説明

旅客乗降設備

【課題】多種多様の移動体に対し広い範囲で架橋することができ、且つバリアフリーに対応し得る旅客乗降設備を提供する。
【解決手段】船客ターミナル等の高さレベル固定の建物側乗降通路5と同一高さレベルに配置され且つ該建物側乗降通路5に接続可能な固定通路ユニット22と、船舶等の移動体10の乗降口11の高さレベルに合わせて昇降可能に配設され且つ該移動体10の乗降口11に接続可能な先端通路ユニット23とをメインフレーム24に組み込み、該メインフレーム24の固定通路ユニット22と先端通路ユニット23との中間の高さレベルとなるよう昇降可能に配設される中間通路ユニット25をサブフレーム26に組み込み、前記固定通路ユニット22と先端通路ユニット23とを中間通路ユニット25を介してつなぐ折り返し通路ユニット27を配設することにより、旅客乗降設備を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さレベル固定の建物側乗降通路と、高さレベルの変動する移動体の乗降口とをつなぐ旅客乗降設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、港湾に設けられる建物としての船客ターミナル等の乗降通路と岸壁に停泊中の移動体としての船舶の乗降口との間の相互通行手段には、船舶の形状、船舶の喫水、並びに停泊水域の潮汐の変化等に対応可能な旅客乗降設備が用いられている。
【0003】
図4は従来の旅客乗降設備の一例を示すものであって、車輪1を有し岸壁2上を走行可能な走行フレーム3上に、渡船通路本体4を水平に設置し、該渡船通路本体4の一端側に、船客ターミナル等の高さレベル固定の建物側乗降通路5に対して接続可能な陸側可動通路6を張出し・引込み可能に設けると共に、前記渡船通路本体4の他端側に、船側可動通路7を張出し・引込み可能に設け、該船側可動通路7の先端に起伏階段通路8をピン9を中心として起伏可能に枢着し、該起伏階段通路8の先端に、船舶等の高さレベルの変動する移動体10の乗降口11に対して接続可能なプラットホーム12を取り付けるようにしたものである。
【0004】
又、図5は従来の旅客乗降設備の他の例を示すものであって、基礎13で支持された固定柱14の上に、建物側乗降通路5に接続される竪型円筒形状のヒンジ状旋回通路ブロック15を固定配置し、該ヒンジ状旋回通路ブロック15に、渡船通路本体16の基端側を連結支持せしめると共に、該渡船通路本体16の先端側を門型の走行フレーム17に昇降可能に支持せしめることにより、前記ヒンジ状旋回通路ブロック15を中心として渡船通路本体16を所要角度範囲内で旋回可能且つ起伏可能に配設し、該渡船通路本体16の先端に船側可動通路18を張出し・引込み可能に設け、該船側可動通路18の先端に船舶等の高さレベルの変動する移動体10の乗降口11(図4参照)に対して接続可能なプラットホーム19を取り付けるようにしたものであり、この形式の旅客乗降設備は、一般に、ボーディングブリッジ型と称されている。図5中、20は走行フレーム17の車輪、21は渡船通路本体16を昇降させるための油圧シリンダ等の昇降駆動装置である。
【0005】
尚、前述の如き旅客乗降設備の一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1,2がある。
【特許文献1】特開平3−51404号公報
【特許文献2】特開2001−213387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図4に示されるような、従来の階段式の旅客乗降設備では、多種多様の船舶等の移動体10に対し広い範囲で架橋可能となるものの、階段歩行が困難な高齢者や車椅子利用者等の通行に介添者の支援を必要とし、バリアフリーに対応せず、又、貨物運搬台車やキャスタ付スーツケース等を走行移動させることもできなかった。
【0007】
