説明

新規4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体

【課題】新規な化学修飾4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物を提供すること。
【解決手段】以下の構造Pを有する4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物


(式中、R8は水素であり、R9はニトロである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は、米国仮出願第60/108,948号(1998年11月18日出願)の一部継続出願である。前記出願は参照することにより本明細書に組み込まれる。
発明の属する技術分野
本発明は、新規な4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、前記誘導体の製造方法及び前記誘導体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
化合物テトラサイクリンは以下の一般構造を示す。
【化1】

環核の付番方式は以下の通りである。
【化2】

テトラサイクリンは5−OH(テラマイシン)及び7−Cl(オーレオマイシン)誘導体と同様に天然に存在する周知の抗生物質である。天然テトラサイクリンは、その抗菌特性を失うことなしに修飾することができるだろう。ただし、構造の特定要素は維持されなければならない。基本のテトラサイクリン構造にされてもよく又はされていなくてもよい修飾は、Mitscher(The Chemistry of Tetracyclines, Chapter 6, Marcel Dekker, Publishers, New York (1978))により検討されている。前記Mitscherの文献によると、テトラサイクリン環系の部位5〜9における置換基は、抗菌特性の完全な喪失なしに修飾されてもよい。しかしながら、基本の環系に対する変化又は部位1〜4及び10〜12における置換基の置換は、一般的に、抗菌活性が実質的に喪失した又は有効でない抗菌活性を有する合成テトラサイクリンを導く。化学的に修飾された非抗菌性テトラサイクリン(以下、CMTという)の例は4−デジメチルアミノテトラサイクリンである。
いくつかの4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体が米国特許第3,029,284号及び第5,122,519号明細書に開示されている。これらの誘導体には、D環のC7及びC9部位に水素及びその他の置換基を有する6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン及び5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンが含まれる。これらの置換基には、アミノ、ニトロ、ジ(低級アルキル)アミノ及びモノ(低級アルキル)アミノ又はハロゲンが含まれる。6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体及び5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体は、抗菌剤として有用であるといわれている。
【0003】
A環のC4部位にオキシム基を有するその他の4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体は、米国特許第3,622,627号及び第3,824,285号明細書に開示されている。これらのオキシム誘導体はC7部位に置換基として水素及びハロゲンを有しており、7−ハロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン及び7−ハロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリンが含まれる。
アルキルアミノ(NH−アルキル)及びアルキルヒドラゾン(N−NH−アルキル)基は、4−デジメチルアミノテトラサイクリンのA環のC4部位において置換されている。これらの化合物はその抗菌特性について知られている。米国特許第3,345,370号、第3,609,188号、第3,622,627号、第3,824,285号、第3,622,627号、第3,502,660号、第3,509,184号、第3,502,696号、第3,515,731号、第3,265,732号、第5,112,519号、第3,849,493号、第3,772,363号及び第3,829,453号明細書を参照のこと。
抗菌特性に加えて、テトラサイクリンはその多数の用途を有することが開示されている。例えば、テトラサイクリンはコラーゲン分解酵素、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)(コラゲナーゼ(MMP−1)、ゼラチナーゼ(MMP−2)及びストロメライシン(MMP−3)を含む)の活性を阻害することが知られている(Golubら、J. Periodont. Res. 20: 12-23 (1985); Golubら、Crit. Revs. Oral Biol. Med. 2: 297-322 (1991); 米国特許第4,666,897号、第4,704,383号、第4,935,411号及び第4,935,412号明細書)。更にテトラサイクリンは、哺乳類の骨格筋における消耗(wasting)及びタンパク質分解を阻害すること(米国特許第5,045,538号)及び哺乳類細胞におけるIL−10生産を増強することが知られている。
更に、テトラサイクリンは骨タンパク質合成を増強し(米国特許第Re.34,656号明細書)、臓器培養において骨吸収を減少させる(米国特許第4,704,383号明細書)ことが示されている。
同様に、米国特許第5,532,227号明細書(Golubら)は、テトラサイクリンがタンパク質の過剰なグリコシル化を緩和することができることを開示している。特にテトラサイクリンは、糖尿病におけるコラーゲンの過剰なグリコシル化により生ずる過剰なコラーゲン架橋を阻害する。
【0004】
テトラサイクリンは、米国特許第5,532,227号明細書に開示されるように、炎症状態、例えば乾癬などに関連する過剰なホスホリパーゼA2活性を阻害することが知られている。更に、テトラサイクリンはシクロオキシゲナーゼ−2(COX2)、腫瘍壊死因子(TNF)、一酸化窒素及びIL−1(インターロイキン−1)を阻害することが知られている。
これらの特性は、テトラサイクリンを多数の疾患の治療において有用なものとする。例えば、非抗菌性テトラサイクリンを含むテトラサイクリンが関節炎の治療に有効であるとする提案が多数存在する。例えば、Greenwaldら "Tetracyclines Suppress Metalloproteinase Activity in Adjuvant Arthritis and, in Combination with Flurbiprofen, Ameliorate Bone Damage," Journal of Rheumatology 19: 927-938 (1992); Greenwaldら, "Treatment of Destructive Arthritic Disorders with MMP Inhibitors: Potential Role of Tetracyclines in Inhibition of Matrix Metalloproteinases: Therapeutic Potential," Annals of the New York Academy of Sciences 732: 181-198 (1994); Kloppenburgら "Minocycline in Active Rheumatoid Arthritis." Arthritis Rheum 37: 629-636 (1994) ;Ryanら, "Potential of Tetracycline to Modify Cartilage Breakdown in Osteoarthritis," Current Opinion in Rheumatology 8: 238-247 (1996) ; O'Dellら, "Treatment of Early Rheumatoid Arthritis with Minocycline or Placebo," Arthritis Rheum 40: 842-848 (1997)を参照のこと。
テトラサイクリンは、皮膚病の治療における使用が提案されている。例えば、Whiteら(Lancet. Apr. 29. p.966 (1989))は、テトラサイクリンであるミノサイクリンは、過剰量のコラゲナーゼに関連すると考えられている生命を危うくする皮膚状態である栄養障害性表皮水疱症の治療に有効であることを報告している。
更に研究は、テトラサイクリン及びメタロプロテイナーゼ阻害剤は腫瘍の進行(DeClerckら, Annals N. Y. Acad. Sci., 732: 222-232 (1994))、骨吸収(Rifkinら, Annals N. Y. Acad. Sci.,732: 165-180 (1994))、血管形成(Maragoudakisら, Br. J. Pharmacol., 111: 894-902 (1994))を阻害すること、更に抗炎症特性を有すること(Ramamurthyら, Annals N.Y. Acad. Sci., 732.427-430 (1994))を示唆している。
【0005】
前記の記載に基づくと、テトラサイクリンは異なる治療法において有効であることが見いだされている。しかしながら、新規な4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、前記誘導体の製造方法及び前記誘導体の異なる種類の疾患又は状態の治療のための使用に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
下記式のテトラサイクリン化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩により、前記及びその他の本発明の目的を達成することができることが発見された。
【化3】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ、ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジアゾニウム、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
【0007】
但し、R7及びR9のいずれかが水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ジメチルアミノ又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、R5、R7及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6及びR5が共に水素であり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6が水素であり、R5がヒドロキシルであり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6、R5、R9が共に水素であり、R7がシアノであるとき、R8はハロゲンである。)
【0008】
別の態様において、本発明は下記式のテトラサイクリン化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩を提供する。
【化4】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
4はNOH、N−NH−A及びNH−A(式中、Aは低級アルキル基である)からなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ.ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
【0009】
但し、R4がNOH、N−NH−アルキル又はNH−アルキルであり、かつR7、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNOHであり、R6-aがメチルであり、R6が水素又はヒドロキシルであり、R7がハロゲンであり、かつR5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がN−NH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、かつR7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ又はヒドロキシルであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7がモノ(低級アルキル)アミノ又はジ(低級アルキル)アミノであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシ又は水素であり、R7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンである。)
【0010】
更に別の態様において、本発明は、以下の一般式(I)〜(IV)を有する4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩を提供する。

