説明

施錠装置の受け具

【課題】閉鎖施錠時の施錠装置と受け具を、がたつきなく強固に定位置で係合させることができる施錠装置の受け具を提供する。
【解決手段】施錠装置の基枠体15に、本体枠側の受け具本体1に向けて滑り支持部材30が取り付けられる。滑り支持部材30は上面、下面、及び左右の側面を有し、受け支持部9は、滑り支持部材30の上面、下面、及び左右の側面を包囲可能に形成される。前扉の閉鎖施錠時、施錠装置の基枠体15の滑り支持部材30が受け具の受け支持部9内に進入し、滑り支持部材30の上面、下面、及び左右側面が、受け支持部9内の上壁、下壁、及び左右の側壁に接触して支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機などのゲーム機用の施錠装置に使用される受け具に関し、特に、受け具に施錠装置の係止部材が係止される際、受け具の受け支持部に、施錠装置側の滑り支持部材または支持ローラが滑りながら嵌め込まれて支持される構造の施錠装置の受け具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機、スロットマシンなどのゲーム機用の施錠装置として、基枠体の支持板に開口凹部を設け、係止部材として、溝状のラッチ凹部を設けた略卵型のラッチ部材を、基枠体の支持板に回動可能に枢支し、施錠時、その開口凹部からラッチ部材のラッチ凹部内に、本体枠側に固定した受け金具の係止ピンを、嵌め入れながらラッチ部材を回動させ、作動杆に突設した係止凸部に、ラッチ部材の係合部を係合させて、ラッチ部材をロックする施錠装置が、下記特許文献1などで知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3087024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この施錠装置では、施錠装置を取り付けた前面枠(前扉)を、受け金具を固定した本体枠(キャビネット)に対し施錠する場合、前面枠を本体枠に対し閉じることにより、施錠装置のラッチ部材を本体枠側の受け金具の係止ピンに近づけ、このとき、係止ピンを受け金具のラッチ凹部に嵌め入れながら、ラッチ部材を回動させ、ラッチ凹部の開口部が内側のラッチ位置に回動したとき、作動杆の係止部をラッチ部材の係合部に係合させてロックし、施錠する。
【0005】
しかし、この種の施錠装置は、係止ピンが支持板の開口凹部からラッチ部材のラッチ凹部に進入すると共に、ラッチ部材が回動して係止ピンを引き込むようにロックされ、係止ピンとラッチ凹部との嵌め合いが円滑に行なわれ、スムーズに施錠することができるものの、比較的小型の係止部材としてのラッチ部材のラッチ凹部と係止ピンとの係合により施錠される構造であり、また、受け具の係止ピンは、その基部が受け金具本体に固定され、所謂片持ち式で取り付けられていたため、閉鎖施錠時の施錠装置と受け具の係合に、位置ずれやがたつきが生じる虞があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、前扉の閉鎖施錠時、施錠装置と受け具を係止部材に対しがたつきなく強固に係止させ、閉鎖時の前扉を定位置に保持することができる施錠装置の受け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願の請求項1の施錠装置の受け具は、ゲーム機の前扉の内側に施錠装置が固定され、該ゲーム機の本体枠(キャビネット)内に受け具本体が固定され、該前扉の閉鎖施錠時に該施錠装置の係止部材が該受け具本体の係止ピンに係止されて施錠される施錠装置の受け具において、
該施錠装置の基枠体に、該本体枠側の受け具本体に向けて滑り支持部材が取り付けられ、該滑り支持部材は上面、下面、及び左右の側面を有し、該受け具本体の受け支持部は、該滑り支持部材の上面、下面、及び左右の側面を包囲可能に形成され、該前扉の閉鎖施錠時、該施錠装置の基枠体の滑り支持部材が該受け支持部内に進入し、該滑り支持部材の上面、下面、及び左右側面が、該受け支持部内の上壁、下壁、及び左右の側壁に接触して支持されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ゲーム機の本体枠に対し前扉を閉鎖して施錠した際、施錠装置の基枠体の滑り支持部材が受け具の受け支持部内に進入し、滑り支持部材の上面、下面、及び左右側面が、受け支持部内の上壁、下壁、及び左右の側壁に接触して支持される状態となるので、前扉の重量を支持すると共に、施錠装置の係止部材と受け具の係合状態を、がたつきなく強固に保持し、閉鎖時の前扉を定位置に保持することができる。また、不正な外力がゲーム機の前扉の上下方向或いは左右方向に加えられた場合でも、滑り支持部材と受け支持部間でその外力を支持し、前扉の位置ずれを防止することができる。
