説明

施錠装置

本発明は、自動車の施錠装置に関し、当該施錠装置は、以下の:ロックシリンダのシリンダハウジング内に回転できるように担持されるシリンダコアを備える前記ロックシリンダとキー(10)と;シリンダコアを備え当該キー(10)が挿入されうるチャネルと;当該キー(10)をチャネルに挿入すると、ロックシリンダのシリンダ軸に対して半径方向へスライドできるように担持されるスプリング荷重タンブラー要素と;当該キー(10)が挿入されるとタンブラー要素に作用する少なくとも2つの符号化ストリップ(51a、51b)を備える、当該キー(10)の複数の外表面(11a、11b、12a、12b)と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の施錠装置に関し、当該施錠装置には、以下の:キーとロックシリンダがあり、ここで、当該ロックシリンダは当該ロックシリンダのシリンダハウジング内に回転できるように取り付けられるシリンダコアである;当該シリンダコアを備え当該キーが挿入されうるチャネル;及び、当該キーが当該チャネルに挿入されると、当該ロックシリンダのシリンダ軸に関して半径方向へスライドできるように取り付けられるスプリング荷重ロックキング要素;がある。
【背景技術】
【0002】
無断で自動車を盗もうとする人が、強行侵入用具、例えば、ロッキング要素のいわゆる「ピッキング」という手段を用いて、シリンダコアの横断面に沿ってキーチャネル内にロッキング要素を順序付けることにより、シリンダコアを回転することができる不利があることが示されてきた。
【0003】
場合によっては、当該施錠装置は、構成空間がより狭いことが望まれるが、同時に、施錠装置への強行侵入に対する安全性は高レベルでなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該問題に対処するため、請求項1の技術特徴が全て備わった施錠装置が提案される。考えられる実施の形態は当該従属請求項で提案される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車の施錠装置には、以下の:キーとロックシリンダであって、前記ロックシリンダには、前記ロックシリンダのシリンダハウジングに回転できるように設けられるシリンダコアがある;前記シリンダコアを備えると共に前記キーが挿入されうるチャネル;前記キーが前記チャネルに挿入されると前記シリンダの軸に関して半径方向へスライドできるように取り付けられるスプリング荷重ロッキング要素;及び、前記キーが挿入されると前記ロッキング要素に作用する少なくとも2つの符号化トラックがある、前記キーに含まれる複数の外表面;がある。本発明の施錠装置の本質的な利点の1つは、前記少なくとも2つの符号化トラックに起因し、それがキーの外表面の一面に含まれることで、小型のロックシリンダを作製できると共にコードを多数組合せうることである。
【0006】
同様に、当該外表面は、2つの狭面、特に、第1狭面と第2狭面、2つの広面、特に、第1広面と第2広面がありうる。この場合、当該キーは、各々が互いに反対側にある対となる狭面と対となる広面がある4面平面プロファイルであることが考えられうる。例えば、矩形のプロファイルが考えられうる。同様に、当該プロファイルは、狭面と広面の表面が同じ大きさであるように構成されうる正方形として構成されうる。
【0007】
本発明の1つの可能な態様では、キーは、可逆キーとして設計され、それにより、当該キーは、効果的にチャネルに挿入されうる少なくとも2つの位置をとりうることができる。これは、当該キーがその符号化トラックに関して、ユーザがそのキーを異なる方向へ向ける、つまり、異なる位置のキーをキーチャネルへ機能的に挿入できるプロファイリングがあることを意味する。有利なことには、当該キーは、キーを効果的にロッキングシリンダ内に挿入するために互いに180°回転して配向される2つの異なる位置があってよい。可逆キーが用いられる場合、コードの組合せの数が減り、ユーザの利便性が同時に向上することが示された。
【0008】
この場合、本発明の符号化トラックは符号化として機能し、符号化トラックはロックシリンダのロッキング要素に対応するプロファイリングがあるように構成される。これは、キーが挿入されるとシリンダハウジングの内側でシリンダコアを移動させるために、対応する「正しい」コードトラック及び/又は符号化トラックがあるキーだけが、ロッキング要素がキーチャネルから外へ対応してスライドすることを意味する。
【0009】
