説明

新規の沈降シリカ製造方法

本発明は、水性懸濁液(S)を濾過して洗浄するための工程を含む沈降シリカの調製方法に関するものであり、この方法は次の工程を含む:
(a)沈降シリカの懸濁液(S)の第1の部分(S1)を濾過し、それによってケーク(G1)を形成させ、次いでこのケーク(G1)を洗浄し、それによって得られた洗浄されたケーク(G1)を特に水で希釈することによって懸濁させることによって、懸濁液(S'1)を形成させる工程;
(b)前記懸濁液(S)の第2の部分(S2)を濾過し、それによってケーク(G2)を得る工程;並びに
(c)工程(a)から得られた前記懸濁液(S'1)を、工程(b)の終わりに得られて濾過プレコート層として用いられるケーク(G2)を通して濾過する工程:
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、新規の沈降シリカ製造方法にある。
【背景技術】
【0002】
沈降シリカは、エラストマー中、特にタイヤ中の補強用白色フィラーとして、以前から用いられてきている。
【0003】
沈降シリカの調製は、ケイ酸塩、特にアルカリ金属のケイ酸塩を酸性化剤によって沈殿させた後に、次いで濾過によって分離して濾過ケークを得る工程、及びこの濾過ケークを、特に酸性化工程の際に生成した可溶性塩(これは得られる生成物の用途にとって不利となることがあることがわかっている)を除去する目的で、洗浄する工程、次いで濾過ケークを解凝集(砕壊)するための任意工程及び該ケークを例えば噴霧によって乾燥させる工程を行うことによって、実施される。
【0004】
沈降シリカ懸濁液を濾過する際に、洗浄工程はほとんどの場合全サイクル時間(これは特に濾過、洗浄及び圧搾工程を含む)の約40%に相当する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の1つの目的は、有利には最終性能(即ちシリカに対する可溶性塩の残留割合)を維持しつつ、洗浄時間を短縮することができる方法を提供することから成る。
【0006】
従って、本発明の1つの目的は、好ましくは沈降シリカの調製方法の生産性を、特に従来の方法と比較して、一般的に少なくとも約5%、特に少なくとも約20%、例えば約50%、向上させることから成る。
【0007】
本発明の別の目的は、沈降シリカの調製の際に用いられる水の量を、特に従来の方法と比較して、減らすことから成る。
【0008】
特に、これらの目的について、濾過及び洗浄は、本発明に従う方法において単一の操作にまとめられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、ケイ酸塩と酸性化剤との反応から得られた水性懸濁液(S)を濾過して洗浄するための工程を含む沈降シリカの調製方法に関するものであり、この方法は、次の工程:
(a)沈降シリカの懸濁液(S)の第1の部分(S1)を濾過し、それによってケーク(G1)を形成させ、次いでこのケーク(G1)を洗浄し、それによって得られた洗浄されたケーク(G1)を特に水で希釈することによって懸濁させることによって、懸濁液(S'1)を形成させる工程;
(b)前記懸濁液(S)の第2の部分(S2)を濾過し、それによってケーク(G2)を得る工程;並びに
(c)工程(a)から得られた前記懸濁液(S'1)を、工程(b)の終わりに得られて濾過プレコート層として用いられるケーク(G2)を通して濾過する工程:
を含む。
【0010】
工程(c)の終わりに、ケーク(G2)の上に新たなケーク(G3)が形成されて、ケーク(G2)及び(G3)の組合せに相当する全体ケーク(G4)を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の方法の際の濾液の導電率(mS/cm)を濾液の容量(mL)に対して追跡したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
沈降シリカの懸濁液(S)は一般的に、沈降シリカ粒子をベースとする任意の分散体であることができる。本明細書の意味において用語「沈降シリカ」とは、ケイ酸塩と酸とを任意の調製態様に従って(特に、酸をケイ酸塩に加えることによって、又は酸及びケイ酸塩の全部又は一部を同時に水又はケイ酸塩に加えることによって)反応させることによって得られる任意のシリカを意味する。懸濁液(S)は一般的にこのような反応の最後に得られるシリカのスラリーであり、これは随意に様々な添加剤を添加されていてもよい。
【0013】
