説明

施療機

【課題】背凭れ部に昇降可能に設けた背部施療機構により被施療者の背部に施療を行わせる椅子式の施療機において、下降する背部施療機構により人体の一部を挟み込む障害を回避したり、また幼児による誤動作を防止する事が可能な施療機を提供する。
【解決手段】座部11aと背凭れ部12aと足載せ部13aとからなる施療機1aであって、前記足載せ部13aの被施療者の足先付近に、人体か否かを検出する事が可能なセンサからなる人体検出手段を設けた。該人体検出手段を足載せ部13aの凹部の底部に設けてもよい。人体検出手段の人体の検出状態において背部施療機構3aによる動作を可能とし、人体の非検出状態において背部施療機構3aによる動作を停止するか、または背部施療機構3aを上昇させるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の背部を昇降可能な施療子により施療を行わせる、椅子式の施療機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、着座して施療子による施療を被施療者の背部に対して行う椅子式の施療機は良く知られており、該施療機は、例えば背凭れ部に昇降可能にして取り付けられた背部施療機構に備える施療子が、機械的に多様な動作を行う事ができるよう構成して、叩きや揉み、またはさすりやローリングなど、様々な施療を行う事ができるようになっているもの等がある。
【0003】
例えば、図6に示すマッサージ機(施療機)1は、使用者の身体を支持するための身体支持部としての椅子2の背もたれ3に沿ってマッサージユニット(背部施療機構)4を昇降可能に配設しており、同マッサージユニット4の内部には、左右一対のもみ玉(施療子)5、6を前後方向に揺動させることによってたたき作動を行わせるためのタタキ機構と、もみ玉5、6を偏心回動させることによってもみ作動を行わせるためのモミ機構とからなるもみ玉を駆動させるためのもみ玉駆動ユニット(施療子駆動部)を椅子2の背もたれ3に向けて進退移動可能に配設している。
【0004】
前記椅子2は、背もたれ3の背部に左右一対のラック10、11を背もたれ3に沿って取付けるとともに、同ラック10、11に沿わせて断面コ字状の左右一対のガイドレール12、13を取付けており、該ガイドレール12、13に沿ってマッサージユニット4は昇降するようにしている。
【0005】
そして、該マッサージ機1は、上記各作動を組み合わせることによって使用者の体の肩、背中、更には腰等をマッサージするようにしている。
【0006】
また、前記椅子2は、着座部14の内部に使用者が着座していることを圧力によって検出するための着座センサー15を取付けており、該着座センサー15が使用者が着座していることを検出し、所定時間(例えば、15分)以上連続してマッサージが行われている場合には、使用者に対して警告を発するようにしている。
【特許文献1】特開2002−159549号公報(第9頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記のような背凭れ部において昇降可能な施療子を備える背部施療機構を設けた施療機は、上は被施療者の肩から下は腰部に至るまで、施療範囲が広範であるが、施療子が被施療者の身体に施療作用を与えるよう、背凭れ部の表面側には背凭れ部の長さ方向に長く形成した中央溝部を設けているため、背部施療機構が背凭れ部の上方に位置する時、背凭れ部の下部は有形体である人体の一部や固形物等が入り込み易い状態となり、例えば被施療者が背部施療機構の動作中に正しい姿勢を取らなかった場合は、身体の一部が背凭れ部の下部の該中央溝部に填り込んでしまって、下降する背部施療機構に挟まれてしまうという予期せぬ危険性が生じていたため、このような危険性を回避するために、左右一対の施療子の間に、落ち込み防止ベルトを中央溝部の上下端に吊架させたり、中央溝部を布地などで覆ったりする方法を取っていた。
【0008】
しかし、最近では前述したように、施療子に施療動作を与える施療子駆動部全体を背部施療機構から進退移動可能に構成して、従来よりもさらに施療子が被施療者の身体側に突出させる事が可能となっており、このため、施療感の強弱幅が大きくなった反面、大きく突出した施療子によって、背部施療機構の下降時に人体の一部を上から挟んでしまうといった新たな問題が生じていた。特に体格の小さな幼児ほど挟まれ易く、また誤動作による障害を生じさせる恐れや不安があり、落ち込み防止ベルトや中央溝部を覆う布地だけではもはや対応できなくなっていた。
【0009】
更に、前記したような座部にセンサーを設けて該座部に着座しているかどうか判別可能にしたとしても、挟み込みの危険を回避するのに必要な判別、すなわち被施療者が正しい姿勢で着座しているかどうか、または大人か幼児かどうかまでは判別できず、この点で依然として課題が残されていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、背凭れ部の下部において下降する背部施療機構により不用心にも人体の一部を挟み込む障害を回避し、また幼児による誤動作を防止する事が可能な施療機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の施療機は、座部と背凭れ部と足載せ部とからなり、背凭れ部において施療子を備えた昇降自在の背部施療機構により、被施療者の身体に施療作用を与えるようにした施療機であり、前記足載せ部の被施療者の足先付近に、人体か否かを検出する事が可能なセンサからなる人体検出手段を設けて構成している。
