説明

旋回式容器押込処理装置

【課題】旋回式容器押込処理装置において、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に押圧保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めること。
【解決手段】旋回式容器押込処理装置10であって、旋回テーブル11に複数の処理ヘッド12を有し、各処理ヘッド12は、入口ステーションから搬入される容器1を受取って該容器を押込作業位置に支持する状態で出口ステーションまで搬送し、この容器1を出口ステーションに払い出す容器支持装置と、容器支持装置によって押込作業位置に支持されている封止状態の容器1の側部を、押圧して保持する押圧保持手段31を有する押圧保持装置30と、押圧保持装置30により押圧されて保持されている容器1の一部を押込んで凹み部3を形成する押込手段を有する押込装置とを有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の一部を押込んで容器の内圧を高める旋回式容器押込処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CO排出量の削減を目的としたエネルギー消費量の低減、資源の有効活用等の環境に対する意識の高まりとともに、メーカーに対する環境負荷低減の要望が強まっている。液体製品容器はこれまでも、形状の最適設計、成形技術の向上、材質の改善によって、その使用樹脂量を削減し、1つの容器当たりのエネルギー消費量の低減や使用樹脂量の低減を進めてきたが、現在、尚一層のエネルギー消費量の低減や使用樹脂量の低減が求められている。液体製品容器の材質もこれまでのポリプロピレン、PET等の硬質のものから、より薄肉にすることが可能な高密度ポリエチレン等の柔軟なものが出現しつつある。
ところが、薄肉で柔軟な容器は、外圧によって容器の表面が窪んだり、シワを生じ易い。
【0003】
また、薄肉で柔軟な容器では、充填した内容液の容積が充填後の温度低下に伴なって収縮する現象、内容液中の特定成分が容器の上部空間に存在している酸素、窒素等の気体を吸収する現象、又は内容液の泡立ちを防止するために充填前に脱気された液体が容器の上部空間の気体を徐々に吸収する現象等により、容器の内圧が負圧になると、この負圧によって容器の表面が窪んだり、シワを生じ易くなる。
【0004】
しかるに、本願発明者らは、薄肉で柔軟な容器の外圧による窪みやシワの発生を抑制したり、容器の内圧が負圧になることによる窪みやシワの発生を抑制するため、従来からある内容液の充填口をキャップやシール部等により封止した容器の凸部を押込む技術を活用し、容器の内圧を高めることが有効であることを見出した。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、封止状態の容器の胴部の上端部を左右一対の打ち込みガイドにより挟持して位置決めした後、この容器の胴部の上半部を左右一対の容器クランプによって押圧した状態下で、打ち込みヘッドにより容器の充填口のシール部(凸部)を容器の内側に押込む。容器クランプは、容器が打ち込みヘッドの押込み力により座屈したり、不測の変形を生じないように、容器に予め適度の内圧力を付与する。この容器の凸部の押込み量によって、封止状態にある容器の内容積を減容し、ひいては容器の内圧を高めることができる。
【0006】
特許文献2に記載の技術は、封止状態の容器の底面、背面、両側面を保持する容器ホルダの移動軌跡に沿う位置に円筒状押圧ローラを配置し、容器ホルダに保持されて移動してくる容器の移動中に、この容器の正面に押圧ローラを押圧かつ転接しつつ、押込み棒部材により容器の充填口のシール部(凸部)を容器の内側に押込む。押圧ローラは、容器が押込み棒部材の押込み力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがないように、容器に適度の内圧力を付与する。この容器の凸部の押込み量によって、封止状態にある容器の内容積を減容し、ひいては容器の内圧を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-159074
【特許文献2】特開平6-127508
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、容器を押込む打ち込みヘッド以外に、容器を挟持する打ち込みガイドと、容器を押圧して容器に適度の内圧力を付与する容器クランプを必要とする。容器の挟持(打ち込みガイド)と押圧(容器クランプ)のために2個の異なる手段を用いており、複雑である。また、押圧時の容器クランプと容器の接触部が、狭小の短い線状であるため、接触部が非常に柔軟な容器でなければ内圧力を高めることができない。
