説明

昇降機

【課題】昇降機の底部を引き出し自在な構成とし、本体内の残留穀物を、簡単な構造にして簡単な作業で確実に取り除くことができる画期的な昇降機を提供すること。
【解決手段】昇降機本体1の下部に上昇搬送させる穀物を受留する受留部4を設け、この受留部4を、底部開口部6を有する開口受留部4aとこの開口受留部4aを開閉自在に下方から閉塞する引出底板部4bとから構成して、前記受留部4の底部を引き出し自在に構成し、この引出底板部4bは残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部7を有する形状に構成した昇降機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を上方へ搬送する昇降機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収集される米などの穀物を高位置に搬送するための穀物用昇降機としてバケット式の昇降機が広く用いられており、このバケット式昇降機は本体内下方に設けた導入部から導入される穀物を受留する受留部を本体内底部に設け、この本体内の受留部上方の上下に設けた回転部に無端ベルトやチェーンを昇降移動部として回転搬送自在に設け、この回転部が回転することで一側が上昇し反対側は下降する昇降移動部に汲上部としてバケットを多数設け、この各バケットが下方の回転部に沿って順次下方移動から上方移動へ反転するに際して底部の受留部の穀物をすくい上げて上方に搬送し、搬出部から搬出するように構成している。
【0003】
この昇降機は常に同種の穀物だけを搬送するものではないため、異なる穀物や同一の穀物であっても違う品種の穀物を搬送する場合は、昇降機内の残留穀物を取り除かなければならない。しかし、前記汲上部と受留部上面との間には隙間があるため、この昇降機を十分作動させて搬送を終了させても、なお穀物は受留部に残留する。これがたとえわずかでも搬送する穀物に別の残留穀物が混ざるおそれがあり商品価値や品質を下げるおそれがある。
【0004】
従って、従来は別の穀物を搬送する場合は、残留穀物を取り除くために本体下方側面に取出開口部を設け、この取出開口部を開けて受留部上の残留穀物を手でかき出したりしていたが、受留部上にはこれに近接する汲上部が停止しているため、これが邪魔で取り出しにくく、きれいに残留穀物を取り出し除去することは非常に大変な作業であり、ほぼ完全に除去することは困難であった。
【0005】
また、例えば特許文献1や特許文献2に示すように送風装置により吹き払いながら汲上部で汲み上げ搬送するように構成したものもあるが、装置が複雑となりコスト高となったり、除去効率も十分でなく、実用性に劣る。
【0006】
【特許文献1】特開2006−168912号公報
【特許文献2】特開2007−045626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような問題を解決するものであり、昇降機の底部を引き出し自在な構成とし、本体内の残留穀物を、簡単な構造にして簡単な作業で確実に取り除くことができる画期的な昇降機を提供することを目的としている。
【0008】
また、更にこの引き出し自在に設けた引出底板部の下方に受皿部を設けることによりこぼれ落ちる穀物も除去でき、何度も穀物を変えても単に引き出すだけで容易に残留穀物を確実に除去できる機能を維持できる画期的な昇降機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
昇降機本体1内に上下方向に移動するベルトやチェーンなどの昇降移動部2を設け、この昇降移動部2に汲上部3を設け、この昇降機本体1の下部に上昇搬送させる穀物を受留する受留部4を設け、この昇降機本体1の上部に穀物を搬出する搬出部5を設けて、前記昇降移動部2が上昇することで前記汲上部3が上昇して前記受留部4に受留されている穀物を汲み上げ、前記搬出部5からこの汲み上げられた穀物を搬出するように構成した昇降機において、前記受留部4を、底部開口部6を有する開口受留部4aとこの開口受留部4aを開閉自在に下方から閉塞する引出底板部4bとから構成して、前記受留部4