本発明は、特定タイプの沈降シリカに限定されることなく、沈降シリカの調製方法に関する。
【0014】
懸濁液(S)中に存在する沈降シリカは、乾燥させた時に一般的に80〜500m2/gの範囲、特に100〜350m2/gの範囲、例えば120〜260m2/gの範囲のBET比表面積、及び80〜400m2/gの範囲、特に100〜300m2/gの範囲、例えば100〜240m2/gの範囲のCTAB比表面積を有する沈降シリカであるのが好ましい。BET比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society」, Vol. 60, page 309, February 1938に記載されたBRUNAUER-EMMETT-TELLER法{NF−ISO規格9277(1996年12月)に対応}に従って測定される。CTAB比表面積は、NF−ISO規格5794−1(2006年2月、第2版2006−03)に記載された方法に従って測定することができる外側表面積である。
【0015】
本発明の方法を実施するのに特に適した沈降シリカとしては、例えば欧州特許公開第0520862号、国際公開WO95/09127号、国際公開WO95/09128号、国際公開WO98/54090号又は国際公開WO03/016215号に記載された方法に従って得られた沈降シリカを特に挙げることができる。
【0016】
洗浄されたケーク(G1)を懸濁させるための上記の工程(a)は、このケークを再パルプ化(再スラリー化、再懸濁)するための工程に相当する。(G1)は再パルプ化ケークとも称される。
【0017】
前記工程(b)は、ケーク(G2)を形成させることから成り、このケーク(G2)を以下においてはプレコート層とも称する。
【0018】
従って、本発明に従う方法は、第1工程において懸濁液(S2)を濾過することによってケーク(G2)のプレコート層を形成させ、次いでこのプレコート層上でスラリー[有利には可溶性塩含有量(特に硫酸塩含有量)が低いスラリー](懸濁液(S'1))を濾過することから成る。
【0019】
本発明の方法は、2つの主要工程を含む。第1工程の際に、沈降反応から得られたシリカスラリー(懸濁液(S2))を濾過することによってケークプレコート層が形成される。この懸濁液及び得られるプレコート層は、シリカの等級を変化させる可溶性塩(特に硫酸塩)を所定量含有する。それらはまた、固体粒子間の相互作用力のせいで形成される凝集物(フロックとも称される)をも含有する。従って、前記プレコート層はフロックによって構成されて多孔性が高められているので、該プレコート層の比抵抗(resistance specifique)はかなり低い。
【0020】
第2の濾過工程は、前もってシリカ懸濁液(S1)を濾過し且つ洗浄することによって形成されたシリカケークを再パルプ化することによって得られるスラリーを、前記プレコート層上で濾過することから成る。このスラリーは、前記の反応から得られるスラリーと比較して、洗浄及び再パルプ化操作の結果として、微細な粒子をより多量に含有する。
【0021】
「クリーン」なスラリー(又は懸濁液(S'1))をプレコート層と接触させた時に、第2のケークが形成される。この第2のスラリー中に含有される液体は、プレコート層中に含有されていた液体(これは多量の可溶性塩(特に硫酸塩)を含有する)を徐々に押し出す。こうして、濾過の最後に、クリーンなスラリーから由来する液体だけがケーク中に残る。
【0022】
2回の濾過工程の後の最終的なケーク中の可溶性塩(特に硫酸塩)の濃度は、第2の濾過工程の際に用いたスラリーのものと必ずしも同じではない。凝集物中に閉じ込められていて標準的なクロス(交差)洗浄では除去できなかった可溶性塩(特に硫酸塩)が、再パルプ化を行うことによって、除去できるようになる。
【0023】
最後の圧搾による脱水によって、追加量の可溶性塩(特に硫酸塩)を排出させることができ、最小量の可溶性塩(特に硫酸塩)を含有する最終ケークが得られる。
【0024】
本発明の方法はまた、セルフプレコート層による濾過(FAP)による方法とも称される。
【0025】
上記のように、セルフプレコート層による濾過によって、洗浄時間をかなり短縮することができると共に、消費される水の量を減らすこともできる。
【0026】
この洗浄時間の短縮により、サイクルの期間を短縮することが可能になる。
【0027】
従って、本発明の方法は、全サイクル時間(フィルター(特にフィルタープレス)の装着から取り外しまで)の短縮をもたらす。従来の標準的な(ごく普通の)方法においては、サイクル時間は約6000秒だった。セルフプレコート層による濾過を行う本発明の方法の範囲内では、サイクル時間は有利なことに6000秒より短く、好ましくは5000秒未満、さらには3500秒未満、特に約3000秒である。
