説明

方形状布類展開装置

【課題】方形状布類にしわが寄ることのない方形状布類展開装置を提供する。
【解決手段】短尺方向に移送可能な積載コンベア11A〜11Gを有する積載台10と、積載台10の長尺方向に移動自在な一対の伸展チャック40R,40Lを備え、伸展チャック40R,40Lに、方形状布類Yの角部C1,C2を挾持する挾持手段42が設けられており、方形状布類Yの縁部Ya,Ycを検知する縁部検知センサ48,49が、挾持手段42の挾持深さに応じて2つ設けられている方形状布類展開装置である。方形状布類Yの角部C1,C2を、一対の伸展チャック40R,40Lで挾持し、幅方向に伸展させることができるので、方形状布類Yにしわが寄ることがない。2つの縁部検知センサ48,49で伸展チャック40R,40Lの位置を制御するので、伸展チャック40R,40Lの移動頻度を少なくすることができ、装置の損耗を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形状布類展開装置に関する。さらに詳しくは、洗濯済みのシーツなどの方形状布類を展開し、次工程の処理装置に供給するための方形状布類展開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院などでは大量にシーツが使用され、その使用済みのシーツはランドリー工場で洗濯、アイロンがけされ、再度ホテルや病院などで使用されることが一般的である。
ランドリー工場においては、シーツなどの比較的大きな寸法を有する方形状布類を、洗濯後、回転ロール式布製品プレス機でプレスしたり、コンベア式布製品折りたたみ機で折りたたんだりする作業が行なわれる。それらの処理装置に方形状布類を供給するには、方形状布類を予め方形状に展開させる必要がある。
方形状布類を方形状に展開する作業を作業員が行う場合、作業に多大な時間と労力が必要であるため、近年では、この作業は展開装置によって行われている。
【0003】
その展開装置の一例として、特許文献1の方形状布類の縁出し装置がある。
図16に示すように、特許文献1の縁出し装置は、架台101の左右方向に移動自在な横行チャック102に設けた2つの保持手段122,123に、方形状布類Yの1つの角部C1とそれに隣接する縁部Yaとをそれぞれ保持させた状態で、横行チャック102を布類装着位置Pから布類引き込み位置Qまで引き込み、そのとき布類側縁部Ybの有無を検出する側縁部検出器171からの検出信号で載置台104上の積載コンベア105が前後方向に駆動され、積載コンベア105上にある方形状布類Yの一側縁部Ybを直線状に揃える(縁出しされる)ようになっている。
保持手段122,123には自動保持装置が使用されており、方形状布類Yの角部C1と縁部Yaを伸長させた状態で、その保持手段122,123に宛がうことにより自動で保持させることができるようになっている。
この縁出し装置により、作業員が丸めたままの方形状布類Yの1つの角部C1を捜し、その角部C1とそれに隣接する縁部Yaをそれぞれ保持手段122,123に宛がうだけで、自動的に方形状布類Yの縁出しが行えるので、縁出し作業を1人の作業員で簡単に行うことができる。
【0004】
また、このように縁出しされた方形状布類Yの全体を方形状に展開し、次工程の処理装置に供給するための展開装置が、特許文献2から5に開示されている。
図17に示すように、特許文献5の展開装置は、横行チャック102および積載コンベア105の他に、押さえ装置183、受け渡し装置188、バキュームコンベア182、排出コンベア191が設けられている。
積載コンベア105上に縁出しされた方形状布類Yは、積載コンベア105により前方に移送され、縁出しされた縁部が積載コンベア105上に、それ以外の大部分が積載コンベア105から垂れ下った状態となる。このとき、押さえ装置183が動作し、方形状布類Yの縁部Ybを積載コンベア105に押しつけて、方形状布類Yが落下しないように保持する。このように積載コンベア105と押さえ装置183で方形状布類Yを垂れ下った状態にすることにより、方形状布類Yの全体を方形状に展開する。つぎに、受け渡し装置188が前方に移動し、方形状布類Yを吸引して乗り移させる。受け渡し装置188に保持された方形状布類Yは、受け渡し装置188が後方に移動すると、バキュームコンベア182に吸引され乗り移る。バキュームコンベア188に乗り移った方形状布類Yは排出コンベア191方向に移送され、排出コンベア191から次工程の処理装置Zに供給される。
【0005】
