説明

新規な菓子およびその製法

【課題】 噛んだり、噛み砕いたりできるタイプの優れた食感を有する菓子であって、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、キシリトールなどの結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によりさわやかな冷涼感が口中に広がる新規な菓子およびその製法の提供。
【解決手段】 (A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体と(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として用いて前記キシリトールなどの結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物を備えた新規な菓子により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な菓子およびその製法に関するものであり、さらに詳しくは、キシリトールなどの結晶粉粒体を含む口中での特有の溶解性とさわやかな冷涼感を合わせ持つ新規な菓子およびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キシリトールは虫歯予防や冷涼感の付与などのために広く食品に用いられる糖アルコールであり、キシリトールを主成分とした糖アルコールを一旦溶融させ、そして冷却固化して再結晶化したキシリトールを配合したキャンディ(例えば、特許文献1参照)や、再結晶化したキシリトールの層の両側に公知のキャンディ層を重ね合わせた複合キャンディ(特許文献2参照)などが提案され、市販されている。
これらの従来のキャンディは、再結晶化したキシリトールを口中で舐めるとキシリトールの吸熱作用によりさわやかな清涼感を有することを利用するものである。
【特許文献1】特開平9−47222号公報
【特許文献2】特許第3460187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の前述したキャンディは、キシリトールを主成分とした糖アルコールを一旦溶融させ、そして冷却固化して再結晶化するに際して、非常に狭い範囲の温度コントロールが必要であり、そのコントロールは困難を極めるものである。
さらに、再結晶化したキシリトールは歯で高い硬度を有しているので、噛んだり、噛み砕いたりすることは非常に困難であり、口中で舐めて、徐々に溶かしながら食することしかできず、食感および冷涼感ともに優れているとはいえないものであった。
【0004】
本発明の第1の目的は、噛んだり、噛み砕いたりできるタイプの優れた食感を有する菓子であって、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、キシリトールなどの結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によりさわやかな冷涼感が口中に広がる新規な菓子を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような新規な菓子を容易に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の請求項1の発明は、(A)主成分のキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選ばれる少なくとも1種の結晶粉粒体と(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として用いて、前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物を備えたことを特徴とする新規な菓子である。
【0006】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の新規な菓子において、前記(B)食用バインダ成分が、カルボキシメチルセルロースの塩、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、キシロース、グアーガム、コンニャクマンナン、ジェランガム、ゼラチン、ソルビトール、タマリンド種子ガム、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ローカストビーンガム、寒天、還元水飴、還元麦芽糖水飴、水飴から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の新規な菓子において、食用油脂および食用乳化剤を必要に応じて所定量配合したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の新規な菓子において、前記結晶粉粒体結着物を公知のキャンディ組成物により被覆した構成とするか、あるいは前記結晶粉粒体結着物層と公知のキャンディ組成物層を積層した構成としたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5の発明は、下記の工程(1)〜(3)により製造することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の新規な菓子の製法である。(1)(A)主成分のキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選ばれる少なくとも1種の結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合し溶融することなく混合し、前記結晶粉粒体同士を(B)食用バインダ成分により結着して結晶粉粒体結着物を形成する。
(2)必要に応じて前記結晶粉粒体結着物を公知のキャンディ組成物により被覆する。
(3)あるいは公知のキャンディ組成物により被覆する代わりに、前記結晶粉粒体結着物層と公知のキャンディ組成物層を積層する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の新規な菓子は、(A)主成分のキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選ばれる少なくとも1種の結晶粉粒体と(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として用いて、前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物を備えたことを特徴とするものであり、
噛んだり、噛み砕いたりできるタイプの優れた食感を有する菓子であって、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、キシリトールなどの結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によりさわやかな冷涼感が口中に広がるという、顕著な効果を奏する。
