説明

昇華型熱転写リボン

【課題】昇華型熱転写リボンに関するものであって、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色に加えて熱転写性ブラックの色相を印刷用紙に転写させ、色相を表現することができるようにすることによって、転写の感度を増加させ写真の線明度を増加させる昇華型熱転写リボン。
【解決手段】昇華型熱転写リボンは、支持体と、前記支持体が熱転写プリンターから発散される熱エネルギによって溶融されることを防止するために前記支持体の一面に塗布される耐熱層と、前記支持体の反対面に昇華型染料の色相によって相互区分されるように塗布されるイエロー昇華型インク層(Y)と、マゼンタ昇華型インク層(M)およびシアン昇華型インク層(C)とが備えられた昇華型インク層とを含む昇華型熱転写リボンにおいて、前記昇華型インク層に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)がさらに備えられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は昇華型熱転写リボンに関するものであって、さらに詳細にはイエロー昇華型インク層、マゼンタ昇華型インク層およびシアン昇華型インク層が備えられた昇華型インク層に熱転写性ブラック昇華型インク層がさらに備えられることによって、熱転写プリンターの印加エネルギによりイエロー、マゼンタおよびシアンの3原色に加えて熱転写性ブラックの色相を印刷用紙に転写させるようにすることによって、すなわち、4つの色相の昇華型インク層で色相を表現することができるようにすることによって、転写の感度を増加させ写真の線明度を増加させることのできる昇華型熱転写リボンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を記録する方法としては、電子写真法、インクジェット方式、熱転写法などが適用されている。
【0003】
その中でも、熱転写記録方式は印刷時に騒音がなく機器の維持補修が容易であって、広範囲の分野において使用されていて、転写インク層が有する性質によって大きく溶融型方式と昇華型方式に分けられる。
【0004】
前記溶融型方式は熱転写プリンターの熱素子によって転写インク層が加熱、溶融されて受容層に転写された後、固化される方式であって、転写過程では色彩のみならず決着剤の成分までも受容層に転写されるので、連続的な階調を表現するのに限界がある。
【0005】
一方、前記昇華型方式は、転写インク層が昇華型染料と決着剤などからなっていて、熱転写プリンターの熱素子によって加えられた熱エネルギに比例して昇華型染料のみが受容層に伝達され画像が形成される方式であって、染料拡散型ともいわれる。
【0006】
前記のような昇華型方式は、熱転写プリンターの熱素子によって加えられた熱エネルギに比例して転写される染料量が調節可能なので転写画像に連続的な濃度諧調を表現するのが容易であって、ファクシミリ、コピー機のような事務自動化機器に広く用いられるのみならず、CAD、CAMなどの分野とグラフィックスデザイン分野、あるいは、電気的に表現された画像を印刷する分野まで及ぶなど広く使用されている。
【0007】
前記昇華型熱転写記録方式の原理は、電気的な信号によって再現されたカラー画像をカラーフィルターによって色分解し、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)の3つの画像に分離し、分離された3つの画像は電気的な信号の形態で熱転写プリンターの熱素子に伝達される。
【0008】
一方、電気的信号によって前記熱転写プリンターの熱素子が昇華型熱転写リボンの昇華型染料が塗布されている昇華型インク層の反対面に熱エネルギを加えると、昇華型染料がそれぞれ印刷用紙に転写されて画像が得られる。
【0009】
従来の技術による昇華型熱転写リボンは図1aに示されたように、昇華型熱転写リボンに塗布されているイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)の色相の染料がそれぞれの印刷用紙に転写され3つの染料の組み合わせによって画層が得られる方式であった。
【0010】
さらに、従来技術による昇華型熱転写リボンは図1bに示されたように、必要に応じてイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)の昇華型インク層以外にレジンブラック(resin black)インク層(K)を追加で備え、文字などを印刷した後、保護層(O:Overlay)をラミネーティング(laminating)することによって写真を完成させた。
【0011】