一般式(I)
【化5】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
ジメチルアミノ 水素 ジアゾニウム
ジメチルアミノ クロロ アミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ
ジメチルアミノ クロロ アシルアミノ
ジメチルアミノ クロロ ジメチルアミノ
ジメチルアミノ 水素 水素
水素 水素 ジメチルアミノ)及び、
【0011】
一般式(II)
【化6】

【化7】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
水素 水素 ジアゾニウム
水素 水素 ジメチルアミノ
ジアゾニウム 水素 水素
エトキシチオカルボニルチオ 水素 水素
ジメチルアミノ クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ)及び、
【0012】
一般式(III)
【化8】

(式中、R8は水素又はハロゲンであり、R9はニトロ、(N,N−ジメチル)グリシルアミノ及びエトキシチオカルボニルチオからなる群より選ばれる。)及び、

一般式(IV)
【化9】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アミノ 水素 水素
ニトロ 水素 水素
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ブロモ 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
ジエチルアミノ 水素 水素
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 メチルアミノ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
ジメチルアミノ クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ)
【0013】
更に別の態様において、本発明は下記の式を有するテトラサイクリン化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩を提供する。
【化10】

【化11】

【化12】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ、ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジアゾニウム、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
a及びRbは水素、メチル、エチル、n−プロピル及び1−メチルエチルからなる群より選ばれ、
【0014】
但し、Ra及びRbは共に水素ではなく、
c及びRdは独立して(CH2nCHRe(式中、nは0又は1であり、Reは水素、アルキル、ヒドロキシ、低級(C1〜C3)アルコキシ、アミノ及びニトロからなる群より選ばれる)であり、
Wは(CHRem(式中、mは0〜3であり、Reは前記と同様である。)、NH、N(C1〜C3)の直鎖又は分岐したアルキル、O、S及びN(C1〜C4)の直鎖又は分岐したアルコキシからなる群より選ばれる。)
【0015】
本発明は、テトラサイクリン化合物の非抗菌的投与量からの利益を得る状態を患う哺乳類を治療する方法を含んでいる。前記の状態の例には、過剰なコラーゲンの分解、過剰なMMP酵素活性、過剰なTNF活性、過剰な一酸化窒素活性、過剰なIL−1活性、過剰なエラスターゼ活性、骨密度の過剰な減少、過剰なタンパク質分解、過剰な筋肉の消耗、コラーゲンの過剰なグリコシル化、過剰なCOX−2活性、不十分な骨タンパク質合成、不十分なインターロイキン10生産又は過剰なホスホリパーゼA2活性により特徴付けられる状態が含まれる。本発明の治療方法は、本発明のテトラサイクリン化合物の有効量を哺乳類に投与する工程を含んでいる。
本発明のこれら及びその他の利点は、本明細書に示される詳細な説明及び実施例から理解されるだろう。詳細な説明及び実施例は本発明の理解を高めるものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の特に好ましい化合物は、4−デジメチルアミノテトラサイクリン分子の7及び/又は9位にD環置換基を有している。これらの化合物には、7−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−アミノ−9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7、9−ジアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−エトキシチオカルボニルチオ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−アミノ−9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7、9−ジアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−エトキシチオカルボニルチオ、5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−8−クロロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−ニトロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン及び9−エトキシチオカルボニルチオ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンが含まれる。
【0017】
更に、D環をC8部位においてハロゲン化して、8−ハロデジメチルアミノテトラサイクリン誘導体を提供してもよい。本明細書で使用するとき、ハロゲンは塩素、フッ素、臭素及びヨウ素であることができる。8−ハロ−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体の例は、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン及び9−アミノ−8−クロロ−6−デジメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンである。
本発明の1つの態様において、4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体は、C4部位においてオキシム、NH−アルキル又はN−NH−アルキル基により置換されている。これらの化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩は以下の式を有する。
【化13】

【化14】

(式中、R7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
4はNOH、N−NH−A及びNH−A(式中、Aは低級アルキル基である)からなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ、ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
【0018】
但し、R4がNOH、N−NH−アルキル又はNH−アルキルであり、かつR7、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNOHであり、R6-aがメチルであり、R6が水素又はヒドロキシルであり、R7がハロゲンであり、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がN−NH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、かつR7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ又はヒドロキシルであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7がモノ(低級アルキル)アミノ又はジ(低級アルキル)アミノであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシ又は水素であり、かつR7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンである。)
【0019】
新規な4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体の環A〜D上の置換基の立体化学が特定されていない場合、両方のエピマーが含まれることが意図されることが理解されるだろう。
本明細書で使用するとき、NH−アルキル、N−NH−アルキル、アルコキシ及びアルキル基は、炭素数1〜26の直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル炭素鎖を含んでいる。例えば、アルキル基には10〜26の炭素原子を含む脂肪族アルキルが含まれる。飽和脂肪族アルキル基の例には、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリルなどが含まれる。不飽和脂肪族アルキル基の例には、パルミトレイル、オレイル、リノレイル、リノレニルなどが含まれる。
更にアルキル基は低級アルキル基を含み、低級アルキル基には炭素数1〜6の直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の炭素鎖が含まれる。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びベンジルが含まれる。アシル基のアルキル部分は前記と同様である。アシル基の例には、アセチル、プロピオニル、ブチリル及び前記の脂肪酸を含むアシル基が含まれる。
【0020】
好ましいオキシム化合物には、7−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−アミノ−9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7、9−ジアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−エトキシチオカルボニルチオ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノ−テトラサイクリン、9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−アミノ−9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン(9−ジメチルアミノアセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリンとしても知られる)、7,9−ジアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−エトキシチオカルボニルチオ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アミノ−8−クロロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−ニトロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アセトアミド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノ−テトラサイクリン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノ−テトラサイクリン及び9−エトキシチオカルボニルチオ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリンが含まれる。
【0021】
更にD環をC8部位においてハロゲン化して、8−ハロ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン化合物を提供してもよい。例としては、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン及び9−アミノ−8−クロロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリンが含まれる。
好ましいヒドラゾン化合物には、7−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−アミノ−9−ニトロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7,9−ジアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−エトキシチオカルボニルチオ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−ジメチルアミノ−9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アジド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−アミノ−9−ニトロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7,9−ジアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−ジメチルアミノ−9−アミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−エトキシチオカルボニルチオ、5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、7−ジメチルアミノ−9−アセトアミド−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アジド−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−8−クロロ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−ニトロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アセトアミド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−(N,N−ジメチル)グリシルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン及び9−エトキシチオカルボニルチオ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾンが含まれる。
【0022】
D環をC8部位においてハロゲン化して、8−ハロ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−ヒドラゾン化合物を提供してもよい。例としては、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン、9−アミノ−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾン及び9−アミノ−8−クロロ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−メチル又はエチルヒドラゾンが含まれる。
本発明の新規な4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体には、A環のC4部位にNH−アルキル(アルキルアミノ)置換基を有する化合物も含まれる。これらの化合物は前記と同様にC5、C6、C6a、C7、C8及び/又はC9部位に置換基を有している。例は9−アジド−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンである。
更に、ヘキサノイルアミノ基を本発明の全ての化合物のD環のC9部位に追加することができる。例として4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリンが含まれるが、これに限定されるものではない。
本発明の別の態様において、4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体は前記化合物のマンニッヒ(Mannich)誘導体である。前記誘導体には、例えば下記一般式を有する化合物並びにその医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩が含まれる。
【化15】