しかるに、特許文献5の展開装置は、積載コンベア105と押さえ装置183で方形状布類Yを垂れ下らせ方形状に展開するが、その展開が十分ではなく、垂れ下る方向にしわが寄る場合があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−49119号公報
【特許文献2】特許第2534018号公報
【特許文献3】特公平7−28996号公報
【特許文献4】特公平7−28997号公報
【特許文献5】特開2002−113295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、方形状布類にしわが寄ることのない方形状布類展開装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の方形状布類展開装置は、縁出しされた方形状布類が載せられる長尺の積載台であって、該積載台の短尺方向に移送可能な積載コンベアを有する積載台と、前記積載コンベアの終端部の下方に設けられ、前記積載台の長尺方向に移動自在な一対の伸展チャックを備えており、前記伸展チャックに、前記方形状布類の角部を挾持する挾持手段が設けられており、前記伸展チャックに、前記方形状布類の縁部を検知する縁部検知センサが、前記挾持手段の挾持深さに応じて2つ設けられていることを特徴とする。
第2発明の方形状布類展開装置は、第1発明において、前記方形状布類の縁出しされた縁部を検知する後端検知センサが設けられており、前記挾持手段は、前記後端検知センサが前記方形状布類の縁出しされた縁部を検知した後に、前記方形状布類の角部を挾持するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、方形状布類の縁出しされた縁部の両端の角部を、一対の伸展チャックで挾持し、幅方向に伸展させることができるので、方形状布類にしわが寄ることがない。また、2つの縁部検知センサで伸展チャックの位置を制御するので、1つの縁部検知センサで制御する場合に比べて、伸展チャックの移動頻度を少なくすることができ、装置の損耗を抑えることができる。
第2発明によれば、後端検知センサで方形状布類の縁出しされた縁部を検知するので、後端検知センサの検知によって挾持手段を動作させることにより、方形状布類の縁出しされた縁部の両端の角部を、一対の伸展チャックで挾持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係る方形状布類展開装置の平面図である。
【図2】同方形状布類展開装置の正面図である。
【図3】同方形状布類展開装置の右側面図である。
【図4】第1横行チャックの(A)正面図、(B)右側面図である。
【図5】第2横行チャックの(A)正面図、(B)左側面図である。
【図6】右側伸展チャックの(A)平面図、(B)右側面図である。
【図7】左側伸展チャックの(A)平面図、(B)左側面図である。
【図8】第1取付チャックへの方形状布類取り付け方法の説明図である。
【図9】第1横行チャックの縁出し動作の説明図である。
【図10】伸展チャックの動作の説明図であって、(A)図は縁部検知センサが2つ設けられた場合の図、(B)図は縁部検知センサが1つ設けられた場合の図である。
【図11】方形状布類が伸展チャックに吊下げられた状態の正面図である。
【図12】方形状布類が次工程の処理装置に供給されるまでの説明図であって、方形状布類が吸着ボックスに吸着された状態の説明図である。
【図13】方形状布類が次工程の処理装置に供給されるまでの説明図であって、バキュームコンベアに乗り移った状態の説明図である。
【図14】方形状布類が次工程の処理装置に供給されるまでの説明図であって、排出コンベアにより排出される状態の説明図である。
【図15】方形状布類の各部を示す説明図である。
【図16】従来技術の縁出し装置の斜視図である。
【図17】従来技術の展開装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る方形状布類展開装置は、洗濯済みのシーツなどの方形状布類を展開し、次工程の処理装置に供給するための装置である。図15に示すように、本発明の方形状布類展開装置で処理する方形状布類Yの各部を定義する。すなわち、方形状布類Yの一つの角を角部C1、角部C1に隣接する縁を縁部Yaおよび縁部Yb、縁部Ybの他方の角を角部C2とする。そして縁部Yaに対向する縁を縁部Yc、縁部Ybに対向する縁を縁部Ydとする。なお、図15では、方形状布類Yの長辺を縁部Ybとしているが、縁部Yaを長辺としてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る方形状布類展開装置Aでは、方形状布類Yの縁部Ybを直線状に伸ばす縁出工程と、方形状布類Yの全体を方形状に展開し、次工程の処理装置に供給する展開工程の2工程が行われる。以下では説明のため、方形状布類展開装置Aの前後・左右・上下方向を図1から図3に示すように定義する。
