施設管制システム
【課題】各施設中央局での保守点検登録情報の共有化、解除先を明確にすることにある。
【解決手段】各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、各施設中央局4a,4bは、少なくとも自局登録テーブル11b及び複数の他局登録テーブル11c1,…を有する記憶装置11と、施設監視処理部12と、入力部13と、表示部14とを備え、施設監視処理部は、入力部から入力される保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段12A3と、この登録された登録情報を他の施設中央局に転送し、対応する他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段12A4とを設けた施設管制システムである。
【解決手段】各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、各施設中央局4a,4bは、少なくとも自局登録テーブル11b及び複数の他局登録テーブル11c1,…を有する記憶装置11と、施設監視処理部12と、入力部13と、表示部14とを備え、施設監視処理部は、入力部から入力される保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段12A3と、この登録された登録情報を他の施設中央局に転送し、対応する他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段12A4とを設けた施設管制システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、施設管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
広域にわたる高速道路施設や鉄道施設などに設置される各種の受配電設備,ETC供給電源,トンネル換気設備などの被監視対象機器の動作状態を監視制御するために施設管制システムが設けられている。
【0003】
多くの施設管制システムには、各種の被監視対象機器の保守・点検を行う際に発報される警報表示を抑止するための機能(以下、「保守点検登録機能」と呼ぶ)が実装されている。
【0004】
近年、施設管制システムにおいては、IPによる通信プロトコルを使用したLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワーク上に、高速道路のIC(インター・チェンジ)ごと、隣接する両IC間エリアごと、トンネルごとに伝送装置を設置し、これら伝送装置にICごと、両IC区間エリアごと、トンネルごとに設置される複数の被監視対象機器が接続される。
【0005】
さらに、ネットワーク上には多数の被監視対象機器を監視制御するために複数の施設中央局が接続される。各施設中央局は、自施設中央局(以下、自局と略称する)及び他施設中央局(以下、他局と略称する)が管轄するネットワーク上に連なる複数の設備系統の系統画面を保有する。これら施設中央局は、常時は少なくとも自局が管轄する系統画面を表示し、各伝送装置から伝送されてくる被監視対象機器の動作状態を監視制御する構成となっている。
【0006】
ところで、このような施設管制システムでは、例えば定期的に保守員が現場に出向いて被監視対象機器から故障データを出力し、施設中央局側で適切に監視できているかを点検する保守点検作業が行われている。
【0007】
このとき、施設中央局側では、頻繁に「警報出力(例えば警報音)」が発生したり、あるいは故障を発生させた被監視対象機器に関する故障画面に自動的に切替る「自動表示(故障画面の飛出し)」となるが、予め知り得る保守点検作業にも拘らず、その「警報出力」がうっとうしいとか、煩わしいしいこともある。そのため、被監視対象機器の保守点検時に、予め警報抑止するとか、あるいは故障画面が自動的に飛び出ないようにする「自動表示禁止」などの保守点検登録を行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−171418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の施設管制システムでは、複数の施設中央局がそれぞれ個別に保守点検登録を実施しているため、施設中央局の数が多くなればなるほど、各施設中央局ごとに同じ保守点検登録作業を実施することになり、システム全体の運用効率が悪くなる。
【0010】
また、保守点検登録の解除忘れが生じたとき、登録された被監視対象機器の異常発生時にその異常を検知できないとか、異常検知が遅れるなどの問題が出てくる。
【0011】
そこで、本施設管制システムは、各施設中央局で登録される保守点検登録情報を互いに共有し、システム全体の運用効率を高め、かつ、保守点検登録情報の解除先を明確にして解除忘れを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、前記各施設中央局は、少なくとも自局登録テーブル及び他の施設中央局に対応する数の他局登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする前記自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、この登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、対応する前記他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けた施設管制システムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る施設管制システムを示す全体構成図。
【図2】実施形態1に係る施設管制システムの要部となる保守点検登録情報の登録処理に関する機能ブロック図。
【図3】施設管制システムで使用される基礎管理データの一例図。
【図4】図2に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録処理の処理手順を説明するフロー図。
【図5】テーブルに登録する保守点検登録情報のデータ配列例図。
【図6】自局及び他局への保守点検登録情報の登録例を示す模式図。
【図7】実施形態1に係る施設管制システムの要部となる登録解除処理に関する機能ブロック図。
【図8】図7に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録解除処理の処理手順を説明するフロー図。
【図9】実施形態2に係る施設管制システムの要部構成を説明する模式図。
【図10】図9に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録処理の処理手順を説明するフロー図。
【図11】テーブルに登録する保守点検登録情報のデータ配列例図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は施設管制システムの全体構成図である。
この施設管制システムは、例えばIPの通信プロトコルを用いて通信可能とするLANまたはWAN等の専用ネットワーク(伝送路)1と、この専用ネットワーク1上に分散接続される多数の伝送装置2a,…,2i,…,2nと、各伝送装置2a,…,2i,…,2nにそれぞれ個別に接続される被監視対象機器3,…と、同じく伝送ライン1上に接続される複数の施設中央局4a、4bとを含む構成である。
