説明

新規フォスフォアミダイト化合物

【課題】 DNA変形体の合成に有用なフォスフォアミダイト(phosphoramidite)化合物の提供。
【解決手段】 多様な官能基を含む本発明の新規フォスフォアミダイト化合物は、高効率の診断試薬及びナノ構造のオリゴデオキシリボヌクレオチドの開発に用いられる、多様なオリゴデオキシリボヌクレオチドを合成する新規ビルブロックに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA変形体の合成に有用なフォスフォアミダイト(phosphoramidite)化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝学分野では化学的方法によって合成DNAを製造し、これを薬に用いて疾病を克服しようとする研究が試みられている(Agrawal, S., Synthesis and Properties, Humana Press: Totowa, Chapter 1-4, (1993) 及び Kool, E. T., Chem. Rev., 97; 1473(1997))。また、構造的に興味深い変形核酸を開発する研究も多く行われてきた(Newcome, G. R., et al., Dendritic Molecules: Concepts, Synthesis, Perspectives, VCH Publishers, New York, 116(1996); Shchepinov, M. S. et al., Nucleic Acids Res., 25, 4447-4454(1997); Shchepinov, M. S. et al., Nucleic Acids Res., 27, 3035-3041(1999); 及びWinfree, E. et al., Nature, 394, 539-544(1998))。
【0003】
これらの研究から、関心ある野生型DNAの構造的及び生物学的特徴を明らかにするために、いくつかのオリゴデオキシリボヌクレオチド(oligodeoxyribonucleotide; ODN)ストランドが一つの分子を成す分岐DNA(branched DNA, bDNA)が合成、研究されており(Hudson, R. H. et. al., J. Am. Chem. Soc., 117, 12470-12477(1995); Collins, M. L. et al., Nucleic Acids Research, Vol. 25, No. 15, 2979-2984(1997); 及び Horn, T, et al., Nucleic Acids Research, Vol. 25, No. 23, 4835-4849(1997))。また、このようなbDNAを用いて高分岐(hyperbranched)ポリマーやデントリマー(dendrimer)を合成するか、又はこのように合成し、この合成デントリマーの末端部に多様な官能基を導入して所望の生物学的機能培養を行うことが報告されている(Newkome, G. R. et al., Chem. Rev., 99: 1689-1746(1999))。
【0004】
DNA合成機を用いれば、フォスフォアミダイト化合物をアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C) 及びチミジン(T)と結合させて多様な天然型DNAを得ることができ、 このようなフォスフォアミダイト誘導体はDNA内へ容易に挿入できる。
従って、本発明者らは多様なODNを合成するのに有用に用いられ得る新規な官能基を有するフォスフォアミダイト化合物を開発するために鋭意研究して来た。
【0005】
【非特許文献1】Agrawal, S., Synthesis and Properties, Humana Press: Totowa, Chapter 1-4, (1993)
【非特許文献2】Kool, E. T., Chem. Rev., 97; 1473(1997)
【非特許文献3】Newcome, G. R., et al., Dendritic Molecules: Concepts, Synthesis, Perspectives, VCH Publishers, New York, 116(1996)
【非特許文献4】Shchepinov, M. S. et al., Nucleic Acids Res., 25, 4447-4454(1997)
【非特許文献5】Shchepinov, M. S. et al., Nucleic Acids Res., 27, 3035-3041(1999)
【非特許文献6】Winfree, E. et al., Nature, 394, 539-544(1998))
【非特許文献7】Hudson, R. H. et. al., J. Am. Chem. Soc., 117, 12470-12477(1995)
【非特許文献8】Collins, M. L. et al., Nucleic Acids Research, Vol. 25, No. 15, 2979-2984(1997)
【非特許文献9】Horn, T, et al., Nucleic Acids Research, Vol. 25, No. 23, 4835-4849(1997)
【非特許文献10】Newkome, G. R. et al., Chem. Rev., 99: 1689-1746(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、目的とするODNの合成に用いられ得る新規フォスフォアミダイト化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的によって、本発明では下記式(I)〜(V)から選択されるフォスフォアミダイト化合物を提供する:
【化2】

式中、Rは、ジメトキシトリチル(DMTr)、レブリニル(Lev) 、又はtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目的とするODNの合成に用いられ得る新規フォスフォアミダイト化合物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のフォスフォアミダイト化合物は、下記式(I)〜(V)によって示される化合物の一つである:
【化3】

【0010】
式中、Rは、ジメトキシトリチル(DMTr)、レブリニル(Lev)、又はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)である。
【化4】

【0011】
本発明の式(I)のフォスフォアミダイト化合物は、その(S)-及び(R)-異性体を含む:
【化5】

【0012】
本発明のフォスフォアミダイト化合物のうち、好ましい化合物は次の通りである:
(S)−(+)−1−O−DMTr−3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−1,3-ブタンジオール;
(R)−(−)−1−O−DMTr−3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−1,3-ブタンジオール;
