説明

昇降便器

【課題】便器下降時に便器下部とトイレ床面との間に物を挟み込むことのない使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器を提供する。
【解決手段】便器と、便器に固定された可動フレームと、トイレルームに設置された状態で便器及び可動フレームを昇降可能に支持する固定フレームとを備えた昇降便器において、昇降便器の設置状態における昇降便器が便器下部とトイレ床面との間の物体の有無を検出する物体検出装置を備えることで、便器下降時に便器下部とトイレ床面との間に物を挟み込むことのない使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレルーム内に設置した状態で便器を使用者の使い勝手に合わせて安全かつ自由に昇降させることが可能な昇降便器に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレルーム内に設置した状態で便器を使用者の使い勝手に合わせて自由に昇降可能な昇降便器は従来から知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような昇降便器は一般に、便器と、便器に固定された可動フレームと、トイレルームに設置された状態で便器及び可動フレームを昇降可能に支持する固定フレームとを有し、便器自体を昇降させるために昇降便器の設置状態で便器の底部とトイレ床面との間にある程度の空間が形成されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−245880号公報(6−7頁、図1)
【特許文献2】特開平11−71804号公報(7頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような昇降便器に使用する便器は一般に衛生陶器でできており、重く硬い材質であるため、例えば昇降便器の使用者が便器下部とトイレ床面との間に鞄等を不用意に置いたまま便器を下降させると、鞄が便器とトイレ床面との間に挟まってしまう。この場合、鞄自体が硬い材質でできていると鞄や便器が破損してしまい、このような場合でなくても鞄の中身が潰れてしまうことがある。
【0004】
また、鞄の代りに雑誌等を便器下部のトイレ床面に積み上げたまま便器を下降させると、便器が破損する恐れがある。
【0005】
また、トイレルーム内を清掃する際に、例えば清掃用具としてのバケツをこの便器下部とトイレ床面の間の空間に不用意に置いたままにし、次にトイレを使用する者がそれに気づかずに便器を下降させるとバケツが破損する恐れがある。
【0006】
また、清掃時に例えばトイレ床面の四隅をきれいにするためにトイレルームの隅に置かれたガラスや陶器等からなる花瓶をずらして便器下部とトイレ床面との間に置いたままにし、次にトイレを使用する者がそれに気づかずに便器を下降させると花瓶や便器自体が破損する恐れがある。
【0007】
また、清掃時に例えばモップ等の棒状の清掃用具を便器の側縁に引っ掛けたまま便器を下降させてしまうと、モップや便器自体が破損する恐れがある。
【0008】
また、例えばビニールで包装され開封していない複数のトイレットペーパーの一部を便器側壁の傾斜部やこの上側縁部に引っかけた状態で便器を誤って下降させてしまうと、トイレットペーパーの便器に引っかかった部分が潰れて変形したままとなってしまい、これを開封して個々のトイレットペーパーを使用する際に使い勝手が悪くなる。
【0009】
また、室内犬等のペットが便器下部とトイレ床面との間にいる状態で使用者がこれに気づかず便器を下降させてしまうと、ペットが思わぬ怪我をしてしまう恐れがある。
【0010】
一方、パブリックスペースに設置されたトイレにおいて、使用者が例えばベビーカーの一部を便器の周壁に引っ掛けたまま便器を下降させると、ベビーカーが破損してしまう恐れがある。
【0011】
本発明の目的は、便器下降時に便器下部とトイレ床面との間に物を挟み込むことのない使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる昇降便器は、
便器と、
前記便器に固定された可動フレームと、
トイレルームに設置された状態で前記便器及び前記可動フレームを昇降可能に支持する固定フレームとを備えた昇降便器において、
前記昇降便器の設置状態における便器下部とトイレ床面との間の物体の有無を検出する物体検出装置を前記昇降便器が備えたことを特徴としている。
【0013】
このような物体検出装置を昇降便器に設けることによって、便器下部とトイレ床面の間に物体があることに気付かず便器を下降させても、便器下部とトイレ床面の間に物体を挟み込むことはない。これによって、物体と便器自体の破損を防ぐことができ、使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器とすることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る昇降便器は、請求項1に記載の昇降便器において、
前記物体検出装置は便器自体に設置されたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る昇降便器は、請求項1に記載の昇降便器において、
前記物体検出装置は前記トイレルームの壁に取付けられるようになったことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る昇降便器は、請求項1に記載の昇降便器において、
前記物体検出装置は前記トイレルームの床面に設置されるようになったことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る昇降便器は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の昇降便器において、
前記物体検出装置の検出範囲内における物体の存在を前記昇降便器の使用者に報知する報知装置を前記昇降便器が更に備えたことを特徴としている。
