施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム
【課題】排気ガスに含まれる不純物を容易に取り除くとともにCO2を効率よく施用に利用し,さらに大幅に省エネルギー化できる環境に配慮した施設園芸用温室の二酸化炭素供給装置及びシステムを得ることを課題とする。
【解決手段】施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機11と、この原動機11に接続された,該原動機11の排熱を回収する排熱回収器13と、前記原動機11と排熱回収器13間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器12とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステム。
【解決手段】施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機11と、この原動機11に接続された,該原動機11の排熱を回収する排熱回収器13と、前記原動機11と排熱回収器13間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器12とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、施設園芸の温室では、夜間の冷温時に室内の暖房として加温機を用いている。この加温機は、重油や灯油のほかLPガスや都市ガスを燃料とし、バーナーで燃焼させて熱源としている。一方で、高品質な園芸作物を生産するために、温室内で光合成の原料の一つとなる二酸化炭素(以下、CO2)濃度を高めるCO2施用装置も普及している。加温機の排気ガスは、炭化水素である燃料を燃焼させるため大気中よりも高濃度のCO2を含んでおり、この排気ガスをCO2施用として直接温室内に供給する装置が実用化されている。これらの技術を開示した例としては、例えば特許文献1、特許文献2が知られている。
【0003】
また、図10に示すように、ガスエンジンなどを原動機とした熱電併給のコージェネーションシステムを導入して、発電した電力を人工照明や農業施設の電源として利用するとともに、排気ガスから温湯として熱を回収し、温室の加温に用いるシステムも欧州を中心に普及している。さらに、このコージェネレーションシステムから出る原動機の排気ガス中に含まれるCO2を温室内に供給して光合成に利用することを目的とした、いわゆる熱・電気・二酸化炭素のトリジェネレーションシステムも導入されている。
【0004】
図10において、図中の符番1は原動機であり、この近くにラジエータ2が配置されている。原動機1には、脱硝器3、キャタライザー4、排熱回収器5が順次接続されている。図10のシステムでは、原動機1の排熱は排熱回収器5で回収され、温室6を加温するための加熱源として利用され、余剰分は貯湯槽7に蓄熱される。
【特許文献1】特開2004−344154号公報
【特許文献2】特開2004−169937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
施設園芸において、発電した電気の大部分は人工照明等の用途に限られている。従って、冬季以外の日照が十分な期間に発電機を稼動させる場合は、余剰電力は系統を通じて売電されることになる。しかしながら、売電価格は決して高くはないため、暖房やCO2を供給するために発電機を稼動させるのは、運用上あまり得策とは言えない。ところで、温室に供給される電気、熱、CO2のうち、最も優先順位の高いのは温室の温度を保つ熱源の確保であり、熱供給をベースにした発電機の運用がなされることになる。しかし、電気と熱の必要な時間帯は合致しないことが多く、これまでのトリジェネレーションシステムでは、貯湯槽を設けて温熱を一時貯留し、発電機の稼動していないときにも温室の加温ができるように熱源として利用するシステムが実用化されてきた。
【0006】
ところが、CO2の必要な時間帯は主に日の出の早朝から温室内換気が行われるまでの数時間である。従って、この時間帯にCO2源である原動機を稼動させても、電気および熱が不要なことが多く、効率的な運用が難しかった。さらには、ガスエンジン排気ガスに含まれる窒素酸化物・硫黄酸化物や未燃炭化水素などが作物の成長阻害要因となるため、排気ガスのクリーンアップシステムとして脱硝器や触媒装置が必要となり、装置の大型化、コストアップを招いていた。
【0007】
本発明は、こうした事情を考慮してなされたもので、排気ガスに含まれる不純物を容易に取り除くとともにCO2を効率よく施用に利用し,さらに大幅に省エネルギー化できる環境に配慮した施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(第1の発明)は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,該原動機の排熱を回収する排熱回収器と、前記原動機と排熱回収器間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステムである。
【0009】
また、本発明(第2の発明)は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給するトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器と、発電中の原動機の燃焼排ガスの熱を貯めておく蓄熱器とを具備することを特徴とする施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気ガスに含まれる不純物を容易に取り除くとともにCO2を効率よく施用に利用し,さらに大幅に省エネルギー化できる環境に配慮した施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムについて説明する。
