説明

旋回式建設機械

【課題】作業装置の揺動に伴って生じる作業装置用配管のスイングポストの壁面への押し付け力を軽減させることができる旋回式建設機械の提供。
【解決手段】本発明は、作業装置用配管21の旋回フレーム2a側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体が、作業装置用配管群を挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の下方に配置され、他の作業装置用配管群を挟持する第2段保持部とを有する第1クランプ22から成り、作業用配管21のスイングポスト6側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体が、第1クランプ22の第1段保持部に挟持された作業装置用配管群を挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の上方に配置され、第1クランプ22の第2段保持部に挟持された作業装置用配管群を挟持する第2段保持部とを有する第2クランプ24から成る構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングポストに形成された横穴に複数の作業装置用配管を挿入させるようにしたミニショベル等の旋回式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。図12は、この特許文献1に開示された従来の旋回式建設機械の要部構成を示す斜視図である。この図12に示される要部を有する旋回式建設機械は、例えば小型建設機械を形成するミニショベルから成っている。このミニショベルは、ブーム、アーム、バケット、及びこれらのブーム、アーム、バケットをそれぞれ駆動する油圧アクチュエータであるブームシリンダ、アームシリンダ、及びバケットシリンダを含み、土砂の掘削作業等を行う図示しない作業装置を備えている。また、作業装置を水平方向に揺動させる図示しないスイングシリンダと、作業装置が取り付けられ、水平方向に回動可能な同図12に示すスイングポスト52と、このスイングポスト52に上下方向に延設される連結ピン53によって連結されるブラケット51と、このブラケット51が固定される旋回フレーム50を有する旋回体とを備えている。また、旋回体上に配置される図示しないコントロールバルブと、このコントロールバルブと上述の作業装置に含まれる複数の油圧アクチュエータのうちの該当するものとを接続する複数の作業装置用配管54とを備えている。
【0003】
また、この従来技術は、複数の作業装置用配管54のうちの旋回フレーム50側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体、すなわち配管保持ブラケット55と、複数の作業装置用配管54のうちのスイングポスト52側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体、すなわちクランプ56とを備えている。スイングポスト52は、同図12に示すように、連結ピン53を挟んで図示しないスイングシリンダの反対側の位置に複数の作業装置用配管54が挿入される横穴52aを有している。
【0004】
この従来技術にあっては、複数の作業装置用配管54の保持形態を、同図12に示すように、配管保持ブラケット56からスイングポスト52の横穴52a間は、水平方向に沿って束ねるように密集状態で延設し、スイングポスト52の横穴52aへの作業装置用配管54の挿入に際しては、連結ピン53を回り込むようにしてスイングポスト52の横穴52aに挿入し、その挿入位置よりも上方の位置において延設方向を反転させるようにクランプ56で挟持させ、その後に上方に向かうように延設させた保持形態にしてある。
【0005】
複数の作業装置用配管54のそれぞれは、図示しないスイングシリンダ側への揺動を可能にする長さ寸法に設定されている。なお、特許文献1には示されていないが、特許文献1に係る発明は、本願出願人が提案したものであり、特許文献1に示される配管保持ブラケット55における作業装置用配管54の保持形態と、クランプ56における作業装置用配管54の保持形態は、実際には図13,14に示すようになっている。この作業装置用配管54の保持形態について以下に説明する。
【0006】
旋回フレーム50側の作業装置用配管54を保持する配管保持ブラケット55は、図13に示すように、旋回体の旋回中心側に位置する内側部分に、ブームシリンダに接続される2本のブーム用配管のそれぞれが挿入される穴55a,55bと、アームシリンダに接続される2本のアーム用配管のうちの1本が挿入される穴55cとを有している。また、中央部分にバケットシリンダに接続される2本のバケット用配管のそれぞれが挿入される穴55d,55eと、アーム用配管の他の1本が挿入される穴55fとを有している。また、外側部分に予備用アクチュエータに接続される2本の予備用配管のそれぞれが挿入される穴55g,55hを有している。