しかしながら、前記のような従来の技術による昇華型熱転写リボンは、イエロー、マゼンタ、シアンの色相の混合によって写真を表現する場合、色の深度を表現するのに限界があり、特に、灰色(gray)を正確に表現することができないので、写真の鮮明度が劣る問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、イエロー昇華型インク層とマゼンタ昇華型インク層およびシアン昇華型インク層とが備えられた昇華型インク層に熱転写性ブラック昇華型インク層がさらに備えられて、熱転写プリンターの印加エネルギによってイエロー、マゼンタおよびシアンの3原色に追加で熱転写性ブラックを印刷用紙に転写させるようにして、すなわち、4つの色相の昇華型インク層で色相を表現することができるようにして、転写感度を増加させ写真の鮮明度を増加させる昇華型熱転写リボンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明による昇華型熱転写リボンは、支持体と、前記支持体が熱転写プリンターから発散される熱エネルギによって溶融されることを防止するように前記支持体の一面に塗布される耐熱層と、前記支持体の反対面に昇華型染料の色相によって相互区分されるように塗布されるイエロー昇華型インク層(Y)とマゼンタ昇華型インク層(M)およびシアン昇華型インク層(C)とが備えられた昇華型インク層を含む昇華型熱転写リボンにおいて、前記昇華型インク層に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)がさらに備えられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる昇華型熱転写リボンは、前記それぞれの昇華型インク層同士が印刷の進行方向に対して並列に配列された状態で、前記支持体の反対面に連続的に塗布されて1つのパッチからなることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明にかかる昇華型熱転写リボンは、前記昇華型染料の色相によってそれぞれ独立的に前記支持体と前記耐熱層および前記昇華型インク層とを含む独立リボンユニットが構成され、前記それぞれの独立リボンユニットが印刷の進行方向に対して並列に配列されることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明にかかる熱転写性ブラックの色相が備えられた昇華型烈転写リボンは、前記それぞれの昇華型インク層は所定の色相を有する昇華型染料と、決着剤と、溶剤を含めて構成され、前記熱転写性ブラック昇華型インク層(B)は、ブラック色相を有する昇華型染料3乃至8重量%、決着剤2乃至8重量%、溶剤70乃至93重量%の調性比で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記のような構成によって、本発明にかかる昇華型熱転写リボンは、写真が含まれた身分証明用カードを印刷したり、総天然色の写真を表現する場合に、従来のイエロー、マゼンタ、シアンの3原色だけを使用する昇華型熱転写リボンと比較して、熱転写性ブラック昇華型インク像をさらに備えることによって転写の感度が増加する効果があり、ブラック(Black)と灰色(Gray)とをほぼ完璧に表現することによって、さらに鮮明な写真の表現が可能になるのみならず、色の深度表現に優れる効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下からは、図面に示された実施の例を参照して本発明にかかる熱転写性ブラックの色相が備えられた昇華型熱転写リボンをさらに詳細に説明する。
【0019】
図2、図3は本発明の第1の実施の例にかかるB−Y−M−C−O昇華型熱転写リボンの側面図および概念図であって、図4は本発明の第2の実施の例にかかるB−Y−M−C−K−O昇華型熱転写リボンの概念図であって、図5は本発明の第3の実施の例にかかるB、Y、M、C、O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【0020】
図2に示されたように、本発明の第1の実施の例にかかる昇華型熱転写リボンは、支持体10と、耐熱層20と、昇華型インク層30と、保護層(O)とからなっている。
【0021】
前記支持体10は、本発明にかかる昇華型熱転写リボンを支持する役割をする通常のポリエステルで構成され、4.0〜7.0μm厚のポリエステルを用いる方が好ましい。
【0022】
一方、前記支持体10の厚が4.0μm以下であると、印刷の途中前記支持体10が切断される問題が発生し、7.0μm以上であると、転写の感度が非常に劣ってしまう問題が発生する。
【0023】
前記耐熱層20は前記支持体10が熱転写プリンターから発散される熱エネルギによって溶融されることを防止する役割をするものであって、すなわち、熱転写プリンターの熱素子である熱ヘッド(thermal head)と融着されることを防止する役割をするものであって、前記支持体10の一面に塗布される。
【0024】
前記昇華型インク層30は印刷用紙に転写されるための所定の色を有する昇華型染料31がその色相によって互いに区分されるように、前記支持体10の反対面に塗布されて備えられるものであって、前記昇華型インク層30は昇華型染料31と決着剤32と溶剤33とを含めて構成され、使用の目的によって通常的に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料結晶化抑制剤などの各種の添加剤(図示せず)が含まれることもある。
【0025】
本発明の第1の実施の例に用いられた昇華型染料31はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよび熱転写性ブラックの総4つの色相の昇華型染料31を使用する。