方形状布類展開装置Aを構成する部材のうち、主に縁出工程を行うものは、図1および図2に示す、左右に長尺の積載台10と、その積載台10の上方に設けられ、左右方向に移動自在な第1横行チャック20Rおよび第2横行チャック20Lと、積載台10の左右に設けられた第1取付チャック30Rおよび第2取付チャック30Lである。また、主に展開工程を行うものは、積載台10の前方端部の下方に設けられ、左右方向に移動自在な一対の伸展チャック40R,40Lと、図3に示す、受渡装置50、バキュームコンベア60、排出コンベア70である。さらに、これらの部材を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。
【0013】
縁出工程は、作業員が方形状布類Yの角部C1と縁部Yaを第1取付チャック30R(第2取付チャック30L)に取り付けた後、その方形状布類Yが第1取付チャック30R(第2取付チャック30L)から第1横行チャック20R(第2横行チャック20L)に受け渡され、第1横行チャック20R(第2横行チャック20L)が方形状布類Yの角部C1と縁部Yaを保持しつつ、積載台10の上方を左右方向に移動することにより行われる。縁出工程終了後は、方形状布類Yの縁部Ybが直線状に伸ばされ、その縁部Ybが後方を向いて積載台10に載せられた状態となる。
展開工程は、縁出し後の方形状布類Yが、積載台10から前方に移送され、方形状布類Yの角部C1,C2を伸展チャック40R,40Lで挾持し、方形状布類Yを吊下げた状態とすることで全体を方形状に展開する。その後、縁部Ybが受渡装置50に乗り移り、ついで、縁部Ybがバキュームコンベア60に乗り移り、バキュームコンベア60と排出コンベア70が後方に駆動する事により、方形状に展開された方形状布類Yが後方に設置された次工程の処理装置に供給される。
【0014】
つぎに、上記各部材の詳細について説明する。
積載台10は、方形状布類Yの縁出しを行い、縁出し後の方形状布類Yを載せ、前方に移送するための台である。
図1に示すように、積載台10は、処理する方形状布類Yの長辺よりも長尺となっている。積載台10は、その表面が積載コンベア11で構成されている。積載コンベア11は、積載台10の前後方向に離して配置された2本の左右方向に延びるローラ間に巻き掛けられた複数本のベルト11A〜11Gからなり、これらのベルトで方形状布類Yを前送りすることができる。
【0015】
積載コンベア11上には、方形状布類Yの縁部Ybを検知する側縁部検知センサ12C、12Eが設置されている。側縁部検知センサ12C、12Eは、積載コンベア11の後ろ寄りに、それぞれの検出位置を結ぶ線が一直線となるように配置されている。さらに、積載台10の右端および左端付近には、方形状布類Yの縁部Ycを検出する引込検知センサ13が設置されている。
【0016】
また、積載台10の右端および左端には、それぞれ右方向および左方向に向けて先が細くなる形状をしている突出部14が設けられている。
以上の構成の有する積載台10は、床面からの高さが、処理する方形状布類Yの長辺よりも高い位置に設置されている。
なお、本実施形態では、積載コンベア11の幅員および側縁部検知センサ12C、12Eの個数は処理する方形状布類Yの寸法などに応じて最適な数にすればよい。
【0017】
第1横行チャック20Rおよび第2横行チャック20Lは、方形状布類Yの角部C1と縁部Yaを保持しつつ、積載台10の上方を左右方向に移動することにより、方形状布類Yの縁出しを行い、縁出し後の方形状布類Yを積載台10上に載せるためのものである。
図2に示すように、積載台10の上方にはガイドレール21が左右方向に渡されている。第1横行チャック20Rおよび第2横行チャック20Lは、そのガイドレール21に設置され、図示しない駆動装置によってガイドレール21に沿って移動自在となっている。