【0007】
また、図14に示すように、スイングポスト52側の作業装置用配管54を保持するクランプ56は、互いに対向する第1挟持部57と第2挟持部58とから成り、これらの第1挟持部57と第2挟持部58との間に、スイングシリンダ側からスイングポスト52の横穴52a側に向かって、2本のブーム用配管のそれぞれが挿入される穴56a,56b、2本のアーム用配管のうちの1本が挿入される穴56c、2本のバケット用配管のそれぞれが挿入される穴56d,56e、2本のアーム用配管のうちの他の1本が挿入される穴56f、及び予備用配管のそれぞれが挿入される穴56g,56hが形成されている。
【0008】
このような配管保持ブラケット55及びクランプ56による作業装置用配管54の保持形態により、連結ピン53の付近にあっては、複数のブーム用配管、アーム用配管、バケット用配管、及び予備用配管を含む作業装置用配管が、束ねられ密集する状態に保たれ、この状態を維持したままスイングポスト52の横穴52a内に挿入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−36233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1に示される従来技術は、スイングポスト52の横穴52aに、作業装置用配管54が束ねられ密集する塊となった状態で挿入されることから、図示しない作業装置を図示しないスイングシリンダ側とは反対側に揺動させた際に、内側に配置されているブーム用配管、中央に配置されているアーム用配管及びバケット用配管それぞれの外方への拡開動作によって生じる力が逃がされることなく外側に配置されている予備用配管に伝えられやすい。これにより従来技術では、外側に配置されている配管がスイングポスト52の横穴52aの縁部等に強い力で押し付けられてしまう虞がある。このような事態が繰り返されると、当該作業装置用配管54の耐久性の劣化を招く懸念がある。
【0011】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、作業装置の揺動に伴って生じる作業装置用配管のスイングポストの横穴の縁部等への押し付け力を軽減させることができる旋回式建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、複数の油圧アクチュエータを含む作業装置と、この作業装置を水平方向に揺動させるスイングシリンダと、上記作業装置が取り付けられ、水平方向に回動可能なスイングポストと、このスイングポストに上下方向に延設される連結ピンによって連結されるブラケットと、このブラケットが固定される旋回フレームを有する旋回体と、この旋回体上に配置されるコントロールバルブと、このコントロールバルブと上記複数の油圧アクチュエータのうちの該当するものを接続する複数の作業装置用配管とを有するとともに、上記複数の作業装置用配管のうちの上記旋回フレーム側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体と、上記複数の作業装置用配管のうちの上記スイングポスト側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体とを備え、上記スイングポストは、上記連結ピンを挟んで上記スイングシリンダの反対側の位置に上記複数の作業装置用配管が挿入される横穴を有し、上記複数の作業装置用配管の保持形態を、上記旋回フレーム側保持体から上記スイングポストの上記横穴間は、水平方向に沿うように延設し、上記スイングポストの上記横穴への上記作業装置用配管の挿入に際しては、上記連結ピンを回り込むようにして上記スイングポストの上記横穴に挿入し、その挿入位置よりも上方の位置において延設方向を反転させ、その状態において上記スイングポスト側保持体で挟持させ、その後に上方に向かうように延設させた保持形態にしてある旋回式建設機械において、上記旋回フレーム側保持体は、第1段保持部と、この第1段保持部の下方に配置された第2段保持部とを含む複数段の保持部を有し、これらの複数段の保持部のそれぞれにおいて上記複数の作業装置用配管のうちの該当するものを挟持する第1クランプから成り、上記スイングポスト側保持体は、上記第1クランプの上記第1段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の上方に配置され、上記第1クランプの上記第2段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第2段保持部とを含む複数段の保持部を有する第2クランプから成ることを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、第1クランプと第2クランプとの協働によって、スイングポストの横穴に挿入される複数の作業装置用配管は、上下方向において少なくとも2段の作業装置用配管群に保たれる。