【0009】
ここで、上記受け支持部は、受け具本体に、正面視略コ字状に曲折した金属板を固定し、上記一方の側壁が先端部を弾性変形可能に内側に傾斜させて形成され、該受け支持部の該上壁と下壁は、上記滑り支持部材の進入方向に向かってその間が狭くなるように傾斜して形成するとよい。
【0010】
これによれば、前扉の閉鎖施錠時、施錠装置の基枠体の滑り支持部材が受け具の受け支持部内に進入したとき、滑り支持部材の上面、下面、及び左右側面が、確実に、受け支持部内の上壁、下壁、左右の側壁に確実に接触し、前扉の重量を支持すると共に、施錠装置と受け具の係合状態を、一層がたつきなく強固に保持することができる。
【0011】
本願の別の施錠装置の受け具は、ゲーム機の前扉の内側に施錠装置が固定され、該ゲーム機の本体枠内に受け具本体が固定され、該前扉の閉鎖施錠時に該施錠装置の係止部材が該受け具本体の係止ピンに係止されて施錠される施錠装置の受け具において、
該施錠装置の基枠体に、該本体枠側の受け具本体に向けて支持ローラが取り付けられ、該受け具本体には該支持ローラが内側に進入可能な受け支持部が設けられ、該受け支持部内には上壁、下壁、及び少なくとも一方の側の側壁が設けられて該支持ローラが該受け支持部内に進入可能に形成され、該前扉の閉鎖施錠時、該施錠装置の基枠体の支持ローラが該受け支持部内に進入し、該支持ローラの周面が、該受け支持部内の上壁、下壁に接触し、該支持ローラの一方の側面が上記一方の側壁に接触して支持されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ゲーム機の本体枠に対し前扉を閉鎖して施錠した際、施錠装置の基枠体の支持ローラが受け具の受け支持部内に進入し、支持ローラの周面が、受け支持部内の上壁、下壁に接触し、支持ローラの一方の側面が受け支持部内の一方の側壁に接触して支持されるので、前扉の重量を支持すると共に、施錠装置の係止部材と受け具の係合状態を、がたつきなく強固に保持することができる。また、不正な外力がゲーム機の前扉の上下方向或いは左右方向に加えられた場合、支持ローラと受け支持部間でその外力を支持し、前扉の位置ずれを防止することができる。
【0013】
さらに、上記受け具本体には、平面を略L字状に曲折した曲折保持部が取付部に設けられ、上記係止ピンの両端が、該取付部と、該取付部に平行な該曲折保持部の先端曲げ部との間で固定支持され、施錠時、施錠装置の係止部材が受け具の係止ピンに係止されたとき、曲折保持部によって係止部材が覆われた状態とすることができる。
【0014】
これによれば、受け具の係止ピンの基部と先端の両端が、受け具の取付部と曲折保持部との間で強固に保持されるので、施錠時、係止部材が係止ピンに係止されたとき、がたつきなく強固に係止状態を保持することができる。また、係止部材とそこに係止される係止ピンが曲折保持部により覆われてガードされることとなるので、不正解錠を目的としてゲーム機内に不正器具などが差し込まれたとき、ラッチ部材や係止ピンに対し不正アクセスする行為を阻止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の施錠装置の受け具によれば、ゲーム機の前扉を閉鎖し施錠したとき、前扉の重量を支持すると共に、施錠装置と受け具をがたつきなく強固に係合させ、前扉を定位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す施錠装置の受け具の正面図である。
【図2】同受け具の平面図である。
【図3】同受け具の左側面図である。
【図4】斜め前方から見た同受け具の斜視図である。
【図5】斜め後方から見た同受け具の斜視図である。
【図6】施錠装置本体の左前方から見た斜視図である。
【図7】同施錠装置本体の右前方から見た斜視図である。