【0012】
また、本発明の施療機は、前記足載せ部に、人体足先を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた足先施療部を設け、凹部底部に前記人体検出手段を設けた事を特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明の施療機は、前記人体検出手段の人体の検出状態において背部施療機構による動作を可能とし、人体の非検出状態において背部施療機構による動作を停止するか、または背部施療機構を上昇させる事を特徴とするものである。
【0014】
更にまた、本発明の施療機は、背部施療機構は施療プログラムに基づいて施療するものであり、前記人体検出手段により、動作中の背部施療機構の該動作を停止した後、一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムにおける停止直前の施療動作を再開し、前記一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、停止した状態を保つようにし、または、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムの初回施療動作を実行するか、或いは該初回施療動作の実行及び停止直前の施療動作の再開のどちらかを選択し、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、電源をOFFにする事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
よって、本発明の施療機は、座部と背凭れ部と足載せ部とからなり、背凭れ部において施療子を備えた昇降自在の背部施療機構により、被施療者の身体に施療作用を与えるようにした施療機であり、前記足載せ部の被施療者の足先付近に、人体か否かを検出する事が可能なセンサからなる人体検出手段を設けて構成しているため、人体検出手段に被施療者の足先が当接している場合、被施療者の姿勢は前方へ向いて正しい姿勢で前記施療機に着座していると見なして、施療を継続する事ができ、逆に被施療者の足先が人体検出手段から浮いて該人体検出手段による人体検出を行わない場合は、被施療者の姿勢は適正でなく、背凭れ部の中央に形成する中央溝部における背部施療機構による身体の挟み込みの危険があるものと見なして、背部施療機構の動作を停止させたり、電源をOFFにしたりする事により、事前に身体挟み込みの危険を回避する事ができる。
【0016】
また、前記施療機の前記座部に乗った幼児などが誤って前記施療機の操作部であるリモコンを操作してしまい、思わぬ障害を招かないように事前に防止する事も可能である。すなわち、幼児は体格が小さいため、前記足載せ部に設けた前記人体検出手段にまで身体が届かないので、背部施療機構の動作は行われず、幼児による誤動作を回避したり、幼児の頭部などの前記背凭れ部の前記中央溝部における挟み込みを確実に防止する事ができる。
【0017】
また、本発明の施療機は、前記足載せ部に、人体足先を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた足先施療部を設け、凹部底部に前記人体検出手段を設けた事を特徴とするものであるため、凹部内の定位置に被施療者は足先を納めて確実に前記人体検出手段による検出を行う事ができる。
【0018】
更に、本発明の施療機は、前記人体検出手段の人体の検出状態において背部施療機構による動作を可能とし、人体の非検出状態において背部施療機構による動作を停止するか、または背部施療機構を上昇させる事を特徴とするものであるため、人体検出手段により常時被施療者の足先の状態を監視して、人体検出手段から被施療者の足先が離れると人体検出手段は直ちに反応する事ができる。
【0019】
更にまた、本発明の施療機は、背部施療機構は施療プログラムに基づいて施療するものであり、前記人体検出手段により、動作中の背部施療機構の該動作を停止した後、一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムにおける停止直前の施療動作を再開し、前記一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、停止した状態を保つようにし、または、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムの初回施療動作を実行するか、或いは該初回施療動作の実行及び停止直前の施療動作の再開のどちらかを選択し、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、電源をOFFにする事を特徴とするものであるため、例えば、施療中の被施療者が一定時間内において、何らかの理由で施療機から離れ、該施療機に思わず幼児が近づいて前記座部に乗り上がるといった事態が生じても、被施療者が前記人体検出手段から離れた時点で、前記背部施療機構の動作は停止しており、幼児は前記足載せ部の人体検出手段には届かないので、背部施療機構の動作を再開しないようにする事ができる。