これに対し、図5に示されるような、ボーディングブリッジ型の旅客乗降設備では、階段がなく通路が傾斜配置されるため、岸壁2が充分に広ければ、バリアフリーに対応可能となるが、一般に港湾の岸壁2は狭いため、通路の勾配をバリアフリー法の規定値(1/12)以下に収めることが困難となり、結果的に採用ができないケースが多かった。又、ボーディングブリッジ型の旅客乗降設備では、基礎13で支持された固定柱14を有しているため、岸壁法線方向に架橋できる範囲が制限されるという欠点も有していた。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、多種多様の移動体に対し広い範囲で架橋することができ、且つバリアフリーに対応し得る旅客乗降設備を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高さレベル固定の建物側乗降通路と、高さレベルの変動する移動体の乗降口とをつなぐ旅客乗降設備において、
建物側乗降通路と同一高さレベルに配置され且つ該建物側乗降通路に接続可能な固定通路ユニットと、移動体の乗降口の高さレベルに合わせて昇降可能に配設され且つ該移動体の乗降口に接続可能な先端通路ユニットとを有するメインフレームと、
該メインフレームの固定通路ユニットと先端通路ユニットとの中間の高さレベルとなるよう昇降可能に配設される中間通路ユニットを有するサブフレームと、
前記固定通路ユニットと先端通路ユニットとを中間通路ユニットを介してつなぐ折り返し通路ユニットと
を備えたことを特徴とする旅客乗降設備にかかるものである。
【0010】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0011】
建物側乗降通路に固定通路ユニットを接続し、先端通路ユニットを昇降させて移動体の乗降口に接続し、中間通路ユニットを昇降させてメインフレームの固定通路ユニットと先端通路ユニットとの中間の高さレベルとなるように配置すると、港湾の岸壁に停泊する船舶等の移動体に適用した場合に、たとえ、港湾の岸壁が狭くて建物側乗降通路と移動体の乗降口とを結ぶ直線距離が長く取れなかったとしても、前記固定通路ユニットと先端通路ユニットとを中間通路ユニットを介してつなぐ折り返し通路ユニットの通路の勾配はバリアフリー法の規定値(1/12)以下に収めることが可能となり、階段歩行が困難な高齢者や車椅子利用者等の通行に介添者の支援を必要とせず、バリアフリーに対応でき、又、貨物運搬台車やキャスタ付スーツケース等を走行移動させることも可能となる。
【0012】
前記旅客乗降設備においては、メインフレームに対し、サブフレームを建物側乗降通路と移動体の乗降口とを結ぶ直線と略直角方向ヘ近接・離反可能に配設すると共に、折り返し通路ユニットを伸縮可能とすることができ、このようにすると、建物側乗降通路と移動体の乗降口との高低差に応じて、例えば、高低差が小さい時には、メインフレームに対し、サブフレームを建物側乗降通路と移動体の乗降口とを結ぶ直線と略直角方向ヘ近接させると共に、折り返し通路ユニットを収縮させることにより、該折り返し通路ユニットの通路の勾配が規定値を越えない範囲で通路の距離を最小限に抑えれば良く、逆に、高低差が大きい時には、メインフレームに対し、サブフレームを建物側乗降通路と移動体の乗降口とを結ぶ直線と略直角方向ヘ離反させると共に、折り返し通路ユニットを伸張させることにより、該折り返し通路ユニットの通路の勾配が規定値以下となるように調整すれば良く、対応の幅を広げることが可能となる。
【0013】
又、前記メインフレームとサブフレームとにそれぞれ車輪を取り付け、メインフレームとサブフレームの少なくとも一方に走行駆動装置を設けることにより、メインフレーム及びサブフレームを走行可能とすることができ、このようにすると、設備全体を移動させることによって架橋の自由度をより高めることが可能となる。
【0014】