O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ベンジルグリコレート;
O−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−リトコールアルコール;
O−トリ−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;
O−DMTr−O−di−Lev−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;
O−DMTr−O−Lev−O−TBDMS−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;及び
式(V)のデントリマーフォスフォアミダイト化合物。
【0013】
本発明のフォスフォアミダイト化合物は、下記で説明するように、1,3-ブタンジオール、ベンジルグリコレート又はリトコール酸(lithocolic acid)などの目的とする官能基を導入して製造し得る。特に、ペンタエリスリトール又はデントリマーを導入して製造されたフォスフォアミダイト化合物は、機能性分岐DNA(bDNA)の合成に有用できる。
【0014】
1)(S)−(+)−又は(R)−(−)−1,3-ブタンジオールを用いた、光学的に純粋な式(I)のフォスフォアミダイト化合物の製造(反応式1)
式(IA)又は(1B)の(S)−(+)−又は(R)−(−)−フォスフォアミダイトは、(S)−(+)−又は(R)−(−)−1,3-ブタンジオールの1−ヒドロキシ基をDMTr(Dimethoxytrityl)基で保護してそれぞれ化合物6又は7を得た後、これらの化合物の2次ヒドロキシ基にフォスフォアミダイトを導入して製造できる。
本発明の(S)−(+)−又は(R)−(−)−フォスフォアミダイトは、オリゴヌクレオチドを連結する連結子(linker)として用いられ得る。
【0015】
【化6】

【0016】
2)ベンジルグリコレートを用いた、式(II)のフォスフォアミダイト化合物の製造(反応式2)。
式(II)のフォスフォアミダイト化合物は、DIPEA(N,N-diisopropylethylamine) の存在下でベンジルグリコレート及びクロロ-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル−ホスフィンをTHF溶媒中で反応させて製造できる。
本発明の式(II)のフォスフォアミダイト化合物は、酸性官能基をオリゴヌクレオチドに導入するのに用いられる。
【0017】
【化7】

【0018】
3)リトコール酸を用いた、式(III)のフォスフォアミダイト化合物の製造(反応式3)
式(III)のフォスフォアミダイト化合物はリトコール酸のカルボキシ基を還元して化合物8を得た後、この化合物の1次ヒドロキシ基をDMTr基で保護して2次ヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造できる。
本発明の式(III)のフォスフォアミダイト化合物は、疎水性のリトコール酸残基の存在のため優れた細胞浸透性を示すので、遺伝子治療法(gene theraphy)に有用である。また、式(III)のフォスフォアミダイト化合物は、DNAの2次及び3次構造変形の際、活用できる。
【0019】
【化8】

【0020】
4)ペンタエリスリトールを用いた、式(IV)のフォスフォアミダイト化合物の製造(反応式4)
式(IVa)のフォスフォアミダイト化合物は、ペンタエリスリトールの4個のヒドロキシ基のうち3個をDMTrで保護して化合物10を得た後、残りのヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造でき;式(IVb)のフォスフォアミダイトは、ペンタエリスリトールの4個のヒドロキシ基のうち2個をDMTr基で保護して、化合物11を得た後、3次ヒドロキシ基をLev(levulinyl)基で保護し、残りのヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造できる。また、式(IVc)のフォスフォアミダイト化合物は、ペンタエリスリトールのヒドロキシ基をDMTr基で保護して化合物12を得た後、他の2個のヒドロキシ基をLev基で保護して化合物14を得た後、残りのヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造でき; 式(IVd)のフォスフォアミダイト化合物はペンタエリスリトールのヒドロキシ基をDMTr基で保護して化合物12を得た後、他のヒドロキシ基をLev基で保護して化合物15を得た後、さらに他のヒドロキシ基にTBDMS(tert-butyldimethylsilyl)基を導入して化合物16を得、残りのヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造できる。
本発明の式(IV)のフォスフォアミダイト化合物は、デントリマー(dendrimer)及びbDNAを合成するのに用いられ得、特に相異する塩基配列を有するbDNA又はナノ構造のODNを合成するのに用いられ得る。
【0021】
【化9】

【0022】
5)デントリマーを用いた式(V)のデントリマーフォスフォアミダイトの製造(反応式5)
式(V)のデントリマーフォスフォアミダイト化合物は、化合物17のヒドロキシ基にフォスフォアミダイト基を導入して製造できる。
本発明の式(V)のデントリマーフォスフォアミダイト化合物は、目的とする官能基を有するデントリマーをオリゴヌクレオチドに導入するのに用いられ得る。
【0023】
【化10】

【実施例】
【0024】
以下、本発明を下記実施例によってより詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0025】
[実施例1]:(S)−(+)−1,3−ブタンジオールを用いた式(Ia)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1)S−(+)−1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−1,3−ブタンジオール(化合物6)の製造
S−(+)−1,3−ブタンジオール(96mg、1.065mmol)をピリジン3mlに溶かして氷水浴で冷却した後、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(430mg、1.27mmol)を加えた。この反応混合物を室温で6時間攪拌し、これに5%NaHCO溶液10mlを加えた後、酢酸エチル15mlで抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留した。得られた黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して標題化合物(401mg、1.02mmol)を96%の収率で得た。
【0026】
