説明

易開封合掌袋

【課題】個包装したフィルムの一部を容易に裂いて、内包した菓子などの食品や、医薬品、化粧品、その他雑貨などの物品を簡単に取り出しできる合掌袋を提供する。
【解決手段】一方の端部15の縁から上側のシート部14を摘むことができる摘み部12を確保できるように、縁から離してヒートシール部17を形成するとともに、そのヒートシール部17には、摘み部12側が凹んだ凹形とし、かつ、縁から一対の切れ目13,13を入れることで、切れ目13,13から容易にシート部14の一部を破いて開封することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に菓子の包装に用いる、容易かつスムーズに開封できる合掌袋に関する。
【背景技術】
【0002】
パイや饅頭、せんべいなどの菓子を個包装するにあたり、ポリオレフィン層を有するフィルムを用い、縁同士を向かい合わせてヒートシールした合掌袋が一般に用いられている。これを開封する際には、ヒートシールした部分を剥がすように力を掛けて引っ張ることで接着部分を剥離させたり、予め縁から切れ目や切り欠きを入れておき、そこからフィルムを裂いたりするといった方式が用いられている。
【0003】
しかし、ヒートシールした箇所を剥離させる際には過剰に力を掛けることになるため、開封時に中身が飛散してしまうことがある。また、十分な密閉性を確保するためにはある程度の強度で接着しておくことが必要であり、力が弱い子供などが開封しようとしてもできない場合がある。このため、剥がし易い接着面であるイージーピール層を設けたりすることが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−130145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにイージーピール層を裏面中央の合掌部分に設けると、開封部分は線状になるため、中身が大きい場合は取り出しにくい場合がある。
また一方で、単純に切れ目や切り欠きに沿って開封させる方法では、一般に、合掌して形成した筒の端部に切れ目や切り欠きを設けることになるが、裏面と表面をまとめて切り裂くことになり、内包する菓子に遮られてフィルムを裂こうとする動きが止まってしまう場合がある。これに対して、裏面の一部だけを摘んで、筒状長さ方向に裂いていけば都合がいいが、この場合には、両端部のヒートシール部分をイージーピールフィルムとしてもなお力が掛けにくいために剥離することが難しかった。
【0006】
そこでこの発明は、個包装したフィルムの一部を容易に裂いて、内包した菓子などの食品や、医薬品、化粧品、その他雑貨などの物品を簡単に取り出しできる合掌袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、筒状にして両端部をヒートシールする合掌袋について、
一方の端部の端縁とヒートシール部とは、所定の距離だけ離したものとし、
この一方の端部の端縁とヒートシール部との間の部分は、相対する2つのシート部の一方を摘むことが可能である摘み部を形成させ、
上記ヒートシール部は、上記摘み部側の中央部分に矩形状の凹部が形成されて凹形状となるようにし、
上記摘み部を形成する2つのシート部の少なくとも一方に、間を摘むことが可能な一対の切れ目を入れることで、上記の課題を解決したのである。
【0008】
すなわち、この合掌袋を開ける際には、一方のシート部の摘み部にある一対の切れ目の間を指で挟んで引っ張ることで、切れ目の延長線上へとシート部を裂いていき、途中でヒートシール部の中央部分のみを剥がして、菓子を内包した部分に帯状の開封口を形成させることになる。このとき、上記凹部と一対の切れ目が向かい合っていることにより、一対の切れ目から引っ張る応力が、切れ目の延長線上に伝わりやすくなり、一定の幅でヒートシール部を剥がしやすくなる。さらに、一対の切れ目の間隔は、指で摘んで引き裂ける程度であり、開封口の幅も少なくともそれと同程度の幅を確保できるので、内包した菓子を取り出しやすくなる。例えば、ピーナッツなどの個々が小さい菓子をまとめて内包していた場合、開封口を上面に向けて開封口から個々のピーナッツを取り出すことができるので、袋をそのまま食べる際の皿として用いることができる。
【0009】
上記の凹部の底辺や、一対の切れ目の間隔は、近いことが好ましく、また、凹部と両脇部分との境界が、一対の切れ目の向かう方向と一致しているとより好ましい。
【0010】
