説明

施設維持管理用のICタグウェブネットシステム

【課題】きめ細かな施設維持管理が簡便にできるICタグウェブネットシステムを提供する。
【解決手段】施設6に設置された施設ICタグ3と、通信回線5を介して施設ICタグ3と通信可能な情報処理装置1を備え、情報処理装置1は施設ICタグ3が有する固有の施設用識別情報と対応関係にある固有の画像化用識別情報を有するアイコンを画像化ICタグ2として画面上に表示し、画像化ICタグ2をクリックすることで、対応関係にある施設ICタグ3や資料類ICタグ4とリンクするデータベースに対し情報処理装置1からアクセスできることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種施設を維持管理するためにICタグを使用した施設維持管理用のICタグウェブネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、施設を構築するためには予め企画書や設計書が作られ、次に仕様書や各種図面や数量書が準備されて、さらに施設竣功後には竣功図としての施設管理維持台帳図と施設管理維持台帳が作成される。施設管理者は、この施設維持管理台帳図と施設維持管理台帳を検証し、同時に施設の構築由来と履歴を記録した文書類を参考にしながら施設の維持管理業務を実施している。
【0003】
例えば国道、地方道あるいは高速道などの主要な道路のインフラに関しては、全国土に長大な延長量を保有し、かつ膨大な数の道路を構成するための各種施設を有する。そのため、前述の施設管理維持台帳図や施設管理維持台帳などの書類や前記文書類による従来の紙面ベース管理方式では、整理と検索にかなりの場所と時間を要する。そのため国道などでは情報を電子化して大型サーバーに収納するペーパーレスの電子ベース収納方式に切り替わりつつある。
【0004】
なお、この種の公知文献としては、例えば下記のような特許文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開平9−198480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、余りにも膨大な各種データを、各施設管理所より集約して一元化収納するとなると極めて膨大なデータ量となり、大型サーバーといえども自ずと容量的に制限を受けることは自明である。
【0006】
例えば国土交通省が採用しているMICHIシステムでは、施設の位置、規模、サイズの把握に対するデータ量は十分であっても、それぞれの施設の維持管理に要する様々な履歴、とりわけ維持管理を実施した際の管理履歴を記録しているきめ細かな文書類データについては、容量的な制約もあっていまだ収納情報量が不足しているのが実情である。
【0007】
また全体的に集約化した大型サーバーを置いても、そのデータベースの中から関連する種々のデータを各施設管理所から検索するには、パーソナルコンピュータのキー操作を数多くこなさなければならず、かなりの時間と専門的な習熟操作技量を要する。
【0008】
前述のIT化の進んだMICHIシステムにあっても、データの更新入力は年1回程度であり、最新情報が得られず、しかも検索操作に手数を要することから、各施設管理所からの利用回数が少ないのが現状である。
【0009】
本発明の目的は、このような従来技術システムの実情に鑑みてなされたものであり、きめ細かな維持管理が簡便に実現できる施設維持管理用のICタグウェブネットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、維持管理する例えば建物施設あるいは道路の如き交通施設などの施設に設置された施設ICタグと、
通信回線を介して前記施設ICタグと通信可能な情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は前記施設ICタグが有する例えばID番号などの固有の施設用識別情報と対応関係にある固有の画像化用識別情報を有するアイコンを画像化ICタグとして画面パネル上に表示でき、
