説明

映像信号処理装置、表示装置、表示方法及びプログラム

【課題】通常の2D表示用の表示装置を使用して、立体視を行う映像などの確認が良好に行えるようにする。
【解決手段】入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理を同期処理部111,121,122,123で行う。そして、その同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号の映像信号成分を、指示されたタイミングで切替え、同期信号成分を何れか一方の同期信号成分として出力する切替え処理を切替え処理部112で行い、その切替え処理で選択された映像信号を表示装置20で表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示用の映像信号を処理する映像信号処理装置、及び処理された映像信号を表示する表示装置、並びにその表示装置での表示処理に適用される表示方法、並びにその表示方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体表示(3D表示)用の映像信号を、モニタディスプレイなどの表示装置に供給して表示させる場合、左チャンネル用の映像信号と、右チャンネル用の映像信号を表示装置に供給する。そして、それぞれのチャンネルの映像信号による映像を、表示装置を見ている者の左右の目で個別に見えるようにしている。
例えば、表示装置を見ている者は、1フレームごとに左目側と右目側とでシャッタが交互に開閉する眼鏡型の液晶シャッタ装置を装着する。そして、左チャンネル用の映像と右チャンネル用の映像とを、1フレームごとに交互に表示装置で表示させ、1フレームごとに交互に左右のシャッタを開閉させて、左右の目でそれぞれのチャンネルの映像信号による映像を認識させる。あるいは、表示装置側での処理により、特殊な眼鏡などを装着することなく、立体視できる方式もある。表示方式としては、上述した1フレームごとの左チャンネル用の映像と右チャンネル用の映像と切り換え以外に、例えば1水平ラインごとに左右のチャンネルの映像を切り換える方式など、様々な方式がある。
【0003】
このような立体視を行うディスプレイは、3D表示用の専用のディスプレイを必要とするが、カメラ装置で撮像を行う際には、3D表示用の専用のディスプレイを使用できない環境であることが多い。このような場合には、通常の2D表示用のディスプレイを使用して、そのディスプレイに、左チャンネルの映像と、右チャンネルの映像を入力させて、その入力した2つの映像信号による映像を、交互に切替えて表示させて確認することになる。
【0004】
図8は、従来のディスプレイに2つのチャンネルの映像を交互に切替えて供給するための画像処理装置10の構成を示したものである。図8では画像処理装置10と画像表示装置20を別体として示してあるが、一体に構成される場合もある。
画像処理装置10は、第1入力端子11と第2入力端子12とを備え、両入力端子11,12に得られる映像信号を、映像切替え処理部13に供給する。映像切替え処理部13は、切替スイッチを備え、第1入力端子11に得られる信号を第1接点13aに供給し、第2入力端子12に得られる信号を第2接点13bに供給し、可動接点13mで何れか一方の接点の信号を選ぶ。この切替スイッチの切替えは、制御手段であるCPU14の制御で実行される。
【0005】
映像切替え処理部13で選択された映像信号は、映像信号処理回路15及び同期分離回路16に供給する。映像信号処理回路15では、映像信号の映像(画像)部分について、適正に表示させるための処理を行う。そして、処理された映像信号を画像表示装置20に供給する。
また、同期分離回路16では、供給される映像信号から同期信号成分を分離し、その分離した同期信号成分を、画像表示装置20に供給する。画像表示装置20では、この同期信号成分に同期させながら、映像(画像)の表示処理を行う。
なお、同期分離回路16で分離した同期信号は、信号判別回路17に供給して、同期タイミングの判別処理を行い、その判別結果をCPU14に供給する。CPU14は、その判別したタイミングに同期した状態で、映像切替え処理部13での切替えを行う。
【0006】
CPU14の制御で、映像切替え処理部13で映像信号を別系統の映像信号に切替える際には、切替え時の表示映像の乱れを防止するために、画ミュートと称される処理を一時的に行うようにしてある。この画ミュート処理は、例えば第1の映像信号から第2の映像信号に切替える場合を想定すると、第1の映像信号の最後のフレームを表示させた後、1フレーム又は数フレームの期間、全面黒の映像を表示させる。そして、その全面黒の映像を表示させた後、第2の映像信号による映像を表示させる。