【0015】
伝送装置2a,…,2i,…,2n(以下、伝送装置2と総称する)は、例えば高速道路施設の高速道路IC(インター・チェンジ)ごと、隣接する両IC区間エリアごと、隣接するIC間に存在するトンネルごと、その他必要な個所・施設に設置される。
【0016】
各伝送装置2は、例えば所定のサンプリング周期ごとに該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込み、IPの通信プロトコルを用いて専用ネットワーク1に伝送する機能を有する。
【0017】
すなわち、高速道路IC対応の伝送装置2は、高速道路IC内の例えば洗面所照明設備電源、ETC供給電源、インター受配電設備、空調設備等の各種の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0018】
隣接する両IC区間エリア対応の伝送装置2は、IC区間エリアの照明電源設備、監視カメラ、各種の検知センサ等の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0019】
また、トンネル対応の伝送装置2は、トンネル内の例えば照明設備電源、換気設備、監視カメラ等の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0020】
複数の施設中央局4a、4bは、例えば高速道路の広域エリアに設置される多数の被監視対象機器3,…を監視制御(管理)するものであって、4aは例えば東京側施設中央局、4bは例えば名古屋側施設中央局等に相当する。
【0021】
各施設中央局4a、4bは、少なくともデータベース11と、CPUで構成される施設管理処理部12と、所要の制御指示及び保守点検登録情報を入力するキーボード,マウスなどの入力部13と、登録過程の情報や処理結果の内容を表示する表示部14とを備えている。
【0022】
データベース11には、図2に示すように少なくとも管理データ記憶エリア11a、自局登録テーブル11b、他局の数に相当する他局登録テーブル11c1,…,11cn及び共通登録テーブル11dが設けられている。これらテーブルには記憶領域部(自局登録記憶領域部)を含む概念である。
【0023】
管理データ記憶エリア11には、図3に示すように伝送装置2,…や監視対象機器3,…を特定するためのID(識別データ)、保守点検項目を表すビットデータ等が格納されている。
【0024】
自局登録テーブル11bは、自局となる施設中央局4a又は4bの入力部13から自局解除指示のもとに入力される伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を登録するテーブルである。
【0025】
他局登録テーブル11c1,…,11cnは、他局となる施設中央局4b又は4aにて登録され、転送されてくる伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を受信し、予め定める個別局対応ごとに登録するテーブルである。
【0026】
共通登録テーブル11dは、自局となる施設中央局4a又は4bの入力部13から任意局解除指示のもとに入力される伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を登録するテーブルである。
【0027】
施設管理処理部12は、大きく分けて、(1)登録情報登録機能部と、(2)下位受信情報判定機能部と、(3)登録解除機能部とを備えている。以下、機能部ごとに説明する。
【0028】
(1) 登録情報登録機能部について。
【0029】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、入力部13から入力される保守点検登録情報を登録処理する一連の処理機能であって、図2に示すように入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取って記憶する登録情報一時記憶手段12A1、保守点検登録情報の解除先を判定する解除先判定手段12A2、この判定手段12A2で判定された解除先に応じて保守点検登録情報を、自局解除の場合に自局登録テーブル11bに、任意局解除の場合には共通登録テーブル11dに登録する登録情報登録手段12A3、他局に登録情報を転送する情報伝送手段12A4が設けられている。
【0030】
次に、登録情報登録機能部の一連の処理動作について説明する(図4参照)。
【0031】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、施設中央局例えば4aのユーザが入力部13から保守点検に関する登録指示を受けると、登録情報一時記憶手段12A1を実行する。
【0032】
登録情報一時記憶手段12A1は、保守点検の登録指示有りと判断すると(S1)、その後に入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取り、適宜な記憶装置例えばデータベース11の空きエリアに一時記憶する(S2)。
【0033】
ここで、保守点検登録情報とは、例えば管理データ記憶エリア11aに記憶される管理データを表示した後、図5に示すように伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容例えば「警報鳴動抑制」、必要に応じて保守点検期間等の情報である。
【0034】
しかる後、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、解除先判定手段12A2を実行する。解除先判定手段12A2は、例えば自局解除か任意局解除の選択メッセージまたはユーザによる入力部13からの指示に従って、自局解除か任意局解除かを判定する(S3)。
【0035】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、登録情報登録手段12A3を実行する。登録情報登録手段12A3は、解除先判定手段12A2にて自局解除と判定されたとき、一時的に記憶されている保守点検登録情報を図5のように自局登録テーブル11bに順次登録していく(S4)。ステップS3において、自局解除ではなく任意局解除と判定されたとき、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに順次登録していく(S5)。なお、共通登録テーブル11dには例えば図5に示す自局登録テーブル11bと同様なデータ配列に従って登録していく。
【0036】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、情報伝送手段12A4を実行する。情報伝送手段12A4は、保守点検登録情報を自局登録テーブル11bに登録した後、予め設定される他局の送信先アドレスに基づき、保守点検登録情報を各他局に伝送する(S6)。
【0037】
他局である例えば施設中央局4bでは、施設中央局4aから保守点検登録情報を受信すると、施設中央局4aに対応する他局登録テーブルに登録する。
【0038】
一方、情報伝送手段12A4は、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに登録した場合、テーブル転送か個別転送かを判断する(S7)。テーブル転送であれば、共通登録テーブル11dをそのまま他局の送信先アドレスに基づき、各他局に伝送し(S8)、各他局の共通登録テーブル11dに上書きさせる。