【0028】
このサイクル時間の短縮は、結果として生産性の増加をもたらす。
【0029】
また、1サイクル当たりのシリカの量の増加による追加の利益ももたらされ得る。実際、再パルプ化の後に得られるスラリー(懸濁液S’1)は、反応スラリー(S)よりフロック含有量が少なく、従って(S'1)は濾過によって排出させるのが容易な自由な水をより多く含有する。(S'1)の濾過から得られるケークは次いでさらに圧搾可能であり、従ってその厚さは反応スラリーから得られるケークの厚さと比較して薄い。通常の反応スラリー(S)によって形成されるケークと比較したこの厚さの違いは、より多くのシリカ(従ってより多くのスラリー)を仕込むために利用することができる。
【0030】
本発明に従う方法はまた、可溶性塩(特に硫酸塩)の割合が最大2%、好ましくは最大1.6%、特に1%未満、例えば0.3%未満である沈降シリカを得ることをも可能にする。この可溶性塩(特に硫酸塩)の低い割合は、ある種の用途、特にエラストマーやシリコーンにおける用途にとって、有利である。また、吸収特性を考慮に入れると、紙や液体用支持体の分野、特に動物飼料{例えばビタミン(特にビタミンE)、塩化コリン等}に用いられるものにおける用途を構想することもできる。また、媒体のレオロジー変性の分野、例えば練り歯磨き用の増粘剤としての用途も、考えられる。また、ケーク化防止用若しくは増粘用添加剤としての用途又はバッテリーセパレーター用の部材としての用途を構想することもできる。
【0031】
有利には、セルフプレコート層による濾過によって本方法の終わりに得られるケークの乾燥度(又は乾燥抽出物含有率)は、20重量%超、好ましくは22重量%超、特に23〜30重量%の範囲、例えば23〜27重量%の範囲である。標準的な方法と比較した乾燥度の増加は一般的に少なくとも約2〜3%であり、これは、最終製品1トン当たりの蒸発させるべき水の量の点で少なくとも12%の利益をもたらし、従って乾燥させる際に消費されるエネルギーの点でも相応の利益をもたらす。
【0032】
本発明に従う方法により、クロス(交差)洗浄やセントラルコアによる水洗い方法のような従来技術の方法の欠点を一掃することも可能となる。
【0033】
より特定的には、クロス洗浄は通常、水が対角線に沿って全ケークを通り抜けるので時間がかかるという欠点を有する。また、これは一般的に水を多く消費する。と言うのも、洗浄の際に洗浄圧力の作用下で優先的な通路ができ、最大量の塩を抽出できるようにするためには多量の水を通さなければならないからである。
【0034】
濾過工程の後のコアによる洗浄に関しては、水がケークを通り抜ける優先的な通路(又はバイパス)を形成させ、好ましくは例えば右上及び左下に配置されるホールに向けて送られる。その結果として一般的に、右上の四分の一のケーク及び左下の四分の一のケークはよく洗われ、左上の四分の一のケーク及び右下の四分の一のケークはよく洗われないということになる。
【0035】
セルフプレコート層を用いた濾過のための本発明に従う方法は、この優先的通路の問題を解決することができる。と言うのも、再パルプ化スラリー中に固体状シリカ粒子が存在することにより、優先的な通路が素早く塞がり、水がケーク全体に均一に分散されるからである。
【0036】
本発明の有利な実施態様に従えば、ケーク又はプレコート層(G2)中の乾燥シリカの量と再パルプ化されるケーク(G1)中の乾燥シリカの量との間の質量比は、50/50〜85/15の範囲である。
【0037】
本発明の方法は好ましくは、洗浄されたケーク(G1)を再懸濁させるための工程を、懸濁液(S'1)中のシリカ15〜60g/リットルの存在において実施することをさらに特徴とする。
【0038】
本発明の特定の実施態様に従えば、濾過工程(b)及び(c)は、フィルタープレス上で実施される。
【0039】
フィルタープレスを用いることによって、圧搾を達成することができ、従って追加量の可溶性塩(特に硫酸塩)を脱水によって取り除くことが可能となる。
【0040】
本発明の別の特定的な実施態様に従えば、濾過工程(a)は、ロータリー(回転式)フィルターを用いて実施される。
【0041】
本発明の方法の範囲内において、フィルタープレスとロータリーフィルターとを組み合わせて使用することができる。
【0042】