1つの可能な態様では、キーの符号化トラックは2つしかなくてもよく、第1狭面は第1符号化トラックがあるように設計され、かつ、第2狭面は第2符号化トラックがあるように設計される。同様に、第1広面は第1符号化トラックがあるように設計され、かつ、第2広面は第2符号化トラックがあるように設計されることが考えられうる。あるいは、第1狭面は第1符号化トラックがあるように設計され、かつ、1つの広面は第2符号化トラックがあるように設計されることが考えられうる。本発明の1つの可能な態様では、符号化トラックは、互いに異なる幾何学形状があるように設計されるが、この場合のキーは可逆キーではない。このように、多数のロックの組合せが達成できる。このように、シリンダのキーチャネルに対する開口を小さくすることに加え、キーの横断面も軽減することができる。キーの挿入開口が小さくなると、シリンダコアを操作する目的で故意に高い力をシリンダコアに加えられえないことが有利であると示された。さらに、キーの挿入開口が小さくなると、その構成のロックシリンダに対するシール効果が改良される。さらに、ロックシリンダの構造長が同じで多数のロック要素が可能であることが有利であると示された。
【0010】
例えば、8〜20個のロッキング要素が用いられうる。ロッキング要素が多数であると、とりわけトルクをより大きくできる。他の利点は、不正「ピッキング」を防ぎやすくすることである。
【0011】
2つの符号化トラックがあるキーの可能な態様では、2つの外表面には符号化トラックがない。これは、1つの広面と1つの狭面が、これらの面に符号化トラックを配置せずに固体として構成されることを意味する。あるいは、広面両面又は狭面両面が符号化トラックを備えずに構成されうる。実用化のため、キーは固体物であり、符号化トラックは固体物に圧延される。符号化トラックがない狭面を含む手段でキーの高さをさらに低くできる。結果としてキーチャネルの大きさが低減されるため、ロックシリンダは、強行侵入に対してより安全である。その理由は、大きさが可能な限り各々小さくなり、強行侵入用具も同様にキーチャネルへ挿入されるためにできるだけより小さくなければならず、それにより加えられうる最大の力も軽減されるからである。
【0012】
同様に、キーの外表面は3つの符号化トラックがあることが考えられる。この場合、例えば、両広面は、各々1つの符号化トラックがあるように設計され、狭面は片面でのみ対応する符号化トラックがありうる。あるいは、同様に、両狭面が各々1つの符号化トラックがあるように設計されることが合理的であり、1つの狭面に1つのみの符号化トラックがある。それに対向する狭面は、同時に、符号化トラックがないように設計される。その3つの符号化トラックのため、同時に本発明の施錠装置の符号の組合せの数を実質的に増やせる。同時に、キーの横断面、キーの機能長及びロッキングシリンダの構造長は軽減されうる。従って、製造コストの低下に加え、同時にロッキングシリンダの起こりうる操作に対する安全性も高められうる。
【0013】
本発明により実施される他の可能な手段は、キーの外表面が4つの符号化トラックをもちうることである。この態様では、キーの各外表面には1つの符号化トラックがある。4つの符号化トラックでは、可能なコードの組合せ数がさらに増え、それにより、ロックシリンダの構造長、キーの横断面、及びキーの機能長を顕著に軽減できる。
【0014】
本発明の1つの可能な態様は、符号化トラックが、溝及び/又は突条として設計されうることである。この場合、溝や突条は、特に、実質的に均一であるトラック幅がありうる。この場合の溝はキーの外表面上の凹所として設計され、関連するロッキング要素は、キーが挿入されると凹所と係合する。これとは対照的に、突条はキーの外表面上の突起のように設計され、各ロッキング要素は、キーが挿入されると突起と係合する。2つの符号化トラック、3つの符号化トラック又は4つの符号化トラックがあるキーは、溝として設計された符号化トラック、突条として設計された符号化トラック又は溝及び突条として設計された符号化トラックのみが用いられうるように設計されうる。
【0015】
符号化トラックは、関連するロッキング要素に作用する少なくとも1つのガイド表面がある点で有利であり、それにより、特に、第1符号化トラックが第1ロッキング要素に作用しかつ、第2符号化トラックが第2ロッキング要素に作用し、特に、第1ロッキング要素のスライディングが、シリンダ軸に関して第1半径方向に起こり、第2ロッキング要素のスライディングが第1半径方向に対して垂直である、シリンダ軸に関して第2半径方向に起こる。
【0016】
他の態様では、第1ロッキング要素と第2ロッキング要素はシリンダコア内に交互に配置されうる。このように、外部からの起こりうる操作に対する安全性が高まる。それは、不正な方法でロッキング要素を順序付けて、シリンダコアを回転できるように、第1ロッキング要素が操作用具により第1方向へ移動されなければならず、第2ロッキング要素が第2方向へ移動されなければならないからである。