【0011】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の新規な菓子において、前記(B)食用バインダ成分が、カルボキシメチルセルロースの塩、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、キシロース、グアーガム、コンニャクマンナン、ジェランガム、ゼラチン、ソルビトール、タマリンド種子ガム、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ローカストビーンガム、寒天、還元水飴、還元麦芽糖水飴、水飴から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とするものであり、入手が容易であり、食感や冷涼感を損なうことなく、前記キシリトールなどの結晶粉粒体同士を容易に結着できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0012】
本発明の請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の新規な菓子において、食用油脂および食用乳化剤を必要に応じて所定量配合したことを特徴とするものであり、混合機の羽根などの機械への付着防止、保型性の向上、表面平滑性の向上、食感の向上、分散性の向上、菓子のベタツキの防止ができるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0013】
本発明の請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の新規な菓子において、前記結晶粉粒体結着物を公知のキャンディ組成物により被覆した構成とするか、あるいは前記結晶粉粒体結着物層と公知のキャンディ組成物層を積層した構成としたことを特徴とするものであり、
噛んだり、噛み砕いたりでき、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、キシリトールなどの結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によるさわやかな冷涼感が口中に広がる前記結晶粉粒体結着物あるいは前記結晶粉粒体結着物層の美味しさなどを味わうことができるとともに、公知のキャンディ組成物層の美味しさも同時にあるいは舐め初めと終わりでは食感が異なるなどの美味しさを味わうことができるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項5の発明は前記の工程(1)〜(3)により製造することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の新規な菓子の製法であり、前記のような美味しい新規な菓子を容易に製造することができるという、顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明を図を用いて実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の新規な菓子の一実施形態を示す説明図である。
図2は本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
図3は本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
図4は本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
【0016】
図1に示す本発明の新規な菓子(a)を製造するには、先ず、工程(1)において(A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合して(A)成分を溶融させることなくブレンドし成形して前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物1を作る。結晶粉粒体結着物1を図1に示す本発明の製品(a)とすることができる。
【0017】
図2に示す本発明の新規な菓子(b)を製造するには、先ず、工程(1)において、(A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合して、(A)成分を溶融させることなくブレンドし成形して前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物1を作る。これを本発明の製品(a)とすることもできる。
そして工程(2)において、前記キシリトールなどの結晶粉粒体結着物1を公知のキャンディ組成物2により被覆することにより図2に示す本発明の他の製品(b)を得ることができる。
【0018】
図3に示す本発明の新規な菓子(c)を製造するには、先ず、工程(1)において(A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合して(A)成分を溶融させることなくブレンドし成形して前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物1を作る。これを本発明の製品(a)とすることもできる。
工程(3)において、前記キシリトールなどの結晶粉粒体結着物1を用いて層状物1aを形成し、一方、公知のキャンディ組成物2を用いて層状物2aを形成し、そして両者を積層して、図3に示す2層構成の本発明の他の製品(c)を得ることができる。
【0019】
図4に示す本発明の新規な菓子(d)を製造するには、先ず、工程(1)において(A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合して(A)成分を溶融させることなくブレンドし成形して前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物1を作る。これを本発明の製品(a)とすることもできる。
工程(4)において、前記キシリトールなどの結晶粉粒体結着物1を用いて層状物1aを形成し、一方、公知のキャンディ組成物2を用いて層状物2aを形成し、そして層状物1aを層状物2aでサンドイッチ積層して、図4に示す3層構成の本発明の他の製品(d)を得ることができる。
【0020】
本発明において用いる(A)成分のキシリトールなどの結晶粉粒体は、例えば粒度が主として100〜200メッシュの粒度の結晶粉粒体を主として含むものを使用でき、市販品をそのまま使用することができる。
【0021】
(A)成分の粒度が100メッシュ未満では荒く、ザラザラして口当たりが悪く、口中での溶けが遅くなる恐れがあり、200メッシュを超えると市販品が少なくコストアップとなる恐れがある。
【0022】
また、(A)成分の菓子全体に対する配合量は40〜90質量%が好ましい。さらに好ましくは60〜80質量%である。
【0023】
(A)成分の配合量が40質量%未満では清涼感に劣る恐れがあり、90質量%を超えると(B)成分が少なくなり結着性が劣り、まとまりにくくなる恐れがある。
【0024】
(A)成分としてキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、異性化糖、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選択される少なくとも1種の結晶粉粒体を用い、これらを所定量配合することにより食味や食感に変化を与えた各種製品を製造できる。