これにより、作業装置をスイングシリンダ側とは反対側に揺動させた動作に伴って、複数の作業装置用配管が外方へ拡開動作する際に、上段あるいは下段に含まれる同一の作業装置用配管群に含まれる複数の作業用配管のそれぞれは、隣り合う作業用配管同志が接触することがあっても、互いの間にすべりを生じやすく、このすべりによって拡開動作に伴って生じる力の伝達が抑制される。また、上述した外方へ拡開動作する際に、上側に位置する作業装置用配管群に含まれる作業装置用配管と、下側に位置する作業装置用配管群に含まれる作業装置用配管とが接触することがあっても、上側の作業装置用配管と下側の作業装置用配管との間にすべりを生じやすく、このすべりによって拡開動作に伴って生じる力の伝達が抑制される。したがって、作業装置の揺動に伴って複数の作業装置用配管のそれぞれが外方に拡開動作する際において、複数の作業装置用配管のうちの外側に配置される作業用配管への力の伝達は抑制される。すなわち、作業装置の揺動に伴って生じる作業装置用配管のスイングポストの横穴の縁部等への押し付け力を軽減させることができる。
【0014】
また本発明は、上記発明において、上記第1クランプを上記ブラケットに固定するとともに、上記スイングポストに設けられ、上記第2クランプが固定され、この第2クランプを覆うカバーを備えたことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記発明において、上記第1クランプは、この第1クランプの上記第1段保持部及び上記第2段保持部を形成する上記複数の作業装置用配管の挿入用の穴がそれぞれ水平方向に一列に設けられたラバーと、このラバーを拡開させないように当該ラバーを保持し、上記ブラケットに固定される保持金具とから成り、上記第2クランプは、この第2クランプの上記第1段保持部及び上記第2段保持部を形成する上記複数の作業装置用配管の挿入用の穴がそれぞれ水平方向に一列に設けられたラバーと、このラバーを拡開させないように当該ラバーを保持し、上記カバーに固定される保持金具とから成ることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記発明において、当該旋回式建設機械は、小型建設機械を形成するミニショベルから成り、上記作業装置は、上記スイングポストに上下方向の回動可能に取り付けられるブームと、このブームの先端に上下方向の回動可能に取り付けられるアームと、このアームの先端に上下方向の回動可能に取り付けられるバケットとを含むとともに、それぞれ上記油圧アクチュエータを形成し、上記ブームを駆動するブームシリンダ、上記アームを駆動するアームシリンダ、及び上記バケットを駆動するバケットシリンダを含み、上記スイングポストは、上記連結ピンを挟んで上記横穴と反対側の位置に上記スイングシリンダの取り付け部を有し、上記作業装置用配管は、上記ブームシリンダに接続されるブーム用配管、上記アームシリンダに接続されるアーム用配管、及びバケットシリンダに接続されるバケット用配管を含むことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記発明において、上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管をそれぞれ2本ずつ備え、上記第1クランプにあっては、上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管のそれぞれ2本のうちの1本を、当該第1クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入させ、上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管のそれぞれ2本のうちの他の1本を、当該第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入させるようにし、上記第2クランプにあっては、上記第1クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入した上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管と、上記第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入した上記アーム用配管を、当該第2クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入させ、上記第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入した上記ブーム用配管、及び上記バケット用配管を、当該第2クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、作業装置に含まれる油圧アクチュエータに接続される複数の作業装置用配管のうちの旋回フレーム側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体は、第1段保持部と、この第1段保持部の下方に配置された第2段保持部とを含む複数段の保持部を有し、これらの複数段の保持部のそれぞれにおいて上記複数の作業装置用配管のうちの該当するものを挟持する第1クランプから成り、また、複数の作業装置用配管のうちのスイングポスト側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体は、第1クランプの第1段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の上方に配置され、第1クランプの第2段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第2段保持部とを含む複数段の保持部を有する第2クランプから成る構成にしてある。この構成により本発明は、スイングポスト内に複数の作業装置配管群が上下方向に配置される。したがって、作業装置をスイングシリンダ側とは反対側に揺動させた際に、上下それぞれの同一作業装置用配管群に含まれる隣り合う作業装置用配管同志が接触した場合でも、これらの間にすべりを生じさせることができる。また、上側の作業装置用配管群に含まれる作業装置用配管と下側の作業装置用配管群に含まれる作業装置用配管が接触した場合でも、これらの間にすべりを生じさせることができる。これらによって本発明は、作業装置の揺動に伴って生じる作業装置用配管のスイングポストの横穴の縁部等への押し付け力を軽減させることができ、従来に比べて作業装置用配管の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の旋回式建設機械の一実施形態を構成するミニショベルを示す側面図である。
【図2】本実施形態の要部斜視図である。
【図3】本実施形態の要部平面図である。
【図4】本実施形態の要部側面図である。
【図5】本実施形態の要部正面図である。
【図6】図3のA断面拡大図である。
【図7】図3のB断面拡大図である。
【図8】本実施形態に備えられる作業装置用配管のうちの一方の配管群の取り付け形態を示す斜視図である。
【図9】本実施形態に備えられる作業装置用配管のうちの他方の配管群の取り付け形態を示す斜視図である。
【図10】本実施形態に備えられる旋回フレーム側保持体を構成する第1クランプを示す分解斜視図である。
【図11】本実施形態に備えられるスイングポスト側保持体を構成する第2クランプを示す分解斜視図である。
【図12】従来の旋回式建設機械の要部構成を示す斜視図である。
【図13】図12に示す従来の旋回式建設機械に備えられる旋回フレーム側保持体を構成する配管保持ブラケットを示す正面図である。
【図14】図12に示す従来の旋回式建設機械に備えられるスイングポスト側保持体を構成するクランプを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る旋回式建設機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
本実施形態に係る旋回式建設機械は、例えば小型建設機械を形成するミニショベルから成っている。このミニショベルは、図1に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2の旋回フレーム2a上に設けられる運転席3と、旋回フレーム2aの後端部に設けられるカウンタウエイト4とを備えている。また、このミニショベルは、土砂の掘削作業等を行う作業装置7と、この作業装置7が取り付けられ、水平方向に回動可能なスイングポスト6と、このスイングポスト6に上下方向に延設される連結ピン25によって連結され、旋回フレーム2aに固定されるブラケット5とを備えている。
【0022】
作業装置7は、スイングポスト6に上下方向の回動可能に取り付けられるブーム8と、このブーム8の先端に上下方向の回動可能に取り付けられるアーム9と、このアーム9の先端に上下方向の回動可能に取り付けられるバケット10とを含んでいる。また、この作業装置7は、一端をスイングポスト5に連結され、他端をブーム8に連結されて、このブーム8を駆動するブームシリンダ11と、一端をブーム8に連結され、他端をアーム9に連結されて、このアーム9を駆動するアームシリンダ12と、一端をアーム9に連結され、他端をバケット10に連結されて、このバケット10を駆動するバケットシリンダ13とを含んでいる。ブームシリンダ11、アームシリンダ12、及びバケットシリンダ13は、作業装置7に含まれる油圧アクチュエータを構成している。
【0023】
図3等に示すように、上述したスイングポスト6は、図示しないスイングシリンダが取り付けられる取付け部6bを備えている。また、同図3等に示すように、このミニショベルは、作業装置7に含まれるブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13等の油圧アクチュエータ、及び旋回体2を旋回させる図示しない旋回モータ、走行体1を走行させる図示しない走行モータ等へ供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ20を、旋回体2の旋回フレーム2a上の、作業装置7方向に向かって左側の位置に配置してある。
【0024】
また、このミニショベルは、図2〜5に示すように、上述したブームシリンダ11、アームシリンダ12、及びバケットシリンダ13と、コントロールバルブ20とを接続する複数の作業装置用配管21を備えている。この作業装置用配管21には、例えば2本の予備用配管21a,21b、2本のアーム用配管21c,21f、2本のバケット用配管21d,21e、及び2本のブーム用配管21g,21hが含まれている。なお、図4に示すように、スイングポスト6は、連結ピン25を挟んで図示しないスイングシリンダの反対側の位置に、複数の作業装置用配管21が挿入される横穴6aを有している。
【0025】
また、このミニショベルは、図6,7にも示すように、複数の作業装置用配管21のうちの旋回フレーム2a側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体、すなわち第1クランプ22と、複数の作業装置用配管21のうちのスイングポスト6側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体、すなわち第2クランプ24とを備えている。
【0026】

図2,4等に示すように、複数の作業装置用配管21の基本的な保持形態は、第1クランプ22からスイングポスト6の横穴6a間は、水平方向に沿うように配設し、スイングポスト6の横穴6aへの作業装置用配管21の挿入に際しては、連結ピン25を回り込むようにしてスイングポスト6の横穴6aに挿入し、その挿入位置よりも上方位置において延設方向を反転させ、その状態において第2クランプ24で挟持させ、その後上方に向かうように延設させて該当する油圧アクチュエータに接続される保持形態にしてある。
【0027】
図6,8に示すように、第1クランプ22は、旋回体2の旋回中心側である内側から外側に向かってそれぞれ水平方向の同一列に配設される一方の作業用配管群に含まれるブーム用配管21g、バケット用配管21e、アーム用配管21c、及び予備用配管21aを挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の下方に配置され、旋回体2の旋回中心側である内側から外側に向かってそれぞれ水平方向の同一列に配置される他方の作業装置用配管群に含まれるブーム用配管21h、アーム用配管21f、バケット用配管21d、及び予備用配管21bを挟持する第2段保持部とを含む複数段の保持部を有している。本実施形態に備えられる第1クランプ22は、例えば上述の第1段保持部と第2段保持部のみを有している。
【0028】
また、図7,9に示すように、第2クランプ24は、図示しないスイングシリンダ側からスイングポスト6の横穴6a側に向かって、それぞれ水平方向の同一列に配設されるブーム用配管21g、アーム用配管21f、バケット用配管21e、アーム用配管21c、及び予備用配管21aを挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の上方に配置され、図示しないスイングシリンダ側からスイングポスト6の横穴6a側に向かって、それぞれ水平方向の同一列に配置されるブーム用配管21h、バケット用配管21d、及び予備用配管21bを挟持する第2段保持部とを含む複数段の保持部を有している。本実施形態に備えられる第2クランプ24も、例えば上述の第1段保持部と第2段保持部のみを有している。
【0029】
なお本実施形態は、既設のミニショベルに備えられる作業装置用配管の配置形態を考慮したものである。これに伴って、図7に示すように、第2クランプ24の第1段保持部において、2本のアーム用配管21c,21fを挟持させるようにしてある。新設のミニショベルに本実施形態を適用する場合には、2本のアーム用配管21c,21fのうちの第1クランプ22の第2段保持部に挟持されたアーム用配管21fを、第2クランプ24の第2段保持部において保持させる構成にしてもよい。
【0030】
第1クランプ22は、図10に示すように、この第1クランプ22の上述した第1段保持部を形成する複数の作業装置用配管21の挿入用の穴が設けられるラバー30と、このラバー30を拡開させないようにラバー30を保持し、上述した旋回フレーム2aに設けたブラケット5に固定される保持金具31とから成っている。
【0031】
ラバー30は、上述した第1段保持部を形成する穴30g,30e,30c,30aと、これらの穴30g,30e,30c,30aを該当する作業装置用配管の挿入に際し拡開可能にする切り込み30jと、上述した第2段保持部を形成する穴30h,30f,30d,30bと、これらの穴30h,30f,30d,30bを該当する作業装置用配管の挿入に際し拡開可能にする切り込み30kと、保持金具3が嵌着される溝30iとを有している。