【0007】
図9は、この表示状態の概要を示した図である。第1入力の映像から第2入力の映像に切り替わる際に、少なくとも1フレーム期間、全面黒の画ミュートの映像が表示される。
この画ミュート処理は、例えばテレビジョン受像機のような表示装置の場合でも、チャンネル切替え時や外部入力切替え時などに、一般的に行われている技術である。
【0008】
特許文献1には、画ミュート処理を行うテレビジョン受像機の例についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−191682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、通常の映像切替え処理時には、画ミュート処理を行うようにすると、上述したように、立体表示用の左右のチャンネルの映像を、1つの表示装置で交互に表示させるような表示形態では、立体表示用の映像の表示を邪魔することになる場合がある。
即ち、例えば左チャンネル用の映像と、右チャンネル用の映像とを、1つの画面上に交互に表示させるような場合、その切替えごとに、一旦、全面黒の画ミュートの映像が表示されると、左右のチャンネルの映像の迅速な比較を阻害する要因になってしまう。特に、比較的短い周期で、2つのチャンネルの映像を交互に切替えようにすると、全面黒の映像が表示される期間が比較的多くなり、非常に見づらい映像になってしまう。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、通常の2D表示用の表示装置を使用して、立体視を行う映像などの確認が良好に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理を行う。そして、その同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号との映像信号成分を、指示されたタイミングで切替え、同期信号成分を何れか一方の映像信号の同期信号成分を選んで出力する切替え処理を行う。その切替え処理で選択された映像信号を表示装置で表示するようにしたものである。
【0013】
このようにしたことで、立体視を行うための左右のチャンネルの映像信号について、同期したタイミングで、任意のフレーム周期などで、必要なチャンネルの映像信号を選択して表示させることが可能になる。表示される映像は、左右のチャンネルで同期処理が行われると共に、同期信号が切り替わらない信号による映像であるので、一般的な映像切替え時に必要な画ミュートなどの処理を行うことなく、切替えが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、表示モードの設定などで、入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号の内の所望の映像信号による映像を、所望の切替え状態として、1つの表示装置の画面上に表示させることが可能になる。従って、左チャンネルの映像と、右チャンネルの映像との比較が、3D表示機能のない表示装置で簡単かつ正確に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態による全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による水平移動処理構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の構成による動作例を示すタイミング図である。
【図4】本発明の一実施の形態による表示モード設定例を示すフローチャートである。
【図5】立体映像の表示処理の概要を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態による各モードでの表示例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態による動画の表示変化例(例1及び例2)を示す説明図である。
【図8】従来の映像切替え処理構成例を示すブロック図である。
【図9】画ミュート処理を行う場合の表示状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、以下の順序で説明する。
1.一実施の形態の全体構成例(図1)
2.一実施の形態の水平移動処理構成例(図2)
3.各表示状態の説明(図3〜図7)
【0017】
[1.一実施の形態の全体構成例]
以下、図1を参照して、本実施の形態の装置構成例について説明する。
本実施の形態においては、立体視を行う映像信号である、左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号との供給を受けて、処理するシステムとしてある。即ち、例えば図示しない左チャンネル用カメラ装置と右チャンネル用カメラ装置とで被写体を撮像して、左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とを生成させ、その左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号の供給を受ける。
【0018】
図1に示した画像処理装置100は、映像信号の入力部である第1入力端子101と第2入力端子102とを備え、この第1入力端子101と第2入力端子102とに、その左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とが入力される。第1入力端子101と第2入力端子102には、左チャンネル用カメラ装置と右チャンネル用カメラ装置が撮像して出力する映像信号を直接入力させるか、あるいは、何らかの記録装置に一旦記録された映像信号を入力させてもよい。
【0019】
第1入力端子101に入力した映像信号と、第2入力端子102に入力した映像信号は、映像信号遅延吸収回路111に供給して、それぞれの映像信号成分のタイミングを一致させる遅延吸収処理を行う。ここでの映像信号成分とは、入力した映像信号から同期信号区間を除いた、映像(画像)の成分の区間の信号である。
また、第1入力端子101に入力した映像信号の同期信号成分を、同期分離回路121で分離し、第2入力端子102に入力した映像信号の同期信号成分を、同期分離回路122で分離する。同期信号成分とは、映像信号に含まれる垂直ブランキング期間の信号及び水平ブランキング期間の信号である。
そして、それぞれの同期分離回路121,122で得られた同期信号成分を、同期信号遅延吸収回路123に供給し、2つの同期信号のタイミングを一致させる遅延吸収処理を行う。
映像信号遅延吸収回路111での遅延吸収処理と、同期信号遅延吸収回路123での遅延吸収処理は、同期して行われる。この遅延吸収処理の詳細は、後述する。
【0020】
映像信号遅延吸収回路111でタイミングが一致した左チャンネルの映像信号と、右チャンネルの映像信号は、画像切替え処理部112内の切替スイッチの一方及び他方の固定接点112a及び112bに供給する。そして、画像切替え処理部112内の切替スイッチの可動接点112mに得られる映像信号を、後段の映像信号処理回路113に供給し、映像信号処理回路113で処理された映像信号を、出力部である映像出力端子114に供給する。
【0021】
また、同期信号遅延吸収回路123でタイミングが一致した左チャンネルの同期信号と、右チャンネルの同期信号は、同期信号切替え処理部124内の切替スイッチの一方及び他方の固定接点124a及び124bに供給する。そして、同期信号切替え処理部124内の切替スイッチの可動接点124mに得られる同期信号を、出力部である同期信号出力端子125に供給する。
【0022】
画像切替え処理部112と同期信号切替え処理部124は、制御手段であるCPU131からの指示で、同期して切替え処理を行うようにしてある。この場合、同期信号遅延吸収回路123で処理した同期信号を遅延量判別回路127に供給して、その遅延量判別回路127で2つの同期信号のタイミングを判断して、CPU131に2つの同期信号が一致しているか否かのタイミングデータを供給する。そして、CPU131では、そのタイミングデータで同期が取れていると判断した場合に、画像切替え処理部112で切替えを行うと共に、同期信号切替え処理部124で何れか一方の同期信号を選択させる。映像信号と同期信号とが同期している状態で映像を切替える際には、画像切替え処理部112で映像信号の切替えだけを行い、同期信号切替え処理部124では、いずれか一方の同期信号を継続して出力させて、同期信号の切替えを行わない。
このように映像信号と同期信号のタイミングを揃えて切替えることで、映像信号だけを切り替える、つまり同期信号を変化させずに切替を実現できるため、映像表示に乱れを生じさせないので画ミュートが不要となる。このため、切り替え時に従来例として説明した画ミュート用の黒映像を挿入させる必要はない。
【0023】
また、同期信号切替え処理部124で選択して出力する同期信号を、信号判別回路126に供給して、その判別結果のデータについても、CPU131が判断するようにしてある。
CPU131には、外部のコントローラ190からの指令が供給され、その指令に基づいて、画像切替え処理部112と同期信号切替え処理部124とでの切替え状態が設定される。切替え状態の詳細については後述する。また、CPU131は、映像信号処理回路113や、この画像処理装置100に接続された画像表示装置20での表示処理の制御についても行う。
【0024】
画像切替え処理部112で切替えられた映像信号が入力する映像信号処理回路113では、表示用の各種映像処理が行われる。映像中に各チャンネルの種類を示す文字や図形を重畳させる場合には、その重畳処理についても映像信号処理回路113で行われる。
【0025】
[2.一実施の形態の水平移動処理構成例]
次に、図2を参照して、映像信号遅延吸収回路111での処理構成の詳細を説明する。図2は映像信号の遅延吸収処理構成であるが、同期信号遅延吸収回路123で行われる同期信号の遅延吸収処理についても、基本的に同じ構成である。図2では、上半分が左チャンネルの映像信号を処理する構成であり、下半分が右チャンネルの映像信号を処理する構成である。
【0026】
映像信号遅延吸収回路111は、映像信号を一時記憶するメモリ201及び211を備え、それぞれのメモリ201及び211で、各入力端子101及び102に得られる映像信号を記憶する。メモリ201が左チャンネル用の映像信号を記憶するメモリであり、メモリ211が右チャンネル用の映像信号を記憶するメモリである。
【0027】
メモリ201及び211への書き込みは、書き込みアドレスカウンタ202及び212が生成する書き込みアドレスにより制御される。メモリ201及び211からの読み出しは、読み出しアドレスカウンタ203及び213により制御される。
【0028】
また、書き込みアドレスカウンタ202が出力するアドレスをサンプリングするアドレスサンプリング部207と、書き込みアドレスカウンタ211が出力する右アドレスをサンプリングするアドレスサンプリング部217とを備える。
アドレスサンプリング部207の出力は、加算器206に供給して、固定遅延設定回路205の出力を加算し、その加算信号を、比較器204に供給する。また、書き込みアドレスカウンタ202が出力する書き込みアドレスを比較器204に供給し、両アドレスを比較する。そして、比較器204でアドレスの一致が検出されると、読み出しアドレスカウンタ203に、イネーブル信号を供給する。
さらに、アドレスサンプリング部207の出力を、読み出しアドレスコントロール信号として、読み出しアドレスカウンタ203に供給する。
【0029】
同様に、アドレスサンプリング部217の出力は、加算器216に供給して、固定遅延設定回路215の出力を加算し、その加算信号を、比較器214に供給する。また、書き込みアドレスカウンタ212が出力する書き込みアドレスを比較器214に供給し、両アドレスを比較する。そして、比較器214でアドレスの一致が検出されると、読み出しアドレスカウンタ213に、イネーブル信号を供給する。
さらに、アドレスサンプリング部217の出力を、読み出しアドレスコントロール信号として、読み出しアドレスカウンタ213に供給する。
【0030】
図3は、図2に示した映像信号遅延吸収回路111での処理状態を示したタイミング図である。
図3(a)は、左チャンネルの入力映像信号を示し、図3(g)は、右チャンネルの入力映像信号を示す。これらの入力映像信号の内で、「ACTIVE」と記載された区間が映像の区間であり、「BLK」と記載された区間が、同期信号成分が配置されるブランキング期間である。
図3(b)及び(h)に示したように、それぞれの水平同期信号が検出され、図3(c)及び(i)に示したように、その同期信号の立ち上がりタイミングを示す同期パルスが生成される。
【0031】
図3(c)の同期パルスは、図3(d)に示す書き込みアドレスと比較されて、アドレスサンプリング値が図3(e)に示すように得られる。このサンプリング値には、固定遅延設定回路215で設定される固定遅延量が加算されて、図3(f)に示す加算後アドレス値が得られる。図3の例では、固定値512を加算した例である。
【0032】
図3(g)に示す右チャンネルの入力映像信号についても、図3(i)の同期パルスが、図3(j)に示す書き込みアドレスと比較されて、アドレスサンプリング値が図3(k)に示すように得られる。
そして、図3(l)に示すように、書き込みアドレスと固定値加算アドレスとが等しくなるタイミングでパルスが生成される。
【0033】
図3(m)は、CPU131からの位相変化量設定が“0”の場合の、左チャンネル用の加算器208の出力値であり、図3(n)は、CPU131からの位相変化量設定が“0”の場合の、右チャンネル用の加算器218の出力値である。
【0034】
そして、図3(l)のパルスのタイミングから、初期値を図3(m)の加算器208の出力値として、図3(o)に示すように左チャンネル用の読み出しアドレスのカウントを開始させる。この読み出しアドレスに基づいて、メモリ201から読み出しを行い、図3(p)に示す左チャンネルの映像信号が得られる。
【0035】
同様に、図3(l)のパルスのタイミングから、初期値を図3(n)の加算器218の出力値として、図3(q)に示すように右チャンネル用の読み出しアドレスのカウントを開始させる。この読み出しアドレスに基づいて、メモリ211から読み出しを行い、図3(r)に示す右チャンネルの映像信号が得られる。
この図3(p)に示す左チャンネルの映像信号と、図3(r)に示す右チャンネルの映像信号は、水平ラインの移動でタイミングが正確に一致した映像信号となっている。
【0036】
[3.各表示状態の説明]
次に、画像処理装置100の画像切替え処理部112での切替え処理により実現できる、画像表示装置20での、左右のチャンネルの映像の表示状態の例について説明する。
図4のフローチャートは、コントローラ190から指示に基づいて、CPU131が設定する表示モードの選択処理例を示したものである。
表示モードの設定処理があることをCPU131が判断すると(ステップS11)、CPU131は、その設定された表示モードが3D表示モードか否か判断する(ステップS12)。表示装置で立体視を行うための3D表示モードである場合には、左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とを、画像切替え処理部112及び同期切替え処理部124での切り替えで、1フレームごとに交互に表示させる(ステップS13)。この1フレームごとの交互の表示は、フレームシーケンシャル方式で立体表示を行う場合の例である。ラインバイライン方式で立体表示を行う場合には、画像切替え処理部112及び同期切替え処理部124で、1水平ラインごとに左右のチャンネルの映像信号を切り替える。
【0037】
図5は、この立体表示を行う状態の概要を示した図である。図5(a)は、フレームシーケンシャル方式で立体表示を行う場合の例である。この場合には、左チャンネル用映像(Lと示した映像)と、右チャンネル用映像(Rと表示した映像)とを、1フレーム周期で切り替えて表示させる。フレーム周波数をfとしたとき、切り替え周期は、1/fとなる。
図5(b)は、ラインバイライン方式で立体表示を行う場合の例である。この場合には、水平ラインの周波数をfhとしたとき、1/fhの切り替え周期で、1水平ラインごとに左チャンネルの映像と右チャンネルの映像とが切り替わる。
【0038】
図4のフローチャートの説明に戻ると、ステップS12で3D表示モードでないと判断した場合には、左チャンネル又は右チャンネルだけの表示モードか否か判断する(ステップS14)。ここで、何れか一方のチャンネルだけの表示モードであると判断した場合には、その指示されたチャンネルの映像だけを、画像切替え処理部112及び同期切替え処理部124で選択させて、表示させる(ステップS15)。
【0039】
図6(a)及び(b)は、この一方のチャンネルの映像だけを表示させる状態の概要を示した図である。図6(a)は、左チャンネルの映像だけを表示させる例である。図6(b)は、右チャンネルの映像だけを表示させる例である。
なお、図6では、表示中の映像のチャンネル種類を示すために、左チャンネル用映像を、「L」と示してあり、右チャンネル用映像を「R」と示してあるが、実際に表示させる際にも、このようなチャンネル種別が判る表示を行うようにしてもよい。即ち、例えば左チャンネルの映像については、「L」と文字で表示させて、右チャンネルの映像については、「R」と文字で表示させる。文字以外の図形で、同様にチャンネル種類が判る表示を行ってもよい。この文字や図形の重畳は、例えば、図1に示した構成で、CPU131の制御で、映像信号処理回路113で実行される。
【0040】
再び図4のフローチャートの説明に戻ると、ステップS14で一方のチャンネルだけの表示モードでないと判断した場合には、動画の繰り返し交互表示モードか否か判断する(ステップS16)。ここで、動画の繰り返し交互表示モードであると判断した場合には、指定された区間の動画を、左チャンネルの映像と、右チャンネルの映像とで交互に繰り返し表示させる(ステップS17)。
【0041】
図6(c)は、この左チャンネルの映像と、右チャンネルの映像とを、指定した区間について繰り返し表示させる場合の例である。この例では、4フレームずつ各チャンネルの映像を表示させる例としてある。なお、繰り返し同じ区間を表示させるのではなく、交互に左右のチャンネルの映像を所定フレーム期間表示させたのち、動画の次の区間の繰り返し交互表示に進むようにしてもよい。
この例の場合にも、表示中の映像のチャンネル種類を示すために、左チャンネル用映像を、「L」と示してあり、右チャンネル用映像を「R」と示してあるが、実際に表示させる際にも、このようなチャンネル種別が判る表示を行うようにしてもよい。
【0042】
再び図4のフローチャートの説明に戻ると、ステップS16で動画の表示モードでないと判断した場合には、静止画の交互表示モードか否か判断する(ステップS18)。ここで、静止画の交互表示モードであると判断した場合には、指定された1フレームの静止画を、左チャンネルの映像と、右チャンネルの映像とで交互に繰り返し表示させる(ステップS19)。このときには、例えば左チャンネルの静止画を、所定フレーム期間連続して表示させ、その後、右チャンネルの静止画を、所定フレーム期間連続して表示させる。
この例の場合にも、「L」や「R」などのチャンネル種別が判る表示を行うのが好ましい。
【0043】
ここで、図7を参照して、ステップS17での動画の交互表示の2つの例を説明する。
図7(a)に示した例1の場合には、例えば表示期間を4フレーム期間として、左チャンネルのあるタイミングの映像L2が表示された状態で、ユーザ操作などでトリガーしたとする。このとき、繰り返し表示させる先頭位置はフレームL2となり、図2に示したメモリ201は、フレーム位置L2からL5までの4フレームの左チャンネルの映像信号を記憶する。このとき同時に、右チャンネルの同じフレーム位置R2からR5までの4フレームの映像信号をメモリ211が記憶する。
【0044】
そして、メモリ201に記憶された左チャンネルの映像の4フレーム出力と、メモリ211に記憶された右チャンネルの4フレーム出力とを繰り返し、同期して画像切り替え処理部112での切り替えを連動して行う。さらに、同期信号切り替え処理部124での切り替えについても連動して行う。このとき、繰り返し回数を指定するようにしてもよい。
【0045】
図7(b)に示した例2の場合には、例えば表示期間を4フレーム期間として、右チャンネルのあるタイミングの映像R2が表示された状態で、ユーザ操作などでトリガーしたとする。このとき、繰り返し表示させる先頭位置はフレームR2となり、図2に示したメモリ211は、フレーム位置R2からR5までの4フレームの右チャンネルの映像信号を記憶する。このとき同時に、左チャンネルの同じフレーム位置L2からL5までの4フレームの映像信号をメモリ201が記憶する。
【0046】
そして、メモリ211に記憶された右チャンネルの映像の4フレーム出力と、メモリ201に記憶された左チャンネルの4フレーム出力とを繰り返し、同期して画像切り替え処理部112での切り替えを連動して行う。さらに、同期信号切り替え処理部124での切り替えについても連動して行う。
【0047】
このようにして左右のチャンネルの映像を、複数フレームずつ繰り返し交互に同じ表示装置の画面上に表示させることで、左右のチャンネルの映像の比較が良好に行える。特に、左右の映像が切り替わる際に、画ミュート処理が行われないため、左チャンネルの映像と右チャンネルの映像とが、黒画像が挿入されることなく連続して表示され、両チャンネルの映像の比較が良好に行えるようになる。
【0048】
そして、その比較で左右の映像にタイミングや表示位置のずれなどがあった場合には、図2に示した構成により水平シフト処理を行うことで、両チャンネルの映像を比較しながら良好に調整が行える効果を有する。なお、図2の構成では、水平方向のシフト処理を行う構成を示したが、同様の処理で垂直方向のシフト処理が行えるようにしてもよい。
【0049】
なお、ここまで示した実施の形態では、映像信号処理を行う専用の回路を構成させるのではなく、例えば各種データ処理を行うコンピュータ装置(情報処理装置)に、本例の映像処理部に相当する映像処理(画像処理)を行うボードやカードなどを装着させる。そして、そのコンピュータ装置に実装させて、演算処理手段で実行するプログラム(ソフトウェア)で、対応した表示処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…画像処理装置、11…第1入力端子、12…第2入力端子、13…映像切替え処理部、14…CPU、15…映像信号処理回路、16…同期分離回路、17…信号種別判別回路、20…画像表示装置、100…画像処理装置、101…第1入力端子、102…第2入力端子、111…映像信号遅延吸収回路、112…画像切替え処理部、113…映像信号処理回路、114…映像出力端子、121…同期分離回路、122…同期分離回路、123…同期信号遅延吸収回路、124…同期切替え処理部、125…同期信号出力端子、126…信号判別回路、127…遅延量判別回路、131…CPU、190…コントローラ、201…メモリ、202…書き込みアドレスカウンタ、203…読み出しアドレスカウンタ、204…比較器、205…固定遅延設定回路、206…加算器、207…アドレスサンプリング部、211…メモリ、212…書き込みアドレスカウンタ、213…読み出しアドレスカウンタ、214…比較器、215…固定遅延設定回路、216…加算器、217…アドレスサンプリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号を入力する入力部と、
前記入力部に入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理を行う同期処理部と、
前記同期処理部で同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号との映像信号成分を、指示されたタイミングで切替え、同期信号成分を何れか一方の映像信号の同期信号成分を選んで出力する切替え処理部と、
前記切替え処理部で選択する映像信号の設定を、指示されたモードに応じて行う制御部と、
前記切替え処理部で選択された映像信号を出力する出力部とを備えた
映像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の所定フレーム数ごとに、前記左チャンネル用映像信号と前記右チャンネル用映像信号とを切替え処理部で交互に選択させる
請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記切替え処理部で交互に選択させる左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とは、前記入力部に入力した映像信号をメモリに記憶させた動画又は静止画としての映像信号であり、前記出力部からメモリに記憶された映像信号を繰り返し出力させる
請求項2記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記制御部での制御により、前記左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号の少なくともいずれか一方の信号について、水平方向又は垂直方向にシフトさせて出力させる調整を可能とした
請求項3記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記出力部から出力させる映像信号には、前記左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号のいずれのチャンネルの映像であるかを示す文字又は図形を付加させる
請求項1から4のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項6】
左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号を入力する入力部と、
前記入力部に入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理を行う同期処理部と、
前記同期処理部で同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号との映像信号成分を、指示されたタイミングで切替え、同期信号成分を何れか一方の映像信号の同期信号成分を選んで出力する切替え処理部と、
前記切替え処理部で選択する映像信号の設定を、指示されたモードに応じて行う制御部と、
前記切替え処理部で選択された映像信号を表示する表示部とを備えた
表示装置。
【請求項7】
入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理と、
前記同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とを、指示されたタイミングで切替える切替え処理と、
前記切替え処理で選択された映像信号を表示する表示処理とを行う
表示方法。
【請求項8】
入力した左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号とのタイミングのずれを補正する同期処理と、
前記同期処理が行われた左チャンネル用映像信号と右チャンネル用映像信号との映像信号成分を、指示されたタイミングで切替え、同期信号成分を何れか一方の映像信号の同期信号成分を選んで出力する切替え処理と、
前記切替え処理で選択された映像信号を表示する表示処理とを、
コンピュータ装置に実装して実行させる
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−223260(P2011−223260A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89602(P2010−89602)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】