【化16】

【化17】

(式中、R5、R6、R7、R8及びR9は前記と同様であり、
a及びRbは水素、メチル、エチル、n−プロピル及び1−メチルエチルからなる群より選ばれ、
【0023】
但し、Ra及びRbは共に水素ではなく、Rc及びRdは独立して(CH2nCHRe(式中、nは0又は1であり、Reは水素、アルキル、ヒドロキシ、低級(C1〜C3)アルコキシ、アミノ及びニトロからなる群より選ばれる)であり、
Wは(CHRem(式中、mは0〜3であり、Reは前記と同様である)、NH、N(C1〜C3)の直鎖又は分岐したアルキル、O、S及びN(C1〜C4)の直鎖又は分岐したアルコキシからなる群より選ばれる。)
【0024】
例えば、mが0のとき、Rc及びRdは3〜5員環、例えばピロリジノ又は置換ピロリジノ環、モルホリノ又は置換モルホリノ環又はピペラジノ又は置換ピペラジノ環において互いに結合している。
これらのマンニッヒ誘導体には、例えばC2部位にピペラジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリン−1−イル又はピロリジン−1−イルピロリジン置換基を有する化合物が含まれる。これらの化合物は前記と同様にC4、C5、C6、C6a、C7、C8及び/又はC9部位に置換基を有している。前記化合物の例にはN−モルホリン−1−イルメチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン、N−ピロリジン−1−イルメチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン、N−モルホリン−1−イルメチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリン、N−ピロリジン−1−イルメチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリンが含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
本発明の新規な4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物又はその塩は、当該技術分野において既知の方法により容易に調製又は購入することができる開始反応を用いてC7、C8及び/又はC9部位におけるD環の置換により製造されるだろう。例えば、Mitscher, L. A., The Chemistry of the Tetracycline Antibiotics, Marcel Dekker, New York (1978), Ch. 6, Hlavka, J. and J. H. Boothe, The Tetracyclines, Springer-Verlag, Berlin-Heidelberg, page 18 (1985)及び米国特許第4,704,383号、第3,226,436号、第3,047,626号、第3,518,306号及び第5,532,227号を参照のこと。
例えば、7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを既知の出発反応物を用い、前記化合物を強酸及び金属硝酸塩と反応させることにより、D環のC9部位のニトロ化を行い、新規な9−ニトロ化合物を製造してもよい。本発明に適切な強酸の例は、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸又は過塩素酸である。適切な金属硝酸塩は、例えば硝酸カルシウム、硝酸カリウム又は硝酸ナトリウムである。D環のC9部位はニトロ化されて、対応の9−ニトロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−ニトロ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物を形成する。
【0026】
D環のC9部位のアミノ化は、9−ニトロ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン、例えば9−ニトロ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−ニトロ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを、適切に担持された触媒、例えばラネーニッケル、酸化白金又は炭素担持パラジウムの存在下、水素で処理することにより達成されるだろう。次いで、これを濾過し、有機溶媒、例えばエーテルで洗浄する。C9置換基を還元して、対応の9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−アミノ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物を形成する。
D環のC9部位におけるアミノ基をアシルアミド基、好ましくはスルホンアミド基に変換してもよい。例えば、9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−アミノ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物を、溶媒に分散した適切な酸スカベンジャーの存在下、塩化アシル、無水アシル、混合無水スルホニル、塩化スルホニル又は無水スルホニルで処理する。酸スカベンジャーは、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピリミジン、トリエチルアミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド又は塩基性イオン交換樹脂から適切に選択される。アシル化反応に適切な溶媒には、水、水−テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジオン、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン又は1,2−ジメトキシエタンが含まれる。C9アミノ基をアセトアミドに変換して、例えば対応の9−アセトアミド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−アセトアミド−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを形成してもよい。
ジアゾニウム基をD環のC9部位において置換することもできる。典型的には、9−アミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、例えば9−アミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−アミノ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを、0.1N HClのメタノール溶液中、n−ブチル硝酸塩で処理して、対応の9−ジアゾニウム誘導体、例えば9−ジアゾニウム−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−ジアゾニウム−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを形成する。
【0027】
9−ジアゾニウム−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、例えば9−ジアゾニウム−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−ジアゾニウム−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを、メタノール性塩酸+トリアゾ化合物、例えばアジ化ナトリウムで処理して、9−アジド誘導体、例えば9−アジド−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−アジド−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを形成することができる。
代替として、エトキシチオカルボニルチオ基を、D環のC9部位で置換することができる。例えば、9−ジアゾニウム−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、例えば9−ジアゾニウム−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は9−ジアゾニウム−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを酸金属塩、例えばキサントゲン酸エチルカリウム(potassium ethyl xanthate)で処理して、対応の9−エトキシチオカルボニルチオ誘導体、例えば9−エトキシチオカルボニルチオ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ又は9−エトキシチオカルボニルチオ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを形成する。
前記の反応は、4−デジメチルアミノテトラサイクリン分子のC9部位における置換について言及している。出発反応物及び使用する条件に依存して、C7部位における置換が更に存在し、7−置換−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体、例えば7−ジアゾニウム−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン又は7−アジド−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを誘導してもよい。7−置換誘導体を9−置換誘導体から分離し、以下のようにして精製することもできる。
【0028】
本発明の新規な7又は9−アジド−4−デジメチルアミノ誘導体を、7又は9−アジド−4−デジメチルアミノテトラサイクリンを強酸、例えばハロゲン化水素、ハロゲン化水素で飽和した硫酸又はハロゲン化水素で飽和したメタンスルホン酸で処理することによりC8部位でハロゲン化することができる。ハロゲン化水素が塩化水素であるとき、単離される生成物は8−クロロ(7又は9)アミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン誘導体である。特に好ましいハロゲン化化合物は9−アセトアミド−8−クロロ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシ−6−デメチル−4−デジメチルアミノテトラサイクリンである。
1つの態様において、本発明の4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物は、オキシム(NOH)、アルキルアミノ(NH−アルキル)又はアルキルヒドラゾン(N−NH−アルキル)基をA環のC4部位に有している。これらの化合物は、既知の方法を使用して作成することができる。例えば、4−ヒドロキシテトラシクロキシドを、例えばメタノール又はエタノールなどの溶媒中アルカリ条件下でヒドロキシアミン又はエチルヒドラジンで処理してもよい。C4部位における置換が起こり、4−デジメチルアミノ−4−オキシミノテトラサイクリン及び4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4−アルキルヒドラゾン化合物をアルカリ金属塩として単離することができる。例えば、米国特許第3,622.627号、第3,159,675号及び第3,345,370号明細書を参照のこと。既知の方法(すなわち、ハロゲン化、アミノ化又はニトロ化)を使用したD環におけるC7、C8及び/又はC9部位の置換は、本発明の新規な4−オキシム、4−ヒドラゾン及び4−アミノアルキル化合物を生じる。
マンニッヒ誘導体は、当該技術分野において既知の方法により作成することができる。例えば、前記のテトラサイクリン誘導体をホルムアルデヒド及び適切なアミンで処理してもよい。