=0.3(酢酸エチル:ヘキサン=1:2);IR(NaCl)(cm−1)3462,3059,3034,2959,2927,2848,2835,1607,1508,1250;H−NMR(アセトン−d)δ7.49(br,1H),7.46(br,1H),7.36−7.18(m,7H),6.86(t,2H,J=2.6Hz),6.84(t,2H,J=2.6Hz),3.93(br,1H),3.73(s,6H),3.50(br,1H),3.28−3.14(m,2H),1.73(m,2H),1.11(d,3H,J=6.2Hz);13C−NMR(75.5MHz,アセトン−d)δ158.1,145.3,136.1,136.0,129.5,127.6,127.2,126.1,112.5,85.4,64.2,60.6,54.2,39.0,23.1;MS−FAB(m/z):C2528に対する[M]計算値:392;実測値:392;[α]21=+17.6(c1.0,CHCl)。
【0027】
(段階2)(S)−(+)−1−O−DMTr−3−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジメトキシトリチル−フォスフォアミダイト)−1,3−ブタンジオール)(式(Ia)の化合物)の製造
上記段階1で得られたS−(+)−1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−1,3−ブタンジオール(158mg、0.402mmol)をTHF3mlに溶かした後、DIPEA(140μl、0.804mmol)を加えて30分間攪拌した後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスフィン(177μl、0.80mmol)を滴下した。その後、生成した白色沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥した。これに5%NaHCO溶液20mlを加えてから酢酸エチルで抽出し、生成した有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留した。得られた黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製して無色の標題化合物(203mg、0.34mmol)を85%の収率で得た。
【0028】
H−NMR(300MHz,アセトン−d)δ7.47−7.43(2H,m),7.34−7.25(5H,m),7.22−7.16(1H,m),6.89−6.80(4H,m),4.15(1H,m),3.74(3H,s),3.73(3H,s),3.63−3.51(3H,m),3.20−3.16(2H,m),2.68(1H,t,J=6.0Hz),2.55(1H,t,J=6.0Hz),1.94−1.73(3H,m),1.21−1.11(12H,m),1.07(1.5H,s),1.05(1.5H,s);13C−NMR(75.5MHz,アセトン−d)δ158.1,145.2,136.0,129.6,129.5,127.7,127.6,127.2,126.1,117.7,117.6,112.5,85.4,68.0,67.7,67.4,67.2,60.0,59.8,59.2,58.1,57.8,57.5,54.2,42.4,42.2,38.3,23.7,23.6,23.6,23.5,23.4,21.6,19.5,19.4;31P−NMR(121MHz,アセトン−d)δ149.0,148.3;MS−FAB(m/z):C3445Naに対する[M+Na]計算値:615;実測値:615。
【0029】
[実施例2]:(R)−(−)−1,3−ブタンジオールを用いた式(Ib)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1) R−(−)−1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−1,3−ブタンジオール(化合物7)の製造
R−(−)−1,3−ブタンジオール(103mg、1.14mmol)をピリジン3mlに溶かして氷水浴で冷却した後、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(460mg、1.36mmol)を加えた。この混合物を室温で6時間攪拌し、これに5%NaHCO溶液10mlを加えた後、酢酸エチル15mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留し、残った黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して標題化合物(437mg、1.11mmol)を97%の収率で得た。
【0030】
=0.3(酢酸:ヘキサン=1:2);IR(NaCl)(cm−1)3462,3059,3034,2960,2929,2835,1607,1508,1250;H NMR(アセトン−d)δ7.47(t,1H,J=1.7Hz),7.45(br,1H),7.35−7.20(m,7H),6.87(t,2H,J=2.6Hz),6.84(t,2H,J=2.6Hz),3.92(br,1H),3.73(s,6H),3.47(d,1H,J=3.7Hz),3.25−3.14(m,2H),1.71(m,2H),1.09(d,3H,J=6.2Hz);13C−NMR(75.5MHz,アセトン−d)δ158.1,145.2,136.1,136.0,129.5,127.6,127.2,126.1,112.5,85.4,64.2,60.5,54.1,38.9,23.0;MS−FAB(m/z):C2528に対する[M]計算値:392;実測値:392;[α]21=−9.9(c1.0,CHCl3)。
【0031】
(段階2)(R)−(−)−1−O−DMTr−3−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジメトキシトリチル)−1,3−ブタンジオールの製造
上記段階1で得たR−(−)−1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−1,3−ブタンジオール(138mg、0.315mmol)をTHF2mlに溶かした後、これにDIPEA(140μl、0.804mmol)を加えて30分間攪拌した後、これにクロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスフィン(157μl、0.70mmol)を滴下した。その後、生成した白色沈殿物を濾過して除去し、減圧蒸留した。これに5%NaHCO溶液10mlを加えた後、CHCl15mlで抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留した。生成した黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製して無色オイル状の標題化合物(108mg、0.182mmol)を52%の収率で得た。
【0032】
