説明

方位報知枕

【課題】 寝る前に特段の手間を掛けることなく、かつ忘れず確実に方位を判断できる方位報知枕を提供する。
【解決手段】 XY2軸地磁気センサ14によって枕10の設置された方位が検出されて、北枕になっている場合は音源回路15等の報知手段からアラーム音などが使用者に報知される。この場合において、枕10が敷布団の上に置かれたことが第1圧力センサ群によって検知され、あるいはそれに加えて、使用者が枕10の上に頭を載せたことが第2圧力センサ群によって検知されたときに、XY2軸地磁気センサ14が方位の検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、枕に関し、特に置かれた方位を検出し報知することが可能な方位報知枕に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時に頭を北の方向に向けていわゆる北枕の状態にして寝ることは、昔から縁起が悪いものと信じられ忌み嫌われることが多く、日常的に自宅の布団やベッドを北枕にならないよう注意して配置している人も少なくない。しかし、外出先で宿泊する場合には、どちらが北向きか分からないため、北枕にならないようにするためには事前に方位を調べておく必要がある。
そのような目的のため、例えば特許文献1に開示されている方位表示機能付きの携帯電話機を用いることができ、これにより方位を確認しながら枕の向きを決めることで、北枕となることを防止することが可能である。
【特許文献1】特開2003−116177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように携帯電話機を取り出してわざわざ方位を計測するということは手間が掛かるという問題があった。また、携帯電話機は寝る時に必ず使うものではないため、場合によっては方位の確認をすることを忘れてしまう可能性もある。
【0004】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、寝る前に特段の手間を掛けることなく、かつ忘れず確実に方位を判断できる方位報知枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、方位を検出する方位検出手段と、使用者に報知する報知手段と、を備え、所定部位が向けられた方位を前記方位検出手段が検出して、該方位があらかじめ設定した方位と一致した場合に、前記報知手段により報知がなされることを特徴とする方位報知枕である。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方位報知枕において、前記報知手段は、アラーム音を発生する音源とスピーカによって構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の方位報知枕において、前記報知手段は、振動を発生させる加振装置であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の方位報知枕において、敷布団と接する面に設けられた複数の圧力センサから構成される第1の接触検出手段と、使用者の頭部と接する面に設けられた複数の圧力センサから構成される第2の接触検出手段と、をさらに備え、前記第1および第2の接触検出手段により所定の圧力分布で押圧されたことが検出された場合にのみ、前記方位検出手段が作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、枕の所定部位が向けられた方位が検出されて、北枕になっていればその旨が報知されるので、携帯電話機を使う場合のように煩雑な手間を使用者にとらせることなく方位を判断でき、北枕を防止することができる。また、寝る時に必ず使う枕自体によって方位の検出と報知が行われるので、方位の確認をし忘れることがない。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、アラーム音により使用者に北枕であることを報知することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、枕を振動させることで使用者に北枕であることを報知することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明によれば、枕が敷布団の上に置かれ、かつ使用者が寝るために頭を枕に乗せたことが第1および第2の接触検出手段による圧力分布の測定で検知された場合にのみ、方位の検出と報知が行われるので、必要時以外、例えば枕を手で持ち運んでいる時など(圧力分布が異なる)に意図せず報知がなされてしまうことがない。これにより、例えば方位検出のオンオフスイッチを不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による方位報知枕10の外観図(一部の内部部品も示す)であり、また図2は、図1の方位報知枕10の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、この方位報知枕10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、XY2軸地磁気センサ14と、音源回路15と、スピーカ16と、バイブレータ17と、LED18と、操作部19と、第1圧力センサ群21と、第2圧力センサ群22とを有しており、これら(スピーカ16を除く)はバスライン20を介して相互に接続されている。
