説明

施術用衣服

【課題】 マッサージなどの全身の素肌に施術を行う作業を受ける人が、負担を負うことなく、快適に作業を受けることができる衣服を提供することを課題とする。
【解決手段】 素肌に対して直接触れることを要する作業を受ける人が着用する施術用衣服として、袖の無いワンピース形状の衣服本体の両肩部分が分離可能に形成し、さらに、両側面は、少なくとも、脇の下から下腹部下端の側方までの部分、及び、裾から脚の付け根の側方までの部分を開閉可能に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージや薬の塗布など素肌に対して直接触れることを要する作業を受ける人が着用する衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
エステティックサロンやアロマテラピーサロンなどでは、全身の素肌に対して、オイルを塗布したり、マッサージを施すことが行われる。この際、被施術者は全裸では抵抗があるために、大きなバスタオルを胸から下に巻きつけたり、筒状の上方にゴムが入った衣服を胸から下に着用し、この状態でベッドに横たわり、その後、必要な箇所を表出させて施術することが行われる。
【特許文献1】特開平7−316905号公報
【特許文献2】実開昭63−39108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、バスタオルを利用する場合、ベッドに横たわった被施術者とベッドの間に位置するバスタオルを引き抜く作業が発生し、この際、被施術者は体を浮かせる必要が生じ、施術者に余分な負担をかけてしまうという問題がある。また、筒状の衣服を利用する場合は、上半身に施術する場合は下方へずり下げ、脚部に施術する場合は上方へずり上げることになるが、これによって一箇所に布が固まってその部分が盛り上がるために、被施術者に不快感を与えてしまう。
このような問題を解決する方法として、上記特許文献1、2に示される被介護者用の衣服のような形状の衣服を用いることが考えられる。つまり、上記の被介護用衣服は前身ごろと後身ごろとが側面および肩の上部で分離できるようになっているので、被施術者にこのような衣服を着せて、必要に応じて分離箇所を分離してから前身ごろもしくは後身ごろの適所を折り返して必要箇所を表出させることができると考えられる。
しかし、上記特許文献1、2は被介護者に対する着衣を容易にするためのものであるために、いずれも袖があり、一方、エステティックサロン等における被施術者は仰向け時には腕を体に沿って伸ばし、うつ伏せ時には腕を頭の下で組んでいるので袖部分があると、作業に支障をきたすこととなる。
本発明は、このような事情に鑑みて、マッサージなどの全身の素肌に施術を行う作業を受ける人が、負担を負うことなく、快適に作業を受けることができる衣服において、効率よく必要箇所を表出できるように形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、素肌に対して直接触れることを要する作業を受ける人が着用する施術用衣服であって、袖の無いワンピース形状の衣服本体の両肩部分が分離可能に形成され、さらに、両側面は、少なくとも、脇の下から下腹部下端の側方までの部分、及び、裾から脚の付け根の側方までの部分が開閉可能に形成される施術用衣服である。
このような構成により、施術者は、この施術用衣服を着用した被施術者に対して上半身に対して作業を行う場合は、施術用衣服の両肩部分を分離して、両側面の脇の下から下腹部下端側方までの部分を開き、その後、被施術者の体の上側に位置する布を脚の方へ折り返すことで上半身を表出させて作業を行う。脚部に対して作業を行う場合は、両側面の裾から脚の付け根の側方までの部分を開き、被施術者の体の上側に位置する布を頭の方へ折り返すことで脚部を表出させて作業を行う。
請求項2に記載の発明は、前記施術用衣服において、両側面の下腹部下端の側方から脚の付け根の側方にまで部分の少なくとも1点において前身ごろと後身ごろとが連結しているものである。なお、この連結部分は両側面の下腹部下端の側方から脚の付け根の側方にまで部分に存し得る状態であれば足り、逆開きのメカニカルファスナーのように連結部分が移動するものであってもよい。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、上述のように本発明に係る施術用衣服では、被施術者は動く必要が無いので、負担がなく、また、衣服が盛り上がるなどの被施術者に不快を与えるような変形がないので、快適に被施術者は作業を受けることができる。そして、袖が無く、上半身を表出させる際に、肩部分と、脇の下から下腹部下端側方の部分までを開けばよいので作業効率を高めることができる。
