説明

昇降システム

【課題】本発明は、自己支持性の昇降システムを提供する。
【解決手段】昇降システムは、互いに関して変位可能に設けられている第1のタイプの段及び第2のタイプの段を備え、手すり子の少なくとも一つの上部は、手すり(7)に取り付けられ、階段の近似端(6A)から遠位端(6B)まで延びており、第1のタイプの少なくとも一つの段(2)は、第1のタイプ及び第2のタイプの少なくとも一つの段を昇降するために、少なくとも一つの昇降手段(4)に固定され、第2のタイプの少なくとも一つの段は、少なくとも一つの実質的に垂直に延びる手すり子(5)に固定されている。このシステムは、標準的な階段として機能し、例えば、車いす又は他の方法を使用している物理的な障害を持っている人の安定で安全なリフティングのためや、歩行障害のある人のために使用されるこができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段が常に水平のままである階段の昇降システムに関する。システムは、通常の階段として機能し、歩行可能な人のために使用できることに加えて、例えば、車いすを使用している人や物理的な障害を受けている人を持ち上げるために使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
近代的な建物において、建築家に対して挑戦をもたらす重要な問題は、建物内の異なる段差間の結合である。結合は、標準的な階段を使用することができない人々だけでなく、障害を有する人々、例えば、車いすを使っている物理的に障害を受けた人や、ベビーカーに乗っている子供と一緒の両親の輸送を容易にしなければならない。持ち上げる人の可能な数は非常に多いが、それらは重大な欠点を持っている。
【0003】
第1の解決は、あらゆる種類の人々や、彼らの物や家財の輸送を可能にする利点を持つエレベータの使用である。更に、この方法は、他の方法のように多くのスペースを必要としない。エレベータの不利な点には、安全を確保するために階段と連結されなければならないという点や、既存の建物や新しい建物に設置するには非常にコストがかかるという点を含んでいる。また、エレベータは、建物を残すことを余儀なくする火事や他の緊急事態の際の脱出に関して安全ではない。
【0004】
第2の解決は、プラットフォームやレールを有する昇降システムと階段を結合することである。プラットフォームは、階段の上方のレール上で上下に滑るように水平位置で保持されている。プラットフォームが使用されないとき、垂直方向の格納位置へ上げられる。不利な点の一つは、この種のシステムが全体として階段及び建物に加えられて、美しくなく大きく見える点である。また、このようなプラットフォームの機能は、建物に残ることが余儀なくされる火事や他の緊急事態の間に、救出することができる人の数を制限する。
【0005】
第3の解決は、アメリカ合衆国特許番号第5,234,078号に記載されている。この解決は、他の位置から車いすの障害を受けた人を持ち上げるだけでなく、標準的に使用されることができる階段の機能をエレベータにもたせることである。昇降システムは、高い位置までプラットフォームや階段を上げることに関して、階段の上端に連結されたプラットフォームの昇降を含んでいる。
【0006】
ムーブメントは、二つのポストに沿って階段の下端を持ち上げるモータ手段によって構成されている。モータ手段は、特に、システムの美しい外観を邪魔し、モータ手段を容易にするために階段の下にスペースを必要とするので、問題がある。
【0007】
第4の解決は、ヨーロッパ特許公開番号1,254,858A1に記載されている。この方法は、多くの上述した欠点に関しての解決方法を提供することに成功し、昇降システムの第1及び第2のセクションを含む昇降システムについて記述し、第1及び第2のセクションを結合するための手段を記述している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、背景技術の上述した欠点のない昇降システムを作ることを可能にすることである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、安定かつ自己支持性で、簡易で、軽く、組み立て容易な構成部品を必要とする昇降システムを提供することを可能にすることである。
【0010】
