説明

昇降棚装置

【課題】調理作業スペースを奪うことのない昇降棚装置を提供する。
【解決手段】昇降棚装置1は、内部に空洞が設けられた本体2と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体2に収納されたときに本体2の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体3と、第1の棚体3の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体4とを備える。第1の棚体3は、略水平に配置された平板状の第1の支持部6と、第1の支持部6の両側に第1の支持部6に対して略垂直に固着された左右の第1の鉛直部材7を有する。第2の棚体4は、第1の支持部6の略鉛直下方に位置すると共に第1の支持部6に対して略平行に位置する平面状の第2の支持部11と、第2の支持部11の両側に第2の支持部11に対して略垂直に固着された左右の第2の鉛直部材12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昇降棚装置に関する。詳しくは、例えば台所の吊り戸棚の下部に取付けられる昇降棚装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
台所の上方の空間を有効に活用するために、流し台や作業台の上部に吊り戸棚や収納庫が配置されている。
【0003】
吊り戸棚や収納庫は、流し台や作業台の上部に配置されているので、調理者などは、台や椅子などを使って食器などの収納物を出し入れすることが多い。
しかし、収納物を出し入れするたびに台や椅子などを使用しなければならない状況は不便であるので、収納物の出し入れを容易にするための装置が幾つか提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、図6に示すような収納装置が記載されている。即ち、図6(a)に示すように、収納体101は、方形箱型体の上面と前面とが開口され、内部の中程に棚板111が架設され、棚板111と底板とで上下二段の収納棚構造が構成されている。
【0005】
そして、収納体101の左右の側面部に、支持腕体102が枢着され、支持腕体102の先端部が設置脚部103に枢着され、図6(b)に示すように、支持腕体102の回動により、棚A内の底面に設置固定された左右一対の設置脚部103に対して収納体101が角度を変えずに出し入れするよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−50974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の収納装置は、図6(b)から判るように、上下二段の収納体が回動により同時に、棚の前方即ち調理者側に出てくるので、調理作業のスペースを奪ってしまい、収納体を出したまま調理作業を行ないづらく、不便であった。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、調理作業スペースを奪うことのない昇降棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、前記本体に収納されたときに前記本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える。
【0010】
ここで、第1の棚体と第2の棚体は、略鉛直方向にスライド可能であるので、例えば吊り戸棚の下部に昇降棚装置を取付けて、昇降棚装置を使用したときでも、第1の棚体や第2の棚体は吊り戸棚の前方に出てくることがない。
なお、本発明で言う「スライド」は、棚体全体がスライドすることを意味する。
【0011】
また、第1の棚体は、本体に収納されたときに本体の上面との間に所定の空間を確保するので、物を第1の棚体に置いた状態で第1の棚体を略鉛直上方へスライドさせて本体に収納でき、収納棚として機能することができる。
【0012】
また、本発明の昇降棚装置において、第1の棚体と前記第2の棚体は、互いに独立してスライド可能とすることができる。
【0013】
この場合、第1の棚体だけを使用したいときや、第2の棚体だけを使用したいときに、使用したい棚体のスペースのみの占有で足りるので、例えば吊り戸棚の下方スペースを無駄に占有することがない。
【0014】
また、本発明の昇降棚装置において、第1の棚体は、略水平に配置された第1の支持部を有し、第2の棚体は、第1の支持部の略鉛直下方に位置すると共に第1の支持部に対して略平行に位置する第2の支持部を有し、第2の支持部が第1の支持部の下面に接触する位置まで略鉛直上方にスライド可能とすることができる。
【0015】