例えば駆動装置は、ガイドレール21の左右両端のスプロケットと、そのスプロケットの間に架設された有端のチェーンと、一方のスプロケットを正・逆両方向に回転させるモータとで構成される。第1横行チャック20Rの駆動装置の場合、チェーンの一端は一方のスプロケットに巻掛けした後に第1横行チャック20Rに固定し、チェーンの他端は他方のスプロケットに巻掛けした後に第1横行チャック20Rに固定される。モータで一方のスプロケットを正・逆方向に回転させることにより、第1横行チャック20Rをガイドレール21に沿って左右に移動させることができる。第2横行チャック20Lにおいても同様の駆動装置によって、ガイドレール21に沿って左右に移動させることができる。
なお、第1横行チャック20Rと第2横行チャック20Lは同一のガイドレール21に設置されており、これらは常に第1横行チャック20Rが右、第2横行チャック20Lが左に位置するようになっている。
【0018】
第1横行チャック20Rには方形状布類Yを着脱自在に保持する保持手段22が右向きに設けられており、第2横行チャック20Lには同様の保持手段22が左向きに設けられている。
図4に示すように、第1横行チャック20Rには、エアシリンダ23、上部保持バー24、下部保持バー25からなる保持手段22が設けられている。上部保持バー24および下部保持バー25は前後方向に長い棒状をしており、第1横行チャック20Rの右端に設けられている。上部保持バー24は、エアシリンダ23と接続されており、エアシリンダ23が収縮すると上部保持バー24と下部保持バー25の間が開き、エアシリンダ23が伸長すると上部保持バー24と下部保持バー25の間が閉じるようになっている。したがって、エアシリンダ23の伸縮により方形状布類Yの縁部Yaを保持することができるようになっている。
図5に示すように、第2横行チャック20Lは第1横行チャック20Rと左右対称の形状をしており、第2横行チャック20Lの左端に設けられた上部保持バー24および下部保持バー25と、エアシリンダ23とからなる保持手段22が設けられている。その動作は第1横行チャック20Rの保持手段22と同様である。
【0019】
第1取付チャック30Lおよび第2取付チャック30Rは、作業員が方形状布類Yの角部C1と縁部Yaを取り付け、取り付けた方形状布類Yを第1横行チャック20Lおよび第2横行チャック20Rに受け渡すものである。
図1および図2に示すように、第1取付チャック30Rは積載台10の右側に、第1横行チャック20Rに方形状布類Yを受け渡すことができるように設けられており、第2取付チャック30Lは積載台10の左側に、第2横行チャック20Lに方形状布類Yを受け渡すことができるように設けられている。
【0020】
第1取付チャック30Rおよび第2取付チャック30Lは、棒状の取付台31に所定間隔を隔てて取付手段32、33が設けられた構成をしている。この取付手段32,33には、圧縮空気で作動するクリップ式のエアーチャックなどが採用される。
なお、作業員は方形状布類Yの角部C1を取付手段32に、縁部Yaを取付手段33に取り付けるため、取付手段32と取付手段33との間隔を人の肩幅程度(40〜50cm程度)にすれば、作業が行いやすく好適である。また、取り付けられた方形状布類Yを取付手段32,33から第1横行チャック20Lおよび第2横行チャック20Rの保持手段22へ受け渡す際には、保持手段22が取付手段32と取付手段33との間に位置するようになる。そのため保持手段22の上部保持バー24と下部保持バー25の前後方向長さは、取付手段32と取付手段33との間隔よりも少し短い長さをしている。
【0021】
図2に示すように、第1取付チャック30Rおよび第2取付チャック30Lは、図示しない位置変更装置により、取付作業位置H1、受渡位置H2、吊下位置H3との間を移動できるようになっている。例えば位置変更装置は、サーボモータを有する上下駆動装置と、取付台31の姿勢を変更するガイド部材とで構成される。
【0022】
第1取付チャック30Rの場合、取付作業位置H1にあるときは、作業員が方形状布類Yを取付手段32,33に取り付け安い高さであり、かつ、取付手段32,33が前方を向いている。受渡位置H2にあるときは、取付手段32,33が第1横行チャック20Rの保持手段22と同じ高さであり、かつ、取付手段32,33が右方向を向いている。すなわち第1取付チャック30Rの取付台31は、取付作業位置H1から受渡位置H2まで上昇する間にその姿勢を水平面内で90°回転される。そして、吊下位置H3にあるときは、取付手段32,33に取り付けられた方形状布類Yの全体が床面から離れるような高さとなっている。
