成すると推定される(オキソニウムイオンは、数種の構造異性体を有する)。
【0011】
【化1】

【実施例】
【0012】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積10mlのガラス製フラスコに、酢酸5ml、92質量%パラホルムアルデヒド0.50g(15.3mmol)、3-ブテン-1-オール1.00g(13.9mmol)及び塩化リチウム1.17g(27.8mmol)加えた後、75〜80℃で12時間反応させた(即ち、パラホルムアルデヒドと3-ブテン-1-オールとを反応させてオキソニウムイオンを生成させながら、これに求核種(塩素イオン及び酢酸イオン)を連続的に反応させた)。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、4-クロロテトラヒドロピラン(塩素イオン(求核種)が4位に導入された化合物)が収率50%、4-アセチルオキシテトラヒドロピラン(酢酸イオン(求核種)が4位に導入された化合物)が収率21%で生成していた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、新規なオキソニウムイオンに関する。新規なオキソニウムイオンは、求核種を反応させることによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性条件下、3-ブテン-1-オール及びホルムアルデヒド誘導体を反応させることによって得られるオキソニウムイオンであって、求核種を反応させることによって、4位に求核種が導入されたテトラヒドロピランを生成させることが出来る新規なオキソニウムイオン。

【公開番号】特開2007−22983(P2007−22983A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209908(P2005−209908)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】