【0009】
また、容器クランプが先端凸面によって容器の側部の狭小部を押圧しており、容器の側部にこの押圧による応力集中を生じ、復元のできない窪みやシワを生じ易い。
【0010】
特許文献2に記載の技術は、押圧ローラが移動中の容器の正面に転接する一瞬の間だけ、容器を押圧するに過ぎず、容器が押込み棒部材の押込み力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがないようにするための適度の内圧力を容器に確実に付与することに困難がある。また、押圧ローラと容器との接触部は狭小の線状であることからも、適度の内圧力を容器に確実に付与することに困難がある。
【0011】
また、押圧ローラが円筒面によって容器の正面の狭小部を押圧するものであり、容器の正面にこの押圧による応力集中を生じ、復元のできない窪みやシワを生じ易い。
【0012】
本発明の課題は、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、旋回テーブルに複数の処理ヘッドを有し、各処理ヘッドは、入口ステーションから搬入される容器を受取って該容器を押込作業位置に支持する状態で出口ステーションまで搬送し、この容器を出口ステーションに払い出す容器支持装置を有し、容器支持装置によって押込作業位置に支持されている封止状態の容器の側部を、押圧して保持する押圧保持手段を有する押圧保持装置と、押圧保持装置により押圧されて保持されている容器の一部を押込んで凹み部を形成する押込手段を有する押込装置とを有してなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構成により、容器を安定的に保持しつつ、容器の一部を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は実施例1の旋回式容器押込処理装置を示す模式平面図である。
【図2】図2は容器の一例を示す模式図である。
【図3】図3は容器支持装置による容器の支持状態を示す模式図である。
【図4】図4は押圧保持装置の正面押圧部が起立した状態を示す模式図である。
【図5】図5は押圧保持装置の正面押圧部と背面押圧部が容器を押圧して保持した状態を示す模式図である。
【図6】図6は押込装置による容器押込状態を示す模式図である。
【図7】図7は参考例1の容器押込処理装置の容器搬入停止状態を示す模式正面図である。
【図8】図8は図7の模式側面図である。
【図9】図9は参考例1の容器押込処理装置の容器押込状態を示す模式正面図である。
【図10】図10は図9の模式側面図である。
【図11】図11は実施例2の容器押込処理装置を示す模式正面図である。
【図12】図12は図11の側面図である。
【図13】図13は図11の平面図である。
【図14】図14は実施例2の旋回式容器押込処理装置を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の旋回式容器押込処理装置10を示す。前工程で液体、粉体等の内容物を充填され、その充填口にキャップ4を取り付けられ密封された容器1は、供給コンベヤAにより連続的に供給され、スクリューコンベヤBにより一定の容器間ピッチに広げられ、スターホイールCに供給される。更に、容器1は、スターホイールCから旋回式容器押込処理装置10の複数(本実施例では24個)の処理ヘッド12に順に搬入される。容器1は、旋回式容器押込処理装置10の旋回中に、後述する如くにその一部、本実施例では容器1の後述する底部1Cに設けた凸部2を容器1の内側へ押込む押込処理を施された後、スターホイールDに払い出され、排出コンベヤEにより箱詰め等の次工程へと搬出される。
【0017】
ここで、本発明が適用される容器1は、図2に示す如く、胴部1Aの上部と下部のそれぞれに首部1Bと底部1Cを設け、首部1Bの先端開口からなる内容物の充填口にはキャップ4が取付けられ密封される。容器1の底部1Cは当初外側に突き出る凸部2(図2(A))とされ、この凸部2が上述の如くに内側に押込まれて凹み部3(図2(B))を形成される。これにより、封止状態にある容器1の内容積が減少(減容)し、ひいては容器1の内圧が高められる。
【0018】
容器1において、凸部2は底部1Cの全部であっても一部であっても良い。凸部2はその輪郭が、その外周側となる胴部1Aの下端部又は底部1Cの外周部に対して環状段差部(角部)、環状溝部又は環状薄肉部等とによる反転境界部2Aとなっている。反転する部分としない部分との境である反転境界部2Aにおいて凸部2が容器1の外側から内側へ容易に屈曲反転することで、上述の凹み部3を容易に形成できる。形成された凹み部3(図2(B))は、反転境界部2Aが鋭角θに折れ曲がっていることから、自重、数個程度の積層、反転屈曲による内圧増加、あるいは人手で押す程度の内圧増加では、反転境界部が戻り、再度、外側に付き出る凸部2(図2(A))となることはない。