【0018】
便器下部とトイレ床面との間で物体の挟み込みが生じたときにこれを使用者にいち早く知らせ、物体や便器の破損等の被害が生じるのを防止する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、便器下降時に便器下部とトイレ床面との間に物を挟み込むことのない使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器を提供することができる。
【0020】
具体的には、本発明によると便器下部とトイレ床面の間に物体があることに気付かずに便器を下降させても便器下部とトイレ床面の間に物体を挟み込むことはない。これによって、物体と便器自体の破損を防ぐことができ、使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
最初に、本発明が適用される昇降便器について図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される昇降便器を排水管やロータンクを除いた状態で斜め後方から示す斜視図である。
【0022】
なお、図1においては本発明の理解の容易化を図るために、便器を一部破断して示すと共に、便器に載置された便座、ロータンクや、伸縮自在な排水管、及びこの排水管を覆う蛇腹管を省略して示している。
【0023】
本発明が適用される昇降便器1は、トイレ床面に垂設した状態で固定される固定フレーム10と、固定フレーム10に沿って昇降自在に取り付けられた可動フレーム20と、可動フレーム20に背面が取り付けられた便器100を有している。便器100は、衛生陶器でできており、図4に示すように、便器の封水部を収容する凹み部110,120が便器両側面に形成されている。そして、各凹み部110,120の上側下面には、物体検出装置としてのマイクロ波センサ111,121(図8参照)が取り付けられている。
【0024】
そして、便器100は、可動フレーム20を介してその下限位置で便器底面101がトイレ床面Fに接しない構造となっており、便器上面にはここでは詳細には示さない局所洗浄便座が取付けられてこの部分が着座部を形成している。また、便器100には可動フレーム20に取付けられるためのスタッドボルト105が本実施形態では3本後方に延在し、ここでは詳細には示さないナット等の締結具で可動フレーム20に取付けられている。
【0025】
また、便器100には汚物排出孔106が形成され、図1では詳細に示さない伸縮自在なテレスコタイプの排水管が接続され、この排水管は、トイレ床面の排水用開口部を通ってトイレ下方の排水管に接続されている。
【0026】
一方、可動フレーム20を介して便器100を昇降可能に支持する固定フレーム10は、便器100の下限位置でトイレ床面に対して便器100が所定間隔を保って対向配置するように便器100を支持している。
【0027】
また、可動フレーム20の上端にはロータンク40(図3参照)を載せる載置部21が設けられ、図1では図示しない便器洗浄用のロータンク40がこの上に載置されるようになっている。
【0028】
また、固定フレーム10の下方部分には、DCモータ等のモータ90が配置され、可動フレーム20の一部にはこのモータ90で駆動され伸縮自在に延在する例えばボールネジからなる伸縮シャフト91の端部が結合されている。そして、トイレの使用者や清掃者がトイレに備わった昇降スイッチを操作することでモータ90の駆動力を介して可動フレーム20及び便器100を固定フレーム10に対して所定量だけ昇降させるようになっている。
【0029】
また、便器100の汚物排出孔106に一端が接続した伸縮自在なテレスコタイプの排水管(図3における排水管70に相当)は例えばゴムでできた蛇腹管(図3における蛇腹管71に相当)で覆われてその排水管の伸縮時に排水管から漏れ出る臭気がトイレ内に拡散するのを防止している。
【0030】
なお、図1には特に示さないが、便器100を昇降させる昇降ボタンが昇降便器の適所、若しくはトイレルームの壁に備わっている。この昇降ボタンは、下降ボタンと上昇ボタンからなり、それぞれ押している間だけ便器100が下降又は上昇するようになっている。
【0031】
続いて、本発明に適用される昇降便器の別の形態について説明する。図2は、図1とは異なる本発明が適用される昇降便器2を斜め前方から示す斜視図である。また、図3は、図2に示した昇降便器を斜め後方から示す斜視図である。なお、図1と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。この変形例に係る昇降便器では、便器100及び便器100を固定する可動フレーム20の構造については上述した実施形態と同様であるが、固定フレーム50のトイレ床面への固定構造が上述した昇降便器とは異なっている。
【0032】
具体的には、この変形例に係る昇降便器2は、図2及び図3に示すように、ベース板51,52が固定フレーム50の下端から便器100の前方に向かってそれぞれ便器100の若干先まで延在している。このベース板51,52は例えば適当な厚さの鋼板からなり、ベース板51,52が嵌り合う細長の切り欠きを有したパネル55と組み合わさってトイレ床面を形成するようになっている。
【0033】
また、図3に示すように、固定フレーム50の下方部分には上述した実施形態と同様のDCモータ等のモータ90が配置され、可動フレーム20の一部にはこのモータで駆動され伸縮自在に延在する例えばボールネジからなる伸縮シャフト91の端部が結合されている。そして、トイレの使用者や清掃者がトイレに備わった昇降スイッチを操作することでモータ90の駆動力を介して可動フレーム20を固定フレーム50に対して所定量だけ昇降させるようになっている。
【0034】
固定フレーム50の下端は、図2及び図3に示すように、便器側方から見て便器後方に折曲した断面L型の鋼板からなる取付け板53を介してベース板51,52にそれぞれに固定されている。
【0035】