【0013】
CPU11は、ROM12上のプログラムを実行して図2の各部の動作を統括する中央演算処理装置である。ROM12は、当該プログラムのほか、XY2軸地磁気センサ14の出力である電圧値を方位に変換するための電圧/方位変換テーブルなどの各種制御データなどを格納する読み出し専用メモリである。RAM13は、作業用の一時データを記憶するための随時書き込み読み出しメモリである。
【0014】
XY2軸地磁気センサ14は、地磁気のX軸成分およびY軸成分の変化を検出してこれを電圧変化に換算し出力する方位検出手段である。同センサ14からの出力電圧値は、制御プログラムによって取り込まれてRAM13の所定のメモリエリアに格納され、ROM12内の電圧/方位変換テーブル(上記)が参照されることで方位報知枕10の所定部位が向けられた方位として認識される。ここで、この方位報知枕10は、使用者の頭頂部の方向と上記「所定部位」の方向とが必ず一致するようにして使用することが、その使用方法として定められているものとする。したがって、XY2軸地磁気センサ14によって検出される方位は、使用者の頭の向けられた方位を常に表すこととなる。
【0015】
音源回路15は、アラーム音を発生しスピーカ16にその電気信号を出力する電子回路であり、音源回路15から出力された電子的なアラーム音はスピーカ16から音として発音される。
バイブレータ17は、モータ(図示せず)によって方位報知枕10に振動を与える加振装置である。
LED18は、入力電気信号を光に変換する発光ダイオードである。
これらの音源回路15、スピーカ16、バイブレータ17、LED18は、本実施形態による方位報知枕10において、枕の所定部位(上記)があらかじめ設定された方位(例えば北を設定しておく)を向いていることを使用者に報知する報知手段として機能するものである。
【0016】
操作部19は、この方位報知枕10の動作内容を調節するスイッチ類であり、動作のオンオフを切り替える電源スイッチや、上記の報知動作を行う方位を設定するダイアル式の方位設定スイッチなどによって構成される。なお、この方位報知枕10は通常北枕の状態を報知させるために使用するので、方位設定スイッチは「北」の目盛りに合わせられているものとする。
【0017】
第1圧力センサ群21は、枕の底面(敷布団と接する面)に設けられた複数の圧力センサ(図示せず)によって構成される第1の接触検出手段であり、本実施形態では底面の四隅に1つずつ計4個の圧力センサからなるものとする。各圧力センサは、外部からの物体接触を検出するとその圧力に比例する電圧を出力する。この電圧信号(4つのセンサから4つの信号)はRAM13の所定のメモリエリアに保持され、制御プログラムはこれらのデータから底面に加えられた圧力の分布を計算する。
【0018】
例えば、4つのセンサ出力がともに一定の値以上を示している場合には、枕の底面全体に力が加えられた圧力分布が算出されることになり、この算出結果から、枕が敷布団の上に底面を下にして置かれた状態にあるということを判断できるようになっている。一方、4つのセンサのうち1つだけからの出力が得られている場合には、枕の底面の1箇所にのみ力が加えられた不均一な圧力分布が算出され、このことから枕が敷布団の上に置かれた状態にない(例えば使用者が枕を手で持っている状態である)という判断がなされることになる。
【0019】
第2圧力センサ群22は、第1圧力センサ群21と同様の第2の接触検出手段であり、枕の上面(使用者の頭が接する面)に設けられた複数の圧力センサ(図示せず)によって構成される。ここで、このセンサ群22は、十数個程度の圧力センサが枕上面に格子状に配置されている点が第1の圧力センサ群21と異なっており、このようなセンサ配置によって、使用者が枕に頭を載せた状態であるか否かをその圧力分布から判断できるようになっている。
【0020】
次に、上述した方位報知枕10の動作を図3に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、使用者が操作部19を操作し、電源スイッチを入れて方位報知枕10を作動させる(ステップS1)。
【0021】
次に、使用者が方位報知枕10を敷布団の上に(底面を下にして)置くと、第1圧力センサ群21が敷布団との接触を検出し、枕が敷布団の上に置かれたと判断される(ステップS2“Yes”)。すると、XY2軸地磁気センサ14が方位の検出を開始する(ステップS3)。
ここで、ステップS2において、第1圧力センサ群21だけでなく第2圧力センサ群22を併用し、枕が敷布団の上に置かれ、且つ使用者が枕の上に頭を載せた場合にステップS3へ進むように制御を行ってもよい。