【0020】
しかも一定時間内であれば、前記施療機から被施療者が離れていたとしても、再び着座して前記人体検出手段により検出されて、前記背部施療機構の停止直前の動作を直ちに再開する事ができて便利である。また、施療中の被施療者が離れていた前記一定時間後は、施療効果も薄れているので、施療プログラムの初回施療動作に戻って初めからやり直す事ができるよう選択する事ができる。
【0021】
また、前記一定時間後も前記人体検出手段のセンサが依然としてOFFのままであれば、施療機の電源はOFFとなって施療機の全動作は不可能となり、幼児がリモコンを触っても施療機は全く動作しない状態となり、幼児による誤動作を確実に防ぐ事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の施療機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
図1は本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図であり、図3は本発明の施療機における背部施療機構の一実施形態を示す斜視構成説明図であり、図4は本発明の施療機における背部施療機構の一実施形態を示す右側面構成断面説明図であり、図5は本発明の施療機における施療動作過程の一実施形態を示す流れ図であり、図6は従来技術を示す参考図である。
【0023】
すなわち、本発明の施療機は、図1及び図2の実施形態で示したように、被施療者の大腿部または臀部が当接する座部11aと、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背凭れ部12aと、座部11aの前側において上下方向へ揺動可能に連結した足載せ部13aとから構成したものである。
【0024】
更に、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0025】
前記施療機1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返す事が可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0026】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、被施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4aを対設させるならば、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、被施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0027】
また、前記施療機1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、被施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0028】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0029】
前記足載せ部13aは、人体の脛部及び足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を夫々形成したものであり、各凹部に膨縮袋4aを左右一対として対設するよう設けて、凹部内部で人体の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0030】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設けている。図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0031】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した被施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって被施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0032】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、被施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、被施療者の身体を固定したままの状態で前記背部施療機構3aの前記施療子311aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0033】