の底部を引き出し自在に構成し、この引出底板部4bは残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部7を有する形状に構成し、前記昇降移動部2は、上下に設けた回転部9に巻架し、この回転部9の回転によって上下方向に移動するように構成し、この昇降移動部2に設けた前記汲上部3は、前記下方の回転部9に沿って下方移動から上方移動に反転し、この反転に際して前記汲上部3が、下方の前記受留部4に受留されている穀物を汲み上げ搬送するように構成し、この汲上部3の下方での反転移動軌跡に沿って、前記受留部4の開口受留部4aの上面を下方に凸の弧状面に構成し、且つこの開口受留部4aの底部開口部6を閉塞する前記引出底板部4bを下方に凸の弧状板で構成し、前記引出底板部4bは、前記受留部4の前記開口受留部4aの中央部に設けた前記底部開口部6を下方から閉塞し、この底部開口部6を設けた開口受留部4aに対して水平引出スライド自在に構成して、この底部開口部6の内縁が前記引出底板部4bの端部上面に位置するように構成したことを特徴とする昇降機に係るものである。
【0011】
また、昇降機本体1内に上下方向に移動するベルトやチェーンなどの昇降移動部2を設け、この昇降移動部2に汲上部3を設け、この昇降機本体1の下部に上昇搬送させる穀物を受留する受留部4を設け、この昇降機本体1の上部に穀物を搬出する搬出部5を設けて、前記昇降移動部2が上昇することで前記汲上部3が上昇して前記受留部4に受留されている穀物を汲み上げ、前記搬出部5からこの汲み上げられた穀物を搬出するように構成した昇降機において、前記受留部4を、底部開口部6を有する開口受留部4aとこの開口受留部4aを開閉自在に下方から閉塞する引出底板部4bとから構成して、前記受留部4の底部を引き出し自在に構成し、この引出底板部4bは残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部7を有する形状に構成し、前記受留部4の開口受留部4aの底部開口部6の下方で且つ前記引出底板部4bの下方に、前記引出底板部4bを引き出した際に前記開口受留部4a若しくは前記引出底板部4bから落下する穀物を受留する受皿部8を引き出し自在若しくは取り出し自在に設けたことを特徴とする昇降機に係るものである。
【0012】
また、前記開口受留部4aの上面は、この開口受留部4aの中央部に設けた前記底部開口部6に向けて下がり傾斜する形状に構成して、この底部開口部6を閉塞する前記引出底板部4bに前記穀物が滑り受留されるように前記受留部4を構成したことを特徴とする請求項2記載の昇降機に係るものである。
【0013】
また、前記昇降移動部2は、上下に設けた回転部9に巻架し、この回転部9の回転によって上下方向に移動するように構成し、この昇降移動部2に設けた前記汲上部3は、前記下方の回転部9に沿って下方移動から上方移動に反転し、この反転に際して前記汲上部3が、下方の前記受留部4に受留されている穀物を汲み上げ搬送するように構成し、この汲上部3の下方での反転移動軌跡に沿って、前記受留部4の開口受留部4aの上面を下方に凸の弧状面に構成し、且つこの開口受留部4aの底部開口部6を閉塞する前記引出底板部4bを下方に凸の弧状板で構成したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の昇降機に係るものである。
【0014】
また、前記引出底板部4bは、前記受留部4の前記開口受留部4aの中央部に設けた前記底部開口部6を下方から閉塞し、この底部開口部6を設けた開口受留部4aに対して水平引出スライド自在に構成して、この底部開口部6の内縁が前記引出底板部4bの端部上面に位置するように構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の昇降機に係るものである。
【0015】
