説明

映像再生装置及び映像再生方法

【課題】例えば放送番組に係る映像コンテンツとその関連情報とを多画面表示するための処理の迅速化を図り、映像コンテンツとその関連情報との多画面表示が要求されてから実際に表示が行なわれるまでの時間の短縮を図り得るようにした映像再生装置及び映像再生方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、映像再生装置は、取得手段と制御手段とを備える。取得手段は、複数の領域がレイアウトされたテンプレートを取得する。制御手段は、取得手段で取得したテンプレートで示される領域に映像コンテンツを配するとともに、他の領域に放送またはネットワーク経由で取得可能な映像コンテンツの関連情報を取得された順に順次配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施の形態は、例えばデジタルテレビジョン放送受信装置等のような映像再生装置及び映像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、現行の放送サービスを起点とし、そこに例えばIP(internet protocol)サービス等のネットワークを用いた通信サービスを活用することにより、放送と通信とを融合させた新しいサービスの提供を図るようにした、いわゆる、放送通信連携システムの開発が盛んに行なわれている。
【0003】
この放送通信連携システムによれば、対応するデジタルテレビジョン放送受信装置を用いて、放送番組と放送やネットワーク経由で配信される関連情報とを同時に多画面表示することや、ネットワーク上のクラウドと連携することで、例えばツイッターのようなクラウドサービスの内容等も、放送番組と同時に多画面表示することが可能となる。
【0004】
ところで、このような放送通信連携システムでは、放送番組とその関連情報との多画面表示が要求される毎に、対応するデジタルテレビジョン放送受信装置が、放送波から、または、ネットワークを介して、必要とする関連情報を取得しなければならず、放送番組とその関連情報との多画面表示が行なわれるまでに時間を要している。
【0005】
特に、放送によって配信される関連情報は、カルーセル方式で伝送されるため、デジタルテレビジョン放送受信装置が、1画面分に対応する関連情報を全て受信するのに時間を要し、放送番組とその関連情報との多画面表示が要求されてから実際に表示が行なわれるまでに長い時間を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−178190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば放送番組に係る映像コンテンツとその関連情報とを多画面表示するための処理の迅速化を図り、映像コンテンツとその関連情報との多画面表示が要求されてから実際に表示が行なわれるまでの時間の短縮を図り得るようにした映像再生装置及び映像再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態によれば、映像再生装置は、取得手段と制御手段とを備えている。取得手段は、複数の領域がレイアウトされたテンプレートを取得する。制御手段は、取得手段で取得したテンプレートで示される領域に映像コンテンツを配するとともに、他の領域に放送またはネットワーク経由で取得可能な映像コンテンツの関連情報を取得された順に順次配する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の信号処理系の一例を概略的に説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が備えるブラウザ処理部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置に使用されるリモートコントローラの一例を説明するために示す外観図。
【図4】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の制御部が行なう主要な処理動作の一例の一部を説明するために示すフローチャート。
【図5】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の制御部が行なう主要な処理動作の一例の残部を説明するために示すフローチャート。
【図6】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置で表示される画面の一例を説明するために示す図。
【図7】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置で表示される画面の一例を説明するために示す図。
【図8】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の制御部が行なう主要な処理動作の他の例の一部を説明するために示すフローチャート。
【図9】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の制御部が行なう主要な処理動作の他の例の残部を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するデジタルテレビジョン放送受信装置11の信号処理系を概略的に示している。このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、放送サービスとネットワーク回線網を用いた通信サービスとを融合させた放送通信連携システムに対応する機能を備えている。