【図8】同施錠装置本体の後方から見た斜視図である。
【図9】同施錠装置本体の平面図である。
【図10】(a)(b)はラッチ部材の構造を示す部分拡大斜視図である。
【図11】カバー23bを外した状態の施錠装置本体の後方からの斜視図である。
【図12】施錠装置本体と受け具本体との位置関係を示す斜視図である。
【図13】使用状態を示す施錠装置本体と受け具本体の左側面図である。
【図14】使用状態における施錠時の施錠装置本体と受け具本体の平面図である。
【図15】施錠時の施錠装置本体と受け具本体の左側面図である。
【図16】施錠時の施錠装置本体と受け具本体の背面から見た斜視図である。
【図17】他の実施形態の施錠装置本体と受け具本体の斜視図である。
【図18】同施錠時の施錠装置本体と受け具本体の拡大平面図である。
【図19】同施錠時の施錠装置本体と受け具本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はゲーム機の施錠装置に使用する受け具の正面図を示し、図2はその平面図を、図3はその左側面図を、図4,5はその斜視図を示している。なお、図において、矢印Fは施錠装置の受け具の前方を示し、矢印Rはその後方を示し、矢印RIはその右側を、矢印Lはその左側を示している。
【0018】
受け具の受け具本体1は、図4、5に示すように、被取付部位に固定される取付部2が縦長の帯状金属板によって形成され、取付部2の上部と下部に係止部3,4が設けられて構成される。取付部2には複数の固定孔が穿設され、その取付部2の右側面をゲーム機のキャビネット(本体枠)の内側に当てて固定する構造となっている。
【0019】
取付部2の前端部には平面視で浅くL字状に曲折されたカバー縁部2aが縦方向全体に沿って設けられる。カバー縁部2aが断面L字状につまり取付部2の縁部に段差部を付けるように形成されるため、取付部2の長手方向の曲げ強度を補強している。また、このカバー縁部2aは、受け具がゲーム機のキャビネット内に固定された状態で、カバー縁部2aが前方に突出し、キャビネットの前扉を閉じたとき、カバー縁部2aが前方に突出して前扉内に進入し、キャビネットと前扉の隙間を塞ぐことができるようになっている。
【0020】
受け具本体1の取付部2の上部と下部に設けた係止部3,4は、曲折保持部5,6内に係止ピン7,8を水平に配置し、その両端部を固定して形成されている。上部の係止部3の曲折保持部5は、取付部2の金属板の背面部の一部を、左側に切り起し、平面をL字状とするように、切り起し部を直角に曲折して形成されている。また、下部の係止部4の曲折保持部6も、同様に、取付部2の金属板の背面部の一部を、左側に切り起し、平面をL字状とするように、それを直角に曲折して形成される。
【0021】
上部の係止部3には、係止ピン7が、曲折保持部5と取付部2との間に、水平横方向に掛け渡す形態で固定されている。すなわち、1本の係止ピン7が曲折保持部5と取付部2により包囲する空間内に、正面視で水平横方向に配置され、係止ピン7の一端は取付部2に固定され、係止ピン7の他端は、取付部2に平行な曲折保持部5の先端曲げ部5aに固定される。
【0022】
同様に、下部の係止部4には、係止ピン8が、曲折保持部6と取付部2との間に水平横方向に掛け渡すように、つまり、1本の係止ピン8が曲折保持部6と取付部2により包囲する空間内に水平横方向に配置され、係止ピン8の両端が、取付部2と、取付部2に平行な曲折保持部6の先端曲げ部6aとに、各々固定されている。
【0023】
具体的には、受け具の製造時、受け具本体1の取付部2の上部位置及びその位置と対向する曲折保持部5の定位置に、予め取付孔が穿設され、取付部2の取付孔に係止ピン7の末端を嵌入し、曲折保持部5の先端曲げ部5aの取付孔に係止ピン7の先端を嵌入した状態で、係止ピン7の先端をプレス加工によりかしめて、係止ピン7が受け具本体1の取付部2と曲折保持部5間に水平に掛け渡す形態で固定される。
【0024】
受け具本体1の下部の係止部4においても、同様に、取付部2の下部位置及びその位置と対向する曲折保持部6の定位置に、予め取付孔が穿設され、取付部2の取付孔に係止ピン8の末端を嵌入し、曲折保持部6の先端曲げ部6aの取付孔に係止ピン8の先端を嵌入した状態で、係止ピン8の先端をプレス加工によりかしめて、係止ピン8が受け具本体1の取付部2と曲折保持部5間に水平に掛け渡す形態で固定される。