第1の発明において、前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を更に具備し、前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する、2つの運転状態を選択できる運転モードを有した構成とすることが好ましい。これにより、原動機の稼働中は、後述する図3のように、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給することになる。一方、原動機の停止中は、後述する図4のように、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給することになる。このように、第1の発明によれば、上述した構成を採用することにより、原動機の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2を温室に供給することができるとともに、単純な構成でクリーンなCO2リッチ空気を温室に供給することができる。
【0012】
第2の発明において、前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を備えるとともに、前記蓄熱器の出口側に、蓄熱器に蓄積した熱を二酸化炭素貯留器または温室に導入するかを選択可能な熱供給切り替え手段とを更に具備し、前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給するか、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給するか、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する、4つの運転状態を選択可能な運転モードを有した構成とすることが好ましい。これにより、原動機の稼働中は、後述する図5のように、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給することになる。また、原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する(後述する図7参照)か、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給する(後述する図8参照)か、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する(後述する図9参照)。
【0013】
第2の発明によれば、上述した構成を採用することにより、原動機の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2や熱を両者同時にあるいは別々に温室へ供給することができる。また、それぞれ最適な時間帯に合わせてCO2や熱を温室へ供給することが可能で、運転の自由度が高い装置を構築することができる。さらに、CO2供給時にCO2貯留器の加熱源の一部を蓄熱器から供給することで、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0014】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べるものに限定されない。
(実施例1) (請求項1、2に対応)
図1に本発明に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムの構成を、図2に一日の運転タイムスケジュールの一例を夫々示す。図2において、(A)は電力,熱,二酸化炭素がいつ必要とするかを示す例であり、(B)は電力,熱,二酸化炭素をいつ供給するかを示す例である。
【0015】
図1中の符番11は原動機を示す。原動機11は発電機を駆動させ、温室16では発電した電気を人口照明等に利用する。原動機11には、CO2貯留器12,排熱回収器13が順次接続されている。また、CO2貯留器12の出口側,即ちCO2貯留器12と排熱回収器13を結ぶライン、及びこのラインから温室16へ分岐するラインには、夫々ガス切り替え手段としての電動ダンパー17a,17bが設けられている。電動ダンパー17a,17bにより、CO2貯留器12に蓄積した二酸化炭素(CO2)を温室16に導入するか否かを選択することができる。即ち、電動ダンパー17aを閉じ、電動ダンパー17bを開いた状態ではCO2貯留器12からの二酸化炭素が温室16に導入され、両方の電動ダンパー17a,17bを閉じた状態ではCO2貯留器12に二酸化炭素を蓄積することになる。前記原動機11、CO2貯留器12、排熱回収器13及び電動ダンパー17a,17b等により、施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムが構成されている。
【0016】
原動機11の排熱はCO2貯留器12に回収され、温室16の加温のための加熱源とし利用され、余剰分は貯湯槽14に蓄熱される。なお、原動機11が往復動機関の場合、エンジンブロックを冷却するための冷却水が循環しているため、排熱回収器13と共に原動機11の近くに配置されたラジエータ15で放熱している熱を回収してもよい。原動機11から出るCO2を含む排気ガスは、排熱回収器13を通る前に二酸化炭素吸収材が充填されたCO2貯留器12を通り、ここでCO2が蓄積される。二酸化炭素吸収材(以下、CO2吸収材も同義)は、主にリチウム複合酸化物で構成され、常温から600℃までの温度範囲で下記式(1)に示す反応においてCO2を吸収する。