=0.45(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)H−NMR(300MHz、アセトン−d)δ7.47−7.43(2H,m),7.34−7.25(5H,m),7.22−7.16(1H,m),6.89−6.80(4H,m),4.15(1H,m),3.76(3H,s),3.75(3H,s),3.63−3.51(3H,m),3.20−3.16(2H,m),2.68(1H,t,J=6.0Hz),2.55(1H,t,J=6.0Hz),1.94−1.73(3H,m),1.19−1.10(12H,m),1.05(1.5H,s),1.03(1.5H,s);13C−NMR(75.5MHz,アセトン−d)δ158.1,145.2,136.0,129.5,129.5,127.6,127.5,127.2,126.1,117.6,112.4,85.3,67.9,67.7,67.4,67.2,66.7,59.9,59.8,58.0,57.8,57.5,54.1,42.4,42.2,38.3,38.2,24.8,23.7,23.6,23.5,23.4,23.3,21.6,19.4,19.3;31P−NMR(121MHz,アセトン−d)δ149.0,148.3;MS−FAB(m/z):C3445Naに対する[M+Na]計算値:615;実測値:615。
【0033】
試験例1
光学異性体間のキラル構造の相異点がオリゴヌクレオチド構造に及ぶ影響を次のように測定した。
上記実施例1及び2で得られた式(Ia)及び(1b)の化合物をそれぞれ急速核酸合成機8090(Expedite Nucleic Acid Synthesis System 8090)を用いて任意のオリゴヌクレオチドに挿入し、このように合成されたODNの分子量をMaldi−Tofマス(3−ヒドロキシピコリン酸をマトリックスとして使用;25000V;極性:陽性)を用いて確認した。
その結果は、下記の表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
また、上記多様な二重体(duplex、オリゴ/オリゴ)の溶融温度(melting temperature, Tm)は、100mM NaCl及び20mM MgClを含むトリス−HCl緩衡液(10mM,pH7.2)で1.0℃/分で昇温しながら260nm(cuvette、通過長さ:1cm)で吸光度を測定して決定した。その結果を表2及び図1に示す。二重体1、2及び9の総濃度をそれぞれ4.0μMに調整し、二重体3〜8及び10の総濃度を6.6μMに調整した。
【0036】
【表2】

【0037】
上記表2から分かるように、二重体(オリゴ1/オリゴ7)及び二重体(オリゴ2/オリゴ7)のTm(℃)値は二重体(オリゴ5/オリゴ7)より12℃ぐらい低い。このようなマイナスのΔTm値は、オリゴヌクレオチドに水素結合し得る塩基がなく、糖残基より柔軟性に優れた1,3−ブタンジオールを用いて行われたヌクレオシドの置換に起因する。このような結果から一対の光学異性体間のキラル構造上の差がオリゴヌクレオチドのTm値に影響を及ぼさないことが分かる。
また、オリゴマーのCD(circular dichroism)分光分析結果を図2及び3に示す。これらの結果から分かるように、本発明によるオリゴマーの二重螺旋構造は野生型オリゴマーと類似している。
【0038】
オリゴ1、オリゴ2及びこれらの混合物(1:1)を対象にHPLC(high performance liquid chromatography)を下記の条件下で行う:
−温度:室温
−カラム:Agilent Eclipse XDB-C18、4.6×150mm、5μ、空隙大きさ80Å
−溶媒プログラム:試料注入後、5%アセトニトリール/0.1Mトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)pH7.0を10分間溶出させた。その後、勾配は50%アセトニトリール/0.1M TEAAになるまで線形的に増加させ、5分経過後、勾配はさらに線形的に減少させて初期状態になるようにした。
上記条件下で同一な滞留時間に溶出されたオリゴ1(a)、オリゴ2(b)及びこれらの混合物(c)のHPLC分析結果を図4に示し、その結果(S)−及び(R)−異性体間の構造的な差はオリゴヌクレオチド構造にほとんど影響を及ぼさないことが分かる。
【0039】
[実施例3]:ベンジルグリコレートを用いた式(II)のO−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ベンジルグリコレートの製造
ベンジルグリコレート(100μl、0.704mmol)及びDIPEA(480μl、2.8mmol)をTHF7mlに加えて30分間攪拌した後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(234μl、1.06mmol)を滴下して30分間攪拌した。その後、生成したかさばった白色沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥した。これに5%NaHCO溶液25mlを加えた後、CHCl40mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留し、残った黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して無色液体状の標題化合物(167mg、0.458mmol)を65%の収率で得た。
【0040】
MS(FAB):m/z:389.0[M+Na];IR(ニート):v=3032,2967,2932,1758,1496,1455,1395,1185,1098;H−NMR(300MHz,CDCl)7.33(5H,s),5.16(2H,s),4.28−4.17(2H,m),3.91−3.81(2H,m),3.64−3.57(2H,m),2.63−2.56(2H,m),1.77−1.23(12H,m);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ169.8,169.8,134.9,128.1,128.0,117.3,66.3,60.4,60.1,58.6,58.4,42.9,42.7,24.2,24.1,24.0,19.8,19.8;31P−NMR(121MHz,CDCl)δ153.7;HRMS−FAB(m/z):C1827Naに対する[M+Na]計算値:389.1606;実測値:368.1603。
【0041】
[実施例4]:リトコール酸(lithocolic acid)を用いた、式(III)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1)リトコールアルコール(化合物8)の製造
リトコール酸(527mg、1.40mmol)をTHF30mlに溶かし、0℃に冷却し、LAH(Lithium aluminum hydride)(247.6mg、6.58mmol)を滴下して4時間攪拌した。その後、これにHO 250μl及び15%NaOH水溶液250μlを順次加えた。生成したかさばった白色沈殿物を濾過した後、減圧下で乾燥させて白色固体状の標題化合物(486.4mg、1.33mmol)を95%の収率で得た。
【0042】
m.p.96.5−97.8℃;
MS(EI):m/z:362.3[M];
IR(ニート):v=3205,2934,2862,1446,1066,914,728cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=3.61−3.57(3H,m),1.82−1.01(28H,m),0.90(6H,s),0.62(3H,s);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)70.3,62.0,56.0,55.7,42.1,41.6,35.9,35.3,35.1,35.0,34.1,31.5,30.0,29.0,27.8,26.8,26.0,23.7,23.0,20.3,18.2,11.6;HRMS−FAB(m/z):C2441に対する[M−OH]計算値:345.3157;実測値:345.20。