【0025】
係止ピン7,8としては、例えば頭付リベットを使用することができ、この場合、そのリベットを取付部2の取付孔にその右側から挿入し、その頭部を取付部2の右側面に残した状態で、リベットの先端部を曲折保持部5,6の先端曲げ部5a,6aに設けた取付孔に嵌入し、その左側に突き出したリベットの先端をかしめて係止ピン7,8が固定される。なお、係止ピンとして、頭付リベットに代えて棒状ピンを用いる場合、ピンの先端と末端の両方をかしめて係止ピンを固定することもできる。
【0026】
このように、受け具の製造時、受け具本体1に対し係止ピン7,8を、プレス加工のみの簡単で少ない工程により、強固に固定することができ、係止ピンを受け具本体に溶接する溶接工程を使用する場合に比べ、低コストで製造することができる。
【0027】
さらに、図1,3に示すように、取付部2の上部に、受け支持部9が取り付けられ、ゲーム機の前扉を閉じる際、施錠装置本体20の合成樹脂製の滑り支持部材30がこの受け支持部9内に進入し、施錠装置つまり前扉のがたつきを上下左右から支持し、前扉の位置ずれを防止するようになっている。
【0028】
つまり、受け支持部9は、施錠装置本体20の滑り支持部材30の上面、下面、及び左右の側面を包囲可能に形成され、前扉の閉鎖施錠時、施錠装置本体20の滑り支持部材30が受け支持部9内に進入し、滑り支持部材30の上面31、下面32、及び左右の側面33,34が、受け支持部9内の上壁10、下壁11、及び左右の第1側壁12、第2側壁13に接触して支持される構造となっている。
【0029】
この受け支持部9は、図4などに示すように、正面視略コ字状に曲折した金属板を、受け具本体1の取付部2の左側面に固定し、その内側に、取付部2の一部金属板を延設した延設部が、図1,2に示す如く、先端部を弾性変形可能に内側に傾斜させて設けられ、この延設部が第2側壁13となって、滑り支持部材30の側面33を支持するようになっている。受け支持部9内の上壁10と下壁11は、図4等に示す如く、滑り支持部材30の進入方向に向かってその間が狭くなるように傾斜して形成されている。
【0030】
これにより、前扉を閉じた施錠時、滑り支持部材30が受け支持部9内に進入したとき、閉鎖時に確実に滑り支持部材30の上面と下面が上壁10と下壁11に接触し、滑り支持部材30の両側の側面が第1側壁12と第2側壁13に確実に接触して支持されるようになっている。
【0031】
次に、図6〜図11を参照して、上記受け具と共に使用されるゲーム機用施錠装置の施錠装置本体20について説明する。この施錠装置本体20は、図6,8等に示すように、上記受け具の係止部3,4に係止される、上記係止部材としてのラッチ部材21,22を、基枠体15の支持板17の上部と下部に回動可能に枢支し、ラッチ部材21,22のラッチ凹部21a、22a内に、受け具の係止部3,4の係止ピン7,8を嵌入し拘束して施錠する構造である。
【0032】
ラッチ部材21,22は、図10(a)(b)に示す如く、金属板により異形形状に形成されており、基枠体15の支持板17の一部に、支軸28により略90度の範囲内で回動可能に軸支される。また、ラッチ部材21,22の一部には溝状のラッチ凹部21aが形成され、前扉の閉鎖時、このラッチ凹部21aに係止ピン7,8を嵌入させ、その荷重によりラッチ部材21,22を回動させ、係止ピン7,8を拘束する構造である。ラッチ部材21,22と支持板17間には、ばね部材21cがかけられ、そのばね力により、ラッチ部材21,22はそのラッチ凹部21aを開放側に回動させるように付勢される。
【0033】
したがって、前扉を閉じて施錠する際、ラッチ部材21,22は図10(a)の時計方向にばね部材21cのばね力に抗して回動し施錠状態となる。なお、図6〜図10では、施錠装置本体20のラッチ部材21,22が施錠位置に回動した状態を示している。
【0034】