【0039】
個別転送と判断したときには、今回登録された共通登録テーブル11dの保守点検登録情報を各他局に転送する(S9)。なお、個別転送の場合、例えば一日一回程度、所定時間を検知し(S10)、全施設中央局の共通登録テーブル11dを一致させるためにステップS9に移行し、共通登録テーブル11dを転送し、各施設中央局4a,4bの共通登録テーブル11dの整合性をとる。
【0040】
以上の保守点検登録情報の登録は、施設中央局4bにおいても、施設中央局4aと同様に行われる。従って、登録情報の登録の一連の流れは、模式的には図6のように表すことができる。
【0041】
(2) 下位受信情報判定機能部について。
【0042】
ある被監視対象機器3において保守点検が行われたとき、対応する伝送装置2から少なくとも伝送装置ID、被監視対象機器ID及び被監視対象機器3の保守点検項目に係るビットデータが専用ネットワーク1を介して施設中央局4a,4bに伝送される。
【0043】
ここで、施設管理処理部12の下位受信情報判定機能部は、伝送装置2から伝送されてくる情報と自局登録テーブル11b、他局登録テーブル11c1,…,11cn及び共通登録テーブル11dの何れかに登録される保守点検登録情報の中の被監視対象機器3及び保守点検項目とを比較して一致すれば、その登録された登録テーブルに登録される登録内容(例えば図5参照)に基づき、警報音を出さないように警報抑止を行う。
【0044】
(3) 登録解除機能部について。
【0045】
施設管理処理部12の登録解除機能部は、入力部13から入力される解除指示のもとに解除処理を行う一連の処理機能であって、図7に示すように解除先判定手段12B1、テーブル情報表示手段12B2及び登録解除処理手段12B3が設けられている。
【0046】
次に、登録解除機能部の一連の処理動作について説明する(図8参照)。
【0047】
施設管理処理部12の登録解除機能部は、ユーザが施設中央局4aの入力部13から解除指示を入力すると、解除先判定手段12B1を実行する。
【0048】
解除先判定手段12B1は、解除指示を受け取ると(S11)、自局解除か任意局解除の選択メッセージまたは解除指示に含む内容に従って、自局解除か任意局解除かを判定した後(S12)、テーブル情報表示手段12B2を実行する。
【0049】
テーブル情報表示手段12B2は、自局解除と判定されたとき自局登録テーブル11bを読み出して表示部14に表示し(S13)、任意局解除と判定されたとき共通登録テーブル11dに表示する(S14)。
【0050】
引き続き、施設管理処理部12の登録解除機能部は、登録解除処理手段12B3を実行する。
【0051】
登録解除処理手段12B3は、表示部14に表示された自局登録テーブル11b又は共通登録テーブル11dに基づき、マウスによる登録情報の個別選択(個別選択)か(S15)、あるいはテーブル選択かを判断する(S16)。
【0052】
登録解除処理手段12B3は、個別選択と判断されたとき、該当登録情報の解除処理データを送信した後、自局登録テーブル11bの該当登録情報を削除する(S17,S18)。
【0053】
一方、登録解除処理手段12B3は、テーブル選択と判断されたとき、該当テーブル11b又は11dの解除処理データを送信した後、共通登録テーブル11dの全登録内容を削除する(S19,S20)。
【0054】
従って、以上のような実施形態によれば、各施設中央局4a,4bはそれぞれ自局登録テーブル11bに保守点検登録情報を登録できるだけでなく、他局へ送信して送信元局対応の他局登録テーブル例えば11c1に登録するので、保守点検登録情報の共有化を図ることができる。
【0055】
また、各施設中央局4a,4bは、それぞれ登録を行った自局を解除先と設定することにより、他局からの解除を未然に回避できるだけでなく、解除先を明確にして解除忘れを防ぐことができる。
【0056】
さらに、各施設中央局4a,4bには、自局登録テーブル11b及び他局登録テーブル11c1,…だけでなく、共通登録テーブル11dを備え、自局ユーザの判断のもとに共通登録テーブル11dに保守点検登録情報を登録し、任意局の解除に委ねることもできる。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2は、図1とほぼ同様な構成であるので、ここではその構成の説明は省略し、特に異なる前記(1)登録情報登録機能部について、図9及び図10を参照して説明する。
【0058】
図9は各施設中央局4a,4bによる保守点検登録情報の登録例を説明する図である。
【0059】
施設中央局4a側が、自局解除指示に基づき自局登録テーブル11bに特定の伝送装置ID及び被監視対象機器IDのもとに「自動表示」等の保守点検登録情報を登録したが、例えば施設中央局4b側に対しては不意な故障画面の飛び出しを避ける観点から、「自動表示禁止」を設定し他局に転送し登録する例である。
【0060】
すなわち、施設中央局4a側の「自動表示」等の保守点検登録情報を登録すると、転送によってそのまま他の施設中央局4b対応の他局登録テーブル例えば11c1にも登録されてしまう。よって、登録された伝送装置ID及び被監視対象機器IDに対応する被監視対象機器3の保守点検作業を実施するために故障データを出力させたとき、施設中央局4b側の表示部14に表示されている監視系統画面が突然故障画面に切替ってしまう問題がある。
【0061】
そこで、実施形態2に係る施設管制システムでは、以上のような問題を解決するために施設管理処理部12の登録情報登録機能部としては、図9に示すように登録情報一時記憶手段12C1(12A1と同じ)、解除先判定手段12C2(12A2と同じ)、自局登録情報登録手段12C3(12A3と同じ)、情報伝送手段12C4を設ける。
【0062】
次に、登録情報登録機能部の一連の処理動作について説明する(図10参照)。
【0063】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、施設中央局4aのユーザが入力部13から保守点検に関する登録指示を入力すると、登録情報一時記憶手段12C1を実行する。
【0064】
登録情報一時記憶手段12C1は、保守点検の登録指示有りと判断すると(S21)、入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取り、適宜な記憶装置例えばデータベース11の空きエリアに一時記憶する(S22)。
【0065】
ここで、保守点検登録情報とは、例えば管理データ記憶エリア11aに記憶される管理データを表示した後、伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目を選択させ、さらに入力部13から自局登録内容例えば「自動表示」及び他局登録内容「自動表示禁止」として登録される情報である。
【0066】
しかる後、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、解除先判定手段12C2を実行する。解除先判定手段12C2は、例えば自局解除か任意局解除の選択メッセージまたはユーザによる入力部13からの指示に従って、自局解除か任意局解除かを判定する(S23)。
【0067】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、自局登録情報登録手段12C3を実行する。自局登録情報登録手段12C3は、自局解除と判定されたとき、一時的に記憶されている保守点検登録情報を自局登録テーブル11bに順次登録していく(図10参照)(S24)。