【0043】
(段階2)O−DMTr−リトコールアルコール(化合物9)の製造
上記段階1で得られたリトコールアルコール(455.1mg、1.25mmol)及びDMAP(68mg、0.06mmol)をピリジン10mlに溶かした後、DMTr−Cl(544mg、1.63mmol)を加え、室温で19時間攪拌した。これに5%NaHCO50mlを加え、酢酸エチル50mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、オレンジ色のオイル残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル/ヘキサン=1:4)で精製して白色固体状の標題化合物(744.8mg、1.12mmol)を89%の収率で得た。
【0044】
m.p.81.2−82.1℃;MS(FAB):m/z:664.4(M);IR(ニート):v=3421,2934,2863,1739,1608,1582,1509,1446,1250,1175,1036,827cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.45(d,2H,J=7.2Hz),7.35−7.26(m,7H),6.89−6.80(dd,4H,J=7.0Hz,J=1.9Hz),3.80(s,6H),3.64(br,1H),3.04−2.98(m,2H),1.99−0.89(m,34H),0.63(s,3H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl):δ=159.0,148.2,137.6,130.7,129.0,128.3,127.2,126.6,113.7,86.4,72.6,64.7,57.3,56.9,55.9,43.4,42.9,41.2,40.9,37.2,36.6,36.3,36.1,35.3,33.1,31.3,28.9,27.9,27.4,27.2,24.9,24.1,21.6,19.4,12.8;HRMS−FAB(m/z):C4560に対する[M−OH]計算値:664.4492;実測値:664.4489。
【0045】
(段階3)O−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−リトコールアルコール(式(III)の化合物)の製造
上記段階2で得られたO−DMTr−リトコールアルコール(89.2mg、0.15mmol)及びDIPEA(77μl、0.45mmol)をCHCl2mlに溶かした。これにクロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(49μl、0.225mmol)を滴下し、室温で15分間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、反応溶液をCHCl10mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、白色固体状の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/ヘキサン=1:1.5)で精製して白色固体の標題化合物(69.3mg、0.081mmol)を54%の収率で得た。
【0046】
MS(FAB):m/z:866[M+H];IR(ニート):v=3353,2962,2935,2866,1608,1509,1463,1446,1376,1364,1300,1250,1178,1035,975,827,754cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.35(d,2H,J=7.6Hz),7.25−7.11(m,7H),6.73(d,4H,J=8.7Hz),3.70(s,9H),3.52(m,2H),2.91(m,2H),2.65(t,2H,J=6.4Hz),1.88−0.80(m,46H),0.53(s,3H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=159.0,146.2,137.6,130.7,129.0,128.3,127.2,113.7,110.1,86.4,77.9,75.2,74.9,64.7,59.1,58.8,57.2,56.9,55.9,43.8,43.7,43.4,43.0,41.1,40.9,36.6,36.2,36.0,35.3,33.1,32.3,30.3,28.9,28.0,27.4,27.1,25.4,25.3,25.2,25.1,24.9,24.0,21.5,21.1,21.0,19.4,12.7;31P−NMR(121MHz,CDCl)δ=148.1,147.4;HRMS−FAB(m/z):C5478に対する[M+1]+計算値:865.5648;実測値:865.5641。
【0047】
[実施例5]:bDNAの合成に用いられる式(IVa)のフォスフォアミダイトの製造
(段階1)ペンタエリスリトールのDMTr保護反応(化合物10、11及び12)
ペンタエリスリトール(1.1g、7.34mmol)及びDMAP(4−dimethylaminopyridine)(276mg、2.26mmol)をPy/DMF(2/1)15mlに溶かした後、DMTr−Cl(4.1g、12.1mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。これに5%NaHCO80mlを加えて、反応溶液をCHCl50mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、オレンジ色のオイル残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:2(化合物10);酢酸エチル:ヘキサン=1:1(化合物11);及びCHCl:MeOH=10:1(化合物12))で精製して3種の標題化合物(化合物10:2.93g、2.81mmol、70%;化合物11:520mg、0.702mmol、11.6%;化合物12:395mg、0.901mmol、7.4%)を得た。
【0048】
化合物10:m.p.96.3−97.8℃;MS(FAB):m/z:1065.3(M+Na);IR(ニート):v=3410.1,2929.6,1607.4,1508.1,1461.7,1300.2,1250.6,1176.4,1034.3cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.26−7.24(m,6H),7.19−7.15(m,21H),6.72(d,12H,J=8.9Hz),3.76(s,18H),3.59(s,2H),3.32(s,2H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl):δ=158.8,145.3,136.3,130.6,128.6,128.1,126.9,113.4,86.4,64.3,55.5,45.8.