施錠装置本体20は、縦長の基枠体15を基体フレームとして形成される。基枠体15は、略コ字状断面を有した略チャンネル材状に形成され、その底板を取付板16とし、また、取付板16に対し直角に曲折された幅広の支持板17を有しており、取付板16には複数の取付孔が穿設される。取付板16の中間部下部寄りに、シリンダ錠19を取り付けるための挿入孔が形成され、シリンダ錠19は、図11に示すように、その挿入孔に背面側から挿入され、そのフランジ19aを取付板16の内側に当て、固定ねじで締付固定される。また、図11の如く、シリンダ錠19の錠軸の先端にカム部材18が固定され、カム部材18はシリンダ錠19の解錠操作により正面視時計方向に回動し、このとき、カム部材18が作動杆14の係合部14aと係合し、作動杆14を解錠側に上昇させるようになっている。
【0035】
施錠装置本体20の主要部つまりラッチ部材21,22を枢支した部分は、図5,7に示すように、薄く縦長のケース23内に収納されている。ケース23と支持板17には、ラッチ部材21,22に対応した背面箇所に、各々開口凹部24,25が形成され、施錠時、この開口凹部24,25内に上記受け具の係止ピン7,8が進入し、ラッチ部材21,22の回動によりそのラッチ凹部21a,22aに係止ピン7,8が係止されるようになっている。
【0036】
ラッチ部材21,22は、枢軸を軸に所定の角度範囲内で回動可能に枢支され、図10のように、解錠側に付勢するためのばね部材21cが設けられている。また、ラッチ部材21,22の一部には係合凹部21bが設けられ、前扉の閉鎖時に受け具の係止ピン7,8がラッチ凹部21aに進入し、ラッチ部材21,22が施錠位置まで回動したとき、その係合凹部21bが係止部26に係止されてラッチ部材21,22がロックされる構造となっている。
【0037】
なお、この実施形態では、上記係止部材として、ケース23内に配設されるラッチ部材21,22を使用しているが、施錠装置の支持板から背面側に突き出すように取り付ける構造の鉤部材を施錠装置の係止部材として使用することもできる。
【0038】
係止部26は、図10に示すように、ピン状に形成され、支持板17の上部に形成された長孔17aに係合して、上下に所定範囲で摺動可能に支持され、ピン状の係止部26は支持板17の内側に沿って配設された作動杆14の上部に連結されている。また、図示は省略されているが、下側のラッチ部材22についても係止部26が設けられ、同様に支持板17の下部に設けられた長孔に係合して、作動杆14の下部に連結される構造となっている。
【0039】
支持板17の内側に配設された作動杆14には、図示しないコイルばねが基枠体15との間にかけられ、作動杆14はそのばね力により常時下方に付勢される。これにより、作動杆14の上部と下部の係止部26が、上下のラッチ部材21,22の係合凹部21bと係合可能とされ、前扉を閉じて、施錠装置本体20の開口凹部24,25に、受け具本体1の係止部3,4が進入し、ラッチ部材21,22が、ばね部材21cに付勢力に抗して、図10(a)の時計方向に(押し下げるように)回動したとき、僅かに作動杆14が下降して、ピン状の係止部26がラッチ部材21,22の係合凹部21bに係合し、ラッチ部材21,22を施錠位置でロックするようになっている。
【0040】
一方、図11に示すように、作動杆14の中間部におけるカム部材18と対向する位置には、係合部14aが設けられ、カム部材18をシリンダ錠19の解錠操作により正面視時計方向に回動させたとき、カム部材18が作動杆14の係合部14aと係合して、作動杆14を上昇させる。このとき、ピン状の係止部26がラッチ部材21,22の係合凹部21bから外れ、ラッチ部材21,22はばね部材21cのばね力により、解錠方向に回動して、解錠される構造となっている。
【0041】
さらに、図6等に示すように、基枠体15の支持板17には、合成樹脂製の滑り支持部材30が上記受け支持部9と対向する位置に、背面に向けて突設され、その位置が固定ねじ30aと長孔により調整可能に取り付けられている。なお、滑り支持部材30は、セラミック製、金属製とすることもできる。滑り支持部材30には、上面31、下面32、両側の側面33,34が形成され、上面31と下面32間は元部から先端にいくほど狭くなるように傾斜して形成され、同様に、両側の側面33と側面34間も元部から先端にいくほど狭くなるように傾斜して形成される。つまり、滑り支持部材30は全体的に先細り形状となるように、上面31、下面32、両側の側面33,34が傾斜して形成されている。
【0042】