上記一対の切れ目は、合掌袋の側縁同士を接合した合掌部分を挟んで形成してあると、シート三枚分の厚みを持つ合掌部分をしっかりと摘むことができるので、さらに開封が容易となる。
【0011】
また、一対の切れ目の間隔が凹部底辺長さと同等程度か、それよりも短かったり、あるいは、切れ目の方向が中央方向側へ傾いていたら、剥がすべきヒートシール部の長さは凹部によって短くなった部分のみとなるため、剥離しきるまでに力を掛ける時間も短くて済む。
【0012】
この合掌袋は、単純に筒状にしてから平板状に潰してヒートシールしたものでもよいが、両側面を内側に折り込んだ襞部を形成させておくと、物品の密封後は襞部が広がることで、内体積が増加し、より多くの物品を入れることが出来る。また、見た目にも美しくなるため好ましい。
【0013】
上記シートは、少なくともヒートシール可能な層を内面側に有していることが必要であり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂製フィルムを用いることができる。さらに、そのようなフィルムの単層シートだけでなく、外面側にアルミニウム箔や和紙などを配した多層シートであると、強度の点からも装飾的にも好ましい。
【0014】
上記のヒートシール部の接着強度は、上記の熱可塑性樹脂製フィルムの成分や量にもよるが、開封時にヒートシール部を剥離させるために必要な開封強度が2N/15mm以上10N/15mm以下であると、通常は剥がれにくく、開封時には適度に剥がし易いものとなるので好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかる易開封合掌袋を採用することにより、開封時のひっかかりや、内容物の飛散といったリスクを抑えて容易に開封することができる。また、レーズンやピーナッツなどの小さい菓子を多数内包していた場合は、開封後もその場に置いて開封口から菓子を摘み出すことが容易にできる皿としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明にかかる易開封合掌袋の実施形態を示す斜視図
【図2】シートの両縁を重ね合わせて合掌接着部分を形成する際の斜視図
【図3】筒状にしたシートを襞部の形成とともに平面状に潰す際の斜視図
【図4】平面状に折り畳んだ状態を示す図
【図5】一方の端部及びヒートシール部の寸法を指示する平面図
【図6】一方の端部及びヒートシール部の斜視図
【図7】他方の端部から物品を挿入する際の斜視図
【図8】易開封合掌袋を開封し始める際の状態図
【図9】帯状片を破り取りつつ開封口を形成する際の状態図
【図10(a)】実施例1にかかる袋の写真
【図10(b)】図10(a)の袋の開封時の写真
【図11(a)】比較例1にかかる袋の写真
【図11(b)】図11(a)の袋の開封時の写真
【図12(a)】比較例2にかかる袋の写真
【図12(b)】図12(a)の袋の開封時の写真
【図13(a)】比較例3にかかる袋の写真
【図13(b)】図13(a)の袋の開封時の写真
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明にかかる易開封合掌袋について、図1に示す実施形態により説明する。この易開封合掌袋11は、内部に水物以外の固形物状食品や医薬品、化粧品、その他、粘りつくことのない雑貨などの物品31を内包して密閉可能なものである。両方の端部15,16の近傍に、ヒートシール部17,18が設けてあり、一方の端部15の側のヒートシール部17は、凹形状である。ヒートシール部17は、一方の端部15の縁から指で摘むことができる程度に離れていることで、シート部14を摘むことができる摘み部12が形成されている。食べる際には、その摘み部12を引きあげて、一対の切れ目13,13からシート部14を破っていくことで開封するものである。なお、図中網掛けはヒートシールにより内面同士が接着している箇所を示しており、表面に模様が現れているわけではない。
【0018】
この実施形態にかかる易開封合掌袋11の詳細な構成を、製造手順例を示して説明する。なお、この発明は基本的な構成が条件を満たせば効果を発揮するものであり、その製造方法は以下の製造手順に限定されるものではない。まず、材料として、ヒートシール可能なシート21を用いる。ヒートシール可能であるとは、少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂製フィルムが配された、単層シート又は複層シートである。この熱可塑性樹脂製フィルムが配された面を内側面22として、図2のように側縁23、23同士を重ね合わせ、側縁23,23に沿った所定の幅の領域をヒートシールして、合掌接着部分24を形成させる。これにより、シート21は筒状となる。