また、前記受留部4の開口受留部4aの底部開口部6の下方で且つ前記引出底板部4bの下方に、前記引出底板部4bを引き出した際に前記開口受留部4a若しくは前記引出底板部4bから落下する穀物を受留するように受皿部8を設け、この受皿部8の上縁部が前記引出底板部4bの下面に当接若しくは近接するように設定して、前記引出底板部4bの引き出しスライドに際して、この引出底板部4bが引き出し前後方向に傾斜することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇降機に係るものである。
【0016】
また、前記引出底板部4bを昇降機本体1下方の側面から引き出し自在に設けると共に、その反対側面からも引き出し自在若しくは反対側面から引き出し自在に切り替え装着できるように構成して、反対側面からも引き出し自在となるように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇降機に係るものである。
【0017】
また、前記受留部4の開口受留部4aの底部開口部6の下方で且つ前記引出底板部4bの下方に、前記引出底板部4bを引き出した際に前記開口受留部4a若しくは前記引出底板部4bから落下する穀物を受留するように受皿部8を設け、前記昇降機本体1の下方に前記引出底板部4bを引き出し自在にするための取出開口部10を設け、この取出開口部10から前記引出底板部4bを引き出し自在若しくは取り出し自在にして且つ前記受皿部8を引き出し自在若しくは取り出し自在に構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の昇降機に係るものである。
【0018】
また、前記昇降機本体1の下方の側面に設けた前記取出開口部10を、この昇降機本体1の反対側面にも設け、いずれの側から前記引出底板部4bを挿入して、いずれの側からこの引出底板部4bを引き出し自在として前記開口受留部4aの底部開口部6を開閉自在とするかを選択できるように構成したことを特徴とする請求項8記載の昇降機に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように、搬送を終えた残留穀物が受留する受留部の底部に底部開口部を設け、これを下方から閉塞する引出底板部を引き出し自在に設けたから、単にこの引出底板部を引き出すことで簡単にして確実に残留穀物を取り除くことができ、しかも本発明は、残留穀物が生じにくい構成にでき、且つ生じた残留穀物を確実に引出底板部に受留できる構成を容易に実現できる画期的な昇降機となる。
【0020】
また、請求項2記載の発明においては、同様に搬送を終えた残留穀物が受留する受留部の底部に底部開口部を設け、これを下方から閉塞する引出底板部を引き出し自在に設けたから、単にこの引出底板部を引き出すことで簡単にして確実に残留穀物を取り除くことができ、更に、取り出し時に残留穀物が下部にこぼれたとしても、受皿部によりその残留穀物を受けることができ、これもまた必要に応じて引き出しあるいは取り出して排除でき、簡単な構成で且つ簡単な作業によって確実に残留穀物を除去でき、何度も穀物を変えても単に引き出すだけで容易に残留穀物を確実に除去できる機能を維持できる極めて画期的な昇降機となる。
【0021】
また、請求項3記載の発明においては、残留穀物が常に取り外し可能な引出底板部に滑り受留されるので、一層残留穀物の除去効率が向上する一層秀れた昇降機となる。
【0022】
また、請求項4記載の発明においては、汲上部と底部開口部との間の穀物の貯留を許す空間を極めて小さくすることが可能となり、搬送終了時の残留穀物を一層少なくでき、また一層簡易な構成で且つ効率良く残留穀物を除去できる一層秀れた昇降機となる。
【0023】
また、請求項5記載の発明においては、底部開口部を下側から閉塞できるので、上部に設けるのとは異なり、引出底板部に回収されずに受留部に残留する穀物が生じることをも一層簡易な構成で良好に防止できる一層秀れた昇降機となる。
【0024】
また、請求項6記載の発明においては、引出底板部を引き出す際に受皿部の上縁部が引出底板部のガイド部若しくは傾動規制部となり、引出底板部を引き出す際に下方の受皿部に落下することを一層防止できる画期的な昇降機となる。
【0025】
また、請求項7記載の発明においては、引出底板部を、左右両側から取り出せることとなり、一側を壁面に寄せて設置したり、他の部材に寄せて一側だけが露出する場所でも設置できるなど設置箇所の選択肢を増やすことができる一層実用性に秀れた昇降機となる。