本発明において用いる(A)成分のオリゴ糖としては具体的には例えば、乳果オリゴ糖やガラクトオリゴ糖などを挙げることができる。
【0025】
本発明において用いる(B)成分の食用バインダ成分は、(A)成分のキシリトールなどの結晶粉粒体のバインダーとして用いられるものであり、具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロースの塩、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、キシロース、グアーガム、コンニャクマンナン、ジェランガム、ゼラチン、ソルビトール、タマリンド種子ガム、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ローカストビーンガム、寒天、還元水飴、還元麦芽糖水飴、水飴などを好ましく使用できる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
本発明において用いる(B)成分のカルボキシメチルセルロースの塩としては具体的には例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを挙げることができる。
また、本発明において用いる(B)成分のアルギン酸エステルとしては、具体的には例えばアルギン酸プロピレングリコールエステルなどを挙げることができる。
【0027】
また、(B)成分の食用バインダ成分の配合量は、前記(A)成分のキシリトールなどの結晶粉粒体同士を結着して、噛んだり、噛み砕いたりなどできる適度の硬度を有する結晶粉粒体結着物を形成できる配合量であれば特に限定されるものではない。しかし、食用バインダ成分の種類や粒度によっても左右されるが、(B)成分の配合量は、通常菓子全体に対して0.1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜20質量%である。
【0028】
(B)成分の配合量が0.1質量%未満では結着性が劣り、まとまりにくくなる恐れがあり、30質量%を超えると(A)成分が少なくなり清涼感などに劣る恐れがある。
【0029】
本発明の作用効果を損なわない範囲において、前記(A)成分および(B)成分以外に、食用油脂、食用乳化剤、酸味料、強化剤、着色料、香料などの1種あるいは2種以上を配合することができる。
【0030】
本発明においては、混合機の羽根などの機械への付着防止、保型性の向上、表面平滑性の向上、食感をスムースにするなどのために食用油脂を配合することが好ましい。
【0031】
本発明で使用できる食用油脂としては、食用植物性油脂、食用動物性油脂、あるいはこれらの2つ以上の混合物を用いることができる。
【0032】
食用植物性油脂としては、具体的には、例えば菜種、大豆、ヒマワリ種子、綿実、落花生、米糠、コーン、サフラワー、オリーブ、胡麻、カカオ、ヤシ、アブラヤシなどから採取した植物油脂、あるいは必要に応じて分別、エステル交換などを施した加工油などの単独または2つ以上の混合油を挙げることができる。
食用動物性油脂としては、具体的には、例えばバター、ラード、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの単独または2つ以上の混合油を挙げることができる。
【0033】
本発明で使用する食用油脂の配合量は特に限定されるものではなく具体的には例えば、菓子全体に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜8質量%である。
【0034】
食用油脂の配合量が0.1質量%未満では混合機の羽根などの機械への付着防止、保型性の向上、表面平滑性の向上、食感をスムースにするなどの効果が得られない恐れがあり、10質量%を超えると(A)成分が少なくなり清涼感に劣る恐れがある。
【0035】
本発明で使用する食用油脂の融点は特に限定されないが、約25〜55℃が好ましく、より好ましくは約35〜45℃である。25℃未満では、店頭などにおいて菓子が軟化することが懸念され、逆に55℃を超えると口中での溶けが悪く、ザラツいたり、モタツイたりする恐れがある。
【0036】
本発明において食用油脂を使用した場合は、各成分の分散性を向上させるために食用乳化剤を配合することが好ましい。
本発明で使用できる食用乳化剤としては、具体的に、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンなどを挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
本発明で使用する食用乳化剤の配合量は特に限定されるものではなく具体的には例えば、菓子全体に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0038】
食用乳化剤の配合量が、0.1質量%未満では分散性の向上やハンドリング性の向上が達成できない恐れがあり、10質量%を超えると清涼感に劣る恐れがある。
【0039】
本発明で使用できる酸味料は、菓子の味をととのえるために使用されるものであり、具体的に、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ブドウ酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸など、およびそれらの塩類を挙げることができる。
本発明で使用する酸味料の配合量は特に限定されるものではなく具体的には例えば、菓子全体に対して0.1〜10質量%が好ましい。
【0040】
本発明で使用できる強化剤としては、具体的に、例えば、ビタミン類、鉄、カルシウムなどのミネラル類、食物繊維、その他各種機能性素材などを挙げることができる。
本発明で使用する強化剤の配合量は特に限定されるものではなく具体的には例えば、菓子全体に対して0.1〜10質量%が好ましい。
【0041】
本発明で使用できる着色料としては、具体的に、例えば、アナトー色素、ウコン色素、カカオ色素、カラメル色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、赤色2号、赤色3号、赤色4号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、タマリンド色素、スピルリナ色素、パプリカ色素、コーン色素、トマト色素、カロチン色素、アカビート色素、ベニコウジ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、ムラサキコーン色素、ムラサキヤマイモ色素、ビタミンB2、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ベリー色素、ブドウ色素、パプリカ粉末などを挙げることができる。
【0042】
本発明で菓子の味をととのえるために使用できるその他の材料としては、具体的に、例えば、甘味料(アスパルテーム、ステビアなど)、果汁、コーヒー粉、ココア粉、抹茶粉などを挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0043】
製造された本発明の新規な菓子は密封包装するなど適宜包装して、貯蔵、出荷される。
【0044】
本発明の新規な菓子の形状、形態は特に限定されず、具体的には、例えば、円筒型、俵型、平板型、四角型、三角型、その他多角型などを挙げることができる。