また、図3に示すように、便器100の汚物排出孔に一端が接続した伸縮自在なテレスコタイプの排水管70は例えばゴムでできた蛇腹管71で覆われてその排水管70の伸縮時に排水管70から漏れ出る臭気がトイレ内に拡散するのを防止している。なお、この昇降便器についても上述の昇降便器と同様の昇降ボタンが適所に備わっている。
【0036】
続いて、本発明の各実施形態及びその変形例に係る昇降便器によって便器下部とトイレ床面との間の物体の有無を検出できる領域について説明する。
【0037】
図4乃至図7は、本発明における昇降便器1〜4の下部とこの昇降便器1〜4の設置されたトイレ床面Fとの間の空間であって、本発明における物体検出装置が物体の有無を検出できる範囲を説明する図面である。具体的には、図4は、図1乃至図3に示した昇降便器1〜4に使用される便器100〜400の平面図である。この場合、点線の引き出し線で示される各部位は便器100〜400の下側にあることを示している。図5は、図4に示した便器100〜400の背面図である。また、図6は、図4に示した便器であって第1の実施形態の昇降便器1に使用される便器100の側面図であり、図7は、本発明の昇降便器1〜4における物体検出領域Rを昇降便器1〜4の斜め前方から概略的に示す斜視図である。
【0038】
本発明における各実施形態及びその変形例に係る昇降便器が物体有無を検出できる範囲は、昇降便器のトイレ床面Fへの設置状態で平面視で図4に示す便器上面で隠れたトイレ床面Fと便器100〜400との間の空間を指し、この空間内における物体検出領域Rは、第1の物体検出領域R1と第2の物体検出領域R2から構成されている。第1の物体検出領域R1は便器前面の傾斜部や便器側面の傾斜部を除く便器底面とトイレ床面Fとの間で鉛直方向に挟まれた領域で、図5及び図6中右上りのハッチングで示す第1の物体検出領域R1である。また、第2の物体検出領域R2は、昇降便器のトイレ床面Fへの設置状態で平面視で便器で覆われているトイレ床面と便器との間の空間のうち、上述した第1の物体検出領域R1を除く図5中右下がりのハッチングで示す第2の物体検出領域R2である。
【0039】
即ち、第1の物体検出領域R1は、いわゆる便器の底部とトイレ床面Fとの間の空間を指し、第2の物体検出領域R2は便器の上側縁部から正面及び側面の傾斜部とこれが鉛直方向に投影されるトイレ床面Fとの間の鉛直領域の空間を指す。つまり、本発明で言う便器下部とは、厳密な意味での便器底面とトイレ床面との間の領域に限定されるものではなく、少なくともこれらの領域を含む平面視で便器に隠れるトイレ床面と便器前面の傾斜部や便器側面の傾斜部との間で挟まれる鉛直領域も含んでいる。
【0040】
続いて、本発明の第1の実施形態に係る昇降便器1の物体検出に関する具体的構成について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態に係る昇降便器1の物体有無の検出態様を便器前方から概略的に示す正面図であり、図9は、図8に示した昇降便器を概略的に示す側面図である。そして、図8及び図9においては、第1の物体検出領域R1に物体Bが置かれたままの状態を示している。
【0041】
図8及び図9に示すように、昇降便器1は、便器100の両側面に形成された封水部(トラップ)収容用の凹み部110,120の上側下面にマイクロ波センサ111,121をそれぞれ備えている。マイクロ波センサ111,121はセンサ自体と検出すべき物体Bとの間に便器100の一部が介在していても物体Bの有無を検出できることを特徴としている。そして、マイクロ波センサ110,121は、上述した第1の物体検出領域R1にある物体を2つのマイクロ波センサ110,121で重畳的に検出すると共に、第2の物体検出領域R2のうち、便器前面102の傾斜部とトイレ床面Fとの間の領域にある物体を2つのマイクロ波センサ111,121で重畳的に検出し、かつ便器側面103の傾斜部とトイレ床面Fとの間の領域にある物体をマイクロ波センサ111,121で別々に検出するように便器100に取付けられている。
【0042】
これによって、第1の物体検出領域R1に鞄や花瓶、雑誌、清掃用のバケツ等を置いたままにしたり、第2の物体検出領域R2に清掃用のモップを引っかけたままとしたり、ビニールで包装されたままの複数のトイレットペーパーの一部が引っかかっていたりしても、これらを確実に検出し、これらの物体が潰れたり破損したりするのを防止すると共に、便器の底部を傷めないようにする。
【0043】
なお、本実施形態の場合、マイクロ波センサ111,121を便器凹み部110,120の上面に直接貼り付けるのが良く、昇降便器1のトイレルームへの設置時にマイクロ波センサ111,121の廻りをこの凹み部110,120ごと樹脂カバー(図示せず)で覆い、隠蔽するのが見栄え上良い。しかしながら、マイクロ波センサ111,121を便器100に取付けるに当って、便器凹み部上側下面から突出した局所洗浄便座固定用ネジを利用しても良い。
【0044】
なお、本実施形態のようにマイクロ波センサ111,121を物体検出装置として用いた場合、便器100がトイレ床面Fに近づいた際にトイレ床面Fを物体として誤検出することに注意する必要があるので、予め便器100を昇降させながら床面と、検出レベルや閾値の調整を行っておくのが良い。なお、マイクロ波センサ111,121では、極端に厚みの薄い物体が検出できない場合もあるが、その場合は便器100に挟まれることも無い為、特に考慮する必要は無いと考える。
【0045】
続いて、本発明の第1の実施形態に係る昇降便器1の変形例について説明する。図10は、図8に示した第1の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す正面図であり、図11は、図10に示した昇降便器を概略的に示す側面図である。なお、図10,図11共に第1の物体検出領域R1に物体Bが置かれたままの状態を示している。この変形例に係る昇降便器1’は、非接触式の物体検出装置の一例として超音波センサ115,125を用いている。そして、この超音波センサ115,125を便器両側の凹み部110,120の下側上面から便器側方に適当なブラケット等で突出した状態で支持している。そして、超音波センサ115,125は、便器下部とトイレ床面Fとの間の物体Bの有無を検出する方向に取付けられている。