【0049】
化合物11:m.p.88.8−89.7℃.MS(FAB):m/z:763.2(M+Na);IR(ニート):v=3442,1684,1652,1608,1507,1457,1250,1217,1176,1034cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.38−7.36(m,4H),7.29−7.20(m,14H),6.80(4,8H,J=8.5Hz),3.76(s,12H),3.64(s,4H),3.23(s,4H),2.39(s,2H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=158.0,144.3,135.3,129.7,127.7,127.4,126.3,112.7,85.8,65.0,62.7,54.7,45.0;HRMS−FAB(m/z):C525410Naに対する[M+Na]計算値:763.3247;実測値:763.3247。
【0050】
化合物12:室温でオイル状;MS(FAB):m/z:461.1(M+Na);IR(ニート):v=3734.1,3404.7,2927.3,1733.7,1607.2,1540.8,1508.1,1458.0,1300.8,1250.1,1176.1,1033.3,828.9,754.7cm−1H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.40−7.39(m,2H),7.31−7.24(m,7H),6.84−6.81(m,4H),3.77(s,6H),3.71(s,6H),3.16(s,2H),2.35(br,2H),1.63(br,1H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl):δ=158.8,135.7,130.2,128.2,127.2,113.5,65.4,64.1,55.4,45.5。
【0051】
(段階2)O−トリ−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール(式(IVa)の化合物)の製造
上記段階1で得られた化合物10(560mg、0.537mmol)及びDIPEA(187μl、1.074mmol)をTHF6mlに溶かした後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(297μl、1.34mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、酢酸エチル10mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、黄色オイル状の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して無色オイルの標題化合物(236mg、0.190mmol)を35%の収率で得た。
【0052】
MS(FAB):m/z:1265.6[M+Na];H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.27−7.14(m,27H),6.72−6.68(m,12H),4.11(q,2H,J=6.7Hz),3.75(s,18H),3.39−3.23(m,8H),2.23(t,2H,J=6.3Hz),2.03(s,2H),1.31−1.22(m,4H),1.09(d,6H,J=6.7Hz),0.95(d,6H,J=6.7Hz);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=157.7,144.7,135.8,129.7,127.8,127.1,126.0,112.5,85.1,62.3,57.7,54.7,42.5,24.1,24.0,13.7;31P−NMR(121.5MHz,CDCl):δ=148.9;HRMS−ESI(m/z):C778311Naに対する[M+Na]計算値:1243.5852;実測値:1243.5807。
【0053】
[実施例6]:bDNAの合成に用いられる式(IVb)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1)O−Di−DMTr−O−Lev−ペンタエリスリトール(化合物13)の製造
上記実施例5の段階1で得た化合物11(506mg、0.68mmol)、EDC(288mg、1.50mmol)及びDMAP(184mg、1.50mmol)をCHCl溶液14mlに溶かした後、ルブリン酸(77μl、0.75mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。これに5%NaHCO20mlを加えた後、CHCl10mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製して黄色固体である標題化合物(319.7mg、0.37mmol)を55%の収率で得た。
【0054】
m.p.55.4−56.1℃;MS(FAB):m/z:861.3(M+Na);IR(ニート):v=3522.7,3055.8,3035.1,3000.1,2955.5,2932.7,2836.1,1733.6,1717.2,1506.3,1301.6,1251.3,1177.6,1154.9,1072.5,1033.9cm−1H−NMR(300MHz,アセトン−d)δ=7.41−7.38(m,4H),7.29−7.18(m,14H),6.85−6.82(m,8H),4.15(s,2H),3.77(s,12H),3.77(s,12H),3.69−3.67(m,2H),3.50(m,1H),3.29(s,4H),2.63(t,2H,J=6.7Hz),2.35(t,2H,J=6.7Hz),2.07(s,3H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl):δ=205.7,172.4,159.0,145.9,136.4,130.6,128.0,126.9,126.3,113.3,86.2,64.0,61.9,55.0,45.5,37.7,28.0;HRMS−FAB(m/z):C525410Naに対する[M+Na]計算値:861.3615;実測値:861.3617。
【0055】
(段階2)O−DMTr−O−di−Lev−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール(式(IVb)の化合物)の製造
上記段階1で得たO−Di−DMTr−O−Lev−ペンタエリスリトール(319.7mg、0.37mmol)とDIPEA(260μl、1.48mmol)をTHF4mlに溶かした後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(166μl、0.74mmol)を滴下し、室温で1.5時間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、酢酸エチル10mlで抽出した。有機層をMgSOで乾燥して減圧蒸留した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/ヘキサン=3:2)で精製して黄色オイル状の標題化合物(302.8mg、0.29mmol)を77%の収率で得た。
【0056】
MS(FAB):m/z:1040(M+H);IR(ニート):v=2964,2931,2932,1736,1720,1607,1581,1508,1463,1444,1250,1177,1032cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.24(d,4H,J=7.2Hz),7.17−7.09(m,14H),6.67(d,8H,J=8.4Hz),4.02(q,2H,J=10.7Hz),3.68(s,12H),3.66−3.37(m,6H),3.16(m,4H),2.50(t,2H,J=7.0Hz),2.35(t,2H,J=6.3Hz),2.28(t,2H,J=6.7z),2.05(s,3H),1.21(t,4H,J=5.7Hz),1.05(d,6H,J=6.7Hz),0.94(d,6H,J=6.7Hz);13C−NMR(75,5MHz,CDCl)δ=172.5,158.8,145.2,136.2,130.5,128.4,127.9,126.8,117.9,113.2,86.0,61.6,60.6,55.4,43.3,43.1,38.0,30.0,28.0,24.8,24.7,14.4,158.0,144.2,135.3,135.0,129.7,127.7,127.4,127.3,126.3,117.2,112.6,112.5,85.8,85.5,62.6,61.6,61.4,60.2,57.9,57.7,54.7,46.9,43.5,42.7,42.5,37.3,30.47,29.3,27.3,24.2,24.1,22.1,20.7,19.9,19.8;31P−NMR(121.5MHz,CDCl)δ=150.2;HRMS−FAB(m/z):C617211Naに対する[M+H]計算値:1039.4874;実測値:1039.4877。