【0019】
尚、容器1の材質は、特に限定されないが、柔軟な樹脂、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)等が好ましい。キャップ4は、スクリューキャップ、打ち込みキャップ、トリガーキャップ、スパウトキャップ等何でも良いし、ヒートシール部に変更することもできる。
【0020】
以下、旋回式容器押込処理装置10について説明する。
(実施例1)(図1)
旋回式容器押込処理装置10は、図1に示す如く、回転位置0度〜360度を連続回転(間欠回転でも可)する旋回テーブル11の周方向に等間隔で配置されている複数の処理ヘッド12を有する(本実施例では、15度間隔をなす24個の処理ヘッド12)。旋回式容器押込処理装置10の各処理ヘッド12は、図3〜図6に示す如く、容器支持装置20、押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50を有する。
【0021】
容器支持装置20は、旋回テーブル11とスターホイールCが容器1を支持するそれらの外縁部同士が交差する入口ステーション(位置45度付近)でスターホイールCから搬入される容器1を受取って、押込作業位置において支持する状態で旋回テーブル11とスターホイールDが容器1を支持するそれらの外縁部同士が交差する出口ステーション(位置315度付近)まで搬送し、この容器1を出口ステーションでスターホイールDに払い出す。本実施例において、容器支持装置20は、開閉チャック21からなり、この開閉チャック21をチャック駆動部22により開閉駆動することにより、容器1のキャップ4の外周、又は首部1Bに設けた環状突起からなるネック部を把持し、容器1を押込作業位置に吊り下げ支持する。チャック駆動部22は旋回テーブル11に設置される。
【0022】
押圧保持装置30は、容器支持装置20によって押込作業位置に支持されている封止状態の容器1の側部、本実施例では容器1の胴部1Aの側部を押圧して保持する押圧保持ヘッド31(押圧保持手段)を有し、この押圧保持ヘッド31を押圧駆動部32により待機位置から押圧保持位置まで駆動する。押圧駆動部32は旋回テーブル11に設置される。
【0023】
本実施例では、各処理ヘッド12が有する押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が、容器1の胴部1Aの正面の側部を押圧する板状の正面押圧部31Aと、容器1の胴部1Aの背面の側部を押圧する板状の背面押圧部31Bとからなる。
【0024】
正面押圧部31Aは旋回テーブル11の外縁側に配置され、本実施例では正面押圧部31Aの下端部を旋回テーブル11の外縁側に枢支され、水平位置(図3)と鉛直位置(図4〜図6)との間で揺動可能にされる。正面押圧部31Aは、その押圧駆動部32Aにより揺動され、図1、図3に示す如く、入口ステーションの側ではスターホイールCの下方を通過し得る水平位置に設定されて入口ステーションでスターホイールCから搬入される容器1を容器支持装置20の開閉チャック21へと受入れる受入れ空間を形成する。正面押圧部31Aは、図1、図4〜図6に示す如く、入口ステーション〜出口ステーションの間では鉛直位置に設定され、押圧駆動部32Bによる押圧保持位置に設定される背面押圧部31Bとの間に容器1を押圧して保持可能にする。正面押圧部31Aは、図1に示す如く、出口ステーションの側ではスターホイールDの下方を通過し得る水平位置に設定され、容器1を出口ステーションでスターホイールDへ払い出す払い出し空間を形成する。
【0025】
押込装置40は、押圧保持装置30により押圧されて保持されている容器1の一部を押込んで凹み部3を形成する押込ヘッド41(押込手段)を有し、この押込ヘッド41を押込駆動部42により待機位置から押込位置まで駆動する。押込駆動部42は旋回テーブル11に設置される。
【0026】
本実施例では、容器支持装置20に支持される容器1の下方に押込装置40を設置し、押込装置40の押込ヘッド41が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。
【0027】