【0017】
本発明の他の利点として、第1ロッキング要素が、各々が異なる方向へスプリング荷重が加えられる複数の個別のロッキング要素を備えうる点である。さらに、第2ロッキング要素は同様に、各々が異なる方向へスプリング荷重が加えられる複数の個別のロッキング要素を備えうる。例えば、スプリングは各個別のロッキング要素に作用する。この場合、第1ロッキング要素は、2つの広面の一方の少なくとも1つの符号化トラックと連動する。第2ロッキング要素は、狭面の1つの少なくとも1つの符号化トラックと共に作用しうる。強行侵入に対する安全性をさらに高めるため、この点で、第1ロッキング要素の個別のロッキング要素へのスプリング荷重の方向は、個別のロッキング要素の間で異なるようにできる。そのように、操作は、例えば、操作用具を用いて、第1ロッキング要素の第1の個別のロッキング要素を定義された方向へ移動しなければならず、第1ロッキング要素の続く2つの個々のロッキング要素が、例えば、反対の方向へ順序付けられなければならず、その結果、その方向へ移動する。異なる方向へ加えられるスプリング荷重は、もちろん、第2ロッキング要素に用いられる。そのように、キーチャネルに対する開口を小さくすると同時に、操作用具の使用に対する抵抗を高めることができる。
【0018】
本発明の1つの可能な態様では、少なくとも1つの狭面は符号化トラックとして突条があり、かつ、少なくとも1つの広面は符号化トラックとして溝がある。
【0019】
本発明を改良する1つの手段としては、キーは、狭面及び/又は広面に含まれ,かつ、特にキーの可逆機能を無効とする少なくとも1つの副符号化トラックがあることである。例えば、副符号化トラックは、方向を変えずに実現されるキーの外表面の1つに延出できる。これは、副符号化トラックが、例えば、シリンダ軸に平行に延出することを意味する。副符号化トラックの横断面は、異なる幾何学形状でありうる。例えば、副符号化トラックは、丸い、矩形又は楕円の幾何学形状を取りうる溝として設計されうる。キーの副符号化トラックの目的は、例えば、そのような副符号化トラックがあるように設計される主キーがあるキーシステムが用いられうることである。他の二次キーは、キーの外表面に同じ符号化トラックがありうるが、それにもかかわらず、この二次キーが限られた範囲のユーザに有効であるに過ぎず、かつ、予め指定されたロックシリンダへ挿入されるだけであるよう、他の二次キーは当該副符号化トラックを含まずに設計される。
【0020】
本発明の他の特徴と利点並びに技術的特徴は、特許請求の範囲、以下の記載及び図面に示される。以下の図面では、本発明の施錠装置が複数の態様で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の施錠装置のキーを示し、そのキーには2つの符号化トラックがある。
【図2】2つの符号化トラックと1つの副符号化トラックがある他のキーを示す。
【図3a】2つの符号化トラックがあるキーの他の実施の形態を示す。
【図3b】2つの符号化トラックがあるキーの他の実施の形態を示す。
【図4】3つの符号化トラックがある、本発明のキーを示す。
【図5】3つの符号化トラックがある、キーの他の態様を示す。
【図6】3つの符号化トラックがある、本発明の他のキーを示す。
【図7】4つの符号化トラックがある、本発明の他のキーを示す。
【図8】3つの符号化トラックと1つの副符号化トラックがある、本発明のキーを示す。
【図9】3つの符号化トラックと1つの副符号化トラックがある、本発明の他のキーを示す。
【図10】本発明のロックシリンダのスプリング荷重ロッキング要素の図を示す。
【図11】図10のロッキング要素の他の図を示す。
【図12】本発明のロックシリンダの概略図を示す。
【図13】図5に示されるキーの断面図を示す。
【図14】図3に示されるキーの断面図を示す。
【図15】図7に示されるキーの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面に関する全ての態様は、自動車の施錠装置を示し、この施錠装置には共に用いられるキー10と車両のドアに配置されるロックシリンダ1がある。ロックシリンダ1は、明確には図示していないロックシリンダハウジング内で用いられ、シリンダコア2が前記ロックシリンダハウジングの内側に回転できるように取り付けられている。シリンダコア2には多数のスプリング荷重ロッキング要素30と40がある。さらに、シリンダコア2は、キー10が挿入されうるキーチャネル3があるように設計される。