【0026】
また、請求項8記載の発明においては、引出底板部及び受皿部を取り外し自在にでき、引出底板部及び受皿部上に載った残留穀物を簡単に除去することができ、更に、取出開口部を設けたことにより、昇降機本体内部の受留部付近に穀物が残っていないかなどを目視により確認することが容易となるなど一層秀れた昇降機となる。
【0027】
また、請求項9記載の発明においては、設置箇所の選択肢が増えるだけでなく、どちらの側からも目視により、昇降機本体内で受留部付近の残留穀物の有無が確認できるなど一層秀れた昇降機となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
昇降移動部2が移動することで、昇降移動部2に設けた汲上部3が移動し、この汲上部3によって受留部4に受留されている穀物を汲み上げて上方へ搬送し、搬出部5から搬出する。
【0030】
例えば、下部と上部に設けた回転部9に無端ベルトなどの昇降移動部2を巻架し、この回転部9を回転駆動して昇降移動部2を回転移動することで昇降移動部2は一側では上昇し、反対側では下降するように構成し、下方の回転部9に沿って昇降移動部2に設けた汲上部3が下方移動から上方移動に反転するに際して受留部4の穀物を汲み上げて上方へ搬送するように構成している。
【0031】
この搬送を終了すると、この汲上部3と受留部4との間には少なくとも隙間があるため、たとえ十分に搬送して終了させても、この受留部4には残留穀物が生じる。
【0032】
従って、異なる穀物や異なる品種の穀物を搬送する場合は、この残留穀物が混入することをさけるため、極力この残留穀物を除去しなければならない。
【0033】
本発明は、この受留部4に設けた引出底板部4bを引き出すだけで、この引出底板部4bに案内されて収容されている残留穀物を簡単に除去でき、ほぼすべての残留穀物の残渣処理が簡易な構成で容易にスピーディーに行える。
【0034】
即ち、受留部4は底部開口部6を有する開口受留部4aとこの開口受留部4aを開閉自在に下方から閉塞する引出底板部4bとから構成して、前記受留部4の底部を引き出し自在に構成したため、残留穀物が生じても受留部4の底部に位置する引出底板部4bに案内受留される。また、この引出底板部4bは、残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部7を有する形状に構成したため、受留し易く且つ引き出し易く、この引出底板部4bを引き出すことで確実にほとんどの残留穀物をスピーディーに簡単に引き出し除去できることとなる。
【0035】
しかも、本発明は、汲上部3の反転移動軌跡に沿った形状に開口受留部4aの上面を形成して、開口受留部4aの上面をこの開口受留部4aの中央に設けた底部開口部6に向って下がり傾斜した形状に係止し、この開口受留部4aを下側から閉塞するようにして且つ開口受留部4aの形状もこの反転移動軌跡に沿う弧状板で構成したから、残留穀物は生じにくく、たとえ生じても滑り落ちて引出底板部4bに案内収容され、開口受留部4aには残りづらく、単に引出底板部4bを引き出すだけで効率良くほとんどの残留穀物をスピーディーにして簡単に除去できる昇降機を簡易な構成で容易に実現できることとなる。
【0036】
また、請求項2記載の発明では、引出底板部4bを引き出す際に、たとえこの開口受留部4aや引出底板部4bから残留穀物が下方へ落下しても更にこれを受留する受皿部8を設け、これも引き出し自在若しくは取り出し自在としたため、この引出底板部4bの下方に不要な残留穀物が留まることがない。
【0037】