【0011】
すなわち、アンテナ12で受信したデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子13を介してチューナ部14に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。そして、このチューナ部14で選局された放送信号は、デマルチプレクサ部15に供給される。
【0012】
このデマルチプレクサ部15は、入力された放送信号から、映像や音声等に対応する主情報と、放送番組に対するメタデータ等の関連情報とを分離している。また、このデマルチプレクサ部15は、メタデータの更新や放送番組の切り替え等のイベント発生を示すイベントデータも関連情報として出力している。
【0013】
このうち、上記主情報に対応する信号は、信号処理部16に供給される。この信号処理部16は、入力された主情報信号に対して復調処理や復号処理等を施すことにより、デジタルの映像信号及び音声信号を復元し、その後、復元されたデジタルの映像信号及び音声信号に対してそれぞれ所定のデジタル信号処理を施している。
【0014】
そして、この信号処理部16は、デジタルの映像信号を合成処理部17に出力し、デジタルの音声信号を音声処理部18に出力している。このうち、合成処理部17は、放送番組とその関連情報との多画面表示が要求された場合に、入力されたデジタルの映像信号とデマルチプレクサ部15が出力する関連情報とが多画面表示されるように合成して出力している。
【0015】
この合成処理部17から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部19に供給されて、後段の、例えば液晶表示パネル等を有する平面型の映像表示部20で表示可能なフォーマットに変換される。そして、この映像処理部19から出力された映像信号が、映像表示部20に供給されて映像表示に供される。
【0016】
また、上記音声処理部18は、入力されたデジタルの音声信号を、後段のスピーカ21で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換している。そして、この音声処理部18から出力されたアナログ音声信号が、スピーカ21に供給されることにより音声再生に供される。
【0017】
ここで、このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御部22によって統括的に制御されている。この制御部22は、CPU(central processing unit)22aを内蔵しており、デジタルテレビジョン放送受信装置11の本体に設置された操作部23からの操作情報を受けて、または、リモートコントローラ24から送出され受信部25で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0018】
この場合、制御部22は、メモリ部22bを利用している。このメモリ部22bは、主として、CPU22aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU22aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0019】
また、この制御部22には、HDD(hard disk drive)26が接続されている。この制御部22は、ユーザによる操作部23やリモートコントローラ24等の操作に基づいて、上記信号処理部16で復元したデジタルの映像信号や音声信号等を、HDD26に供給してハードディスク26aに記録させるように制御することができる。
【0020】
さらに、この制御部22は、ユーザによる操作部23やリモートコントローラ24等の操作に基づいて、HDD26によりハードディスク26aからデジタルの映像信号や音声信号等を読み出させ、信号処理部16に供給することにより、以後、上記した映像表示及び音声再生に供させるように制御することができる。
【0021】
また、この制御部22は、ネットワークインターフェース27を介して外部のネットワーク(例えばインターネット等)28に接続されている。これにより、制御部22は、ユーザによる操作部23やリモートコントローラ24等の操作に基づいて、ネットワーク28上に接続された各種のサーバ(例えばWebサーバ等)29やクラウド30等に選択的にアクセスし、そこで供給可能な関連情報を取得することができる。なお、この制御部22は、上記デマルチプレクサ部15で放送信号から分離された関連情報も取得可能となっている。
【0022】
さらに、この制御部22には、ブラウザ処理部22c及びグラフィックス再生部22dが設けられている。このうち、ブラウザ処理部22cは、上記デマルチプレクサ部15、サーバ29及びクラウド30等から、例えば放送番組に係る映像コンテンツの関連情報を取得する機能、取得した関連情報を解析する機能、取得した関連情報をメモリ部22b等にキャッシュする機能、キャッシュした関連情報から必要な情報を読み出す機能等を有している。
【0023】