【0023】
図10及び11に示されるように、図12に示される本発明のロックシリンダ1は、複数のロッキング要素30と40がある。この場合、ロッキング要素30と40は第1ロッキング要素30と第2ロッキング要素40に細分化される。第1ロッキング要素30は複数の個別のロッキング要素31がある。第2ロッキング要素40は同様に複数の個別のロッキング要素41がある。個別のロッキング要素31と個別のロッキング要素41は、シリンダ軸4の方向へ交互に配置される。さらに、個別のロッキング要素31には各々窪み及び/又は凹所31aがある。対照的に、個別のロッキング要素41には各々突起41aがある。キー10がチャネル3の内側に挿入されない場合、ロッキング要素30と40は各々凹所31aと突起41aと共にチャネル3の中に突出し、かつ、同時にシリンダハウジングの内側で図12に示されるシリンダコア2の回転を阻止する。この場合、ロッキング要素30と40は平板ロッキング要素である。これらのロッキング要素30と40は、個別のロッキング要素31と41がもはやそれらの開口5からシリンダコア2のシェルを越えて突出せず、従って、シリンダコア2がシリンダハウジング内で回転できるように適切な「正しい」キー10が導入されると、移動される。次に、挿入されたキー10の回転運動によって、ユーザは、キー10の回転方向により、本発明の施錠装置で自動車の起動装置をロック解除及び/又はロックできる。同様に、スイッチはキー10の回転で起動され、前記スイッチは、自動車の電子コンポーネントに対する始動、電圧等を起動する及び/又は起動停止する。
【0024】
全ての記載された態様では、キー10は外表面11a、11b、12a及び12bがあり、これらはキー10がチャネル3に挿入されると、ロッキング要素30と40、特に、個別のロッキング要素31と41の凹所31aと突起41a、に作用する少なくとも2つの符号化トラック50で構成される。「正しい」キー10がチャネル3の内側に挿入されると、対応して、ロッキング要素30と40は、シリンダコア2が回転運動できるように、符号化トラック50を介してシリンダコア2に対して正しい方向へ配向されうる。
【0025】
1つの可能な態様では、キー10には2つの符号化トラック51a及び51bがある。符号化トラック51aと51bは各々キー10の1つの狭面11aと11bに設けられる。対照的に、広面12aと12bには符号化がない。
【0026】
キー10の他の態様が図2に示され、かつ、同様に図1のように、狭面11aと11b上に2つの符号化トラック51aと51bがある。さらに、第1広面12aには副符号化トラック60がある。副符号化トラック60は方向が変化せずに直線状に延出する。副符号化トラック60に比べて、図1と図2の符号化トラック51aと51bには異なる符号化ポイントがある。これらの符号化ポイント51aと51bは、個別のトポグラフィーによって決定される。符号化トラック51aは、符号化トラック51bと異なる幾何学形状があるように構成されることが考えられうる。その場合、キー10は可逆キーではない。符号化トラック51aが符号化トラック51bに対して対称的である場合、それにもかかわらず、図1のキー10は、可逆キーを構成する。
【0027】
第1広面12aにしか配置されない副トラック60のため、このキー10は同様に可逆キーを構成しない。
【0028】
図3a及び3bは、2つの符号化トラック51aと52bがあるキー10の他の態様の変形を示す。この場合、キー10の第1狭面11aには符号化トラック51aがあり、かつ、第1広面12aには他の符号化トラック52aがある。図1〜3の狭面11a上の符号化トラック51aに対比して、符号化トラックは突起状突条として設計され、第1広面12aの符号化トラック52aは溝状窪みとして設計される。図3aと3bに示されるキー10は可逆キーを構成しない。
【0029】
図4は3つの符号化トラック51a、51b及び52aがあるキー10を示す。2つの符号化トラック51aと51bは各々狭面11aと11bに含まれる。1つの符号化トラック52aは広面12aに含まれる。反対側の広面12bには符号化トラックがない。広面12aの凹所60は、他の態様の変形例に含まれ、この凹所60は副符号化要素として作用しうる。
【0030】
また、図5は3つの符号化トラック51a、52a及び52bがあるキー10を示す。図4に示されるキー10との本質的な違いは、図5に示されるキー10が各々広面12aと12b上に符号化トラック52aと52bがあり、かつ、上側の第1狭面11aにだけ符号化トラック51aがあることである。下側の狭面11bには符号化トラックがない。図4及び5の両方のキー10は可逆キーとして用いられえない車両キーを構成する。