上位置規定装置50は、容器支持装置20に支持される容器1の上方に設置され、容器1の上部位置を規定する。本実施例では、上位置規定装置50は、容器1のキャップ4を上方から把持し、容器1の上部位置を規定する上位置規定ヘッド51を有する。上位置規定装置50は、上位置規定ヘッド51を上位置規定駆動部52により待機位置と上規定位置との間で移動させる。上位置規定駆動部52は旋回テーブル11に設置される。
【0028】
容器支持装置20、押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50の各駆動部22、32(32A、32B)、42、52は、装置の旋回力をギヤやカムによって伝達する駆動機構、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータやステッピングモータを用いた電動シリンダ等を使用できる。特に、停止位置の調整が容易な電動シリンダが、多様な形状サイズの容器1への対応が容易で好ましい。
【0029】
容器1の形状サイズにより定まる押圧保持装置30、押込装置40の好適な形状サイズについて説明する。
【0030】
押圧保持装置30において、押圧保持ヘッド31の正面押圧部31A、背面押圧部31Bが容器1の胴部1Aの側部に接する面は、平面や平面に準ずる面である。面のサイズは、可及的に大きくすることが好ましい。好ましくは、容器1の胴部1Aの幅の60%以上、より好適には70%以上、容器1の首部1Bを除く高さの60%以上、より好適には70%以上とすることで、押込装置40の押込ヘッド41が容器1の底部1Cの凸部2を押込むときの容器1の表面の窪みやシワの発生を抑制できる。
【0031】
また、押圧保持装置30において、押圧保持ヘッド31の正面押圧部31A、背面押圧部31Bが容器1の胴部1Aの側部に接する面の形状は、容器1の胴部1Aの側部の形状に沿うものとすることにより、容器1の胴部1Aの側部を一層確実に押圧して保持できる。例えば円筒状容器1であれば、押圧保持ヘッド31の正面押圧部31A、背面押圧部31Bが容器1の胴部1Aの側部に接する面の形状は、容器1の胴部1Aの側部の円筒形状に沿う曲面にする。
【0032】
押込装置40において、押込ヘッド41が容器1の底部1Cの凸部2に接する面の形状は、凸部2が押込まれて形成される凹み部3の形状に合わせることが好ましい。持ち上げ兼押込ヘッド21が容器1の底部1Cに接する面のサイズを凸部2の形状の面積の80%以上95%以下とすることが特に好ましい。
【0033】
以下、旋回式容器押込処理装置10の動作について説明する(図3〜図6)。
(1)旋回テーブル11の回転位置45度付近の入口ステーションで、スターホイールCから搬入される容器1を容器支持装置20の開閉チャック21に受取り、開閉チャック21を閉じて容器1を押込作業位置に支持する(図3)。
【0034】
(2)旋回テーブル11の回転位置75度付近より、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31の正面押圧部31Aが水平位置から揺動して浮き上がり始め、位置90度付近で、正面押圧部31Aが鉛直位置に設定される(図4)。
【0035】
(3)旋回テーブル11の回転位置105度付近で、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31の背面押圧部31Bが待機位置から前進し始め、位置120度付近で、背面押圧部31Bが押圧保持位置に設定される。これにより、容器1の胴部1Aの側部が正面押圧部31Aと背面押圧部31Bとの間に挟まれ、押圧されて保持される(図5)。
同時に、上位置規定装置50の上位置規定ヘッド51が待機位置から上規定位置に下降し、容器1の上部位置を規定する(図5)。
【0036】
(4)旋回テーブル11の回転位置135度付近で、押込装置40の押込ヘッド41が待機位置から前進し始め、位置150度付近で、押込ヘッド41が押込位置に設定される。これにより、容器1の底部1Cの側部2が押込ヘッド41により押込まれて凹み部3を形成する(図6)。押込ヘッド41は、位置240度付近まで押込位置に保持し続けられる。
【0037】
旋回テーブル11の回転位置255度付近から、押込装置40の押込ヘッド41が押込位置から待機位置に向けて後退開始し、上位置規定装置50の上位置規定ヘッド51が上規定位置から待機位置に後退開始し、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31の正面押圧部31Aが鉛直位置から水平位置に倒れ始め、押圧保持ヘッド31の背面押圧部31Bが押圧保持位置から待機位置に後退開始する。
【0038】