その画像化ICタグをクリックすることにより、前記画像化用識別情報ならびに施設用識別情報を介して対応関係にある前記施設ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイル、つまりICタグ記憶部にリンクするデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記施設ICタグと前記情報処理装置のデータベースには、同じ識別情報毎に整理された施設維持管理用情報が記録されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、前記情報処理装置の画面パネル上に当該施設を画する画像が表示され、その画像上に前記施設ICタグの各設置位置と相似的配置形を形成する対応点にアイコンとしての前記画像化ICタグが位置決めされ表示されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第4の手段は前記第1の手段において、前記施設の構築や維持管理に関係している資料類、つまり施設の計画や設計に供した資料、或いは現に集積している維持管理に供する品々で、紙や電子ベースからなる諸図面や諸書類、諸帳票、記録画像、記録テープ、テストピース、各種サンプリング試料およびこれらを収納する収納箱などに固有の資料類用識別情報を有する資料類ICタグを設置し、
その資料類ICタグは通信回線を介して前記情報処理装置と通信可能であり、
前記情報処理装置の画像化ICタグは前記施設ICタグならびに前記資料類ICタグと対応関係にあり、
前記画像化ICタグをクリックすることにより、前記画像化用識別情報ならびに施設用識別情報を介して、対応関係にある前記施設ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイル、つまりICタグ記憶部にリンクするデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできるとともに、
前記画像化用識別情報ならびに資料類用識別情報を介して、対応関係にある前記資料類ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイル、つまりICタグ記憶部にリンクするデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、前記施設ICタグと資料類ICタグと情報処理装置のデータベースには、同じ識別情報毎に整理された施設維持管理用情報が記録されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は前述のような構成になっており、きめ細かな維持管理が簡便に実現できるとともに、アセットマネジメントに供する部材部品の交換を含む修理改修、及び施設の改廃や更新などが効率的に行われること、あるいは施設の寿命が合理的に延長できること、或いは突発的事故や災害発生による施設破壊の迅速修復に対応できる施設維持管理用のICタグウェブネットシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
施設の効率的かつ効果的な維持管理には、その施設に関するデータを施設管理所に集約して、容易にかつ簡単に施設データの入力と更新や検索ができることが重要である。
【0017】
そして現在のIT社会を根幹的に支える情報処理装置としてのコンピュータやサーバーを駆使して施設としての物を管理したり或いは関連データを自動的に処理するためには、その当初に該当する「物」を正確に識別できなければならない。この識別のための固有のID番号と小容量核情報を超小型チップに書き込んで「物」に装着されるものが施設ICタグである。
【0018】
一度構築された人造構築物(インフラ施設や一般工作物など)は、安全にかつ健全に長く利用されるべきである。本発明はこの観点から、例えばインフラ施設の維持管理を目的対象とした特定施設、あるいは各種機械、装置等の一般工作物などの管理すべき物体(以後の説明は主に特定施設について述べる)に装着したICタグを「施設ICタグ」と定義し、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置の画面パネル上で前記「施設ICタグ」の各設置位置と相似的配置形を形成する対応点にアイコンとして表示する特定マークを「画像化ICタグ」と定義し、また前記「施設ICタグ」の管理内容等を表現している紙や各種の電子メモリ媒体からなる図面、書面、映像やサンプリング品などの資料類に装着したICタグを「資料類ICタグ」と定義する。
【0019】
そして前記「施設ICタグ」、「画像化ICタグ」、「資料類ICタグ」の個々の記憶部に同一のID番号(識別情報)を記憶させておき、前記「画像化ICタグ」をクリックすることで、前記「施設ICタグ」あるいは/ならびに「資料類ICタグ」のICタグ回路の手順をならってプログラム化されたソフトウェアを起動して、リアルタイムにかつ簡便な手段でデータベース中の該当するデータファイルにアクセスできるICタグウェブネットシステムを本発明で構築した。
【0020】