【0031】
キー10の他の態様の変形例が図6に示され、同様に、その外表面上に3つの符号化トラック51a、52a及び52bがある。図6に示されるキー10は実質的に図5に示されるキー10に対応し、かつ、符号化トラック52bだけが異なるように設計される。図6では、第2広面12bの符号化トラック52bは、第1狭面11aの符号化トラック51aのように、第2広面から突出する突起のように設計される。また、図6のこのキー10は可逆キーではない。
【0032】
図7は、4つの符号化トラック51a、51b、52a及び52bがあるキー10を示す。狭面11aと11bの符号化トラック51aと51bは溝形状の突起として設計される。対照的に、広面12aと12bの符号化トラック52aと52bは、溝形状の凹所及び/又は窪みとして設計される。図7に示されるキー10は可逆キーを構成する。その理由は、符号化トラック51aと51bは互いに対称的に配置されているからである。さらに、符号化トラック52aと52bは同様に互いに対称的に配置される。あるいは、全体的に異なる符号化トラックがある、図7に示されるキーの幾何学レイアウトとプロファイルは、可逆キーでない4つの符号化トラック51a、51b、52a及び52bがあるキーが提供されるように設計される構成が考え得る。
【0033】
図8は、3つの符号化トラック51a、51b及び52aがあるキー10を示す。さらに、第2広面12bはキー10のレイアウトに沿って直線状に延出する副符号化トラック60がある。他の副符号化トラック60により、コードの組合せの数が増加されうる。
【0034】
図9は、3つの符号化トラック51a、52a及び52bがあるキー10の他の態様の変形を示す。図8に示される態様に対比して、図9のキー10は第2狭面11b上に副符号化トラック60がある。この副符号化トラック60は同様に、キー10の伸張に沿って直線状に延出している。
【0035】
ロッキング要素30と40の配置は、図10と図11に概略的に示されている。個別のロッキング要素31はシリンダ軸4に沿って配置され、各個別のロッキング要素31は個別のロッキング要素41と交互になっている。スプリング力33は第1ロッキング要素30に作用し、個別のロッキング要素31の肩部34に作用する。第2スプリング力44は、第2の個別のロッキング要素41に作用し、かつ、本態様でスプリング力33に対して垂直に向けられる。この点で、同じスプリング力33は、図10aの全ての個別のロッキング要素31に同じ向きに作用しうる。強行侵入に対する安全性を高めるため、第1の個別のロッキング要素31のスプリング力33は、図10aの第1方向へ作用することができる。スプリング力33は、続く個別のロッキング要素31に作用することができ、前記スプリング力33は、図10aに従ってスプリング力33とは反対の方向へ向けられる。同様に、ロッキング要素40の個別のロッキング要素41に作用するスプリング力44は各々、互いに反対方向へ配向されることが考えられ、この点は、図11に特に明瞭に記載されている。
【0036】
図12は、シリンダ軸4の回りに回転できるように取り付けられるシリンダコア2の例を示す。キー10は、開口及び/又はチャネル3内に挿入されうる。キー10が挿入されない場合、ロッキング要素30と40は、スロット形状の開口5から突出する。「正しい」キー10がシリンダコア2に挿入されると、ロッキング要素30と40は、それに応じて配向され、シリンダコア2のシェルのスロット形状の開口5から突出せず、シリンダコア2がシリンダ軸4の回りを回転できる。さらに、スプリング要素が挿入される、シリンダコア2の凹所6が図12に描かれており、スプリング要素が図10〜11の各々の個別のロッキング要素31と41に方向33と44へ対応するスプリング力を発揮する。
【0037】
図13は、図5に示されるキー10の横断面を示す。対照的に、図14は、図3に示されるキー10の横断面を示す。図15は、図7におけるキー10の横断面を示す。この場合の図13〜15はすべて、側11a、11b、12a及び12bの夫々の符号化トラック51a、51b、52a及び52bの各々を特に明瞭に示す。
【0038】
図1〜15により記載された態様は、自動車の双方向安全システムのIDトランスミッターに参照でき、当該キー10は、IDトランスミッターに配置される。この場合、双方向通信はIDトランスミッターと自動車のオンボードユニットとの間で実行される。
【符号の説明】
【0039】
1 ロッキングシリンダ
2 シリンダコア
3 チャネル
4 シリンダ軸
5 開口
6 凹所
10 キー
11a 外表面、第1狭面