そして、このブラウザ処理部22cから出力される関連情報は、上記グラフィックス再生部22dに供給される。このグラフィックス再生部22dは、入力された関連情報を、上記合成処理部17で信号処理部16から出力されるデジタルの映像信号に合成可能なフォーマットの映像信号に再生し、合成処理部17に出力している。
【0024】
図2は、上記ブラウザ処理部22cの一例を示している。すなわち、このブラウザ処理部22cは、本来のブラウザ(例えばWebブラウザ等)としての機能を有する他に、HTMI(hypertext markup language)処理部22c1、Java(登録商標)Script(登録商標)処理部22c2、API(application programming interface)処理部22c3及びCSS(cascading style sheets)処理部22c4等を備えている。
【0025】
まず、HTML処理部22c1について説明する。すなわち、この実施の形態で前提としている放送通信連携システムでは、情報の内容や画面上におけるレイアウト等を記述する言語としてHTML5が規定されている。このため、HTML処理部22c1では、取得した関連情報を解析し、その中から放送番組の視聴状態、例えば視聴している放送局、番組のジャンル、時間帯等に応じた適切なテンプレートに対応するHTMLファイルを抽出する。
【0026】
このテンプレートは、1画面を、それぞれの内部が空か汎用的な内容になっている複数の領域に分割する枠組みを示しているだけのもので、放送番組の視聴状態に応じて適切となる種々の枠組みのものが用意されている。つまり、HTML処理部22c1では、放送やネットワーク28経由で取得される関連情報から、種々の枠組みのテンプレートに対応するHTMLファイルを抽出している。
【0027】
この抽出されたHTMLファイルは、上記メモリ部22bにキャッシュされ、必要に応じて読み出されて上記映像表示部20での映像表示に供される。なお、このテンプレートに対応するHTMLファイルは、予め設定された時間間隔で取得し、メモリ部22bにキャッシュしておくことが考えられる。
【0028】
なお、このテンプレートに対応するHTMLファイルがテレビジョン放送で配信される場合には、デジタルテレビジョン放送受信装置11の初期設定でのチャンネルスキャン時に、受信可能な全チャンネルからHTMLファイルを取得しキャッシュしておくことが考えられる。
【0029】
さらに、このテンプレートに対応するHTMLファイルがネットワーク28経由で配信される場合には、例えばテンプレートの存在するURL(uniform resource locator)やローカルパス等をキャッシュしておくことが考えられる。
【0030】
また、上記JavaScript(登録商標)処理部22c2では、取得した関連情報を解析し、その中から、現在映像表示部20に映像表示されているテンプレートの枠組みで分割された複数の領域内に配する(埋め込む)情報を動的に読み込み、テンプレートの対応する領域内に順次表示させるように機能している。
【0031】
なお、上記API処理部22c3やCSS処理部22c4等は、上記したブラウザ処理部22cの処理動作を補助するために必要に応じて適宜使用される。
【0032】
図3は、上記リモートコントローラ24の外観を示している。このリモートコントローラ24には、主として、電源キー24a、放送サービスとネットワーク28を介した通信サービスとを融合させた新サービスを要求するための放送通信連携起動キー24b、数字キー24c、チャンネルアップダウンキー24d、音量調整キー24e、カーソル上キー24f、カーソル下キー24g、カーソル左キー24h、カーソル右キー24i、決定キー24j、メニューキー24k、戻るキー24l、終了キー24m、4色(青,赤,緑,黄)のカラーキー24n等が設けられている。
【0033】
また、このリモートコントローラ24には、再生停止キー24o、再生/一時停止キー24p、逆方向スキップキー24q、順方向スキップキー24r、早戻しキー24s、早送りキー24t等が設けられている。
【0034】
すなわち、上記HDD26から取得した映像や音声等の情報に対しては、リモートコントローラ24の再生停止キー24oや再生/一時停止キー24pを操作することにより、再生、停止、一時停止を行なうことが可能となる。
【0035】
また、リモートコントローラ24の逆方向スキップキー24qや順方向スキップキー24rを操作することにより、HDD26で再生している映像や音声等の情報を、その再生方向に対して逆方向や順方向に一定量ずつスキップさせる、いわゆる、逆方向スキップや順方向スキップを行なうことができる。
【0036】
さらに、リモートコントローラ24の早戻しキー24sや早送りキー24t等を操作することにより、HDD26で再生している映像や音声等の情報を、その再生方向に対して逆方向や順方向に連続的に高速で再生させる、いわゆる、早戻し再生や早送り再生を行なうことができる。
【0037】
図4及び図5は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11の制御部22が行なう主要な処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。この処理動作は、テレビジョン放送受信装置11がテレビジョン放送の番組Aを選局し、図6(a)に示すように、映像表示部20に番組Aに係る映像コンテンツが表示されている状態で開始(ステップS1)される。