図1は、このシステムの概念図である。同図に示すようにサーバーを含むコンピュータまたは携帯情報処理装置などの情報処理装置1はデータベースを有し、それの表示画面上には画像化ICタグ2がアイコンとして表示される。管理すべき施設に装着した施設ICタグ3と、その施設に関する内容を記録し採取した資料類ICタグ4は、通信回線5を介して前記情報処理装置1にそれぞれ接続可能になっている。この情報処理装置1は、例えば施設管理所に設置されている。
【0021】
この例では施設ICタグ3と画像化ICタグ2と資料類ICタグ4を備えたICタグウェブネットシステムを示しているが、資料類ICタグ4を外して施設ICタグ3と画像化ICタグ2とを用いたICタグウェブネットシステムであっても良い。
【0022】
次に前記施設ICタグ3、資料類ICタグ4、画像化ICタグ2ならびに通信回線5について詳述する。
【0023】
(施設ICタグ3)
前記施設ICタグ3は、現に供用されている施設本体、あるいはその構成部材あるいは構成部所(以下、これらを構成部材で代表する)に装着するICタグで、主に市販の屋外用ICタグが用いられ、記憶部、データの送受信部ならびにICタグの全体を制御する制御部などを備えている。資料類ICタグ4も同様の構成要素を備えている。
【0024】
図2は、現地の施設に施設ICタグを装着した状態を示す図である。この例の場合、現場の維持管理すべき施設6は、主要構成部材7aと主要構成部材7bと主要構成部材7cとから構成され、各主要構成部材7a〜7cには施設ICタグ3a〜3cが例えば接着や埋め込みなどの適宜な手段によりそれぞれ設置されている。この例では施設6の各主要構成部材7a〜7c毎に施設ICタグ3a〜3cを設置したが、施設6に対して1つの施設ICタグ3を設置することもある。
【0025】
前記施設ICタグ3aには主要構成部材7aに関する情報が、施設ICタグ3bには主要構成部材7bに関する情報が、施設ICタグ3cには主要構成部材7cに関する情報が、それぞれ記憶されている。
【0026】
施設6や主要構成部材7に関する情報として、例えばタグ生産番号(メーカ記号)とタグの施設用ID番号と施設維持管理用情報がある。この施設維持管理用情報には、施設6を竣功した際に入力できる初期履歴情報と、施設6またはその構成部材7の修理改修した際に入力できる修理履歴情報と、維持管理データを入力する管理履歴情報などがある。
【0027】
前記初期履歴情報としては、例えば施設・部材の呼称,施設・部材の竣功年月日,施工業者名,施設・部材の用途,施設・部材の能力,耐用期限年月日,施設・部材の価格と工費,設置位置,施工業者連絡先などが相当する。設置位置には、GPS(全地球測位システム)との交信で得られる三次元の公的座標値を記憶させておくことで、施設管理者や施設利用者は施設の平面的、かつ高さの位置を読み取れ、施設の管理上、或いは自からの所在位置を知る上で速効的、効果的利用が図れることが可能である。
【0028】
修理履歴情報としては、例えば修理改修年月日,修理改修事由,修理改修内容,修理改修費用,施設・部材の耐用期限年月日,修理改修業者名,施工業者連絡先などがある。
【0029】
管理履歴情報としては、特異な現象データ、異常な測定データ、注意を要する点検事項などが相当する。日頃の管理データは量が膨大過ぎてICタグの収容能力には納まらないから、施設管理所内のサーバーに時系列的に記録し蓄積していくことが至当である。
【0030】
施設を維持管理する上において前記初期履歴情報、修理履歴情報ならびに管理履歴情報の三者は何れも重要であるが、とりわけ施設寿命の延長のためには、施設の維持管理を実施した際の管理情報を整理した管理履歴情報は最重要である。
【0031】
また施設に関する構築技術の進化の度毎に、該当施設に対しての技術的知見を前記管理履歴情報に付け加えたり、また、該当施設の保守点検についてもその節目節目に保守点検の検討結果を管理履歴情報に付け加えることが重要である。
【0032】
従来より管理施設に標識板や銘板を付設して、その標識板や銘板に当該管理施設に関する情報などを記載表示する方法が採用されている。しかし、標識板や銘板では記載表示できる字数が限られており、情報量が極めて少なく、施設の効率的かつ効果的な維持管理にはデータ不足である。これに対して本発明のような施設ICタグ3を使用すれば、施設の維持管理に必要な前述のような各種データを格納することができる。
【0033】
なお、前述の各種データを1個の施設ICタグ3に収納して容量オーバーを招く虞がある場合、施設ICタグ3には必要最小限の核データ、つまりタグ生産番号(メーカ記号),固有のID番号,施設・部材呼称,竣功(または生産)年月日ぐらいをキーワードとして収納しておき、他の関連データ、例えば施設写真や施設周辺の地形図や地質・土質などを含む関連データは装置として記録容量が十分にある外部記録媒体としての前記サーバーにデータベースとして収納しておく。なお、本明細書において「核データ」とは、必要最小限のデータのことを示している。