更に又、前記先端通路ユニットが、折り返し通路ユニットが接続される先端ベース通路ブロックと、該先端ベース通路ブロックに接続されるヒンジ状旋回通路ブロックと、該ヒンジ状旋回通路ブロックを介して折り返し通路ユニットに平行となる格納ポジションと移動体の乗降口に対する接続ポジションとの間で旋回するよう前記先端ベース通路ブロックに接続され且つ移動体の乗降口に対し近接・離反する方向へ伸縮可能な先端張出通路ブロックとを有するようにすることができ、このようにすると、使用時には、先端ベース通路ブロックに対しヒンジ状旋回通路ブロックを介して先端張出通路ブロックを格納ポジションから接続ポジションへ旋回させつつ、先端張出通路ブロックを伸張させて移動体の乗降口に対し接続する一方、非使用時には、先端張出通路ブロックを収縮させて移動体の乗降口から切り離し、先端ベース通路ブロックに対しヒンジ状旋回通路ブロックを介して先端張出通路ブロックを接続ポジションから格納ポジションへ旋回させ、該先端張出通路ブロックを折り返し通路ユニットに平行としてコンパクト化した状態で、設備全体を移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の旅客乗降設備によれば、多種多様の移動体に対し広い範囲で架橋することができ、且つバリアフリーに対応し得るという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図4及び図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、船客ターミナル等の高さレベル固定の建物側乗降通路5と同一高さレベルに配置され且つ該建物側乗降通路5に接続可能な固定通路ユニット22と、船舶等の移動体10の乗降口11の高さレベルに合わせて昇降可能に配設され且つ該移動体10の乗降口11に接続可能な先端通路ユニット23とをメインフレーム24に組み込み、該メインフレーム24の固定通路ユニット22と先端通路ユニット23との中間の高さレベルとなるよう昇降可能に配設される中間通路ユニット25をサブフレーム26に組み込み、前記固定通路ユニット22と先端通路ユニット23とを中間通路ユニット25を介してつなぐ折り返し通路ユニット27を配設することにより、旅客乗降設備を構成したものである。
【0018】
前記サブフレーム26は、メインフレーム24に対し、建物側乗降通路5と移動体10の乗降口11とを結ぶ直線と略直角方向(岸壁法線方向)ヘ近接・離反可能となるよう、テレスコピック状に伸縮自在な連結フレーム28を介して連結配置してあり、これに合せて、前記折り返し通路ユニット27は、固定通路ユニット22に対し傾動可能に枢着される外筒通路29と、該外筒通路29に対しスライド自在に嵌入され且つ中間通路ユニット25に対し傾動可能に枢着される内筒通路30と、先端通路ユニット23に対し傾動可能に枢着される外筒通路31と、該外筒通路31に対しスライド自在に嵌入され且つ中間通路ユニット25に対し傾動可能に枢着される内筒通路32とから形成してそれぞれ伸縮可能とし、前記折り返し通路ユニット27の外筒通路29の固定通路ユニット22に対する接続端部と、内筒通路30の中間通路ユニット25に対する接続端部と、外筒通路31の先端通路ユニット23に対する接続端部と、内筒通路32の中間通路ユニット25に対する接続端部にはそれぞれ、傾斜角度の変化に追従するよう蛇腹33,34,35,36を設けてある。尚、前記連結フレーム28の内部には、図示していないラックと駆動ピニオン等からなる伸縮駆動装置を内蔵してある。
【0019】
前記メインフレーム24とサブフレーム26にはそれぞれ車輪37,38を取り付け、メインフレーム24に、車輪37を回転駆動する油圧モータ等の走行駆動装置39を設けることにより、メインフレーム24及びサブフレーム26を走行可能としてある。尚、前記連結フレーム28にも、その伸張時に中間部を支持するための車輪40を取り付けてある。
【0020】