本発明に従う方法において、懸濁液(S)は通常、シリカを沈殿させるために用いられた酸性化剤からの塩を含有する;より特定的には、懸濁液(S)は硫酸ナトリウムを含有する。
【0043】
一般的に、前記懸濁液(S)は、シリカを沈殿させるために用いられた酸性化剤からの塩(特に硫酸ナトリウム)を5〜30重量%、特に10〜20重量%含有する。
【0044】
本発明に従う方法の好ましい実施態様に従えば、濾過ケーク(G4)が最後に得られる濾過工程(c)の後に、得られたケークを乾燥させる工程が実施される。
【0045】
また、この工程(c)の後に必要ならばケーク(G4)を造形するための任意の工程を実施してもよい。
【0046】
本発明に従う方法により、水の消費を減らすことができる。好ましくは、本発明の方法の範囲内で、水の消費量は、乾燥シリカ1kg当たりに5〜10kgの範囲、特に6〜8kgの範囲である。
【0047】
有利なことに、本発明に従う方法において用いられる濾布(濾過ウエブ)は、従来の方法において用いられていた濾布よりはるかに長い寿命を有することができる。
【0048】
最後に、本発明の方法により、フィルター自体における生産性だけではなくて、シリカ製造方法における全濾過洗浄工程の生産性をも向上させることができる。
【実施例】
【0049】
例1:実験室的方法
【0050】
1.懸濁液
【0051】
用いた懸濁液(S)は、次の特徴を有するシリカスラリーZ1165MPである。
【表1】

【0052】
操作の間、スラリーを水浴中に入れて温度を維持する。
【0053】
2.濾過
【0054】
沈降反応からのスラリー(S)を供給用容器中に入れ、次いで4バールの圧力下で濾過する。この濾過は、濾液80ミリリットルが得られるまで{これはプレコート層(G2)の形成(チャンバーの半分が満たされる)及び第1の濾過工程の終わりを示す}行う。
【0055】
第2工程の際に、ケーク(G1)を洗浄して再パルプ化して得られたスラリー(S'1)を同じ4バールの圧力下で、プレコート層上に第2のケークが形成されるまで、濾過する。さらに80ミリリットルの濾液が得られた後に、濾過を停止する。このケークの濾液は硫酸塩が少なく、プレコート層を通り抜けて、含有する硫酸塩を運び去る。圧搾により、過剰分の硫酸塩を排出させることができる。硫酸塩の量が1重量%未満である最終的なケークが得られる。
【0056】
3.結果
【0057】
結果を図1に示す。この図1は、本発明の方法の際の濾液の導電率(mS/cm)を濾液の容量(mL)に対して追跡した曲線を示す。測定は、濾液サンプル10ミリリットルに対して実施した。この曲線については、2つの部分に分けられる:第1の部分はV=0mLとV=80mLとの間であり、これは反応からのスラリーの濾過(本方法の工程(b))に相当する;第2の部分はV=80mLとV=160mLの間であり、これは非常に少量の硫酸塩を含有するスラリーの濾過(本方法の工程(c))に相当する。
【0058】
曲線の第1の部分(第1の濾過工程)については、濾液の導電率は一定である(これは標準的濾過の場合である)。曲線の第2の部分(第2の濾過工程)については、2つの段階(局面、相)が観察される。
【0059】
第1段階はV=80mLとV=130mLとの間に位置し、そこでは導電率が一定であり、また、プレコート層中に含有される液体の導電率に等しい。これは「クリーン」なスラリーからの液体が硫酸塩を含有する液体(プレコート層中に当初捕捉されていた液体)をピストン作用によって押し出すという事実によるものである。
【0060】
濾過の最後に、導電率の低下が観察され、これはプレコート層の硫酸塩の枯渇を示す(第2段階、V>130mL)。圧搾液の導電率は2mS/cmだった。
【0061】
5回の試験を実施した。その結果を下記の表に示す。
【表2】

【0062】
この表の第1欄は、[プレコート層(G2)中に含有される(固体状)シリカ]/[第2のケーク(G3)中に含有される(固体状)シリカ]の比を表わす。この例においては、プレコート層(G2)中及びその上に形成されるケーク(G3)中に同じ量の乾燥シリカが含有される。
【0063】
第2の濾過工程の際に、スラリー沈降反応からのスラリーより微細な粒子を多く含有するスラリーが濾過される。反応からのスラリー及び洗浄されて再パルプ化されたケークからのスラリーに対して、粒度測定を実施した。
【0064】
結果を下記の表に示す。
【表3】

【0065】
D(0.1)について与えられた値は、固体粒子の10容量%がこの値より小さい直径を有することを意味し;また、D(0.5)について与えられた値は、固体粒子の50容量%がこの値より小さい直径を有することを意味し;D(0.9)について与えられた値は、固体粒子の90容量%がこの値より小さい直径を有するということを意味するものである。