【0057】
[実施例7]:bDNAの合成に用いられる式(IVc)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1)O−DMTr−O−Lev−ペンタエリスリトール(化合物14)及びO−DMTr−O−di−Lev−ペンタエリスリトール(化合物15)の製造
上記実施例5の段階1で得られた化合物12(484.3mg、1.10mmol)、EDC(253mg、1.32mmol)及びDMAP(162mg、1.32mmol)をCHCl10mlに溶かした後、ルブリン酸(135mg、1.32mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。これに5%NaHCO20mlを加えた後、CHCl15mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥して減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:2と酢酸エチル:ヘキサン=1:1に溶出)で精製して黄色液体状の標題化合物(化合物14:141mg、0.22mmol、20%;化合物15:285mg、0.53mmol、48%)をそれぞれ得た。
【0058】
化合物14:MS(FAB):m/z657.2(M+Na);IR(ニート):v=3390,1792,1772,1699,1684,1653,1558,1540,1521cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.41−7.38(m,2H),7.28−7.20(m,7H),6.85−6.81(m,4H),4.16−4.10(m,4H),3.78(s,6H),3.54(d,2H,J=6.8Hz),3.14(s,2H),2.69(t,4H,J=6.5Hz),2.50−2.44(m,4H),2.15(s,6H),1.25(t,H,J=7.14Hz);13C−NMR−DEPT(75.5MHz,CDC1):5=130.7(CH),128.7(CH),128.5(CH),128.5(CH),113.8(CH),63.6(CH),62.6(CH),61.8(CH),55.9(CH),38.6(CH),30.4(CH),28.5(CH);HRMS−ESI(m/z):C364210Naに対する[M+Na]計算値:657.2676;実測値:657.2673。
【0059】
化合物15:MS(FAB):m/z559.2(M+Na);IR(ニート):v=3400,3179,3084,3056,3001,2929.7,2835.8,1716.9,1606.4,1508.5,1445.2,1380.3,1301.3,1250.3,1228.2,1177.6,1033.9,996.5,949.8,830.4,807.2,754.7cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.38−7.35(m,2H),7.26−7.11(m,7H),6.75(d,4H,J=8.5Hz),4.35(s,2H),4.22(s,2H),3.68(s,6H),3.64(s,4H),3.08(s,2H),2.57(t,2H,J=6.6Hz),2.37(t,2H,J=6.6Hz),2.05(s,3H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=206.2,172.4,157.9,153.8,144.4,135.4,129.6,127.6,127.3,126.2,112.6,85.5,63.4,63.2,61.7,54.6,44.3,29.3,27.4;HRMS−FAB(m/z):C3136Naに対する[M+Na]計算値:559.2308;実測値:559.2308。
【0060】
(段階2)O−DMTr−O−di−Lev−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール(式(IVc)の化合物)の製造
段階1で得たO−DMTr−O−Lev−ペンタエリスリトール(化合物14)(141mg、0.222mmol)とDIPEA(77μl、0.445mmol)をTHF6mlに溶かした後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(74μl、0.33mmol)を滴下し、室温で30分間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、酢酸エチル10mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥して減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して黄色オイル状の標題化合物(114.2mg、0.1354mmol)を61%の収率で製造した。
【0061】
MS(FAB):m/z:(M+Na);IR(ニート):v=2966,2933,1738,1717,1607,1508,1463,1362,1301,1250,1202,1178,1154,1076,1032cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.40−7.38(m,2H),7.29−7.26(m,7H),6.82(d,4H,J=8.7Hz),4.17−4.12(m,4H),3.78(s,6H),3.73−3.65(m,2H),3.61−3.51(m,2H),3.15(s,2H),2.68(t,4H,J=6.5Hz),2.56(t,2H,J=6.3Hz),2.48(t,4H,J=6.5Hz),2.16(s,6H),1.25(d,2H,J=6.7Hz),1.16(d,6H,J=6.7Hz),1.10(d,6H,J=6.7Hz);13C−NMR(75,5MHz,CDCl)δ=205.8,171.8,158.0,158.0,144.2,135.3,135.0,129.7,127.7,127.4,127.3,126.3,117.2,112.6,112.5,85.8,85.5,62.6,61.6,61.4,60.2,57.9,57.7,54.7,46.9,43.5,42.7,42.5,37.3,30.47,29.3,27.3,24.2,24.1,22.1,20.7,19.9,19.8;31P−NMR(121.5MHz,CDCl)δ=150.7
【0062】
[実施例8]:bDNAの合成に用いられる式(IVd)のフォスフォアミダイト化合物の製造
(段階1)O−DMTr−O−Lev−O−TBDMS−ペンタエリスリトール(化合物15)の製造
上記実施例7の段階1で得られたO−DMTr−O−di−Lev−ペンタエリスリトール(化合物15)(213mg、0.40mmol)とDMAP(164mg、1.33mmol)をTHF4mlに溶かした後、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(65mg、0.44mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、CHCl20mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥して減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製して黄色オイル状の標題化合物(119mg、0.18mmol、46%;Di−保護された産物:72.8mg、0.1mmol、25%)を得た。
【0063】
MS(FAB):m/z673.3(M+Na);IR(ニート):v=3500.5,2953.9,2930.1,2855.9,1720.0,1608.1,1509.0,1463.7,1444.9,1359.5,1301.4,1251.4,1177.4,1157.6,1071.9,1035.4,911.9,836.1cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.43−7.41(m,2H),7.32−7.26(m,7H),6.85−6.82(m,4H),4.20(d,2H,J=4.0Hz),3.79(s,6H),3.66−3.64(m,4H),3.15(s,2H),2.70(t,2H,J=6.6Hz),2.50(t,2H,J=6.5Hz),2.17(s,3H),0.84(s,9H),0.03(s,3H),0.02(s,3H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=206.6,173.0,158.9,145.1,136.2,130,5,128.5,128.2,127.2,113.5,86.6,64.8,64.0,63.9,62.6,55.6,45.5,38.3,30.1,28.3,26.2,18.5,−5.3;HRMS−FAB(m/z):[M+Na]計算値:673.3173;実測値:673.3173。