【0038】
すると、制御部22は、ステップS2で、放送サービスとネットワーク28を介した通信サービスとを融合させた新サービスが要求されたか否か、つまり、リモートコントローラ24の放送通信連携起動キー24bが操作されたか否かを判別する。
【0039】
そして、放送通信連携起動キー24bが操作されたと判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS3で、現在の放送番組の視聴状態(例えば視聴している放送局、番組のジャンル、時間帯等)を認識し、ステップS4で、その視聴状態に対応したテンプレートがキャッシュされているか否かを判別する。
【0040】
ここで、現在の視聴状態に対応したテンプレートがキャッシュされていないと判断された場合(NO)、制御部22は、ステップS5で、現在の視聴状態に対応するテンプレートのHTMLファイルを、テレビジョン放送、または、ネットワーク28経由でサーバ29から取得する。
【0041】
そして、このステップS5の後、または、上記ステップS4で現在の視聴状態に対応したテンプレートがキャッシュされていると判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS6で、取得した、または、キャッシュされていたテンプレートを映像表示部20に表示させる。
【0042】
このとき、映像表示部20の画面には、図6(b)に示すように、テンプレートの枠組みに基づいて、「番組A」、「番組情報」、「紹介中のお店情報」、「みんなのつぶやき」等をそれぞれ表示する複数の領域が表示される。ただし、この時点では、番組Aを表示する領域に番組Aの映像コンテンツが配されて(表示されて)いるだけで、他の領域は、情報が空の状態となっている。
【0043】
その後、制御部22は、ステップS7で、情報が空の状態となっている各領域に埋め込むべき関連情報を、テレビジョン放送、サーバ29、クラウド30等から順次取得し、図6(c)に示すように、対応する空き領域に表示させる。図6(c)は、「番組情報」に対応する領域に情報が表示され、他の領域がまだ空である途中の状態を示している。
【0044】
このようにして、図7(a)に示すように、「番組情報」、「紹介中のお店情報」、「みんなのつぶやき」等、全ての領域に情報が表示されると、つまり、全ての空き領域に情報が埋め込まれると、制御部22は、ステップS8で、テンプレートが更新されたか否かを判別する。
【0045】
ここで、テンプレートが更新されたと判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS9で、新たなテンプレートのHTMLファイルを、テレビジョン放送、または、ネットワーク28経由でサーバ29から取得し、ステップS10で、更新があったことを映像表示部20にダイアログや通知アイコン等を表示させてユーザに通知する。
【0046】
そして、このステップS10の後、または、上記ステップS8でテンプレートの更新がないと判断された場合(NO)、制御部22は、ステップS11で、ユーザ操作により映像表示処理の終了が要求されたか否かを判別し、要求されたと判断された場合(YES)、処理を終了(ステップS14)する。
【0047】
また、上記ステップS11で映像表示処理の終了が要求されていないと判断された場合(NO)、制御部22は、ステップS12で、イベントが発生したか否かを判別し、発生していないと判断された場合(NO)、ステップS11の処理に戻される。
【0048】
このイベントは、放送番組が切り替えられる、または、関連情報が更新される等のタイミングで制御部22が検知し、上記ステップS12でイベントが発生したと判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS13で、イベントの内容に応じて表示内容を動的に更新して、ステップS11の処理に戻される。
【0049】
ここで、上記ステップS13におけるイベント発生時の具体的な動作例について説明する。すなわち、図7(a)に示すように、番組Aに係る映像コンテンツとその関連情報とが所定のテンプレートに基づくレイアウトで多画面表示されている状態で、ユーザが番組Bに切り替えるイベントが発生したとする。
【0050】
すると、制御部22は、番組Bを選局するように制御し、これにより、映像表示部20の画面には、図7(b)に示すように、番組Aの映像コンテンツが表示されていた領域に番組Bの映像コンテンツが表示される。このとき、切り替えられた新規の番組Bには、それに対応するテンプレートや関連情報が存在するため、番組Bの映像コンテンツの表示領域内に「更新情報があります」なるメッセージが表示されユーザに通知される。
【0051】
そして、番組Bに対応するテンプレートが取得されると、図7(c)に示すように、そのテンプレートの枠組みに基づいて、「番組B」、「ヘッドラインニュース」、「天気予報」等をそれぞれ表示する複数の領域が表示される。その後、番組Bに係る映像コンテンツの関連情報が取得され、各領域に情報が埋め込まれるようになる。これにより、番組が切り替えられても、切り替え後の番組に連動して関連情報を自動的に表示させることができる。
【0052】