【0046】
本変形例がこのような構成を有することで、上述した物体検出領域Rのうち、便器底面101とトイレ床面Fとの間の領域である第1の物体検出領域R1における物体Bの有無を2つの超音波センサで重畳的に検出すると共に、便器前面102や便器側面103の傾斜部とトイレ床面Fとの領域である第2の物体検出領域R2のうち、便器凹み部110,120の下側上面110a,120aから下側における領域の物体の有無を検出するようになっている。
【0047】
なお、本変形例では、非接触式の物体検出装置として超音波センサ115,125を用いたが、本変形例のように物体検出装置と被検出対象物との間に便器の一部が介在しない場合は、物体検出装置としてこの超音波センサ115,125の代わりに、赤外線センサ、ミリ波センサ、静電容量式センサ等の非接触式の物体検出装置を用いることが可能である。
【0048】
また、本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る昇降便器1,1’は、物体検出装置が便器側に装着されているので、トイレ床面Fや壁面Wの清掃が楽に行えるという利点がある。また、第1の実施形態のように便器側方の凹み部内にマイクロ波センサ111,121を装着した場合は、その凹み部110,120の開口部を覆うカバーを外すだけで物体検出装置のメンテナンスを簡単に行うことができる。また、この第1の実施形態の変形例の場合は、超音波センサ115,125が便器側面の凹み部110,120から側方に突出しているので、便器側面の凹み部110,120のカバーを外すことなく物体検出装置のメンテナンスを楽に行うことができる。
【0049】
続いて、本発明の第2の実施形態及びその各種変形例に係る昇降便器について説明する。なお、本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る昇降便器と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る昇降便器2による物体有無の検出態様を概略的に示す側面図であり、図13は、図12に示した第2の実施形態に係る昇降便器2に使用する物体検出装置とこれを便器200に取り付けるブラケットを示す斜視図である。この第2の実施形態に係る昇降便器は、便器底面201に物体検出装置としての超音波センサ211が取付けられている。この超音波センサ211は、図13に示すブラケット215を介して便器底面201の長手方向前方側であって便器前面202の傾斜部の下端部近傍に位置するように取付けられている。
【0051】
なお、超音波センサ211の物体検出方向は、図12に示すように便器底面201からトイレ床面Fに向かった下向きの方向である。
【0052】
図13に示すブラケット215の基端215aには、複数のブラケット取付け用孔部216が形成され、ねじ等の適当な締結具によって、ここでは図示しないが便器200の基端側にブラケット215を介して超音波センサ211及びこれに連なる電線212をしっかりと固定するようになっている。なお、このようなブラケット215を介さなくても、強力な接着力を有する接着剤や両面テープで超音波センサ211を便器底面に固着しても良い。
【0053】
そして、この超音波センサ211によって、上述した物体検出領域Rのうち、便器底面201とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1における物体Bの有無を検出するようになっている。
【0054】
続いて、この第2の実施形態の第1変形例に係る昇降便器について説明する。図14は、図12に示した本発明の第2の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す側面図である。
【0055】
この第1変形例に係る昇降便器2’は、物体検出装置にマイクロ波センサ221を用いている。このマイクロ波センサ221は、第1の実施形態に係る昇降便器1で使用されたマイクロ波センサ111,121と同様にマイクロ波センサ221と物体Bとの間に便器が介在していてもこの物体Bを検出することができる透過型の物体検出センサである。本変形例の場合、マイクロ波センサ221は、上述した第2の実施形態に係る昇降便器の超音波センサ221の取付け位置より若干上側であって便器200の内部に取付けられている。また、このマイクロ波センサ221の検出方向は、図14に示すように便器底面201からトイレ床面Fに向かった下向きの方向である。このようなマイクロ波センサ221を便器200の内部に配置することによって、便器外側を特別に加工する必要がないという利点がある。なお、上述した第2の実施形態及びこの第1変形例においては、物体検出装置として非接触センサを用いているので、僅かな枚数の書類等、厚さの極めて薄い物体を検出できない場合もあるが、そのような厚さの極めて薄い物体は便器に挟まれることも無い為、本発明では特に考慮する必要は無いと言える。
【0056】
このように、本変形例におけるマイクロ波センサ221を便器200の内部に設けた態様によると、物体検出装置自体が便器200で遮蔽されているので、それ自体目立たずデザイン性に優れ、かつ汚れ易い便器底面201の清掃性が良くなるという利点がある。
【0057】
続いて、上述した第2実施形態の第2変形例に係る昇降便器について説明する。図15は、図12に示した本発明の第2の実施形態に係る昇降便器2の第2変形例を概略的に示す側面図である。この第2実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”は、上述した第2実施形態の第1変形例に係る昇降便器2’とは異なり、接触式の物体検出装置を用いている。具体的には、この接触式の物体検出装置には、便器200とトイレ床面Fとの間に物体Bが挟まれることによって生じる圧力を検出する圧電シート231が用いられている。そして、この圧電シート231を図15に示すように、便器下側の後方基端部から便器底面201を経て平面視で隠れる便器前面202の傾斜部上側まで延在させた状態で強固な接着力で接着されている。このような物体検出装置を便器200に備えることによっても、上述した物体検出領域Rのうち、第1の物体検出領域R1における例えば鞄、花瓶、清掃用のバケツ等の便器底面とトイレ床面F間の挟み込みを確実に検出すると共に、第2の物体検出領域R2において便器前面202の傾斜部に例えばビニールで包装されたままの複数のトイレットペーパーの一部が挟まった状態や清掃用のモップが引っかかった状態を確実に検出できる。