この場合、第2の棚体は、第2の支持部が第1の支持部の下面に接触する位置まで略鉛直上方にスライド可能であるので、第2の支持部を第1の支持部の下面に接触させて第2の棚体の仮置きスペースをほぼゼロにした状態で第2の棚体を収納することができ、より省スペース化を実現できる。
【0016】
また、本発明の昇降棚装置において、第1の棚体が、第1の支持部の左右両端に同第1の支持部に対して略垂直に設けられた第1の鉛直部材と、第1の鉛直部材間に回転自在に配置された第1の水平部材と、少なくとも第1の水平部材の両端に設けられた第1の係合部とを有し、本体が、第1の係合部と係合する第2の係合部を有し、第1の棚体のスライドに伴って、第1の係合部と第2の係合部が係合した状態で第1の水平部材が回転する構成とすることができる。
【0017】
ここで、第1の係合部と第2の係合部が係合した状態で第1の水平部材が回転しながら第1の棚体がスライドすることによって、第1の棚体に与える力の偏りが解消され、第1の棚体の中央箇所を押したり引いたりしなくても、第1の棚体を略鉛直方向へスムースにスライドさせることができる。
【0018】
更に、本発明の昇降棚装置において、第1の棚体が、第1の支持部の左右両端に同第1の支持部に対して略垂直に設けられた第1の鉛直部材と、第1の鉛直部材間に回転自在に配置された第2の水平部材と、少なくとも第2の水平部材の両端に設けられた第3の係合部材とを有し、第2の棚体が、第2の支持部の左右両端に同第2の支持部に対して略垂直に設けられた第2の鉛直部材と、第2の鉛直部材に設けられた第4の係合部とを有し、第2の棚体のスライドに伴って、第3の係合部と第4の係合部が係合した状態で第2の水平部材が回転する構成とすることができる。
【0019】
ここで、第3の係合部と第4の係合部が係合した状態で第2の水平部材が回転しながら第2の棚体がスライドすることによって、第2の棚体に与える力の偏りが解消され、第2の棚体の中央箇所を押したり引いたりしなくても、第2の棚体を略鉛直方向へスムースにスライドさせることができる。
【0020】
また、本発明の昇降棚装置が、第1の棚体を略鉛直上方へ付勢する弾性体を備える場合、第1の棚体に物を置いて重くなった第1の棚体を略鉛直上方へスライドして収納するときでも、弾性体の力で楽にスライドさせることができる。
【0021】
また、本発明の昇降棚装置は、第2の棚体の略鉛直下方へのスライドに与える抵抗力よりも小さい抵抗力を、前記第2の棚体の略鉛直上方へのスライドに与えるダンパー部を備えることができる。
【0022】
この場合、第2の棚体は、ダンパー部の抵抗力によってゆっくりと自重落下することができ、衝撃落下を抑止することができる。
【0023】
また、本発明の昇降棚装置において、第2の支持部は、複数の棒状物が所定の間隔で並列配置されて柵状に構成されることができる。
【0024】
この場合、例えば、水洗いされた食器を第2の支持部に仮置きしておけば、複数の棒状物の間から水滴が落ち、自然乾燥させることができる。
【0025】
また、上記の目的を達成するために、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能に前記本体に取付けられた第1の棚体と、該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、同第1の棚体のスライドと独立して略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える。
【0026】
ここで、第1の棚体と第2の棚体は、略鉛直方向にスライド可能であるので、例えば吊り戸棚の下部に昇降棚装置を取付けて、昇降棚装置を使用したときでも、第1の棚体や第2の棚体は吊り戸棚の前方に出てくることがない。
【0027】
また、第2の棚体が第1の棚体のスライドと独立して略鉛直方向にスライド可能であることによって、第1の棚体だけを使用したいときや、第2の棚体だけを使用したいときに、使用したい棚体のスペースのみの占有で足りるので、例えば吊り戸棚の下方スペースを無駄に占有することがない。
【0028】
また、上記の目的を達成するために、本発明の昇降棚装置は、略鉛直方向にスライド可能であると共に、取付面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える。
【0029】
ここで、第1の棚体と第2の棚体は、略鉛直方向にスライド可能であるので、例えば吊り戸棚の下部に昇降棚装置を取付けて、昇降棚装置を使用したときでも、第1の棚体や第2の棚体は吊り戸棚の前方に出てくることがない。
【0030】
また、第1の棚体は、取付面との間に所定の空間を確保するので、物を第1の棚体に置いた状態で第1の棚体を略鉛直上方へスライドさせることができ、収納棚として機能することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る昇降棚装置は、調理作業スペースを奪うことがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の昇降棚装置の第1の棚体と第2の棚体が引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の昇降棚装置の概略透視図である。
【図3】本発明の昇降棚装置の第1の棚体のみが引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の昇降棚装置の第2の棚体のみが引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の昇降棚装置の第1の棚体と第2の棚体が本体に収納された状態の一例を示す概略図である。
【図6】従来の収納装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の昇降棚装置の第1の棚体と第2の棚体が引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明の昇降棚装置の概略透視図である。
【0034】
図1において、本発明の昇降棚装置1は、内部に空洞が設けられた本体2を備える。
また、本発明の昇降棚装置1は、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体2に収納されたときに本体2の上面(即ち、本体2の上部の内壁面)2Aとの間に所定の空間3Aを確保する第1の棚体3を備える。
【0035】
ここで、所定の空間3Aとは、第1の支持部6と、第1の鉛直部材7と、背部8とに囲まれた空間であり、本体2に第1の棚体3が収納されても、本体2の内壁面に接触して狭められることはない空間である。
【0036】
また、本発明の昇降棚装置1は、第1の棚体3の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体4を備える。更に、本発明の昇降棚装置1は、本体2の表面に取付けられた照明部5を備える。
【0037】
また、第1の棚体3は、略水平に配置された平板状の第1の支持部6と、第1の支持部6の両側に第1の支持部6に対して略垂直に固着された左右の第1の鉛直部材7を有して構成されている。なお、図2に示すように、第1の鉛直部材7は、略鉛直方向にスライド可能に本体2に取付けられている。また、第1の鉛直部材7が略鉛直方向にスライド可能であるということは、即ち第1の棚体3全体が略鉛直方向にスライド可能であることを意味する。
【0038】
ここで、第1の鉛直部材7間には、回転可能な状態で第1の水平部材(シンクロバー)13が配置されている。具体的には、第1の水平部材13の端部を第1の鉛直部材7と回転自在な状態で係合させることで、第1の鉛直部材7間に第1の水平部材13を配置している。
【0039】
また、第1の水平部材13の両端には歯13Aが設けられており、本体2の略鉛直方向に配置された内壁に沿ってラック17が取り付けられている。なお、歯13Aは第1の係合部の一例であり、ラック17は第2の係合部の一例である。
【0040】
ここで、歯13Aとラック17とは常に噛み合っており、第1の棚体3がスライドする場合には、歯13Aとラック17とが噛み合った状態で第1の水平部材13が回転することとなる。
【0041】
また、第1の棚体3は、第1の支持部6や第1の鉛直部材7に対して略直角に固着された平板状の背部8を有する。そして、上述した様に、第1の支持部6と、左右の第1の鉛直部材7と、背部8とに囲まれた空間3Aが形成され、この空間に台所用品などが配置される。
【0042】
また、第1の支持部6の略中央には、仕切り板9が配置されている。更に、背部8には、先端部が対向するよう曲げられた一対の棒状体であるキッチンペーパーホルダー10が取付けられている。
【0043】
また、第2の棚体4は、第1の支持部6の略鉛直下方に位置すると共に第1の支持部6に対して略平行に位置する平面状の第2の支持部11を有して構成されている。更に、第2の棚体4は、第2の支持部11の両側に第2の支持部11に対して略垂直に固着された左右の第2の鉛直部材12を有して構成されている。
【0044】
また、第2の支持部11は、複数のバー(棒状物の一例である。)11Aが所定の間隔で並列配置されて柵状に構成されている。
【0045】
また、図2に示すように、第2の鉛直部材12は、略鉛直方向にスライド可能に第1の棚体に取付けられている。なお、第2の鉛直部材12が略鉛直方向にスライド可能であるということは、即ち第2の棚体4全体が略鉛直方向にスライド可能であることを意味する。
【0046】
ここで、第1の鉛直部材7間には、回転可能な状態で第2の水平部材(シンクロバー)14が配置されている。具体的には、第2の水平部材14の端部を第1の鉛直部材7と回転自在な状態で係合させることで、第1の鉛直部材7間に第2の水平部材14を配置している。
【0047】
また、第2の水平部材14の両端には歯14Aが設けられており、第2の鉛直部材12の裏面側にはラック18が取り付けられている。なお、歯14Aは第3の係合部の一例であり、ラック18は第4の係合部の一例である。
【0048】
ここで、歯14Aとラック18とは常に噛み合っており、第2の棚体4がスライドする場合には、歯14Aとラック18とが噛み合った状態で第2の水平部材14が回転することとなる。
【0049】
また、第2の棚体4は、第2の支持部11が第1の支持部6の下面に接触する位置まで略鉛直上方にスライド可能である。このような構造により、第2の棚体4は、第1の棚体3と共に本体2内に収納することができる。
【0050】
更に、当然ながら、第1の棚体3や、第2の棚体4が抜け落ちないよう、ストッパー(図示せず。)などが適宜設けられている。
【0051】
また、第1の棚体3や第2の棚体4が本体2内に収納されているときは、例えばラッチ(図示せず。)によって第1の棚体3や第2の棚体4は収納状態が維持されている。そして、第1の棚体3や第2の棚体4を略鉛直下方にスライドさせるときは、ラッチを外すこととなる。
【0052】
更に、第1の棚体3の背部8には、本体2から延びると共に、第1の棚体3を略鉛直上方へ付勢するバネ(弾性体の一例である。)16が接続されている。
【0053】
また、第2の棚体4の略鉛直下方へのスライドに与える抵抗力よりも小さい抵抗力を、第2の棚体4の略鉛直上方へのスライドに与えるロータリーダンパー(ダンパー部の一例である。)15が、第1の鉛直部材7の内壁に取付けられている。
【0054】
ここで、ロータリーダンパー15の歯15Aは、第2の鉛直部材12に設けられたラック18と常に噛み合っている。そのため、第2の棚体4のスライドに伴ってロータリーダンパー15が回転することとなるが、第2の鉛直部材12が略鉛直下方へスライドするとき即ち第2の棚体4が略鉛直下方へスライドするときの回転は、抵抗力が大きいので回転がゆっくりであり、第2の鉛直部材12が略鉛直上方へスライドするとき即ち第2の棚体4が略鉛直上方へスライドする時の回転は抵抗力が小さいので回転が速い。
【0055】
また、照明部5の内側には、電球19が設置されている。なお、図2に示すように、照明カバー5Aは、照明カバー5Aの一部を軸に90度回動することができる。
【0056】
ここで、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体に収納されたときに本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備えるのであれば、必ずしも第1の水平部材や第2の水平部材を備えなくてもよい。
【0057】
しかし、本発明の昇降棚装置が、第1の水平部材や第2の水平部材を備えていれば、第1の棚体や第2の棚体の略中央を押したり引いたりしなくても、第1の棚体や第2の棚体を略鉛直上方若しくは略鉛直下方へスムースにスライドさせることができる。また、仮に、第1の棚体や第2の棚体の一方の側を上方へ押したり、下方へ引いたりした場合であっても、第1の棚体や第2の棚体の他方の側も同調して上方や下方へ動き、両方の側を同じように扱うことができるので好ましい。
【0058】
例えば、調理者が、第1の棚体、若しくは第2の棚体の一方の側付近で調理作業をしていて、急ぎ第1の棚体、若しくは第2の棚体を上方へ移動させなければならないときに、その場で一方の側を上方へ押すだけでよいので便利である。
特に、第1の棚体や第2の棚体の幅が広いときでも、調理者は、わざわざ第1の棚体や第2の棚体の略中央付近にまで移動しなくてもよく、便利である。
【0059】
また、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体に収納されたときに本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備えるのであれば、必ずしも第1の棚体を略鉛直上方へ付勢するバネを備えていなくてもよい。
【0060】
しかし、本発明の昇降棚装置が、第1の棚体を略鉛直上方へ付勢する弾性体を備えていれば、第1の棚体に物を置いて重くなった第1の棚体を略鉛直上方へスライドして収納するときでも、弾性体の力で楽にスライドさせることができるので好ましい。
【0061】
また、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体に収納されたときに本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備えるのであれば、必ずしも第2の棚体の略鉛直下方へのスライドに与える抵抗力よりも小さい抵抗力を、第2の棚体の略鉛直上方へのスライドに与えるロータリーダンパーを備えていなくてもよい。
【0062】
しかし、本発明の昇降棚装置が、第2の棚体の略鉛直下方へのスライドに与える抵抗力よりも小さい抵抗力を、第2の棚体の略鉛直上方へのスライドに与えるダンパー部を備えていれば、第2の棚体は、ダンパー部の抵抗力によってゆっくりと自重落下することができ、衝撃落下を抑止することができるので好ましい。
【0063】
また、本発明の昇降棚装置は、本体と、略鉛直方向にスライド可能であると共に、本体に収納されたときに本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備えるのであれば、必ずしも第2の支持部は、複数のバーが所定の間隔で並列配置されて柵状に構成されていなくてもよい。
【0064】
しかし、第2の支持部は、複数の棒状物が所定の間隔で並列配置されて柵状に構成されていれば、水洗いされた食器を第2の支持部に仮置きしておけば、複数の棒状物の間から水滴が落ち、自然乾燥させることができるので好ましい。
【0065】
ここで、第1の棚体3と第2の棚体4は、互いに独立してスライド可能であるので、本発明の昇降棚装置1は、図3や図4に示すような状態になることもできる。
【0066】
即ち、図3は、本発明の昇降棚装置の第1の棚体のみが引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。また、図4は、本発明の昇降棚装置の第2の棚体のみが引き降ろされた状態の一例を示す概略図である。また、図5は、本発明の昇降棚装置の第1の棚体と第2の棚体が本体に収納された状態の一例を示す概略図である。
【0067】
図3に示すように、台所の吊り戸棚20の下部に、本発明の昇降棚装置1を取付け、第1の棚体3のみを略鉛直下方にスライドさせて、第1の棚体3のみを本体から露出させることができる。
【0068】
そして、第1の棚体3には、キッチンペーパーや調味料などの台所用品が置かれるので、通常は、図3のような状態で本発明の昇降棚装置1は使用される。
【0069】
また、図4に示すように、吊り戸棚20の下部に取付けられた本発明の昇降棚装置1の第1の棚体3は本体に収納させておき、第2の棚体4のみを略鉛直下方にスライドさせて、第2の棚体4のみを本体から露出させることもできる。
【0070】
更に、来客時には、図5に示すように、第1の棚体3と第2の棚体4を本体に収納することもできる。
【0071】
また、本実施の形態では、昇降棚装置が本体を備える場合を例に挙げて説明したが、略鉛直方向にスライド可能であると共に、取付面(例えば、吊り戸棚20の底面)との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備えるのであれば、必ずしも本発明の昇降棚装置は本体を備えていなくてもよい。
【0072】
以上のように、本発明の昇降棚装置は、第1の棚体と第2の棚体が、略鉛直方向にスライド可能であるので、昇降棚装置の使用時に、第1の棚体や第2の棚体は吊り戸棚の前方に出てくることがない。従って、本発明の昇降棚装置は、調理作業スペースを奪うことがなく、調理作業スペースを確保できる。
【0073】
また、第1の棚体と第2の棚体は、互いに独立してスライド可能であるから、状況に応じて、第2の棚体は収納しておいて第1の棚体だけを引き降ろしたり、第1の棚体は収納しておいて第2の棚体だけを引き降ろしたりすることができる。
【0074】
更に、第1の鉛直部材や第2の鉛直部材はそれぞれ、第1の支持部や第2の支持部に固着されており、第1の支持部や第2の支持部との接続点を軸に回動するものではないので、第1の支持部や第2の支持部に食器などを置いても、第1の鉛直部材や第2の鉛直部材が回動せず、よってグラつくことがない。
【0075】
また、第1の鉛直部材や第2の鉛直部材はそれぞれ、第1の支持部や第2の支持部との接続点を軸に回動するものではないので、第1の棚体や第2の棚体が略鉛直方向にスライドするときでも、第1の鉛直部材や第2の鉛直部材は、第1の支持部や第2の支持部に対して動くことはなく、よって、第1の鉛直部材若しくは第2の鉛直部材と、第1の支持部若しくは第2の支持部との間に指などを挟むおそれもない。
【0076】
また、本発明の昇降棚装置は、第1の棚体と第2の棚体という2段の棚体を備えているが、第2の棚体は、第2の支持部が第1の支持部の下面に接触する位置まで略鉛直上方にスライド可能であるから、第2の支持部を第1の支持部の下面に接触させて第2の棚体の仮置きスペースをほぼゼロにした状態で第2の棚体を収納することができ、第2の棚体の仮置きスペースを考慮して収納スペースを確保する必要がない。
【0077】