(5)旋回テーブル11の回転位置315度付近の出口ステーションで、容器支持装置20の開閉チャック21を開き、容器1をスターホイールDに払い出す。同時に、旋回テーブル11の回転位置45度付近の入口ステーションで、スターホイールCから搬入される容器1を容器支持装置20の開閉チャック21に受取り、開閉チャック21を閉じて容器1を押込作業位置に支持する。
【0039】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)旋回式容器押込処理装置10の各処理ヘッド12の容器支持装置20の開閉チャック21が封止状態の容器1を押込作業位置に位置付けると、押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31が容器1の胴部1Aの側部を押圧して保持する状態下で、押込装置40の押込ヘッド41が容器1の底部1Cの側部2を押込んで凹み部3を形成する。この押込みによって封止状態にある容器1の内容積が減容され、ひいては容器1の内圧を高めることができる。
【0040】
(b)容器1は、各処理ヘッド12の容器支持装置20の開閉チャック21により把持され、押込装置40の押込ヘッド41による押込作業位置に正確に位置決めされるため、押込みの位置精度を高めることが容易である。容器1の押込み高さ(深さ)が変わるときには、押込ヘッド41の押込位置を規定するカムを交換したり、ストッパ位置やセンサ位置を調整したり、押込ヘッド41の押込駆動部42として停止位置を容易に変更できる電動シリンダを採用することで容易に対応できる。
【0041】
(c)旋回式容器押込処理装置10の各処理ヘッド12は、容器支持装置20を押込装置40以内に、容器1を押圧して保持するために唯1個の押圧保持装置30を用いるだけで足りる。容器1の保持と押圧のために唯1個の手段を用いるだけで足り、簡素である。
【0042】
(d)容器1が各処理ヘッド12の容器支持装置20の開閉チャック21により押込作業位置に位置付けられている間、押圧保持装置30は容器1を押圧して保持し続けることができ、容器1が押込装置40の押込力により座屈し、あるいは不測の変形を生じることがない適度の内圧力を安定して確実に付与できる。
【0043】
(e)各処理ヘッド12の押圧保持装置30の押圧保持ヘッド31(正面押圧部31A、背面押圧部31B)は板状をなし、容器1の側部に必要な押圧力を容易に付与できる。また、容器1の側部の形状が平面でなければ、その形状に応じた押圧面を押圧処理ヘッド31に備えることで容器1の側部を確実に押圧できる。
【0044】
(f)旋回式容器押込処理装置10は複数の容器1を各処理ヘッド12に順に受取り、連続的に押込み処理でき、処理能力が高くなる。
【0045】
(g)各処理ヘッド12が、容器支持装置20に支持される容器1の下方に押込装置40を設置し、押込装置40の押込ヘッド41が容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。凹み部3を、正立状態の容器1において外観に表われない底部1Cに形成することで、容器1の外観を損なうことがない。容器1は、底部1Cにおける凹み部3の周辺を安定な着座面とすることができる。
【0046】
(h)各処理ヘッド12が、容器支持装置20に支持される容器1の上方に、容器1の上部位置を規定する上位置規定装置50を設けた。容器1は、上位置規定装置50により上下方向位置を正しく規定され、押圧保持装置30により押圧されて保持され、押込装置40により押込まれる正規位置に位置決めされる。
【0047】
(実施例2)(図14)
図14に示した実施例2の旋回式容器押込処理装置10は、回転位置0度〜360度を間欠回転する旋回テーブル11の周方向に等間隔で複数の処理ヘッド12を配置し(本実施例では、45度間隔をなす4個の処理ヘッド12)、各処理ヘッド12に実施例1の図3〜図6に示したと同様の容器支持装置20を有している。本実施例において、3個で1グループをなす各処理ヘッド12の容器支持装置20が旋回テーブル11の回転とともに移動し、それらの容器支持装置20によりスターホイールCから供給される容器1を順に受取り、それらの容器1を回転位置270度、180度、90度の3位置X、Y、Zのそれぞれに同時に位置付ける。
【0048】
旋回式容器押込処理装置10は、旋回テーブル11の周辺における、上述の3位置X、Y、Zに押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50を旋回テーブル11と独立に配置している。尚、図14は、押圧保持装置30のみを示し、押込装置40と上位置規定装置50については省略している。押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50は実施例1の図3〜図6に示したと同様の構成をなす。
【0049】