Li4SiO4+CO2⇔Li2SiO3+Li2CO2+Q …(1)
この反応は可逆反応であり、650℃程度に加熱すると逆反応によりCO2を放出し、吸収材が再使用できる。反応に伴い、右方が発熱で左方が吸熱となる。図1は、この特徴を利用して原動機11の稼動状態と無関係にCO2供給可能な構成となっている。
【0017】
トリジェネレーションシステムの運転状態を図3及び図4を用いて説明する。図3は、原動機11が稼動しており、CO2を蓄積しながら電気および熱を供給している状態を示す。図2の(A)の例では15時から21時ごろまでがこの状態となっている。その後、翌朝までの夜間は、原動機11は熱需要に合わせた間欠的な運転を繰り返し、CO2を蓄積しながら余剰電力は系統を通じて売却される。図2の(B)の例では21時から翌朝7時ごろまでがこの状態となっている。
【0018】
CO2貯留器12は原動機11の稼動中に、排気ガス中に含まれるCO2を上記式(1)の反応によって200℃〜400℃の排気ガス温度で直接的に吸収・蓄積する。このとき、排熱回収器13はCO2貯留器12の上流あるいは下流のどちらに位置してもよい。しかし、CO2吸収時には前述の通り発熱反応を生じるため、排気ガスが加熱されて原動機11の排出温度よりも高くなる。したがって、排熱回収器13を図3のようにCO2貯留器12の下流に設置すれば、吸収反応の発熱も効率よく回収できる。CO2貯留器12の出口ガスは、この場合、煙道などを通じて屋外へ放出される。CO2貯留器12では、CO2の他、NOxやSOxなど、作物に有害であったり、成長を阻害する微量な酸化物もその分圧によっては吸収されることもあるが、ほとんどは反応せずにすり抜けてしまう。
【0019】
一方、図4では原動機11は停止しており、CO2貯留器12から蓄積したCO2を温室に供給している状態を示す。図2の(A)の例では7時から12時ごろまでがこの状態となっている。CO2を供給する時は、CO2貯留器12に充填されたCO2吸収材を電気ヒータなどで効率よく所定の温度まで加熱してCO2を放出させ、空気で希釈してCO2リッチな空気を温室に送り込む。CO2貯留器12の出口ガスは、上述した電動ダンパー17a,17bを用いて煙道放出から温室導入へ切り替える。このとき、CO2吸収材から放出されるのは100%純度のCO2のみであり、他の有害物質は全く温室に供給されない。また、原動機11及び排熱回収器13は停止していても稼動していてもその状態はいずれでもよく、全く独立してCO2を供給することができる。
【0020】
以上をまとめると、実施例1に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムでは、原動機11の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2を温室16に供給することができる。また、脱硫・脱硝及び還元・酸化触媒等を用いることなく、CO2貯留器12がその役目を果たし、単純な構成でクリーンなCO2リッチ空気を温室16に供給することができる。
【0021】
(実施例2) (請求項3、4に対応)
図5は、実施例2に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。同システムは、原動機11と、CO2貯留器12と、蓄熱器21と、電動ダンパー17a,17bと、蓄熱器21の出口側に設けられた熱供給切り替え手段としての電動ダンパー22a,22bで構成される。一方の電動ダンパー17a,17bはCO2貯留器12と蓄熱器21を結ぶライン,このラインから分岐して温室16につながるラインに夫々設けられている。他方の電動ダンパー22a,22bは蓄熱器21とCO2貯留器12,温室16を夫々結ぶラインに設けられている。図6には一日の運転タイムスケジュールの一例を示す。原動機11が稼動している時は、発電した電気を温室内の人工照明などに供給する。図6の例では16時から翌日1時ごろまでがこの状態となっている。
【0022】
原動機11から出た排気ガスはCO2貯留器12、蓄熱器21を通り、それぞれCO2および排熱を蓄積する。CO2貯留器12は原動機11の稼動中に、排気ガス中に含まれるCO2を上記式(1)の反応によって200℃〜400℃の排気ガス温度で直接的に吸収・蓄積する。このとき、蓄熱器21はCO2貯留器12の上流あるいは下流のどちらに位置してもよい。しかし、CO2吸収時には前述の通り発熱反応を生じるため、排気ガスが加熱されて原動機排出温度よりも高くなる。したがって、蓄熱器21を図5のようにCO2貯留器12の下流に設置すれば、吸収反応の発熱も効率よく回収できる。蓄熱器21は、セラミックス充填材等、耐熱性があり、熱容量の大きなものが適している。そして、放熱を最小限にして、できるだけ高い温度を保てるように厳重に断熱されていることが望ましい。蓄熱器21の出口ガスは、この場合、煙道などを通じて屋外へ放出される。
【0023】
CO2を供給する場合は、電動ダンパー22aを開け、電動ダンパー22bを閉じた状態で、図7のように空気を蓄熱器21に通し、CO2貯留器12へ200℃〜300℃に加熱した空気を送り込む。図6の例では7時から12時ごろまでがこの状態となっている。CO2貯留器12からCO2を供給させるには、上記式(1)の反応によって650℃〜700℃の温度が必要となるため、200℃〜300℃から反応温度の650℃〜700℃までは電気的に加熱する。しかし、蓄熱器21から送られる空気の顕熱を補助的に用いることで、CO2貯留器12内部を速やかに温度上昇させるとともに、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0024】