また、第2の棚体は、最下段の棚であり、そして、吊り戸棚の下部に取付けられた本発明の昇降棚装置の第2の棚体の下方には通常、流し台が存在し、しかも第2の棚体の第2の支持部は、複数のバーが所定の間隔で並列配置されて柵状に構成されているので、水洗いした食器などを、第2の支持部に仮置きして自然乾燥させることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 昇降棚装置
2 本体
2A 上面
3 第1の棚体
3A 所定の空間
4 第2の棚体
5 照明部
5A 照明カバー
6 第1の支持部
7 第1の鉛直部材
8 背部
9 仕切り板
10 キッチンペーパーホルダー
11 第2の支持部
11A バー
12 第2の鉛直部材
13 第1の水平部材
13A 歯
14 第2の水平部材
14A 歯
15 ロータリーダンパー
15A 歯
16 バネ
17 ラック
18 ラック
19 電球
20 吊り戸棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
略鉛直方向にスライド可能であると共に、前記本体に収納されたときに前記本体の上面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、
該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える
昇降棚装置。
【請求項2】
前記第1の棚体と前記第2の棚体は、互いに独立してスライド可能である
請求項1に記載の昇降棚装置。
【請求項3】
前記第1の棚体は、略水平に配置された第1の支持部を有し、
前記第2の棚体は、該第1の支持部の略鉛直下方に位置すると共に同第1の支持部に対して略平行に位置する第2の支持部を有し、該第2の支持部が前記第1の支持部の下面に接触する位置まで略鉛直上方にスライド可能である
請求項1または請求項2に記載の昇降棚装置。
【請求項4】
前記第1の棚体は、前記第1の支持部の左右両端に同第1の支持部に対して略垂直に設けられた第1の鉛直部材と、該第1の鉛直部材間に回転自在に配置された第1の水平部材と、少なくとも前記第1の水平部材の両端に設けられた第1の係合部とを有し、
前記本体は、前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有し、
前記第1の棚体のスライドに伴って、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合した状態で前記第1の水平部材が回転する
請求項3に記載の昇降棚装置。
【請求項5】
前記第1の棚体は、前記第1の支持部の左右両端に同第1の支持部に対して略垂直に設けられた第1の鉛直部材と、該第1の鉛直部材間に回転自在に配置された第2の水平部材と、少なくとも前記第2の水平部材の両端に設けられた第3の係合部とを有し、
前記第2の棚体は、前記第2の支持部の左右両端に同第2の支持部に対して略垂直に設けられた第2の鉛直部材と、該第2の鉛直部材に設けられた第4の係合部とを有し、
前記第2の棚体のスライドに伴って、前記第3の係合部と前記第4の係合部が係合した状態で前記第2の水平部材が回転する
請求項3または請求項4に記載の昇降棚装置。
【請求項6】
前記第1の棚体を略鉛直上方へ付勢する弾性体を備える
請求項1〜5のいずれか1つに記載の昇降棚装置。
【請求項7】
前記第2の棚体の略鉛直下方へのスライドに与える抵抗力よりも小さい抵抗力を、前記第2の棚体の略鉛直上方へのスライドに与えるダンパー部を備える
請求項1〜6のいずれか1つに記載の昇降棚装置。
【請求項8】
前記第2の支持部は、複数の棒状物が所定の間隔で並列配置されて柵状に構成された
請求項3〜7のいずれか1つに記載の昇降棚装置。
【請求項9】
本体と、
略鉛直方向にスライド可能に前記本体に取付けられた第1の棚体と、
該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、同第1の棚体のスライドと独立して略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える
昇降棚装置。
【請求項10】
略鉛直方向にスライド可能であると共に、取付面との間に所定の空間を確保する第1の棚体と、
該第1の棚体の略鉛直下方に位置すると共に、略鉛直方向にスライド可能である第2の棚体とを備える
昇降棚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125351(P2012−125351A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278375(P2010−278375)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(599040643)株式会社カワノ (7)
【Fターム(参考)】