旋回式容器押込処理装置10は、各処理ヘッド12の容器支持装置20により受取られた容器1が上述の3位置X、Y、Zに位置付けられたとき、旋回テーブル11の回転を停止するものとし、押圧保持装置30、押込装置40、上位置規定装置50をそれらの容器1に対して実施例1におけると同様に駆動し、容器1の一部を押し込んでその内圧を高め、その強度を高める。このようにして容器1の強度が高められた後、旋回テーブル11が再び回転し、それらの容器1は各処理ヘッド12の容器支持装置20からスターホイールDに払い出される。同時に新たな容器1がスターホイールCから各処理ヘッド12の容器支持装置20に受取られる。
【0050】
尚、押圧保持装置30は、押圧保持ヘッド31の正面押圧部31Aを実施例1における如くの揺動式とせず、背面押圧部31Bと同様の直線動式とすることもできる。
【0051】
(参考例1)(図7〜図10)
参考例1の容器押込処理装置100は、図7〜図10に示す如く、自走する容器1を間欠的に押込処理する。
【0052】
容器1は、不図示の供給コンベヤからタイミングコンベヤ101に移載され、タイミングコンベヤ101から適宜のタイミングで容器押込処理装置100に送り込まれ、容器押込処理装置100により押込処理された後、排出コンベヤ102により次工程へと排出される。
【0053】
容器押込処理装置100は、押圧保持装置110と、押込装置120と、上位置規定装置130とを有している。
【0054】
押圧保持装置110は、タイミングコンベヤ101が送り込む一定数量、本実施例では1個の容器1を、左右一対の押圧保持コンベヤ111のベルト間に受け入れてその胴部1Aの側部を両側から挟み込み、押圧して保持しながら押込作業位置へ搬送する。押込作業位置に設置されているセンサ112が容器1を検知すると、押圧保持コンベヤ111は停止し、図7、図8に示す如く、容器1が押込作業位置に位置付けられて停止する。
【0055】
次に、上位置規定装置130の上位置規定ヘッド131が駆動部132により、容器1の上方の待機位置から下降して上規定位置に位置付けられ、容器1のキャップ4を保持してその上部位置を規定する。
【0056】
続いて、押込装置120の押込ヘッド121が駆動部122により、容器1の下方の待機位置から上昇して押込位置に位置付けられ、図9、図10に示す如く、容器1の底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。
【0057】
その後、押込装置120の押込ヘッド121と上位置規定装置130の上位置規定ヘッド131が待機位置に戻り、押圧保持装置110の押圧保持コンベヤ111が再び駆動し、押込みが完了した容器1が排出コンベヤ102へと払い出される。
【0058】
尚、容器押込処理装置100にあっては、容器1を上部から押込んでも良いし、上部と下部の両方から同時に押込んでも良い。
【0059】
(参考例2)(図11〜図13)
参考例2の容器押込処理装置200は、図11〜図13に示す如く、自走する容器1を連続的に押込処理する。
【0060】
容器1は、不図示の供給コンベヤからタイミングコンベヤ201に移載され、タイミングコンベヤ201から容器押込処理装置200に送り込まれ、容器押込処理装置200により押込処理された後、排出コンベヤ202により次工程へと排出される。
【0061】
容器押込処理装置200は、押圧保持装置210と、押込装置220と、上位置規定装置230とを有している。
【0062】
押圧保持装置210は、タイミングコンベヤ201が適宜のタイミングで送り込む容器1を順に、左右一対の押圧保持コンベヤ211のベルト間に受け入れてその胴部1Aの側部を両側から挟み込み、押圧して保持しながら、押込装置220、上位置規制装置230の側へ搬送する。尚、タイミングコンベヤ201が容器1を押圧保持装置210の押圧保持コンベヤ211に送り込む適宜のタイミングとは、押圧保持コンベヤ211に保持されて移動する容器1の底部1Cが、押圧保持装置210の下方を移動している押込装置220の後述する押込ヘッド223に同期することとなるタイミングである。
【0063】
次に、押圧保持装置210の押圧保持コンベヤ211に保持されて移動している容器1のキャップ4に、上位置規定装置230の上位置規定コンベヤ231のベルト面が接して、容器1の上部位置を規定する。
【0064】
更に、押圧保持装置210の下方に押込装置220の押込コンベヤ221を移動させ、押込コンベヤ221のベルト面上で一定間隔をなす周方向複数位置に押込ガイド222を固定し、各押込ガイド222に押込ヘッド223を上下動可能に保持し、各押込ヘッド223に備えたカムフォロワ223Aを押込コンベヤ221の側方に固定的に設置してあるカムプレート224の溝カム224Aに係入せしめる。各押込ヘッド223は、容器1の底部1Cの凸部2を押圧して凹み部3を形成するものであり、凸部2に接する形状を凹み3の形状に合わせることが好ましい。