上記した実施の形態によれば、リモートコントローラ24の放送通信連携起動キー24bが操作された場合、つまり、放送番組に係る映像コンテンツとその関連情報とを多画面表示することが要求された場合、放送番組の視聴状態に対応した多画面表示のレイアウトを示すテンプレートを表示させ、そのテンプレートで示される複数の空の領域に対して、取得された関連情報から順に埋め込んで表示させるようにしている。
【0053】
このため、ユーザは、表示された関連情報から読むことが可能となり、放送番組とその関連情報との多画面表示が要求されたとき、テンプレートやそれによって表示される複数の領域に埋め込む関連情報が全て取得されて、完全な一画面が完成されてから表示するものに比して、多画面表示が要求されてから実際に表示が行なわれるまでの時間の短縮を図ることができる。
【0054】
特に、関連情報を放送から取得する場合、放送によって配信される関連情報は、カルーセル方式で伝送されるため、1画面分に対応する関連情報を全て受信してから表示すると長い時間を要することになるが、テンプレートが示す領域に、取得された関連情報から順次埋め込んで表示することにより、ユーザに対して表示を迅速に見せることができる。
【0055】
また、テンプレートに対応するHTMLファイルを、予めメモリ部22bにキャッシュしておくことにより、放送番組とその関連情報との多画面表示が要求された場合に、テンプレートの表示を迅速に行なうことが可能となり、ユーザに対して多画面表示を迅速に行なうことが可能となる。
【0056】
図8及び図9は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11の制御部22が行なう主要な処理動作の他の例をまとめたフローチャートを示している。この処理は、デジタルテレビジョン放送受信装置11に電源が投入されて、デジタルテレビジョン放送受信装置11が起動された場合に開始(ステップS15)される。
【0057】
すると、上記制御部22は、ステップS16で、直近のテンプレートがキャッシュされているか否かを判別し、キャッシュされていないと判断された場合(NO)、ステップS17で、デフォルトテンプレートを取得する。このデフォルトテンプレートは、例えば予めメモリ部22b等に記憶させておいても良いし、放送やネットワーク28経由で取得するようにしても良いものである。
【0058】
そして、このステップS17の後、または、上記ステップS16で直近のテンプレートがキャッシュされていると判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS18で、テンプレートが更新されたか否かを判別し、更新されていないと判断された場合(NO)、ステップS19で、そのテンプレートを映像表示部20に表示する。
【0059】
また、上記ステップS18でテンプレートが更新されたと判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS20で、更新される前のテンプレートに記載されていた映像コンテンツを映像表示部20に全画面表示した後、ステップS21で、更新されたテンプレートをテレビジョン放送から、または、ネットワーク28経由でサーバ29から取得する。
【0060】
そして、上記ステップS19またはステップS21の後、制御部22は、ステップS22で、テンプレートの情報が空の状態となっている各領域に埋め込むべき関連情報を、テレビジョン放送、サーバ29、クラウド30等から順次取得し、対応する空き領域に順次表示させる。
【0061】
その後、制御部22は、ステップS23で、テンプレートが更新されたか否かを判別し、更新されたと判断された場合(YES)、上記ステップS20の処理に移行される。また、上記ステップS23でテンプレートが更新されていないと判断された場合(NO)、制御部22は、ステップS24で、ユーザ操作により映像表示処理の終了が要求されたか否かを判別し、要求されていないと判断された場合(NO)、上記ステップS23の処理に移行される。
【0062】
また、上記ステップS24で映像表示処理の終了が要求されたと判断された場合(YES)、制御部22は、ステップS25で、表示中のテンプレートを上記メモリ部22b等にキャッシュした後、処理を終了(ステップS26)する。
【0063】
図8及び図9に示した処理動作は、映像コンテンツを常にテンプレートベースで表示するようにした例を示している。すなわち、デジタルテレビジョン放送受信装置11の起動時に、直近に利用したテンプレートを取得し、そのテンプレートに記載されている映像コンテンツを表示する。テンプレートに関連情報を表示する領域が無い場合や、全画面再生指示が記述されている場合には、従来のデジタルテレビジョン放送受信装置と同様に全画面で映像を表示する。
【0064】
また、テンプレートが更新されている場合には、関連情報の領域に関わらず、映像を全画面に表示しておき、バックグラウンドでテンプレートの更新処理を実行する。このようにすることで、映像の表示を途切れさせることなく最新のテンプレートに更新することが可能となる。
【0065】
さらに、複数のチャンネルに対応するテンプレートを予めブラウザのタブにそれぞれ読み込んでおいても良いものである。チャンネルの切り替えをタブの切り替えに割り当てることが可能となり、チャンネルの切り替え操作の度に読み込みを行なう場合に比較して迅速に画面の切り替えを行なうことが可能となる。