特定の態様の例が、テトラサイクリン誘導体として前記にて記載される。しかしながら、本発明の化合物はテトラサイクリン誘導体に限定されるものではない。本発明は更に前記のテトラサイクリン誘導体と同様にサンサイクリン(sancycline)、ミノサイクリン及びドキシサイクリンの4−デジメチルアミノ誘導体及び4−置換4−デジメチルアミノ誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明は、4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物の酸付加塩及び金属塩を含む塩を含んでいる。前記の塩は、医薬的に許容しうる塩及び許容しえない酸並びに金属を用いて周知の手順により形成される。「医薬的に許容しうる」とは、本発明の化合物の毒性を実質的に増加させない塩形成性の酸及び金属を意味する。
適切な塩の例には、例えば塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、硫酸などの鉱酸、例えば酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸などの有機酸が含まれる。医薬的に許容しえない酸付加塩は治療には有用ではないが、新規物質の単離及び精製には役立つ。更に、医薬的に許容しない塩は、医薬的に許容しうる塩に製造に有用である。このグループの中で、より一般的な塩にはフッ化水素酸及び過塩素酸を用いて形成された塩が含まれる。ハイドロフルオライド塩は、塩酸中での溶解及び形成したハイドロクロライドの結晶化による医薬的に許容しうる塩、特にハイドロクロライドの製造に特に有用である。過塩素酸塩は新規生成物の精製及び結晶化に有用である。
金属塩も一般的に生成され、種々の目的に対して有用であるが、医薬的に許容しうる金属塩は特に有用である。なぜなら、治療において有用であるからである。医薬的に許容しうる金属には、より一般的にはナトリウム、カリウム、原子番号20含む番号までのアルカリ土類金属、すなわちマグネシウム及びカルシウム、更にアルミニウム、亜鉛、鉄及びマンガンが含まれる。金属塩には複合塩、すなわちテトラサイクリンの分野において十分に認識されている金属キレートが含まれる。
精製後、本発明の新規化合物は、当該技術分野において既知の標準的方法により都合よく精製することができる。いくつかの適切な例には、適切な溶媒からの結晶化又は分配カラムクロマトグラフィーが含まれる。
【0030】
本発明の新規4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物は、in vivo、in vitro及びex vivoで、例えば培養組織、器官又は細胞系だけではなく生きている哺乳類において使用することができる。哺乳類には、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ラット及びマウスなどの実験動物、ウマ及び雌ウシなどの家畜だけでなく、例えばヒトも含まれる。本明細書で使用するとき、組織とは、一緒になってある特別の機能を発揮する同様に特化した細胞の集合をいう。培養細胞系には、全ての哺乳類細胞、例えば上皮細胞、内皮細胞、赤血球、白血球などが含まれる。より詳細には、ヒト末梢血単球、滑膜繊維芽細胞などである。
本発明は、テトラサイクリン化合物の非抗菌的投与量からの利益を得る状態を患う哺乳類を治療する方法を含んでいる。これらの状態又は疾患は、過剰なコラーゲンの分解、過剰なMMP酵素活性、過剰なTNF活性、過剰な一酸化窒素活性、過剰なIL−1活性、過剰なエラスターゼ活性、骨密度の過剰な減少、過剰なタンパク質分解、過剰な筋肉の消耗、コラーゲンの過剰なグリコシル化、過剰なCOX−2活性、不十分な骨タンパク質合成、不十分なインターロイキン10生産又は過剰なホスホリパーゼA2活性により特徴付けられる。本発明の治療方法は、本発明のテトラサイクリン化合物の有効量を哺乳類に投与する工程を含んでいる。
本明細書で使用する用語「過剰」とは、哺乳類又は哺乳類細胞においてある病理学的問題を導く、通常の活性よりも増加した活性を意味する。
本発明のin vivoでの実施は、医学的及び獣医学的疾患、状態及び症候群の軽減又は緩和における適用を許容する。特に本発明は、有効量のテトラサイクリン化合物を哺乳類へ投与することによる、腹部大動脈瘤、角膜の潰瘍形成、歯周病、糖尿病、真性糖尿病(diabetes mellitus)、強皮病、早老症、肺疾患、癌、移植片対宿主病、抑制された骨髄機能の疾患、血小板減少症、人工関節の緩み(prosthetic joint loosening)、脊椎関節症、骨粗鬆症、パジェット病、自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症状態、腎疾患又は膠原病を含む状態又は疾患を患う哺乳類の治療方法を含んでいる。
【0031】
本発明のテトラサイクリン化合物により治療可能な癌性状態には、癌(carcinomas)、芽細胞腫、肉腫、例えばカポジ肉腫、神経膠腫並びに12大癌:前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、子宮癌、黒色腫、腎臓癌、白血病、卵巣癌及び膵臓癌が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明のテトラサイクリン化合物により治療可能な急性又は慢性炎症状態には、例えば炎症性腸疾患、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、膵炎、腎炎、糸球体腎炎、敗血症、敗血性ショック、リポ多糖内毒素性ショック(lipopolysaccharide endotoxin shock)、多臓器不全又は乾癬が含まれる。
本発明により治療可能な肺疾患には、例えばARDS(成人呼吸窮迫症候群)、嚢胞性線維症、肺気腫、毒薬の吸入による急性肺損傷が含まれる。毒薬の例には、酸、化学薬品、産業毒及び軍用毒、煙及びその他の燃焼による有毒生成物である。
本発明の新規テトラサイクリン化合物は、腎疾患の治療に使用することもできる。腎疾患のいくつかの例は、慢性腎不全、急性腎不全、腎炎又は糸球体腎炎である。
本明細書において使用するテトラサイクリン化合物の有効量は、疾患又は状態の治療の特定化された結果を達成するのに有効な量である。好ましくは、テトラサイクリン化合物又はその誘導体は、抗菌活性をほとんど又は全く有しない量で提供される。テトラサイクリン化合物又はその誘導体は、微生物の増殖を有意に阻害しない場合、効率的に抗菌性ではない。したがって、本発明の方法は、テトラサイクリン化合物の抗菌特性を減少又は除去するように化学的に修飾されたテトラサイクリン誘導体を有利に使用することができる。前記の化学的に修飾されたテトラサイクリンの使用は本発明において好ましい。なぜなら、前記の化合物は抗菌性テトラサイクリンよりも高いレベルで使用することができ、一方、前記化合物の抗菌量での使用においてしばしば伴う特定の不利益、例えば有益な微生物の無差別の殺傷や耐性微生物の出現を回避することができるからである。
【0032】
哺乳類についての最大投与量は、好ましくない又は耐え難い副作用を引き起こさない最大の投与量である。最小投与量は、有効性が最初に観察される最小の投与量である。例えば、テトラサイクリン化合物は、約0.1mg/kg/日〜約30mg/kg/日、好ましくは約1mg/kg/日〜約18mg/kg/日の量で投与することができる。いずれにしても、開業医は当該技術分野の技術及び知識によるガイドを受け、本発明は前記の効果を達成するのに有効な量を限定なしに含んでいる。
本発明の方法は、テトラサイクリン誘導体を、哺乳類細胞又は哺乳類における疾患又は状態を治療するのに有効な量で投与又は提供することを含んでいる。テトラサイクリン誘導体の投与は種々の方法により達成されるだろう。培養細胞系(in vitro)において、テトラサイクリン誘導体は、細胞と有効量のテトラサイクリン誘導体とを直接接触させることにより投与することができる。
生きている哺乳類(in vivo)において、本発明のテトラサイクリン誘導体は、制御された送達系を含む非経口及び経腸経路により全身投与することができる。例えば、本発明のテトラサイクリン誘導体を、好ましい送達経路である静脈内投与(例えば、静脈内注射)により容易に投与することができる。静脈内投与は、当該技術分野における開業医により理解されるように、テトラサイクリン誘導体を適切な医薬担体(ビヒクル)又は賦形剤中で混合することにより達成することができる。
経口又は経腸用途も企図され、例えば錠剤、カプセル、丸剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハ、チューインガムなどの製剤を用いてテトラサイクリン誘導体を提供することができる。
【0033】
代替として、テトラサイクリン誘導体の送達は局所適用を含むことができる。したがって担体は、好ましくは局所用途に適したものである。そのような局所用途に適していると考えられる組成物には、ゲル、塗剤、ローション、クリーム軟膏などが含まれる。テトラサイクリン誘導体を、支持基材又はマトリックスなどを用いて組み込んで、皮膚に直接適用することができる、あらかじめ包装された外科用又は尻用(bum)包帯又は絆創膏を提供してもよい。それゆえ、ビヒクル中、約25%(w/w)までの量のテトラサイクリン誘導体の局所投与は、適応症に依存して適切なものである。より好ましくは、約0.1%〜約10%のテトラサイクリン誘導体の適用が、疾患又は状態の治療に有効であると考えられる。これらの量は治療対象に有意な毒性を誘導するものではないと考えられる。
例えば、特定のケースにおいて、限定された体内分布のみを有するテトラサイクリン化合物は局在化活性に対して好ましいだろう。これらの非吸収性CMTの局所投与は、口頭の病変において好ましいだろう。なぜなら、CMTはたとえ嚥下しても有意な程度では全く吸収されないからである。
テトラサイクリン誘導体の組み合わせた又は同調的な局所投与及び全身投与も本発明の下で企図される。例えば、非吸収性テトラサイクリン化合物は局所投与をすることができ、一方、対象において実質的に吸収され、かつ全身分布に有効であることがきるテトラサイクリン化合物は全身投与をすることができる。
【0034】
光毒性
1つの態様において、本発明は光毒性が低い化合物のクラスに関する。潜在的に光毒性なテトラサイクリン誘導体を同定するために、3T3ニュートラルレッド光毒性アッセイを用いた。このアッセイは、Toxicology In Vitro 12: 305-327.1998に記載されている。
要約すると、3T3細胞を96ウェルプレートに播き、一晩インキュベートする。培養培地を除去し、CMTの連続希釈物を含みフェノールレッドを含まないハンクス平衡塩溶液(Hanks' Balanced Salt Solution)(1化合物につき2プレート)で置換する。最初の37℃で1時間にインキュベートの後、1つのプレートを、太陽シミュレーターからの5ジュール/cm2 UVA/白色光に暴露する。他方は暗中に維持する。次いでプレートをすすぎ、再培養(refed)し、24時間インキュベートする。細胞の可視性をニュートラルレッドの取り込みにより測定する。光毒性を、頒布されたガイドラインに従い、光暴露を行った投与と行わない投与との間の相対毒性により測定する(基準化合物には、市販のテトラサイクリン、ドキシサイクリン及びミノサイクリンが含まれる)。相対光毒性を光阻害因子(PIF)と呼ぶことにする。本アッセイにおける化合物の光毒性応答は、in vivoでの挙動と一致する。
光毒性が低いテトラサイクリン誘導体のクラスは、ミノサイクリンの光毒性の75%未満、好ましくは70%未満、より好ましくは60%未満、特に好ましくは50%以下の光毒性を有する。最適には、低光毒性テトラサイクリン誘導体のクラスはPIF値=1を有する。PIF値=1のとき、化合物は測定可能な光毒性を有しないと考えられる。このクラスのメンバーには、以下の一般式を有するテトラサイクリン化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化18】