本発明である前記施療機1aの前記足載せ部13aは、図1の実施形態で示したように、上部に人体脛部を施療するための凹部6aを幅方向左右に夫々設けた脛施療部131aと、該脛施療部131aの下部に位置する人体足先を施療するための凹部6aを幅方向左右に夫々設けた足先施療部132aとから構成しており、脛施療部131aと足先施療部132aの各凹部6a内部に、前述のような膨縮袋4aを左右に対設させている。尚、適宜各凹部6aの底部にも膨縮袋4aを設ける事ができる。
【0034】
図1に示すように、前記背凭れ部11の内部には、該背凭れ部11内部左右両側に設けられた左右一対の断面コ字状のガイドレール38aに沿って昇降可能となるように、本施療機1aの主機能部である背部施療機構3を配設しており、該背部施療機構3内に設けた施療子駆動部31aの前端に配する左右一対の各施療子311aにより、揉み、叩き、ローリング等多彩な施療施療(機構は詳述せず)を使用者に施療することが可能となっている。
【0035】
前記背凭れ部12aには、図1に示すようにその中央部に左右一対の施療子311aを備えた昇降自在の背部施療機構3aを設けている。該背部施療機構3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール38aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0036】
前記左右一対の施療子311aは、モータ等を駆動源とした機械式の施療機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた被施療者の首部、背部、腰部、臀部等を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしている。
【0037】
前記背部施療機構3aの前記背凭れ部12aにおける昇降に関して、図3及び図4に示すように、略矩形箱型状の外部ケーシング32aの前方視右側下部に、該背部施療機構3aを昇降させるための昇降用モータ33aを設け、該昇降用モータ33aはギヤ(図示せず)とウォーム(図示せず)とからなる昇降用ギアボックス部331aと噛合するとともに、該昇降用ギアボックス部331aは、該外部ケーシング32aの下部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させた昇降軸35aと噛合している。
【0038】
更に、前記昇降軸35aの左右端部には前記ガイドレール38aに固設するラック(図示せず)と夫々噛合する左右一対の各昇降用ピニオンギヤ351aを設けている。更に、前記外部ケーシング32aの上部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させたガイド軸34aを設けるとともに、該ガイド軸34aの左右端部には該ガイドレール38a内部にて回転自在である回転輪341aを設けている。
【0039】
これらの構成により、前記昇降用モータ33aの回転が、前記昇降用ギアボックス部331a、昇降軸35a、左右一対の各昇降用ピニオンギヤ351aに伝達し、該各昇降用ピニオンギヤ351aは噛合している前記ラック(図示せず)上を回転走行することにより、前記背部施療機構3aは、前記ガイドレール38aに沿って昇降可能となるのである。
【0040】
尚、前記昇降軸35aには、前記昇降用モータ33aによって該昇降軸35aが駆動(回動)された量を検出するためのロータリーエンコーダからなる昇降用駆動量検出手段352aを配設しており、該昇降用駆動量検出手段352aは、電子制御である制御手段(図示せず)に接続している。
【0041】
また、本発明の施療機1aの前記背部施療機構3aに設けた前記施療子駆動部31aは、前記背凭れ部11の表側(使用者と接する側)に向けて進退移動可能に構成されている。すなわち、該背部施療機構3aは、前記外部ケーシング32aの下部に左右幅方向に向けて伸延させた状態で配設した前記昇降軸35aの中央部に、該施療子駆動部31aのケーシングを構成する内部ケーシング312aを前後方向に向けて揺動自在に取付けており、該昇降軸35aを揺動支点として該施療子駆動部31aが前後方向に向けて揺動できるようにしている。
【0042】
更に、前記外部ケーシング32aの前方視左側上部に、前記施療子駆動部31aを進退させるための進退用モータ36aを設け、該進退用モータ36aはギヤ(図示せず)とウォーム(図示せず)とからなる進退用ギアボックス部361aと噛合するとともに、該進退用ギアボックス部361aは、該外部ケーシング32aの上部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させた進退軸37aと噛合している。更に、該進退軸37aの中途部に左右一対の各進退用ピニオンギヤ371aを取付ける一方、左右一対の各該進退用ピニオンギヤ371aと夫々噛合する左右一対の前記内部ケーシング312a上部に円弧状ラック313aを取付けている。
【0043】