【0045】
各工程は手作業で行っても、バッチ式装置で行っても連続的に行っても、あるいはこれらの組み合わせで行ってもよく、特に限定されないが、食品を扱うので衛生面に充分配慮することが肝要である。
【実施例】
【0046】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgと還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))13kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のキシリトール(商品名:キシリトールCM90、ダニスコ(株))67kgを加えて混練する。
そして植物油脂(パーム油)(商品名:ハイベルH41、鐘淵化学工業(株))7kg、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)(商品名:DKエステルF20W、第一工業製薬(株))1kgを加え、混練する。
さらに砂糖(三井製糖(株))3kg、酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))3kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例1で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
(実施例2)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgと還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))13kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のエリスリトール(商品名:エリスリトール微粉、日研化成(株))67kgを加えて混練する。
そして植物油脂(パーム油)(商品名:ハイベルH41、鐘淵化学工業(株))7kg、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)(商品名:DKエステルF20W、第一工業製薬(株))1kgを加え、混練する。
さらに砂糖(三井製糖(株))3kg、酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))3kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例2で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
(実施例3)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgとソルビトール(商品名:ソルビットS、サンエイ糖化(株))13kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のキシリトール(商品名:キシリトールCM90、ダニスコ(株))33kg、エリスリトール(商品名:エリスリトール微粉、日研化成(株))33kgを加えて混練する。
そして植物油脂(パーム油)(商品名:ハイベルH41、鐘淵化学工業(株))7kg、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)(商品名:DKエステルF20W、第一工業製薬(株))1kgを加え、混練する。
さらに砂糖(三井製糖(株))3kg、酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))3kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))2kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例3で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
(実施例4)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgとカラギーナン(商品名:カラギニンCSI−1三栄源エフエフアイ(株))2kg、還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))12kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のキシリトール(商品名:キシリトールCM90、ダニスコ(株))67kgを加えて混練する。
そして植物油脂(パーム油)(商品名:ハイベルH41、鐘淵化学工業(株))8kg、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)(商品名:DKエステルF20W、第一工業製薬(株))1kgを加え、混練する。
さらに酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))6kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))1kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例4で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
(実施例5)
(B)成分のアラビアガム(商品名:アラビアガムHP粉末、五協産業(株))5kg、還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))12kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のキシリトール(商品名:キシリトールCM90、ダニスコ(株))70kgを加えて混練する。
そして植物油脂(パーム油)(商品名:ハイベルH41、鐘淵化学工業(株))6kg、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)(商品名:DKエステルF20W、第一工業製薬(株))1kgを加え、混練する。
さらに酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))2kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例5で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表5に示す。
【0056】
【表5】

【0057】
(実施例6)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgと還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))13kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のエリスリトール(商品名:エリスリトール微粉、日研化成(株))75kgを加えて混練する。