【0019】
この合掌接着部分24の幅Dは、特に限定されるものではなく、十分な強度で接着できる程度の幅であればよい。ただし、幅Dが大きすぎると不格好であり、摘み部12を摘む際に邪魔になるおそれがあるため、後述する一対の切れ目の間隔よりも小さいことが望ましい。
【0020】
次に、筒状にしたシート21の向きを変え、合掌接着部分24が上側面の中央付近に位置するようにして、平板状に潰すように畳んでいく。この課程を図3に示す。この位置は中央でなくてもよいが、中央であると後述するように摘みやすくなる。畳んでいくとき、両側面を内側に折り込んで畳むことで、上側のシート部14と下側のシート部25との間に、襞部26,26を形成させる。折りたたみ終わった状態を図4に示す。端部15,16の幅方向中央に合掌接着部分24が配してある。すなわち、側縁23は幅方向中央からややずれている。この合掌接着部分24が配された上側のシート部14に、一方の端部15の縁から、合掌接着部分24を挟むように、一対の切れ目13を入れる。この切れ目13の深さChと間隔Cwについては後述する。
【0021】
図5は、一方の端部15側のヒートシール部17付近の平面図である。一方の端部15の端縁から所定の距離Sl離れた位置をヒートシールする。このとき、単純な帯状にヒートシールするのではなく、摘み部12側の中央部分に、矩形状の凹部27が形成されるようにして、凹形のヒートシール部17を形成する。すなわち、矩形状の凹部27の底辺28部分は、一方の端部15の端縁から、前記の距離SlよりもさらにOhだけ離れた位置にある。凹部27の両脇部分29の両端方向幅Shは、Ohよりも大きいが、その差(Sh−Oh)が大きすぎると剥離しにくくなる。
【0022】
なお、上記のようにヒートシールする際には、襞部26も、上側のシート部12、下側のシート部25のそれぞれとヒートシールされる。ヒートシール後の一方の端部15付近の斜視図を図6に示す。
【0023】
上記のようにヒートシール部17を形成させた後、他方の端部16から、上側のシート部12と下側のシート部25との間を開いて、中に物品31を挿入する。この状態を図7に示す。なお、図では饅頭のような一つの固まりである物品31を内包しているが、ピーナッツや金平糖のような小さい細かい菓子類などを多数入れてもよい。このとき、襞部26があると、袋を広げやすく物品31を内包させやすい。
【0024】
物品31を内包させた後、他方の端部16の近傍にもヒートシール部18を形成させることで、物品31を密封して、図1のような実施形態が完成する。
【0025】
この実施形態にかかる易開封合掌袋11を開ける際には、図8に示すように、一対の切れ目13,13を入れた上側のシート部14を上に向けて、切れ目13,13の間の摘み部12を摘み上げる。図のように、切れ目13,13の間に合掌接着部分24があると、持つべき部分が厚くなるため持ちやすく、力を掛けやすくなっている。摘み部12を保持したまま他方の端部16側へ向かって力を掛けていくと、切れ目13,13の延長線上が裂けていく。このとき、凹部27があるために、上側のシート部14を引っ張る力が凹部27の内側へ集中することになり、シート部14を破りやすくなる。さらに、ヒートシール部17は、凹部27によって中央部分が細くなっているため、上側のシート部14と下側のシート部25とを引き剥がさなければならない接着部分は短くて済む。ヒートシール部17を引きはがした後の状態を図9に示す。帯状に開封口30が形成されるため、中にある物品31を容易に取り出すことができる。また、ピーナッツなどの細かい菓子である場合には、開いた状態で置いておくことで、開封口30から苦労せずに内包する菓子を摘むことができる。
【0026】
この開封口30は、他方の端部16側のヒートシール部18の手前まで形成させれば、単体の菓子(物品31)を取り出すには十分である。一方で、開封後もその場に置いたまま細かい菓子(物品31)を取り出そうとする場合には、開封口30の部分を破いた帯状片32が付属したままであると、邪魔になる場合がある。このため、他方の端部16側のヒートシール部18の幅を、密封に必要な最低限の長さとしておき、ヒートシール部18の接着も剥がして、帯状片32を他方の端部16の縁まで破りきることが容易にできると好ましい。また、このように破りやすくするために、他方の端部16側のヒートシール部18も、帯状片32となる中央部分が凹んだものであってもよい。