一方、温室16で熱供給のみが必要な場合は、電動ダンパー22aを閉じ、電動ダンパー22bを開けた状態で、図8に示すように蓄熱器21に空気や温水等の熱媒を通して温室を加温すればよく、原動機11の運転状態とは無関係に熱供給が可能である。図6の例では1時から7時ごろまでがこの状態となっている。さらに、熱とCO2の両方が必要な場合は、図9に示すように蓄熱器17から空気や温水等の熱媒を介して温室に供給し、一方でCO2貯留器12を電気ヒータ等の電気的手段により反応温度の650℃〜700℃まで加熱してから吸熱反応に必要な熱を与えることでCO2を供給する。この際、電動ダンパー17a,22aは閉じ、電動ダンパー17b,22bは開いた状態にある。図6の例では7時から9時ごろまでがこの状態となっている。この場合、図7に示した運転方法よりもCO2供給に必要な電気エネルギーは増加するが、熱とCO2の供給を全く独立させて行うことができる。蓄熱器17の熱をCO2貯留器12と温室とに切り替えて供給する手段は、例えば電動ダンパーで容易に実現できる。
【0025】
以上をまとめると、実施例2に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムによれば、原動機11の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2や熱を温室16へ供給することができる。また、CO2貯留器12と蓄熱器21と電動ダンパー17a,17b,22a,22bを具備することにより、CO2と熱を別々に供給することができる。このため、それぞれ最適な時間帯に合わせてCO2や熱を温室16へ供給することが可能で、運転の自由度が高い装置を構築することができる。さらに、CO2供給時にCO2貯留器12の加熱源11の一部を蓄熱器21から供給することで、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。具体的には、実施例1,2では貯湯槽を設けた場合に述べたが、必ずしも必要なものではない。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの構成を示す図。
【図2】図1の二酸化炭素供給装置の運転タイムスケジュールの一例を示す図。
【図3】図1の二酸化炭素供給装置の原動機が稼動している時の運転状態を示す図。
【図4】図1の二酸化炭素供給装置の原動機が停止している時の運転状態を示す図。
【図5】本発明の実施例2に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの構成を示す図。
【図6】図5の二酸化炭素供給装置の運転タイムスケジュールの一例を示す図。
【図7】図5の二酸化炭素供給装置においてCO2を温室へ供給する場合の運転状態を示す図。
【図8】図5の二酸化炭素供給装置において温室で熱供給のみが必要な場合の運転状態を示す図。
【図9】図5の二酸化炭素供給装置において温室で熱とCO2の両方が必要な場合の運転状態を示す図。
【図10】従来の施設園芸用温室のコージェネーションシステムの構成を示す図。
【符号の説明】
【0028】
11…原動機、12…CO2貯留器、13…排熱回収器、14…貯湯槽、16…温室、17a,17b,22a,22b…電動ダンパー、21…蓄熱器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、施設園芸の温室では、夜間の冷温時に室内の暖房として加温機を用いている。この加温機は、重油や灯油のほかLPガスや都市ガスを燃料とし、バーナーで燃焼させて熱源としている。一方で、高品質な園芸作物を生産するために、温室内で光合成の原料の一つとなる二酸化炭素(以下、CO2)濃度を高めるCO2施用装置も普及している。加温機の排気ガスは、炭化水素である燃料を燃焼させるため大気中よりも高濃度のCO2を含んでおり、この排気ガスをCO2施用として直接温室内に供給する装置が実用化されている。これらの技術を開示した例としては、例えば特許文献1、特許文献2が知られている。
【0003】
また、図10に示すように、ガスエンジンなどを原動機とした熱電併給のコージェネーションシステムを導入して、発電した電力を人工照明や農業施設の電源として利用するとともに、排気ガスから温湯として熱を回収し、温室の加温に用いるシステムも欧州を中心に普及している。さらに、このコージェネレーションシステムから出る原動機の排気ガス中に含まれるCO2を温室内に供給して光合成に利用することを目的とした、いわゆる熱・電気・二酸化炭素のトリジェネレーションシステムも導入されている。
【0004】
図10において、図中の符番1は原動機であり、この近くにラジエータ2が配置されている。原動機1には、脱硝器3、キャタライザー4、排熱回収器5が順次接続されている。図10のシステムでは、原動機1の排熱は排熱回収器5で回収され、温室6を加温するための加熱源として利用され、余剰分は貯湯槽7に蓄熱される。
【特許文献1】特開2004−344154号公報
【特許文献2】特開2004−169937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