(式中、R7、R8及びR9は、それぞれの場合において、一緒になって以下の意味を有する。
789
水素 水素 アミノ
水素 水素 パルミタミド(palmitamide)
水素 水素 ジメチルアミノ)及び、
【化19】

(式中、R7、R8及びR9は、それぞれの場合において、一緒になって以下の意味を有する。
789
水素 水素 アセトアミド
水素 水素 ジメチルアミノアセトアミド
水素 水素 ニトロ
水素 水素 アミノ)及び、
【化20】

(式中、R7、R8及びR9はそれぞれ水素、水素及びニトロである。)
【実施例】
【0036】
実施例
以下の実施例は本発明の更なる認識を提供するのに役立つが、どんな場合であっても本発明の有効な範囲を制限することを意味しない。

実施例1
4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ニトロテトラサイクリンサルフェート
1mmolの4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンの25ml濃硫酸溶液に、0℃下、1.05mmolの硝酸カリウムを添加した。得られた溶液を氷浴温度下で15分間攪拌し、1リットルの攪拌した冷エーテル中へ注いだ。沈殿した固体を落ち着かせ(settle)、大部分の溶媒をデカントした。
残った物質を、焼結ガラス漏斗を通して濾過し、集めた固体を冷エーテルで十分に洗浄した。生成物を真空乾燥機中で一晩乾燥した。

実施例2
9−アミノ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例1より得た9−ニトロ化合物の300mgのエタノール溶液30mlに、50mgのPtO2を添加した。水素の理論量が吸収されるまで、混合物を大気圧下で水素化した。この系に窒素を流した。触媒PtO2を濾過し、濾液を300mlのエーテルへ滴下した。分離した生成物を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0037】
実施例3
9−アセトアミド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例2より得た500mgの9−アミノ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンサルフェートの1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの十分に攪拌した冷溶液2.0mlに、500mg炭酸水素ナトリウムを添加し、次いで0.21mlの塩化アセチルを添加した。混合物を室温下で30分間攪拌し、濾過し、濾液を500mlのエーテルへ滴下した。分離した生成物を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例4
4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェート
実施例2より得た0.5gの9−アミノ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンサルフェートの氷浴中で冷却した0.1N塩酸のメタノール溶液10mlに、0.5mlのn−ブチルニトレートを添加した。溶液を氷浴温度下で30分間攪拌し、次いで250mlのエーテルに注いだ。分離した生成物を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例5
9−アジド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例4より得た0.3mmolの4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェートの0.1Nメタノール性塩酸溶液10mlに、0.33mmolのアジ化ナトリウムを添加した。混合物を室温下で1.5時間攪拌した。次いで反応混合物を200mlのエーテル中へ注いだ。分離した生成物を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0038】
実施例6
9−アミノ−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−テトラサイクリンサルフェート
実施例4より得た1gの9−アジド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンハイドロクロライドをHClで飽和した濃硫酸10ml中に0℃下で溶解した。混合物を氷冷温度下で1.5時間攪拌し、次いで500mlの冷エーテルへゆっくりと滴下した。分離した生成物を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例7
4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−エトキシチオカルボニルチオ−テトラサイクリンサルフェート
実施例4より得た1.0mmolの4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェートの水溶液15mlを、1.15mmolのキサントゲン酸エチルカリウム水溶液15mlへ添加した。
混合物を室温下で1時間攪拌した。生成物を分離し、濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例8A
ニトロ化の一般的手順
1mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンの濃硫酸溶液25mlに、0℃下、1mmolの硝酸カリウムを攪拌しながら添加した。反応溶液を15分間攪拌し、次いで100mlの砕いた氷中へ注いだ。水性溶液を各20mlのブタノールで5回抽出した。ブタノール抽出物を各10mlの水で3回洗浄し、真空中で25mlまで濃縮した。沈殿した明るい黄色の結晶性固体を濾過し、2mlのブタノールで洗浄し、真空下、60℃で2時間乾燥した。この固体は2つのモノニトロ異性体の混合物であった。
【0039】
実施例8B
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−9−ニトロテトラサイクリン
4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンからのニトロ化生成物(2つの異性体の混合物)980mgのメタノール溶液25mlに、十分な量のトリエチルアミンを添加して固体を溶解した。濾過した溶液(pH9.0)を濃硫酸でpH5.2に調節した。結晶性の黄色の固体(236mg)を得た(収率29%)。この時点で物質は極めて純粋であり、少量の7−異性体のみが含まれている。最終の精製を、珪藻土充填カラム及び溶媒系:クロロホルム:ブタノール:0.5Mリン酸緩衝液(pH2)(16:1:10)を用いた液相分配クロマトグラフィーにより達成した。

実施例9
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−7−ニトロテトラサイクリン
実施例8より得たメタノール濾液を濃硫酸により直ぐにpH1.0に調節した。明るい黄色の結晶性の固体をサルフェート塩として得た。精製した遊離塩基は、サルフェート塩の水性溶液(25mg/ml)を2N炭酸ナトリウムでpH5.2に調節することにより得た。