本発明の他の目的は、その設計と提供された解決法によって、安全な昇降機能を備える安全な昇降システムである構造を提供することを可能にすることである。さらに、本発明の目的は、たとえあったとしても、メンテナンスの絶対最小値を必要とする昇降システムを提供することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的によれば、昇降システムは、自己支持性の昇降システムを提供するための階段に関して想定されており、昇降システムは、第1のタイプの少なくとも一つの段と第2のタイプの少なくとも一つの段とを備え、第1のタイプの段と第2のタイプの段は互いに関して変位可能に設けられており、少なくとも一つの手すり子の上部が手すりに取り付けられており、手すりは階段の近似端から階段の遠位端まで延びており、第2のタイプの少なくとも一つの段と手すり子の少なくとも一つは手すり子の下端の近傍で、階段の二つの添設部材に対して第1のスイベルジョイントで回転可能に結合され、少なくとも二つの添設部材は階段の近似端から階段の遠位端まで延びており、少なくとも一つの手すり子は、少なくとも一つの手すり子の上端の近傍で第2のスイベルジョイントで手すりに回転可能に結合されており、二つの添設部材のそれぞれは、二つの添設部材の遠位端の近傍で第3のスイベルジョイントで昇降手段に対して回転可能にヒンジで動くように取り付けられており、第1のタイプの少なくとも一つの段は、第1のタイプの少なくとも一つの段と第2のタイプの少なくとも一つの段を上下するために少なくとも一つの昇降手段に固定されており、第2のタイプの少なくとも一つの段は、少なくとも一つの実質的に垂直に延びる手すり子の下端に固定されており、第1のタイプの少なくとも一つの段の上昇と下降をもたらす昇降手段を作動し、これによって第2のタイプの少なくとも一つの段の上昇と下降をもたらす。
【0012】
本発明による手すり子の下端で段に対して手すり子を強固に取り付けることによって、安定した昇降システムがシステムの剛性を増加するものとして提供される。また、本発明による昇降手段に対して添設部材を取り付けることによって、本発明の安定性がさらに改良される。昇降システムの独立性は、共に作用するようになっている昇降システムを形成する可能性に関し、及び昇降システムの異なる作用に関して非常に増えている。
【0013】
昇降手段は、電気的アクチュエータ、空気圧又は水圧シリンダ、例えば、歩行障害のある人と車いすの昇降のために適当な変位をもたらすために用いられる同種の手段とすることができる。
【0014】
段又は段を支持する他の部分は、昇降手段が最も低い位置にあるときに、例えば、少なくとも部分的に他の部分を支持するように形成されることもできる。支持は、少なくとも部分的に互いに重なっている段、又は適当な方法で相互に連結されている段によってもたらされることができる。しかし、段の上面は、相互に重なっている状態又は相互に連結している状態で、依存しない同じレベルにあるべきである。これは、例えば、他の段と重なっている段によってもたらされることもでき、逆も同様である。鳩尾状の溝は、重なっている部分に関して、段の表面が階段の最も低い位置と同じ位置になることを妨げないように、段のエッジ近傍に設けられている。したがって、重なり又は相互連結は、段が最も低い位置にあるときに、好ましくは面一になる段の表面を傷付けてはならない。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、第1のタイプの段の一つは、プラットフォームに取り付けられ、又はプラットフォームに形成され、プラットフォームは、昇降手段に対して第1のタイプの段を取り付けることで、昇降手段によって昇降されるように意図され、昇降手段は第1のタイプの段に略重量方向で力をもたらすために用いられ、添設部材は、近似端において添設部材の横方向の変位を許容するための手段を備えている。
【0016】
添設部材の横方向の変位を許容する手段は、添設部材が床上で容易に滑ることができるようにするためと、重力方向以外の方向で昇降手段に作用する力を妨げるための手段の一部として設けられている。第1段又はプラットフォームは、サポートのためにたくさんの昇降手段を備えたり、プラットフォームの第1の段に作用する重力方向の力を実質的に有するようにしたり、又は重力方向に作用しない力の大きさを少なくとも最小にしたりするように用いられることもできる。このようにして昇降手段を備えることによって、例えば、システムのメンテナンスは、発明の他の目的を実現することの他に制限されている。
【0017】