【0066】
標準的な濾過においては、多量の微細粒子を含有する懸濁液の濾過に関連する欠点は、一方でケークの比抵抗が高いこと(これは非常に長い濾過時間となって現れる)、他方で濾布が目詰まりを起こす恐れがあることにある。
【0067】
両方の欠点は、プレコート層を存在させることによって大幅に軽減される。
【0068】
実際、第1の濾過工程の間に、懸濁液及び形成されたプレコート層は、固体粒子間の相互作用力によって得られる凝集物を含有する。これらのフロックが、第2のスラリーの微粒子による目詰まりから濾布を保護する。
【0069】
例2
【0070】
この例において用いた反応スラリー(S)は、工業用Z1165MPの反応スラリーである。再パルプ化したスラリー(S'1)は、懸濁液Sから得られたケークを洗浄してSiO235g/リットルで再懸濁させることによって、調製した。
【0071】
次の操作手順を用いた:
・フィルター中に反応スラリー(S)690リットルを仕込んでプレコート層(G1)を形成させる;
・再パルプ化したスラリー(S'1)215リットルをフィルター中に仕込む;
・圧搾を行う(ケークG3が得られる)。
【0072】
得られた生成物及びこのタイプの濾過の性能を下記の表で特徴付ける。
【表4】

【0073】
圧搾後のケークに対して、乾燥度を測定する。ケークをSartorius熱天秤上に160℃において40分間置く。
【0074】
標準的な方法と比較して、洗浄濾過工程の全体生産性が56%向上し、洗浄水量が64%減少したことが記録された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性懸濁液(S)を濾過して洗浄するための工程を含む沈降シリカの製造方法であって、
(a)沈降シリカの懸濁液(S)の第1の部分(S1)を濾過し、それによってケーク(G1)を形成させ、次いでこのケーク(G1)を洗浄し、それによって得られた洗浄されたケーク(G1)を特に水で希釈することによって懸濁させることによって、懸濁液(S'1)を形成させる工程;
(b)前記懸濁液(S)の第2の部分(S2)を濾過し、それによってケーク(G2)を得る工程;並びに
(c)工程(a)から得られた前記懸濁液(S'1)を、工程(b)の終わりに得られて濾過プレコート層として用いられるケーク(G2)を通して濾過する工程:
を含む、前記方法。
【請求項2】
プレコート層(G2)中の乾燥シリカの量と再パルプ化されるケーク(G1)中の乾燥シリカの量の間の質量比が50/50〜85/15の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
洗浄されたケーク(G1)を再懸濁させるための工程を、懸濁液(S'1)中のシリカ15〜60g/リットルの存在において実施することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
濾過工程(b)及び(c)をフィルタープレスを用いて実施することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
濾過工程(a)をロータリーフィルターを用いて実施することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
懸濁液(S)が硫酸ナトリウムを含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
懸濁液(S)が硫酸ナトリウムを5〜30重量%、特に10〜20重量%含有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)に続いて工程(c)の終わりに得られたケークを乾燥させる工程を行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−518749(P2011−518749A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505576(P2011−505576)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050767
【国際公開番号】WO2009/138678
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】