実施例10
9−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリン
実施例8で調製した9−ニトロ化合物300mlのエタノール溶液30mlに、50mgのPtO2を添加した。混合物を、理論量の水素が吸収されるまで大気圧下で水素化した。系に窒素を流した。触媒であるPtO2を濾過し、濾液を300mlのエタノール溶液へ滴下した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0040】
実施例11
9−アセトアミド−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例10より得た500mgの9−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェートの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの十分に攪拌した冷溶液2.0mlに、500mlの炭酸水素ナトリウムを添加し、続いて0.21mlの塩化アセチルを添加した。混合物を室温下で30分間攪拌し、濾過し、濾液を500mlのエーテルへ滴下した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例12
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェート
実施例10で得た0.5gの9−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェートの、氷浴中で冷却したメタノールの0.1N塩酸溶液10mlに、0.5mlのn−ブチルニトレートを添加した。溶液を氷浴温度で30分間攪拌し、250mlのエーテルへ注いだ。分離した固体を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例13
9−アジド−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例12の4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェート0.3mmolの、0.1Nメタノール性塩酸溶液10mlに、0.33mmolのアジ化ナトリウムを添加した。混合物を室温下で1.5時間間攪拌した。反応混合物を200mlのエーテルに注いだ。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0041】
実施例14
9−アミノ−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例13より得た1gの9−アジド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンハイドロクロライドを、HClで飽和した濃硫酸10ml中に、0℃下で溶解した。混合物を氷浴温度下で1.5時間攪拌し、次いで500mlの冷エーテルへゆっくりと滴下した。分離した固体を濾過し、洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例15
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−9−エトキシチオカルボニルチオテトラサイクリンサルフェート
実施例12より得た1.0mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンサルフェートの水溶液15mlに、1.15mmolのキサントゲン酸エチルカリウムの水溶液15mlを添加した。混合物を室温下で1時間攪拌した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例16
9−ジメチルアミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例10より得た9−アミノ化合物100mgのエチレングリコールモノメチルエーテル溶液10mlに、0.05mlの濃硫酸、0.4mlの40%水性ホルムアルデヒド溶液及び100mgの10%炭素担持パラジウム触媒を添加した。混合物を大気圧、室温下で20分間水素化した。触媒を濾過し、濾液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を5mlメタノールに溶解し、この溶液を100mlのエーテルへ添加した。分離した生成物を濾過し、乾燥した。収量98mg。
【0042】
実施例17
7−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリン
この化合物は手順A又はBを用いて作成することができる。
手順A:実施例1より得た300mgの7−ニトロ化合物のエタノール溶液30mlに、50mgのPtO2を添加した。混合物を、理論量の水素が吸収されるまで大気圧下で水素化した。この系に窒素を流した。触媒であるPtO2を濾過し、濾液を300mlのエーテルに添加した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
手順B:1gの6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−テトラサイクリンを、7.6mlのTHF及び10.4mlのメタンスルホン酸中に−10℃下で溶解した。混合物を0℃まで暖めた後、0.86gのジベンジルアゾジカルボキシレートを添加し、混合物を0℃で2時間攪拌して、7−[1,2−ビス(カルボベンジルオキシ)ヒドラジノ]−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンを得た。1mmolのこの物質の2−メトキシエタノール溶液70ml及び300mgの10%Pd−Cを室温下で水素化して、7−アミノ−6−デオキシ−4−デジメチルアミノ−テトラサイクリンを得た。

実施例18
7−アミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン
1gの6−デオキシ−5−ヒドロキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン3を、7.6mlのTHF及び10.4mlのメタンスルホン酸中、−10℃下で溶解した。混合物を0℃まで暖めた後、0.86gのジベンジルアゾカルボキシレートのTHF溶液0.5mlを添加し、混合物を0℃下で2時間攪拌して7−[1,2−ビス(カルボベンジルオキシ)ヒドラジノ]−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンを得た。1mmolのこの物質の2−メトキシエタノール溶液70ml及び300mgの10%Pd−Cを室温下で水素化して、7−アミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンを得た。
【0043】
実施例19
7−アセトアミド−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェート
実施例18より得た500mgの7−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェートの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの十分に攪拌した冷溶液2mlに、500mlの炭酸水素ナトリウムを添加し、続いて0.21mlの塩化アセチルを添加した。混合物を室温下で30分間攪拌し、濾過し、濾液を500mlのエーテルへ滴下した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例20
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシ−7−ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライド
実施例20で得た0.5gの7−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェートの0.1N塩酸の氷浴中で冷却したメタノール溶液10mlに、0.5mlのn−ブチルニトレートを添加した。溶液を氷浴温度で30分間攪拌し、250mlのエーテルへ注いだ。分離した固体を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例21
7−アジド−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリン
実施例20より得た0.3mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシ−7−ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライドの、0.1Nメタノール性塩酸溶液10mlに、0.33mmolのアジ化ナトリウムを添加した。混合物を室温下で1.5時間間攪拌した。反応混合物を200mlのエーテルに注いだ。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0044】
実施例22
7−アミノ−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェート
実施例21より得た1gの7−アジド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェートを、(既に塩化水素で飽和した)濃硫酸10ml中に、0℃下で溶解した。混合物を氷浴温度下で1.5時間攪拌し、次いで500mlの冷エーテルへゆっくりと滴下した。分離した固体を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例23
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシ−7−エトキシチオカルボニルチオテトラサイクリン
実施例20より得た1.0mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシ−7−ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライドの水溶液15mlに、1.15mmolのキサントゲン酸エチルカリウムの水溶液15mlを添加した。混合物を室温下で1時間攪拌した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例24
7−ジメチルアミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェート
7−アミノ化合物100mgのエチレングリコールモノメチルエーテル溶液10mlに、0.05mlの濃硫酸、0.4mlの40%水性ホルムアルデヒド溶液及び100mgの10%炭素担持パラジウム触媒を添加した。混合物を大気圧、室温下で20分間、水素で還元した。触媒を濾過し、濾液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を5mlのメタノールに溶解し、この溶液を100mlのエーテルへ添加した。分離した生成物を濾過し、乾燥した。収量78mg。
【0045】
実施例25
7−ジエチルアミノ−4−デジメチルアミノ−5−ヒドロキシテトラサイクリンサルフェート
7−アミノ化合物100mgのエチレングリコールモノメチルエーテル溶液10mlに、0.05mlの濃硫酸、0.4mlのアセトアルデヒド及び100mgの10%炭素担持パラジウム触媒を添加した。混合物を大気圧、室温下で20分間水素化した。触媒を濾過し、濾液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を5mlのメタノールに溶解し、この溶液を100mlのエーテルへ添加した。
分離した生成物を濾過し、乾燥した。

実施例26
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−7−ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライド
実施例17で得た0.5gの7−アミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェートの0.1N塩酸の氷浴中で冷却したメタノール溶液10mlに、0.5mlのn−ブチルニトレートを添加した。溶液を氷浴温度で30分間攪拌し、250mlのエーテルへ注いだ。分離した固体を濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例27
7−アジド−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリン
実施例26より得た0.3mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−7−ジアゾニウムテトラサイクリンの0.1Nメタノール性塩酸溶液10mlに、0.33mmolのアジ化ナトリウムを添加した。混合物を室温下で1.5時間間攪拌した。反応混合物を200mlのエーテルに注いだ。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。
【0046】
実施例28
7−アミノ−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
1gの7−アジド−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6デオキシテトラサイクリンサルフェートを、(既に塩化水素で飽和した)濃硫酸10ml中に、0℃下で溶解した。混合物を氷浴温度下で1.5時間攪拌し、次いで500mlの冷エーテルへゆっくりと滴下した。分離した固体を濾過し、洗浄し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例29
4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−7−エトキシチオカルボニルチオテトラサイクリン
実施例26より得た1.0mmolの4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−7ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライドの水溶液15mlに、1.15mmolのキサントゲン酸エチルカリウムの水溶液15mlを添加した。混合物を室温下で1時間攪拌した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例30
7−ジメチルアミノ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシテトラサイクリンサルフェート
実施例26より得た7−アミノ化合物100mgのエチレングリコールモノメチルエーテル溶液10mlに、0.05mlの濃硫酸、0.4mlの40%水性ホルムアルデヒド溶液及び100mgの10%炭素担持パラジウム触媒を添加した。混合物を大気圧、室温下で20分間、水素を用いて還元した。触媒を濾過し、濾液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を5mlのメタノールに溶解し、この溶液を100mlのエーテルへ添加した。分離した生成物を濾過し、乾燥した。
【0047】
実施例31
9−アセトアミド−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシ−6−デメチルテトラサイクリン
実施例6より得た500mgの9−アミノ−8−クロロ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−6−デメチル−7−ジメチルアミノテトラサイクリンサルフェートの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの十分に攪拌した冷溶液2mlに、500mlの炭酸水素ナトリウムを添加し、続いて0.21mlの塩化アセチルを添加した。混合物を室温下で30分間攪拌し、濾過し、濾液を500mlのエーテルへ滴下した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例32
8−クロロ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシ−6−デメチル−9−エトキシチオカルボニルチオテトラサイクリン
1.0mmolの8−クロロ−4−デジメチルアミノ−6−デオキシ−6デメチル−7−ジメチルアミノ−9−ジアゾニウムテトラサイクリンハイドロクロライドの水溶液15mlに、1.15mmolのキサントゲン酸エチルカリウムの水溶液15mlを添加した。混合物を室温下で1時間攪拌した。分離した固体を濾過し、真空乾燥機中で乾燥した。