なお、第1取付チャック30Rが受渡位置H2にあるときに、第1横行チャック20Rの保持手段22が、取付手段32と取付手段33との間に位置するように、第1横行チャック20Rはガイドレール21の右端の布類装着位置PRまで移動することが可能となっている。
【0023】
第2取付チャック30Lの場合は第1取付チャック30Rと左右対称の動作をし、取付作業位置H1にあるときは、作業員が方形状布類Yを取付手段32,33に取り付け安い高さであり、かつ、取付手段32,33が前方を向いている。受渡位置H2にあるときは、取付手段32,33が第2横行チャック20Lの保持手段22と同じ高さであり、かつ、取付手段32,33が左方向を向いている。すなわち第2取付チャック30Lの取付台31は、取付作業位置H1から受渡位置H2まで上昇する間にその姿勢を水平面内で90°回転される。そして、吊下位置H3にあるときは、取付手段32,33に取り付けられた方形状布類Yの全体が床面から離れるような高さとなっている。
なお、第2取付チャック30Lが受渡位置H2にあるときに、第2横行チャック20Lの保持手段22が、取付手段32と取付手段33との間に位置するように、第2横行チャック20Lはガイドレール21の左端の布類装着位置PLまで移動することが可能となっている。
【0024】
伸展チャック40R,40Lは、方形状布類Yの縁出しされた縁部Ybの両端の角部C1,C2を挾持して、方形状布類Yを吊下げた状態とすることで全体を方形状に展開しつつ、左右方向に伸展させるものである。
図1に示すように、積載コンベア11の前側終端部より前方にはガイドレール41が左右方向に渡されている。伸展チャック40R,40Lは、そのガイドレール41に設置され、図示しない駆動装置によってガイドレール41に沿って移動自在となっている。
なお、伸展チャック40Rと伸展チャック40Lは対となっており、同一のガイドレール41上の右側に伸展チャック40Rが、左側に伸展チャック40Lが設置されている。
【0025】
伸展チャック40Rには方形状布類Yの角部C1,C2を挾持する挾持手段42が左向きに設けられており、伸展チャック40Lには同様の挾持手段42が右向きに設けられている。つまり、伸展チャック40Rの挾持手段42と伸展チャック40Lの挾持手段42はそれぞれ内側を向いている。
【0026】
図6(A)に示すように、伸展チャック40Rには、エアシリンダ43、挾持アーム44、挾持ローラ45からなる挾持手段42が設けられている。挾持アーム44は、エアシリンダ43と接続されており、エアシリンダ43が収縮すると挾持アーム44と挾持ローラ45の間が開き、エアシリンダ43が伸長すると挾持アーム44と挾持ローラ45の間が閉じるようになっている。したがって、エアシリンダ43の伸縮により方形状布類Yの角部C1,C2を狭持することができるようになっている。
【0027】
挾持アーム44の後方には、検知センサ取付部46が設けられており、検知センサ取付部46には、左から右へ後端検知センサ47、内側縁部検知センサ48、外側縁部検知センサ49が取り付けられている。後端検知センサ47は、方形状布類Yの縁出しされた縁部Ybを検知するセンサであり、内側縁部検知センサ48および外側縁部検知センサ49は、方形状布類Yの縁部Ya,Ycを検知するセンサである。内側縁部検知センサ48および外側縁部検知センサ49は、その間に方形状布類Yの縁部Ya,Ycがあるときに挾持アーム44を閉じると、方形状布類Yを挾持できるような位置に取り付けられている。
【0028】
また、図6(B)に示すように、挾持アーム44および挾持ローラ45は、積載コンベア11の前側終端部の下方に位置するように設けられており、後端検知センサ47、内側縁部検知センサ48、外側縁部検知センサ49は、積載コンベア11の下方に位置するように取り付けられている。そして後端検知センサ47は積載コンベア11に向かって取り付けられており、内側縁部検知センサ48および外側縁部検知センサ49は前方に向かって取り付けられている。
【0029】
なお、積載コンベア11の前側終端部には、押えローラ15が設けられており、その自重で積載コンベア11を上方から押さえつけている。押えローラ15は、積載コンベア11から前方に移送される方形状布類Yを押さえ、その下方に位置する挾持アーム44と挾持ローラ45の間に垂れ下らせるようにガイドするためのものである。
【0030】
図7に示すように、伸展チャック40Lは伸展チャック40Rと左右対称の形状をしており、挾持アーム44が取り付けられる方向と、後端検知センサ47、内側縁部検知センサ48、外側縁部検知センサ49の取り付け位置が伸展チャック40Rと左右対称となっている。その余の構成は、伸展チャック40Rと同じであるので、説明を省略する。