【0068】
さらに、ステップS23において、自局解除ではなく任意局解除と判定されたとき、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに順次登録していく(S25)。
【0069】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、情報伝送手段12C4を実行する。
【0070】
情報伝送手段12C4は、自局登録テーブル11bに他局に関する登録情報を含んでいるか判断する(S26)。ここで、他局に関する登録情報例えば「自動表示禁止」が登録されている場合、自局登録内容を除く他の登録情報を他局登録情報として転送する(S27)。
【0071】
一方、情報伝送手段12C4は、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに登録した後、テーブル転送か個別転送かを判断する(S28)。テーブル転送であれば、共通登録テーブル11dをそのまま予め定める他中央局の送信先アドレスに基づき、各他施設中央局に伝送し(S29)、各他中央局での共通登録テーブル11dに上書きさせる。
【0072】
個別転送と判断したときは、今回登録された共通登録テーブル11dの保守点検登録情報を各他中央局に転送する(S30)。なお、個別転送の場合、例えば一日一回程度、所定時間を検知し(S31)、全施設中央局の共通登録テーブル11dを一致させるためにステップS9に移行し、共通登録テーブル11dを転送し、各中央局の共通登録テーブル11dの整合性をとる。
【0073】
従って、以上のような実施形態2によれば、施設中央局4aは、被監視対象機器3に対する保守点検による事故発生時、系統画面から事故発生機器に関する事故画面を飛出し表示するが、他施設中央局4b側には急な飛出し表示は例えば本来の事故発生と勘違いしたりするので、他施設中央局4b側に対して「自動表示禁止」と設定することにより、他施設中央局4bに影響を与えずに保守点検を実施できる。
【0074】
(その他の実施形態)
(1) 上記実施形態では、自局登録テーブル11b、他局登録テーブル11c1,…,11cnの他、共通登録テーブル11dを設けたが、共通登録テーブル11dを持たない構成であってもよい。
【0075】
(2) 上記実施形態では、自施設中央局例えば4a側にて自局登録テーブル11b及び共通登録テーブル11dに保守点検登録情報を登録し、また他の施設中央局例えば4b側to転送によって対応する他局登録テーブル例えば11cに保守点検登録情報が登録されている。
【0076】
従って、各施設中央局4a,4bは、下位の伝送装置2からある被監視対象機器3に対する保守点検による動作状態情報(例えば故障情報)を受けたとき、全部のテーブル11b,11c1,…,11dの登録情報の論理和によって該当被監視対象機器3であるか、また該当被監視対象機器3であればその登録内容を実行する必要があるが、相互に矛盾する場合も出てくる。
【0077】
かかる状態の場合、自局登録テーブル11bの登録情報(登録内容)を優先し、当該登録情報に従って必要な処理を実行するものである。
【0078】
(3) また、伝送装置2に対する保守点検も有りうるが、この場合には伝送装置2が被監視対象機器として扱われることは言うまでもない。
【0079】
(4) なお、上記実施形態1,2は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…専用ネットワーク、2a,…,2i,…伝送装置、3…被監視対象機器、4a,4b…施設中央局、11…データベース、11a…管理データ記憶エリア、11b…自局登録テーブル、11c1〜11cn…他局登録テーブル、11d…共通登録テーブル、12…施設管理処理部、13…入力部、14…表示部、12A1,12C1…登録情報一時記憶手段、12A2,12C2…解除先判定手段、12A3…登録情報登録手段、12A4…情報伝送手段、12B1…解除先判定手段、12B2…テーブル情報表示手段、12B3…登録解除処理手段、12C3…自局登録情報登録手段、12C4…情報伝送手段。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、施設管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
広域にわたる高速道路施設や鉄道施設などに設置される各種の受配電設備,ETC供給電源,トンネル換気設備などの被監視対象機器の動作状態を監視制御するために施設管制システムが設けられている。
【0003】
多くの施設管制システムには、各種の被監視対象機器の保守・点検を行う際に発報される警報表示を抑止するための機能(以下、「保守点検登録機能」と呼ぶ)が実装されている。
【0004】
近年、施設管制システムにおいては、IPによる通信プロトコルを使用したLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワーク上に、高速道路のIC(インター・チェンジ)ごと、隣接する両IC間エリアごと、トンネルごとに伝送装置を設置し、これら伝送装置にICごと、両IC区間エリアごと、トンネルごとに設置される複数の被監視対象機器が接続される。
【0005】
さらに、ネットワーク上には多数の被監視対象機器を監視制御するために複数の施設中央局が接続される。各施設中央局は、自施設中央局(以下、自局と略称する)及び他施設中央局(以下、他局と略称する)が管轄するネットワーク上に連なる複数の設備系統の系統画面を保有する。これら施設中央局は、常時は少なくとも自局が管轄する系統画面を表示し、各伝送装置から伝送されてくる被監視対象機器の動作状態を監視制御する構成となっている。
【0006】
ところで、このような施設管制システムでは、例えば定期的に保守員が現場に出向いて被監視対象機器から故障データを出力し、施設中央局側で適切に監視できているかを点検する保守点検作業が行われている。
【0007】
このとき、施設中央局側では、頻繁に「警報出力(例えば警報音)」が発生したり、あるいは故障を発生させた被監視対象機器に関する故障画面に自動的に切替る「自動表示(故障画面の飛出し)」となるが、予め知り得る保守点検作業にも拘らず、その「警報出力」がうっとうしいとか、煩わしいしいこともある。そのため、被監視対象機器の保守点検時に、予め警報抑止するとか、あるいは故障画面が自動的に飛び出ないようにする「自動表示禁止」などの保守点検登録を行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−171418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の施設管制システムでは、複数の施設中央局がそれぞれ個別に保守点検登録を実施しているため、施設中央局の数が多くなればなるほど、各施設中央局ごとに同じ保守点検登録作業を実施することになり、システム全体の運用効率が悪くなる。
【0010】
また、保守点検登録の解除忘れが生じたとき、登録された被監視対象機器の異常発生時にその異常を検知できないとか、異常検知が遅れるなどの問題が出てくる。
【0011】