【0034】
前述のように施設6を構成する主要構成部材7a〜7cあるいは施設6毎に施設ICタグ3が個々に設置されておれば、それらの何れかに破損事故や機能停止事故などが発生した場合、現地に駆けつけた施設管理者がその破損事故や機能停止事故が発生した主要構成部材7あるいは施設6に設置されている施設ICタグ3からタグ情報をリーダライターで瞬時に読み、不足のあるときはパーソナルコンピュータなどを介して管理所内のサーバーのデータベースから破損事故や機能停止事故に対応するための必要な情報を検索、照査できる。
【0035】
従って従来のように施設管理者が施設管理所に戻って各種各様の施設維持管理台帳などを牽引する必要はなく、事故の起きた現地において短時間のうちに必要な情報の検索ができ、また現地情報をパーソナルコンピュータならびに通信機器を介して施設管理所に即時送信でき、互いに情報の共有により現地からも施設管理所からも事故の対策を速やかに進めることができる。
【0036】
(資料類ICタグ4)
前記資料類ICタグ4は、現に供用されている施設の計画、設計、維持管理等に供した、或いは供している様々な資料類に設置するICタグのことである。
【0037】
例えば事業計画書、調査計画書、設計計算書、数量計算書、各部詳細図、部材・部品図、各種仕様書、取扱説明書、工事写真帳、完成写真帳、工事記録書、関連帳票類、テストピース、サンプリング試料、録画テープ等やこれらを収める箱類にも資料類ICタグ4が装着され、同じようにタグID番号が記録されている。資料類ICタグ4には、市販の屋内用ICタグが使用される。
【0038】
施設が自然災害や事故に被災し、これらの対策のために前述の資料類の検索、調査をするとき、その保管場所中での位置特定作業を伴うが、緊急時対応のためには極短時間に資料等が検索、発見できることが望ましい。前述の資料等にICタグとこれと連携するGPS(全地球測位システム)チップ、発光小パネル、発音装置などを付帯させることにより、リーダライタからのID番号の発信を受けたとき、該当ICタグの応答と上記連携装置の作動により、資料類の保管位置の特定を容易にする。そして資料等から得られた各種情報をリアルタイムに通信回線5を経由して情報処理装置1に送信することができる。
【0039】
なお、資料類にICタグを装着することは本発明のICタグウェブネットシステムにおいて必須条件ではなく、資料等にICタグを装着することが、施設の自然災害や事故からの被害時での対策が素早く、円滑で、より有効であるという十分条件に相当するものである。
【0040】
(画像化ICタグ2)
前記画像化ICタグ2は、外見上はパーソナルコンピュータなどの情報処理装置1の画面パネル上に表示される絵文字や特定マークなどのアイコン9である。
【0041】
情報処理装置1には、前記施設6の位置を表した地図や映像、施設6の管理台帳図面、あるいは施設6や施設の構成部材7a〜7cの映像などが電子データ化されて、それがデータベ―スに格納され、それら地図、映像、図面が必要に応じて情報処理装置1の画面パネル上に表示される。
【0042】
図3は、画面パネル上における核点アイコンを説明するための概念図である。これまでのアイコンの画面パネル上での表示位置は特段に規定されるものではなかったが、本発明ではアイコン9の表示位置が規定される。このアイコン9の表示は、画面パネル8上の例えば施設の位置を示した地図や映像、施設の管理台帳図面、あるいは施設や施設の構成部材の図面や映像の上の核点にマークされる。その画面パネルの画像上に核点、つまりID番号(画像化用ID番号)を付与して特定した注目点や監視点や管理点などの特定点のオンザポイントとして位置決めされ、表示される。
【0043】
例えば図3の画面パネル8上には、情報処理装置1のデータベ―スに格納されている施設6の管理台帳図面9が表示されている。この管理台帳図面9は、施設6の主要構成部材7a(図2参照)を表す部分図10aと、施設6の主要構成部材7bを表す部分図10bと、施設6の主要構成部材7cを表す部分図10cとから構成されている。
【0044】