【0027】
上記のように好適に利用するため、図5に示すようなヒートシール部17及び切れ目13の長さ及び配置は、次のような範囲であると好ましい。
【0028】
凹部27の底辺28の長さOwは、易開封合掌袋11の端部15の長さBwの20%以上であると好ましく、30%以上であるとより好ましい。凹部の幅が狭すぎると、それより短い幅であるべき帯状片32の幅も短くせざるを得なくなり、摘みにくくなってしまうおそれがある。また、狭すぎると摘み部12を引っ張った際に応力を切れ目の延長線上に集中させる効果がうまく作用せず、帯状片32を破りにくくなってしまうおそれもある。一方で、長さOwが広すぎると、集中させるべき応力が分散してしまい、破りにくくなってしまうので、70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
【0029】
一対の切れ目13,13の間隔Cwは、易開封合掌袋11の端部15の長さBwの20%以上であると好ましく、30%以上であるとより好ましい。この切れ目13,13の間を摘むため、狭すぎると力をこめて破ることが難しくなってしまう。一方で、広すぎても応力が分散してしまい、破りにくくなるため、70%以下が好ましく、60%以下であるとより好ましい。
【0030】
また、凹部27の底辺28の長さOwと、一対の切れ目13,13の間隔Cwとの比は、2:1〜1:2であると好ましく、4:3〜3:4であるとより好ましく、値が近いほどより好ましい。OwとCwとの値が違いすぎると、それぞれの値が上記の範囲であっても、切れ目と凹部とが合わさることで実現される易開封効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。
【0031】
上記の一対の切れ目13,13は、一方の端部15の縁に対して必ずしも直角でなくてもよいが、凹部27と両脇部分29との境界線33,33より内側に向かっていることが好ましい。特に、この境界線33,33の内側でも、底辺28両端の隅部34,34近傍に向かっていると特に破りやすく好ましい。この隅部34,34近傍から外れていると、破く際の裂け目が整った帯状片32を形成するようにならず、ゆがんで破りにくくなるおそれもあるからである。なお、切れ目13,13が一方の端部15の縁に対して直角で無い場合は、上記の間隔Cwは最も深く切り込んだ箇所同士の幅とする。
【0032】
また、上記の一対の切れ目13,13の深さChは、少なくとも破り始める際に摘み部12を指で摘むことができる長さである必要があり、具体的には、4mm以上であると好ましく6mm以上であるとより好ましい。一方で、最大でも凹部27の底辺28までの長さまでしか切り込むことが出来ず、さらに、長すぎると輸送時に引っ掛かって意図せず破れてしまうことがあるので、3cm以下であると好ましく、2cm以下であるとより好ましい。
【0033】
一方、ヒートシール部17の両脇部分29は、一方の端部15の縁からの長さSlが、5mm以上であると好ましく、7mm以上であるとより好ましい。少なくとも上記の摘み部12を確保できる長さであることが好ましいためである。一方で、離れすぎていてもその分のシートが無駄であり、不格好でもあるため、2cm以下であると好ましい。
【0034】
また、ヒートシール部17に形成される凹部27の凹みの深さOhは、4mm以上であると好ましく、6mm以上であるとより好ましい。短すぎると凹部27があることによる応力の集中効果が不充分になってしまうためである。一方で、2.0cmより深くても効果はほとんど変わらないため、2cm以下が好ましく、1.5cm以下であるとより好ましい。
【0035】
さらに、ヒートシール部17の両脇部分29、すなわち凹んでいない部分の両端方向幅Shは、少なくともOhより長いことが必要であり、なおかつ、凹部27の底部近傍が最低限の強度を確保する必要があるため、(Sh−Oh)が3mm以上であると好ましく、5mm以上であるとより好ましい。一方で、(Sh−Oh)は長すぎると剥離しにくくなるため、1.5cm以下であると好ましく、1.0mm以下であるとより好ましい。
【0036】
この発明にかかる易開封合掌袋の横幅Bwは特に限定されないが、小さすぎると帯状片32の幅を十分に確保することができないので、5cm以上であると好ましい。一方で、大きくても実施は可能であるが、幅が30cmを超えると、上記のOwやCwの好ましい範囲としての効果はあまり見込めなくなる。その場合は、Bwとは無関係に、Ow及びCwが10cm以下であると好ましい。