そして砂糖(三井製糖(株))3kg、酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))3kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例6で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表6に示す。
【0058】
【表6】

【0059】
(実施例7)
(B)成分のプルラン(商品名:プルランPF20、(株)林原)2kgと還元水飴(商品名:PO−40、東和化成工業(株))13kgとをニーダーにて分散し、ここに(A)成分のブドウ糖(商品名:ハイメッシュ、サンエイ糖化(株))75kgを加えて混練する。
そして砂糖(三井製糖(株))3kg、酸味料(無水クエン酸)(昭和化工(株))3kg、強化剤(ビタミンC)(L−アスコルビン酸、ロシュ(株))3kg、香料(レモン香料)(長谷川香料(株))1kgを加え、混練し、結着させ、図1に示した本発明の製品(a)を得た。
なお、実施例7で用いた(A)成分、(B)成分およびそれ以外の成分(C)の配合を表7に示す。
【0060】
【表7】

【0061】
実施例1〜7で得られた本発明の新規な菓子(a)は、噛んだり、噛み砕いたりできるタイプの優れた食感を有する菓子であって、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、(A)成分の結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によりさわやかな冷涼感が口中に広がる優れた菓子であった。
【0062】
本発明において混練の際には(A)成分のキシリトールなどの結晶粉粒体を溶融させない。
しかし、作業上、ニーダーに及ぼす負荷を軽減したいなどの場合には、(A)成分として例えばキシリトールを用いた場合、キシリトールの融点(94℃)以下の温度(例えば品温にして50℃付近の温度)に加温してもよい。
【0063】
実施例1〜7で得られた本発明の製品(a)は、例えばロープ状にし、カットしたものを最終形状とすることもできる。またカット後、型押し成型などもできる。
【0064】
また、公知のキャンディを製造し、そのキャンディをシート状にし、そこに円柱状にした実施例1〜7で得られた本発明の製品(a)をのせて巻いていき、これを適度な径のロープ状にし、カットすることにより図2に示した本発明の他の製品(b)を得ることができる。
【0065】
また、公知のキャンディを製造し、そのキャンディをシート状にし、実施例1〜7で得られた本発明の製品(a)をシート状にし、そして両者を積層して、図3に示した2層構成の本発明の他の製品(c)を得ることができる。
【0066】
また、公知のキャンディを製造し、そのキャンディをシート状にし、実施例1〜7で得られた本発明の製品(a)をシート状にし、そしてキャンディのシートを本発明の製品(a)のシートでサンドイッチ積層して、図4に示した3層構成の本発明の他の製品(d)を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の新規な菓子は、(A)主成分のキシリトールなどの結晶粉粒体と(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として用いて前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物を備えたことを特徴とするものであり、噛んだり、噛み砕いたりできるタイプの優れた食感を有する菓子であって、噛み始めるとその優れた溶解性のため非常にジューシーさにあふれ、結晶粉粒体の溶解による吸熱作用によりさわやかな冷涼感が口中に広がるという、顕著な効果を奏し、そして本発明の製法により前記のような美味しい新規な菓子を容易に製造することができるという、顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の新規な菓子の一実施形態を説明する説明図である。
【図2】本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
【図3】本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
【図4】本発明の他の新規な菓子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
a、b、c、d 新規な菓子
1 結晶粉粒体結着物
1a、2a 層状物
2 公知のキャンディ組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)主成分のキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選ばれる少なくとも1種の結晶粉粒体と(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として用いて、前記結晶粉粒体同士を結着した結晶粉粒体結着物を備えたことを特徴とする新規な菓子。
【請求項2】
前記(B)食用バインダ成分が、カルボキシメチルセルロースの塩、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、キシロース、グアーガム、コンニャクマンナン、ジェランガム、ゼラチン、ソルビトール、タマリンド種子ガム、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ローカストビーンガム、寒天、還元水飴、還元麦芽糖水飴、水飴から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の新規な菓子。
【請求項3】
食用油脂および食用乳化剤を必要に応じて所定量配合したことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の新規な菓子。
【請求項4】
前記結晶粉粒体結着物を公知のキャンディ組成物により被覆した構成とするか、あるいは前記結晶粉粒体結着物層と公知のキャンディ組成物層を積層した構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の新規な菓子。
【請求項5】
下記の工程(1)〜(3)により製造することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の新規な菓子の製法。
(1)(A)主成分のキシリトール、エリスリトール、トレハロース、オリゴ糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、果糖、還元パラチノース、パラチノースから選ばれる少なくとも1種の結晶粉粒体に(B)食用バインダ成分の所定量を必須成分として配合し溶融することなく混合し、前記結晶粉粒体同士を(B)食用バインダ成分により結着して結晶粉粒体結着物を形成する。
(2)必要に応じて前記結晶粉粒体結着物を公知のキャンディ組成物により被覆する。
(3)あるいは公知のキャンディ組成物により被覆する代わりに、前記結晶粉粒体結着物層と公知のキャンディ組成物層を積層する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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