これらの構成により、前記進退用モータ36aの回転が、前記進退用ギアボックス部361a、進退軸37a、左右一対の各進退用ピニオンギヤ371aに伝達するとともに、左右一対の各該進退用ピニオンギヤ371aは噛合している前記円弧状ラック313aを移動させるので、前記施療子駆動部31aは、前記昇降軸35aを揺動支点として前後方向に向けて揺動し、施療子311aが前後方向へ進退することになる。
【0044】
尚、前記進退軸37aには、前記進退用モータ36aによって該進退軸37aが駆動(回動)された量を検出するためのロータリーエンコーダからなる進退用駆動量検出手段372aを配設しており、該進退用駆動量検出手段372aは、前記制御手段に接続している。
【0045】
よって、本実施例に係る施療機1aは、前記昇降用モータ33aの駆動量を前記昇降用駆動量検出手段352aから検出しつつ前記制御手段により制御されるとともに、前記進退用モータ36aの駆動量を前記進退用駆動量検出手段372aから検出しつつ同制御手段により制御される。
【0046】
更に、本実施例に係る施療機1aは、前記制御手段によって前記昇降用駆動量検出手段352aと前記進退用駆動量検出手段372aの夫々の駆動量を検出しながら、前記昇降用モータ33aと進退用モータ36aを駆動させることができるので、前記施療子311aの位置をきめ細かく制御することができ、また該昇降用モータ33aと進退用モータ36aの駆動を適宜組み合わせることによって、使用者の体の肩、背中、腰等を多彩なモードで施療することができる。
【0047】
すなわち、前記制御手段によって昇降用モータ33aを駆動すると、昇降軸35aが回動し、それに伴って左右一対の前記各昇降用ピニオンギヤ351aが左右一対の前記ガイドレール38aに固設する前記ラックに沿って夫々走行し、前記背部施療機構3aが前記背凭れ部11に沿って昇降移動する。その際に、該制御手段は、ロータリーエンコーダからなる前記昇降用駆動量検出手段352aで昇降軸35aの回動量を検出して、該背部施療機構3aの昇降量を検出している。この動作により、ローリング施療が可能となる。
【0048】
また、前記制御手段によって進退用モータ36aを駆動すると、前記進退軸37aが回動し、それに伴って左右一対の前記各進退用ピニオンギヤ371aの回転が前記内部ケーシング312a上部に取り付けている左右一対の前記円弧状ラック313aに伝達することにより、左右一対の該円弧状ラック313aが移動して、前記施療子駆動部31aが前後方向に進退移動するとともに、前記施療子311aが前後方向に進退移動する。その際に、該制御手段は、ロータリーエンコーダからなる前記進退用駆動量検出手段372aで前記進退軸37aの回動量を検出して、該施療子駆動部31aの進退量を検出している。この動作により、指圧施療が可能となる。
【0049】
上記の基本となる各作動を組み合わせることによって、使用者の体の肩、背中、腰等を、多彩なモードで施療することができ、しかも、前記施療子311aの進退量を簡単な構成で従来よりもより大きくすることができるようにしている。
【0050】
尚、前記背部施療機構3aの前記施療子311aによる前記モードの組み合わせで、一つの施療プログラムを構成する事ができ、所定の時間で組み合わされた各モードを順次実行するようにしてもよい。
【0051】
前記背凭れ部12aには、該背凭れ部12aの中央上下方向に長く設けられた中央溝部121aを設けており、該中央溝部121aを貫通して前記左右一対の施療子311aが被施療者の身体に施療作用を与えられるようにしているのであるが、背凭れ部12aの下部において人体の一部や、または危険を予期できない幼児の頭部などが、中央溝部121aに深く填り過ぎてしまい、背凭れ部12a内部で下降する前記背部施療機構3aの一部分、例えば前記施療子311aや前記外部ケーシング32aなどによって挟み込まれるという事態や、また幼児が関係する誤動作による障害を回避するために、本発明の前記施療機1aは、前記足載せ部13aに人体検出手段5aを設けている。
【0052】
前記人体検出手段5aには、図示しないが人体か否かを検出する事が可能な検出器である種々のセンサを適用できる。例えば、センサの種類として、所定の圧力を検出する圧力センサや所定の熱を検出する熱センサ、所定範囲で人体の検出を行うセンサ類、例えば赤外線センサ、光センサなどがある。他にも前記足載せ部13aに張設したシート部における所定の張力を検出するシート張力センサなどを用いる事ができる。
【0053】
また、前記人体検出手段5aから検出された信号に基づき、前記制御手段は前記施療機1aの動作を制御するようにしている。
【0054】
前記人体検出手段5aは、前記足載せ部13aの被施療者の足先付近に設けられるようにしている。図1の実施形態では、載せ部13aの足先施療部132aにある左右の凹部133a底部の、被施療者の足裏が当接する部分に設置している。または、左右の凹部133aの両側部に設けてもよい。人体検出手段5aを凹部133aの両側部に設ける場合は、被施療者の足裏が凹部133a底部から少し離れたとしても凹部133a内に納まっている限り、人体検出手段5aによる検出を行う事ができる。
【0055】