そこで、本施設管制システムは、各施設中央局で登録される保守点検登録情報を互いに共有し、システム全体の運用効率を高め、かつ、保守点検登録情報の解除先を明確にして解除忘れを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、前記各施設中央局は、少なくとも自局登録テーブル及び他の施設中央局に対応する数の他局登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする前記自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、この登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、対応する前記他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けた施設管制システムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る施設管制システムを示す全体構成図。
【図2】実施形態1に係る施設管制システムの要部となる保守点検登録情報の登録処理に関する機能ブロック図。
【図3】施設管制システムで使用される基礎管理データの一例図。
【図4】図2に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録処理の処理手順を説明するフロー図。
【図5】テーブルに登録する保守点検登録情報のデータ配列例図。
【図6】自局及び他局への保守点検登録情報の登録例を示す模式図。
【図7】実施形態1に係る施設管制システムの要部となる登録解除処理に関する機能ブロック図。
【図8】図7に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録解除処理の処理手順を説明するフロー図。
【図9】実施形態2に係る施設管制システムの要部構成を説明する模式図。
【図10】図9に示す施設管理処理部における保守点検登録情報の登録処理の処理手順を説明するフロー図。
【図11】テーブルに登録する保守点検登録情報のデータ配列例図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は施設管制システムの全体構成図である。
この施設管制システムは、例えばIPの通信プロトコルを用いて通信可能とするLANまたはWAN等の専用ネットワーク(伝送路)1と、この専用ネットワーク1上に分散接続される多数の伝送装置2a,…,2i,…,2nと、各伝送装置2a,…,2i,…,2nにそれぞれ個別に接続される被監視対象機器3,…と、同じく伝送ライン1上に接続される複数の施設中央局4a、4bとを含む構成である。
【0015】
伝送装置2a,…,2i,…,2n(以下、伝送装置2と総称する)は、例えば高速道路施設の高速道路IC(インター・チェンジ)ごと、隣接する両IC区間エリアごと、隣接するIC間に存在するトンネルごと、その他必要な個所・施設に設置される。
【0016】
各伝送装置2は、例えば所定のサンプリング周期ごとに該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込み、IPの通信プロトコルを用いて専用ネットワーク1に伝送する機能を有する。
【0017】
すなわち、高速道路IC対応の伝送装置2は、高速道路IC内の例えば洗面所照明設備電源、ETC供給電源、インター受配電設備、空調設備等の各種の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0018】
隣接する両IC区間エリア対応の伝送装置2は、IC区間エリアの照明電源設備、監視カメラ、各種の検知センサ等の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0019】
また、トンネル対応の伝送装置2は、トンネル内の例えば照明設備電源、換気設備、監視カメラ等の被監視対象機器3,…と接続され、該当被監視対象機器3,…の動作状態情報を取り込んで専用ネットワーク1に伝送する。
【0020】
複数の施設中央局4a、4bは、例えば高速道路の広域エリアに設置される多数の被監視対象機器3,…を監視制御(管理)するものであって、4aは例えば東京側施設中央局、4bは例えば名古屋側施設中央局等に相当する。
【0021】
各施設中央局4a、4bは、少なくともデータベース11と、CPUで構成される施設管理処理部12と、所要の制御指示及び保守点検登録情報を入力するキーボード,マウスなどの入力部13と、登録過程の情報や処理結果の内容を表示する表示部14とを備えている。
【0022】
データベース11には、図2に示すように少なくとも管理データ記憶エリア11a、自局登録テーブル11b、他局の数に相当する他局登録テーブル11c1,…,11cn及び共通登録テーブル11dが設けられている。これらテーブルには記憶領域部(自局登録記憶領域部)を含む概念である。
【0023】
管理データ記憶エリア11には、図3に示すように伝送装置2,…や監視対象機器3,…を特定するためのID(識別データ)、保守点検項目を表すビットデータ等が格納されている。
【0024】
自局登録テーブル11bは、自局となる施設中央局4a又は4bの入力部13から自局解除指示のもとに入力される伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を登録するテーブルである。
【0025】
他局登録テーブル11c1,…,11cnは、他局となる施設中央局4b又は4aにて登録され、転送されてくる伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を受信し、予め定める個別局対応ごとに登録するテーブルである。
【0026】
共通登録テーブル11dは、自局となる施設中央局4a又は4bの入力部13から任意局解除指示のもとに入力される伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容情報を登録するテーブルである。
【0027】
施設管理処理部12は、大きく分けて、(1)登録情報登録機能部と、(2)下位受信情報判定機能部と、(3)登録解除機能部とを備えている。以下、機能部ごとに説明する。
【0028】
(1) 登録情報登録機能部について。
【0029】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、入力部13から入力される保守点検登録情報を登録処理する一連の処理機能であって、図2に示すように入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取って記憶する登録情報一時記憶手段12A1、保守点検登録情報の解除先を判定する解除先判定手段12A2、この判定手段12A2で判定された解除先に応じて保守点検登録情報を、自局解除の場合に自局登録テーブル11bに、任意局解除の場合には共通登録テーブル11dに登録する登録情報登録手段12A3、他局に登録情報を転送する情報伝送手段12A4が設けられている。
【0030】
次に、登録情報登録機能部の一連の処理動作について説明する(図4参照)。
【0031】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、施設中央局例えば4aのユーザが入力部13から保守点検に関する登録指示を受けると、登録情報一時記憶手段12A1を実行する。
【0032】