請求項2に記載の発明は、両側面の下腹部下端の側方から脚の付け根の側方にまで部分の少なくとも1点において前身ごろと後身ごろとが連結し、前身ごろと後身ごろとが完全に分離していないので、複数の大きさや種類のものを同時に洗濯等しても、前身ごろと後身ごろとの組み合わせを間違うことがなく、取り扱いの利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係る施術用衣服Xの正面図を示し、図2に施術用衣服Xの側面図を示す。施術用衣服Xの本体10は袖の無いワンピース状の衣服であり、綿のタオル地により形成されている。そして、前身ごろ及び後身ごろの脇の下の部位から裾に至る側縁には、樹脂製のメカニカルファスナーのエレメントとテープからなるチェーン12cが固定され、前身ごろのチェーンには逆開きファスナーを構成するように、尻合わせに2個のスライダー12a、12bが設けられている。また、前身ごろの肩部分は延長されて、この延長部分に面ファスナーの係合部11aが縫い付けられ、後身ごろの肩部分も延長されて、この延長部分に面ファスナーの被係合部11bが縫い付けられている。このような構成により、前身ごろと後身ごろの相対するチェーン12cをスライダー12a、12bにより連結し、肩部分の面ファスナーの相対する係合部11aと11bとを係合させることで、図1に示すような施術用衣服Xを形成することができる。そして、このように構成されるので、施術用衣服Xは両肩部分で自在に分離でき、また、側面部分は上下ともに任意の位置まで開放することができる。また、前身ごろと後身ごろとはメカニカルファスナーのスライダーにより連結されており、両者は一体に連結されることとなる。
【0007】
次に、以上のような構成を有する施術用衣服Xの使用方法について説明する。まず、被施術者Hは図3に示すように施術用衣服Xを着用して、ベッドBの上に横たわる。この状態で、施術者は上半身に対して施術を行う場合は、図4に示すように、両肩の面ファスナーの係合を解いて肩部分を分離させ、さらに、側面の上方にあるスライダー12aを下腹部の下端側方まで下げて、両側面を開き、上半身に掛かっている前身ごろ部分を脚の方へと折り返して、上半身を表出させる。そして、この状態で施術を行う。次に、脚部に対して施術を行う場合は、まず、図3に示す状態に戻してから、図5に示すように、側面の下方にあるスライダー12bを脚の付け根の側面まで上げて、両側面を開き、脚部に掛かっている前身ごろ部分を頭の方へ折り返して、脚部を表出させる。そして、この状態で施術を行う。正面についても同様の手順で上半身、脚部ごとに表出させて施術を行うことで、全身の施術が完了する。なお、正面側上半身に施術を行う際に、胸を表出させることを避ける場合は、側面を開放した後にタオルなどを胸に掛けてから前身ごろ部分を折り返す。
【0008】
なお、上記実施の形態では、肩部分の分離手段に面ファスナーを用い、側面部分の開放にメカニカルファスナーを用いているが、これらの部分は、面ファスナー、メカニカルファスナーの他に、ボタンやホック、紐などにより分離もしくは開放できるようにしてもよい。また、上記実施形態では、チェーン同士を分離不能なメカニカルファスナーを用いているが、分離できる構造のものを用いても良い。さらに、上記実施形態では側面に渡ってメカニカルファスナーのチェーンが形成されているが、腰部分、即ち、下腹部下端の側方から脚の付け根の側方にまで部分は前身ごろと後身ごろ同士を縫い合わせ等により連結していてもよい。また、上記実施の形態において、施術用衣服には袖が無いが、腕などを保温する等のために、肩口から分離するような袖や分離可能に形成されるケープを設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】施術用衣服の正面図である。
【図2】施術用衣服の側面図である。
【図3】施術用衣服を着用した状態を示す正面図である。
【図4】施術用衣服の上半身の施術を行う際の状態を示す正面図である。
【図5】施術用衣服の脚部の施術を行う際の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0010】
X 施術用衣服
10 本体
11a 面ファスナー(係合部)
11b 面ファスナー(被係合部)
12a、12b スライダー
12c チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素肌に対して直接触れることを要する作業を受ける人が着用する施術用衣服であって、
袖の無いワンピース形状の衣服本体の両肩部分が分離可能に形成され、さらに、両側面は、少なくとも、脇の下から下腹部下端の側方までの部分、及び、裾から脚の付け根の側方までの部分が開閉可能に形成される施術用衣服。
【請求項2】
両側面の下腹部下端の側方から脚の付け根の側方にまで部分の少なくとも1点において前身ごろと後身ごろとが連結している請求項1に記載の施術用衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−16373(P2007−16373A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296637(P2005−296637)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(503060617)有限会社グリーングレイス (1)
【Fターム(参考)】