【0032】
上述したラバー30の第1段保持部の穴30gにはブーム用配管21gが挿入され、穴30eにはバケット用配管21eが挿入され、穴30cにはアーム用配管21cが挿入され、穴30aには予備用配管21aが挿入される。上述したラバー30の第2段保持部の穴30hにはブーム用配管21hが挿入され、穴30fにはアーム用配管21fが挿入され、穴30dにはバケット用配管21dが挿入され、穴30bには予備用配管30bが挿入される。
【0033】
また、保持金具31は基本形状がコ字形状から成り、上下端部のそれぞれに図6に示すブラケット5の壁面5aに当接する当接部31a,31bを有し、これらの当接部31a,31bに、保持金具31をブラケット5の壁面5aに固定する同図6に示すボルト46,47がそれぞれ挿入される穴31c,31dを形成してある。
【0034】
また本実施形態は、図2,3,5等に示すように、スイングポスト6に設けられ、第2クランプ24が固定され、この第2クランプ24を覆うカバー23を備えている。
【0035】
第2クランプ24は、図11に示すように、この第2クランプ24の上述した第1段保持部及び第2段保持部を形成する複数の作業装置用配管21の挿入用の穴が設けられたラバー35と、このラバー35を拡開させないようにラバー35を保持し、カバー23に固定される保持金具3とから成っている。
【0036】
同図11に示すように、カバー23の下方部分には穴23dを形成してあり、この穴23dに挿入されるボルト26によってカバー23がスイングポスト6に固定されるようになっている。
【0037】
保持金具36は、ラバー35に嵌着される凹部36aを形成する一対の脚部36b,36cを有し、これらの脚部36b,36cの端部にそれぞれ形成され、カバー23に当接する当接面には、カバー23に形成した穴23b,23cのそれぞれに適合する穴36e,36fを形成してある。また、上述の当接面のそれぞれの背部には、穴36e,36fに適合させたナット41,43を溶接してある。また、ラバー35の中央部分には、円筒部材37が挿入される穴35iを形成してあり、カバー23には穴35iに適合する穴23aを形成してある。保持金具36には、円筒部材35に適合する位置に穴36dを形成してある。この穴36dの背部の保持金具36部分には、図示しないナットを溶接してある。なお、保持金具36は、ボルト45,46によってスイングポスト6に固定されるようになっている。
【0038】
第2クランプ24のカバー23への取り付けに際しては、円筒部材37をラバー35の穴35iに挿入した状態で、ラバー35が凹部36aに嵌着されるように保持金具36の脚部36b,36cのそれぞれの当接面をカバー23に当接させ、この状態で、ワッシャ38を介してボルト39を、カバー23の穴23a、ラバー35の穴35i内に挿入された円筒部材37、及び保持金具36の穴36dのそれぞれに挿入し、保持金具36の背部に溶接した図示しないナットに螺合させることが行われる。また、ボルト40を、カバー23の穴23b、保持金具36の脚部36bの当接面の穴36eのそれぞれに挿入し、ナット41に螺合させることが行われる。さらに、ボルト42を、カバー23の穴23c、保持金具36の脚部36cの当接面の穴36fのそれぞれに挿入し、ナット43に螺合させることが行われる。
【0039】
第2クランプ24のラバー35は、この第2クランプ24の第1段保持部を形成する穴35g,35f,35e,35c,35aと、この第2クランプ24の第2段保持部を形成する穴35h,35d,35bを有している。これらの穴35g,35f,35e,35c,35a、及び穴35h,35d,35bのそれぞれには、該当する作業装置用配管の挿入に際し、これらの穴の拡開を可能にする切り込みを下端側に、あるいは上端側に形成してある。
【0040】
上述したラバー35の第1段保持部の穴35gにはブーム用配管21gが挿入され、穴35fにはアーム用配管21fが挿入され、穴35eにはバケット用配管21eが挿入され、穴35cにはアーム用配管21cが挿入され、穴35aには予備用配管21aが挿入される。上述したラバー35の第2段保持部の穴35hにはブーム用配管21hが挿入され、穴35dにはバケット用配管21dが挿入され、穴35bには予備用配管21bが挿入される。
【0041】
このように構成した本実施形態は、第1クランプ22と第2クランプ24との協働によって、スイングポスト6の横穴6aに挿入される複数の作業装置用配管21は、上下方向において基本的に2段の作業装置用配管群に保たれる。これにより、作業装置7を図示しないスイングシリンダ側とは反対側に揺動させた動作に伴って、複数の作業装置用配管21が外方へ拡開動作する際に、第1クランプ22において上段の同一列の作業装置用配管群に含まれる予備用配管21a、アーム用配管21c、バケット用配管21e、ブーム用配管21gのうちの互いに隣り合う作業用配管同志が接触することがあっても、あるいは第1クランプ22において、下段の同一列の作業装置用配管群に含まれる予備用配管21b、バケット用配管21d、アーム用配管21f、ブーム用配管21hのうちの互いに隣り合う作業装置用配管同志が接触することがあっても、互いの間にすべりを生じやすく、このすべりによって拡開動作に伴って生じる力の伝達が抑制される。