好ましくは、第2のタイプの段の第1段には、第1段が最も低い位置にあるときに、歩行障害を受けた人に能力を持たせるため、及び/又は歩行障害を受けた人が第1段に上がったり、第1段から降りたりすることを助けるためのスロープが設けられている。より好ましくは、第2のタイプの第1段が最も低い位置にないときに、スロープは床と面一になっており、スロープは、第2のタイプの第1段が最も低い位置にあるときにのみ機能する。スロープの作用は、第2のタイプの第1段が最も低い位置に下がったときに自動的に生じる。スロープは、詳細な説明の中で説明されたように備えることもできるが、スロープのところにある段が最も低い位置にないときに停止するように備えたり、段が最も低い位置にあるときにスロープとして機能するように備えたりすることもできる。すなわち、スロープは段が最も低い位置にないときに上向きに旋回される。安全性は、車いすが転がる事故に対して高められている。
【0018】
可能な実施形態によると、段は、L形ブラケットのような第1の取付手段によって、手すり子の下端に強固に取り付けられる。第1の取付手段は、添設部材の第1のスイベルジョイントに対してこの第1の取付手段を取り付けるための手段を備えている。したがって、第1の取付手段は、第1のスイベルジョイントによって添設部材を有する段に相互に連結する。個々の構成部品の数は減少し、昇降システムを機能させる。したがって、可能な実施形態において、可能なL形ブラケットはスイベルジョイントに備えることもでき、段の取り付けを手すり子の取り付けや添設部材の取り付けと一体的に行なうこと可能である。
【0019】
第1の取付手段は、段の外側のエッジに沿って延びるフレームとして備えることもできる。これによって、第1の取付手段は、一方の添設部材から他方の添設部材へ延び、さらに、段のそれぞれの側に手すり子を取り付けるために使用される。したがって、第1の支持手段は段の表面の少なくとも一部分を支持することができる。これによって、第1の支持手段は、段の表面に関する材料選択とは無関係に、段及び昇降システムに剛性及び強度をもたせるように設けられ、この結果、ユーザや建築家に材料を選択させることが可能となる。第1の取付手段は、二つの分離パーツとすることもできる。一つの部品は、段のそれぞれの側に設けられる。第1の取付手段は、添設部材の挿入に関して段の側に取り付けられている棒に形成することもできる。手すり子は、ねじや、接着剤や、キー及び溝や、それらの組み合わせなどの締結手段によって直接に段に取り付けられることもできる。
【0020】
可能な追加の実施形態又は他の実施形態によると、手すり子の上端は、手すり子の上端を第2の取付手段に対して堅固に取り付けることによって、手すりに回転可能に取り付けられている。第2の取付手段は、手すりと共に第2のスイベルジョイントを形成するための手段を備えている。したがって、縦棒などの第2の取付手段は、第2のスイベルジョイントによって手すり子を手すりに相互接続する。個々の構成部品の数は減少し、昇降システムを機能させる。したがって、可能な実施形態において、可能な縦棒はスイベルジョイントを備えることもでき、手すりに対する手すり子の取り付けのように、昇降システムに対して手すりを取り付けることができる。
【0021】
第2の取付手段は、手すり子に関して木などの材料が十分に強くないときに、特に使用される。第2の取付手段は、代替的又は追加的に、手すりの下側の溝に隠れているスイベルジョイントの形成部分として使用されることもできる。代替的の場合、第2の取付手段は手すりに堅固に取り付けられ、手すり子の上端は手すりに第2の取付手段を連結するための手段を備える。したがって、安全性を高めることや、昇降システムの部品の数を制限することに関して多くの可能性が提示されている。
【0022】
添設部材の両端に昇降手段を設けることによって、階段の一端にプラットフォームを設ける必要がなくなる。さらに、手すり子に対して堅固に連結された状態で備わっている段の態様によって、階段及び組み合わされた昇降システムのような本発明による構造は、スペースを節約し、安定した構造を形成する。
【0023】
本発明の他の実施形態によると、第1のタイプ又は第2のタイプの段の少なくとも一つは、低い所から段を妨害している任意の対象物を検出するための段の下側に第1の検出手段を備える。
【0024】
本発明の他の実施形態によると、第1のタイプ又は第2のタイプの段の少なくとも一つは、第1のタイプの段の少なくとも一つに存在する任意の対象物を検出するための第2の検出手段を備える。第1及び第2の検出手段は、昇降手段のための制御手段を備える荷重検出手段と結合されることもできる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、昇降システムは、さらに、ユーザによる入力を受けて、昇降手段及び第1の検出手段に対して接続するための制御手段を備える。制御手段は、ユーザ入力によって昇降手段を機能させると同時に、明瞭な信号が第1の検出手段から得られたときに昇降手段を下げるように制御することを可能とする。
【0026】