従って、残留穀物を受留できる受留部4の底部の引出底板部4bを引き出し自在に構成することで、簡単な構成にして、且つ簡単な引き出し作業で残留穀物を容易にして確実に除去でき、たとえ受留部4の開口受留部4aに底部開口部6を形成し、これを閉塞する引出底板部4bを引き出し自在として、引出底板部4b引き出し時に底部開口部6が開口しここからこぼれ落ちても、更にこの下方に引き出し若しくは取り出した受皿部8を設けてこぼれ落ちる残留穀物をも除去できるため、繰り返し穀物を変えてもこの残留穀物の除去がこの簡単な作業でほぼ確実に除去できる機能を失わない極めて画期的な昇降機となる。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例では、立設する長尺筒状の昇降機本体1内の上下に回転部9を設け、この回転部9に昇降移動部2として無端ベルトを巻架し、この昇降移動部2にバケット状の汲上部3を多数設け、この昇降機本体1の下部に設けた導入部11から導入される穀物を受留する椀状の受留部4を昇降機本体1の下部に架設し、この昇降機本体1の上部に穀物を搬出する搬出部5を設けて、前記回転部9を回転駆動して無端ベルトを採用した昇降移動部2を回転搬送することで順次汲上部3で受留部4の穀物を汲み上げ上昇搬送し、前記搬出部5からこの汲み上げられた穀物を搬出するように構成している。尚、図中符号13は、下方の回転部9の位置を上下に微調整して無端ベルトの張設度や位置を調整するテンション調整機構である。
【0040】
また、本実施例の前記受留部4は、底部開口部6を有する開口受留部4aとこの開口受留部4aを開閉自在に下方から閉塞する引出底板部4bとから構成して、前記受留部4の底部を引き出し自在に構成している。
【0041】
この引出底板部4bは残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部7を有する形状に構成している。
【0042】
具体的には、本実施例の引出底板部4bは、案内収容した残留穀物がこぼれずに受留し、引き出し時にもこぼれにくいように下方に凸の湾曲底板と把手部7を設けた前面板とから構成し、後面の立ち上がり部は形成せず汲上部3と干渉しない形状としている。
【0043】
更に説明すると、本実施例では、前記昇降移動部2は、上下に設けた回転部9に巻架し、この回転部9の回転によって上下方向に移動するように構成し、この昇降移動部2に設けた前記汲上部3は、前記下方の回転部9に沿って下方移動から上方移動に反転し、この反転に際して前記汲上部3が、下方の前記受留部4に受留されている穀物を汲み上げ搬送するように構成しているが、この汲上部3の下方での反転移動軌跡に沿って、前記受留部4の開口受留部4aの上面を下方に凸の弧状面に構成し、且つこの開口受留部4aの底部開口部6を閉塞する前記引出底板部4bを下方に凸の弧状板で構成し、前記引出底板部4bは、前記受留部4の前記開口受留部4aの中央部に設けた前記底部開口部6を下方から閉塞し、この底部開口部6を設けた開口受留部4aに対して水平引出スライド自在に構成して、この底部開口部6の内縁が前記引出底板部4bの端部上面に位置するように構成している。
【0044】
即ち、本実施例では、受留部4の受留面(上面)を汲上部3の反転移動軌跡に沿った椀状に形成するが、昇降機本体1に架設する椀状(下方に凸の弧状)の受留板の中央を分断開口して形成した開口受留部4aを昇降機本体1内の底部に架設して浮上状態に設け、これを案内板として中央の底部開口部6に穀物が傾斜案内されるように構成し、この底部開口部6を同じ弧状板で構成した引出底板部4bで引き出し開閉自在に閉塞するように構成している。
【0045】
従って、できる限り汲上部3と受留部4(開口受留部4a及び引出底板部4b)の上面とを近接させて残留穀物が生じないように構成すると共に、どうしても生じる残留穀物は、開口受留部4aによって底部開口部6へ案内して確実に底部開口部6を介して引出底板部4bに収容されるように構成し、この引出底板部4bを引き出すことで残留穀物を残すことなく引き取り除去できるように構成している。
【0046】
従って、引出底板部4bは汲上部3の反転移動軌跡に沿った形状に湾曲していると共にこの湾曲によって受留できる形状とした湾曲底板と、把手部7を設けた前面板とから成る構成としている。
【0047】
本実施例のこの引出底板部4bは水平スライドさせて水平引き出し自在で且つ取り外せるように構成しているが、この引出底板部4bの引き出しガイド機構は様々に設計可能である。例えば開口受留部4aの下面や昇降機本体1の内面にガイド部を設け、これに引出底板部4bの端縁を係合させても良いが、本実施例では引出底板部4bを引き出す取出開口部10の内縁左右に夫々引出底板部4bの端縁部が係合するスライドガイド用溝12を形成し、これをガイドとして引出底板部4bを引き出し且つそのまま引き取ることができるように構成している。これにより極めて簡易な構成で引出底板部4b及び引出底板部4bの引き出しガイド機構を実現している。