【0042】
また、上述した外方へ拡開動作する際に、第1クランプ22において上段の作業装置用配管群に含まれる予備用配管21a、アーム用配管21c、バケット用配管21e、ブーム用配管21gのいずれかと、第1クランプ22において、下段の作業装置用配管群に含まれる予備用配管21b、バケット用配管21d、アーム用配管21f、ブーム用配管21hのいずれかとが接触することがあっても、上段の作業装置用配管と下段の作業装置用配管との間にすべりを生じやすく、このすべりによって拡開動作に伴って生じる力の伝達が抑制される。
【0043】
したがって、作業装置7の揺動に伴って複数の作業装置用配管21のそれぞれが外方に拡開動作する際において、複数の作業装置用配管21のうちの外側に配置される予備用配管21a,21b等への内側に位置する作業装置用配管の拡開に伴って生じる力の伝達は抑制される。すなわち、作業装置7の揺動に伴って生じる作業装置用配管21のスイングポスト6の横穴6aの縁部等への押し付け力を軽減させることができる。これにより本実施形態は、作業装置用配管21の耐久性を向上させることができる。
【0044】
なお本実施形態は、第1クランプ22が、互いに異なる作業装置用配管群を保持する第1段保持部と第2段保持部を有する構成にしてあるが、スイングポスト6内に作業装置用配管21を収容するに足る十分な配置スペースを確保可能な場合などにあっては、作業装置用配管群を保持する第3段保持部を第2段保持部の下方に設けた構成にしてもよい。この場合には、第2クランプ24にも、第3段保持部に保持される作業装置用配管群を保持可能な第3段保持部を、この第2クランプ24の第2段保持部の上方に設けた構成にする。このように構成したものも、図示しないスイングシリンダの反対側に作業装置7を揺動させた際に、各作業装置用配管群に含まれる作業装置用配管の拡開動作に伴って、隣り合う作業用配管同志が接触することがあっても、また上下に位置する作業装置用配管同志が接触することがあっても、互いの作業用配管の間にすべりを生じさせることができ、外側に位置する作業装置用配管への内側に位置する作業装置用配管の拡開動作に伴って生じる力の伝達を抑えることができる。したがって、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
2 旋回体
2a 旋回フレーム
5 ブラケット
5a 側壁
6 スイングポスト
6a 横穴
6b 取り付け部
7 作業装置
8 ブーム
9 アーム
10 バケット
11 ブームシリンダ
12 アームシリンダ
13 バケットシリンダ
20 コントロールバルブ
21 作業装置用配管
21a 予備用配管
21b 予備用配管
21c アーム用配管
21d バケット用配管
21e バケット用配管
21f アーム用配管
21g ブーム用配管
21h ブーム用配管
22 第1クランプ(旋回フレーム側保持体)
23 カバー
24 第2クランプ(スイングポスト側保持体)
25 連結ピン
30 ラバー
31 保持金具
35 ラバー
36 保持金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧アクチュエータを含む作業装置と、この作業装置を水平方向に揺動させるスイングシリンダと、上記作業装置が取り付けられ、水平方向に回動可能なスイングポストと、このスイングポストに上下方向に延設される連結ピンによって連結されるブラケットと、このブラケットが固定される旋回フレームを有する旋回体と、この旋回体上に配置されるコントロールバルブと、このコントロールバルブと上記複数の油圧アクチュエータのうちの該当するものを接続する複数の作業装置用配管とを有するとともに、
上記複数の作業装置用配管のうちの上記旋回フレーム側に位置する部分を保持する旋回フレーム側保持体と、上記複数の作業装置用配管のうちの上記スイングポスト側に位置する部分を保持するスイングポスト側保持体とを備え、
上記スイングポストは、上記連結ピンを挟んで上記スイングシリンダの反対側の位置に上記複数の作業装置用配管が挿入される横穴を有し、
上記複数の作業装置用配管の保持形態を、上記旋回フレーム側保持体から上記スイングポストの上記横穴間は、水平方向に沿うように延設し、上記スイングポストの上記横穴への上記作業装置用配管の挿入に際しては、上記連結ピンを回り込むようにして上記スイングポストの上記横穴に挿入し、その挿入位置よりも上方の位置において延設方向を反転させ、その状態において上記スイングポスト側保持体で挟持させ、その後に上方に向かうように延設させた保持形態にしてある旋回式建設機械において、