【0058】
このように物体検出装置を便器下部に取り付ける場合、便器の材質が衛生陶器であると陶器自体は後加工が困難であり、非接触式の物体検出装置のうちマイクロ波センサを便器内部に配置するのは難しいが、便器が樹脂でできている場合は、このようなマイクロ波センサを予め便器内に収容したり、後加工で便器内に収容したりすることが可能である。また、接触式の物体検出装置、非接触式の物体検出装置の何れにも限らず、便器底面に直接貼り付ける構造にするとこれらの物体検出装置を便器に簡単に後付け設置できる。
【0059】
なお、本実施形態及びその変形例においても、便器200がトイレ床面Fに近づいた際にトイレ床面Fを物体と誤検出する恐れがあるので、予め便器100を昇降させながら床面と、検出レベルや閾値の調整を行っておくのが良い。なお、物体検出装置として非接触式センサを用いると、平らで薄い物体が便器下に存在する場合にこれを検出できないことも考えられるが、その場合は便器と床の間に挟まれることも無い為、本発明では特に考慮する必要は無いと言える。
【0060】
なお、本実施形態及びその第1変形例では、非接触式の物体検出装置としてマイクロ波センサや超音波センサを例示したが、非接触式の物体検出装置の場合、検出したい物体の種類によって使用に適したセンサが決まってくるので、検出すべき物体の種類によって非接触式の物体検出装置を特定するのが良い。
【0061】
具体的には、例えばペット等のように熱源を有しかつ動く物体を検出する場合には赤外センサが良い。また、電波式の物体検出装置の場合、波長で特性は分かれるが、特にマイクロ波の場合は水を入れた花瓶等水分を持つ物体や金属を検出するのに適している。また、ミリ波センサや超音波センサ、CCDを備えたセンサの場合はほぼ全ての物体を検出可能である。
【0062】
なお、物体検出装置を便器下部に装着した場合に、非接触式の物体検出装置の場合にはセンサのほぼ全体を隠す化粧カバーをすれば、日頃更に目に付きにくくなり、外観上すっきりすると共に便器自体の掃除がし易くなる。また、接触式の物体検出装置の場合はこれを便器下部全体に貼ると目立つが、構造が簡単で安価で信頼性が高いという利点がある。
【0063】
続いて、本発明の第3の実施形態に係る昇降便器3について説明する。図16は、本発明の第3の実施形態に係る昇降便器の物体有無の検出態様を概略的に示す側面図である。
【0064】
本発明の第3の実施形態に係る昇降便器3は、昇降便器3が取付けられるトイレブースの便器基端側、即ちここでは図示しない固定フレームが内部に収容されたトイレ壁面Wに物体検出装置が直接取付けられている。そして、本実施形態では物体検出装置として非接触式の一つである赤外線センサ310が用いられている。赤外線センサ310の検出方向は、トイレ壁面Wから便器前方に向かった方向である。この赤外線センサ310を図16に示すように便器後側の便器底面301とトイレ床面Fとの間の後方に位置するトイレ壁面Wに取付けることにより、物体検出領域Rのうち便器底面301とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1における物体Bの有無を検出することができるようになっている。
【0065】
続いて、本発明の第3の実施形態の第1変形例に係る昇降便器3’について説明する。図17は、図16に示した本発明の第3の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す側面図であり、図18は、図17に示した昇降便器3’の物体検出装置及びこれによって検出される物体Bを示す斜視図である。
【0066】
第3の実施形態の第1変形例に係る昇降便器3’は、平面視で矩形状の棒体からなる検出アーム321,322が2本備わり、トイレ床面F及び便器底面と互いに平行かつトイレ床面F及び便器底面301に平行を保ったまま便器前方に向かって延在している。この物体検出装置は歪センサ320からなり、この検出アーム321,322に物体が触れて歪むと検出アーム321,322に生じた歪をセンサ本体323において検出し、物体Bの存在を検出するようになっている。
【0067】
このようにトイレ壁面Wに物体検出装置を直接取付けても良いが、壁面Wに関しては穴加工が自在に行える為、壁裏面に物体検出装置を設置することも可能である。この場合、トイレ壁面Wを介して物体の有無を検出することになるので、物体検出装置としてマイクロ波センサを用いる必要がある。マイクロ波センサのような透過型センサは、トイレ壁面を加工する必要が無いので物体検出装置の設置が簡単にできると共に、トイレの美観も損なわなくて済むという利点がある。
【0068】
また、物体検出装置をトイレ壁面に取り付ける場合、便器本体の加工が必要無い為、物体検出装置の後付けを容易に行えるという利点がある。即ち、トイレ壁面Wへの取付け型の物体有無検出装置の場合、非接触式のタイプであるとデザイン性が良く掃除やメンテナンスが楽になる一方、接触式のタイプであると物体を確実に検出できると共にメンテナンスが楽になるという利点を有する。
【0069】
なお、本実施形態の変形例として非接触式の物体検出装置を利用した場合、便器前方から人が近づいた際や、便器が最下点に到達した際の誤検出を注意する必要があるので、便器の下範囲外に物体がある際に検出しないように、更に便器が最下点に到達した状態で調整を行うようにするのが良い。
【0070】