【0037】
この発明に用いるシート21は、上記の通り、少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂製フィルムが配されたものであり、熱可塑性樹脂製フィルムのみからなる単層シートでもよいし、熱可塑性樹脂製フィルムを内側面22に配して、和紙などの紙やアルミニウム箔などを積層したフィルムでもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの一般的な熱可塑性樹脂を用いることができる。たとえば、イージーピールフィルムと呼ばれる、易開封タイプの樹脂フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂製フィルムの厚みは、少なくとも熱をかけてヒートシールできるものである必要がある。
【0038】
また、上記の熱可塑性樹脂製フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸したものであると好ましい。二軸方向に延伸したものである場合には、うち一方がより強く延伸したものであるとよい。シート21から易開封合掌袋11を作製するにあたり、延伸方向、又はより強く延伸した方向が、両端方向となるように配することで、帯状片32を破り取ることが容易になる。
【0039】
ヒートシール部17の接着強度は、それを開封する際の開封強度が2N/15mm以上、10N/15mm以下となるように調整していることが好ましい。この範囲であれば、帯状片32を破り取るにあたり、比較的容易に剥がすことができる。より具体的には、密封する物品31の主な消費者層に合わせて強度を調整するとよい。
【0040】
上記の実施形態以外の実施形態としては、他方の端部16のヒートシール部18にも凹部を設けた実施形態が上げられる。これにより、帯状片32を完全に取り除いた方が後で物品31を取り出しやすい場合に、ヒートシール部18から剥離しなければならない部分が短くなるので、破った部分を完全に袋から取り外すことが容易になる。
【実施例】
【0041】
大王製紙(株)製レーヨン紙(ダイオウM:14g/m)と、低密度ポリエチレン(厚さ:15μm)と、三菱樹脂(株)製:二軸延伸ガスバリアナイロンフィルム(スーパーニール15μm)と、低密度ポリエチレン(厚さ:15μm)と、ジェイフィルム(株)製:イージーピールフィルム:VMX30μmとが順に積層された複合シート(縦17.8cm×横23.0cm)を用い、両横1.0cmずつを向かい合わせにヒートシールして合掌接着部分を形成し、筒状として、上記の手順の通りに袋を作製した。
【0042】
襞部の深さは1.5cmとし、横幅は7.5cmとした。切れ目の深さChは1.0cmとし、切れ目の間隔Cwは3.4cmとした。凹部深さOhは1.0cmとし、凹部底辺幅Owは3.6cmとし、両脇部分の両端方向幅Shは2.0cmとした。
【0043】
このような袋を4枚作製し、それぞれについて切れ目間を摘み、開封を試みた。凹部からヒートシール部を剥がす際の開封強度は、それぞれ17.3N/34mm、17.5N/34mm、17.1N/15mm、17.4N/34mmとなり、平均値は17.3N/34mmとなった。これは換算すると7.6N/15mmであった。
【0044】
(実施例1、比較例1〜3)
上記一方の端部についてのみ上記例のようにシールし、他方の端部については接着しない試料袋を作製した。これを実施例1とする。この実施例1に対して、切れ目を入れない以外は同様の構成とした比較例1、実施例1に対して、ヒートシール部に凹部を設けずに単純な矩形状とした以外は同様の構成とした比較例2、実施例1に対して、切れ目を入れずかつヒートシール部に凹部も設けない以外は同様の構成とした比較例3のそれぞれの形態で袋を作製した。これら実施例1及び比較例1〜3について、およそ17.3N/34mm程度となるように手で摘み部を引っ張って開封を試みた。
【0045】
図10(a)は実施例1にかかる袋の写真であり、図10(b)はその開封時の写真である。図10(a)の左側が一方の端部であり、凹状のヒートシール部が形成され、その両脇との境界部分に向かって切れ目を入れてある。この切れ目の間を摘んで引っ張ることで、切れ目の延長線上を容易に破って、ほぼ一定幅に開封することができた。
【0046】