登録情報一時記憶手段12A1は、保守点検の登録指示有りと判断すると(S1)、その後に入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取り、適宜な記憶装置例えばデータベース11の空きエリアに一時記憶する(S2)。
【0033】
ここで、保守点検登録情報とは、例えば管理データ記憶エリア11aに記憶される管理データを表示した後、図5に示すように伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目、登録内容例えば「警報鳴動抑制」、必要に応じて保守点検期間等の情報である。
【0034】
しかる後、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、解除先判定手段12A2を実行する。解除先判定手段12A2は、例えば自局解除か任意局解除の選択メッセージまたはユーザによる入力部13からの指示に従って、自局解除か任意局解除かを判定する(S3)。
【0035】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、登録情報登録手段12A3を実行する。登録情報登録手段12A3は、解除先判定手段12A2にて自局解除と判定されたとき、一時的に記憶されている保守点検登録情報を図5のように自局登録テーブル11bに順次登録していく(S4)。ステップS3において、自局解除ではなく任意局解除と判定されたとき、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに順次登録していく(S5)。なお、共通登録テーブル11dには例えば図5に示す自局登録テーブル11bと同様なデータ配列に従って登録していく。
【0036】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、情報伝送手段12A4を実行する。情報伝送手段12A4は、保守点検登録情報を自局登録テーブル11bに登録した後、予め設定される他局の送信先アドレスに基づき、保守点検登録情報を各他局に伝送する(S6)。
【0037】
他局である例えば施設中央局4bでは、施設中央局4aから保守点検登録情報を受信すると、施設中央局4aに対応する他局登録テーブルに登録する。
【0038】
一方、情報伝送手段12A4は、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに登録した場合、テーブル転送か個別転送かを判断する(S7)。テーブル転送であれば、共通登録テーブル11dをそのまま他局の送信先アドレスに基づき、各他局に伝送し(S8)、各他局の共通登録テーブル11dに上書きさせる。
【0039】
個別転送と判断したときには、今回登録された共通登録テーブル11dの保守点検登録情報を各他局に転送する(S9)。なお、個別転送の場合、例えば一日一回程度、所定時間を検知し(S10)、全施設中央局の共通登録テーブル11dを一致させるためにステップS9に移行し、共通登録テーブル11dを転送し、各施設中央局4a,4bの共通登録テーブル11dの整合性をとる。
【0040】
以上の保守点検登録情報の登録は、施設中央局4bにおいても、施設中央局4aと同様に行われる。従って、登録情報の登録の一連の流れは、模式的には図6のように表すことができる。
【0041】
(2) 下位受信情報判定機能部について。
【0042】
ある被監視対象機器3において保守点検が行われたとき、対応する伝送装置2から少なくとも伝送装置ID、被監視対象機器ID及び被監視対象機器3の保守点検項目に係るビットデータが専用ネットワーク1を介して施設中央局4a,4bに伝送される。
【0043】
ここで、施設管理処理部12の下位受信情報判定機能部は、伝送装置2から伝送されてくる情報と自局登録テーブル11b、他局登録テーブル11c1,…,11cn及び共通登録テーブル11dの何れかに登録される保守点検登録情報の中の被監視対象機器3及び保守点検項目とを比較して一致すれば、その登録された登録テーブルに登録される登録内容(例えば図5参照)に基づき、警報音を出さないように警報抑止を行う。
【0044】
(3) 登録解除機能部について。
【0045】
施設管理処理部12の登録解除機能部は、入力部13から入力される解除指示のもとに解除処理を行う一連の処理機能であって、図7に示すように解除先判定手段12B1、テーブル情報表示手段12B2及び登録解除処理手段12B3が設けられている。
【0046】
次に、登録解除機能部の一連の処理動作について説明する(図8参照)。
【0047】
施設管理処理部12の登録解除機能部は、ユーザが施設中央局4aの入力部13から解除指示を入力すると、解除先判定手段12B1を実行する。
【0048】
解除先判定手段12B1は、解除指示を受け取ると(S11)、自局解除か任意局解除の選択メッセージまたは解除指示に含む内容に従って、自局解除か任意局解除かを判定した後(S12)、テーブル情報表示手段12B2を実行する。
【0049】
テーブル情報表示手段12B2は、自局解除と判定されたとき自局登録テーブル11bを読み出して表示部14に表示し(S13)、任意局解除と判定されたとき共通登録テーブル11dに表示する(S14)。
【0050】
引き続き、施設管理処理部12の登録解除機能部は、登録解除処理手段12B3を実行する。
【0051】
登録解除処理手段12B3は、表示部14に表示された自局登録テーブル11b又は共通登録テーブル11dに基づき、マウスによる登録情報の個別選択(個別選択)か(S15)、あるいはテーブル選択かを判断する(S16)。
【0052】
登録解除処理手段12B3は、個別選択と判断されたとき、該当登録情報の解除処理データを送信した後、自局登録テーブル11bの該当登録情報を削除する(S17,S18)。
【0053】
一方、登録解除処理手段12B3は、テーブル選択と判断されたとき、該当テーブル11b又は11dの解除処理データを送信した後、共通登録テーブル11dの全登録内容を削除する(S19,S20)。
【0054】
従って、以上のような実施形態によれば、各施設中央局4a,4bはそれぞれ自局登録テーブル11bに保守点検登録情報を登録できるだけでなく、他局へ送信して送信元局対応の他局登録テーブル例えば11c1に登録するので、保守点検登録情報の共有化を図ることができる。
【0055】
また、各施設中央局4a,4bは、それぞれ登録を行った自局を解除先と設定することにより、他局からの解除を未然に回避できるだけでなく、解除先を明確にして解除忘れを防ぐことができる。
【0056】
さらに、各施設中央局4a,4bには、自局登録テーブル11b及び他局登録テーブル11c1,…だけでなく、共通登録テーブル11dを備え、自局ユーザの判断のもとに共通登録テーブル11dに保守点検登録情報を登録し、任意局の解除に委ねることもできる。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2は、図1とほぼ同様な構成であるので、ここではその構成の説明は省略し、特に異なる前記(1)登録情報登録機能部について、図9及び図10を参照して説明する。
【0058】
図9は各施設中央局4a,4bによる保守点検登録情報の登録例を説明する図である。
【0059】
施設中央局4a側が、自局解除指示に基づき自局登録テーブル11bに特定の伝送装置ID及び被監視対象機器IDのもとに「自動表示」等の保守点検登録情報を登録したが、例えば施設中央局4b側に対しては不意な故障画面の飛び出しを避ける観点から、「自動表示禁止」を設定し他局に転送し登録する例である。
【0060】
すなわち、施設中央局4a側の「自動表示」等の保守点検登録情報を登録すると、転送によってそのまま他の施設中央局4b対応の他局登録テーブル例えば11c1にも登録されてしまう。よって、登録された伝送装置ID及び被監視対象機器IDに対応する被監視対象機器3の保守点検作業を実施するために故障データを出力させたとき、施設中央局4b側の表示部14に表示されている監視系統画面が突然故障画面に切替ってしまう問題がある。
【0061】
そこで、実施形態2に係る施設管制システムでは、以上のような問題を解決するために施設管理処理部12の登録情報登録機能部としては、図9に示すように登録情報一時記憶手段12C1(12A1と同じ)、解除先判定手段12C2(12A2と同じ)、自局登録情報登録手段12C3(12A3と同じ)、情報伝送手段12C4を設ける。
【0062】
次に、登録情報登録機能部の一連の処理動作について説明する(図10参照)。
【0063】
施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、施設中央局4aのユーザが入力部13から保守点検に関する登録指示を入力すると、登録情報一時記憶手段12C1を実行する。
【0064】
登録情報一時記憶手段12C1は、保守点検の登録指示有りと判断すると(S21)、入力部13から入力される保守点検登録情報を受け取り、適宜な記憶装置例えばデータベース11の空きエリアに一時記憶する(S22)。
【0065】
ここで、保守点検登録情報とは、例えば管理データ記憶エリア11aに記憶される管理データを表示した後、伝送装置ID、被監視対象機器ID、保守点検項目を選択させ、さらに入力部13から自局登録内容例えば「自動表示」及び他局登録内容「自動表示禁止」として登録される情報である。
【0066】
しかる後、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、解除先判定手段12C2を実行する。解除先判定手段12C2は、例えば自局解除か任意局解除の選択メッセージまたはユーザによる入力部13からの指示に従って、自局解除か任意局解除かを判定する(S23)。
【0067】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、自局登録情報登録手段12C3を実行する。自局登録情報登録手段12C3は、自局解除と判定されたとき、一時的に記憶されている保守点検登録情報を自局登録テーブル11bに順次登録していく(図10参照)(S24)。
【0068】
さらに、ステップS23において、自局解除ではなく任意局解除と判定されたとき、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに順次登録していく(S25)。
【0069】
引き続き、施設管理処理部12の登録情報登録機能部は、情報伝送手段12C4を実行する。
【0070】
情報伝送手段12C4は、自局登録テーブル11bに他局に関する登録情報を含んでいるか判断する(S26)。ここで、他局に関する登録情報例えば「自動表示禁止」が登録されている場合、自局登録内容を除く他の登録情報を他局登録情報として転送する(S27)。
【0071】
一方、情報伝送手段12C4は、保守点検登録情報を共通登録テーブル11dに登録した後、テーブル転送か個別転送かを判断する(S28)。テーブル転送であれば、共通登録テーブル11dをそのまま予め定める他中央局の送信先アドレスに基づき、各他施設中央局に伝送し(S29)、各他中央局での共通登録テーブル11dに上書きさせる。
【0072】
個別転送と判断したときは、今回登録された共通登録テーブル11dの保守点検登録情報を各他中央局に転送する(S30)。なお、個別転送の場合、例えば一日一回程度、所定時間を検知し(S31)、全施設中央局の共通登録テーブル11dを一致させるためにステップS9に移行し、共通登録テーブル11dを転送し、各中央局の共通登録テーブル11dの整合性をとる。
【0073】
従って、以上のような実施形態2によれば、施設中央局4aは、被監視対象機器3に対する保守点検による事故発生時、系統画面から事故発生機器に関する事故画面を飛出し表示するが、他施設中央局4b側には急な飛出し表示は例えば本来の事故発生と勘違いしたりするので、他施設中央局4b側に対して「自動表示禁止」と設定することにより、他施設中央局4bに影響を与えずに保守点検を実施できる。
【0074】
(その他の実施形態)
(1) 上記実施形態では、自局登録テーブル11b、他局登録テーブル11c1,…,11cnの他、共通登録テーブル11dを設けたが、共通登録テーブル11dを持たない構成であってもよい。
【0075】
(2) 上記実施形態では、自施設中央局例えば4a側にて自局登録テーブル11b及び共通登録テーブル11dに保守点検登録情報を登録し、また他の施設中央局例えば4b側to転送によって対応する他局登録テーブル例えば11cに保守点検登録情報が登録されている。
【0076】
従って、各施設中央局4a,4bは、下位の伝送装置2からある被監視対象機器3に対する保守点検による動作状態情報(例えば故障情報)を受けたとき、全部のテーブル11b,11c1,…,11dの登録情報の論理和によって該当被監視対象機器3であるか、また該当被監視対象機器3であればその登録内容を実行する必要があるが、相互に矛盾する場合も出てくる。
【0077】
かかる状態の場合、自局登録テーブル11bの登録情報(登録内容)を優先し、当該登録情報に従って必要な処理を実行するものである。
【0078】
(3) また、伝送装置2に対する保守点検も有りうるが、この場合には伝送装置2が被監視対象機器として扱われることは言うまでもない。
【0079】
(4) なお、上記実施形態1,2は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…専用ネットワーク、2a,…,2i,…伝送装置、3…被監視対象機器、4a,4b…施設中央局、11…データベース、11a…管理データ記憶エリア、11b…自局登録テーブル、11c1〜11cn…他局登録テーブル、11d…共通登録テーブル、12…施設管理処理部、13…入力部、14…表示部、12A1,12C1…登録情報一時記憶手段、12A2,12C2…解除先判定手段、12A3…登録情報登録手段、12A4…情報伝送手段、12B1…解除先判定手段、12B2…テーブル情報表示手段、12B3…登録解除処理手段、12C3…自局登録情報登録手段、12C4…情報伝送手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局は、少なくとも自局登録テーブル及び他の施設中央局に対応する数の他局登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする前記自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、この登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、対応する前記他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項2】