【0031】
受渡装置50は、方形状布類Yの縁部Ybを伸展チャック40R,40Lから移し、バキュームコンベア60に受け渡すものである。
図3に示すように、受渡装置50は、積載コンベア11の下方に設けられており、吸着ボックス51と、吸着ボックス51内を吸引する吸引機と、吸着ボックス51を前後方向に移動させる駆動装置52から構成されている。吸着ボックス51は、左右方向には積載コンベア11と同程度の長さを有している。また、その上面には吸引用小孔が形成されており、吸引機で吸着ボックス51内の空気を吸引することで、方形状布類Yの縁部Ybを吸着することができるようになっている。
また、図6(B)および図7(B)に示すように、吸着ボックス51はその先端部が伸展チャック40R,40Lの挾持ローラ45の直下より少し前方に移動させることができる。さらに、伸展チャック40R,40Lと吸着ボックス51の間には、高圧空気を噴出するブロー53が、吸着ボックス51に吹き付ける向きに設けられている。そのため、吸着ボックス51の先端部が、伸展チャック40R,40Lにより吊下げられた方形状布類Yに接することができ、さらにブロー53によって方形状布類Yを吸着ボックス51に移載させることができるようになっている。
【0032】
バキュームコンベア60は、受渡装置50から方形状布部Yの縁部Ybを受け取り、方形状布部Yを排出コンベア70へ移送するものである。
図3に示すように、バキュームコンベア60は、受渡装置50の下方に設けられている。バキュームコンベア60の表面には多数の小孔が設けられており、その小孔から空気を吸引するブロワー61が接続されている。
方形状布類Yの縁部Ybが吸着された受渡装置50が、後方に移動すると、その方形状布類Yはバキュームコンベア60に接触する。そうすると、方形状布類Yはバキュームコンベア60の吸引により、受渡装置50からバキュームコンベア60に乗り移る。
バキュームコンベアは後方に駆動しており、乗り移った方形状布類Yを排出コンベア70に移送する。
【0033】
排出コンベア70は、方形状に展開された方形状布類Yを後方に設置される次工程の処理装置に供給するものである。
図3に示すように、排出コンベア70はバキュームコンベア60の後方に位置し、方形状布類展開装置Aの後方まで伸びている。また、次工程の処理装置に方形状布類Yを供給できるように、上下の角度や排出コンベア70自体の長さが伸縮できるように構成されている。
【0034】
つぎに、方形状布類展開装置Aにおける縁出工程および展開工程を説明する。
方形状布類展開装置Aは、2人の作業員が作業することができ、一人が方形状布類Yを第1取付チャック30Rに取り付け、もう一人が別の方形状布類Yを第2取付チャック30Lに取り付けることができる。そのため、まず、作業員が方形状布類Yを第1取付チャック30Rに取り付けた場合の縁出工程を説明する。
【0035】
図8に示すように、作業員は、第1取付チャック30Rの前方の作業位置において、取付作業位置H1で待機している第1取付チャック30Rの取付手段32に方形状布類Yの角部C1を、取付手段33に縁部Yaを取り付ける。
そうすると、第1取付チャック30Rの位置変更装置が作動して、第1取付チャック30Rは方形状布類Yを保持した状態のまま水平方向に90°回転されつつ吊下位置H3まで上昇する。吊下位置H3では方形状布類Yの全体が床面から離れ、吊下げられた状態となり、方形状布類Yが自重で上下方向に伸長するようになる。
【0036】
つぎに、第1取付チャック30Rが吊下位置H3から受渡位置H2まで降下して停止し、方形状布類Yを布類装着位置PRで待機していた第1横行チャック20Rに受け渡す。この方形状布類Yの受け渡しは、第1取付チャック30Rに保持されている方形状布類Yの縁部Yaにおける取付手段32と取付手段33の間部分を保持手段22が保持した後、取付手段32,33を保持解除させることによって行われる。
なお、第1取付チャック30Rが受渡位置H2を上下に通過する際には、第1横行チャック20Rは布類装着位置PRより左の位置にあり、方形状布類Yの受け渡し時に第1横行チャック20Rが布類装着位置PRまで移動するように制御される。
【0037】
図9に示すように、第1横行チャック20Rに方形状布類Yが保持されると、駆動装置によって第1取付チャック20Rが左方向に移動され、方形状布類Yが積載台10上に引き上げられていく。