施設園芸において、発電した電気の大部分は人工照明等の用途に限られている。従って、冬季以外の日照が十分な期間に発電機を稼動させる場合は、余剰電力は系統を通じて売電されることになる。しかしながら、売電価格は決して高くはないため、暖房やCO2を供給するために発電機を稼動させるのは、運用上あまり得策とは言えない。ところで、温室に供給される電気、熱、CO2のうち、最も優先順位の高いのは温室の温度を保つ熱源の確保であり、熱供給をベースにした発電機の運用がなされることになる。しかし、電気と熱の必要な時間帯は合致しないことが多く、これまでのトリジェネレーションシステムでは、貯湯槽を設けて温熱を一時貯留し、発電機の稼動していないときにも温室の加温ができるように熱源として利用するシステムが実用化されてきた。
【0006】
ところが、CO2の必要な時間帯は主に日の出の早朝から温室内換気が行われるまでの数時間である。従って、この時間帯にCO2源である原動機を稼動させても、電気および熱が不要なことが多く、効率的な運用が難しかった。さらには、ガスエンジン排気ガスに含まれる窒素酸化物・硫黄酸化物や未燃炭化水素などが作物の成長阻害要因となるため、排気ガスのクリーンアップシステムとして脱硝器や触媒装置が必要となり、装置の大型化、コストアップを招いていた。
【0007】
本発明は、こうした事情を考慮してなされたもので、排気ガスに含まれる不純物を容易に取り除くとともにCO2を効率よく施用に利用し,さらに大幅に省エネルギー化できる環境に配慮した施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(第1の発明)は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,該原動機の排熱を回収する排熱回収器と、前記原動機と排熱回収器間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステムである。
【0009】
また、本発明(第2の発明)は、施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給するトリジェネレーションシステムにおいて、炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器と、発電中の原動機の燃焼排ガスの熱を貯めておく蓄熱器とを具備することを特徴とする施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気ガスに含まれる不純物を容易に取り除くとともにCO2を効率よく施用に利用し,さらに大幅に省エネルギー化できる環境に配慮した施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムについて説明する。
第1の発明において、前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を更に具備し、前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する、2つの運転状態を選択できる運転モードを有した構成とすることが好ましい。これにより、原動機の稼働中は、後述する図3のように、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給することになる。一方、原動機の停止中は、後述する図4のように、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給することになる。このように、第1の発明によれば、上述した構成を採用することにより、原動機の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2を温室に供給することができるとともに、単純な構成でクリーンなCO2リッチ空気を温室に供給することができる。
【0012】
第2の発明において、前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を備えるとともに、前記蓄熱器の出口側に、蓄熱器に蓄積した熱を二酸化炭素貯留器または温室に導入するかを選択可能な熱供給切り替え手段とを更に具備し、前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給するか、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給するか、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する、4つの運転状態を選択可能な運転モードを有した構成とすることが好ましい。これにより、原動機の稼働中は、後述する図5のように、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給することになる。また、原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する(後述する図7参照)か、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給する(後述する図8参照)か、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する(後述する図9参照)。
【0013】
第2の発明によれば、上述した構成を採用することにより、原動機の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2や熱を両者同時にあるいは別々に温室へ供給することができる。また、それぞれ最適な時間帯に合わせてCO2や熱を温室へ供給することが可能で、運転の自由度が高い装置を構築することができる。さらに、CO2供給時にCO2貯留器の加熱源の一部を蓄熱器から供給することで、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0014】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べるものに限定されない。