これによって、更なる安全がプラットフォームが常時存在するシステムにもたらされる。
【0027】
本発明の更なる実施形態によると、昇降システムは、さらに、ユーザによる入力を受けて、昇降手段及び第1,2の検出手段に対して接続される制御手段を備える。制御手段は、ユーザ入力によって昇降手段を機能させると同時に、明瞭な信号が第1、第2の検出手段から得られたときに昇降手段を下げるように制御することを可能とする。
【0028】
これによって、添設部材の両端での昇降手段が同じ位置にあるときに、更なる安全が、プラットフォームが段によって形成されるシステムにもたらされる。人又は対象物が、段によって形成されたプラットフォーム上にあるときに、プラットフォームは通常の階段に変わることはできないかもしれない。仮に起こったとしたならば、対象物がプラットフォームから落ちてダメージを受けたり、人がプラットフォームから落ちて怪我をすることもある。
【0029】
昇降システムの全ての実施形態は、昇降手段を機能させるように使用されることができる。それによって、歩いている人の物理療法トレーニングに関して適切な段間の高さの差をもたらす。本発明は、主電源によって電気的に動力が供給されるようになっている。しかしながら、緊急の場合や主電源の電気が遮断された場合に、昇降手段を駆動するためのバッテリなどの電力バックアップが想定されている。また、緊急の場合で安全性を確実にするために、ライトアップしたり、少なくとも昇降システムの位置を示したりする、緊急ライトが備えられることもできる。
【0030】
本発明は、以下において図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1及び図2(a)〜(d)は、本発明の実施形態による昇降システムを示す。図は、昇降手段4に関して固定された関係にあり、昇降手段4の少なくとも一つに取り付けられている段2の第1のタイプを示す。本発明のこの実施形態において、昇降手段は、プラットフォーム12の各コーナに連結された4つの電気的直動アクチュエータからなっている。手すり子ブラケット22は、略垂直方向に延びている手すり子5に対して昇降手段を取り付けるために設けられている。また、固定された段2は、ヒンジ11で添設部材6に連結されている。第2のタイプの段3及びこの垂直位置は、固定された段2及び昇降手段4に関して変位可能である。示される本発明の実施形態において、第2のタイプの4つの段3が設けられている。図1に示されるように、段2,3の両タイプは水平である。第1,2の二つのタイプは、昇降システムの上昇と下降の間は水平のままである。
【0032】
個々の側で、全ての段は略垂直に延びる手すり子5に対して堅固に固定されている。したがって、手すり子5は、段に対して垂直に設けられているように示されている。第2のタイプの各段は、添設部材6に支持されている。第2のタイプは、手すり子5の下端の近傍においてスイベルジョイント8で旋回可能である。個々の手すり子5は、スイベルジョイント15によって手すり7に取り付けられ、それによって、個々の手すり子5は回転可能である。個々の手すり子5は、また、スイベルジョイント8で添設部材6に関して回転可能である。
【0033】
二つの添設部材6のそれぞれは、第3のスイベルジョイント11で昇降手段に対して遠位端6Bでヒンジで動くように固定されている。添設部材6の近似端6Aにおいて、ホイール10又は他の同種の手段は、昇降システムがプラットフォーム12及び第1,2のタイプの段2,3と共に昇降するように、添設部材6を床(図示せず)に交差して移動させるために設けられている。
【0034】
添設部材6が下がり、添設部材6の近似端6Aが床(図示せず)に交差して移動するとき、添設部材はバー16に下向きの力を加える。これによって、スロープ9は、階段の近似端で床面から第2のタイプの段3の高い位置まで延びる面を形成するために上がる。本発明のこの特徴は、さらに、図5及び図6に記載されている。
【0035】
手すり子5は、手すり7に対して手すり子5を取り付けるために設けられた第1、第2の取付手段13,14によって第1,2のタイプの段2,3に連結されている。昇降手段4の部分を形成する直動アクチュエータは二つであり、二つは互いに梁17によって相互に連結されている。図には一つの梁17が示されている。他の一つの梁17はプラットフォーム12によって隠されている。梁17は、昇降システムの他の構成要素の部分として提供されている。これによって、昇降システムを自己支持し、安定にし、高剛性にする。これによって、昇降システムが設置される建物の他の部分に連結されることを必要としない。
【0036】