【0048】
また、本実施例では、前記受留部4の開口受留部4aの底部開口部6の下方で且つ前記引出底板部4bの下方に、前記引出底板部4bを引き出した際に前記開口受留部4a若しくは前記引出底板部4bから落下する穀物を受留する受皿部8を引き出し自在にして取り出し自在に設けている。
【0049】
従って、単にこの引出底板部4bを引き出すことで簡単にして確実に残留穀物を取り除くことができ、更に、取り出し時に残留穀物が下部にこぼれたとしても、受皿部8によりその残留穀物を受けることができ、これもまた必要に応じて取り出して排除でき、簡単な構成で且つ簡単な作業によって確実に残留穀物を除去でき、何度も穀物を変えても単に引き出すだけで容易に残留穀物を確実に除去できる機能を維持できる。
【0050】
また、本実施例では、この受皿部8にも把手部を設けて引き出し易くすると共に引き出しガイド機構によって引き出せそのまま引き取れるように構成しているが、この浅箱状に設けた受皿部8の上縁部が前記引出底板部4bの下面に近接するように設定して、前記引出底板部4bの引き出しスライドに際して、この引出底板部4bが引き出し前後方向に傾斜することを阻止するように構成している。
【0051】
即ち、引出底板部4bを引き出す際に受皿部8の上縁部が引出底板部4bの傾動規制部となり、引出底板部4bを引き出す際に傾くことを防止して下方の受皿部8に落下することを防止している。
【0052】
また、本実施例では、前記引出底板部4bを昇降機本体1下方の側面から引き出し自在に設けると共に、その反対側面からも引き出し自在となるように切り替え装着できるように構成している。
【0053】
具体的には、昇降機本体1の下方に前記引出底板部4bを引き出し自在にするための取出開口部10を設け、この取出開口部10から前記引出底板部4bを引き出し自在にして取り出し自在にし、且つ前記受皿部8も引き出し自在にして取り出し自在に構成している。
【0054】
更に説明すると、前記昇降機本体1の下方の側面に設けた前記取出開口部10を、この昇降機本体1の反対側面にも設け、いずれの側から前記引出底板部4bを挿入して、いずれの側からこの引出底板部4bを引き出し自在として前記開口受留部4aの底部開口部6を開閉自在とするかを選択できるように構成している。
【0055】
即ち、両側に取出開口部10を設け、いずれの側の取出開口部10にも前記スライドガイド用溝12を設け、いずれの側の取出開口部10から装着するかを選んで、引出底板部4bをその両端部をスライドガイド用溝12に係合しつつ挿入装着して受留部4の底部開口部6を閉塞し、この引出底板部4bを引き出すことで底部開口部6を開口しつつこの取出開口部10から引き出し取り外せるように構成し、また反対側から引き出したい場合は、例えば閉塞板14で一側の取出開口部10を塞ぎ反対側の取出開口部10から引出底板部4bを挿入装着してこの反対側の取出開口部10から引き出せるように構成している。
【0056】
また、本実施例の受皿部8は、左右の取出開口部10の下縁間に架設状態に設け、受皿部8も一側に設けた(行き止めを兼ねた)把手部に指をかけて引き出しそのまま取り出せるように構成している。即ち、受皿部8の引き出しガイド機構は、各取出開口部10の下縁とし、いずれからも挿入して引き出せるように構成している。
【0057】
また、この受皿部8の上縁部をその上の引出底板部4bの両縁部下面に近接させ、更にこの受皿部8の幅を引出底板部4bと同一若しくは大きく設定することで引出底板部4bや開口受留部4aからこぼれる穀物を受皿部8以外へは落とさず確実に受皿部8に収容すると共に、引出底板部4bの引き出し時に引出底板部4bが傾かずできるだけ水平に引き出せるように構成している。即ち、引き出す際に反対側の取出開口部10のスライドガイド用溝12から外れた後もこの受皿部8の上縁部をガイドとして水平に引き出すことができ、こぼさないように引き出せるように構成している。