続いて、本発明の第4の実施形態に係る昇降便器について説明する。図19は、本発明の第4の実施形態に係る昇降便器4を概略的に示す側面図である。本発明の第4の実施形態に係る昇降便器4に使用する物体検出装置は、非接触式の物体検出装置であり、具体的には、マイクロ波センサ410をトイレ床面Fの下側に配置している。マイクロ波センサ410の検出方向は、トイレ床面Fから便器底面401に向かった上方向である。そして、このマイクロ波センサ410により便器下部とトイレ床面Fとの間の物体検出領域Rのうち、便器底面401とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1に存在する物体Bの有無を主に検出する。しかしながら、マイクロ波センサ410のトイレ床下への設置個数を増やして物体有無の検出範囲を広げることで、便器前面402や便器側面403の傾斜部とトイレ床面Fとの間の第2の物体検出領域R2における物体Bの有無を検出することも可能である。
【0071】
続いて、本発明の第4の実施形態の第1変形例に係る昇降便器について説明する。図20は、図19に示した本発明の第4の実施形態の第1変形例に係る昇降便器4’を概略的に示す側面図である。この第1変形例に係る昇降便器4’には接触式の物体検出装置が用いられており、本変形例では一定の面積を有する板状の圧電センサ420が便器底面401の真下に位置するトイレ床面F上に貼り付けられている。この圧電センサ420により、物体検出領域Rのうち、便器底面401とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1における物体Bの有無を検出するようになっている。
【0072】
この第1変形例の圧電センサ420は、トイレ床面Fに直接貼り付けても良く、又はマット状に敷いておくだけでも良い。トイレ床面Fに圧電センサ420を貼り付けた範囲に物体Bが入り込めば、その重さで物体Bを確実に検出可能である。ここで、物体Bの重さにより検出結果が変わるので、物体としてどこまでを検出対象とするかを予め重さで規定しておくのが良い。この圧電センサ420をトイレ床面Fの床下に貼り付けても良く、この場合は、物体Bの重さによるトイレ床面Fの撓みを介して物体Bを検出する。なお、高感度の圧電センサを用いれば、軽量物体でも検出可能である。
【0073】
一方、非接触式のマイクロ波センサ410を用いた場合、便器前方からの使用者の接近を検出しないように、検出センサの物体検出方向を便器後方に傾けると誤検出が無くなるので好ましい。
【0074】
本実施形態及びその変形例の場合も、接触式であるとメンテナンスが楽であり、非接触式であって特にマイクロ波センサを用いた場合であると、センサ自体が隠蔽されている為、デザイン性も良く掃除が楽になる利点がある。
【0075】
続いて、上述の各実施形態及びその各種変形例に関連した本発明に係る昇降便器の作用について説明する。なお、この作用の説明においては、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る昇降便器に基づいて説明するが、他の実施形態及びその変形例に係る昇降便器の作用も同様である。
【0076】
最初に第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”に関する作用について図面に基づいて説明する。図21は、本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”を用いた物体有無検出の方法を概略的に説明する側面図であり、図22は、図21に続くこの昇降便器2”を用いた物体有無検出の方法を概略的に説明する側面図である。
【0077】
図21に示すように、便器底面201とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1に箱状の梱包物B1が置かれた場合に、使用者がこれに気付かず、昇降便器2”の便器下降スイッチ251を押して便器200を下降させると、図22に示すように便器底面201に設けた物体検出装置230がこの物体の上面にあたり、第1の物体検出領域R1に物体が存在することを即座に検出する。これによって、後述する幾つかの報知装置により、使用者にこれを知らせることで、便器の下降操作を止めさせ、物体が破損しないようにしている。
【0078】
なお、この第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”の物体検出装置230が、便器200を下降させることにより、物体B1を検出した瞬間に便器200を昇降させるモータのトルクリミッターを働かせて、モータのトルクが昇降機構に伝わらないようにして便器200が無理に下降しないようにし、物体B1の破損を防止するようにしても良い。
【0079】
この場合、この物体検出装置が非接触式のタイプの場合、物体が便器底面とトイレ床面との間に挟まれる前に事前に検出できるので、安全上更に好ましいと言える。
【0080】
続いて、本発明の第3の実施形態に係る昇降便器3に関する作用について図面に基づいて説明する。図23は、本発明の第3の実施形態に係る昇降便器3を用いた物体有無の検出方法を概略的に説明する側面図であり、図24は、図23に続くこの昇降便器3を用いた物体有無の検出方法を概略的に説明する側面図である。
【0081】
この実施形態に係る昇降便器3の場合は、上述した第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”の作用とは若干異なり、便器底面301とトイレ床面Fとの間に箱状の梱包物B2が置かれた瞬間にトイレ壁側の物体検出装置310がこの物体を検出するようになっている。そして、使用者がこの物体の存在に気づかず、便器下降スイッチを押して便器300を下降させようとしても、この物体検出装置310からの信号により、便器300を下降させないようにする。これによって、図24に示したような、便器300を下降させて便器底面301とトイレ床面Fとの間にある物体B2を潰す状況に陥るのを回避している。
【0082】