方形状布類Yが積載台10上に引き上げられていく際に、突出部14により方形状布類Yが前後方向に拡張されるようになり、縁出しすべき縁部Ybを確実に現出させることができる。
【0038】
方形状布類Yが積載コンベア11上を左方向に引きずられる間、側縁部検知センサ12A〜12Gは方形状布類Yの縁部Ybを検知する。そして、側縁部検知センサ12Cと12Eが検知すると、方形状布類Yの縁部Ybが直線状に縁出しされる。
【0039】
引込検知センサ13は、第1横行チャック20Rが布類装着位置PRにあるときには布類非検出状態であり、方形状布類Yが第1横行チャック20Rによって左方向に引きずられていくにしたがって、布類検出状態となる。
そして、第1横行チャック20Rがさらに左方向に移動すると、引込検知センサ13の上を縁部Ycが通過し、引込検知センサ13は再び布類非検出状態となる。このときに、第1横行チャック20Rを静止させ、保持手段22による保持を解放し、縁部Yaを載置台10上に落とす。
【0040】
以上の動作で、方形状布類Yの縁部Ybが直線状に伸張された状態となり、縁出工程が完了する。そして縁出しされた方形状布類Yは後述の通り、積載台10から前方に移送されて展開工程が行われる。
【0041】
作業員が方形状布類Yを第2取付チャック30Lに取り付けた場合も、上記と同様の動作で縁出工程が行われる。
すなわち、作業員が第2取付チャック30Lの前方の作業位置において、取付作業位置H1で待機している第2取付チャック30Lの取付手段32に方形状布類Yの角部C1を、取付手段33に縁部Yaを取り付ける。そうすると、第2取付チャック30Lは方形状布類Yを保持した状態で吊下位置H3、受渡位置H2へと位置変更し、受渡位置H2において、方形状布類Yを第2横行チャック20Lに受け渡す。第2横行チャック20Lは方形状布類Yを保持した状態で右方向に移動し、方形状布類Yを積載台10上に引き上げていき方形状布類Yの縁部Ybが直線状に縁出しされる。
【0042】
つぎに、方形状布類展開装置Aにおける展開工程を説明する。
展開工程は、作業員が方形状布類Yを第1取付チャック30Rに取り付けた場合でも第2取付チャック30Lに取り付けた場合でも同様である。
【0043】
前述の縁出工程が完了すると、積載コンベア11は同時に前方向に作動し、、積載コンベア11上にある縁出し済みの方形状布類Yを前方に移送する。前方に移送される方形状布類Yは、縁部Ydから積載台10の前端部を超えて下方に垂れ下がっていく。
このとき、図6(B)および図7(B)に示すように、方形状布類Yは押えローラ15により、伸展チャック40R,40Lの挾持アーム44と挾持ローラ45の間に垂れ下がるようにガイドされる。
【0044】
図10(A)に示すように、方形状布類Yが積載台10から垂れ下っていくにしたがって、伸展チャック40R,40Lが左右方向に動作し、その挾持アーム44および挾持ローラ45の位置が、方形状布類Yの縁部Ya,Ycに倣うように制御される。
伸展チャック40Rの場合、方形状布類Yの縁部Ycが内側縁部検知センサ48と外側縁部検知センサ49の間に位置するように制御される。具体的には、内側縁部検知センサ48が布類非検出状態になったときは、布類検出状態になるまで伸展チャック40Rを左方向に移動させ、外側縁部検知センサ49が布類検出状態になったときは、布類非検出状態になるまで伸展チャック40Rを右方向に移動させ、内側縁部検知センサ48が布類検出状態、かつ、外側縁部検知センサ49が布類非検出状態になったときは、伸展チャック40Rを停止させる。
同様に、伸展チャック40Lの場合、方形状布類Yの縁部Yaが内側縁部検知センサ48と外側縁部検知センサ49の間に位置するように制御され、具体的には、内側縁部検知センサ48が布類非検出状態になったときは、布類検出状態になるまで伸展チャック40Lを右方向に移動させ、外側縁部検知センサ49が布類検出状態になったときは、布類非検出状態になるまで伸展チャック40Lを左方向に移動させ、内側縁部検知センサ48が布類検出状態、かつ、外側縁部検知センサ49が布類非検出状態になったときは、伸展チャック40Lを停止させる。
【0045】
方形状布類Yのほぼ全体が積載台10から垂れ下った状態となり、後端検知センサ47が方形状布類Yの縁部Ybを検知したとき、具体的には、後端検知センサ47の上を縁部Ybが通過して、布類非検出状態になったとき、一定の遅延時間後に挾持アーム44と挾持ローラ45の間が閉じ、方形状布類Yの角部C1,C2を挾持する。