【0058】
このように本実施例では、いずれの側からも引き出し切り替え可能な構成のため、一側を壁に寄せて設定しても、回りを部材で囲まれても一側に引き出し可能なスペースがあれば設置でき、また、前述のように引出底板部4bも受皿部8もその引き出しガイド機構を簡易な構成にでき、特に引出底板部4bの引き出しガイド機構を単に昇降機本体1の外壁板に設けた取出開口部10の開口縁を利用してスライドガイド用溝12を形成し、この取出開口部10の左右のスライドガイド用溝12によって引出底板部4bを引き出しガイドするように構成し、この引出底板部4bの下方の受皿部8の引き出し方向に延びる左右壁の上縁部を引き出し時に当接支承するように構成することで、汲上部3と干渉しないように引出底板部4bの後面板を形成しなくても引き出し時に後方に傾くことが受皿部8によって防止できることになる。即ち、受皿部8を利用して傾くことなくスムーズに引き出しガイドできるこのガイド機構を含めて確実に効率良く穀物を収容できる引出底板部4b及び受皿部8を簡易な構成で実現できる構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例の要部の説明側断面図である。
【図2】本実施例の概略構成斜視図である。
【図3】本実施例の要部の説明側面図である。
【図4】本実施例の要部の説明斜視図である。
【図5】本実施例の要部の説明分解斜視図である。
【図6】本実施例の残留穀物が生じることを示す要部の説明側断面図である。
【図7】本実施例の引出底板部を引き出して残留穀物を除去した状態の要部の説明側断面図である。
【図8】本実施例の残留穀物が生じることを示す要部の説明正断面図である。
【図9】本実施例の引出底板部を引き出して残留穀物を除去した状態の要部の説明正断面図である。
【図10】本実施例の反対側から引出底板部,受皿部を装着できることを示す要部の説明正断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 昇降機本体
2 昇降移動部
3 汲上部
4 受留部
4a 開口受留部
4b 引出底板部
5 搬出部
6 底部開口部
7 把手部
8 受皿部
9 回転部
10 取出開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機本体内に上下方向に移動するベルトやチェーンなどの昇降移動部を設け、この昇降移動部に汲上部を設け、この昇降機本体の下部に上昇搬送させる穀物を受留する受留部を設け、この昇降機本体の上部に穀物を搬出する搬出部を設けて、前記昇降移動部が上昇することで前記汲上部が上昇して前記受留部に受留されている穀物を汲み上げ、前記搬出部からこの汲み上げられた穀物を搬出するように構成した昇降機において、前記受留部を、底部開口部を有する開口受留部とこの開口受留部を開閉自在に下方から閉塞する引出底板部とから構成して、前記受留部の底部を引き出し自在に構成し、この引出底板部は残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部を有する形状に構成し、前記昇降移動部は、上下に設けた回転部に巻架し、この回転部の回転によって上下方向に移動するように構成し、この昇降移動部に設けた前記汲上部は、前記下方の回転部に沿って下方移動から上方移動に反転し、この反転に際して前記汲上部が、下方の前記受留部に受留されている穀物を汲み上げ搬送するように構成し、この汲上部の下方での反転移動軌跡に沿って、前記受留部の開口受留部の上面を下方に凸の弧状面に構成し、且つこの開口受留部の底部開口部を閉塞する前記引出底板部を下方に凸の弧状板で構成し、前記引出底板部は、前記受留部の前記開口受留部の中央部に設けた前記底部開口部を下方から閉塞し、この底部開口部を設けた開口受留部に対して水平引出スライド自在に構成して、この底部開口部の内縁が前記引出底板部の端部上面に位置するように構成したことを特徴とする昇降機。
【請求項2】