11b 外表面、第2狭面
12a 外表面、第1広面
12b 外表面、第2広面
30 ロッキング要素
31 個別のロッキング要素
31a 凹所
32 個別のロッキング要素
33 スプリング力
34 肩部
40 ロッキング要素
41 個別のロッキング要素
41a 突起
42 個別のロッキング要素
43 スプリング力
50 符号化トラック
51a 符号化トラック
51b 符号化トラック
52a 符号化トラック
52b 符号化トラック
60 副符号化トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の施錠装置であって、以下の:
ロックシリンダ(1)がロックシリンダ(1)のシリンダハウジング内に回転できるように取り付けられるシリンダコア(2)がある前記ロックシリンダ(1)とキー(10)と;
前記シリンダコア(2)が備え、前記キー(10)が挿入されうるチャネル(3)と;
前記キー(10)が前記チャネル(3)に挿入されると、前記ロックシリンダ(1)のシリンダ軸(4)に半径方向へスライドできるように取り付けられるスプリング荷重ロッキング要素(30、40)と、
前記キー(10)が挿入されるとロッキング要素(30、40)に作用する少なくとも2つの符号化トラック(50)を備える、前記キー(10)に含まれる複数の外表面(11a、11b、12a、12b)と;がある、前記施錠装置。
【請求項2】
外表面(11a、11b、12a、12b)が、2つの狭面(11a、11b)、特に第1狭面(11a)と第2狭面(11b)及び2つの広面(12a、12b)、特に第1広面(12a)と第2広面(12b)があることを特徴とする、請求項1記載の施錠装置。
【請求項3】
前記キー(10)が機能的に前記チャネル(3)に挿入されうる少なくとも2つの位置を取りうるように可逆キーとして設計されることを特徴とする、請求項1又は2記載の施錠装置。
【請求項4】
少なくとも両狭面(11a、11b)及び/又は両広面(12a、12b)が、各々符号化トラック(50)があるように設計され、ここで、
前記第1狭面(11a)は、第1符号化トラック(51a)があるように設計され、かつ、前記第2狭面(11b)は、第2符号化トラック(51b)があるように設計され;及び/又は
前記第1広面(12a)は、第1符号化トラック(52a)があるように設計され、かつ、前記第2広面(12b)は、第2符号化トラック(52b)があるように設計され;ここで、
少なくとも前記第1狭面(11a)の前記第1符号化トラック(51a)は、前記第2狭面(11b)の前記第2符号化トラック(51b)と対称に設計され;及び/又は
少なくとも前記第1広面(12a)の前記第1符号化トラック(52a)は、前記第2広面(12b)の前記第2符号化トラック(52b)と対称に設計される;
ことを特徴とする、請求項3記載の施錠装置。
【請求項5】
前記キー(10)の前記外表面(11a、11b、12a、12b)は、3つの符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項6】
前記キー(10)の前記外表面(11a、11b、12a、12b)は、4つの符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項7】
前記キー(10)には2つの符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、ここで前記第1狭面(11a)と前記第2狭面(11b)は各々、符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があるか;又は
第1広面(12a)と第2広面(12b)は各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があるか;又は
前記第1広面(12a)と前記第1狭面(11a)は各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)がある;
ことを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項8】
前記キー(10)には、3つの符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、ここで、
前記第1広面(12a)と前記第2広面(12b)には各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、かつ、前記第1狭面(11a)には符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があるか、又は