【0065】
これにより、押圧保持装置210の押圧保持コンベヤ211に押圧されて保持され、かつ上規定装置230の上位置規定コンベヤ231に上部位置を規定されて自走中の容器1の底部1Cに対し、押込装置220の押込ヘッド223が同期するように押込コンベヤ221により移動せしめられるとともに、該押込ヘッド223がカムプレート224の溝カム224Aに沿って上昇せしめられ、底部1Cの凸部2を押込んで凹み部3を形成する。
【0066】
その後、押込装置220の押込ヘッド223が容器1の底部1Cから離れ、上位置規定装置230の上位置規定コンベヤ231が容器1のキャップ4から離れた後、押込装置220の押込コンベヤ221が押込完了した容器1を排出コンベヤ202へと払い出す。
【0067】
尚、容器押込処理装置200にあっては、容器1を上部から押込んでも良いし、上部と下部の両方から同時に押込んでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、旋回式容器押込処理装置において、簡素な構成により、容器に予め適度な内圧力を付与するように容器を安定的に押圧保持しつつ、容器を押込んで容器の内圧を高め、容器の強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 容器
1A 胴部
1B 首部
1C 底部
2 凸部
3 凹み部
4 キャップ
10 旋回式容器押込処理装置
11 旋回テーブル
12 処理ヘッド
20 容器支持装置
21 開閉チャック
30 押圧保持装置
31 押圧保持ヘッド(押圧保持手段)
31A 正面押圧部
31B 背面押圧部
40 押込装置
41 押込ヘッド(押込手段)
50 上位置規定装置
51 上位置規定ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回テーブルに複数の処理ヘッドを有し、各処理ヘッドは、入口ステーションから搬入される容器を受取って該容器を押込作業位置に支持する状態で出口ステーションまで搬送し、この容器を出口ステーションに払い出す容器支持装置を有し、
容器支持装置によって押込作業位置に支持されている封止状態の容器の側部を、押圧して保持する押圧保持手段を有する押圧保持装置と、
押圧保持装置により押圧されて保持されている容器の一部を押込んで凹み部を形成する押込手段を有する押込装置とを有してなる旋回式容器押込処理装置。
【請求項2】
前記各処理ヘッドが、容器支持装置に支持される容器の下方に押込装置を設置し、押込装置の押込手段が容器の底部を押込んで凹み部を形成可能にする請求項1に記載の旋回式容器押込処理装置。
【請求項3】
前記各処理ヘッドが、容器支持装置に支持される容器の上方に、容器の上部位置を規定する上位置規定装置を設けてなる請求項1又は2に記載の旋回式容器押込処理装置。
【請求項4】
前記封止状態の容器の側部を押圧して保持する部分が面状である請求項1〜3のいずれかに記載の容器押込処理装置。
【請求項5】
前記各処理ヘッドが、押込手段を有する押込装置と、押圧保持手段を有する押圧保持装置を有する請求項1〜4のいずれかに記載の容器押込処理装置。
【請求項6】
前記押圧保持装置の押圧保持手段が、容器の正面の側部を押圧する正面押圧部と、容器の背面の側部を押圧する背面押圧部とを有し、
正面押圧部は旋回テーブルの外縁側に配置され、かつ水平位置と鉛直位置との間で揺動可能にされ、入口ステーションでは水平位置に設定されて入口ステーションから搬入される容器を受入れ可能にし、入口ステーション〜出口ステーションの間では鉛直位置に設定されて背面押圧部との間に容器を押圧して保持可能にし、出口ステーションでは水平位置に設定されて容器を出口ステーションへ払い出し可能にする請求項5に記載の旋回式容器押込処理装置。
【請求項7】
前記旋回テーブルの周辺に、押圧保持手段を有する押圧保持装置と、押込手段を有する押込装置とを、旋回テーブルとは独立して複数配置した請求項1〜4のいずれかに記載の旋回式容器押込処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−240748(P2012−240748A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116035(P2011−116035)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】