各段2,3は、下がっているところから、段を妨害する任意の対象物の検出のために段の下側に沿って第1の検出手段(図示せず)を設けることができる。一つ以上のユーザ端末は、例えば、階段の近似端6Aや、階段の遠位端6Bにおけるプラットフォーム12の近似端12Aや、プラットフォーム12の遠位端12Bなどで、一つ以上の場所に配置されることができる。検出手段及び一つ以上のユーザ端末は、昇降手段及び昇降システムを制御するための制御箱(図示せず)を介して昇降手段を駆動するために必要な他の動力源に接続されることもできる。制御箱は、ユーザ入力及び検出手段によって検出された信号により、プラットフォーム12及び階段の段2,3の昇降を制御する。
【0037】
昇降手段4が機能するとき、段と、手すり7と、手すり子5と、昇降手段4の結合のために、第1,2のタイプの全ての段は水平のままとなるが、床の上にある段2,3の上面の高さの垂直位置は変化する。例として、階段は標準の階段を形成することもでき、第1の段2と共にプラットフォーム12は図2(a)に示される床上の高い位置とすることもできる。ユーザは、床の高さの低い位置で車いすに座っている。ユーザは、ユーザが低い位置から高い位置へ上がることを望む信号をユーザ入力手段で入力する。もし、対象物が、第1,2のタイプの段2,3の下側にある検出手段で検出されなかったならば、プラットフォームは段が平坦面を形成するまで下がり、スロープ9は床の低い面と段の上面に結合する。車いすのユーザは、床(図示せず)から段に入ることができ、ユーザがプラットフォーム12に位置するまで移動することができる。ユーザがプラットフォーム12に位置したとき、ユーザは昇降手段を機能させて、高い位置に上がることができる。
【0038】
図3は、本発明による他の実施形態を示す。本発明のこの実施形態において、第1のタイプの二つの段2と、第2のタイプの三つの段3が示されている。本発明のこの実施形態において、昇降手段は、階段の各コーナに配置された四つの電気的直動アクチュエータからなっている。段3は、固定された段2に関して垂直方向に変位可能であり、昇降手段4に関して垂直方向に変位可能である。昇降手段は、図1に示されるように、階段の一端又は両端において、手すり子ブラケット22で手すり子に連結されている。本発明のこの実施形態において、添設部材18は、第3のスイベルジョイント11により添設部材18の両端において昇降手段4に対してヒンジで動かされる。手すり7は手すり子5に連結され、手すり子5は図1の説明にあるように段3に連結されている。
【0039】
図3に示されるように、本発明の実施形態によると、昇降手段は、示される階段の全ての五つの段2,3でプラットフォームを形成するように機能されることもできる。ユーザは、段によって形成されるプラットフォームに移動し、昇降手段を機能させることで、他の位置に上がることができる。一例として、階段は標準的な階段を作ることもできる。第1のタイプの段2は、図3に示されるように、床上の高さ位置とすることもできる。ユーザは、床の低い位置で車いすに座っている。ユーザは、ユーザが低位置から高位置まで上がることを望む信号をユーザ入力手段で入力する。もし、対象物が第1のタイプ及び第2のタイプの段2,3の下側にある検出手段によって検出されないならば、プラットフォームは、段が床の低い面において平坦面を形成するまで下げられる。今、車いすのユーザは、プラットフォームを形成する段に乗ることができる。ユーザが段上に位置し、段が低い位置にあるとき、ユーザは昇降手段を機能させて高い位置に上がることができる。
【0040】
段は、段上に如何なる対象物も存在しないことを検出するための第2の検出手段(図示せず)を設けることもできる。これは、段がプラットフォームを形成するときに、本質的に必要とされる。ユーザ入力には、プラットフォームを階段に変える為の要求が与えられている。これは、歩行障害のある人が乗っている車いす又は障害のない人がプラットフォームに存在するときには、可能とする必要はない。昇降手段は、システムの一端において、ホイール又は、階段の昇降中に添設部材18の近似端においてアクチュエータ間の互いの距離が変わるとき、床に沿って昇降手段の移動を可能とする同種の手段を備えることもできる。
【0041】
図3による実施形態において、この実施形態は、図1に関して説明されているようにスロープを備えることもできる。したがって、添設部材18が下がり、添設部材18の近似端18Aが水平に変位したとき、添設部材18はバー16(図1に示す)に下向きの力を与え、これによって、スロープは、床の面から階段の近似端における第2のタイプの段3の上面まで延びる面を形成するために、持ち上げられる。本発明のこの態様は、さらに、図5及び図6において説明されている。