そして前記部分図10aが描かれている領域内のオンザポイントとしての所定位置に核点アイコンとしての画像化ICタグ11aが、部分図10bが描かれている領域内の所定位置に核点アイコンとしての画像化ICタグ11bが、部分図10cが描かれている領域内の所定位置に核点アイコンとしての画像化ICタグ11cが、それぞれ表示されている。前記画像化ICタグ11aは図2に示す施設ICタグ3aと、画像化ICタグ11bは施設ICタグ3bと、画像化ICタグ11cは施設ICタグ3cと、位置的にそれぞれ相似的配置形を形成し、各対応する核点として、画面上で位置決めされ表示されている。図中の13は情報処理装置1に接続されたサーバーである。
【0045】
この実施形態では画面パネル8上に施設6の管理台帳図面9が表示される例を示したが、管理台帳図面9の代わりに施設6の映像が表示される場合も、その主要構成部材7a〜7cが表示されている図面や映像部分の所定位置としてのオンザポイントに核点アイコンとしての画像化ICタグ11a〜11cが表示される。
【0046】
このようにして表示位置が規定された画像化ICタグ11a〜11cは画面パネル8上での位置情報を保有することに加えて、画像化ICタグ11a〜11cのいずれか(例えば画像化ICタグ11a)を情報入力マウス12などでクリックすることで、予め情報処理装置1に内蔵されているその画像化ICタグ11(例えば画像化ICタグ11a)に関連したICタグのもつ回路処理の手順にならってプログラム化されたソフトウェアが起動され、クリックした画像化ICタグ11(例えば画像化ICタグ11a)に関わる情報の入出力やリード・ライトまたはそれにリンクするデータベースへの情報記録や情報更新などがリアルタイムに実施できる。
【0047】
従ってこのソフトウェアは、電子集積回路としてのICタグが存在するのと同等の機能、効果を発揮する、つまりICタグの擬似回路(エミレーション)機能を有するものである。前記電子集積回路とは、プリント配線基板上にトランジスタ、ダイオード、抵抗器、コンデンサなどを用いて所定の回路を構成したもので、10万個、100万個の回路集積が可能である。
【0048】
ICチップはIC回路そのものであり、通常アンテナ装置を持たないが、これに小型化したアンテナ装置を付加したものがICタグである。前述のようにして起動された電子集積回路ソフトウェアは、ICタグまたはICチップが論理的回路をもって論理演算と論理処理する手順をなぞってプログラム化することで、ICタグまたはICチップと等価な動作を実行することができる。
【0049】
起動を始めたソフトウェアは画面パネル8の表示内容を変換させて、画面上で必要な入力事項のインプットを要求する。そして要求インプットデータの入力を受けてソフトウェアは再起動し、電子集積回路の動作手順に準じて前記インプットデータが操作、処理され、結果としてアウトプットデータが画面パネル8に表示されるとともに、リンクするデータベースの該当ファイルに記憶される。
【0050】
次に前記画像化ICタグ2と施設ICタグ3と資料類ICタグ4の関係を具体的に例示する。画像化ICタグ2は画像化ICタグ2a,2b,2cを有し、施設ICタグ3は施設ICタグ3a,3b,3cを有し、資料類ICタグ4は資料類ICタグ4a,4b,4cを有しているとする。画像化ICタグ2aと施設ICタグ3aと資料類ICタグ4aは通信上(通信回路5を介して)リンク可能となっており、ともに同じ第1のID番号を有し、画像化ICタグ2bと施設ICタグ3bと資料類ICタグ4bは通信上リンクしており、ともに同じ第2のID番号を有し、画像化ICタグ2cと施設ICタグ3cと資料類ICタグ4cは通信上リンクしており、ともに同じ第3のID番号を有している。前記第1のID番号と第2のID番号と第3のID番号は、互いに異なるID番号が付与されている。
【0051】
そして画面上の画像化ICタグ2aをクリックすれば、画像化ICタグ2aの第1の画像化用ID番号と同一である施設ICタグ3aの第1の施設用ID番号を介して、施設ICタグ3aとリンクしているデータファイルに対してアクセスでき、また、画像化ICタグ2aの第1の画像化用ID番号と同一である資料類ICタグ4aの第1の資料類用ID番号を介して、資料類ICタグ4aとリンクしているデータファイルに対してアクセスできるようになっている。画像化ICタグ2b−施設ICタグ3b−資料類ICタグ4bのグループ、ならびに画像化ICタグ2c−施設ICタグ3c−資料類ICタグ4cのグループにおいても同様にしてアクセスできるようになっている。
【0052】
(通信回線5)