このように、前記人体検出手段5aを前記足載せ部13aの前記凹部133aに設ける事により、正常な姿勢で前記施療機1aに着座している被施療者に対してのみ、前記背部施療機構3aが作動して施療を行うようにし、人体の一部が前記背凭れ部12aの前記中央溝部121aに入り込むような不自然な姿勢を取る場合に、背部施療機構3aの作動を極力行わないようにする事ができる。
【0056】
すなわち、前記足載せ部13aの前記凹部133aに被施療者の足先が納まり、凹部133aの底部に被施療者の足裏が当接している場合、被施療者の姿勢は前方へ向いて正しい姿勢で前記施療機1aに着座していると考えられる(前記人体検出手段5aによる人体の検出状態)。逆に被施療者の足裏が凹部133aの底部から浮いて前記人体検出手段5aが人体の検出を行わない場合は、被施療者の姿勢は適正でなく、前記中央溝部121aにおける挟み込みの危険があるものとしている(前記人体検出手段5aによる人体の非検出状態)。
【0057】
それで、前記人体検出手段5aにより凹部133a内において人体の存在を検出した場合にのみ被施療者の姿勢は適正であると見なし、人体検出手段5aの検出信号が前記制御手段に送信されて前記背部施療機構3aによる動作を制御手段は受け付けるようにする。
【0058】
よって、前記施療機1aに着座して前記背部施療機構3aによる施療を行っていた被施療者の足先が、前記凹部133aから離れる場合は、前記人体検出手段5aは人体の検出を行わなくなり、前記制御手段は背部施療機構3aの動作を停止する事になる。
【0059】
または、被施療者の足先が、前記凹部133aから離れると共に、前記背部施療機構3aを一定距離上昇するよう前記制御手段により制御してもよい。
【0060】
前記人体検出手段5aは、他にも前記足載せ部13aの前記左右凹部133aの各底部に夫々設ける事により、被施療者に対して一層適正な姿勢を取るよう促す事ができる。
【0061】
すなわち、前記足載せ部13aの前記左右凹部133aの各底部のどちらか一方にのみ、被施療者の片側の足先が納まっている場合は、その片側の前記人体検出手段5aは人体を検出するのであるが、他側の人体検出手段5aは検出しないので、被施療者は適正な姿勢で前記施療機1aに着座しているとは見なされず、前記制御手段は前記背部施療機構3aによる動作を受け付けないようにしている。左右凹部133aに被施療者の両足先が揃い、左右の人体検出手段5aが人体の検出を同時に行う場合にのみ、制御手段は前記背部施療機構3aによる動作を受け付けるようにする。
【0062】
更に上記構成により、前記施療機1aの前記座部11aに乗った幼児などが誤って前記施療機1aの操作部であるリモコン(図示せず)を操作してしまい、思わぬ障害を招かないように事前に防止する事も可能である。すなわち、幼児は体格が小さいため、前記人体検出手段5aのある前記足載せ部13aの前記凹部133aにまで身体が届かないので、背部施療機構3aによる動作は行われず、幼児の頭部などが、前記背凭れ部12aの前記中央溝部121aへ落ち込むような危険な状況であっても背部施療機構3aやその前記施療子311aによる挟み込みを確実に防止する事ができる。
【0063】
図5は、本発明の施療機1aにおける施療前及び施療中の動作過程を示すものである。施療機1aの施療前は、前記人体検出手段5aのセンサがON(人体の検出状態)であれば、施療機1aの電源が入って施療をスタートさせる事ができるが、該センサがOFF(人体の非検出状態)であれば、施療機1aの電源は入らず、施療機1aのリモコン(図示せず)は操作不能の状態である。
【0064】
前記施療プログラムに基づく施療中の前記施療機1aにおいては、前記人体検出手段5aのセンサがONであれば、前記背部施療機構3aによりそのまま施療を継続できるが、該センサが途中でOFFとなれば、背部施療機構3aは一旦停止する事になる。
【0065】
施療動作中の前記背部施療機構3aが一旦停止した後、一定の時間内に前記人体検出手段5aのセンサがONとなれば、一旦停止前(直前)の前記施療プログラムにおける施療動作から再開するようにし、その一定の時間内に人体検出手段5aのセンサが依然としてOFFのままであれば、背部施療機構3aによる施療は中止とする。場合によっては、施療機1aの電源をOFFとするようにしてもよい。
【0066】
または、施療動作中の前記背部施療機構3aが一旦停止した後、一定の時間後に前記人体検出手段5aのセンサがONとなれば、一旦停止前に実行していた前記施療プログラムのスタート時の施療動作に戻るようにしてもよい。尚、これに限らず一旦停止前の前記施療プログラムにおける施療動作から再開してもよいし、または前記施療プログラムのスタート時の施療動作に戻るか、一旦停止前の施療動作から再開するかを選択できるようにしてもよい。該選択は前記リモコンで行い、選択する前に質問を表示したり、音声質問によるものであってもよい。
【0067】
施療動作中の前記背部施療機構3aが一旦停止した後、一定の時間後に前記人体検出手段5aのセンサが依然としてOFFのままであれば、背部施療機構3aによる施療は中止すると共に施療機1aの電源はOFFとする。
【0068】