なお、上述した本発明の作用は、第2の実施形態の第2変形例及び第3の実施形態に基づいて説明したものであるが、例えば第1の実施形態のようにマイクロ波センサ111,121を便器両側面の凹み部110,120の上側下面に設けることで、物体検出範囲が便器底面101とトイレ床面Fとの間の第1の物体検出領域R1に加えて、便器前面102及び便器側面103の傾斜部とトイレ床面Fとの間の第2の物体検出領域R2も含むことができ、この結果、上述の箱状の包装物以外にも、第2の物体検出領域R2において便器100と干渉した清掃用のモップや包装されたトイレットペーパー等の便器への引っ掛かりも検出することが可能である。
【0083】
続いて、このような物体検出装置によって、便器下部とトイレ床面Fとの間の物体の存在を検出した場合に、使用者にこれを報知する手段を例示的に説明する。図25は、本発明の各実施形態及びその変形例に適用可能な物体検出報知装置500を本発明の昇降便器(ここでは例示的に第2実施形態の第2変形例に係る昇降便器2”とする)と共に概略的に示す側面図である。
【0084】
この図25に示す報知装置500は、昇降便器2”の制御装置250に電気的に接続されたブザー510からなり、使用者が便器200を下降させることで第2の実施形態の第2変形例に係る物体検出装置221が物体B3に当ったときにこの信号を制御装置250に伝え、この制御装置250からの信号に基づいて使用者の近傍に設置されたブザー510を鳴らすようになっている。これによって、使用者は便器200の便器底面201とトイレ床面Fとの間に物体B3が挟まっていることを即座に知ることができ、便器200の下降操作を停止して物体B3や便器自体の破損を防ぐことができる。
【0085】
続いて、便器下部とトイレ床面Fとの間の物体の挟み込みを使用者に報知する別の報知装置について説明する。図26は、本発明の各実施形態及びその変形例に適用可能な物体検出報知装置の図25とは異なる形態を概略的に示す側面図である。なお、この場合の昇降装置も例示的に第2の実施形態の第2変形例に係る昇降装置2”を示している。この物体検出報知装置600は、物体検出装置220が便器200の便器底面201とトイレ床面Fとの間の物体B3を検出した際に、昇降便器2”の制御装置250に送る検出信号を利用している点で上述の物体検出報知装置500と共通しているが、使用者への報知方法が異なっている。具体的には、便器下降スイッチ自体に振動子610を設け、便器200の便器底面201とトイレ床面Fとの間に物体の挟み込みが生じたときにこの振動子610を振動させて、便器下降操作中の使用者にこれを報知させるようになっている。このような構成によっても、便器200の便器底面201とトイレ床面Fとの間に物体の挟み込みを使用者に確実に知らせることができ、このような状態になった際の便器下降操作を即座に停止させることができる。
【0086】
なお、上述の報知装置は、それぞれ別々な構成として紹介したが、これらを両者兼ね備えた手段として、より使用者に便器下部とトイレ床面Fとの間の物体の挟み込みをより使用者に確実に知らせるようにしても良い。また、上述した物体検出報知装置は、本発明の第2の実施形態の第2変形例と共に説明したが、本発明のその他の実施形態及びその変形例にもこの物体検出報知装置を適用可能であることは言うまでもない。
【0087】
なお、本発明に使用した物体検出装置については、上述した具体的なセンサに限定されず、非接触式の物体検出装置の場合、赤外線センサ、マイクロ波センサ、ミリ波センサ、超音波センサ、静電容量センサの何れかを用いても良い。
【0088】
しかしながら、非接触式の物体検出装置では特別に検出したい物体によって使用すべきセンサを適宜選択することが考えられる。具体的には、物体が熱源を有し、動作する物体を検出する場合には赤外線センサが適している。また、電波式の場合、波長で特性は分かれるが、特にマイクロ波の場合は水分を持つ物体や金属を検出するのに適している。また、ミリ波センサや超音波センサ、CCDを備えたセンサの場合はほぼ全ての物体を検出可能である。
【0089】
また、接触式についても上述の各実施形態及びその変形例に記載したセンサに限らず、機械式リミットスイッチ、圧電スイッチ、磁石を利用したホール素子、テープスイッチ、面スイッチなどの様々なスイッチが適用可能である。
【0090】
また、報知装置としては、上述した実施形態の具体例に限らず、液晶等の表示装置、LED、ブザー、スピーカによる音声、振動、若しくはこれらを複合した報知装置が利用可能である。
【0091】
以上説明したように、本発明による昇降便器において上述した各実施形態及びその変形例に係る物体検出装置を設けることによって、便器下部とトイレ床面Fの間に物体がある場合にこれに気づかず便器を下降させた場合に、便器下部とトイレ床面Fの間に誤って物体を挟みこむことがなくなる。これによって、物体と便器自体の破損を防ぐことができ、使い勝手が良く安全性に優れた昇降便器とすることができる。
【0092】
特に、物体検出装置の種類及びその配置の場所を適宜選択することで、平面視で便器によって隠れるトイレ床面と便器間に形成される物体検出領域R、即ち便器底面とトイレ床面との間の物体検出領域R1にある物体だけでなく、便器前面の傾斜部や便器側面の傾斜部とトイレ床面との間の物体検出領域R2にある物体をも検出可能である。これによって、物体検出領域R1にある鞄や花瓶、バケツ等だけでなく、物体検出領域R2にあるモップや包装状態のトイレットペーパーなども検出でき、これらに気付かず便器を下降させてこれらの物体が潰れたり、破損したり、便器を傷めたりするのを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明が適用される昇降便器を排水管や貯水タンクを除いた状態で斜め後方から示す斜視図である。
【図2】図1とは異なる本発明が適用される昇降便器を斜め前方から示す斜視図である。
【図3】図2に示した昇降便器を斜め後方から示す斜視図である。
【図4】図1乃至図3に示した昇降便器に使用される便器の平面図である。
【図5】図4に示した便器の背面図である。
【図6】図4に示した便器であって第1の実施形態の昇降便器に使用される便器の側面図である。