【0026】
さらに具体的に、前記イエローの昇華型染料はY8000(日本国有本化学工業株式会社)などを使用し、マゼンタの昇華型染料はRED8375N(日本国有本化学工業株式会社)などを使用し、シアンの昇華型染料はB8540(日本国有本化学工業株式会社)などを使用し、最後に熱転写性ブラックの昇華型染料は前記イエロー、マゼンタおよびシアンの昇華型染料を混合して使用する。
【0027】
前記保護層(O)は、印刷用紙に転写されたインク層などを熱的、あるいは機械的応力から保護することができるようにラミネートの役割をするものであって、前記支持体10の反対面に前記昇華型インク層30と隣する位置に備えられている。
【0028】
一方、図4に示されたように本発明の第2の実施の例にかかる昇華型熱転写リボンには、本発明の第1の実施の例における前記昇華型インク層30と、前記保護層(O)のと間に文字などを印刷するためのレジンブラックインク層(K)が加えられて備えられている。
【0029】
すなわち、前記のレジンブラックインク層(K)は従来技術でも調べたように単純に黒の文字などを印刷するためのレジンブラックインク層(K)であって、前記昇華型インク層30は熱転写プリンターの印加エネルギによって色相を表現するための昇華型インク層30であって、前記レジンブラックインク層(K)と本発明にかかる熱転写性ブラック昇華型インク層(B)とは全く異なる構成である。
【0030】
一方、図3ないし図5では本発明の第1の実施の例乃至第3の実施の例にかかる昇華型熱転写リボンの概念図のみを示しているが、これを含めて本発明にかかる昇華型熱転写リボンは下記のようにインク層などが多様に配列および構成される。
【0031】
1)図3に示された本発明の第1の実施の例でのように、熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0032】
2)イエロー昇華型インク層(Y)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0033】
3)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−シアン昇華型インク層(C)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0034】
4)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−ブラック昇華型インク層(B)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0035】
5)図4に示された本発明の第2の実施の例でのように、熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0036】
6)イエロー昇華型インク層(Y)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0037】
7)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0038】
8)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−レジンブラックインク層(K)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0039】
9)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0040】
10)熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−蛍光物質を含有した樹脂層(Of)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0041】
11)イエロー昇華型インク層(Y)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−蛍光物質を含有した樹脂層(Of)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0042】
12)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−蛍光物質を含有した樹脂層(Of)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0043】
13)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−レジンブラックインク層(K)−蛍光物質を含有した樹脂層(Of)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0044】
14)イエロー昇華型インク層(Y)−マゼンタ昇華型インク層(M)−シアン昇華型インク層(C)−レジンブラックインク層(K)−熱転写性ブラック昇華型インク層(B)−蛍光物質を含有した樹脂層(Of)−保護層(O)を一つのパッチ(patch)として、このパッチが連続的に繋がった構造からなる昇華型熱転写リボン