前記先端通路ユニット23は、前記折り返し通路ユニット27の外筒通路31が接続される先端ベース通路ブロック41と、該先端ベース通路ブロック41に接続される竪型円筒形状のヒンジ状旋回通路ブロック42と、該ヒンジ状旋回通路ブロック42を介して折り返し通路ユニット27に平行となる格納ポジションA(図1(a)参照)と移動体10の乗降口11に対する接続ポジションB(図2(a)、図3(a)参照)との間で旋回するよう前記先端ベース通路ブロック41に接続され且つ移動体10の乗降口11に対し近接・離反する方向へ伸縮可能な先端張出通路ブロック43とを有するようにしてあり、これら先端ベース通路ブロック41、ヒンジ状旋回通路ブロック42、先端張出通路ブロック43からなる先端通路ユニット23を、パンタグラフ状に組まれたリンク機構44を油圧シリンダ45によって折り畳んだ状態と展開された状態とに切り換え可能なテーブルリフタ等の昇降駆動装置46(図3(b)参照)により、昇降させるようにしてある。前記先端張出通路ブロック43は、前記ヒンジ状旋回通路ブロック42に対し先端トンネル状通路47を油圧シリンダ等の傾動駆動装置48により傾動可能に取り付け、該先端トンネル状通路47にプラットホーム49を図示していないラックと駆動ピニオン等からなる伸縮駆動装置により張出し・引込み可能に設けてなる構成を有している。前記先端張出通路ブロック43の先端トンネル状通路47のヒンジ状旋回通路ブロック42に対する接続端部には、傾斜角度の変化に追従するよう蛇腹50を設けてある。前記ヒンジ状旋回通路ブロック42は、その底部における中心位置に配置され且つ外周面にラックが刻設された旋回輪と、該旋回輪のラックに噛合する駆動ピニオンとを備えた旋回駆動装置(図示せず)により、旋回駆動されるようにしてある。
【0021】
尚、前記中間通路ユニット25も、前記先端通路ユニット23と同様に、パンタグラフ状に組まれたリンク機構44′を油圧シリンダ45′によって折り畳んだ状態と展開された状態とに切り換え可能なテーブルリフタ等の昇降駆動装置46′(図3(c)参照)により、昇降させるようにしてある。
【0022】
又、前記固定通路ユニット22は、固定トンネル状通路51にプラットホーム52を図示していないラックと駆動ピニオン等からなる伸縮駆動装置により張出し・引込み可能に設けてなる構成を有している。
【0023】
次に、上記図示例の作用を説明する。
【0024】
先ず、図1に示す如く、メインフレーム24に配設された先端通路ユニット23を昇降駆動装置46により下降させ、サブフレーム26に配設された中間通路ユニット25を昇降駆動装置46′により固定通路ユニット22と先端通路ユニット23との中間の高さレベルとなるように配置し、連結フレーム28を収縮させてメインフレーム24に対しサブフレーム26を近接させ、折り返し通路ユニット27の外筒通路29,31に内筒通路30,32を引き込ませて該折り返し通路ユニット27を収縮させ、先端通路ユニット23の先端張出通路ブロック43を折り返し通路ユニット27に平行となる格納ポジションAに旋回させた状態で、船舶等の移動体10の乗降口11(図2、図3参照)の位置に応じて設備全体を岸壁法線方向へ走行移動させる。
【0025】
続いて、図2に示す如く、船舶等の移動体10の乗降口11の高さレベルが、停泊水域の潮汐の変化等に伴って船客ターミナル等の建物側乗降通路5より低い場合には、該建物側乗降通路5に対し、固定通路ユニット22の固定トンネル状通路51からプラットホーム52を張り出させて接続し、先端通路ユニット23の先端張出通路ブロック43をヒンジ状旋回通路ブロック42を中心として接続ポジションBへ旋回させ、先端張出通路ブロック43の先端トンネル状通路47の傾斜角度を傾動駆動装置48により調整しつつ、該先端トンネル状通路47からプラットホーム49を張り出させて船舶等の移動体10の乗降口11に接続する。一方、図3に示す如く、船舶等の移動体10の乗降口11の高さレベルが、停泊水域の潮汐の変化等に伴って船客ターミナル等の建物側乗降通路5より高い場合には、該建物側乗降通路5に対し、固定通路ユニット22の固定トンネル状通路51からプラットホーム52を張り出させて接続し、メインフレーム24に配設された先端通路ユニット23を昇降駆動装置46により上昇させ、先端通路ユニット23の先端張出通路ブロック43をヒンジ状旋回通路ブロック42を中心として接続ポジションBへ旋回させ、先端張出通路ブロック43の先端トンネル状通路47の傾斜角度を傾動駆動装置48により調整しつつ、該先端トンネル状通路47からプラットホーム49を張り出させて船舶等の移動体10の乗降口11に接続する。