【図7】本発明の昇降便器における物体有無の検出範囲を昇降便器の斜め前方から概略的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る昇降便器の物体有無の検出態様を便器前方から概略的に示す正面図である。
【図9】図8に示した昇降便器を概略的に示す側面図である。
【図10】図8に示した第1の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す正面図である。
【図11】図10に示した昇降便器を概略的に示す側面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る昇降便器による物体有無の検出態様を概略的に示す側面図である。
【図13】図12に示した第2の実施形態に係る昇降便器に使用する物体検出装置とこれを便器に取り付けるブラケットを示す斜視図である。
【図14】図12に示した本発明の第2の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す側面図である。
【図15】図12に示した本発明の第2の実施形態に係る昇降便器の第2変形例を概略的に示す側面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る昇降便器の物体有無の検出態様を概略的に示す側面図である。
【図17】図16に示した本発明の第3の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す側面図である。
【図18】図17に示した昇降便器の物体検出装置及びこれによって検出される物体を示す斜視図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る昇降便器を概略的に示す側面図である。
【図20】図19に示した本発明の第4の実施形態に係る昇降便器の第1変形例を概略的に示す側面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器を用いた物体有無の検出方法を概略的に説明する側面図である。
【図22】図21に続く本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る昇降便器を用いた物体有無検出の方法を概略的に説明する側面図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係る昇降便器を用いた物体有無の検出方法を概略的に説明する側面図である。
【図24】図23に続く本発明の第3の実施形態に係る昇降便器を用いた物体有無の検出方法を概略的に説明する側面図である。
【図25】本発明の各実施形態及びその変形例に適用可能な物体検出報知装置を概略的に示す側面図である。
【図26】本発明の各実施形態及びその変形例に適用可能な物体検出報知装置の図25とは異なる形態を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0094】
1,1’,2,2’,2”,3,3’,4,4’ 昇降便器
10 固定フレーム
20 可動フレーム
21 載置部
40 ロータンク
50 固定フレーム
51,52 ベース板
53 取付板
55 パネル
70 排水管
71 蛇腹管
90 モータ
91 伸縮シャフト
100 便器
101 便器底面
102 便器前面
103 便器側面
105 スタッドボルト
106 汚物排出孔
110,120 凹み部
110a,120a 凹み部下側上面
111,121 マイクロ波センサ
115,125 超音波センサ
200 便器
201 便器底面
202 便器前面
211 超音波センサ
212 電線
215 ブラケット
215a 基端
216 ブラケット取付け用孔部
221 マイクロ波センサ
230 物体検出装置
231 圧電シート
250 制御装置
251 便器下降スイッチ
300 便器
301 便器底面
310 赤外線センサ(物体検出装置)
320 歪センサ
321,322 検出アーム
323 センサ本体
400 便器
401 便器底面
402 便器前面
403 便器側面
410 マイクロ波センサ
420 圧電センサ
500 物体検出報知装置
510 ブザー
600 物体検出報知装置
610 振動子
B 物体
B1 梱包物
B2 梱包物
B3 物体
F トイレ床面
R 物体検出範囲
R1 第1の物体検出領域
R2 第2の物体検出領域
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、
前記便器に固定された可動フレームと、
トイレルームに設置された状態で前記便器及び前記可動フレームを昇降可能に支持する固定フレームとを備えた昇降便器において、
前記昇降便器の設置状態における便器下部とトイレ床面との間の物体の有無を検出する物体検出装置を前記昇降便器が備えたことを特徴とする昇降便器。
【請求項2】
前記物体検出装置は便器自体に設置されたことを特徴とする、請求項1に記載の昇降便器。
【請求項3】
前記物体検出装置は前記トイレルームの壁に取付けられるようになったことを特徴とする、請求項1に記載の昇降便器。
【請求項4】
前記物体検出装置は前記トイレルームの床面に設置されるようになったことを特徴とする、請求項1に記載の昇降便器。
【請求項5】
前記物体検出装置の検出範囲内における物体の存在を前記昇降便器の使用者に報知する報知装置を前記昇降便器が更に備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の昇降便器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−79429(P2009−79429A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250289(P2007−250289)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】