(実施例1) (請求項1、2に対応)
図1に本発明に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムの構成を、図2に一日の運転タイムスケジュールの一例を夫々示す。図2において、(A)は電力,熱,二酸化炭素がいつ必要とするかを示す例であり、(B)は電力,熱,二酸化炭素をいつ供給するかを示す例である。
【0015】
図1中の符番11は原動機を示す。原動機11は発電機を駆動させ、温室16では発電した電気を人口照明等に利用する。原動機11には、CO2貯留器12,排熱回収器13が順次接続されている。また、CO2貯留器12の出口側,即ちCO2貯留器12と排熱回収器13を結ぶライン、及びこのラインから温室16へ分岐するラインには、夫々ガス切り替え手段としての電動ダンパー17a,17bが設けられている。電動ダンパー17a,17bにより、CO2貯留器12に蓄積した二酸化炭素(CO2)を温室16に導入するか否かを選択することができる。即ち、電動ダンパー17aを閉じ、電動ダンパー17bを開いた状態ではCO2貯留器12からの二酸化炭素が温室16に導入され、両方の電動ダンパー17a,17bを閉じた状態ではCO2貯留器12に二酸化炭素を蓄積することになる。前記原動機11、CO2貯留器12、排熱回収器13及び電動ダンパー17a,17b等により、施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムが構成されている。
【0016】
原動機11の排熱はCO2貯留器12に回収され、温室16の加温のための加熱源とし利用され、余剰分は貯湯槽14に蓄熱される。なお、原動機11が往復動機関の場合、エンジンブロックを冷却するための冷却水が循環しているため、排熱回収器13と共に原動機11の近くに配置されたラジエータ15で放熱している熱を回収してもよい。原動機11から出るCO2を含む排気ガスは、排熱回収器13を通る前に二酸化炭素吸収材が充填されたCO2貯留器12を通り、ここでCO2が蓄積される。二酸化炭素吸収材(以下、CO2吸収材も同義)は、主にリチウム複合酸化物で構成され、常温から600℃までの温度範囲で下記式(1)に示す反応においてCO2を吸収する。
Li4SiO4+CO2⇔Li2SiO3+Li2CO2+Q …(1)
この反応は可逆反応であり、650℃程度に加熱すると逆反応によりCO2を放出し、吸収材が再使用できる。反応に伴い、右方が発熱で左方が吸熱となる。図1は、この特徴を利用して原動機11の稼動状態と無関係にCO2供給可能な構成となっている。
【0017】
トリジェネレーションシステムの運転状態を図3及び図4を用いて説明する。図3は、原動機11が稼動しており、CO2を蓄積しながら電気および熱を供給している状態を示す。図2の(A)の例では15時から21時ごろまでがこの状態となっている。その後、翌朝までの夜間は、原動機11は熱需要に合わせた間欠的な運転を繰り返し、CO2を蓄積しながら余剰電力は系統を通じて売却される。図2の(B)の例では21時から翌朝7時ごろまでがこの状態となっている。
【0018】
CO2貯留器12は原動機11の稼動中に、排気ガス中に含まれるCO2を上記式(1)の反応によって200℃〜400℃の排気ガス温度で直接的に吸収・蓄積する。このとき、排熱回収器13はCO2貯留器12の上流あるいは下流のどちらに位置してもよい。しかし、CO2吸収時には前述の通り発熱反応を生じるため、排気ガスが加熱されて原動機11の排出温度よりも高くなる。したがって、排熱回収器13を図3のようにCO2貯留器12の下流に設置すれば、吸収反応の発熱も効率よく回収できる。CO2貯留器12の出口ガスは、この場合、煙道などを通じて屋外へ放出される。CO2貯留器12では、CO2の他、NOxやSOxなど、作物に有害であったり、成長を阻害する微量な酸化物もその分圧によっては吸収されることもあるが、ほとんどは反応せずにすり抜けてしまう。
【0019】
一方、図4では原動機11は停止しており、CO2貯留器12から蓄積したCO2を温室に供給している状態を示す。図2の(A)の例では7時から12時ごろまでがこの状態となっている。CO2を供給する時は、CO2貯留器12に充填されたCO2吸収材を電気ヒータなどで効率よく所定の温度まで加熱してCO2を放出させ、空気で希釈してCO2リッチな空気を温室に送り込む。CO2貯留器12の出口ガスは、上述した電動ダンパー17a,17bを用いて煙道放出から温室導入へ切り替える。このとき、CO2吸収材から放出されるのは100%純度のCO2のみであり、他の有害物質は全く温室に供給されない。また、原動機11及び排熱回収器13は停止していても稼動していてもその状態はいずれでもよく、全く独立してCO2を供給することができる。
【0020】
以上をまとめると、実施例1に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムでは、原動機11の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2を温室16に供給することができる。また、脱硫・脱硝及び還元・酸化触媒等を用いることなく、CO2貯留器12がその役目を果たし、単純な構成でクリーンなCO2リッチ空気を温室16に供給することができる。
【0021】
(実施例2) (請求項3、4に対応)
図5は、実施例2に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムを示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。同システムは、原動機11と、CO2貯留器12と、蓄熱器21と、電動ダンパー17a,17bと、蓄熱器21の出口側に設けられた熱供給切り替え手段としての電動ダンパー22a,22bで構成される。一方の電動ダンパー17a,17bはCO2貯留器12と蓄熱器21を結ぶライン,このラインから分岐して温室16につながるラインに夫々設けられている。他方の電動ダンパー22a,22bは蓄熱器21とCO2貯留器12,温室16を夫々結ぶラインに設けられている。図6には一日の運転タイムスケジュールの一例を示す。原動機11が稼動している時は、発電した電気を温室内の人工照明などに供給する。図6の例では16時から翌日1時ごろまでがこの状態となっている。
【0022】
原動機11から出た排気ガスはCO2貯留器12、蓄熱器21を通り、それぞれCO2および排熱を蓄積する。CO2貯留器12は原動機11の稼動中に、排気ガス中に含まれるCO2を上記式(1)の反応によって200℃〜400℃の排気ガス温度で直接的に吸収・蓄積する。このとき、蓄熱器21はCO2貯留器12の上流あるいは下流のどちらに位置してもよい。しかし、CO2吸収時には前述の通り発熱反応を生じるため、排気ガスが加熱されて原動機排出温度よりも高くなる。したがって、蓄熱器21を図5のようにCO2貯留器12の下流に設置すれば、吸収反応の発熱も効率よく回収できる。蓄熱器21は、セラミックス充填材等、耐熱性があり、熱容量の大きなものが適している。そして、放熱を最小限にして、できるだけ高い温度を保てるように厳重に断熱されていることが望ましい。蓄熱器21の出口ガスは、この場合、煙道などを通じて屋外へ放出される。
【0023】
CO2を供給する場合は、電動ダンパー22aを開け、電動ダンパー22bを閉じた状態で、図7のように空気を蓄熱器21に通し、CO2貯留器12へ200℃〜300℃に加熱した空気を送り込む。図6の例では7時から12時ごろまでがこの状態となっている。CO2貯留器12からCO2を供給させるには、上記式(1)の反応によって650℃〜700℃の温度が必要となるため、200℃〜300℃から反応温度の650℃〜700℃までは電気的に加熱する。しかし、蓄熱器21から送られる空気の顕熱を補助的に用いることで、CO2貯留器12内部を速やかに温度上昇させるとともに、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0024】
一方、温室16で熱供給のみが必要な場合は、電動ダンパー22aを閉じ、電動ダンパー22bを開けた状態で、図8に示すように蓄熱器21に空気や温水等の熱媒を通して温室を加温すればよく、原動機11の運転状態とは無関係に熱供給が可能である。図6の例では1時から7時ごろまでがこの状態となっている。さらに、熱とCO2の両方が必要な場合は、図9に示すように蓄熱器17から空気や温水等の熱媒を介して温室に供給し、一方でCO2貯留器12を電気ヒータ等の電気的手段により反応温度の650℃〜700℃まで加熱してから吸熱反応に必要な熱を与えることでCO2を供給する。この際、電動ダンパー17a,22aは閉じ、電動ダンパー17b,22bは開いた状態にある。図6の例では7時から9時ごろまでがこの状態となっている。この場合、図7に示した運転方法よりもCO2供給に必要な電気エネルギーは増加するが、熱とCO2の供給を全く独立させて行うことができる。蓄熱器17の熱をCO2貯留器12と温室とに切り替えて供給する手段は、例えば電動ダンパーで容易に実現できる。
【0025】
以上をまとめると、実施例2に係る施設園芸温室のトリジェネレーションシステムによれば、原動機11の稼動状態に関係なく、必要な時にCO2や熱を温室16へ供給することができる。また、CO2貯留器12と蓄熱器21と電動ダンパー17a,17b,22a,22bを具備することにより、CO2と熱を別々に供給することができる。このため、それぞれ最適な時間帯に合わせてCO2や熱を温室16へ供給することが可能で、運転の自由度が高い装置を構築することができる。さらに、CO2供給時にCO2貯留器12の加熱源11の一部を蓄熱器21から供給することで、CO2供給に伴う電力消費を大幅に削減することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。具体的には、実施例1,2では貯湯槽を設けた場合に述べたが、必ずしも必要なものではない。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの構成を示す図。
【図2】図1の二酸化炭素供給装置の運転タイムスケジュールの一例を示す図。
【図3】図1の二酸化炭素供給装置の原動機が稼動している時の運転状態を示す図。
【図4】図1の二酸化炭素供給装置の原動機が停止している時の運転状態を示す図。
【図5】本発明の実施例2に係る施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムの構成を示す図。
【図6】図5の二酸化炭素供給装置の運転タイムスケジュールの一例を示す図。
【図7】図5の二酸化炭素供給装置においてCO2を温室へ供給する場合の運転状態を示す図。
【図8】図5の二酸化炭素供給装置において温室で熱供給のみが必要な場合の運転状態を示す図。
【図9】図5の二酸化炭素供給装置において温室で熱とCO2の両方が必要な場合の運転状態を示す図。
【図10】従来の施設園芸用温室のコージェネーションシステムの構成を示す図。
【符号の説明】
【0028】
11…原動機、12…CO2貯留器、13…排熱回収器、14…貯湯槽、16…温室、17a,17b,22a,22b…電動ダンパー、21…蓄熱器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、
炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,該原動機の排熱を回収する排熱回収器と、前記原動機と排熱回収器間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を更に具備し、
前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、
前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する、2つの運転状態を選択できる運転モードを有した構成であることを特徴とする請求項1記載の施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【請求項3】
施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給するトリジェネレーションシステムにおいて、
炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器と、発電中の原動機の燃焼排ガスの熱を貯めておく蓄熱器とを具備することを特徴とする施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を備えるとともに、前記蓄熱器の出口側に、蓄熱器に蓄積した熱を二酸化炭素貯留器または温室に導入するかを選択可能な熱供給切り替え手段とを更に具備し、
前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、
前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給するか、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給するか、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する、
4つの運転状態を選択可能な運転モードを有した構成であることを特徴とする請求項3記載の施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【請求項1】
施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給する施設園芸用温室のトリジェネレーションシステムにおいて、
炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,該原動機の排熱を回収する排熱回収器と、前記原動機と排熱回収器間に配置された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器とを具備することを特徴とするトリジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を更に具備し、
前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、
前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給する、2つの運転状態を選択できる運転モードを有した構成であることを特徴とする請求項1記載の施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【請求項3】
施設園芸用温室へ電力・熱・二酸化炭素を供給するトリジェネレーションシステムにおいて、
炭素を含む燃料を供給して発電する原動機と、この原動機に接続された,主にリチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材を用いた二酸化炭素貯留器と、発電中の原動機の燃焼排ガスの熱を貯めておく蓄熱器とを具備することを特徴とする施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記二酸化炭素貯留器の出口側に、二酸化炭素貯留器内の二酸化炭素を温室に導入するか否かを選択可能なガス切り替え手段を備えるとともに、前記蓄熱器の出口側に、蓄熱器に蓄積した熱を二酸化炭素貯留器または温室に導入するかを選択可能な熱供給切り替え手段とを更に具備し、
前記原動機の稼働中は、二酸化炭素を二酸化炭素貯留器に蓄積しながら電気及び熱を温室に供給し、
前記原動機の停止中は、二酸化炭素貯留器に蓄積した二酸化炭素のみを温室に供給するか、あるいは蓄熱器に蓄積した熱のみを温室に供給するか、あるいは二酸化炭素貯留器からの二酸化炭素及び蓄熱器からの熱の両者を供給する、
4つの運転状態を選択可能な運転モードを有した構成であることを特徴とする請求項3記載の施設園芸用温室のトリジェネレーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−228622(P2008−228622A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70928(P2007−70928)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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