図5のように施療機1aの背部施療機構3aの動作を前記制御手段により制御する事により、例えば施療中の被施療者が一定時間内において、何らかの理由で施療機1aから離れ、施療機1aに思わず幼児が近づいて前記座部11aに乗り上がるといった事態が生じても、被施療者が前記人体検出手段5aから離れた時点で、前記背部施療機構3aの動作は停止しており、幼児は前記足載せ部13aの前記人体検出手段5aには届かないので、背部施療機構3aの動作を再開しないようにする事ができる。
【0069】
しかも一定時間内であれば、前記施療機1aから被施療者が離れていたとしても、再び着座して前記人体検出手段5aにより検出されて、前記背部施療機構3aの停止直前の動作を直ちに再開する事ができて便利である。
【0070】
また、前記一定時間後も前記人体検出手段5aのセンサが依然としてOFFのままであれば、施療機1aの電源はOFFとなって施療機1aの全動作は不可能となり、幼児がリモコンを触っても施療機1aは全く動作しない状態となり、幼児による誤動作を確実に防ぐ事ができる。
【0071】
このように本発明の前記施療機1aは、前記人体検出手段5aのセンサがONとなる場合にのみ、前記背部施療機構3aによる施療を行うようにし、人体検出手段5aのセンサがOFFであれば、その施療動作を一旦停止したり、または施療機1aの電源自体をOFFにするよう構成する事により、挟み込みを事前に防止して幼児や被施療者の安全性を可及的に向上させたものとしている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の施療機における背部施療機構の一実施形態を示す斜視構成説明図である。
【図4】本発明の施療機における背部施療機構の一実施形態を示す右側面構成断面説明図である。
【図5】本発明の施療機における施療動作過程の一実施形態を示す流れ図である。
【図6】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0073】
1a 施療機
11a 座部
12a 背凭れ部
121a 中央溝部
13a 足載せ部
131a 脛施療部
132a 足先施療部
133a 凹部
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
3a 背部施療機構
31a 施療子駆動部
311a 施療子
312a 内部ケーシング
313a 円弧状ラック
32a 外部ケーシング
33a 昇降用モータ
331a 昇降用ギアボックス部
34a ガイド軸
341a 回転輪
35a 昇降軸
351a 昇降用ピニオンギヤ
352a 昇降用駆動量検出手段
36a 進退用モータ
361a 進退用ギアボックス部
37a 進退軸
371a 進退用ピニオンギヤ
372a 進退用駆動量検出手段
38a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 人体検出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背凭れ部と足載せ部とからなり、該背凭れ部において施療子を備えた昇降自在の背部施療機構により、被施療者の身体に施療作用を与えるようにした施療機であり、前記足載せ部の被施療者の足先付近に、人体か否かを検出する事が可能なセンサからなる人体検出手段を設けた事を特徴とする施療機。
【請求項2】
前記足載せ部に、人体足先を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた足先施療部を設け、凹部底部に前記人体検出手段を設けた事を特徴とする請求項1記載の施療機。
【請求項3】
前記人体検出手段の人体の検出状態において背部施療機構による動作を可能とし、人体の非検出状態において背部施療機構による動作を停止するか、または背部施療機構を上昇させる事を特徴とする請求項1及び請求項2記載の施療機。
【請求項4】
背部施療機構は施療プログラムに基づいて施療するものであり、前記人体検出手段により、動作中の背部施療機構の該動作を停止した後、一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムにおける停止直前の施療動作を再開し、前記一定の時間内に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、停止した状態を保つようにし、または、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出する場合は、施療プログラムの初回施療動作を実行するか、或いは該初回施療動作の実行及び停止直前の施療動作の再開のどちらかを選択し、前記一定の時間後に前記人体検出手段が人体を検出しない場合は、電源をOFFにする事を特徴とする請求項1乃至請求項3記載の施療機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−289534(P2007−289534A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122776(P2006−122776)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】