これにより、前扉が閉じられる際、滑り支持部材30が受け具本体1側の受け支持部9内に進入し、このとき、確実に滑り支持部材30の上面31と下面32が受け支持部9の上壁10と下壁11に接触し、滑り支持部材30の両側の側面33,34が受け支持部9の第1側壁12と第2側壁13に確実に接触して支持されるようになっている。
【0043】
上記構成の施錠装置本体20は、図13に示すように、ゲーム機の前扉36の内側に取付板16を介して縦に固定され、キャビネット37内の対向位置の側壁に受け具本体1が縦に取り付けられる。施錠装置本体20のシリンダ錠19の鍵口は、前扉36の前面に露出する。
【0044】
前扉36をキャビネット37に対し閉じると、図12,13のように、施錠装置本体20の滑り支持部材30が、先ず、受け具本体1の受け支持部9内に進入する。このとき、滑り支持部材30の上面31と下面32が受け支持部9の上壁10と下壁11に接触し、滑り支持部材30の両側の側面33,34が受け支持部9の第1側壁12と第2側壁13に接触しながら進入し、滑り支持部材30及び受け支持部9内が全体的に先細り形状となっているので、施錠装置本体20は前扉36と共に施錠可能位置まで容易に到達する。
【0045】
つまり、前扉36がその自重により多少その位置が下げっている場合であっても、或いはヒンジ等の変形により前扉36の位置に多少のずれがあっても、滑り支持部材30が受け具本体1の受け支持部9内に進入することにより、その上面31と下面32が受け支持部9の上壁10と下壁11に接触し、滑り支持部材30の両側の側面33,34が受け支持部9の第1側壁12と第2側壁13に接触しながら位置修正され、正確な施錠位置に到達する。特に、図14等に示すように、受け支持部9の第2側壁13は弾性変形可能に内側に傾斜して配設されているため、前扉36または施錠装置本体20に左右方法の位置ずれがある場合でも、容易に位置修正されて、施錠装置本体20を受け具本体1に係合させることができる。
【0046】
そして、施錠装置本体20が受け具本体1に対し、施錠位置まで到達すると、受け具の係止部3,4の係止ピン7,8が、施錠装置本体20の上部と下部の開口凹部24,25からラッチ部材21,22のラッチ凹部21a,22a内に進入する。このとき、受け具本体1の係止ピン7,8がラッチ部材21,22を押し込むように作用して、ラッチ部材21,22が図13の反時計方向に回動する。このとき、ラッチ部材21,22が施錠回動端まで回動すると、図15のように、係止部26,27がラッチ部材21,22の一部に設けた係合凹部21b、22bに係止される。これにより、ラッチ部材21,22がロックされ、そのラッチ凹部21a、22aに係止ピン7,8が拘束され、施錠状態となる。
【0047】
ラッチ部材21,22が受け具の係止ピン7,8に係止されてロックされたとき、係止ピン7,8は、その基部と先端の両端部が、取付部2と平面をL字状とする曲折保持部5,6とに各々固定されるので、強固に係止ピン7,8とラッチ部材21,22がロック状態に保持される。また、このようなロック状態で、キャビネット37に対し前扉36を無理にこじ開けようとして、ラッチ部材21,22を介し係止ピン7,8に大きな荷重が印加された場合でも、係止ピン7,8及びラッチ部材21,22は変形せず、施錠状態を強固に保持することができる。
【0048】
さらに、施錠状態においては、図15に示すように、ラッチ部材21,22のラッチ凹部21a,22aとそこに係止される係止ピン7,8が曲折保持部5,6により覆われてガードされることとなるので、不正解錠を目的としてゲーム機内に不正器具などが差し込まれたとき、ラッチ部材21,22や係止ピン7,8に対し不正アクセスする行為を阻止することができる。
【0049】
このように、ゲーム機のキャビネット37に対し前扉36を閉鎖して施錠した際、施錠装置の基枠体15の滑り支持部材30が受け具本体1の受け支持部9内に進入し、滑り支持部材30の上面31、下面32、及び左右の側面33,34が、受け支持部9内の上壁10、下壁11、及び左右の第1側壁12、第2側壁13に接触して支持される状態となるので、前扉36の重量を支持すると共に、施錠装置と受け具の係合状態を、がたつきなく強固に保持し、閉鎖時の前扉36を定位置に保持することができる。また、不正な外力がゲーム機の前扉36の上下方向或いは左右方向に加えられた場合でも、滑り支持部材30と受け支持部9間でその外力を支持し、前扉36の位置ずれを防止することができる。