【0064】
(段階2)O−DMTr−O−Lev−O−TBDMS−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール(式(IVd)の化合物)の製造
段階1で得たO−DMTr−O−Lev−TBDMS−ペンタエリスリトール(化合物16)(134.8mg、0.207mmol)とDIPEA(144μl、0.828mmol)をTHF4.2mlに溶かした後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(114μl、0.518mmol)を滴下し、室温で1.5時間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、酢酸エチル10mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥し、減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して黄色オイル状の標題化合物(86.2mg、0.101mmol)を50%の収率で得た。
【0065】
MS(FAB):m/z:873.33(M+Na);IR(ニート):v=2961.8,2930.2,2881.8,2856.3,1738.0,1721.9,1607.7,1508.9,1463.6,1445.3,1362.9,1279.9,1251.5,1178.0cm−1H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.41−7.38(m,2H),7.29−7.17(m,7H),6.79(d,4H,J=8.9Hz),4.11−4.09(m,2H),3.76(s,6H),3.70−3.52(m,8H),3.12(s,2H),2.66−2.64(m,2H),2.53−2.45(m,4H),2.15(s,3H),1.14(d,6H,J=6.8Hz),1.08(dd,6H,J=6.7Hz,J=1.4Hz),0.08(d,9H,J=1.1Hz),−0.03(d,6H,J=2.4Hz);13C−NMR(75.5MHz,CDCl)δ=205.9,171.9,157.9,144.6,135.7,129.7,127.2,126.1,117.2,112.5,85.3,63.2,61.0,60.4,57.7,54,7,45.0,42.6,42.5,37.4,29.4,27.3,25.3,24.2,24.1,19.9,19.8,17.7,−6.12;31P−NMR(121.5MHz,CDCl)δ=150.3,150.1;HRMS−FAB(m/z):C4667SiNaに対する[M+Na]計算値:873.4251;実測値:873.4252。
【0066】
[実施例9]:デントリマーを用いた式(V)のフォスフォアミダイト化合物の製造
化合物17であるデントリマー化合物(84mg、0.11mmol、入手先:Hawker,C.J.;Frkchet,J.M.J.J.Am.Chem.SOC.112,7638-7647(1990))とN−メチルモルホリン(260μl、2.36mmol)をCHCN 4mlに溶かした後、クロロ−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−ホスフィン(140μl、0.62mmol)を滴下し、室温で5分間攪拌した。これに5%NaHCO10mlを加えた後、酢酸エチル15mlで抽出した。得られた有機層をMgSOで乾燥した後、減圧蒸留し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液−酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して薄黄色オイル状の標題化合物(96mg、0.10mmol)を92%の収率で得た。
【0067】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.32−7.23(m,20H),6.61(s,4H),6.50(br,4H),6.47(s,1H),4.94(s,8H),4.88(s,4H),4.49(s,2H),4.11(q,2H),3.92(t,2H),2.28(t,2H),1.04(d,6H),0.93(d,6H);13C−NMR(75MHz,CDCl)δ=160.9,160.8,140.0,137.5,129.3,128.7,128.3,107.2,106.5,102.4,70.9,70.7,53.0,44.9,44.8,43.0,22.5,22.4.;31P−NMR(127MHz,CDCl)δ=150.9。
【0068】
本発明を上記の具体的な実施例と関連して記述したが、添付された特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内で当該分野の熟練者が本発明を多様に変形及び変化させ得ることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】合成オリゴマーの溶融温度を示す。
【図2】合成オリゴマーのCD分光分析結果を示す。
【図3】合成オリゴマーのCD分光分析結果を示す。
【図4】精製されたオリゴマーの HPLC(High Performance Liquid Chromatography)分析結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)〜(V)から選択されるフォスフォアミダイト化合物:
【化1】

式中、Rはジメトキシトリチル(DMTr)、レブリニル(Lev)、又はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)である。
【請求項2】
次の化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
(S)−(+)−1−O−DMTr−3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−1,3−ブタンジオール;
(R)−(−)−1−O−DMTr−3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−1,3−ブタンジオール;
O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ベンジルグリコレート;
O−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−リトコールアルコール;
O−トリ−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;
O−DMTr−O−di−Lev−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;及び
O−DMTr−O−Lev−O−TBDMS−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II)〜(V)から選択されるフォスフォアミダイト化合物:
【化1】

式中、Rはジメトキシトリチル(DMTr)、レブリニル(Lev)、又はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)である。
【請求項2】
次の化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ベンジルグリコレート;
O−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−リトコールアルコール;
O−トリ−DMTr−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;
O−DMTr−O−di−Lev−O−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール;及び
O−DMTr−O−Lev−O−TBDMS−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォアミダイト)−ペンタエリスリトール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−513244(P2006−513244A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566323(P2004−566323)
【出願日】平成15年4月28日(2003.4.28)
【国際出願番号】PCT/KR2003/000857
【国際公開番号】WO2004/063208
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】