【0045】
15)図5に示された本発明の第3の実施の例でのように、それぞれ独立的に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)と、イエロー昇華型インク層(Y)と、マゼンタ昇華型インク層(M)と、シアン昇華型インク層(C)と、保護層(O)とを含む独立リボンユニットが構成され、前記独立リボンユニットらの組合せで印刷可能となるようになされた昇華型熱転写リボン
【0046】
16)それぞれ独立的に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)と、イエロー昇華型インク層(Y)と、マゼンタ昇華型インク層(M)と、シアン昇華型インク層(C)と、レジンブラックインク層(K)と、保護層(O)とを含む独立リボンユニットが構成され、前記独立リボンユニットらの組合せで印刷可能となるようになされた昇華型熱転写リボン
【0047】
17)それぞれ独立的に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)と、イエロー昇華型インク層(Y)と、マゼンタ昇華型インク層(M)と、シアン昇華型インク層(C)と、レジンブラックインク層(K)と、蛍光物質を含有した樹脂層(Of)と、保護層(O)とを含む独立リボンユニットが構成され、前記独立リボンユニットらの組合せで印刷可能となるようになされた昇華型熱転写リボン
【0048】
前記の1)ないし14)は、それぞれの昇華型インク層30同士が印刷の進行方向に対して並列に配列されて一つのパッチからなったことを特徴とし、前記の15)ないし17)は、前記それぞれの昇華型インク層30同士がそれぞれ独立的な独立リボンユニットで構成されて印刷の進行方向に対して並列に配列されることを特徴とする。
【0049】
一方、前記決着剤32は樹脂フィルムとの接着力を向上させて、印刷時の階調性を向上させ、高品質の画像を得る役割をし、ポリビニルブチラールを必需成分とし、ポリビニルフォーマル、安息香酸、ポリビニルアセトアセタール、セルロースアセテートブチレートの中から選択された1種以上の混合物を使用する。
【0050】
さらに、前記溶剤33は、メチルエチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミドおよびトルエンの中から選択された1種以上の混合物を使用する。
【0051】
このように前記昇華型染料31と、前記決着剤32と、前記溶剤33とを含む前記昇華型インク層30の厚は乾燥状態で0.2〜2.0μmが適当である。
【0052】
前記昇華型インク層30の厚が0.2μm以下であると、感度の高い部分の写真を正常的に表現することができない問題が発生し、前記昇華型インク層30の厚が2.0μm以上であると、感度の低い部分の写真を正常的に表現することができない問題が発生することがある。
【0053】
前記それぞれの昇華型インク層30は、所定の色相の昇華型染料31の3乃至8重量%、決着剤32の2乃至8重量%、溶剤33の70乃至93重量%の調性比で構成されることが好ましいし、前記熱転写性ブラック昇華型インク層(B)も前記の調整比で構成される方が好ましい。
【0054】
一方、前記レジンブラックインク層(K)は、アクリル系高分子5乃至15重量%、黒色の染料混合物45乃至55重量%、トルエン15乃至25重量%、メチルエチルケトン15乃至25重量%の調整比で構成される方が好ましい。
【0055】
そして、前記保護層(O)は、アクリル系高分子15乃至25重量%、帯電防止剤1乃至3重量%、トルエン35乃至45重量%、メチルエチルケトン35乃至45重量%の調整比で構成される方が好ましい。
【0056】
このように本発明にかかる昇華型熱転写リボンで写真が含まれた身分証明用のカードを印刷したり、総天然色の写真を表現する場合、従来のイエロー(Yellow)と、マゼンタ(Magenta)およびシアン(Cyan)との3原色が備えられた昇華型染料31混合物で総天然色写真を表現する時よりも転写の感度が20%以上上昇するので、さらに鮮明で品の高い写真の表現が可能なのが実験で確認された。
【0057】
一方、本発明にかかる昇華型熱転写リボンで写真が含まれた身分証明用のカードを印刷したり、総天然色の写真を表現する場合、従来のイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)の3原色のみで表現した写真に比べて非常に優れた結果が得られる。
【0058】
以下からは、本発明にかかる昇華型熱転写リボンを実施の例および比較例を通じてさらに具体的に説明する。
【0059】
[実施の例1]
20重量%のポリアセテート系の高分子化合物(VMCH:ユニオンカーバイドケミカルコリア株式会社)と、5重量%の粉末状シリカ(NIPSIL E220A;Nippon Silica Industrial Co.,Ltd.)を75重量%のメチルエチルケトン溶媒に十分溶かして40g/mを特殊紙に塗布して受像紙を用意する。