【0042】
図4(a)〜(d)は、図1に示すように昇降システムを示している。階段の段は平坦面を形成し、スロープは段の面と床の面を接続する面を形成する。
【0043】
図5(a)、(b)は、ホイール10又は同種の取付部材を有する添設部材6の近似端を示す。特に、ジョイント9で添設部材6に取り付けられているスロープ9を示す。スロープ9は、ヒンジ20の回りで回転可能である構成要素21を備えている。構成要素21は、図1で示されて説明されたバー16を含んでいる。図5において、第2のタイプの段3は、最も低い位置とは異なる位置にある。第2のタイプの段3及び添設部材6は、床の方に下がる。添設部材6はバー16を機能させ、構成要素21はヒンジ20の回りを時計方向に回転する。添設部材6が下がり続けるとき、第2のタイプの段3に最も近接するスロープの一端が、第2のタイプの段3と面一になるまで、回転を続ける。支持ビーム23は、横に延び、バー16に連結するため、スロープ9が上がった位置にあるときに、支持ビーム23も上がった位置となり、全幅に沿ってスロープ9を支持する。したがって、ジョイント19及びヒンジ20上での荷重が減少し、ジョイント19及びヒンジ20に荷重負担を生じたり、ダメージを生じたりすることなく、重量物でさえスロープを通過することができる。
【0044】
図6(a)、(b)は、図5に示されるように、添設部材6の一端を示す。しかし、図6において、段3は床(図示しない)に関して最も低い位置にある。第2のタイプの段3に最も近接するスロープの一端は、段3と面一である。構成要素21の面23は、段3が床(図示しない)に対して最も低い位置にあるときに、スロープの少なくとも一部に沿ってスロープ9を支持するために設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】分離式階段及び昇降式プラットフォームを有する本発明の昇降システムの一実施形態の斜視図である。
【図2】分離式階段及び昇降式プラットフォームを有する本発明の昇降システムの一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側から見た側面図、(d)は斜視図である。
【図3】一体化された階段及び昇降式プラットフォームを構成する本発明の昇降システムの他の実施形態の斜視図である。
【図4】階段が平面を形成している状態にあるときの図2の昇降システムを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側から見た側面図、(d)は斜視図である。
【図5】階段が最も低い位置から異なる位置に変わったときのスロープ及び他の部品を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図6】階段が最も低い位置にあるときのスロープ及び他の部品を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
2,3 段
4 昇降手段
5 手すり子
6,18 添設部材
6A,12A,18A 近似端
6B,12B 遠位端
7 手すり
8,11 スイベルジョイント
9 スロープ
12 プラットフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己支持性の昇降システムを提供するための階段用昇降システムにおいて、
第1のタイプの少なくとも一つの段(2)と第2のタイプの少なくとも一つの段(3)とを備え、前記第1のタイプの段(2)と前記第2のタイプの段(3)は互いに関して変位可能に設けられており、
少なくとも一つの手すり子(5)の上部が手すり(7)に取り付けられており、前記手すり(7)は階段の近似端(6A)から階段の遠位端(6B)まで延びており、
前記第2のタイプの少なくとも一つの段(3)と前記手すり子(5)の少なくとも一つは手すり子(5)の下端の近傍で、階段の二つの添設部材(6)に対して第1のスイベルジョイント(8)で回転可能に結合され、少なくとも二つの前記添設部材(6)は階段の近似端(6A)から階段の遠位端(6B)まで延びており、
前記少なくとも一つの手すり子(5)は、該少なくとも一つの手すり子(5)の上端の近傍で第2のスイベルジョイント(15)で前記手すり(7)に回転可能に結合されており、
前記二つの添設部材(6)のそれぞれは、該二つの添設部材(6)の遠位端(6B)の近傍で第3のスイベルジョイント(11)で昇降手段(4)に対して回転可能にヒンジで動くように取り付けられており、