図11(a)は比較例1にかかる袋の写真であり、ヒートシール部には凹部を設けてあるが、切れ目は入れていない。実施例1における切れ目の間に相当する部分を摘んで引っ張ったが、図11(b)に示す写真のように、破り始めることができず、開封できなかった。
【0047】
図12(a)は比較例2にかかる袋の写真であり、切れ目は入れてあるが、ヒートシール部には凹部を設けていない。切れ目の間を摘んで引っ張ったが、図12(b)に示す写真のように、切れ目から破り進めることができず、開封できなかった。
【0048】
図13(a)は比較例3にかかる袋の写真であり、切れ目は入れておらず、ヒートシール部には凹部を設けていない。実施例1における切れ目の間に相当する部分を摘んで引っ張ったが、図13(b)に示す写真のように、破り始めることができず、開封できなかった。
【符号の説明】
【0049】
11 易開封合掌袋
12 摘み部
13 切れ目
14 上側のシート部
15 一方の端部
16 他方の端部
17 一方の端部側のヒートシール部
18 他方の端部側のヒートシール部
21 シート
22 内側面
23 側縁
24 合掌接着部分
25 下側のシート部
26 襞部
27 凹部
28 底辺
29 両脇部分
30 開封口
31 物品
32 帯状片
33 境界線
34 隅部
Bw 合掌袋端部幅
D 合掌接着部分の幅
Cw 切れ目の間隔
Ch 切れ目の深さ
Ow 凹部底辺幅
Oh 凹部深さ
Sl ヒートシール部までの距離
Sh ヒートシール部両脇部分の両端方向幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側縁同士を接合して筒状にしたシートの両端部をヒートシールすることにより、内部に物品を密封可能とした合掌袋であって、
一方の端部の端縁とヒートシール部とは、所定の距離だけ離れており、
この一方の端部の端縁とヒートシール部のとの間の部分は、相対する2つのシート部の一方を摘むことが可能である摘み部を形成しており、
上記ヒートシール部は、上記摘み部側の中央部分に矩形状の凹部が形成されて凹形状となっており、
上記摘み部を形成する2つのシート部の少なくとも一方に、間を摘むことが可能な一対の切れ目を入れたことを特徴とする易開封合掌袋。
【請求項2】
上記凹部の底辺幅Owが、前記合掌袋の端部の長さBwの20%以上70%以下である、請求項1に記載の合掌袋。
【請求項3】
上記一対の切れ目の間隔Cwが、前記合掌袋の端部の長さBwの20%以上70%以下である、請求項1又は2に記載の合掌袋。
【請求項4】
上記凹部の底辺長さと、上記一対の切れ目の間隔との比が、2:1〜1:2である請求項1乃至3のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項5】
上記一対の切れ目は、前記凹部の底辺両端の隅部近傍に向かっている請求項1乃至4のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項6】
上記一対の切れ目は、上記側縁同士を接着した合掌接着部分を挟んで形成してある請求項1乃至5のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項7】
上記筒状にする際に、筒の側面に内側に折り込まれた襞部を形成させた請求項1乃至6のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項8】
上記シートが、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、又はその混合体からなるヒートシール層を内面側に配し、外面側に和紙を配した多層シートである請求項1乃至7のいずれかに記載の合掌袋。
【請求項9】
上記摘み部である一対の切れ目の間からシート部の一部を破って開封する際に上記ヒートシール部の一部を剥離させるために必要な開封強度が、2N/15mm以上10N/15mm以下である請求項1乃至8のいずれかに記載の合掌袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【公開番号】特開2012−246049(P2012−246049A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121757(P2011−121757)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(591143951)ジェイフィルム株式会社 (19)
【出願人】(511131354)有限会社福宝製袋 (1)
【Fターム(参考)】