【0060】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ株式会社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に、下の[表1]の熱転写性ブラック昇華型インク層(B)の組成物と、[表2]のイエロー昇華型インク層(Y)の組成物と、[表3]のマゼンタ昇華型インク層(M)の組成物と、[表4]のシアン昇華型インク層(C)の組成物と、[表5]の保護層(O)の組成物とを順次的に羅列されるように塗布して図3に示された本発明の第1の実施の例にかかる昇華型熱転写リボンのようなB−Y−M−C−Oの形態の昇華型熱転写リボンを用意する。
【0061】
[表1]熱転写性ブラック昇華型インク層(B)の組成物
【0062】
【表1】

【0063】
[表2]イエロー昇華型インク層(Y)の組成物
【0064】
【表2】

【0065】
[表3]マゼンタ昇華型インク層(M)の組成物
【0066】
【表3】

【0067】
[表4]シアン昇華型インク層(C)の組成物
【0068】
【表4】

【0069】
[表5]保護層(O)の組成物
【0070】
【表5】

【0071】
前記昇華型熱転写リボンを日本国新興製作所(Shinko Mechatro Tech Co.,Ltd.)で製造したプリンターであるS5410を用いて諧調評価画像と人物画像とを印刷し、インク受容体(印刷用紙)としては前記新興製作所で製造した受像紙を使用した。
【0072】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0073】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0074】
[実施の例2]
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[実施の例1]に追加で下の[表6]に記載されたレジンブラックインク層(K)の組成物をシアン昇華型インク層(C)と、保護層(O)との間に配列して図4に示された本発明の第2の実施の例にかかる昇華型熱転写リボンのようなB−Y−M−C−K−Oの形態の昇華型熱転写リボンを用意する。
【0075】
[表6]レジンヴラックインク層(K)組成物
【0076】
【表6】

【0077】
前記昇華型熱転写リボンを大韓民国アイエンエイシステム社で製造したカードプリンターであるスマート(Smart)プリンターを用いて諧調評価画像と人物画像を印刷し、インク受容剤としては厚0.84mmである白色のポリ塩化ビニルカードを使用した。
【0078】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0079】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0080】
[実施の例3]
20重量%のポリアセテート系の高分子化合物(VMCH:ユニオンカーバイドケミカルコリア株式会社)と、5重量%の粉末状のシリカ(NIPSIL E220A;Nippon Silica Industrial Co.,Ltd.)とを75重量%のメチルエチルケトン溶媒に十分溶かして40g/mを特殊紙に塗布して受像紙を用意する。
【0081】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ株式会社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表1]の熱転写性ブラック昇華型インク層(B)の組成物を連続塗布して図5のB形態の独立リボンユニットを用意する。
【0082】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表2]のイエロー昇華型インク層(Y)の組成物を連続塗布して図5のY形態の独立リボンユニットを用意する。
【0083】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表3]のマゼンタ昇華型インク層(M)の組成物を連続塗布して図5のM形態の独立リボンユニットを用意する。
【0084】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表4]のシアン昇華型インク層(C)の組成物を連続塗布して図5のC形態の独立リボンユニットを用意する。
【0085】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表5]の保護層(O)の組成物を連続塗布して図5のO形態の独立リボンユニットを用意する。
【0086】
前記独立リボンユニットで構成された昇華型熱転写リボンを日本国新興製作所(Shinko Mechatro Tech Co., Ltd.)で製造したプリンターであるS1410を用いて諧調評価画像と人物画像とを印刷し、インク受容体(印刷用紙)としては前記新興製作所で製造した受像紙を使用した。
【0087】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0088】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0089】
[比較例1]