昇降機本体内に上下方向に移動するベルトやチェーンなどの昇降移動部を設け、この昇降移動部に汲上部を設け、この昇降機本体の下部に上昇搬送させる穀物を受留する受留部を設け、この昇降機本体の上部に穀物を搬出する搬出部を設けて、前記昇降移動部が上昇することで前記汲上部が上昇して前記受留部に受留されている穀物を汲み上げ、前記搬出部からこの汲み上げられた穀物を搬出するように構成した昇降機において、前記受留部を、底部開口部を有する開口受留部とこの開口受留部を開閉自在に下方から閉塞する引出底板部とから構成して、前記受留部の底部を引き出し自在に構成し、この引出底板部は残留穀物を受留する形状に構成するとともに引き出し時の把手部を有する形状に構成し、前記受留部の開口受留部の底部開口部の下方で且つ前記引出底板部の下方に、前記引出底板部を引き出した際に前記開口受留部若しくは前記引出底板部から落下する穀物を受留する受皿部を引き出し自在若しくは取り出し自在に設けたことを特徴とする昇降機。
【請求項3】
前記開口受留部の上面は、この開口受留部の中央部に設けた前記底部開口部に向けて下がり傾斜する形状に構成して、この底部開口部を閉塞する前記引出底板部に前記穀物が滑り受留されるように前記受留部を構成したことを特徴とする請求項2記載の昇降機。
【請求項4】
前記昇降移動部は、上下に設けた回転部に巻架し、この回転部の回転によって上下方向に移動するように構成し、この昇降移動部に設けた前記汲上部は、前記下方の回転部に沿って下方移動から上方移動に反転し、この反転に際して前記汲上部が、下方の前記受留部に受留されている穀物を汲み上げ搬送するように構成し、この汲上部の下方での反転移動軌跡に沿って、前記受留部の開口受留部の上面を下方に凸の弧状面に構成し、且つこの開口受留部の底部開口部を閉塞する前記引出底板部を下方に凸の弧状板で構成したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の昇降機。
【請求項5】
前記引出底板部は、前記受留部の前記開口受留部の中央部に設けた前記底部開口部を下方から閉塞し、この底部開口部を設けた開口受留部に対して水平引出スライド自在に構成して、この底部開口部の内縁が前記引出底板部の端部上面に位置するように構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の昇降機。
【請求項6】
前記受留部の開口受留部の底部開口部の下方で且つ前記引出底板部の下方に、前記引出底板部を引き出した際に前記開口受留部若しくは前記引出底板部から落下する穀物を受留するように受皿部を設け、この受皿部の上縁部が前記引出底板部の下面に当接若しくは近接するように設定して、前記引出底板部の引き出しスライドに際して、この引出底板部が引き出し前後方向に傾斜することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇降機。
【請求項7】
前記引出底板部を昇降機本体下方の側面から引き出し自在に設けると共に、その反対側面からも引き出し自在若しくは反対側面から引き出し自在に切り替え装着できるように構成して、反対側面からも引き出し自在となるように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇降機。
【請求項8】
前記受留部の開口受留部の底部開口部の下方で且つ前記引出底板部の下方に、前記引出底板部を引き出した際に前記開口受留部若しくは前記引出底板部から落下する穀物を受留するように受皿部を設け、前記昇降機本体の下方に前記引出底板部を引き出し自在にするための取出開口部を設け、この取出開口部から前記引出底板部を引き出し自在若しくは取り出し自在にして且つ前記受皿部を引き出し自在若しくは取り出し自在に構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の昇降機。
【請求項9】
前記昇降機本体の下方の側面に設けた前記取出開口部を、この昇降機本体の反対側面にも設け、いずれの側から前記引出底板部を挿入して、いずれの側からこの引出底板部を引き出し自在として前記開口受留部の底部開口部を開閉自在とするかを選択できるように構成したことを特徴とする請求項8記載の昇降機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate