説明

施設園芸空調機用プロペラファン

【課題】果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウス内の植物育成に効果的な施設園芸空調機用プロペラファンを提供する。
【解決手段】回転駆動軸4aに取付けられるハブ1の周囲に複数の羽根板2、3を固着してなるプロペラファンにおいて、任意の羽根板2のハブ1への回転軸方向の取付角度を、他の羽根3の取付角度と相違させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウス内の空調機等に好適に用いられるプロペラファンに関するもので、特に植物育成に効果的な送風を行うことができる施設園芸空調機用プロペラファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウスにおいて、例えば、空気吸込口から吸い込まれた空気を、火炉で発生させた燃焼ガスと熱交換し、生成した温風をケーシング上部の温風吐出口からハウス内に吐出する温風暖房機等の空調機が使用される。
【0003】
空調機は、モータ等の回転駆動軸に取り付けられたプロペラファンを使用して送風するのが一般的である。送風形式としてはダウンフロー型(特許文献1参照。)やアップフロー型、暖房機の下部吐出口から延びる送風ダクトを地上部に配置し、送風ダクトの送風口から温風を吹き上げ、主に果樹類などの立木で比較的背の高いものの加温に用いるものなどがある。
【0004】
このような空調機で使用するプロペラファンとして、例えば特許文献2に記載のものを挙げることができる。これはモータの回転軸に円筒状のボス部を取付けると共に、このボス部の外周部に所定の間隔を置いて円筒状のハブ部を配置し、ボス部とハブ部とを複数のブリッジリブにて連結し、さらにハブ部の外周部に羽根を装着した構造のものである。
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−133610号公報
【特許文献2】特開平2−256299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、施設園芸においては、常に一定の風圧よりも風圧や振幅が強弱変化するパルス状あるいは波状の送風を行うことがハウス内の植物育成に効果的であることを本発明者は知得し、本発明をするに至った。加えて、ファンの回転のみで送風を拡散あるいは収束させる構造についても同時に開発した。本発明は、果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウス内の植物育成に効果的な施設園芸空調機用プロペラファンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の羽根板を固着してなるプロペラファンにおいて、任意の羽根板のハブへの回転軸方向の取付角度を、他の羽根の取付角度と相違させたことを第1の特徴とする。また、回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の羽根板を固着してなるプロペラファンにおいて、羽根板の表面に軸芯に対して内向き又は外向きに複数の溝条を設けたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る施設園芸空調機用プロペラファンは、ハウス内に温風を供給してハウス内を暖房する温風暖房機能の他、ハウス内空気の攪拌用、通風用としても幅広く用いることができ、果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウス内の植物育成に効果的なパルス状あるいは波状の送風を行うことができる。また、特段の手段を付加することなく、ファンの回転のみで送風の拡散又は収束を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明のプロペラファンの実施の形態について、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1及び図2に本発明の第1の実施形態を示す。同図において、1はハブであり、その外周部には径方向に延びる4枚の羽根2、2及び3、3が各々対向して周方向等間隔に装着されている。本実施例では、ハブ1と連結されるモータ4の回転軸4a方向における任意の羽根板(2、2)の取付角度を、他の羽根(3、3)の取付角度と相違させたものである。つまり一対の羽根2、2を、周方向に背中合わせになるように配置し、一方の羽根板(2、2)の取付角α、と同じ角度逆向き、すなわち角度β(−α)で他方の羽根板(3,3)をハブ1に取付け、プロペラファンが回転すると、拡散方向と収束方向との送風方向の異なる送風を行うことができる。尚、羽根板2、3の取付角度とは、ハブ1の回転軸芯方向と羽根板2、3との成す角度のことである。
【0011】
これにより、果実、庭樹、花卉などの園芸作物の栽培ハウス内の植物育成に効果的なパルス状あるいは波状の送風を行うことができる。また、特段の手段を付加することなく、ファンの回転のみで送風の拡散又は収束を行うことができ、ハウス全体への送風やピンポイントでの送風が可能になる。
【0012】
尚、上記実施例では、羽根板の取付角度を軸方向の前後対称に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、一方の羽根板(2、2)の取付角度αを他の羽根板(3、3)の取付角度βよりも小さく、その逆としてもよい。
【実施例2】
【0013】
図3及び図4には第2の実施形態を示す。この実施形態においては、回転駆動軸4aに取付けられるハブ1の周囲に複数の羽根板2を固着してなるプロペラファンにおいて、羽根板2の表面に軸芯4aに対して内向き又は外向きに複数の溝条5を設けている。これにより、特段の手段を付加することなく、ファンの回転のみで送風の拡散又は収束を行うことができる。
【0014】
上記各実施例のプロペラファンは、波数制御方式、位相制御方式等によって制御される回転数制御が可能なモータに装着して使用するのが好ましいが、特にこれに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、施設園芸用ハウス内に温風を供給してハウス内を暖房する温風暖房機の他、ハウス内空気の攪拌用、通風用としても幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るプロペラファンの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明に係るプロペラファンの他の実施例を示す正面図である。
【図4】本発明に係るプロペラファンの他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ハブ
2 羽根板
3 羽根板
4 モータ
4a 回転軸
5 溝条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の羽根板を固着してなるプロペラファンにおいて、任意の羽根板のハブへの回転軸方向の取付角度を、他の羽根の取付角度と相違させたことを特徴とする施設園芸空調機用プロペラファン。
【請求項2】
回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の羽根板を固着してなるプロペラファンにおいて、羽根板の表面に軸芯に対して内向き又は外向きに複数の溝条を設けたことを特徴とする施設園芸空調機用プロペラファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−45354(P2011−45354A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230974(P2009−230974)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(594103862)
【Fターム(参考)】