20重量%のポリアセテート系の高分子化合物(VMCH:ユニオンカーバイドケミカルコリア株式会社)と、5重量%の粉末状シリカ(NIPSIL E220A;Nippon Silica Industrial Co.,Ltd.)とを75重量%のメチルエチルケトン溶媒に十分溶かして40g/mを特殊紙に塗布して受像紙を用意する。
【0090】
裏面に耐熱処理がなされている日本国東レ株式会社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がなされていない表面に[表2]のイエロー昇華型インク層(Y)の組成物と、[表3]のマゼンタ昇華型インク層(M)の組成物と、[表4]のシアン昇華型インク層(C)の組成物と、[表5]の保護層(O)の組成物とを順次的に羅列されるように塗布して図1aのようなY−M−C−Oの形態の昇華型熱転写リボンを用意する。
【0091】
前記昇華型熱転写リボンを日本国新興製作所(Shinko Mechatro Tech Co.,Ltd.)で製造したプリンターであるS5410を用いて諧調評価画像と人物画像とを印刷し、インク受容体(印刷用紙)としては前記新興製作所で製造した受像紙を使用した。
【0092】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0093】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0094】
[比較例2]
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[比較例1]に加えて[表6]に記載されたレジンブラックインク層(K)の組成物をシアン昇華型インク層(C)と、保護層(O)との間に配列して図1bのようなY−M−C−K−Oの形態の昇華型熱転写リボンを用意する。
【0095】
前記昇華型熱転写リボンを大韓民国アイエンエイシステム社で製造したカードプリンターであるスマート(Smart)プリンターを用いて諧調評価画像と人物画像を印刷し、インク受容剤としては厚0.84mmである白色のポリ塩化ビニルカードを使用した。
【0096】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0097】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0098】
[比較例3]
20重量%のポリアセテート系の高分子化合物(VMCH:ユニオンカーバイドケミカルコリア株式会社)と、5重量%の粉末状のシリカ(NIPSIL E220A;Nippon Silica Industrial Co.,Ltd.)とを75重量%のメチルエチルケトン溶媒に十分溶かして40g/mを特殊紙に塗布して受像紙を用意する。
【0099】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表2]のイエロー昇華型インク層(Y)の組成物を連続塗布して図5のY形態の独立リボンユニットを用意する。
【0100】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表3]のマゼンタ昇華型インク層(M)の組成物を連続塗布して図5のM形態の独立リボンユニットを用意する。
【0101】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表4]のシアン昇華型インク層(C)の組成物を連続塗布して図5のC形態の独立リボンユニットを用意する。
【0102】
裏面に耐熱処理がされている日本国東レ社のポリエステルフィルム(商品名:FC−531、厚5.7μm)の耐熱処理がされていない表面に[表5]の保護層(O)の組成物を連続塗布して図5のO形態の独立リボンユニットを用意する。
【0103】
前記独立リボンユニットで構成された昇華型熱転写リボンを日本国新興製作所(Shinko Mechatro Tech Co.,Ltd.)で製造したプリンターであるS1410を用いて諧調評価画像と人物画像とを印刷し、インク受容体(印刷用紙)としては前記新興製作所で製造した受像紙を使用した。
【0104】
この際、諧調評価の画像はイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)の256階調を10等分して作り、印刷された諧調評価画像の転写の感度はスイスグレタグマックベス(Gretag Macbeth)AG社の光学密度測定装置であるD19Cを用いて測定した。
【0105】
さらに、人物画像の鮮明度の評価は肉眼観察し、評価の結果は[表7]に要約しておいてある。
【0106】
[表7]評価の結果
【0107】
【表7】

【0108】
〈鮮明度の程度〉
1段階:事物のアウトラインの区分が不明確な程度の鮮明度
2段階:事物のアウトラインの区分は可能であるが正確な観察は難しい程度の鮮明度
3段階:髪の毛などの微細な事物を除いた事物を正確に観察することができる程度の鮮明度
4段階:髪の毛などの微細な事物のアウトラインまで観察することができる程度の鮮明度
5段階:髪の毛などの微細な事物まで正確に観察することができる程度の鮮明度