前記第1狭面(11a)と前記第2狭面(11b)には各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、かつ、前記第1広面(12a)は符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項9】
前記キー(10)には4つの符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、ここで、
第1広面(12a)と第2広面(12b)には各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)があり、かつ、第1狭面(11a)と第2狭面(11b)には各々符号化トラック(51a、51b、52a、52b)がある、ことを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項10】
前記キー(10)には、互いに反対側に配置される1対の狭面(11a、11b)と、互いに反対側に配置される1対の広面(12a、12b)と、を備える4面平坦プロファイルがあることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項11】
前記符号化トラック(51a、51b、52a、52b)は、溝又は突条として設計されることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項12】
前記符号化トラック(51a、51b、52a、52b)には、関連するロッキング要素(30、40)に作用する少なくとも1つのガイド表面があり、特に、前記第1符号化トラック(51a、51b、52a、52b)は第1ロッキング要素(30)に作用し、かつ、前記第2符号化トラック(51a、51b、52a、52b)は第2ロッキング要素(40)に作用し、ここで、特に、第1ロッキング要素の移動が前記シリンダ軸(4)に関して第1半径方向に起こり、第2ロッキング要素(40)の移動が前記シリンダ軸(4)に関して第2半径方向に起こり、これは前記第1半径方向に対して垂直であることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項13】
前記第1ロッキング要素(30)と前記第2ロッキング要素(40)は、シリンダコア(2)内に交互に配置される(alternating sequence)ことを特徴とする、請求項12記載の施錠装置。
【請求項14】
前記第1ロッキング要素(30)には、各々が異なる方向へスプリング荷重が加えられる複数の個別のロッキング要素(31、32)があり及び/又は前記第2ロッキング要素(40)には、各々が異なる方向へスプリング荷重が加えられる複数の個別のロッキング要素(41、42)があることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項15】
少なくとも1つの前記狭面(11a、11b)には前記符号化トラック(51a、51b、52a、52b)としての突条があり、かつ、少なくとも1つの前記広面(12a、12b)には前記符号化トラック(51a、51b、52a、52b)として溝があることを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。
【請求項16】
前記キー(10)には、前記狭面(11a、11b)及び/又は前記広面(12a、12b)に含まれる少なくとも1つの副符号化トラック(60)があり、特に、前記キー(10)の可逆機能を無効にする、ことを特徴とする、前記請求項いずれか1項記載の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−519808(P2013−519808A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552349(P2012−552349)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051637
【国際公開番号】WO2011/098405
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509099073)フーフ・ヒュルスベック・ウント・フュルスト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (9)
【氏名又は名称原語表記】HUF HULSBECK & FURST GMBH & CO. KG