【0066】
また、テンプレートには、複数の映像コンテンツを指定する記述を行なっても良いものである。このようにすれば、例えば2つの映像コンテンツを並べて表示することで2画面モードとすることや、2画面以上のマルチチャンネル表示モードとすることが可能となる。
【0067】
ここにおいて、現行のデータ放送では、その記述言語としてBML(broadcast markup language)が規定されている。このBMLでは、コンテンツがカルーセル方式で伝送されるため、全てを受信しないと内容を表示することができず、表示に時間がかかるものである。また、BMLでは、放送側からのイベント通知しかできないが、HTML5では、例えばWebSocket等の双方向通信によってサーバ29やクラウド30側からイベント発火を通知することができる。さらに、BMLでは、アニメーション等の動きのあるコンテンツを表示することが困難であるが、HTML5では容易に対応することができる。
【0068】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0069】
11…デジタルテレビジョン放送受信装置、12…アンテナ、13…入力端子、14…チューナ部、15…デマルチプレクサ部、16…信号処理部、17…合成処理部、18…音声処理部、19…映像処理部、20…映像表示部、21…スピーカ、22…制御部、22a…CPU、22b…メモリ部、22c…ブラウザ処理部、22c1…HTML処理部、22c2…JavaScript(登録商標)処理部、22c3…API処理部、22c4…CSS処理部、22d…グラフィックス再生部、23…操作部、24…リモートコントローラ、25…受信部、26…HDD、26a…ハードディスク、27…ネットワークインターフェース、28…ネットワーク、29…サーバ、30…クラウド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域がレイアウトされたテンプレートを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得したテンプレートで示される領域に映像コンテンツを配するとともに、他の領域に放送またはネットワーク経由で取得可能な前記映像コンテンツの関連情報を取得された順に順次配する制御手段とを具備する映像再生装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記映像再生装置の起動時に、直近に利用されたテンプレートを取得し、そのテンプレートに基づいて映像コンテンツ及びその関連情報を順次配する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記取得手段は、予め取得されキャッシュされた複数のテンプレートの中から、前記映像コンテンツの視聴状態に応じたテンプレートを取得する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記取得手段は、放送またはネットワーク経由で前記映像コンテンツの視聴状態に応じたテンプレートを取得する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
所定の言語で記述された前記テンプレート及び関連情報を解析する解析手段と、
前記解析手段で解析された前記テンプレートで示される領域に、前記解析手段で解析された関連情報を順次配するスクリプト処理手段とを備える請求項1記載の映像再生装置。
【請求項6】
前記制御手段は、放送またはネットワーク経由でイベントの発生が通知された場合、発生したイベントに応じてテンプレート及びそれが示す領域に配する関連情報を自動的に更新する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項7】
前記取得手段で取得したテンプレートが更新されたことを通知する通知手段を備える請求項1記載の映像再生装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記取得手段で取得したテンプレートの更新が通知されると、前記映像コンテンツを全画面で表示する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項9】
前記制御手段は、それぞれについて映像コンテンツとその関連情報とを順次配した複数のテンプレートを切り替えて出力する請求項1記載の映像再生装置。
【請求項10】
前記テンプレート及び前記関連情報は、HTMLで記述される請求項1記載の映像再生装置。
【請求項11】
取得手段によって、複数の領域がレイアウトされたテンプレートを取得し、
制御手段によって、前記取得手段で取得したテンプレートで示される領域に映像コンテンツを配するとともに、他の領域に放送またはネットワーク経由で取得可能な前記映像コンテンツの関連情報を取得された順に順次配する映像再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55454(P2013−55454A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191517(P2011−191517)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】