そうすると、図11に示すように、方形状布類Yはその角部C1,C2が伸展チャック40R,40Lで挾持され、吊下げられた状態となり、全体が方形状に展開される。また、伸展チャック40R,40Lにより、幅方向に伸展させることができるので、方形状布類Yのしわを取ることができる。
【0046】
ところで、図10(B)に示すように、方形状布類Yの縁部Ya,Ycを縁部検知センサ48´一つで検知する場合、挾持アーム44および挾持ローラ45の位置が、縁部Ya,Ycに倣うようにするためには、検知センサ48´が布類検出状態と布類非検出状態を繰り返すように、伸展チャック40R,40Lを常に左右に動作させる必要がある。この場合、伸展チャック40R,40Lの駆動装置に多大な負担が掛かってしまう。さらに、常に伸展チャック40R,40Lが左右に動作しているので正確に縁部Ya,Ycに倣うことができない。
この点、方形状布類展開装置Aは、2つの検知センサ48,49で伸展チャック40R,40Lの位置を制御するので、伸展チャック40R,40Lの移動頻度を少なくすることができ、装置の損耗を抑えることができる。
【0047】
つぎに、図12に示すように、受渡装置50の吸着ボックス51は、その先端部が伸展チャック40R,40Lの挾持ローラ45の直下より少し前方に来るまで移動し、伸展チャック40R,40Lに吊下げられた方形状布類Yに接触する。
そしてブロー53から高圧空気が噴出され、方形状布類Yが吸着ボックス51に乗り移る。吸着ボックス51は、吸引機で空気を吸引されているので、方形状布類Yの縁部Ybは吸着ボックス51に吸着される。
【0048】
図13に示すように、吸着ボックス51に吸着された方形状布類Yは、吸着ボックス51が高速で後方に待避するとき、バキュームコンベア60との速度差により吸着ボックス51から剥離され、バキュームコンベア60に乗り移る。
【0049】
そして、図14に示すように、バキュームコンベア60に乗り移った方形状布類Yは、バキュームコンベア60の駆動により排出コンベア70の方向に移送され、排出コンベア70から、方形状布類展開装置Aに後方に設置された次工程の処理装置(図示せず)に供給される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る方形状布類展開装置は、主にランドリー工場において洗濯済みのシーツなどを展開し、回転ロール式布製品プレス機やコンベア式布製品折りたたみ機などの処理装置に供給するために利用される。また、シーツの他にも、包布、敷布、掛け布などの方形状布類を展開するために利用される。
【符号の説明】
【0051】
A 方形状布類展開装置
Y 方形状布類
10 積載台
11A〜11G 積載コンベア
12A〜12G 側縁部検知センサ
20R 第1横行チャック
20L 第2横行チャック
22 保持手段
30R 第1取付チャック
30L 第2取付チャック
32,33 取付手段
40R 伸展チャック
40L 伸展チャック
42 挾持手段
47 後端検知センサ
48 内側検知センサ
49 外側検知センサ
50 受渡装置
60 バキュームコンベア
70 排出コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁出しされた方形状布類が載せられる長尺の積載台であって、該積載台の短尺方向に移送可能な積載コンベアを有する積載台と、
前記積載コンベアの終端部の下方に設けられ、前記積載台の長尺方向に移動自在な一対の伸展チャックを備えており、
前記伸展チャックに、前記方形状布類の角部を挾持する挾持手段が設けられており、
前記伸展チャックに、前記方形状布類の縁部を検知する縁部検知センサが、前記挾持手段の挾持深さに応じて2つ設けられている
ことを特徴とする方形状布類展開装置。
【請求項2】
前記方形状布類の縁出しされた縁部を検知する後端検知センサが設けられており、
前記挾持手段は、前記後端検知センサが前記方形状布類の縁出しされた縁部を検知した後に、前記方形状布類の角部を挾持するものである
ことを特徴とする請求項1記載の方形状布類展開装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−36312(P2011−36312A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184372(P2009−184372)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)