広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局は、自局登録テーブル、各他施設中央局に対応する数の他局登録テーブル及び共通登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を受け取り、解除先指示に従って自局解除か任意局解除かを判定する解除先判定手段と、自局解除と判定されたとき前記登録情報を前記自局登録テーブルに登録し、任意局解除と判定されたとき前記登録情報を前記共通登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、前記共通登録テーブルに登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、前記共通登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項3】
前記情報伝送手段は、前記共通登録テーブルに新規に登録された個別の登録情報又は前記共通登録テーブルごと、前記他の施設中央局に転送し、前記共通登録テーブルに個別登録又は上書き処理させることを特徴とする請求項2に記載の施設管制システム。
【請求項4】
前記情報伝送手段は、前記登録情報登録手段が前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報の中に自局登録内容及び他局登録内容を含んで登録情報として前記自局登録テーブルに登録した場合、当該自局登録テーブルから前記他局登録内容を取り出し、他の前記施設中央局に転送し、対応する他局登録テーブルに登録することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の施設管制システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、保守点検時に該当被監視対象機器側から保守点検に関する動作状態を受信したとき、前記自局登録テーブル、前記他局登録テーブル及び共通登録テーブルに登録された登録情報の論理和演算に基づいて実行し、各テーブル相互の登録情報に矛盾が生じた場合には前記自局登録テーブルに登録される登録情報を優先して実行する登録情報実行手段をさらに設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から解除指示を受けたとき、自局解除か任意局解除かを判定する解除先判定手段と、自局解除と判定されたとき前記表示部に前記自局登録テーブルを表示し、任意局解除と判定されたとき前記表示部に前記共通登録テーブルを表示するテーブル内容表示手段と、この表示されたテーブルの個別登録情報又はテーブルごとの解除指定を受けたとき、個別又はテーブルごとの解除処理データを送信し、かつ、自局側のテーブルの個別登録情報又はテーブルを削除する登録解除処理手段とをさらに設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項1】
広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局は、少なくとも自局登録テーブル及び他の施設中央局に対応する数の他局登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を、自局を解除先とする前記自局登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、この登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、対応する前記他局登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項2】
広域にわたる施設に設置される各種の被監視対象機器の動作状態をネットワークを通して監視する複数の施設中央局が設けられ、各施設中央局は前記被監視対象機器の保守点検時に保守点検に関する影響を軽減する登録情報を登録する施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局は、自局登録テーブル、各他施設中央局に対応する数の他局登録テーブル及び共通登録テーブルを有する記憶装置と、施設監視処理部と、入力部と、表示部とを備え、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報を受け取り、解除先指示に従って自局解除か任意局解除かを判定する解除先判定手段と、自局解除と判定されたとき前記登録情報を前記自局登録テーブルに登録し、任意局解除と判定されたとき前記登録情報を前記共通登録テーブルに登録する登録情報登録手段と、前記共通登録テーブルに登録された登録情報を他の前記施設中央局に転送し、前記共通登録テーブルに登録させる情報伝送手段とを設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項3】
前記情報伝送手段は、前記共通登録テーブルに新規に登録された個別の登録情報又は前記共通登録テーブルごと、前記他の施設中央局に転送し、前記共通登録テーブルに個別登録又は上書き処理させることを特徴とする請求項2に記載の施設管制システム。
【請求項4】
前記情報伝送手段は、前記登録情報登録手段が前記入力部から入力される前記保守点検に関する登録情報の中に自局登録内容及び他局登録内容を含んで登録情報として前記自局登録テーブルに登録した場合、当該自局登録テーブルから前記他局登録内容を取り出し、他の前記施設中央局に転送し、対応する他局登録テーブルに登録することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の施設管制システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、保守点検時に該当被監視対象機器側から保守点検に関する動作状態を受信したとき、前記自局登録テーブル、前記他局登録テーブル及び共通登録テーブルに登録された登録情報の論理和演算に基づいて実行し、各テーブル相互の登録情報に矛盾が生じた場合には前記自局登録テーブルに登録される登録情報を優先して実行する登録情報実行手段をさらに設けたことを特徴とする施設管制システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の施設管制システムにおいて、
前記各施設中央局の施設監視処理部は、前記入力部から解除指示を受けたとき、自局解除か任意局解除かを判定する解除先判定手段と、自局解除と判定されたとき前記表示部に前記自局登録テーブルを表示し、任意局解除と判定されたとき前記表示部に前記共通登録テーブルを表示するテーブル内容表示手段と、この表示されたテーブルの個別登録情報又はテーブルごとの解除指定を受けたとき、個別又はテーブルごとの解除処理データを送信し、かつ、自局側のテーブルの個別登録情報又はテーブルを削除する登録解除処理手段とをさらに設けたことを特徴とする施設管制システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−174200(P2012−174200A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38463(P2011−38463)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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