上記旋回フレーム側保持体は、第1段保持部と、この第1段保持部の下方に配置された第2段保持部とを含む複数段の保持部を有し、これらの複数段の保持部のそれぞれにおいて上記複数の作業装置用配管のうちの該当するものを挟持する第1クランプから成り、
上記スイングポスト側保持体は、上記第1クランプの上記第1段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第1段保持部と、この第1段保持部の上方に配置され、上記第1クランプの上記第2段保持部に挟持された複数の作業装置用配管を挟持する第2段保持部とを含む複数段の保持部を有する第2クランプから成ることを特徴とする旋回式建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の旋回式建設機械において、
上記第1クランプを上記ブラケットに固定するとともに、
上記スイングポストに設けられ、上記第2クランプが固定され、この第2クランプを覆うカバーを備えたことを特徴とする旋回式建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の旋回式建設機械において、
上記第1クランプは、この第1クランプの上記第1段保持部及び上記第2段保持部を形成する上記複数の作業装置用配管の挿入用の穴がそれぞれ水平方向に一列に設けられたラバーと、このラバーを拡開させないように当該ラバーを保持し、上記ブラケットに固定される保持金具とから成り、
上記第2クランプは、この第2クランプの上記第1段保持部及び上記第2段保持部を形成する上記複数の作業装置用配管の挿入用の穴がそれぞれ水平方向に一列に設けられたラバーと、このラバーを拡開させないように当該ラバーを保持し、上記カバーに固定される保持金具とから成ることを特徴とする旋回式建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の旋回式建設機械において、
当該旋回式建設機械は、小型建設機械を形成するミニショベルから成り、
上記作業装置は、上記スイングポストに上下方向の回動可能に取り付けられるブームと、このブームの先端に上下方向の回動可能に取り付けられるアームと、このアームの先端に上下方向の回動可能に取り付けられるバケットとを含むとともに、それぞれ上記油圧アクチュエータを形成し、上記ブームを駆動するブームシリンダ、上記アームを駆動するアームシリンダ、及び上記バケットを駆動するバケットシリンダを含み、
上記スイングポストは、上記連結ピンを挟んで上記横穴と反対側の位置に上記スイングシリンダの取り付け部を有し、
上記作業装置用配管は、上記ブームシリンダに接続されるブーム用配管、上記アームシリンダに接続されるアーム用配管、及びバケットシリンダに接続されるバケット用配管を含むことを特徴とする旋回式建設機械。
【請求項5】
請求項4に記載の旋回式建設機械において、
上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管をそれぞれ2本ずつ備え、
上記第1クランプにあっては、上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管のそれぞれ2本のうちの1本を、当該第1クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入させ、上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管のそれぞれ2本のうちの他の1本を、当該第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入させるようにし、
上記第2クランプにあっては、上記第1クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入した上記ブーム用配管、上記アーム用配管、及び上記バケット用配管と、上記第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入した上記アーム用配管を、当該第2クランプの上記第1段保持部を形成する上記穴に挿入させ、上記第1クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入した上記ブーム用配管、及び上記バケット用配管を、当該第2クランプの上記第2段保持部を形成する上記穴に挿入させるようにしたことを特徴とする旋回式建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−7217(P2013−7217A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140930(P2011−140930)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】