実施例33
8−クロロ−9−ジメチルアミノ−4−デジメチルアミノ−7−ジメチルアミノ−6−デオキシ−6−デメチルテトラサイクリンサルフェート
実施例6より得た9−アミノ化合物10mgのエチレングリコールモノメチルエーテル溶液10mlに、0.05mlの濃硫酸、0.4mlのアセトアルデヒド及び100mgの10%炭素担持パラジウム触媒を添加した。混合物を大気圧、室温下で20分間、水素で還元した。触媒を濾過し、濾液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を5mlのメタノールに溶解し、溶液を100mlのエーテルへ添加した。分離した生成物を濾過し、乾燥した。
【0048】
実施例34
N−(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン
58mg(37%)ホルムアルデヒド(0.72mmol)の水溶液を、203mg(0.49mmol)の4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンのエチレングリコールジメチルエーテル溶液5.0mlへ添加した。混合物を室温下で0.5時間攪拌した。56mg(0.56mmol)の1−メチルピペラジンを添加し、得られた混合物を一晩攪拌し、20分間還流した。次いで混合物を冷却し、固体生成物を濾過により集めた。次いで固体生成物を溶媒で洗浄し、真空濾過により乾燥した。

実施例35
N−(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル−4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリン
49mgの37%ホルムアルデヒド(0.60mmol)の水溶液を、146mg(0.30mmol)の4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリンのエチレングリコールジメチルエーテル溶液5.0mlに添加した。混合物を室温下で0.5時間攪拌した。次いで60mg(0.60mmol)の1−メチルピペラジンを添加し、得られた混合物を一晩攪拌し、20分間還流した。次いで混合物を冷却し、固体生成物を濾過により集めた。次いで固体生成物を溶媒で洗浄し、真空濾過により乾燥した。

実施例36
4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−9−ヘキサノイルアミノテトラサイクリン
1.54g(7.2mmol)の無水ヘキサン酸及び150mgの10%Pd/C触媒を、6mlの1,4−ジオキサン及び6.0mlのメタノール中の300mg(0.72mmol)の4−デジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリンへ添加した。混合物を室温下で一晩水素化した。触媒を濾過により除去し、濾液を真空下で濃縮した。残渣を7mlの酢酸エチル中に溶解し、50mlのヘキサンで摩砕して固体生成物を生成した。固体生成物を濾過し、真空濾過により乾燥した。
【0049】
本発明の好ましい態様であると現在考えられるものが記載されたが、当業者はその他の態様及び更なる態様を本発明の精神から離れることなしに行うことができることを認識するだろう。またそのような修飾及び改変は全て請求の範囲の真の範囲内に含まれることが意図される。

実施例37
光毒性の決定
BALB/c 3T3(CCL−163)細胞をATCCより入手し、L−グルタミン(4mM)及び10%新生仔ウシ血清を補充した、抗生物質を含まないダルベッコ最小基本培地(4.5g/lグルコース)(DMEM)中で培養した。作業用の細胞バンクを調製したところ、マイコプラズマを含んでいないことが見いだされた。細胞を96ウェルプレート中、試験品で処理した後、ストレプトマイシンサルフェート(100μg/ml)及びペニシリン(100IU/ml)を培地に添加した。
テトラサイクリン誘導体の連続希釈を、DMSO中、100×〜最終試験濃度の濃度で調製した。次いでDMSO中のCMT希釈物を、細胞への適用のためにハンクス緩衝塩溶液(HBSS)中に溶解した。最終のDMSO濃度は、処理培養及び対照培養において1%であった。投与量範囲を見いだすアッセイのために、8つの連続希釈が1/2対数刻みで100〜0.03mg/mlの範囲をカバーした。一方、決定用アッセイ(definitive assay)では、予想される50%毒性のポイントを中心に1/4対数刻み調製した6〜8の投与量を使用した。多くの場合において、UV光なしの処理に対する投与量範囲はUV光を用いて選択された投与量範囲とは異なっていた。100pg/mlが、投与溶液によるUV吸収により引き起こされる擬陰性の結果を防ぐために推奨される最高の投与量である。
【0050】
対照:各アッセイは負(溶媒)及び正の対照の両方を含んでいた。負の対照の12ウェルを各96ウェルプレートにおいて使用した。クロルプロマジン(Sigma)を正の対照として用い、CMTと同様に調製して投与した。
太陽シミュレーター:UVA H1フィルター(320〜400nm)を備えたDermalight SOL3太陽シミュレーターを適切な高さに調節した。96ウェルマイクロタイタープレートのふた(lid)を通過するエネルギーの測定は、較正したUVラジオメーターUVAセンサーを使用して行った。シミュレーターの高さを、1.7±0.1m/Wcm2のUVAエネルギー(得られる線量は1J/cm2/10分間)を送達するように調節した。
【0051】
光毒性アッセイ:処理24時間前に1μlの完全培地に104の3T3細胞を播くことにより、各試験物質についての二つ組のプレートを調製した。処理の前に培地を除去し、細胞を125μlのあらかじめ暖めたHBSSで1回洗浄した。50μl試験品希釈物を適切なウェルに添加し、プレートを約1時間インキュベーターへ戻した。1時間のインキュベート後、光刺激アッセイ用に指定したプレートを、室温下、1.7±0.1m/Wcm2のUVA光に50±2分間(ふたをつけたまま)暴露し、5J/cm2の照射線量を得た。細胞毒性アッセイに指定した二つ組のプレートを、暗中、室温下で50±2分間維持した。50分間の暴露期間後、試験品希釈物プレートからデカントし、細胞を125μlのHBSSで1回洗浄した。100μlの培地を全てのウェルに添加し、細胞を前記と同様にして24±1時間インキュベートした。
24時間のインキュベート後、培地をデカントし、培地を含む100μlのニュートラルレッドを各ウェルに添加した。プレートをインキュベーターに戻し、約3時間インキュベートした。3時間後、培地をデカントし、各ウェルを250μlのHBSSで1回すすいだ。プレートをブロットしてHBSSを除去し、100μlのニュートラルレッド溶媒を各ウェルに添加した。室温下、20分間(振盪しながら)最小のインキュベートし、550nmにおける吸光度を、リファレンスとしてブランクの外側セルを用いたプレートリーダーにより測定した。相対的な生存は、同一のプレートにおいて、試験品及び正の対照処理グループにより採取されたニュートラルレッドの量と、負の対照処理グループにより採取されたニュートラルレッドの量とを比較することにより得た。UVA暴露及び非暴露についてのIC50値は可能なときにいつでも決定した。1つの投与量範囲の知見及び少なくとも2つの決定的な痕跡(definitive trail)を各CMTについて行った。
【0052】
光毒性の決定:テトラサイクリン誘導体の光毒性は、光阻害因子(PIF)により測定することができる。PIFは、UVAなしのIC50[IC50(−UVA)]とUVAありのIC50[IC50(+UVA)]とを比較することにより決定した。

PIF=IC50(−UVA)/IC50(+UVA)

両方のIC50値を決定することができる場合、光毒薬及び非光毒薬とを区別する因子の境界値は5である。5よりも大きい因子は、試験化合物の光毒性の性質を示している。
化学薬品が+UVAでのみ細胞毒性であり、−UVAで試験したときは細胞毒性ではない場合、因子を計算することができない。ただし、あるレベルの光毒性の可能性を示すはっきりとした結果を有するだろう。この場合、「>PIF」を計算することができ、最高の試験可能な投与量(−UVA)を「>PIF」の計算に使用するだろう。

>PIF=最大投与量(−UVA)/IC50(+UVA)