【0050】
つまり、受け支持部9は、受け具本体1に、正面視略コ字状に曲折した金属板を固定すると共に、受け具本体1の取付部2の一部を延設して、第2側壁13を弾性変形可能にその先端を内側に傾斜させて形成され、受け支持部9の上壁10と下壁11が、滑り支持部材30の進入方向に向かってその間が狭くなるように傾斜して形成されるので、前扉36の閉鎖施錠時、施錠装置の基枠体15の滑り支持部材30が受け具の受け支持部9内に進入したとき、滑り支持部材30の上面31、下面32、及び左右の側面33、34が、確実に、受け支持部9内の上壁10、下壁11、左右の第1側壁12、第2側壁13に確実に接触し、前扉36の重量を支持すると共に、施錠装置と受け具の係合状態を、一層がたつきなく強固に保持することができる。
【0051】
図17〜図19は他の実施形態の施錠装置を示している。この実施形態の施錠装置は、上記滑り支持部材30に代えて、支持ローラ50が施錠装置本体20の基枠体15に取り付けられている。施錠装置の主要部分については、上記施錠装置の構成と同じであり、同一部分については、上記と同じ符号を図に付して、その説明を省略する。
【0052】
図17等に示すように、施錠装置の基枠体15に支持ローラ50が、キャビネット(本体枠)37側の受け具本体1に向けて、取り付けられる。支持ローラ50は、基枠体15の支持板17の一部に、軸支部53が背面側に突出して設けられ、その軸支部53に支持ローラ50が水平横方向の支軸54を介して回転自在に軸支して構成される。つまり、支持ローラ50はその周面51が上下及び前後を向くように、水平の軸により鉛直姿勢で軸支され、その側面52が後述の受け支持部39の側壁42に接触可能に配設される。
【0053】
一方、受け具本体1には、支持ローラ50が内側に進入可能な受け支持部39が設けられる。受け支持部39は、金属板を略コ字状に曲折した部材を受け具本体1の取付部2に固定して形成され、受け支持部39内には上壁40、下壁41、及び側壁42が設けられ、支持ローラ50が受け支持部39内に進入可能な形状に形成されている。図18に示すように、側壁42は背面に向かって内側が狭くなるように傾斜して形成され、また、上壁40と下壁41間は背面に向かうほどその間の距離が狭くなるように、上壁40の背面部は少し内側に傾斜して形成される。なお、受け支持部39の側壁は正面視左側のみに設けられているが、支持ローラ50と接触可能な側壁を、正面視右側にも設け、両側に側壁を設けることもできる。
【0054】
施錠装置本体20は、上記と同様に図18に示す如く、ゲーム機の前扉36の内側に取付板16を介して縦に固定され、キャビネット37内の対向位置の側壁に受け具本体1が縦に取り付けられる。
【0055】
前扉36がキャビネット37に対し閉鎖され、施錠装置本体20と受け具本体1の係合する際、施錠装置の基枠体15の支持ローラ50は、図18のように、受け支持部39内に進入し、支持ローラ50の周面51が、受け支持部39内の上壁40、下壁41に接触し、支持ローラ50の側面52が側壁42に接触して支持される状態となる。
【0056】
すなわち、閉鎖時、支持ローラ50は、先ず、下壁41に乗り上げて前扉36の自重を支持しながら転動し、受け支持部39内を奥に進入し、続いて図18のように、支持ローラ50の側面52が側壁42に接触した状態で、施錠装置本体20のラッチ部材21,22が係止ピン7,8に係止され、施錠状態となる。
【0057】
施錠状態では、図18等に示す如く、支持ローラ50の一方の側面52が側壁42に接触するのみであるが、受け支持部39内に、側壁42の対向側に他方の側壁を設け、支持ローラ50の他方の側面をその側壁に接触させるようにすることもできる。然るに、閉鎖施錠時、施錠装置本体20の支持板17は正面視で受け具本体1の取付部2の左側に係合し或いは係合可能な状態となるので、支持ローラ50の一方の側面52が側壁42に接触して支持されるのみで、前扉36の施錠装置本体20はがたつきなく施錠され、左右の位置ずれを防止することができる。
【0058】