【0022】
そして、XY2軸地磁気センサ14がステップS1で設定した方位である北を検出した場合(ステップS4“Yes”)には、この方位報知枕10が北枕の状態に置かれていると判断されて、報知手段である音源回路15、スピーカ16、バイブレータ17、LED18が作動し、使用者に北枕であることを報知する(ステップS5)。この時、使用者が方位報知枕10の設置方向を変えて、XY2軸地磁気センサ14の検出方位が北ではなくなると(ステップS4“No”)、上記報知手段は動作を停止し、枕の向きに問題のないことが使用者に知らされる(ステップS6)。
【0023】
なお、ステップS5における使用者への報知は、アラーム音(音源回路15とスピーカ16)の鳴音、バイブレータ17の振動、LED18の点灯(または点滅)のいずれを用いるかを操作部19のスイッチ類によってあらかじめ設定しておく。また、アラーム音の音量や種類、振動の強弱、LEDの点滅パターンなども操作部19により設定できるようになっている。
【0024】
このように、上記の実施形態によれば、XY2軸地磁気センサ14によって枕10の設置された方位が検出されて、北枕になっている場合は音源回路15等の報知手段からアラーム音などが使用者に報知される。したがって、使用者に手間を掛けることなく、しかも忘れずに方位を判断して北枕を防止することが可能である。
【0025】
また、枕が敷布団の上に置かれたことが第1圧力センサ群21によって検知され、あるいはそれに加えて、使用者が枕の上に頭を載せたことが第2圧力センサ群22によって検知された場合に、XY2軸地磁気センサ14が方位を検出するようになっている。これにより、必要時(寝る準備をしている時、または寝る直前)にのみ上記の報知をさせることができ、無用な報知動作が行われるのを回避できる。
【0026】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上記実施形態では報知がなされる方位が北に設定されていたが、操作部19の方位設定スイッチにより他の方位に設定することができるのは勿論である。そして、使用者が寝る時に頭を向けたい方位を設定しておけば、(北枕のように好ましくない方位ではなく)好ましい方位に枕を向けた場合に報知がなされるようにすることが可能なのは、言うまでもないことである。
さらに、上記の実施形態において説明した方位を報知する機能を、枕ではなく布団やベッドなどの他の寝具に装備するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による方位報知枕の外観図である。
【図2】図1の方位報知枕の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1の方位報知枕の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
10…方位報知枕 11…CPU 12…ROM 13…RAM 14…XY2軸地磁気センサ 15…音源回路 16…スピーカ 17…バイブレータ 18…LED 19…操作部 20…バスライン 21…第1圧力センサ群 22…第2圧力センサ群


【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位を検出する方位検出手段と、
使用者に報知する報知手段と、
を備え、
所定部位が向けられた方位を前記方位検出手段が検出して、該方位があらかじめ設定した方位と一致した場合に、前記報知手段により報知がなされる
ことを特徴とする方位報知枕。
【請求項2】
前記報知手段は、アラーム音を発生する音源とスピーカによって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の方位報知枕。
【請求項3】
前記報知手段は、振動を発生させる加振装置である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方位報知枕。
【請求項4】
敷布団と接する面に設けられた複数の圧力センサから構成される第1の接触検出手段と、
使用者の頭部と接する面に設けられた複数の圧力センサから構成される第2の接触検出手段と、
をさらに備え、
前記第1および第2の接触検出手段により所定の圧力分布で押圧されたことが検出された場合にのみ、前記方位検出手段が作動する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の方位報知枕。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105341(P2007−105341A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301218(P2005−301218)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】