化学品が試験した最高の投与量までに細胞毒性(生存度の50%の減少)を示さないため、IC50値(−UVA)及びIC50(+UVA)の両方を計算することができない場合、このことは光毒性の可能性の欠如を示すだろう。
【0053】
構造のインデックス
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【0054】
本発明の態様の例は以下の通りである。
(1)以下の式を有するテトラサイクリン化合物、その医薬的に容しうる塩及び許容しない塩。
【化26】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ、ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジアゾニウム、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
但し、R7及びR9のいずれかが水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ジメチルアミノ又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、R5、R7及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6及びR5が共に水素であり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6が水素であり、R5がヒドロキシルであり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6、R5、R9が共に水素であり、R7がシアノであるとき、R8はハロゲンである。)
(2)以下の式を有するテトラサイクリン化合物、その医薬的に容しうる塩及び許容しない塩。
【化27】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
4はNOH、N−NH−A及びNH−A(式中、Aは低級アルキル基である)からなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ.ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
但し、R4がNOH、N−NH−アルキル又はNH−アルキルであり、かつR7、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNOHであり、R6-aがメチルであり、R6が水素又はヒドロキシルであり、R7がハロゲンであり、かつR5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がN−NH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、かつR7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ又はヒドロキシルであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7がモノ(低級アルキル)アミノ又はジ(低級アルキル)アミノであるとき、R8はハロゲンであり、
4がNH−アルキルであり、R6-aがメチルであり、R6がヒドロキシ又は水素であり、R7、R5及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンである。)
(3)以下の式から選ばれる4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物、その医薬的に許容しうる塩及び許容しない塩。
【化28】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
ジメチルアミノ 水素 ジアゾニウム
ジメチルアミノ クロロ アミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ
ジメチルアミノ クロロ アシルアミノ
ジメチルアミノ クロロ ジメチルアミノ
ジメチルアミノ 水素 水素
水素 水素 ジメチルアミノ)及び、
【化29】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
水素 水素 ジアゾニウム
水素 水素 ジメチルアミノ
ジアゾニウム 水素 水素
エトキシチオカルボニルチオ 水素 水素
ジメチルアミノ クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ)及び、
【化30】

(式中、R8は水素又はハロゲンであり、R9はニトロ、(N,N−ジメチル)グリシルアミノ及びエトキシチオカルボニルチオからなる群より選ばれる。)及び、
【化31】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
アミノ 水素 水素
ニトロ 水素 水素
アジド 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アジド
水素 水素 アミノ
水素 水素 アジド
水素 水素 ニトロ
ブロモ 水素 水素
ジメチルアミノ 水素 アミノ
アシルアミノ 水素 水素
水素 水素 アシルアミノ
アミノ 水素 ニトロ
水素 水素 (N,N−ジメチル)グリシルアミノ
アミノ 水素 アミノ
ジエチルアミノ 水素 水素
水素 水素 エトキシチオカルボニルチオ
ジメチルアミノ 水素 メチルアミノ
ジメチルアミノ 水素 アシルアミノ
ジメチルアミノ クロロ アミノ
アミノ クロロ アミノ
アシルアミノ クロロ アシルアミノ
水素 クロロ アミノ
アミノ クロロ 水素
アシルアミノ クロロ 水素
モノアルキルアミノ クロロ アミノ
ニトロ クロロ アミノ)
(4)以下の式で示されるテトラサイクリン化合物、その医薬的に許容しうる塩、許容しない塩。
【化32】

【化33】

【化34】

(式中、
7は水素、アミノ、ニトロ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジ(低級アルキル)アミノ、エトキシチオカルボニルチオ、アジド、アシルアミノ、ジアゾニウム、シアノ及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
6-aは水素及びメチルからなる群より選ばれ、
6及びR5は水素及びヒドロキシルからなる群より選ばれ、
8は水素及びハロゲンからなる群より選ばれ、
9は水素、アミノ、アジド、ニトロ、アシルアミノ、ヒドロキシ、エトキシチオカルボニルチオ、モノ(低級アルキル)アミノ、ハロゲン、ジアゾニウム、ジ(低級アルキル)アミノ及びRCH(NH2)CO(式中、Rは水素又は低級アルキルである)からなる群より選ばれ、
a及びRbは水素、メチル、エチル、n−プロピル及び1−メチルエチルからなる群より選ばれ、
但し、Ra及びRbは共に水素ではなく、
c及びRdは独立して(CH2nCHRe(式中、nは0又は1であり、Reは水素、アルキル、ヒドロキシ、低級(C1〜C3)アルコキシ、アミノ及びニトロからなる群より選ばれる)であり、
Wは(CHRem(式中、mは0〜3であり、Reは前記と同様である。)、NH、N(C1〜C3)の直鎖又は分岐したアルキル、O、S及びN(C1〜C4)の直鎖又は分岐したアルコキシからなる群より選ばれる。)
(5)以下の条件:
7及びR9のいずれかが水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6、R5及びR9が共に水素であり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ジメチルアミノ又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6及びR9が共に水素であり、R5がヒドロキシルであり、かつR7が水素、アミノ、ニトロ、ハロゲン又はジエチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6がヒドロキシルであり、R5、R7及びR9が共に水素であるとき、R8はハロゲンであり、
6-a、R6及びR5が共に水素であり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6が水素であり、R5がヒドロキシルであり、R9がメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノであるとき、R8はハロゲンであり、
6-aがメチルであり、R6、R5、R9が共に水素であり、R7がシアノであるとき、R8はハロゲンである、
を有する、前記(4)記載の方法。
(6)PIFが約1である、前記(1)記載のテトラサイクリン化合物。
(7)以下の化合物からなる群より選ばれる、前記(6)記載のテトラサイクリン化合物。
【化35】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
水素 水素 アミノ
水素 水素 パルミタミド)及び、
【化36】

(式中、それぞれの場合において、R7、R8及びR9は一緒になって下記の意味を有する。
789
水素 水素 アセトアミド
水素 水素 ジメチルアミノアセトアミド
水素 水素 ニトロ
水素 水素 アミノ)及び、
【化37】

(式中、R7、R8及びR9はそれぞれ水素、水素及びニトロである。)
(8)PIFが1〜2の間の値である、前記(1)に記載のテトラサイクリン化合物。
(9)以下の一般式を有する、前記(8)に記載のテトラサイクリン化合物。
【化38】

(式中、R7、R8及びR9はそれぞれ水素、水素及びジメチルアミノである。)
(10)テトラサイクリン化合物の非抗菌的投与量からの利益を得る状態を患う哺乳類を治療する方法であって、
前記(1)、(2)、(3)又は(4)に記載のテトラサイクリン化合物の有効量を該哺乳類へ投与する工程を含み、
該状態が、過剰なコラーゲンの分解、過剰なMMP酵素活性、過剰なTNF活性、過剰な一酸化窒素活性、過剰なIL−1活性、過剰なエラスターゼ活性、骨密度の過剰な減少、過剰なタンパク質分解、過剰な筋肉の消耗、コラーゲンの過剰なグリコシル化、過剰なCOX−2活性、不十分な骨タンパク質合成、不十分なインターロイキン10生産又は過剰なホスホリパーゼA2活性により特徴付けられる、
ことを特徴とする方法。
(11)前記の状態が、腹部大動脈瘤、角膜の潰瘍形成、歯周病、糖尿病、真性糖尿病、強皮病、早老症、肺疾患、癌、移植片対宿主病、抑制された骨髄機能の疾患、血小板減少症、人工関節の緩み、脊椎関節症、骨粗鬆症、パジェット病、自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症状態、腎疾患又は膠原病である、前記(10)に記載の方法。
(12)前記急性又は慢性炎症状態には、例えば炎症性腸疾患、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、膵炎、腎炎、糸球体腎炎、敗血症、敗血性ショック、リポ多糖内毒素性ショック、多臓器不全又は乾癬である、前記(11)に記載の方法。
(13)前記肺疾患が、ARDS、嚢胞性線維症、肺気腫又は毒薬の吸入による急性肺損傷である、前記(11)に記載の方法。
(14)前記腎疾患が、慢性腎不全、急性腎不全、腎炎又は糸球体腎炎である、前記(11)に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造Pを有する4−デジメチルアミノテトラサイクリン化合物。


(式中、R8は水素であり、R9はニトロである。)

【公開番号】特開2011−21032(P2011−21032A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238591(P2010−238591)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2000−582031(P2000−582031)の分割
【原出願日】平成11年11月18日(1999.11.18)
【出願人】(500056851)コッラジェネックス ファーマシューチカルス インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】