【0026】
ここで、連結フレーム28を伸張させてメインフレーム24からサブフレーム26を離反させ、折り返し通路ユニット27の外筒通路29,31から内筒通路30,32を張り出させて該折り返し通路ユニット27を伸張させると共に、サブフレーム26に配設された中間通路ユニット25を昇降駆動装置46′により昇降させて固定通路ユニット22と先端通路ユニット23との中間の高さレベルとなるように配置すると、たとえ、港湾の岸壁2が狭くて建物側乗降通路5と移動体10の乗降口11とを結ぶ直線距離が長く取れなかったとしても、前記固定通路ユニット22と先端通路ユニット23とを中間通路ユニット25を介してつなぐ折り返し通路ユニット27の通路の勾配はバリアフリー法の規定値(1/12)以下に収めることが可能となり、階段歩行が困難な高齢者や車椅子利用者等の通行に介添者の支援を必要とせず、バリアフリーに対応でき、又、貨物運搬台車やキャスタ付スーツケース等を走行移動させることも可能となる。
【0027】
尚、船舶等の移動体10に旅客乗降設備を架橋した後は、傾動駆動装置48の油圧をフリーにすることにより、船舶等の移動体10の揺動に確実に追従可能となる。
【0028】
そして、前記旅客乗降設備においては、メインフレーム24に対し、サブフレーム26を建物側乗降通路5と移動体10の乗降口11とを結ぶ直線と略直角方向ヘ近接・離反可能に配設すると共に、折り返し通路ユニット27を伸縮可能としてあるため、建物側乗降通路5と船舶等の移動体10の乗降口11との高低差に応じて、例えば、高低差が小さい時には、メインフレーム24に対し、サブフレーム26を建物側乗降通路5と移動体10の乗降口11とを結ぶ直線と略直角方向ヘ近接させると共に、折り返し通路ユニット27を収縮させることにより、該折り返し通路ユニット27の通路の勾配が規定値を越えない範囲で通路の距離を最小限に抑えれば良く、逆に、高低差が大きい時には、メインフレーム24に対し、サブフレーム26を建物側乗降通路5と移動体10の乗降口11とを結ぶ直線と略直角方向ヘ離反させると共に、折り返し通路ユニット27を伸張させることにより、該折り返し通路ユニット27の通路の勾配が規定値以下となるように調整すれば良く、対応の幅を広げることが可能となる。
【0029】
又、前記メインフレーム24とサブフレーム26とにそれぞれ車輪37,38を取り付け、メインフレーム24に走行駆動装置39を設けることにより、メインフレーム24及びサブフレーム26を走行可能としてあるため、設備全体を移動させることによって架橋の自由度をより高めることが可能となる。
【0030】
更に又、前記先端通路ユニット23は、移動体10の乗降口11に対し近接・離反する方向へ伸縮可能な先端張出通路ブロック43と、該先端張出通路ブロック43を折り返し通路ユニット27に平行となる格納ポジションA(図1(a)参照)と移動体10の乗降口11に対する接続ポジションB(図2(a)、図3(a)参照)との間で旋回させるヒンジ状旋回通路ブロック42とを有するようにしてあるため、使用時には、ヒンジ状旋回通路ブロック42により先端張出通路ブロック43を格納ポジションAから接続ポジションBへ旋回させつつ、先端張出通路ブロック43の先端トンネル状通路47からプラットホーム49を張り出させるように伸張させて移動体10の乗降口11に対し接続する一方、非使用時には、先端張出通路ブロック43の先端トンネル状通路47にプラットホーム49を引き込ませるように収縮させて移動体10の乗降口11から切り離し、ヒンジ状旋回通路ブロック42により先端張出通路ブロック43を接続ポジションBから格納ポジションAへ旋回させ、該先端張出通路ブロック43を折り返し通路ユニット27に平行としてコンパクト化した状態で、設備全体を移動させることが可能となる。
【0031】