前記第1のタイプの少なくとも一つの段(2)は、該第1のタイプの少なくとも一つの段(2)と前記第2のタイプの少なくとも一つの段(3)を上下するために少なくとも一つの昇降手段(4)に固定されており、前記第2のタイプの少なくとも一つの段(3)は、少なくとも一つの実質的に垂直に延びる手すり子(5)の下端に固定されており、前記第1のタイプの少なくとも一つの段の上昇と下降をもたらす前記昇降手段(4)を作動し、これによって前記第2のタイプの少なくとも一つの段の上昇と下降をもたらす昇降システム。
【請求項2】
前記第1のタイプの段(2)の一つは、プラットフォーム(12)に取り付けられ、又はプラットフォームに形成され、前記プラットフォームは、前記昇降手段(4)に対して前記第1のタイプの段(2)を取り付けることで、前記昇降手段(4)によって昇降されるように意図され、前記昇降手段(4)は前記第1のタイプの段(2)に略重量方向で力をもたらすために用いられ、前記添設部材(6)は、近似端において、前記添設部材(6)の横方向の変位を許容するための手段を備えている請求項1に記載の昇降システム。
【請求項3】
前記第1のタイプの段(2)の一つは添設部材(18)の個々の端部に設けられ、前記昇降手段(4)は両端において前記添設部材に対してヒンジで動くように取り付けられ、前記第2のタイプの少なくとも一つの段(3)は該段によって形成されたプラットフォームをもたらすように前記添設部材に沿って設けられ、前記昇降手段が、前記添設部材の両端において、前記端部の両端が等しくなるように昇降する請求項1に記載の昇降システム。
【請求項4】
前記第2のタイプの段(3)の第1段には、該第1段が最も低い位置にあるときに、歩行障害を受けた人に能力を持たせるため、及び/又は歩行障害を受けた人が前記第1段に上がったり、該第1段から降りたりすることを助けるためのスロープ(9)が設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の昇降システム。
【請求項5】
前記段(2,3)は、第1の取付手段(13)によって、前記手すり子(5)の下端に堅固に取り付けられ、前記第1の取付手段(13)は、前記添設部材(6)の前記第1のスイベルジョイント(8)に対して前記第1の取付手段(13)を取り付けるための手段を備え、前記第1の取付手段(13)は前記第1のスイベルジョイント(8)によって前記段(3)を前記添設部材に相互接続する請求項1〜4の何れか1項に記載の昇降システム。
【請求項6】
前記手すり子(5)の上端は、該手すり子の上端を第2の取付手段(14)に対して堅固に取り付けることによって、前記手すり(7)に回転可能に取り付けられ、前記第2の取付手段(14)は、前記手すり(7)と共に前記第2のスイベルジョイント(15)を形成するための手段を備え、前記第2の取付手段(14)は、前記第2のスイベルジョイント(15)によって前記手すり子(5)を前記手すり(7)に相互接続する請求項1〜5の何れか1項に記載の昇降システム。
【請求項7】
前記第1のタイプの段(2)又は前記第2のタイプの段(3)の少なくとも一つは、該段の下側において、低い所から該段(2,3)を妨害している任意の対象物を検出するための第1の検出手段を備える請求項1〜6の何れか1項に記載の昇降システム。
【請求項8】
前記第1のタイプの段(2)又は前記第2のタイプの段(3)の少なくとも一つは、該段上に存在する任意の対象物を検出するための第2の検出手段を備える請求項1〜7の何れか1項に記載の昇降システム。
【請求項9】
さらに、ユーザによる入力を受けて、前記昇降手段(4)及び前記第1の検出手段に対して接続するための制御手段を備え、前記制御手段は、ユーザ入力によって前記昇降手段(4)を機能させると同時に、明瞭な信号が前記第1の検出手段から得られたときに前記昇降手段(4)を下げるように制御することを可能とする請求項7に記載の昇降システム。
【請求項10】
さらに、ユーザによる入力を受けて、前記昇降手段(4)及び前記第1,2の検出手段に対して接続される制御手段を備え、前記制御手段は、ユーザ入力によって前記昇降手段(4)を機能させると同時に、明瞭な信号が前記第1、2の検出手段から得られたときに前記昇降手段(4)を下げるように制御することを可能とする請求項8に記載の昇降システム。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−145546(P2007−145546A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−344438(P2005−344438)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(505441801)
【Fターム(参考)】