このように、キャビネット37に対し前扉36を閉鎖して施錠した際、施錠装置の基枠体15の支持ローラ50が受け具本体1の受け支持部39内に進入し、支持ローラ50の周面51が、受け支持部39内の上壁40、下壁41に接触し、支持ローラ50の側面52が受け支持部39の側壁42に接触して支持されるので、前扉36の重量を支持すると共に、施錠装置本体20と受け具本体1の係合状態を、がたつきなく強固に保持することができる。また、不正な外力がゲーム機の前扉36の上下方向或いは左右方向に加えられた場合、支持ローラ50と受け支持部39の係合によりその間で外力を支持し、前扉36の位置ずれを防止することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 受け具本体
2 取付部
2a カバー縁部
3 係止部
4 係止部
5 曲折保持部
5a 先端曲げ部
6 曲折保持部
6a 先端曲げ部
7 係止ピン
8 係止ピン
9 受け支持部
10 上壁
11 下壁
12 第1側壁
13 第2側壁
14 作動杆
14a 係合部
15 基枠体
16 取付板
17 支持板
17a 長孔
18 カム部材
19 シリンダ錠
19a フランジ
20 施錠装置本体
21 ラッチ部材
21a ラッチ凹部
21b 係合凹部
21c ばね部材
22 ラッチ部材
23 ケース
23b カバー
24 開口凹部
26 係止部
28 支軸
30 滑り支持部材
31 上面
32 下面
33 側面
34 側面
36 前扉
37 キャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機の前扉の内側に施錠装置が固定され、該ゲーム機の本体枠内に受け具本体が固定され、該前扉の閉鎖施錠時に該施錠装置の係止部材が該受け具本体の係止ピンに係止されて施錠される施錠装置の受け具において、
該施錠装置の基枠体に、該本体枠側の受け具本体に向けて滑り支持部材が取り付けられ、該滑り支持部材は上面、下面、及び左右の側面を有し、該受け具本体は、該滑り支持部材の上面、下面、及び左右の側面を包囲可能に形成され、
該前扉の閉鎖施錠時、該施錠装置の基枠体の滑り支持部材が該受け具の受け支持部内に進入し、該滑り支持部材の上面、下面、及び左右側面が、該受け支持部内の上壁、下壁、及び左右の側壁に接触して支持されることを特徴とする施錠装置の受け具。
【請求項2】
前記受け支持部は、前記受け具本体に、正面視略コ字状に曲折した金属板を固定し、前記一方の側壁を、弾性変形可能に先端部を内側に傾斜させて形成され、該受け支持部の該上壁と下壁は、前記滑り支持部材の進入方向に向かってその間が狭くなるように傾斜して形成されたことを特徴とする請求項1記載の施錠装置の受け具。
【請求項3】
ゲーム機の前扉の内側に施錠装置が固定され、該ゲーム機の本体枠内に受け具本体が固定され、該前扉の閉鎖施錠時に該施錠装置の係止部材が該受け具本体の係止ピンに係止されて施錠される施錠装置の受け具において、
該施錠装置の基枠体に、該本体枠側の受け具本体に向けて支持ローラが取り付けられ、該受け具本体には該支持ローラが内側に進入可能な受け支持部が設けられ、該受け支持部は、上壁、下壁、及び少なくとも一方の側の側壁を有して、該支持ローラが内側に進入可能に形成され、
該前扉の閉鎖施錠時、該施錠装置の基枠体の支持ローラが該受け支持部内に進入し、該支持ローラの周面が該受け支持部内の上壁、下壁に接触し、該支持ローラの一方の側面が上記一方の側壁に接触して支持されることを特徴とする施錠装置の受け具。
【請求項4】
前記受け具本体には、平面を略L字状に曲折した曲折保持部が取付部に設けられ、前記係止ピンの両端が、該取付部と、該取付部に平行な該曲折保持部の先端曲げ部との間で固定支持され、施錠時、施錠装置の係止部材が受け具の係止ピンに係止されたとき、曲折保持部によって該係止部材が覆われた状態となることを特徴とする請求項1または3記載の施錠装置の受け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−56052(P2013−56052A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196488(P2011−196488)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591016138)中東産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】