こうして、多種多様の移動体10としての船舶に対し広い範囲で架橋することができ、且つバリアフリーに対応し得る。
【0032】
尚、本発明の旅客乗降設備は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、空港の旅客ターミナルと航空機との間の相互通行手段に適用することも可能であること等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を実施する形態の一例の格納状態を示す概要構成図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例において、建物側乗降通路の高さレベルより移動体の乗降口が低く位置している場合の接続状態を示す概要構成図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例において、建物側乗降通路の高さレベルより移動体の乗降口が高く位置している場合の接続状態を示す概要構成図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図4】従来の旅客乗降設備の一例を示す側面図である。
【図5】従来の旅客乗降設備の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
2 岸壁
5 建物側乗降通路
10 移動体
11 乗降口
22 固定通路ユニット
23 先端通路ユニット
24 メインフレーム
25 中間通路ユニット
26 サブフレーム
27 折り返し通路ユニット
37 車輪
38 車輪
39 走行駆動装置
41 先端ベース通路ブロック
42 ヒンジ状旋回通路ブロック
43 先端張出通路ブロック
46 昇降駆動装置
46′ 昇降駆動装置
A 格納ポジション
B 接続ポジション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さレベル固定の建物側乗降通路と、高さレベルの変動する移動体の乗降口とをつなぐ旅客乗降設備において、
建物側乗降通路と同一高さレベルに配置され且つ該建物側乗降通路に接続可能な固定通路ユニットと、移動体の乗降口の高さレベルに合わせて昇降可能に配設され且つ該移動体の乗降口に接続可能な先端通路ユニットとを有するメインフレームと、
該メインフレームの固定通路ユニットと先端通路ユニットとの中間の高さレベルとなるよう昇降可能に配設される中間通路ユニットを有するサブフレームと、
前記固定通路ユニットと先端通路ユニットとを中間通路ユニットを介してつなぐ折り返し通路ユニットと
を備えたことを特徴とする旅客乗降設備。
【請求項2】
メインフレームに対し、サブフレームを建物側乗降通路と移動体の乗降口とを結ぶ直線と略直角方向ヘ近接・離反可能に配設すると共に、折り返し通路ユニットを伸縮可能とした請求項1記載の旅客乗降設備。
【請求項3】
メインフレームとサブフレームとにそれぞれ車輪を取り付け、メインフレームとサブフレームの少なくとも一方に走行駆動装置を設けることにより、メインフレーム及びサブフレームを走行可能とした請求項1又は2記載の旅客乗降設備。
【請求項4】
先端通路ユニットが、折り返し通路ユニットが接続される先端ベース通路ブロックと、該先端ベース通路ブロックに接続されるヒンジ状旋回通路ブロックと、該ヒンジ状旋回通路ブロックを介して折り返し通路ユニットに平行となる格納ポジションと移動体の乗降口に対する接続ポジションとの間で旋回するよう前記先端ベース通路ブロックに接続され且つ移動体の乗降口に対し近接・離反する方向へ伸縮可能な先端張出通路ブロックとを有する請求項3記載の旅客乗降設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−9423(P2007−9423A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188012(P2005−188012)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】