前記[表7]の評価の結果で調べたように実施の例1ないし実施の例3の本発明にかかる昇華型熱転写リボンは、比較例1ないし比較例3の従来技術にかかる昇華型熱転写リボンを使用した場合より最大の転写感度がすべての実施の例で増加したことを確認することができ、鮮明度も増加したことを確認することができる。
【0109】
すなわち、本発明にかかる昇華型熱転写リボンは写真が含まれた身分証明用カードを印刷したり、総天然色の写真を表現する場合、従来のイエロー、マゼンタ、シアンの3原色のみを使用する昇華型熱転写リボンと比べて熱転写性ブラック昇華型インク層(B)をさらに備えることによって転写の感度が増加する效果があり、ブラック(Black)と灰色(Gray)をほぼ完璧に表現することによりさらに鮮かな写真の表現が可能なだけでなく色の深度の表現に優れた效果が奏する。
【0110】
前記されていて図面に示された昇華型熱転写リボンは、本発明を実施するための一つの実施の例に過ぎないし、本発明の技術的思想を限定するものであると解釈されてはいけない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載した事項によってのみ定められるし、本発明の要旨から外れることなく改良および変更された実施の例は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に自明なことである一発明の保護範囲に属すると言える。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1a】従来の技術にかかるY−M−C−O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【図1b】従来の技術にかかるY−M−C−K−O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の例にかかるB−Y−M−C−O昇華型熱転写リボンの側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の例にかかるB−Y−M−C−O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【図4】本発明の第2の実施の例にかかるB−Y−M−C−K−O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【図5】本発明の第3の実施の例にかかるB、Y、M、C、O昇華型熱転写リボンの概念図である。
【符号の説明】
【0112】
10:支持体
20:耐熱層
30:昇華型インク層
31:昇華型染料
32:決着剤
33:溶剤
Y:イエロー昇華型インク層
M:マゼンタ昇華型インク層
C:シアン昇華型インク層
B:熱転写性ブラック昇華型インク層
K:レジンブラックインク層
O:保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体が熱転写プリンターから発散される熱エネルギによって溶融されることを防止するために前記支持体の一面に塗布される耐熱層と、前記支持体の反対面に昇華型染料の色相によって相互区分されるように塗布されるイエロー昇華型インク層(Y)と、マゼンタ昇華型インク層(M)およびシアン昇華型インク層(C)とが備えられた昇華型インク層とを含む昇華型熱転写リボンにおいて、
前記昇華型インク層に熱転写性ブラック昇華型インク層(B)がさらに備えられることを特徴とする昇華型熱転写リボン。
【請求項2】
前記それぞれの昇華型インク層同士が印刷の進行方向に対して並列に配列された状態で前記支持体の反対面に連続的に塗布されて一つのパッチからなることを特徴とする請求項1に記載の昇華型熱転写リボン。
【請求項3】
前記昇華型染料の色相によって、それぞれ独立的に前記支持体と前記耐熱層および前記昇華型インク層とを含む独立リボンユニットが構成され、前記それぞれの独立リボンユニットが印刷の進行方向に対して並列に配列されることを特徴とする請求項1に記載の昇華型熱転写リボン。
【請求項4】
前記それぞれの昇華型インク層は所定の色相を有する昇華型染料と決着剤と溶剤とを含めて構成され、
前記熱転写性ブラック昇華型インク層(B)はブラック色相を有する昇華型染料3乃至8重量%、決着剤2乃至8重量%、溶剤70乃至93重量%の調整比で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の昇華型熱転写リボン。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−83129(P2010−83129A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328113(P2008−328113)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508377417)デジキューブ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Digicube Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Bonbu−dong Room No.412,Buk−gu,Gwangju−si,500−706,Republic of Korea
【Fターム(参考)】