図1に示すように情報処理装置1と施設ICタグ3ならびに情報処理装置1と資料類ICタグ4は通信回線5を介して情報の授受が可能とされる。通信回線5としては例えば有線電話回線、光ケーブル回線、イントラネット回線、インターネット回線、地域内無線回線、携帯電話(地上波、衛星波)回線などが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明で対象となる施設としては、例えば道路、橋梁、トンネル、地下道などの道路交通施設、住宅やマンションや高層ビルなどの建築施設、河川・ダム施設、その他の鉄道・空港・港湾などの交通システム施設、通信システム施設、気象システム施設、電力・ガス・上下水道などのインフラシステム施設、コンピュータ・ネットシステム施設、教育・研究施設、公共・商業用・産業用施設、鉄道車両・船舶・飛行機・自動車のごとき移動施設、樹木などを含む公園施設、スポーツ・球技場施設など各分野での施設が対象となり、それら施設や主要構成部材や一般工作物の維持管理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る施設維持管理用ICタグウェブネットシステムの概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現地の施設に施設ICタグを装着した状態を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画面パネル上における核点アイコン、つまり画像化ICタグを説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0055】
1:情報処理装置、2:画像化ICタグ、3:施設ICタグ、4:資料類ICタグ、5:通信回線、6:施設、7:主要構成部材、8:画面パネル、9:管理台帳図面、10a〜10c:部分図、11a〜11c:核点アイコン(画像化ICタグ)、12:情報入力マウス、13:サーバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
維持管理する施設に設置された施設ICタグと、
通信回線を介して前記施設ICタグと通信可能な情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は前記施設ICタグが有する固有の施設用識別情報と対応関係にある固有の画像化用識別情報を有するアイコンを画像化ICタグとして画面パネル上に表示でき、
その画像化ICタグをクリックすることにより、前記画像化用識別情報ならびに施設用識別情報を介して対応関係にある前記施設ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできることを特徴とする施設維持管理用のICタグウェブネットシステム。
【請求項2】
請求項1記載の施設維持管理用のICタグウェブネットシステムにおいて、前記施設ICタグと前記情報処理装置のデータベースには、同じ識別情報毎に整理された施設維持管理用情報が記録されていることを特徴とする施設維持管理用のICタグウェブネットシステム。
【請求項3】
請求項1記載の施設維持管理用のICタグウェブネットシステムにおいて、前記情報処理装置の画面パネル上に当該施設を画する画像が表示され、その画像上に前記施設ICタグの各設置位置と相似的配置形を形成する対応点にアイコンとしての前記画像化ICタグが位置決めされ表示されることを特徴とする施設維持管理用のICタグウェブネットシステム。
【請求項4】
請求項1記載の施設維持管理用のICタグウェブネットシステムにおいて、前記施設の構築や維持管理に関係している資料に固有の資料類用識別情報を有する資料類ICタグを設置し、
その資料類ICタグは通信回線を介して前記情報処理装置と通信可能であり、
前記情報処理装置の画像化ICタグは前記施設ICタグならびに前記資料類ICタグと対応関係にあり、
前記画像化ICタグをクリックすることにより、前記画像化用識別情報ならびに施設用識別情報を介して、対応関係にある前記施設ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできるとともに、
前記画像化用識別情報ならびに資料類用識別情報を介して、対応関係にある前記資料類ICタグが記憶している核データを補強する形で前記情報処理装置内に存在するデータファイルに対して前記情報処理装置がアクセスできることを特徴とする施設維持管理用のICタグウェブネットシステム。
【請求項5】
請求項4記載の施設維持管理用のICタグウェブネットシステムにおいて、前記施設ICタグと資料類ICタグと情報処理装置のデータベースには、同じ識別情報毎に整理された施設維持管理用情報が記録されていることを特徴とする施設維持管理用のICタグウェブネットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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